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黒猫クックさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 791
性別
自己紹介 猫と一緒に映画を見ていると、ヤツらは私より先にコイツはクソ映画だというのを察知します。ストーリー展開や伏線回収が怪しくなってくると席を立ってしまうのです。だけどそんなおっちょこちょいな映画にだって良いところはいっぱいあるんですよ。
猫のヤツらは冷酷です。

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141.  特攻野郎Aチーム THE MOVIE 《ネタバレ》 
面白かったなぁ。  テレビドラマを見てるかの様ないい加減な設定は、破壊力満点だった。予定調和に次ぐ予定調和に絶大な安心感。良い映画だった。 懐かしさにドップリ浸かれるのは丁寧だったからだろう。妙な新設定を入れず、実力俳優が丁寧にAチームを作り直してくれた。こんなにうれしいことはない。  最後の無理矢理などんでん返しも何となくテレビっぽくて良い。テレビドラマみたいにダラダラ続編が作り続けられるといいなぁとか思ったりする。
[DVD(吹替)] 8点(2011-05-22 18:26:50)
142.  トイ・ストーリー2 《ネタバレ》 
この切ない感じはアメリカならではだろうか。本当に切ないと、ジクジクといつまでも引きずることも、嫌になってしまうことだってあるが、この切なさはなんか気持ちいい。こういうさじ加減の絶妙さはやっぱりハリウッドの技術力だろうか。  3Dモデルの良さというものがこの頃から出てきている。人形やセル画を演算を元に作り込まれた精巧な画に置き換えたことが実に良い方向に行っている。確実にアメリカの文化になっているだろう。日本の一部の長編アニメが文化っぽくなってきたのは90年代末だろうか。その流れの始まり、ジブリやごくわずかな角川の長編映画が文化然としたクオリティを持ち始めたのはトロンと同じような時期だ。  とすると、3Dモデルの映画と文化路線に振った日本のアニメという物は同じような年月にさらされて共に文化といえる土壌を作り上げたといえるような気がする。99年のトイ・ストーリー2と2001年の千と千尋は2つのジャンルに日米共大きなターニングを与えたように思う。3Dアニメも日本アニメも、20年近くを経て昇華した。  この大きな原動力になっているのはやはり、表現媒体に頼らない強いストーリーにあるのだろう。楽しくて切ない物語は容易には忘れ得ないもの。そして、もう逢えないかも知れないけれど、巧く説明できない暖かい何かが心に残っている。そういうストーリーだ。  そういうしなやかなお話を丁寧に丁寧に作り上げる大勢の人たちが、支えている。だからちょっとのことでは行かれないところまで行く事ができたんだろうとおもう。
[地上波(吹替)] 8点(2011-01-23 19:44:54)
143.  イルマーレ(2006) 《ネタバレ》 
素敵すぎでしょ。もうね、凄いステキ。  正直、借りるきっかけは単に、ブルーレイのラブストーリーがこれくらいしかそそらなかったって言うくらいで、あんまり面白そうにも見えなかった。ポストに過去や未来からの手紙が届くって言うのも、あまりにも飛び道具過ぎて最後の30分で空中分解するんじゃないのか?とかいろいろ文句を言うの方のが楽しみだったりした。  ところが、このギミックは抑えめで至って旧時代的な控えめな恋のお話だったりするからたまらん。呼ばれもしないのに会いに行ったり、見てる人の四分の一はドン引きになる告白の仕方もせずにひたすら少しずつ近づいていく空気感が秀逸だ。  会いに行けないような距離に居た訳でもなく、事実を知らせられないSF的な仕組みが存在した訳でもない。だけど、お互いが一方的に事実を知っている時間が流れて行ってくれることを生活と両立し待ち続けた事がこのお話を凄く上質な物にしたと思う。  おかげでパーティでのキス、イルマーレにこない、冒頭の事故。この3点のミステリー的な小技が相対的な存在感を引き出した。純粋なタイムトリップ物としては甘口に過ぎる構造も、基本になる「ありそうな大人の二人のつきあい方」の装飾として上手に機能していた。  だから建て売り住宅の現場監督に収まっているアレックスが、ケイトの職業を外科医であると知ったときの距離感がほんのりと漂っていたのが良い。イルマーレに誘ったときの覚悟や、会社の成功や建築家としてのスタートをすることができた彼の最後の覚悟は、ケイトがいつどこにいるかを唯一知っている、冒頭のあの場所に彼を向かわせるけれど。そのやりきれなさのさじ加減は凄く良い。  実は冒頭、轢かれた人が来ていたジャケットを覚えてしまっていた。イルマーレに来なかったときに死んだと気づく観客の経路でラストを迎えた。だからその後の進行は胸がキュンキュン。最後手紙が届かなくてもきっと感動したと思う。もしかしたらもっと感動してしまったかも知れない。だけど、殺してしまう飛び道具よりも届けてしまう飛び道具の方が私は好きなんだ。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 8点(2010-09-20 01:35:26)
144.  第9地区 《ネタバレ》 
面白い!  冒頭の嘘くさすぎる設定と、なかなか良くできた特殊効果が一気にこれは壮大なB級映画なのかもしれないと期待させてくれ、そしてその少し斜め上を行ってくれる。  どうしようもなくいい加減に見える共存の設定が、むしろこの上なくリアルだったりする。現実に移民政策とか福祉策とか、変わったことをやっているどこの国も巧くいってないくせに海外に巧くいってるかのようなプロモートして、本人も気づいていない共産主義的な考えを持った外国人あたりが簡単にだまされているし。この映画はそういう政府の実際は巧くいってないくせに巧くいってる体で、国内なんかより国外で影響力を持つおっちょこちょいな有名人あたりに外見を取り繕う「現場」っていうのを上手に作り込んでいた。  そんなおっちょこちょいな現場にはおっちょこちょいな政府と、お約束的映画仕様のアホな国連軍。それからおっちょこちょいな現地(宇宙人も含めた)人。そういうのが織りなす不可逆的な災難っていうのは病みつきになる。思わず何度も何度も観てしまう。  物語が進むトリガーになっている、あの液体。あの「設定?あ、それは何だって良いんすよ」的な割り切りにはガッツポーズ。やっぱそうそう、その辺はどうでも良い。ターミネーターだって内骨格の頭部に同縮尺でシュワルツェネッガーの写真重ねるとアゴが出っ張るとかそういうところ誰も突っ込まないし、そんなのどうでも良いし。というか物語全般に言えることだけど設定なんていう後からいくらでも作り込めるものはどうでも良いし。  そう言うわけで、非常に巧く作られているし私はハンディカム視点の映画は基本的に大好きだし、なるほど2009年のSF映画で一番面白かったと思う。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2010-09-05 18:25:15)
145.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 
ずいぶん昔にみた。なんて面白い映画なんだろうかと感激した覚えがある。  見終わった後考えると、いろいろと現実に即さないことが多くクラスメートとハンバーガー屋だのファミレスで延々と突っ込んだりして大いに楽しまされた。が、問題はこの映画を見ている最中のことだ。  全く息もつかせないようなプレッシャーとあの異様な雰囲気は、現実に即す即さないの話ではない。あまりに面白くて、どうしようもなく痺れさせられて、正直感動すらした。現実との差異に突っ込みを入れつつ、初見の興奮は絶対に忘れられなかったりするわけだ。  よくよく考えてみれば、80年代の警察やFBIが出てくる娯楽映画は現実に即した物なんてほとんど皆無だが、どれも面白い物ばかりだ。90年代初期の本作はそういう面白さになんだかリアル臭いエッセンスが掛かっていて、一段も二段も上の娯楽になっている。ふざけた感じもせず、ひたすらまじめに面白い。  娯楽とまじめのバランスがふとしたきっかけでバラバラになってしまいそうな作品だが、それがまた良かった。残念なのはテレビで芸人だか何かが研修生がこんなことしない、とかおもしろおかしく突っ込んだせいでそういう見方がパンデミックのように広がったことだ。超話題のアカデミー賞作品だったのがいけなかった。普通のしょうもない刑事映画だったらそんなことにはならなかっただろう。  そのせいでつまらない映画に突っ込みを入れて楽しむ事とは別に、時々面白い映画までそうやって斜に構えて現実と比べてみたりするようになっちゃったじゃんか。嘘が入ってなきゃ成立する訳無いだろフィクションが。  この後ついつい気にくわないと、「わざとらしい」「作られてる」「実際と違う」などと1+1は2に決まってるだろ的なことを言うようになってしまった。そういう契機になった映画だ。そういう発想を植え付けたテレビという物が非常に忌々しい。  でも、やっぱ研修生が単独捜査で拳銃片手に猟奇殺人者を追い詰めたりしないよな。な?
[ビデオ(字幕)] 8点(2010-08-16 09:55:47)(笑:1票) (良:1票)
146.  ランボー 《ネタバレ》 
子どもの頃にみたランボーは、彼の気持ちを推し量らない町の保安官が一方的に圧力を加え、それに反撃をする話だった。とにかく痛々しい。 しかし、つい最近見直したランボーは違った。ランボーもすでに壊れている。笑って話しかける保安官をガン無視したあげくに匂いをまき散らして食事をしようとすることに、何も感じていない。だけど、それが仕方のないことだったのを知るのは観客のみ。  保安官は彼に嗜虐性や迫害性癖を丸出しにしてしまう小さな人間だった。ランボーは1人だけの軍隊として、本気で警察隊と抗戦してしまう。殺してはいけないというハンディを自分に縛り付け、戦ってしまう。  ランボーには正義など無いが、悪でもない。要は単に飯を食って次の町に行きたいだけだった。そこにイデオロギーなど何もない。あるわけがない。あるのはランボーの小さな生活だけだ。彼に残虐性を刺激され、励起させてしまった保安官。多くの人はきっと彼のようにチョットした嫌がらせをしてしまう小さな人間だ。自分自身の性癖や、人間の本質を知るからこそ町に入れるのを拒んだ。だが、彼は隣町までランボーを送ってあげたり、食事を付き添ってあげるほどの人格がなかった。  そうやって始まった戦争にランボーは捨てたはずの戦場を、ただ立ち寄っただけの田舎町に作り出して、泣き崩れた。  戦場では圧倒的な武力で南ベトナムを救ったはずの兵士だった。この映画はベトナム戦直後に間違った世論に疑いも持たずに巻き込まれ帰還兵を虐待した人たちに、後悔や苦々しい思いをさせたに違いない。 守りきったはずの米軍と国連の撤退後パリ協定を破った北ベトナムに南が占領されたことを、様々な団体がいつの間にかアメリカが敗戦の調印をしたかのようなデマですり替えた。多くの人が洗脳されている社会を作ってしまった。よく解っていないことに人権や思想が絡むと同調してしまう人が多く、そんな層でさえ大きな質量を持つに至るアメリカ社会の怖さが垣間見える。そんな層が構成するからこそ、ランボーは人がいやがるような仕事さえ得ることができなかった。  ベトナム戦争が敗戦したことになっている一部のアメリカや、一部の日本は非常によく似た社会性があり、そういうことが中東の治安維持活動でも同じような反応として起こっている。同じ社会性のある国で普遍的なテーマなんだと思う。30年たってるがその骨太さと揺るが無さに感心した。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-07-04 19:58:57)
147.  トータル・リコール(1990) 《ネタバレ》 
メチャクチャ面白い。  ディックの小説で、困難とされていた作品をついに映画化!的なうたい文句があるものは疑って掛かれの法則(そんなもん無いが従っておけ)に従いはしたが、バーホーベンだしなんかスゴいことになってんじゃないの?って思ったらスゴいんだよなこれ。  ディックの原作は、淡々と落語のように落ちまで一直線な短編が映画化されると良い。世界観にこだわらず、監督が思い思いのイメージで映画に落とし込む。だから良い。このトータルリコールは、バーホーベンって原作読んでねぇんじゃないのか?って位独自の世界を作り上げ、挙げ句の果てにはディックの同名作品って宣伝要員だなただの。って程度に残骸が残っているような味付けになっている。だから映画を撮ることに集中するバーホーベンがものすごいものを創り出してしまう。  これ20年前の映画だよな。子供の頃テレビで放映されると大喜びで観ていたが、これたぶん今観ても小躍りしちゃうんだろうなきっと。いろんなギミックとか、汚らしくて未来の廉価品がゴロゴロでてくる火星の風景ってのがすさんでて、こちらも好き放題に妄想させていただける。  とにかく大好きなんだ。 
[映画館(字幕)] 8点(2010-06-19 14:15:00)
148.  ホワイトハンター ブラックハート 《ネタバレ》 
イーストウッドらしいハリウッドらしくない秀作。イーストウッドの小説的な匂いを出す映画群の中には2,3年の周期的にさらに文学的な雰囲気を発する作品がある。この作品はまさにそのタイプで、これら作品は作中の人物誰かに共感や感情の移入をしなければヨーロッパの文芸作品以上の苦痛な時間が待っている。  本作では感情移入のための劇場的なテクニックは排され、人物像や心理描写と言った文字媒体的技巧が主に使われている。ここにあるのは映像媒体の情報を受け取って感じさせられることからの楽しみではなく、情報を読み取りそこから感想を構築して行く作業でありこれをしないと何も心に浮かばない。しかし映像は何もしなくても進んでしまうがために、それを意識させないぎりぎりのところで、映像的なフォーカスが組み合わされている。  集中力をそがないその配分は、おそらく偶然のものではなく計算されたものだろう。あたかも場当たり的に作られているかの様な作中の映画撮影は、確信的な巧妙な計算のうちに作り出され、それら技術的な組み合わせはあまりアメリカ映画的とは言えない配分ではないだろうか。  ともすればヤマオチ意味なしにすら感じられるこの映画が撮られたのは90年。カンヌでは85年のペイルライダー、88年のバード、本作とイーストウッドは文芸調作品で立て続けにパルムドールにノミネートされ、この頃すでにヨーロッパでは絶大な支持基盤を得ている。技術やキャリアにおいてはすでに絶頂期を迎えており、今後こういったハリウッド的な味を持たない映画を撮り続けるのは難しいのではないだろうかとさえ当時の人たちは思っただろう。  しかし、20年たっても2,3年周期で文学性と完成度の高い作品を作り続け、ハリウッド映画を見に来た客を煙に巻き続ける。アジア、アメリカ、ヨーロッパと全く違った印象を持たれているであろうことが実に面白い。
[DVD(吹替)] 8点(2010-06-06 17:48:39)
149.  マディソン郡の橋 《ネタバレ》 
大昔、これが公開された当時スゴい反響だったらしいことは何となく記憶のものすごく奥の方にある。ちょっと昔これをDVDで見たときにそんなことを思い出した。  主人公とフランチェスカの微妙な関係を首をかしげながら観る一方で、なんかいい話かもと思う気がしないでもなかった。年を取って、いろいろなものが生活に不可分に確固として存在するなか。こんなことの一つでも起こったのなら、きっとその想いにも逡巡しながら、その後を、それまでと少しだけ違う考えをもってる自分に気づいて生きていくんだろうな、と思わされる。  黙っていればきっとそれくらいは悪いことじゃないのかもしれないが、本能的になんか許せない気も。そういう塩梅が実に巧妙。実は原作小説を翻訳で読んでしまったため、その表現の異様さに思わずなんなんだこの教科書ガイドみたいな小説は。と、感じてもいたのだがイーストウッドの作った映画は文章とは関係のない美しさと、受け手にゆだねる倫理観の揺れがハリウッド映画との異質感を伴って作り込まれていた。  冒頭と最後の彼女の家族の挿入が現実感へ引き戻してくれる。やっぱりこの絵空事のようなお話は絵空事なんだ。そりゃそうだ、良いわけがない。そんな気もするけど、やっぱりあの年齢になったときに日常に蔓延する寂しさを少しだけ忘れられたらという願いを持ってしまった人を責めることも出来ないかな。なんて言う気持ちにもさせる。  肉親を捨てて願望を取ったがため、罪にまみれるか。願望を取らなかったがためにむなしさに囚われるか。この映画の良さは、そこで受け手を惑わせなかったところ。前者であれば普通の主婦が最後の時を冷静には過ごせない。家族にそっと遺灰をまいてもらえた選択を出来たことは正解だったのだろう。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-05-22 14:58:45)(良:1票)
150.  ターミネーター 《ネタバレ》 
面白い。箱庭的で閉鎖的な世界をそう感じさせない程々のリアリティと、そうは言っても取り除きようのない脅威が迫り来る息苦しさを終始感じさせる閉塞感の構築が信じられないほどうまくいっている。スゴい。  タイムトラベルものとして、時間軸の整理がおおざっぱなのは昔の映画ならでは。ループの解決を図らなくても、ラブストーリーとしての運命性を感じさせる描写の方が強くて全体の完成度に影響がない。このあたりは偶然なのかもしれないけど、良い。  それから寓意や人生訓が特に入っていないのは後味がスッキリしている。
[地上波(吹替)] 8点(2010-05-20 23:54:42)
151.  グリーン・ゾーン 《ネタバレ》 
面白い。非常に面白い。なんかそれっぽい疑問をフィクションで投げかけることで、受け手の自尊心を満足させるハリウッドの巧さはこう言うところにある。実際は当時の報道を思い返すとそんなだったっけ?とすぐ気づく。  本作のカット、凄い。隊内のフォーメーションを上手に切り取った見せ方に痺れた。市街地の兵がそれぞれ役割をもって描かれる様は圧巻。もっと速く、もっと速くという欲求に極限まで応えるカメラワークに大満足だ。  また、GPSやヘリコプターを使った作戦も非常に見応えがあり、地上部隊と空からの連携がゾクゾクする。終盤のカットの速さはもっと速くという欲求を超えて、何が何だか分からないほどのスピードで(位置関係や追撃プロットはたぶん破綻してないと思われるが、確信犯的演出的破綻は有るかもしれない)、何度でも観たくなる中毒性がある。なんつう面白さか。久しぶりにゴリッと凄いアクションを観た。  他方、イラクにまつわることや、イラク戦争に関することはこの映画的にはあまり触れられていないかも。劇中のサスペンス的な創作や変に正義や巨悪を演じるアメリカを信じてしまう人が出ないかと心配になりもした。ネット上では日本語の湾岸戦争の情報は、日本教職員組合的というか、アメリカが悪でイラクが純真な世界という解釈をさせたがる結構過激な文章が多くて、参照すると変な方に思考が誘導される。日本語で読む人には他国の情報を入手できないだろう、という悪意の入った主観的な文章がちらほら見受けられる。  これはこの映画とそれほど関係のないところだけど、何となく日本に長くつきまとう問題ではないかと思う。っていうのも映画の感想とは関係のないことか。
[映画館(字幕)] 8点(2010-05-16 02:59:21)
152.  落下の王国 《ネタバレ》 
面白かった。物語を物語の中の人物に語らせるのはかなりの力量が必要だと思うが、軽やかにやってみせるあたりにそれを感じる。  悪意を原動力に作られた心地よいロイのお話に、少女だけでなく不覚にも観ている私まで思わずワクワクしてしまう。その心地よい都合の良さともったいぶらされ感に確かに続きが観たくなる。その計算された陳腐さは妙に後を引く。  ところが中盤以降、ロイの心が病むことでその心地よさは徐々になくなり融通の効かなさを感じさせる。とうとうロイが現実に対して折れてしまうと、すべてが破綻する。それは、そこにあるロイの願望がロイ自身の、心からの望みであることに気がついてしまうと言うことだった。  しかし、生きようというかすかな思いが彼とその物語の結末を文字通りの終わりから、少しだけ押しとどめた。その後、不可避な現実にどのように折り合いを付けていったのはは分からないが、本人も知らずのうちに寓意を込めたその物語はときには幼稚に、ときには陳腐に、ときには他愛のない空想にも映ることだろう。しかしそれは美しい映像をまとった紛れもない冒険であり心躍る物語だ。ちょっぴり厳しいエールがのっかった物語は彼の心をギリギリ踏みとどまらせた。  映画の中のキャラクタが映画の中で物語の中のキャラクタを演じ、見ている私はその映画の中に入りこんでその話をせがんだ一人になったように感じることが出来た。見終わって、アレキサンドリアと一緒にさんざん励ました自分の背筋がちょっとだけ伸びたような気がした。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-05-13 23:31:47)
153.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 
もしかして、国の偉い人がこの映画の中の人たちくらいバカだったらどうしよう。すんごく笑えるかもね。っていう感じの軽いクスクス感が秀逸。  64年って言うとベトナムで民主主義が圧されている戦況ではないだろうか。ベトナムの脆弱性と共産圏の思想から作りだした世論に、アメリカ軍に軍事行動を極端に制限させ、結果アメリカ人が作りだした自制がしばらくアメリカ人を殺し続けることになる。  当時のベトナムでは共産圏と民主主義のせめぎ合いは、結局数年後に攻撃制限をやめたアメリカにより徹底的に北ベトナムを蹂躙することで終結する。アメリカとしての軍事行動は圧倒的な勝利でベトナムを制圧し、民主主義を守った構図であった。しかし、アメリカの撤退後再介入をさせなかった当時の世論は北ベトナムの再整備を許し共産主義による迅速なベトナム全土の武力統治を許してしまう。それを以てアメリカの敗北として悲壮感と軍への憎悪を自己陶酔の肴として重宝してしまう社会が作られてしまった。  この映画はそういった流れへのサブリミナル効果的に作用したのではないだろうか。目にした情報を信じるほか無い当時としては、このアホなアメリカ人というのを国家の一面として多分にすり込まれてしまったというのは無い話ではないかもしれない。そういう、ほんのブラックジョークのつもりで作られた映画が一人歩きし、平和を訴えたりとか無邪気に冷戦を批判してみせたりという主張にまで発展してしまうのは残念だが、古今東西を問わず人は千差万別だといわざるを得ない。  絶対この映画自体は単なるブラックジョークのたぐいで、映画としての完成度を真摯に追求した結果であると思う。けど、この映画を見て大まじめに平和を祈念する人を非難はできない。
[DVD(字幕)] 8点(2010-05-09 16:39:07)
154.  エクソシスト 《ネタバレ》 
なかなか面白い。  アメリカ人には薄気味悪いという概念が無く、そういった怖さは伝わりにくい。というようなことを他の映画の解説か何かで読んだが、この映画も十二分に薄気味悪いではないか。なんだかよく分からない恐ろしげな存在が、超常的な徴をいろいろなところに残す事実は登場人物だけでなく、受け手にも十分な恐怖感を与える。  痛そうな行為やメイキャップ自体など、飛び道具も出てはくるが結局正体が分からないという、なんだかんだ言って卑怯な手にはまんまと最後まで怖がらされてしまった。この古典的でB級な「正体が分からない怖さ」というやり口はあまり好きではない。結局上手な着地点を最後まで考えつかなかった(かはじめから考えていない)という、作り手の戦術的退却が最も上手くいきすぎているのが癪に障る映画ではあるがそこが逆に気に入っているポイントでもある。  そのためにこの映画以降、作者が懸命に創り出した恐怖の具体を「恐怖の正体が分かっちゃったら怖くない」とか、「画面に出してしまったらありがたみが無くなる」とかいう論調が出現した事が伺える。それを言ってる評論家の比較対象がどうもこの映画であろう事が匂うからだ。しかし常識的に考えると、正体を明らかにした上でどのように帰結するか、具現化や登場をしてしまった上でどう展開するかしないか。という部分が物語としての技量の重点であろうから、そこを隠したまま雰囲気だけでおもいおもいに想像させるというのはちょっとずるい。  ずるいが巧いから成立する。だからよく言われる「それが結局あかされないから怖いのだ」というのは違うと思う。怖がらせる技量が飛び抜けて巧いということがこの映画の核心であり、だからインターネットが無かった時代に死ぬほど怖かったのである。
[地上波(吹替)] 8点(2010-05-08 23:04:18)
155.  スター・トレック(2009) 《ネタバレ》 
大変面白かった。  視覚効果の出来はさすがに09年の映画と言うべきか。目で感じる緊迫感を非常に巧く表現している。ちょっと10年前くらいだと各映画会社が渾身で放つ超大作がこういうリアルさだったと思うが、21世紀の映画は凄い。21世紀という言葉がしっくりくる。(パラマウントだが)  旧シリーズはいくつか見ているが、実はスタートレックはあまり好みではなかった。潜水艦や軍艦の中央司令室的な設定は非常に好きだが、メカのデザインがどうにも好きになれず何となくのめり込めないで居た。もちろんスポックの耳にも違和感を禁じ得なかった。  しかし、子供の頃にみたスタートレックと本作。ぱっと見メカの基本的なフォルムはあまり変わらないし、スポックに至ってはよりいっそうバルカン人らしさが際立つメイクである。にもかかわらず魅力的に映った。どうやら好みがここ十年くらいで変わっているらしいことに気づいた。子供の頃大好きだった米陸軍的なスクウェアな兵器デザインよりも、そこに非現実的なオーガニックなイメージを含んだ架空兵器の方に嗜好が移っている。エンタープライズ号はど真ん中だ。微妙に人間ぽくないバルカン人も全然オーケー。  この映画で一番のハードルであった、メカニック的に取っつきにくい部分が全く解消されたため勇んで観てみると、面白い。スタートレック的な指揮や危機管理の妙といった部分はやや控えめだが、それが逆にわかりやすいスピード感を生んでいる。スタートレック初心者には心地よい味だった。  主要人物は初期シリーズと同一だが、その初期シリーズを覚えていないため全く印象を持たない状態で観ることになる。しかしそういった層をメインターゲットにしているらしくあまりスタートレック然としない、キャラ立ちしすぎない造形でまとめられ各キャラの意志の強さをメインに表現されている点が実に巧かった。旧来のファンにはもしかしたら異様に映るのかもしれないが、良くできた話だったと思う。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-05-08 22:29:25)
156.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 
面白かった。  設定や登場人物の芯の部分はすでにある「時をかける少女」から持ってきたことで、旧作をあまり面白いと思わなかった私には単純なリメイクをしてももの凄くつまらないアニメになると思っていたが、そうではなくかなり楽しむことができた。  設定や人物の基本的なところが共通だが、本作オリジナルのキャラクタや舞台設定や世界の広さが旧作よりも遙かに上手に作られている。旧作と違いマーケティングと印象操作で一人歩きした評価ではなく、どこの国の人が見てもおそらく面白いであろう映画にきちんとまとめ上げられている。  この作品の最大の魅力は、原作の持っていたジュブナイル小説的なキュンとくる味わいをさらにキュンと昇華させてキュンキュンくるお話にある。主人公とその友人の3人の関係のゆっくりと静かに回る時間が、何とも懐かしく切ない感じを思い出させる。本当の高校生活であればあんなに放課後がノンビリしている訳はないのだが、そういう部分も意識させない世界観作りが巧妙だった。  願望と記憶と現実を上手に割り切ってみせるストーリーはアニメ映画ならではの巧さを持っている。萌え要素に頼らない日本のアニメ映画は、何となくレベルが凄く高くなった感がある。特にここ何年かは同年のジブリのアニメよりも面白いんじゃないかと思える作品もある。凄く良いことだと思う。
[地上波(邦画)] 8点(2010-05-04 20:44:47)
157.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
無茶苦茶面白いのだが、残念だ。主人公に実体感がないという部分がこのキャラクターの最大の魅力だった。ところが椿三十郎という思いつきの仮名が、いきなり質量を持ってしまうと疑問を感じずに「あぁコイツは椿三十郎なんだな」っていうのがインプットされてしまう。この名前に意味が発生してしまっていることが残念でならない。  これ自体は物語の面白さや中身に全然影響を与えず、だからひと味足りないとかそういうことにはならないが、用心棒の時のちゃんと名乗らないために発生する「だからおまえは誰なんだよ」っていうミステリアスなような焦れったいような、主人公に感じるモヤッとした違和感を味わうことができなくなったのは何となく惜しいように感じる。  それもあってか、椿三十郎の後に二本松三十郎だの、桜三十郎だのでシリーズ化されなくて良かった。これ以上キャラクタが作品ごとに設定されてしまうと、後の三十郎の影響で「三十郎と名乗った正体不明のお節介な侍」という魅力的なキャラクタがどんどん上書きされて、私の心の中で消えてしまいかねないような気持ちになるに違いない。
[DVD(邦画)] 8点(2010-05-04 00:58:11)
158.  それでもボクはやってない 《ネタバレ》 
面白かった。絵に描いた様なダメ人間風の男だ。その印象が最後まで続く。なぜあのときあんなことしてたのかという様なことや、なぜあのとき疑問にきちんと答えないのかということ、なぜあのときなんな態度をとったのか、なぜあのとき常識的な機転が利かないのか。諸々。  その主人公の造形が秀逸で、巧く話が進んでいく。一方でお話的でない裁判の部分では実にありそうな進み方をしていく。現実的な部分と、居そうなダメ人間という部分がお互いを補って、巧妙にいやな結末を生む。  痴漢冤罪は本当に怖いものであるが、一方で被害者側の安易な行動や自動思考を助長している。根本には刑事裁判において、他先進国と比較したとき供述の整合性を偏重する裁判理論と、科学捜査の軽視という事実認識の欠落が存在する。記憶や類推を事実とは無関係なリアリティを伴った造形物として、それを競う場となって裁判所は機能しているのだろうか。この国はここが怖く、本質的に共産圏のような閉塞感が知られていないことも恐怖だ。  この映画では冤罪の実態と、裁判理論のおかしさに焦点を当てていて、その広さではなく深度において造形のうまさを実現している。また主人公の性格造形においても丁寧なので、人間ドラマが実に面白い。しかしそのために具体的に何がどう変なのか、直すべきところがどこなのか。という部分については受け手が持っている情報量で問題認識と再提起するしかない。つまり、感想が千差万別になってしまう。  そういう意味でより普遍的な社会問題を扱う話としては他者の他作品に譲ることになるのだろうが、フォーカスされている部分の完成度は非常に高く、非常に巧くいっている。
[DVD(邦画)] 8点(2010-04-30 16:09:56)
159.  ゾンビ/ディレクターズカット完全版 《ネタバレ》 
大昔、小学生の時見た最初のゾンビ映画。日本には商用インターネットも無く洗練された恐怖映画もそれほど無かったと思われる時代に、密封されたすでに壊れた世界を見せられた恐怖というのは相当なものだった。  ゆっくりとおそってくるゾンビでさえ、普通の民間人には脅威である。それを武装した警官が場合によっては餌食になるというオープニングで脳みそにインプットされると、一方的な情報としてゾンビ=ヤバいという認識で固まる。あんなゆっくり襲ってくるのになんで対抗できないの?という疑問は徐々に無くなる。うっかりや不意、憐憫などの誰にでもある数秒の隙に彼らは噛んでいるのだ。鍛えられた警官が、引き籠もりがちの男に刺殺された事件があった様に不意は不可避である。  ゾンビを初めて観る人間には、それがゾンビである可能性を認識していない。それは観客も劇中の人間も同じであり、そうした人間しかいない世界では瞬く間にゾンビは広がっていってしまうのだろう、と、小学生の頭の中にはすぐに刻まれたわけだ。もちろん特殊部隊や軍隊が即座に機能すれば事態は収束したかもしれない、けどそれに失敗した世界がこれだ。そのルート進行に痺れた。  物語が始まった時点でもう修正がきかないほど世界が壊れていたりと、1999年を意識させる破滅的な世界にも痺れまくった。この世界観構築は偶然の産物かもしれないが、後の作品がこれを様々なお話でブラッシュアップさせ逸品を作り上げることになるのだからその影響力と遺したものは大変な価値があると思う。  それに、初見の恐怖感を補いながら観ることで、いつ見てもこの映画は怖い。よくできている。
[地上波(吹替)] 8点(2010-04-30 15:05:45)
160.  カールじいさんの空飛ぶ家 《ネタバレ》 
素直に面白かった。  序盤の見せ方は逸品で、これ以上ないくらい巧かった。実写の映画では不可能な味わいを作り出すことに成功しており、日本の絵によるアニメでも難しいのではないかと思う。モデリングで作り出されたキャラが発する説得力は、他の見せ方にはないものを持っている。  物語の作りはこれ以上ないほど丁寧で、入り口に感動的なパートを持ってくることで、子供を連れてきた親が引き込まれる。そのままそこから始まる冒険譚に子供と一緒に入っていくことが出来る。観る人のことをよく考えた優しさが良い。  目のつり上がった東アジア系の太ったあまり利発でない、鈍重な少年というキャラクタを冒険の助手にしたあたりが非常に考えられている。おそらく子供像としても一般的にあまり好かれないキャラクタをわざわざ狙い撃ちで作り上げている。このことでカールじいさんが優しさにあふれる人格を取り戻す様子をきちんと見せることが出来ており、ラストシーンでの泥だらけの少年をスルーする会場の“日常的冷たさ”や、その後のそっと座る親族の女性やじいさんとの優しいやりとりで、やっぱりこの少年に対して親近感を抱けなかった受け手の、本質的な冷たさを反省させる。いい話だ。  日本では寓意を「説教臭い」と言って受け入れない風潮が醸成されているようにも感じるが、そういった受け方が一般化しては他国作品の持つ感性に置いていかれる層が拡大しないかと思ってしまう。 子供連れの客が、自分の子供にこの映画の粗探しをさせる。それでも自分の子供にはわざわざ得意顔で反論など彼らはしない。自分の子供にはいい人を演じるためのダブルバインドだ。 そういう事をする大人がいる世の中が有るとすれば、それは相当に荒れた世界だとは思えないだろうか。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-04-25 16:56:47)
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