161. オデッセイ<TVM>(1997)
ギリシャ神話の有名な叙事詩の再現。所々変更箇所はあるけど、比較的原典に忠実ではないかと思います。読んでて個人的にイメージしにくかったのが「スキュラとカリュブデスの岩」。スキュラは大王烏賊(SQUID)の語源ということで何となく想像できるけど、大渦を生み出すカリュブデスって何?…と思っていたので、この映画のイメージ像は何となく腑に落ちました。セイレーンが出て来ないのは残念。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-25 12:26:45) |
162. コラテラル
「10ミニッツオールダー」を見た後だったので、冒頭だけで「一編の映画だ…」と感心ました。最後にああ繋がって来るとは。黒人なのにジャズに全然興味の無い主人公の造形も面白い。淡々としつつ語り口の旨さで最後まで心地よく鑑賞できました。 ただ「隣人が死んでも気付かれない街(LA)は嫌い」と「地球上の砂粒が一つ二つ消えても問題ない」という考え方に整合性はあるのだろうか?とも思いましたが。 [DVD(字幕)] 8点(2005-08-28 23:46:22) |
163. ヴィレッジ(2004)
《ネタバレ》 全体的に良くできた話だと思います。絵的にも「ジェボーダン」よりずっとイイ。ただ、ああいう伝統的な環境が10数年(?)やそこらで作り上げられるものなんだろうか?という辺りに違和感を持ちました。 [DVD(字幕)] 6点(2005-08-28 23:17:05) |
164. 聖なる狂気
原生林を舞台に女性を巡って野生児とカルト宗教の嬰児が対峙する…この監督、相変わらず説明不足な感じですが、独特の映像センスはかなり好きです。最後はハリウッドのモンスター映画風の展開になっていしまい、全体的にちぐはぐな印象になってしまったのが残念。 それにしても前作に比べてなんという適当な邦題だろうか。 [地上波(字幕)] 7点(2005-08-28 23:07:24) |
165. 怪談新耳袋 劇場版
原作は「なんか不思議」というあっさり感がイイので、ストーリに凝り過ぎてしまうとかえって味を損ねてしまう気がします。そういう意味で最後の話は雰囲気ぶち壊しという感じ。怪談で社会問題提起されても困る。後は程々によかったけどTV版の方が好きかな… [DVD(吹替)] 6点(2005-08-28 22:43:20) |
166. 悪魔のいけにえ2
なぜブレーキかけない?なぜ警察が張り込んでない?なぜ銃器用意してない? …残虐さよりもツッコミすぎて気分が悪くなりました。地獄の遊園地のセットは迷路みたいで良かったです。 [DVD(字幕)] 5点(2005-08-28 22:32:12) |
167. 10ミニッツ・オールダー イデアの森
「メビウス」に比べると「10分」という概念に囚われすぎて、やや頭でっかちになってしまったのでは…という印象。ラドフォード監督のSFが良かったです。相対性理論の説明で子供の科学雑誌とかによくあるネタながら、これを真正面から扱ったものを初めて観ました。 [DVD(吹替)] 6点(2005-08-28 22:19:37) |
168. 10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス
小説にも「珠玉の短編集」というのがある位だから、確かに映画にこういうのがあってもイイかも。エリセ監督の映像がこんなに美しいものだったとは。「ミツバチ」もう一回見てみようかなという気になりました。ヘルツォーク監督は「プログレと言って当たらずとも遠からず」って相変わらずの感じ、3つ目にこの絵があるのは大変イイです。ノリがよくお話として綺麗に纏まっているヴェンダース監督のが一番好きです。 [DVD(字幕)] 8点(2005-08-28 22:04:55) |
169. THX-1138
《ネタバレ》 全体主義SFといい、白い近未来像といい、いかにも70年代で古い事この上ないですが、気にならず堪能できたのが意外。細部にも神経配らせて丁寧に創り上げられた物は、いつ観ても鑑賞に堪えうるもの何なんだなぁ…と思いました。アート性と娯楽性のバランスが絶妙。白基調の世界から一転して赤い大夕焼けへの変換は「ブレードランナー(完全版)」ラストの森林滑空に匹敵する位に好きです。 関係ないですが漫画「BLAME!」は「ブレラン」よりこちらに多く影響を受けてる感じですね。 [DVD(字幕)] 9点(2005-06-12 01:13:16) |
170. エイリアンズ(1980)
エイリアンシリ-ズとは無関係のイタリア製ホラー。(原題についてハリウッドと何かトラブルは無かったのか。) C級もいい所ですが低予算なりの工夫が感じられる所も。様々な思惑が絡んでストーリーが無茶苦茶になってしまった本家シリーズ後半より、ある意味シンプルでいいかも。 [映画館(字幕)] 6点(2005-06-12 00:44:16) |
171. マッハ!!!!!!!!
《ネタバレ》 最初の木登り競争シーンからして魅かれました。見慣れたカンフーアクションとはやや違った動きとスピード感が新鮮。CGもワイヤーも無しというのはやはり凄い。粗く騒々しいイメージの香港とは違い、伝統国家タイならではのしっとりとした感じもイイです。伝統音楽を活かしたBGMも良。香港映画を意識し過ぎたのか、もう少し違う持っていき方があったのでは…という所が個人的に残念でした。 …ところでラストシーンは葬式でなく、助かった後出家する所であってハッピーエンドでは? [DVD(字幕)] 8点(2005-06-12 00:13:07) |
172. ウエストワールド
確かに「ターミネーター」の元ネタという感じですね。ユルブリンナーの演技はシュワルツネッガーとはまた違った怖さがあってイイです。 さすがに今見るとしょぼく見えるのは否めませんが、逆に70年代SFサスペンス特有の「気怠い緊迫感」が、何ともいえない味になっていて個人的に好きです。 [DVD(字幕)] 7点(2005-04-03 11:13:14) |
173. けんかえれじい
バンカラもの、番長ものは好きな方ですが、いまひとつ入り込めませんでした。旧制中学の喧嘩に鎌・鋤・鍬は無いと思います。これだと一戦交えただけで死者が出てしまうのでは。旧制中学といえばある程度の家庭の子弟が通っているはずで、しかも戦前ですから、「親に金を出してもらっている以上は、ここまではできない」というような暗黙の境界・ルールがあったと思います。 また対立相手があまりに悪役じみているというか、批判し易く描かれている事も物足りない。この手のものの醍醐味は、一見甲乙付け難い生きざまの者同士が、ある程度の説得性を持って雌雄を決する所にあると思うので。 この微妙な違和感は「戦後」の(或いはキリスト教的な?)やや偏ったフィルターを通して、「戦前」を描いている所からくるのかな?と思ったりしました。 [DVD(字幕)] 6点(2005-04-03 04:00:30) |
174. キル・ビル Vol.2
最近のアクション映画は、前半は派手なシーンの見せ場満載で、中盤以降ちょっとダレる…というパターン多いですが、Vol.2はまさにその中盤以降をわざわざ一本の映画にしてしまったという感じ。シブいといえばシブいですが、Vol.1のような派手派手しさやケレン味が少ないので、陰惨な部分が強調されすぎて、爽快感が味わえなかったのが残念です。 あのオチにしても、娘の立場からするとあれで良かったのかどうか疑問に思いました。 [DVD(字幕)] 6点(2005-04-03 03:10:13) |
175. バーバー吉野
自分の子供時代は、丸坊主であろうが、オカッパであろうが、カッコイイと認められる基準は別にあったような気がします。この違和感は、女性が撮ったものかな…と思ってクレジットを見ていたら、やはりそうでした。 それにしても祭りの日に神社の前でザビエルカットで賛美歌歌うのが100年以上続くなんて、伊豆は隠れキリシタンの里ですか? こんな「伝統」や「しきたり」が日本のどこにあるんでしょうか… 伝統云々ではなく、単に吉野刈りしかできない床屋と子供達の戦い、とした方が面白かったと思います。伝統に対しての理解が浅いままでそれを風刺したつもりでも、今時説得力に乏しく、映画に安直なイメージを与えてしまうだけな気がします。風景や雰囲気はかなり良かったので残念でした。 [DVD(字幕)] 6点(2005-04-03 02:41:50) |
176. ハンテッド(2003)
《ネタバレ》 中盤からラストまで延々と続く追いかけっこが良かった。郊外の住宅地→都会の雑踏→地下道→公園→高架電車→橋脚→河→峡谷の瀑布…いつ終わるともなしに追跡シーンが延々と続く。このまま最初の原生林まで行くのかと思ったら、途中で終わってしまって残念。こんなに正確に追って行けるものだろうか…と思ってしまうので、足跡を分析して追跡するトラッカー(?)という専門職について、もうすこし解りやすく説明しても良かった気もします。演出・脚本にもう一つ何か足りない感じが惜しい。ローケーションが心地よいので個人的には結構好きです。 7点(2005-02-15 00:48:38) |
177. デッドコースター
悪霊の仕業なのか、純粋な物理的帰結なのか、ともかくも「人智を越えた」としか言いようの無い恐怖の発明が見事。結果がわかっているのにこれだけハラハラさせるというのも新鮮。後から1も見ましたが、1のように水がひとりでに引いていったり、電線が怪物のように襲ってきたりするような人為的な演出がない分、こちらの方が「得体の知れなさ」度もUPしているようでイイです。結末はちょっと苦しいかも。 8点(2005-02-15 00:41:24) |
178. ミーン・マシーン
あまりお目にかかれない欧州サッカーものなので期待してたんですが…どうも演出・脚本が大味、というか適当な感じで、個人的にいま一つでした。この手の物に良作が少ないのは、実際のサッカーがあまりにドラマティックで、あえてフィクション作ろうという人少ないのかな… 5点(2005-02-15 00:36:13) |
179. ジェヴォーダンの獣
《ネタバレ》 一応テーマとなっている「啓蒙主義批判」は解らない事もないですが、徹底的に消化不良という感じです。娯楽性だけ見ても中途半端。もっと実在のアフリカの動物を連想させるものであれば良かったのに。個人的にカンフーアクションは要らないと思いました。美術、映像がやたらと重厚で凝ってるだけに、中身のチープさが際立っていて、何だか勿体ない。 5点(2005-01-10 14:13:04) |
180. ぼくは怖くない
《ネタバレ》 どこまでも続く青空。広大な麦畑。廃屋。子供達の秘密基地。こういうのはかなり好きです。あれだけ家族を愛する事を知る親父が誘拐犯…というのは何だか違和感ありましたが、ミラノの(つまり都会の)ゴロツキに純朴な村人がたぶらかされていた…という図式なんでしょう。最後に親父も以前の心を取り戻せて良かったという感じ。少年のピュアな勇気にも感動しましたが、ちょっと違う視点で、警察(公安?)はやはり頼りになるなぁというのも実感できます。特にこういう子供にとって警察はヒーローのようなものなんでしょうね。 音楽も「叙情的なスティーブライヒ」といった感のシンプルな音楽が、美しい情景にぴったりマッチしていてイイ。イタリアンニューウェーブとして注目されてるそうですね。 8点(2005-01-10 13:37:46) |