161. パラサイト 半地下の家族
《ネタバレ》 ブラックユーモア全開で引き込まれますね。中盤からは一気に怒涛の展開でした。 でも殺人やらで視聴年齢制限がかかるぐらいバイオレントな描写のはちょっと。作品がアカデミー賞作品賞を受賞したのは意外。たしかに配役や演出は優れているかもしれないけど、一歩間違えたらB級映画になりかねない展開すら感じました。ここでの評価点が上がらないのも、天下の受賞作として疑問が残ります。いまや韓国のみならず、米国の分断がひどすぎるから共感を呼んだのでしょうかね。 個人的に印象に残ったのは、家政婦さんが豹変するシーンと、主人公が重い石を持って地下室へ行くシーン。ちょっと意図がよく分かりませんでしたが、メタファーになっているんでしょう。なかなか深い映画でした。 [地上波(吹替)] 5点(2021-01-19 21:14:03) |
162. ホタル(2001)
《ネタバレ》 何だか薄っぺらいんだよね、セリフが。雰囲気は悪くないし、健さんと田中裕子という組み合わせだけで幸せなはずなんだが。 いろいろ詰め込みすぎて分かりづらいし、特攻隊っていうだけで感情の起伏を強要している感じがする。 っていうか田中裕子はこのとき40代半ばでしょ。健さんと釣り合いをとろうとしたんだろうけど、老けメイクまでしてこんな暗い映画に出させるべきじゃないと思う。 タンチョウの舞のシーンだけは評価する。よく健さんサイドがOKを出したもんだ。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2021-01-09 18:50:11) |
163. 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007)
《ネタバレ》 久々に見るのが苦痛な映画だった。 下の方も書いているけれど、マザコンの息子と共依存の母親の話で、まったくもってつまらない、長い、下らない。 オダギリジョーや樹木希林もこんな役回りをさせられて、さぞ迷惑だったことだろう。 最後の終わりかたまで気に入らない。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2021-01-05 20:43:35) |
164. 風の谷のナウシカ
子供のときからテレビでよくやっているのを見ていた。「蟲がデカイ、グロい、気持ち悪い」「ユパさまや主人公が強すぎる&かっこよすぎる」「巨神兵もグロい」「飛び飛びのストーリーで理解不能??」などなど。子供らしい単純な感想しかなかった。 大人になってから見ると、頭抜けてセリフや名場面が多いことがわかる。ジブリの最高作品という人がおおいのもうなずける。 個人的には最初のほうのエピソードはすごく好きだが、トルメキア軍の攻撃シーンからは破壊や暴力や混沌ばかりで見ていて落ち着かない。 何度見ていても展開が早すぎてついていけないのもあり、やはり原作のマンガを読まないと壮大な世界観を理解するのは難しいようだ。 (2020年12月更新) [地上波(邦画)] 7点(2020-12-26 19:42:39) |
165. ボディガード(1992)
《ネタバレ》 あれれ、これコメントしてなかったんか。かなり有名な作品やのに。 全体的な雰囲気が落ち着いていて好みなのだが、いかんせん主人公とレイチェルの恋愛が違和感を感じてしまってダメ。 船の爆破シーンとか、サスペンスも頑張ってはいるんだけど、カタルシスを感じるまではいかないという点でいろいろ惜しい。 ともあれ、90年代を席巻した大スターの魅力が詰まっているので、一度は見ておいて損はないかもね。 [映画館(字幕)] 6点(2020-11-02 17:02:36) |
166. グリーン・カード
《ネタバレ》 ふだんは冒頭のうるさいドラムシーンで観る気をなくしてしまうのだが、いちばん好きな映画「恋はデジャヴ」のヒロインAndyが出てるので見てみた。前者ではとても魅力的な理想の女性であるのに対して、この映画ではなかなか等身大のイヤな女性を演じていて、すこし安心した。フィルの名前が出てくるところとか、この作品をどこまで意識していたのかは分からないけど。 ストーリーはいささか凡庸で、ラストの展開が強引で唐突な印象を受ける。よりを戻していたとしても、この二人では衝突が絶えない家庭になるだろう。 特筆すべきは、温室や公園などの緑が多用されていること、フランス男の繊細な内面がうまく描かれているところで、雰囲気は悪くない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-10-14 09:46:44) |
167. 山桜
《ネタバレ》 まず田中麗奈にはこんな役は似合わない。時代劇慣れしているのか、着物や所作は完璧だけど、もっと元気なイメージ。 全体的には最後だけうまくまとめた感じで、途中ぐだぐだと長すぎる。 こういう映画の、良い人礼賛の功罪はいまに始まったことではないけれど、実家や富司純子が良い家庭で、嫁ぎ先が極悪姑とか、はっきりしすぎ。んで、愚痴も言わず真面目にやっていれば、こんな良いことがありますよ〜と言いたいんだろう。それにしちゃ、登場人物の描き方が浅いよね。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2020-10-09 17:45:59) |
168. 探偵物語(1983)
何なんだ、この脚本は。ところどころブツ切れシーンもあり、いまいちストーリーに入りきれなかった。 結局薬師丸ひろ子のアイドルアピールがメインだったのではなかろうか。松田優作も「ブラックレイン」を見過ぎたせいか、ドジ男には向いていない。 ラストシーン(!?)でマイナス一点。はっきりせんかい。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2020-09-17 19:32:53) |
169. 12人の優しい日本人
思ったより面白かった。日本が陪審制度を導入したらこんな風になるんだというのがよく分かる。最後までおどおどして自分の意見を言わない人とかありがち。やはり日本人には、陪審員制度より裁判員制度のほうが合っているのがよく分かる。 二転三転するストーリーもよく出来ていて面白い。 (2020年9月再鑑賞。7点→8点へアップ。) やはり面白い。改めてみると、ものすごくよく出来た脚本なのが分かる。それを演じる俳優さんたちの演技も、演技と感じられないほどの出来栄え。こういうのってすごく難しいことなんだけど、この作品では見事にこなしていて素晴らしい。 各キャラクターはいささか誇張されすぎているが、日本人の特徴をよくぞ描いており感心させられる。人の意見を聞く→自分の意見を言う→妥協点を見出して解決に導くという大事な、しかし当たり前の訓練を、学校や社会で学んでこなかったツケの象徴のような人々が出てくる。対話拒否やらメンツやらでぐちゃぐちゃになってしまうところを、奇跡的にうまくまとめている。しかも笑えるコメディー要素もふんだんに出てくる。傑作。 [地上波(邦画)] 8点(2020-09-13 17:47:26) |
170. ぼくらの七日間戦争(1988)
《ネタバレ》 リアルタイムで見たときは、この学校ほどではないですが上からの管理が厳しい時代で、この映画を見て「いいぞー、やれー、ザマミロ」なんて思っていました(悪いやっちゃ)。 さすがに今見ると大人の視点だったりして、こんクソ餓鬼たちどもーなんて思ってしまいますが、この映画は中学生の視点に戻って見るべき映画ということでしょう。 出来自体も今となってはベタですが、TMNの音楽が上手くマッチしている点と、まだスレていない宮沢りえの魅力がこの映画を引きたてています。 最後に、お父さん、息子がとんでもないことをやらかしたのに、花火を見て「ケンジのやつ、なかなかやるな」じゃないでしょ(笑)。 (2020.8再鑑賞。7点→8点へアップ。) この作品が作られたころは、日本がバブル期でも学校内暴力やいきすぎた管理教育がはびこっていた時代で、この映画を見て溜飲を下げた人も多いんじゃないか。出てくる教師がそろってクズ教師ときており、「殺せ〜!」の校長をはじめ佐野史郎の冷たい目とかいちいち味がある。あ、賀来千香子先生は別ね笑。 ともかく、ほとんど説明なしで男子生徒たちによる立て籠り事件がはじまり、そこへ女子生徒3人が自然と加わる流れが良い。ほとんど和製集団ホームアローン状態で、戦車が出ようが花火が上がろうがファンタジーだから良いのだ。テンポよくどんどん展開が進んでいくなかで、考えだされたセリフたちが生き生きしている。 TMNの音楽の好き嫌いによっても評価は分かれると思う。内容は7点だが、音楽性の良さとオッサンの味わいで8点献上。 [ビデオ(邦画)] 8点(2020-08-25 22:57:57)(良:1票) |
171. コクリコ坂から
《ネタバレ》 優等生のふたりがくっつく王道ものかと思いきや、なんの説明もなく進んでいくストーリーに何とかついていく。 なぜ主人公の名前が「メル」なのか、意味深なおばあちゃんは何者なのか? その背景が描かれないから、最後までスッキリしない。 東京オリンピックのころが舞台というけど、どんな世代をターゲットにしているのかまったく不明。 主人公のふたりは良いとして、下宿屋のメンバーが底が浅いのが問題。ジブリ枠で何とか収めましたって感じ。 総合的にみて点数は高めにしたけど、一度観たからもう二度と見ない。そんな映画。 [地上波(邦画)] 5点(2020-08-22 19:26:04) |
172. MARCO 母をたずねて三千里
《ネタバレ》 TVシリーズを見ていないので、端折られたところがよく分からなかった。 母親が元気なのか病気なのか、どうして手紙が届かないのか?などと消化不良で進んでいくところが残念。 たぶん題材は素晴らしいんだろうけど、強引に90分にまとめてしまった感あり。 マルコの意思や行動力は抜きん出ているが、実際問題艱難辛苦を招いたのは自分自身の軽率な単独行動によるところが大きいのであって、どうにも醒めてみてしまう自分がいた。 途中イタリア人が団結して歌を歌うとか、良いシーンもたくさんある。 6点献上。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-08-19 21:01:53) |
173. 日本沈没(1973)
《ネタバレ》 なんか想像してたのと違う。まだまだCGが発達していなかったため、実録で大崩壊時代をえがくのは難しいんだろうけど。 人間ドラマとパニック映画とどっちつかずで中途半端な印象だった。エピソードもぶつ切りが多いし。 他の人が触れていないけど、いしだあゆみがヒロイン役なのもかなりの違和感があった。花江(角ゆり子)のほうがよっぽど控えめな女性で好感触なんだが、当時自立しようとしていた強い女性を描きたかったのかしら? それにしても新型コロナ禍のいま、この映画を荒唐無稽だと言ってバカにもできないんだよな。日本脱出のところはいろいろ考えさせられるけど、現実には渡航禁止だし、日本より海外のほうがひどい状況になってしまっているわけで、別の状況だよね。 序盤の深海編はそこそこ楽しめたし、ここまでスケールの大きな話を映像化した努力には敬意を評したい。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2020-08-15 20:26:45) |
174. となりのトトロ
《ネタバレ》 「子供の頃はそれなりに面白かったが、今見るとやっぱり子供向けとしか思えない。一緒に見ていた人が「いまどくあんな物分りの良い子供なんていねえ」と言っていたが、その通り。今や失われてしまって見る面影も無い東京の風景、子供達」と思っていたのだけど、あらためて見てまた見直した。 都市開発が進み、地域のコミュニティが解体してしまった現代だからこそ見るべき映画。優れた風刺になっていると感じる。 後半シリアスになっていく展開は昔はあまり好きではなかった。今はそれも受け入れられる。 この映画では猫バスの躍動感が際立っている。トトロとバスを待つ静かなシーンが、ほとんど台詞がないのだけれど素晴らしい。 【2020.8再見】 8点→7点へ下点。やはり後半に違和感。 困ったら誰かが助けてくれるご都合主義が目についた。メイのわがままも目につく。 一目散に探してくれてた人のところへ行って謝るべき、などど説経したくなる。 ばあちゃんも必ずお母ちゃん帰ってくるなんて気休め言うなよ。 だんだん現代の感覚と合わなくなってきているのかもしれない。 人口が減ってるのに、こんな日本の原風景はどんどん減ってるじゃないか。 それでも夏に子供と見たい作品には違いない。 [地上波(邦画)] 7点(2020-08-15 07:15:58) |
175. 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(2017)
《ネタバレ》 低俗な趣味まるだしですね。私は男性ですが、女性目線で見るとまるで現実感がない。 真っ白いワンピース姿で松田聖子歌われてもね。ウンコネタとか、誰の趣味ですか? 他の人が書いてるけど、大人びた女子と、いつまでもガキな男子の対比が突き抜けてて、主人公ののりみちの魅力のないところが一番駄目。 アニメ版「時をかける少女」のヒットで、安易に古典のリメイクに走ろうと思ったのが運のつき。 二人でジャンプしちゃったときには、「いっけえぇぇ!」とか叫ぶのかと思った。 こんな駄作を映画館で観た方ご愁傷様でした、って言いたいところだけど、映像だけはやたら綺麗なので、大きなスクリーンで観たら「君の名は。」みたいにインパクト大なんだろうな。 [地上波(邦画)] 3点(2020-08-08 21:00:25) |
176. シャイン
《ネタバレ》 パッケージに映る、雲一つない青空の下で手を広げる姿が印象的。このシーンだけとっても、まるで美しい絵画をずっと鑑賞しているような、質の高い映像である。ジェフリー・ラッシュをはじめ、まるで本人かと思わせるような演技の数々は非常にレベルが高く、演奏会でのピアノのシーンも群を抜いている。 ただし、エピソードは微妙。とくに前半は父親の行き過ぎた歪んだ愛情に、見ているほうも辛くなる。どんなに後半取り繕っても、こういう物語は悲劇でしかない。暴君父親の再登場で復讐が果たされるかと思いきや、それもなく淡々としている。精神を病んで自分だけの世界に閉じこもったのは、結局逃げの産物ではなかったか。ともかく、いろいろと考えさせられる。 実話に基づいた作品だと思っていたが、事実はまったく異なるらしい。それが作品中に明らかにされなかったのは残念。 《2020年8月再見》 なんと言っても俳優陣の演技力が圧巻。主人公や父親もとても演技とは思えないほど自然で素晴らしい。 独特の演出で名作の雰囲気があるが、やはりエピソードとしては物足りなさや辛さもあるのは否めない。 とはいえ、圧巻のピアノシーンは本物。精神異常や歪んだ愛情などこの作品から得られるものは多い。 親族からは映画はでっち上げとの抗議があったそうで、ざんねんなことだ。 あとこの映画に出てくる女の人はみんないい人ばかりでほっこりする笑 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-05 22:05:42) |
177. グラン・トリノ
ファンタジー娯楽映画が好きな私としては、あまりに重いテーマでなおかつ現実的な題材は好きじゃないんだが、いまのアメリカの現実をみているとこういう映画も評価せざるを得ない。 見終わって感動したとか、かっこいいとかそんな感情はなく、ただいろいろ考えさせられた。自分の立場としてならどう考えるだろうかと。なんせ、最初っから俗物でゲスな人間が続出するのである。しかもリアルな描かれ方で。 決して上映時間が短くないこの映画で惹きつけられるのは、登場人物の描き方とセリフの秀逸さのせいだろう。偏屈なりの老獪なジョークでやり込めたかと思えば、若い神父がビールを飲むシーンは印象的だ。 マイノリティーであるモン族の描かれ方は、目を合わせないとか日本人と共通するものを感じた。アジア人にとっては主人公との友情はまた一味違ったものに感じられると思う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-07-29 22:14:16) |
178. ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男
《ネタバレ》 北欧映画らしい丁寧で落ちついた硬派な作り。 まるでドキュメンタリーを思わせるが、下の方も言っているように実際のシーンを使ったほうが良かったと思う。テニスの試合のシーンではどうしてもプレーに素人っぽさが出てしまっているため迫力に欠ける。かといってプロ並みの選手を出すのは似ていないとダメなので、いっそのこと本物の試合シーンを使ってほしかった。 個人的にはマッケンロー時代より前は見ておらず、ボルグへの思い入れもなかったので、悪童マッケンローファンとしては悪態をつくことでどんどん集中力を増していくイケイケの展開を期待していたのだが、実際にはボルグの内面の葛藤が大きく描かれるため霞んでしまっているのが残念。ボルグの妻も魅力的には見えなかったし(すぐに離婚しているのでこれでいいのかもしれないが)。 ボルグの悪態封印も、どうやってそれを身につけていったのかが詳しく描かれていない点もマイナス。しかし全体的にはよく作られていると思う。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-07 18:08:01) |
179. 緋牡丹博徒
《ネタバレ》 そもそも血なまぐさいヤクザ映画は嫌いなタチで点数は辛め、しかし主演の藤純子と高倉健は若くてカッコいい。 当時の人気を考えるといかに多くの人に影響を与えたのか分かろうかというもの。 しかし脚本がややまずい。 この2人だけの物語が中心ならまだ良かったが、途中から登場人物がどんどん出てきて興ざめ。 惚れた腫れたのすったもんだの末に、あっし片方だけ靴下ぬぐの〜あふんとかやられても困るんだが。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2020-06-04 20:23:15) |
180. キングダム(2019)
《ネタバレ》 なかなか良い出来で面白かった。漫画の実写化でぶっとんだ世界そのままで、娯楽作品としてみればかなりの出来栄えでしょう。 古代中国が舞台なので日本人がこなすのは難しいはずですが、うまくまとめていますね。 あえて文句を言うとすれば、主人公の線が細いのでムキムキ豪傑男に力で勝ってるのは無理ありすぎ笑。 また怨みを持っている山の民がすんなりと味方になって救ってくれるなどのご都合主義も満載ですが、楽しんで見るだけならこれもまた良しかと。 続きが楽しみです。 [地上波(字幕)] 7点(2020-05-30 12:39:36) |