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141.  メトロポリス(2001)
印象的なセリフがほとんどなかったなあ。唯一重要っぽい「アナタハダレ」も、全然心に響かなかった。これがラピュタなら、善玉・悪玉の主役級はもちろん、些細な脇役でさえ記憶に残る魅力的なセリフの宝庫なのに。ただ、巷にはびこったAIが賢くなりすぎて人間界の一歩先を解析し、自動的に作動するような世の中が間近と言われている昨今、この作品の中で語られる憂慮も別世界のたわごとと呑気に構えていられない気はする。  とはいっても、テーマが「ロボットの反乱」なら、『人造人間キャシャーン』(あくまでも実写じゃなくアニメ)の方が超シンプルで分かりやすく、ロボットの愛犬や乗り物のワクワク感も見どころがいっぱいあって、何より素直に喜怒哀楽を楽しめる。 本作は、無理やり政治を詰め込んで話を大人テイストにしあげている上、超美しいメトロポリスに見合うだけの、洗練されたデザインのロボットが登場しない。アルバートⅡのような、簡単に壊れてしまうもろさがあり、朴訥で、懐かしさを感じさせるロボットは確かにかわいくて私も好きだけど、いかんせん街自体が高次元なテクノロジーを駆使して造られているので、これらの不釣り合いさはどうしても違和感が残る。視聴しながらあちこちでバランスの悪さを感じていた。 映像美は素晴らしいので、視聴しなければよかったという後悔は全くないけれど、手放しでは感動できない。ジブリの実験的短編アニメ『On Your Mark!』のようにレイ・チャールズの音楽だけでセリフなしのアクションものとして、ぎゅっと縮めた作品にすれば、すごく見ごたえのある作品になった気がする。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-02-13 15:46:59)
142.  竜とそばかすの姫 《ネタバレ》 
ラッパーで映画評論家の宇多丸師匠がかつて、「映画の作中で現実離れした秀逸な歌を扱うとき、大多数の視聴者を納得、感動させる力をもつ歌を現実に作り出さねばならず、それは相当難しい」と言っていたのを思い出した。 そういう意味では、中村佳穂さんの歌は、堂々とその難問をクリアしているように思う。よく通る透き通った声と響き渡る声量、リズミカルで情感豊かな歌唱力にほれぼれしてしまった。 佳穂さんこそ、ベルの声を当てながら、Uの世界を実体験し満喫されていたのではないかと思う。  「U」と「竜」、「ベル」と「鈴」。ネーミングにセンスが感じられて、面白そうと思ったけれど、ストーリーには残念ながら引き込まれなかった。 私がこの作品に対して、ものすごくもったいないと思ったのは、日本最後の清流、四万十川をはじめとする美しい自然と、ベルの歌声が、なんら呼応するように作られていないこと。 呼応しているのは、デジタル処理されたきらきら光る文字だったり、紙吹雪もどきのデコレーションだったりで、それはそれで美しいんだけれど、 これらが「命としての生」を表現しているかというと、死生には縁のないアイテムだから美醜のサイクルをなんら持たず、結局還元されることのない一方通行の美でしかない。 ベルには、スピーカーを満載した仮想クジラのステージから降りて、本物の風が吹く清流をバックに、アカペラで歌ってほしかった。 そうすれば、印象的な対比として心に沁みた演出になったのではないかと思う。 (何十年も昔、胃薬「サクロン」のCMで、爽やかな緑の木々と清流の映像下でシンガーソングライターの谷山浩子が「風になれ ~みどりのために」を歌っていたのを懐かしく思い出した。ちょうどあんな感じのテイストになったと思う) もっと欲を言えば、高知県出身のキャラたちは現地の方言で喋ってほしかった。そうすれば、関東在住のキャラや仮想空間上の差別化がはっきり出る。 たとえば、同じすずでも『この世界の片隅に』の彼女は広島弁を喋り、土地柄がキャラの中に沁み込んでいてリアルな存在感があるのに対して、この作品の主人公は、まるで都会から田舎に移り住んできたような脆弱さ、よそよそしさがある。 スマホの小さな画面ばかりに視線を落としている彼女には、顔をあげて風光明媚な故郷を眺めるシーンがほとんど出てこない。 この透き通った声がデジタル機器に慣れ親しんで成長してきたものだとしたら、感動は大いに半減してしまうし、そもそも何のための自然描写なのだろう?  「現実はやり直せない。しかし、Uならやり直せる」  という冒頭の言葉に問いたい。やり直せるって、いつまで? 永遠に? 実態(当人)は現実世界にいるのだから、どうしたって引きずられる。Uの弱点はそこ。完全に切り離して意識だけを仮想空間に存在させることは不可能。 そこを、四万十川を絡めて突けばよかった。死を招いた川から始まり、命の再生の川で終われば非常にストレートで、観客の集中力もあちこち振り回されずにすんだろう。 『美女と野獣』を踏襲するために、竜をむりやり話にねじこんだ印象がぬぐえない。 こんな竜、必要だった?
[インターネット(邦画)] 6点(2022-08-09 22:28:21)(良:1票)
143.  THE GUILTY ギルティ(2018) 《ネタバレ》 
映画を見ている間、これって、反抗期だった息子と私のやりとりだわと思った。 親としてはどうしても電話に出てもらいたいのに、プチ家出を決め込んだ本人はなかなか応答しない。無駄だと思いつつ何度も何度もコールをかける。つながらなければ、彼の友だちにかけたり、実家にかけたり、塾に欠席の連絡を入れたりする。その間のイライラ、おろおろ、ハラハラした気持ちはたまったもんじゃない。そのうち、やっとのことで本人から電話がかかってくると、こっちは腹が立ってたまらないからどうしても声高で問い詰める口調になってしまい、当然会話にならずガチャ切りされる羽目となる。後日「嘘でしょ、ホントにそんなことやってたの? 理解が追いつかないんだけど!」と驚愕の結末が待っている・・・・・・。  要するに、このアスガーという警察官は、当時の私とそっくりなのだ。彼はオペレーターとしての研修を受けたことがないのか??? 誘拐とわかった時点で同室にいる同僚たちと連係プレーを取るべきなのに、せっかくマチルダから有力な情報を得ても、延々と彼女の相手をしてしまう。北シェラン指令室の女性から「車の情報を巡回に伝えるから、他の話は後にして!」と強引に回線を切られてブチ切れていたけど、どう考えても彼女の方がプロ。アスガーは一から十まで感情で動いているから、ああ、途中で大きな失敗をするだろうなあ、と思って見ていた。  ありえない展開はまだまだ続く。誘拐が絡んだ大事件を個人プレーで、それも個室で対応しようとするなんて、デンマークの警察ってこんなことが本当に許されるんだろうか。しかも、犯人とおぼしき男に直接電話を入れるだけでも驚くのに、感情にまかせて大声で罵るとは。人質を取っている相手を全力で刺激する警察官なんて、本当にいるの? そもそも被害者とオペレーターとの信頼関係が救命の可能性を左右するというのに、上司の「時間が来たから上がれ」って何? 「もう少しやります」って、その軽いやり取り、通信販売の受付レベルに見えたんだけど・・・・・・。 それから、デンマークでは飲酒運転は基本的にOKなんだね。これものけぞるほど驚いた。2杯は「運転できる」で、4~5杯は「慎重に運転」。しかもドライバーは警察官・・・・・・。日本に比べて人口密度が低い国だとしても、「走る凶器」が積雪の往来を行き来するのかと思うとぞっとする。  それから、被害者の女性に武器を探して相手を殴るよう指示するところもびっくりした。殴り損ねた場合、殺される可能性は高いと思うんだけど、どうしてアスガーは犯人を刺激させることばかり考えつくのか。彼自身が犯した罪も、相当なもの。相棒に偽証を強いて裁判を乗り越え、ふたたび通常勤務に戻るつもりでいるとは・・・・・・。開いた口がふさがらない。この映画は、警察官の素質など一片もない人物が、誘拐事件をワンオペでミス誘導し続けたという話だ。いくら終盤でアスガーが罪悪感にさいなまれ、ようやく亡き19歳の少年に思いを馳せたとしても、そうは簡単に同情できかねる。  ただ、だからといってこの作品に見る価値がないかというと、そうは言いきれない。 一度も現場が映らないシチュエーションでありながら、観る者の想像力をあおって鮮やかに話を二転三転させる手法は素晴らしいし、何よりその、デンマークという国が・・・・・・言いにくいけれど、本当にこれくらい警察の法規がゆるゆるであるのなら、映画は嘘をつかずにリアルに撮影しただけ、ということになる。現地の警察官がこの映画を見て「面白い」と素直に思えるのなら、私があちこちで感じた違和感や驚いたシーンは、カルチャーショックというものなのだろう。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-08-12 01:26:18)(良:1票)
144.  バケモノの子 《ネタバレ》 
9歳の九太のがんばりがすごすぎる。 私自身、部屋にホコリがたまれば仕方なく掃除をしたり、またはサボったり、毎夕には家族の好き嫌いを考慮した料理を作っているのに残されたりして、また明日同じことの繰り返し、あー家事って面倒だなあと思っていたけれど、何かを吸収しようとして自主的に弟子としての雑用(家事)をこなしている九太には、ガツン!とやられた。これだけ身を粉にして働きながら、格闘技の技もちゃっかり磨いていく。しかも、ルーティーン・ワークがしっかり九太のメンタルを鍛えているのが観ていてすごくよくわかる。現実の世界に戻って来て、いきなりメルヴィルの『白鯨』を選ぶのは、いくらなんでも優秀過ぎると思ったけれど、好奇心の強い彼が楓を通してどんどん知識を吸収していく様は、見ていて清々しかった。目的をもって暮らすことの大切さを、まぶしいほどガンガン教えられた。  ただ、それ以外ではイライラすることが多かった。バケモノたちの豚鼻が気になって仕方なかったし、何よりキャラクターの名前がいけない。映画を観終わった後、HPで全キャラ名を見て改めてびっくりした。熊徹(くまてつ)はいいとして、多々良に百秋坊、猪王山に至っては、〝いおうぜん〟。無茶だよ。アニメだから、視聴者は当然耳からその名を知ることになるけれど、この発音で「いのしし」をイメージするのは無理。視聴中、キャラ名をほとんど知らずに物語を追っていた(あのちっちゃいモフモフがチコ・・・)。要するに、キャラ1人1人に思い入れることなく、話さえ分かれば十分だった自分に気がつき、少々呆然。  それにヒロインの楓。共感するのが本当に難しい。図書館で騒々しい級友たちを諫めることも、「暴力はよくない」とひと言入れることも、高学歴をめざして独り立ちする夢を持っていることも素晴らしい。でも、絵に描いたようなクセのない模範生。チャーミングなウィークポイントに乏しく、意外性が何もないから全然惹き込まれない。親の期待が大きすぎるって、そんなの進学校に通う生徒なら当たり前でしょ。 それから、多々良と百秋坊。要らないと思う。熊徹と九太の成長を実況中継するだけの存在。熊徹と九太2人だけで凸凹しながら意思疎通していけば、充分すっきりするのに。 それに、一郎彦。九太に斬られて、バケモノ界のベッドで目覚めて、・・・・・・何か成長していることになってる?  それに、人間界とバケモノ界の時制が一致していて残念。九太が青年になって人間界に戻ったら、そこではほとんど時間は経っていなかった、くらいのズレが欲しかった。たとえば、再会したお父さんは成長した息子に驚愕していても楓にはその違和感がわからない、というちぐはぐさがあれば面白かったと思う。 最後に、武器は日本刀って・・・・・・なんか本当に恥ずかしい。何でここに日本色をわざわざもってくる必要があるのかわからない。せっかく異次元の世界が展開しているんだし、オリジナルの武器をデザインしてほしかった。  クライマックスの妖術によるマッコウクジラ戦は迫力満点で青い光が美しく、本当に見ごたえがあった。初めに東京の街のアスファルトを黒い巨体が現れたとき、『天使のたまご』に出てくるプロジェクション・マッピング張りの、建築物の壁面で泳ぐ巨大魚の既視感があった。あれからアニメーションの技術はこれほどまでに進化したのかと目を見張るものがあり、今でも何度も見なおしたくなるシーンだけれど、熊徹の情熱を表す赤い光が流れ込んできたとき、ぶっちゃけて言うと・・・・・・もう、本当にうっとうしかった。この美しい映像を、親子の熱い絆とかのベタなストーリーに絡ませてもらいたくなかった。日本版『ファンタジア』として、ただただ映像美に酔いしれていたかったなあ。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-07-18 21:49:13)
145.  天気の子 《ネタバレ》 
視聴中ずっと「これはファンタジーなんだから、倫理がどうの、細かい設定がどうのと言ったところで始まらない。スルー、スルー!」と自分に言い聞かせ続けたが、ラストに東京水没ときては、うーん・・・・・・これは辛い、ついにどう自分をごまかしたらいいか分からなくなってしまった。 だって、これは「好きな人のためなら街が大波かぶろうが知ったこっちゃない」という、正しくぽにょの津波でしょ? あれと同レベルのなりゆきになっちゃったのかと、さすがに引いた。 前半であれだけ詳細に美しく東京の各風景を表現していたのに、それらを全て水の底に沈める設定にしてしまうとは。  中でも、ピストルを使って全ての現実をはねつけるような真似を帆高にはしてもらいたくなかった。線路の中を突っ走るというあまりにも非常識な行為もやめてほしかった。家出をしてきた理由も呆れるほど説得力に欠け、大人の事情を全否定するかのようななりふりかまわない彼の言動は、駄々っ子のようなピーターパン症候群を思わせる。それがものすごくもったいない。  前半では、身ひとつで田舎から東京に出てきて、圭介の事務所に住み込み、朝から晩まで甲斐々々しく働いていた。陽菜も乏しい家計の中で愛情いっぱいの料理を作って弟と懸命に暮らしていた。そのときの彼らの様子が本当に初々しくて、いつまでも見ていたいと思うほど魅力的なシーンが多かった。  それなのに、ファンタジーが絡んで非現実の話が進んでいくにつれ、2人とも次第に地に足がつかないふわふわした状態になっていく。ピストルを身に隠しながらファンタジーを生活の糧にしようと提案する帆高。「人々に天気をプレゼントして喜ばれる仕事を見つけてくれた」と感謝する陽菜。どうして彼らは一気にそこまで幼稚になってしまうのか。『魔女宅』の魔法や『耳をすませば』の空想世界は、ヒロインを成長させ、それら自体もとてもしっくりと現実世界に溶け込んでいるのに・・・・・・。  少なくともファンタジーをもっと素直に信じられるような演出にしてほしい。『ドラゴンボール』の神龍ならともかく、商品をラベルごとそっくり描くほどリアルな深海さんの作品で、少女が祈るだけで落雷が発生するなんて、あまりにも現実にそぐわずちぐはぐで白けてしまう。  それでもこの作品を全否定できないのは、大声で大好きな人の名前を叫び合えるイレギュラーな世界って素敵だなあと思うから。全力投球の中二病のエネルギーを堪能させてもらった。
[地上波(邦画)] 6点(2021-01-04 01:19:44)
146.  クロユリ団地 《ネタバレ》 
笹原と明日香がドア一つ挟んで霊と対峙し、心の痛いところを突かれる誘惑に必死に耐えているシーンはとても見応えたがあった。家族で事故に遭い、自分一人だけ生還した人は、これほどの罪悪感に苦しむのかと身も凍る思いだった。極端な例えで言えば、白虎隊や特攻隊で生き残った人などは、その心中の苦しさは計り知れない。このシーンを視聴できただけでも本作品を見た甲斐があったとさえ思った。  しかし、その後の怒涛のぐちゃぐちゃは、ああ、やっぱりこう来たかとがっかり。フラッシュバックに絶えず苦しみ、生還者として前を向かねばならない葛藤を最後までしっかり描けていたら、手段としてのホラーとなり、文学的な厚みのある作品になったと思うのに。ホラーとして見せたいがための物語となっていて、とんでもなく薄っぺらな肝試し風映画になってしまった。どうしてCG等を使ってあり得ないおどろおどろしい光景を無理やり作る必要があったのだろう。現実に、団地で孤独死を迎える人が大勢いるのだし、現代社会が抱える問題を太い軸にして、いっそう背筋を凍らせる話にして欲しかった。例えば、端と端の部屋しか住居人がおらず、夜はほとんど灯りがつかないゴースト化した団地という設定だったら、作り物のあり得ない壁穴なんかよりよっぽど怖い。生存年数の短い子供の霊よりも、気配を断った人間の方が何倍も恐ろしい。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-11-27 01:01:16)
147.  スマホを落としただけなのに 《ネタバレ》 
映画を観て勉強になったのは、スマホを拾った人がそもそも警察に届けず、持ち主に直接会いもせず、人を通して間接的に返そうとするときは、そのスマホに用心すべしということ。顔を見られたくないのは、心にやましさがあるから。一時的とはいえ、自分のスマホ(個人情報)がそういう相手の手許にあったことを重く考えるべき。 ストーリーはツッコミどころ満載だったけれど、啓発用ドラマとしてなら文句ない。 例えば、スマホ紛失後にクレジットカードのトラブルに巻き込まれれば、ふつうは拾得者の犯行を疑うに決まっているが、その路線で話を進めたとすると、当然富田はスマホを警察に持参して相談するだろうし、保存した画像から恋人は黒髪美人だと刑事の知るところとなるし、あれよあれよと事件が解決して『スマホを落としただけなのに』というタイトルの実感を、観客は全く味わえないお粗末な流れになってしまう。だから、あえて細かいことには目をつぶり、スマホ紛失のリスクを学ぶために楽しむ映画、と割り切ることにした。 それに、ネット世界の「なりすまし」が現実世界でもありえるという二重構造になっていて、これを「ひねりすぎ」と突っ込むよりも、バーチャルとリアルの垣根の薄さに素直にぞっとした方が、この映画を観た価値が上がろうというもの。 ただ、どうしても納得できないのはラストのハッピーエンド。直接公文書を偽造したわけではないものの、公文書の事実を歪めて重い罪に問われるべき人間があっさり許される。これだけはあまりにも不自然すぎて、さすがにフォローできない。締めがゆるゆるだから、やっぱり免許証更新の時に見せられる事故防止啓発ビデオのような位置づけにしか思えなくて、残念。(でも、お世話になりました。スマホを紛失したら友人たちにも迷惑をかけてしまうリスクは、しっかり肝に銘じます)
[インターネット(邦画)] 6点(2019-10-11 23:26:09)(良:1票)
148.  小さいおうち 《ネタバレ》 
 初め、タキは東北弁を話す板倉が初恋の相手だったのではないかと思った。時子の手紙を板倉に届けなかったのは、平井家への忠誠心というよりは、自分の恋心から2人を会わせたくなかったから。相思相愛の彼らが生き別れになってしまった責任を強く感じて、独身を通し罪悪感を抱き続け、贖罪の意で自叙伝を書き、辺りをはばからず号泣したのだろう、と。それにしては、彼女が生死を強く案じていた相手は板倉ではなく、夫妻だったし、30のキムリンさんのご指摘のように、時子の素足を手で触る行為が描かれている以上、タキの思い人は、時子だったのだと思う。小さいおうちの中、つまり、広く世間に出て異性との愛を知ることなく狭い世界の中で青春を過ぎてしまったタキの物語、という作品なのではないか。   そう解釈したら、この映画もそう悪くはない。確かに心には残った。ただ、やはり山田洋次監督作品は、私には肌が合わず何度も苛立った。健史の描き方があざとい。勉強もバイトも恋人とのデートも自由にできる。平和な治世となり、人生で最も好奇心に満ちた大学時代を送る彼が、直系の身内でもない一人暮らしの高齢者が書く自伝を、早く書け書けとせがむなど、年寄り目線もいいところだ。同じような雰囲気で始まる『ジョゼと虎と魚たち』の妻夫木聡の興味の対象は、少なくとも同世代の女性だった。寂しいことではあるけれど、新しいものを吸収するのに忙しい若者は、高齢者のセピア色の話など聞く耳を持たないものだ。それを老監督はこれっぽっちもわかっていない。『風が吹くとき』の絵本をチラ見させているシーンも不自然極まりなく、作り手のメッセージがこれ見よがしだ。例の手紙に至っては、最重要アイテムであるにもかかわらず、健史が無責任にもぺらぺら読み上げ、繊細な余韻が台無しに。むしろ、彼が時子の息子に封書を転送、恭一本人が自身の目で直接読んで文章の意味や未開封の理由を理解し、母ではなくタキの墓参りに行けば、もっとずっと深いラストになった。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-06-06 11:23:25)
149.  アイアン・スカイ
『サウルの息子』を見てまだその深刻な印象が冷めやらない後日、何の先入観もなく本作を見てしまった。うわうわうわ、こっちを先に見て、『サウルの息子』を見た方が、順番としてはまだ割り切れた・・・・・・? とにかく鍵十字が目に入るたびクラクラしてしまって、笑えるどころじゃない。ナチスが笑いのネタとしてふさわしいはずがない、途中で何度も視聴をあきらめかけたけど、ヒロインのレナーテが可愛くて可愛くて、ついに最後までもってかれた。あの天然ぶりは、こっちの女優さんなら綾瀬はるか? ヨーロッパの人たちは、日本人とは違って、悲惨な過去は笑いに変えて乗り越えるという文化があると聞くけど、なるほどこういうことなのか(日本の原発事故を風刺画で茶化した仏メディアにはムカッ腹が立ったけど)。それにしてもドイツが本作の制作国として参加しているって本当に? 日本も長らく自虐趣味が続いていたし、何のかんのといいながら日独って似てるなあ・・・・・・いやいや、この映画の自虐ぶりは相当なもの、ドイツ人のメンタルすごすぎる。 さらに、女性の米大統領がサラ・ペイリンそっくりで、演出家が狙ったとしか思えない。アメリカの映画館はさぞかし大爆笑だったろうな。この映画は、女優さんたちがみな存在感がハンパなく、気が付いたら、ヒロインを初め女性ばかりに目がくぎづけになっていた。
[インターネット(字幕)] 6点(2018-04-28 00:12:38)
150.  ニュースの真相 《ネタバレ》 
 非常にまじめに作られた印象はあるが、どうしても『インサイダー』と比較してしまう。メアリーの情報提供者に対する責任の負い方は、ローウェル・バーグマンのそれとは比べようもないほど軽い。自分を信用して危険なネタを打ち明ける一般人を、己の首をかけて守り抜こうとするローウェルの仁義は本当に素晴らしかった。  残念ながら、メアリーからその感動を得るのは難しい。話したくないと渋る情報提供者の口を、無理やりこじ開けさせ、後にその証言の価値が疑われると、後手後手に回りながら、何とか修正を図ろうとする。その辺の動きが見苦しくて、残念だった。彼女は一体何をもって、「あなたを必ず守ります」と確約していたのか。一情報提供者に対して誠実な対応を怠るのであれば、彼女は何に対して誠実さを捧げるのだろう。些細なことを調査委員会がつつきすぎると言うが、私は共感できなかった。放送前に、メディア側で是と非のチームを作り、資料を突き合わせ、充分双方で意見を戦わせるべきだった。それをしてもいないのに、「○○ありき」で証拠を全力で探していれば、それに添えられそうなネタが上がってきても不思議はない。情報提供者との中途半端な対応に加え、些細なこと、つまり「詰め」をないがしろにする彼女に、誠実さを感じることができない。  そうした違和感を覚えつつラストを迎え、ダン・ラザーが降板のため大物アンカーらしい華ある幕引きとなったのを見て、さらにがっかりした。やはり個人的には『インサイダー』の寂しく苦いラストの方が、深く心を打つ。
[DVD(字幕)] 6点(2017-08-02 23:33:37)
151.  思い出のマーニー 《ネタバレ》 
杏奈が人形を抱いているシーンはひっかけだったらしい、マーニーは杏奈が小さい頃抱いていた人形かと思い込んで前半を見ていた。かと思えば、七夕祭りのトラブルで重要なヒントがバッチリ出されているとか、後から考えたらいろいろ仕組まれていたなあと苦笑。杏奈があまりにもかわいげのないキャラクターだったので、逆に悔しいほどぐいぐい物語に引き込まれてしまった。ただ、彼女が夜間出歩くという設定は、かなりマイナスポイント。魅力的な大岩夫婦が、預かった12歳の女の子の夜歩きを叱責しない、無責任な大人に見えてしまうからだ。暗くなるシーンが来るたび (何時に帰る気だ!?)とヒヤヒヤするわ、雷を恐れるあまりかマーニーの口から唐突に和彦の名が出たために、幻想のサイロ内でさらに二重の幻想が盛り込まれるわ、マーニーが杏奈と突然別れねばならないタイミングの必然性がよくわからないわと、つまりファンタジーの部分がもろもろ整理しきれていないので、観ているこちらも気持ちよく浮遊感 (現実を離れることの解放感) を味わえない。最大の混乱は、杏奈自身がマーニーは自分の空想の女の子と認識していること。なのに、サイロで置いてきぼりにされたと動揺したり、激怒してマーニーを責めたりするから、彼女がこの金髪の親友をどう信じているのか、わけがわからなくなり、「もちろんよ、許してあげる!」という熱弁を聞いてわけがわからないまま感動して涙を流す羽目に。煙に巻かれながら泣かされるこちらの身にもなってほしい・・・・・・。(でも、視聴してよかったと思える作品だった)
[DVD(邦画)] 6点(2015-09-13 00:09:00)(良:1票)
152.  009 RE:CYBORG 《ネタバレ》 
00ナンバーたちがほぼ全員、能面でもかぶっているみたいだった。生身の体ではないというコンプレックスこそが彼らの持ち味だったのに、「攻殻機動隊」を手掛けた監督がかかわるとサイボーグはアンドロイド化するんだろうか。チームワークが魅力であるはずのメンバーたちが単独プレーで能力を使ったり、「超銀」のボルテックスのオチが使われたり、話の整合性がめちゃくちゃだったり、難解で長いセリフが多かったり(日本のアニメを日本語の字幕で見なければならんとは)と、突っ込みどころ満載だったけれど、仲の良かったはずの002と009が仲たがいをしていて、再会したらさっそく空中で取っ組み合いの喧嘩というノリは面白かった(その間に原爆を落とされちゃったから目も当てられないけど)。そもそも001が009を宇宙空間へテレポートできるくらいのベビーなら、ミサイルの発射に15分もあったんだから信管くらいどうにかできたんじゃないのと思うけど、それをいってはおしまいなんだろうか。
[DVD(邦画)] 6点(2015-02-22 22:26:29)
153.  鑑定士と顔のない依頼人 《ネタバレ》 
鑑賞し終わった後、DVDを再度再生してあちこちを「飛び見」してみた。鑑定士をとりまく登場人物たちのセリフが再び耳に入ってくる。・・・・・・はっきり言って聞くに堪えない。裏切り者たちの言葉は何一つ真実がこもっていない。そう考えると、この手のサスペンスは「一度見たらたくさんだ」という思いにどうしてもかられる。しかも、壁の中の女性のぺらぺらしゃべるセリフが軽すぎてミステリアスに聞こえず、最初からかなりの違和感があった。姿が見えないという特異な条件を活かしていない脚本だった気がする。壁の向こう側とこちら側を行き来する彼女のオーラが全く同じだから、観ているこちらは次第にその味気なさに退屈してくる。存在感のある女優さんだったら、姿を消したり現わすたびに、その場の空気が一変すると思うのだが。それでも、怒りにまかせて書類を派手に放り投げるジェフリーのかっこいい演技にはほれぼれした。願わくば哀れな鑑定士のために、忠実な秘書の存在に彼があらためて気づくことと、年若い技術者との友情が本物であるようにと祈っていたが、叶わず、視聴後は寂しさと虚しさが残る苦み走った思いが残った。  (後日、再び書き込んでます→)初めて視聴してからかなり経ったが、やはりこのストーリーは許せない。生理的にどうしても受け付けない理由が今頃やっとわかった。高齢者をターゲットにする日本の劇場型オレオレ詐欺が、この犯罪の本質だからだ。
[DVD(吹替)] 6点(2014-12-05 01:13:30)(良:1票)
154.  ガタカ 《ネタバレ》 
「ルディ 涙のウィニングラン」と「砂の器」を足して2で割った作品というイメージ。「ルディ」ほど純粋な感動を得られないし、「砂の器」ほど絶望的でもない。ほどよく適温で生暖かい感動だった。で、もし「相棒」の右京さんにかかったら、ラストのドクターの心憎い見逃しなどもってのほかで、「生まれながらに希望の職に就けないのはあなただけじゃありませんよ!」と説教しながらビンセントの首根っこをつかんでズルズルと宇宙船から引きずり降ろしたことだろう。  遺伝子操作された者の優位性は、確かに非人間的な価値観だが、あくまでこの作品では「肺活量が弱い人はパイロットになれない」くらいの差別にしか見えなかった。清掃員、ドクター、車いすのジェロームに怒鳴られる刑事にしろ、社会的弱者を決して蔑み切っている社会のようには見えなかったからだ。「アポロ13」だって、はしかの疑いが出たクルーはメンバーから外されたのだ。リスクを負わされる他のクルーの迷惑を考えずにいられない。  そもそもこの作品を手放しで感動できないのは、姑息なイメージが強いからだ。「ズルをしてでも夢をかなえてやる」という男を大真面目に描き、病的なまでに徹底した不正工作をするから、悪質で不愉快なのだ。ビンセントが陣川クンのノリだったら、右京さんも彼を止められないだろう。そういうノリでこのテーマを扱われてももちろん困るのだが・・・・・・。 
[DVD(吹替)] 6点(2013-06-14 00:01:59)
155.  スノーホワイト(2012) 《ネタバレ》 
醜いものにも、弱いものにも、どんな立場の相手にも優しく情け深いスノーが好きだった。死にゆく小人をいたわる彼女を見ていると癒された。この辺がもしかしてナウシカ? しかし甦った暁に大衆を前にして大演説をするシーンはどん引き。あまりにもお約束すぎて恥ずかしい。甦ったら、その姿は神性を帯びていて、本人が直々に演説ぶるまでもなく、おのずと大衆が「エイエイオー!」とならなきゃおかしいでしょ。ナウシカがよみがえったとき、金色の野から民に向かって 「皆さん、腐海を大切にしましょう!」 と鼓舞したら余韻台無し、目も当てられないよね。でも、お色気シーンはほとんどないし、子供向けの作品だとしたら、安心して親子で楽しめる作品なのでは。
[DVD(吹替)] 6点(2012-12-29 00:07:53)(良:1票)
156.  ムーラン(1998) 《ネタバレ》 
面白かったけど・・・・・・ちょっとしょぼかった。残念。消化不良~。 中国版ジャンヌ・ダルクを想像していただけに、ナウシカみたいなカリスマ性もないキャラが個人プレーで活躍してた、という印象だった。 雪原の戦いも、先に 「ライオン・キング」 のムーの大群を見ているので、「ん? またか」 とあまり新鮮に感じなかったのと、雪の中を泳ぐように馬が走るのも違和感ありすぎて、ちょっとおいてきぼりにされた。また、ダイナミックなこの雪原のシーンのためにラストがやや盛り上がりに欠けた気がする。「え、これで終わり?」 とショックだった。 ただ、絵柄は味があって好印象だった。動く水墨絵がすっと万里の長城に変わった冒頭シーンが新鮮だった。日本の浮世絵や中国の山水画などアジアの絵画は平面の描写が特徴的だが、それを意識して制作された作品だと思う。 
[DVD(吹替)] 6点(2012-10-26 14:08:57)
157.  イーオン・フラックス(2005) 《ネタバレ》 
最初の方で、唐傘をさしているエキストラが見えたとき、あれっ、もしかして和風テイスト?と思ったら、どんどんエスカレートしてきて、こまかい敵キャラがぞろぞろ出てきた時点でもはや「科学忍者隊ガッチャマン」のオマージュ作品としか思えなくなった。日本への愛を随所に感じるのだが、見ていてテレが入ってしまい、有難いけどもう少し外してくれた方がよかった。 また、シャーリーズ・セロンほか女性たちのアクションが細かく切れていて、一連の動きを通しで見せてくれないので、スタントを使っているのではと少し興ざめだった。潜入や逃亡のスキルは見どころ満載なのに、攻撃には時限爆弾やショットガンなどが主流なのも、ちぐはぐな感じだ。たとえば脱獄するイーオンのユニークな技を前半で見せていながら、大詰めに至って現代劇のような撃ち合いはおかしいだろう。始終いろんなものがアンバランスに見えたのが残念。
[DVD(吹替)] 6点(2012-10-26 13:52:05)
158.  プロメテウス 《ネタバレ》 
予告編で「プロメテウス」と称された迫力満点の宇宙船とクロワッサン型のUFOに魅了され、ぜひとも映画館で視聴したいとすごく楽しみにしていたのだが、ヒトデのおばけみたいなエイリアンが出てきた時点でTKO、治療用カプセルで大暴れしていたエリザベスよろしく「わたしをここから出してくれ!」と叫びたくなった。 ぬるぬるにちゃあっと糸引くあのグロい生物を、真っ暗闇のだだっ広い劇場のど真ん中、ズームアップした3Dで見ることになると分かっていたら、絶対にDVD視聴を選んでいた(ちなみにレイトショーで観客10名だった)。 そもそもあんな強烈な捕食生物(人工的に作られたものであったとしても)がいるのなら、被捕食側の生態系もきちんと描いてくれなければ、惑星そのものも非常に薄っぺらく感じられる。その点、人間にあだなす肉食系、ロマンをかきたてる草食系の恐竜の世界を描いた「ジュラシック・パーク」は素晴らしい。 DVDをレンタルしたら、惑星の風景や砂嵐、各宇宙船の雄姿などのダイナミックな映像を繰り返し見るだろう。ストーリーが絡んでいるシーンははっきり言ってどうでもいい。ストーリーありきではなく、まず映像ありきで制作されたとしか思えないほど、キャラやテーマに重みがないからだ。そういう作品は、残念ながら見事なシーンだけ選んでぶつ切りのように楽しむしかない。
[映画館(吹替)] 6点(2012-09-06 21:08:07)
159.  親切なクムジャさん 《ネタバレ》 
前半と後半で全く違う映画を見たような気分。(特に後半は韓国版『オリエント急行殺人事件』)。石鹸や漂白剤を使っての楽しそうな?殺人ぶりや、沈黙の食事中にいきなり始まる性交、リンチ前のレインコートの着用などブラックジョークが満載。でも、娯楽性とシリアスな面がしっくりかみ合わずにごちゃごちゃと描かれているから、母性愛や遺族の苦しみなど、映画の肝心のメッセージがストレートに心に響かず、「う~ん・・・気持ちはわかるけど・・・・・・」程度の共感がやっと。ストーリー、キャラクター、表現方法、その他なにもかももう少し整理して、ナチュラルに描くことはできなかったのかと思う。
[インターネット(字幕)] 6点(2010-03-29 16:10:41)
160.  ターミナル 《ネタバレ》 
どこかで同じような類の、それももっと強烈なインパクトの映画を見たことがあると、視聴中ずっと思っていた。目的を達成するために、人目にはバカげたように見える努力を飽くことなく続け、その熱意に周囲の人たちが次々と感銘を受けていく。最後は見事主人公の悲願がかなって一同大感激、という内容・・・・・・なんだったかな~と必死で思い出したら、ひらめいた。『ルディ・涙のウィニングラン』。とたんに、この作品の感動がかすんでしまった。
[DVD(字幕)] 6点(2006-05-26 16:13:47)
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