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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3877
性別 男性
年齢 53歳

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161.  太陽はひとりぼっち 《ネタバレ》 
部分部分を観ていると、シャレてるな、なんてことを思ったりもするけれど、全体を通してみると、何だか奇妙。 冒頭えんえんと続く別れ話に始まって、モニカ・ヴィッティ演じる主人公、周囲といつもどこか軋轢を起こしているように思えます。それは決して大きなものではなけれど、証券取引所での母親、友人宅での戯れ、いつもなんとなくギクシャクしたものがあって。一方では株価大暴落で絶望に叩き落される人々がいるのに比べると、とても波乱と呼べるようなものではないんですけど、それでもいつも波風を伴い、アラン・ドロンみたいな超色男に言い寄られてなお、はぐらかすような態度をとって物事スムーズには運ばない。 でも結局、最後は何となく収まるところに収まるような感じになり、男女二人は・・・ここで本作には実に驚かされるのですが、主人公のふたり、物語から街のどこかへ消え去ってしまうんですね。まるでカメラが二人を見失ってしまったかのように。 あとに残る、何とも言えない不安感。 あるいは、倦怠感。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-10-14 15:30:26)
162.  博奕打ち 総長賭博
若山富三郎演じる松田の単細胞ぶりが、もう素晴らしくって(笑)。 いや彼に限らず、登場人物みなそれぞれが素朴な信念のもとに行動し、見事なまでにスレ違い、ボタンの掛け違いを繰り返して、物語を織りなしていく。破滅という名の悲劇へ、悲劇という名のパラダイスへと、否応なく突き進み、観始めたらもうやめられません。 各自の行動が次々に皮肉を生み出していく流れは、出来過ぎと言えば出来過ぎで、危ういバランスの上に立っているとも言えるのですが、その流れをしっかりと支えているのはやはり、役者それぞれが持ち味として発揮している、芸、ですね。鶴田浩二しかり、若山富三郎しかり、名和宏しかり。しかし何と言っても桜町弘子ですね、ホント。藤純子は少しワリを食っちゃったかもしれません。それぞれが演技を通じて、自分の信念を体現して見せることで、物語は、単なる図式的なものではない、血肉の通ったものとなりました。金子信雄の独特の顔芸は、さておき・・・。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2018-09-29 16:34:04)
163.  トゥルー・ロマンス
その昔、初めてこの映画を観た際の感想はというと、「出演者にヴァル・キルマーの名前があったけど、一体どこに出てたんだよ!」。 後で配役を調べてみて、え~~~~(笑)と、妙に感心してしまったのでした。 それはともかく、この作品。監督トニー・スコット、脚本タランティーノというのがよくわからん組み合わせですが、たぶん、これで正解だったんだと思います。主人公が映画オタクでしかもその嗜好にまったく一般性が無い、という、要するにタランティーノが自分自身を主人公にして脚本を書いちゃったワケですから、で、しかもその彼にとっての「ロマンス」を描くワケですから、さあ、これをさらに自分で監督してたら、どこまでイッちゃってたことか(というのも興味深くはありますが)。 これを、職人トニー・スコットが手掛けたことで、不思議なバランスが保たれた作品となりました。セリフの掛け合いの面白さを備えつつも過剰というところまでは行かずにほどほどで留められているし、暴力描写もふんだんにあるけれど鼻白んでしまうほどの残酷描写でもないし。どこか都会的で、スタイリッシュ。随所に登場する「煙」が、雰囲気出してます。 で、バランスは取ってるんだけど、やっぱり脇役陣は怪人がズラリと揃えられてるし、破滅的なクライマックスに向けて強引に突き進んでいくし。アブノーマルな魅力も充分。 ラストが書き換えられてタランティーノが機嫌を損ねた、なんて話もあるけれど、「千葉真一」が採用されたこと自体が奇跡みたいなもんだから、まあ、いいじゃないですか。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-09-04 20:45:51)
164.  スチームボーイ STEAM BOY 《ネタバレ》 
あの圧倒的なアニメーションの可能性を我々に見せつけてくれた『AKIRA』でも、「煙」の描写だけは今ひとつ不自由さが残った感じがあったのですが、本作は蒸気機関をテーマに持ってきて、正面からこの「煙」の描写に挑戦しています。半透明でつかみどころの無い蒸気の描写があれば、迫りくる巨大な塊としての蒸気の描写もある。 本作のオハナシはというと、蒸気機関という科学技術を手にした人間たちが、戦争ごっこを始めちゃう、ってなところですが、もちろんこの蒸気機関は、現代における核エネルギーの比喩として捉えることもできるでしょう。しかし本作は、そういう単純な喩え話による文明批判には、決してとどまるものではありません。この上なく緻密な作画とアニメーションによって我々の前に示される、膨大なメカの数々。科学技術がひとつの美学に昇華された姿を、まざまざと見せつけられます。そして、その巨大な科学が崩壊していく、クライマックスの壮大なカタストロフも、イデオロギー云々抜きに、我々の心を強烈に揺さぶるスペクタクルとなっています。 主人公、その父、祖父、という親子三代の科学者が、誰が善で誰が悪ということなく、それぞれの立場を貫いているのも良い。一番自由な立場の主人公が、一番自由に空を飛び交って見せる。 そして、これでもかと続く破壊のアニメーションが、ぴたりと動きを止める、クライマックスでの動から静への転換。感動的ですらあります。
[DVD(邦画)] 9点(2018-08-26 17:16:01)
165.  太陽は光り輝く
さて、すみません『プリースト判事』を未だ観たことが無いので、本作とどう描き分けられているのか気になりつつ、なんですが、とりあえず。 主人公のプリースト判事、何かと言えば薬と称して酒ばかり飲んでる酔いどれジジイ。何かと頑固そう。こんな人に判事を任せてよいのか心配になるけど、何かと憎めない。その彼の姿が、ときに音楽を交えて陽気に語られるのですが、陽気なばかりじゃない。 賑やかなパレードの行列もあれば、寂しい葬儀の行列もある。そしてそれらの行列と対比するように、プリースト判事がひとり、トボトボ歩く場面が描かれたりもする。ラストなんて、わざわざ女性が声をかけようするのをそばにいる男が押しとどめてまで、判事をトボトボ歩み去っていくシーンに仕上げていたり。 判事は頑固そうだけど、要するに誇りをもってる。そして人生、いつも戦ってきた。昔は南北戦争で戦い、今は選挙で戦っている。判事の職だって、お気楽そうに見えなくもないけど(笑)、自分の信じる正義のための戦い。だから、正義に反する理不尽なリンチには、命がけでそれを止めようとする。 そういうのが、枯れた味わいを伴って描かれていて、いいんですよね~。時代は移り変わり、だからこそ、変わらないものへの郷愁があって。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-08-16 11:25:55)
166.  ゼロの未来
ケバケバしい戯画化された未来の管理社会を描いていながら、批判精神みたいなのはあんまり感じられず、そこに不満を感じる人もいるかも知れないけれど、むしろそれが本作の持ち味。なんか、観ててすごく寂しいんです。この世界を、主人公が受け入れてしまっていて、かつ我々も受け入れざるを得ないのが、ね。 主人公は監視されている。だけど正直、何のために監視されているのか、いやそもそも主人公が何をしているのか、よくわからない(というか、どうでもいいのかもしれない)。ただ、一方的に監視されていて、本来我々が「見る」立場であるはずの街角の広告ですら、広告の方が人を追いかけまわして、まるでこちらが「見られている」感じ。で、主人公はと言うと、ただ、VRの世界に沈み込んでいくだけ。絶望と隣り合わせの、それがささやかな幸せ。 この主人公、別にひとりぼっちという訳じゃないんですけど、それがまた妙に孤独を感じさせたりもする。 どうしようもない歯がゆさ。徒労感。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-07-14 04:54:48)
167.  大砂塵
これは「リンチ」の映画ですねー。リンチはコワい、コワいから映画になる。 思えばロメロのゾンビ映画だって突き詰めりゃ、そういう作品の一種なんでしょう、自分とは相いれない連中なんてのはもはや、人間ソックリだけど人間ではない「何か」だという・・・。 映画の中でどえらく貫録を示し、どういう訳だかコスプレを披露しまくるジョーン・クロフォードの存在感、スゴいんです。ジョニー・ギターの正体がスゴ腕ガンマンだろうが何だろうが、彼女の方がよほど強そうで、リンチの矛先を一身に受け止めてみせる。魔女狩りみたいなオハナシですが(酒場の火災など、まさにそんな雰囲気)、何だか、魔女狩りの犠牲者が、実は魔女より強かった、みたいな感じで。 チンピラ役として、ボーグナインと大仁田を足して2で割ったような男(要するにボーグナイン本人なんだけど)が登場し、なかなかいい「ヤラレっぷり」を見せてくれます。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-04-27 03:18:27)
168.  ドクトル・ジバゴ(1965) 《ネタバレ》 
この映画、完成度ということについてはよくわかんなくって、何だか繋がりが悪い感じがあるんですけどね。主人公の弟の独白が(冒頭シーンを無理やり思い出させるように)入るのも奇妙だし、映画後半になると波乱万丈の物語がさらにバラバラな感じになってきて、パルチザンに誘拐されるあたりなどちょっと唐突な印象。 この広いロシアで、妙に易々と「再会」が繰り返されるのも、変と言えば変。 それでもやっぱり、タマラないんだなあ、この作品。 ロシアの広大で厳しい大地の圧倒的な映像と、人間の個性を圧殺する共産主義体制の台頭を前にして、人間の存在がいかにちっぽけなものか。主人公はヒーローでも何でもない、やや寡黙ですらあるフツーの男、妻子を愛しつつ、浮気なんかもして、しまいにゃあっけなく、実にあっけなく頓死してしまう。 ホントに容赦なく「ちっぽけ」なんですけどね、それでもどっこい、生きている。 無表情なアレック・ギネスが示す、微かな笑み。 本作のラスト、これほど静かで、これほど力強いも、なかなかありません。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-04-08 10:34:42)
169.  冷たい雨に撃て、約束の銃弾を 《ネタバレ》 
これは面白い。どうしてこういうオナハシを思いつくんでしょうねえ。 いきなり殺人事件があって、子供と孫を殺されたオジサンの復讐劇なんだろうな、と思ってたら実際そうなんですが、オジサンが3人のヒットマンを雇うことで、彼らとの交流が物語の新たな一面となり、作品が異なる色調を帯びてきます。オジサンが作った料理を4人で食べるシーンが、その新たな色調を印象付けますが、それと同時にオジサンのワケありな過去が示されるシーンでもあります。 そんでもって、いよいよ復讐の時。これまたバーベキューという食事のシーンとなるのですが、気分的にも状況的にも、先の食事シーンのようにはいかない。 それでまあ、普通ならこの復讐シーンが物語のゴールなんだろうけれど、本作ではゴールどころか、ここで掟破りともいうべきとんでもない設定が新たに加わってくる。なんとオジサンは過去の記憶を失いつつあるらしい・・・。 となると、映画の主体はヒットマンの方に移ってくる。彼らもまたのっぴきならない立場となっている。そして彼らが繰り広げる、壮絶なクライマックス。なるほど、このシーンを撮りたいが故に、このゴミの山を舞台にしていたのか。 と、ここで終わってもよさそうなところ、さらに物語は続く。記憶をなくしたオジサンの復讐劇。それはもはや、怒りにも何にも裏打ちされていない、まさに復讐遂行マシンと化したオジサンが繰り広げる、何にもまして危うい復讐劇なんですね。 こんな復讐劇、見たコトない。新鮮で、鮮烈で、それゆえに、やけにスリリング。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-03-27 23:44:23)
170.  ゴースト・ハンターズ
孤高のB級映画職人ジョン・カーペンター。誰も止めなきゃ、こういう映画を作っちゃう。 もーー本当におバカ。 泣く泣くこんなパクリ邦題をひねり出した人の苦労がしのばれます。 何が何でどうなっているのやら、例えば、どうしてムキムキカンフー男が突然膨らみ始めなければならないのか。説明不能、何でもありあり、ハチャメチャです。 誘拐された女性を救出しにいくオハナシなのに、「オレはトラックを取り戻すんだ」などと息巻いているトラック野郎、カート・ラッセルの漢気にシビれるべし。
[CS・衛星(吹替)] 9点(2018-03-09 20:00:32)
171.  何がジェーンに起ったか?
「二大女優競演!」ともなると、此処までやらにゃいかんのだ、という悪しき前例を作ってしまった映画、とも思えるのですが、もうとにかくこれが、コワくてイヤらしくてエゲツないんです。 ベティ・デイヴィスの特殊メイク顔(??)も十分にコワいんですけど、物事の裏側を浮き彫りにして不穏な空気を演出するローアングルのカメラが、これまたコワくてイヤらしくてエゲツない。 ラスト、どこまで引っ張るのだろうと思っていると、「かつて何がジェーンに起きたのか」「そして今ジェーンに何が起きているのか」というところに繋がって行って、実は意味深なタイトルであったのだなあ、と。 それにしても、残酷描写に頼らなくったってこれだけ怖い映画を作ることはできるのであって、昨今の映画は残酷描写に頼り過ぎなのでは、とも思えてくるのですが、これもまあ、時代の流れというか、いったんソチラに踏み込んでしまうと簡単には戻れない訳で、致し方ない面もあるのかなあ、などと思いつつ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-11-21 08:20:44)(良:1票)
172.  シャロンの屠殺者
冒頭、「三人組」が登場して、さらにこの「三人組」と先住民と騎兵隊、という三つ巴の関係がある。さらには、「三人組」のひとりである主人公が大佐の妻に手を出して三角関係が展開されて。 それがどうした、と言われればそうなんだけど、これらの「三」の関係が物語を支えるモチーフになってて、こういう統一感があるかないかで、納得感も大きく変わってくるもんです。先住民との戦い、上官との対立、許されぬ恋、こういった要素が見事にまとめられ、どこか運命的なものも感じさせる。物語は最後、それなりに収まるところに収まるかも知れないけれど、その一方で冒頭の「三人組」はバラバラの運命を辿っていく、というところに、一筋縄でいかないものがあります。 そんでもって、クライマックスの戦闘シーンのスゴいこと。砦の門ごしに見える激しい戦い、立体感を伴った迫力が漲っています。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-11-19 08:04:43)
173.  トランス・ミッション
デンマーク産の安そうな映画ですが、これがまた、何だかやけに面白い。世の中、どこにアタリが潜んでいるか、わからんもんです。 ストリップのバイトをしてる娘のもとに、親父から届いた郵便物。封を切ってみると中には、名画「黒い聖母」が。親父の一味が盗み出した上、仲間を裏切り親父はトンズラ、絵の隠し場所として娘のところに送ってきたらしい。一方、親父はマフィアにとっ捕まり、絵画を渡すことを要求される。かくして、マフィアのもとに絵を運ぶ娘、なぜかそれについてきてしまう休職刑事の珍道中が始まる。絵を取り戻そうと彼らを追いかける親父の元仲間に、さらにはマフィアが送り出す刺客も現れて。 何と言っても、主人公であるこの娘、無鉄砲で飄々としているのがいいんですね。突拍子もない行動を繰り返し、映画の辻褄なんて何のその。彼女が物語をハチャメチャにかき回せば、あり得ないような事も平気で起こり、同行する刑事も我々も、振り回され続ける、この楽しさ。 ちゃんとハラハラさせてくれて、でもあくまで陽気にブッ飛んでる。登場人物それぞれが個性的で魅力的。ラストのオチも気が利いてて、大いに楽しませていただきました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-11-18 08:47:12)
174.  イースター・パレード
冒頭からアステアのダンス。粋なんです。もうホント、ダンスがそのまんま服着て歩いているかのような。ここでは小道具が活きていて、それと同時に、アステアは予想もつかない動きを次々に繰り出す。ホント、瞬きしてる暇もありません。 アステアが活きなら、ジュディ・ガーランドはなんともかわいらしくって。ん?このころの彼女って、私生活は結構ヤバい状態なんでしたっけ? でもそんなことは微塵も感じさせません。なんとも魅力的。 印象的なのが、アステアのダンスのスローモーション。バックダンサーの通常スピードのダンスを背景に、アステアだけがスローモーションの動きを見せる。背景が非現実で、そこに現実が重ねられる、という合成映像ならともかく、その逆パターンなもんで、とにかく印象的。しかもアステアのダンスは、スロー映像にも耐える素晴らしさ。 物語は、他愛のない三角関係モドキですけど、そこにしっかりとダンスシーンを絡めて、実に楽しく仕上げてます、ああまさにこれは、アクション映画。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-08-08 21:41:30)(良:1票)
175.  ミニー&モスコウィッツ
佐藤蛾次郎をヒョロっとした感じの男と、ジーナ・ローランズ顔の(要するにコワイ顔の)女の、冴えない恋愛。正直、大した事件らしいものも起こらず、そんな映画面白いのかよ~と言われそうなんですが、これが妙に面白い。事件が起こらないどころか、即興的に捉えられたカメラの中では、常に何かの細かい事件が起こり続けている、という印象。構図をしっかり決めてカメラを回せば、そこには思わぬ揺らぎが常に生成され続ける。 例えばこの映画では、クローズアップはむしろ、被写体である登場人物の姿を、カメラから「はみ出させる」ためにこそ、用いられているようにも思われて。そう、この、あふれ出す感じ。 きちんと計算された作りの映画を観るのも気持ちがいいけど、なるほどこういう自由があっても、いいんだなあ。実際、ここで描かれているのは、まるでヤケクソのような悲痛な「自由」だから。ラストの無理やりなハッピーエンドを見ると、かえって何とも切ない気持ちになるのです。たぶんこれは、実際には我々が決して手にし得なかった過去形の「幸せ」だから。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-05-31 22:50:30)
176.  アパッチ砦
優等生顔のヘンリー・フォンダが映画の中でヒドい目に合うと、大抵、なんだか溜飲が下がる気持ちになったりするもんで、そういう意味で貴重な俳優さんだと思っているのです。本作でもしっかりラストでヒドい目にあってくれるのですが、本作の場合にはどうにもやり切れなさ、虚しさが残ります。どっちかというと、ここでは超堅物の憎まれ役で、特にアパッチ族との間を取り持とうとするジョン・ウェインの存在により、ますます、困った頑固オヤジぶりが際立ちます(ジョン・ウェインが優等生役でも不思議と憎たらしくは感じませんね。似合わないけど)。 むしろ、中盤のユーモアやロマンスによって、物語に大きな幅を持たせていることで、ヘンリー・フォンダ演じる中佐の存在もうまく物語に包み込んでおります。そして、彼の言動が、単にエキセントリックなものではなく、何か、自らの弱さに裏打ちされた強がり、とでもいうようなものを感じさせるが故に、ラストの悲劇が、ああ、何とかならなかったものか、という虚しさを伴って、心に響いてくる。ま、自業自得と言えばそうなんだけど、それでもなお彼の悲劇を悼むような、このラスト。 これ、ニューシネマの先駆けとか言っちゃあ、ダメですか。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-05-16 22:58:27)
177.  ワイルド・アパッチ
西部劇の時代なのに、野球の場面でピッチャーがアンダースローで投げてなかったり、カーブを投げてたり。ってのがちょっと気になったのですが、調べてみると、なるほどコレ、時代的には別に、おかしな話ではないみたい。 ってのはどうでもよくって、それにしてもこの映画、面白い。自分が中高生の時にワクワクしながら映画観てた、あのワクワク感を思い出させる面白さで、ちょっと感激してしまいました。アパッチ族の一部が保留地から逃走、略奪や殺戮を繰り返す。で、その討伐のために騎兵隊が向かうのだけど、この敵であるところのアパッチ族一味が、とにかく強くてとにかうコワい。彼らが凄まじい虐殺を行うには、彼らなりの理屈や論理らしきものがあって、しかしそれは「こちら側の人間」には何らの共感を覚えることができないもので、従って到底理解できないもの(そういや、sympathyの字幕の翻訳が「同情」になってたように思ったけど、この場合はちょっと変では?)。この素晴らしく得体の知れない相手との死闘、いやもう、コレですよコレ。 悪意のない虐殺、悪意すらもない虐殺、という、その怖さ。その怖さに立ち向かう人々の姿。ああ、そうか、だからパニック映画って、あんなに面白かったんだ。 騎兵隊の追跡に協力する「訳知り」風のオッサンに、バート・ランカスター。さらにアパッチ族の若者も協力者として同行しており、この二人がいわば、騎兵隊と敵のアパッチ族の一味との間に位置している。ま、この味方の二人でさえこんなに不愛想でとっつきにくいんだから、敵はもっと得体が知れん訳ですな。 で、単純に「敵=悪」という勧善懲悪の物語ではなくって、悪意のない敵に対し、恐怖と怒りから、むしろ騎兵隊の中にこそ敵に対するドス黒い「悪意」が芽生えかけてくる、こういう皮肉もまた、本作の怖いところ。 そしてあとは、いかにしてこの恐るべき敵に、いや恐怖そのものに、立ち向かっていくか。その戦いがこれでもかと描かれる。ハラハラしワクワクすることこの上なし。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-05-14 23:10:45)
178.  座頭市物語
居合いの達人だと言われる座頭市、「見世物じゃねえや」とつぶやきつつノラリクラリとかわして、なかなかその凄腕を披露しない。披露しなければしないほど我々の期待も高まり、この後でしょぼい居合いシーンなんか見せられたら承知しないぞ、という気分になってくる、そんな中で、勝新がついに見せる、息を呑む早業。あらゆる期待をさらに上回っていて、もうこの時点でシリーズ化決定でしょう(笑)。 座頭市の盲目の眼の向こうにある彼の内面を、我々は決して推しはかることができない。ただその謎めいた横顔から滲み出る、かなーり胡散臭いヒロイズムに、我々は惹かれるんですな。病でこの先いくばくも無いであろう剣豪・天知茂も魅力的で、かつ彼の存在が、座頭市の謎の人物像の側面にスポットライトを当ててみせる。 クライマックスは、敵対する二つの組の間の一大抗争に発展。スピーディな展開がここに極まって、大いに盛り上がるのですが、同時にそれは、できれば避けたかったが決して避けられぬ、天知茂との対決の時でもある訳で。ここまでのゴタゴタをすべて超越した、神秘的ですらある、対決なんですね。ああ、シビレるシビレる、シビレまくり。ここに至り、ついに、あの座頭市からも一瞬、その内面があふれ出すのです。 映画中盤、夜の場面ではきっとそこに炎があり、その揺らめきや、光源の移動が、事細かに描写されたりして。大映らしいロケ撮影もあわせて、いい雰囲気を作ってます。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2017-05-01 11:03:22)
179.  砂漠の流れ者
愛すべきポンコツ親父の周りには、やはりポンコツな面々が集う。どうにも困った生臭坊主に、三流っぽいけど愛嬌あふれる娼婦。 砂漠を彷徨った挙句に水を掘り当てた薄汚い主人公が、駅馬車相手の薄汚い休憩所を作って商売を始める、っていう、一見何とも素朴なオハナシですが、味わい深くって観始めたらやめられない。それに、これだけ立派に薄汚いと、もはやこれは一種の「哲学」でありましょう。 たかが水だけど、それなくして砂漠に置き去りにされれば死を意味するし、またそれを砂漠の真ん中で見つければ、そこにはひとつの社会が生まれ、ひとつの小宇宙が生まれる。となれば、ラストでは水が枯れてしまって物語が終わるんじゃないか、なんて心配もしてしまうのですが、さにあらず。決してそんな短期的な視点の物語ではなく、もっとゆったりと、大きな流れを感じさせるラストで、いや、さすが。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-04-22 16:25:54)
180.  ビバリーヒルズ・コップ3
3作目に至って、監督がジョン・ランディス、ってのがもうすでに投げやりな感じがしてしまうのですが、そして実際、評判も芳しくないようなのですが、すみません、ワタシは好きなんですコレ。バカバカしくって可笑しくって。 もはや3作目ですから、「デトロイト⇔ビバリーヒルズ」というカルチャーギャップネタを今更やる訳にいかず、結局、アクセルとローズウッド君をとりあえず登場させてはいるものの、あまりビバリーヒルズコップシリーズである必然性もなくなってます。そもそも、今までのシリーズだと、アクセル刑事が口八丁手八丁、いつもテキトーな事ばかり言って強引に何でもやり遂げてしまう、ってのが定番のパターンだったのに、本作では、ワンダーワールドに入り込もうとしてついた嘘がいきなり見抜かれ、入場料を払わされる羽目に。この辺りは、「本作は、過去のシリーズ通りの路線ではありません」という宣言のようなもの。宣言しちゃたもんの勝ち、あとはもう、遊園地ならではの、バカバカしいギャグとアッと驚くアクションを連発し、楽しいったらありゃしない。バカばっかりやってるようで、種をまいておいたいくつもの伏線をチャッカリと刈り取って見せるのも、気持ちいい。 カメオ出演も大層、豪華ですが、そのうち一人(役名:がっかりした男)は、誰もがよ~く顔を知っている、まさかまさかのアノ人。いったい、何考えてるんですかね、あはは。 という訳で、1,2作目も好きですけれども、変化球のこの第3作が、一番好きだったりするのでした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-04-09 20:05:26)(良:1票)
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