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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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161.  疾風ロンド 《ネタバレ》 
疾風を感じさせるのは、かろうじて大島優子とムロツヨシのスキーチェイスのみ。 せめて話運びだけでもテンポ良くやって欲しいが、編集の間も悪く、タイトル倒れである。 レストラン家族の陳腐な人情噺など、小手先でパズル合わせしているのが露わで、 キャラクターはそのコマでしかない。柄本明の誇張芝居などは目を背けたくなる。  とぼけた味の阿部寛はなかなかいいが、もう少し主役らしい活躍の場が欲しい。
[映画館(邦画)] 3点(2016-12-02 00:01:53)
162.  五本の指 《ネタバレ》 
中立国を舞台にしたスパイのドラマということもあり、無駄な殺しのシーンも無いが、頭から最後までサスペンスが目一杯詰まっている。 実話であること、実際の現場での撮影であることを冒頭で提示し、イギリス側、ドイツ側、そしてスパイのジェームズ・メイスンそれぞれの 思惑と駆け引きを観客にほどよく了解させつつ、ドラマを進める。 ファム・ファタルがいずれは裏切るであろうこと、金庫に仕掛けられた警報装置を出しぬいたつもりが手違いで鳴ってしまうだろうこと。 それを観客は、抱擁する彼女の表情のショットから察知し、上がったブレーカーを戻そうとする清掃係の行動によって焦らされる。 判らされているから、観客側はハラハラドキドキしてしまう。  次第に嫌疑をかけられていくジェームズ・メイスンの、それでもなお沈着冷静な表情と大胆な行動もさらにサスペンスを煽る。  イスタンブールの市街、マーケット、港湾などのロケーションを活かした追跡劇も生々しい迫力だ。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2016-11-30 03:24:41)
163.  舞妓物語(1954) 《ネタバレ》 
若尾文子は前年の溝口健二『祇園囃子』に引き続いての舞妓役だけあって、初々しいながらも貫禄も十分。 踊りも堂に入っている。 入江たか子の母親の前では子供っぽく、恋敵となる阿井三千子と対峙するシーンでは凛とした表情で、 またコスチュームも、根上淳とのデートシーンでの明朗な学生服姿と、座敷を務める着物姿とで多彩に魅せる。  様々なしがらみによって悲劇的な趣を強めていくドラマと共に、祇園の世界は暗い画調だが、 根上と連れ合って歩く高台や河原など、随所に挟まれる京都の開放的なロケーションに救われる。 特に、舞妓仲間が声援を送るラストの河原と橋がいい。
[DVD(邦画)] 6点(2016-11-27 23:17:52)
164.  聖の青春 《ネタバレ》 
これがもう少し身体性を伴う競技ならばまた違うのだろうが、表情や仕草・佇まいの再現を重視した演技設計ゆえに松山・東出の両者共に 精巧な模写の印象が強くなってしまうのがつらいところである。  ならば対局シーンはそれに徹して、顔と手のアクションで通してくれれば良いのだが、そこに屋外の情景や白鳥の心理的なショットなどを スローでインサートしてしまうのは、あまり効果的とは思えない。  新聞紙の上に切られた爪と髪の毛を見せてから、わざわざカメラを動かし手と頭まで証拠提示するような愚直でくどいショットもちらほら。  それでも窓外を静かに雪が舞う定食屋でテーブルを挟み語らう松山と東出の朴訥とした情感などは素晴らしい。 シーンの最後に、店外からのショットに引くリズムなどがほどよい緊張に満ちて胸に迫る。  筒井道隆、安田顕、柄本時生、リリー・フランキーらも味があっていい。
[映画館(邦画)] 6点(2016-11-26 06:43:56)
165.  突然の恐怖 《ネタバレ》 
時間を可視、可聴化する振り子運動のオープニング。その予告通り、クライマックスは極上の時間のサスペンスである。 モノクロ画面の光と影と音響が相乗して緊迫感を盛り上げ、後半はもう目が離せない。  部屋に設置されていた録音機が録音していた、ジャック・パランスとグロリア・グレアムの密通と共謀の会話音声が流れる室内。 音声のみであることが、それを聞くジョーン・クロフォードの絶望感を際立たせる。 グレアムの部屋に侵入し、家探しするクロフォード。突然鳴り出す電話の着信音や、郵便配達員の影と呼び鈴にこちらもドキリとさせられる。  結婚の歓びから一転しての困惑、悲嘆、絶望、そして復讐までの神経症的な感情の流れを的確に表現するヒロインの素晴らしさ。 照明のオン・オフを駆使して黒い陰影を投げかけるチャールズ・ラングのカメラもまたその感情表現を画面に乗せている。 クローゼットに隠れた彼女の額に浮かぶ冷や汗、真っ暗なベッドの上に光る彼女の妖しい眼の光など、異様なまでに優れた出来栄えだ。  ラストのアクションもまた、坂道や隘路などの工夫を凝らしたロケーションが不安定なノワールムードを醸す中、 ジャック・パランスが次第に狂気を帯びて最後までスリリングである。  別荘の崖路を下り、階段落ちを演じ、坂道を逃げ降ったクロフォードは、ようやくラストで夜明けの陽を浴びつつ坂道を登り始める。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2016-11-23 21:19:07)
166.  恋人のいる時間 《ネタバレ》 
マーシャ・メリルの手や足、背中や黒髪といったパーツのショットが生々しい肌理を伝え、タクシーを乗り継いでパリの街中を駆けまわる彼女の ショットが開放感を醸す。 台本の台詞なのか、アドリブなのか、ロジェ・レ―ナルトの言述になんとなく聞き惚れ、女性の素っ頓狂な笑い声の流れるレコードを劇伴に 二部屋を跨いで追いかけまわる夫婦のシュールなドタバタ運動をなんとなく面白がる。  「自らが映画に他ならないことが嬉しくて自由にはしゃぎまわっているような映画」とゴダール自身の言葉がなるほどピタリと来る。  映画館の座席を指定して浮気相手と待ち合わせ、などというシーンもヌーヴェルヴァーグ世代の風俗を匂わせて粋なシーンである。
[DVD(字幕)] 7点(2016-11-22 22:49:11)
167.  ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 《ネタバレ》 
収監されるもあっさりザル警備の隙をついて脱出してみせるトム・クルーズ。それはいいのだが、序盤からこうもタスクの難度が低いと その後の展開に不安を抱いてしまう。アナログなりの知略をもう少し披露して欲しいところである。  ハロウィン・パレードの混雑の中、パトリック・ヒューシンガーを見つけ出し追跡するシーンも同様に今一つ盛り上がりきらない。 壁を伝って階上へと追っていくトム・クルーズのアクロバティックなスタントをもっと見せてクライマックスへ向けてのテンションを高めて欲しい というのは酷な望みか。地味なアクションを指向しているのは承知だが。 派手な銃撃戦からは、コビー・スマルダーズとの連携プレーを見せていくわけだが、アップの多すぎが逆効果になっている。  ラスト、一旦は別れた娘が踵を返してトム・クルーズに駆け寄り、抱擁を交わすのだが、このショットも想定通りすぎてあまり巧いと思えない。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-11-19 00:02:40)
168.  夢は牛のお医者さん 《ネタバレ》 
大学受験の合否通知であろう電報を郵便局員が高橋知美さん宅に運んでいくのを背後からカメラが追う。 緊張しているはずの知美さんを気遣って、クルーは家の外で郵便配達車をずっと待っていたのだろう。 獣医になった知美さんが実家の牛の出産に立ち会うシーンも、彼女が語るように「何日も辛抱強く待ち続けて、出産はあっという間」だが、 その感動的な出産シーンを撮るためにスタッフも粘り強く付き添ったのだろう。 勉学に勤しむ彼女に差し支えないように、撮影を控える場面も多々あったろう。 そうした画面に映らぬ部分・映さぬ部分にこそ、スタッフの誠実さを見る。地道な長期取材と関係づくりあっての「素」の表情であり、佇まいである。 正味86分にそれが結晶している。 合格の通知に突っ伏して歓びを噛みしめる姿のいじらしさ。彼女を支える父母と妹さん二人の働きぶり、祖母の朗らかな表情。 獣医師として成長し、暴れる牛にも動じることなく冷静に処置できるようになった姿の頼もしさ、それぞれに魅せられる。  元がテレビ素材ゆえに表情に寄りがちなのが玉に瑕でもあるが、その子供たちのまさに純真そのものの表情と涙を目の当たりにすれば グリフィス的クロースアップの欲求を抑えがたいのも無理はない。  画面の解像度もまた26年の歳月を感じさせるが、ラストはより映画を意識したのだろう。 土本監督の水俣シリーズが海の光で人々を包むように、牛舎から外へと凛々しく向かう知美さんを雪の白と輝く逆光で包ませる。  子牛を抱き寄せ、頬ずりして慈しむ幼い知美さんの印象深いショット。生きる姿勢の素晴らしさと共に、映画の被写体としても稀有の素晴らしさなのである。
[映画館(邦画)] 10点(2016-11-18 21:04:43)
169.  その女を殺せ 《ネタバレ》 
正味71分ながら、スピードとスリル感が満載である。 護送されるマリー・ウィンザーが二階部屋から出るとネックレスがほどけ、真珠が階下に落下する。その真珠が散らばる床は二階からは死角となっており、 その陰の中に殺し屋の足元が浮かぶ。その音響と陰影が生むサスペンス感。パースをつけた階段の縦構図の素晴らしさ。 その手狭な感覚は、舞台が列車に移るとさらに強調され、その通路やコンパートメントを忙しなく移動し、格闘するチャールズ・マックグローの 動きによって全くテンションを途切れさせない。  ジャクリーン・ホワイトとの対話シーン、マリー・ウィンザーの撃たれるシーンなど、窓ガラスの反射やドアによる遮蔽が効果的に 使われており、本物-偽物の主題を提示しつつクライマックスのドア越しの銃撃戦に巧く繋げている。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2016-11-16 23:52:20)
170.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
キャラクターの描線の淡い色調が背景画とよくマッチして、柔らかなトーンで統一されている。 一時期のスタジオジブリのような極端な細密さではなく、ほどよい加減で省略を採り入れた美術も大らかでよい。 それでいて、道端の草なども当時の植生を細やかに再現しており、道行くエキストラの服装に至るまで妥協がないのが 画面作りに対する仕事ぶりから察知できる。  廃墟となった家の入口付近に重石をされた書置きがある。通りの端で子供ら二人がままごと遊びをしている。 背景に配置されたそんな細部から主人公家族以外の人々のドラマまでが立ち昇ってくる。 風に揺れる松の木の葉、米一粒一粒の白さ、風に舞うタンポポの白い綿毛一つ一つの動きの細やかさが タイトルと共に主題を浮かび上がらせる。
[映画館(邦画)] 9点(2016-11-15 20:00:15)
171.  ミュージアム 《ネタバレ》 
明度・彩度を落とした雨天曇天のルックにも早々に飽きる。結局はフィンチャーもどきにしか見えぬから。 車内の小栗旬のショットとか、雨だれの効果や音を画面に活かすなどの工夫がまるで見られないのはセンスの欠如である。 それもそのはず、後の種明かしで明らかになるように、これらの雨は物語に根拠を持つ設定に過ぎないからであり、雨という記号の配置こそが 眼目だとしか思えないからである。  クライマックスからの逆算で尾野真千子の苦悩のドラマも途中途中で必要と判断したのだろうけれど、結果的にはその回想交じりのパートが ことごとく中途半端な印象を与え、犯人追跡のドラマも停滞させる。  クライマックスも家を包囲する警官隊を中途半端にクロスカットさせては『ラストミニッツレスキュー』を保証しているようなもの。 サスペンスが散漫になってしまっている。
[映画館(邦画)] 4点(2016-11-14 23:30:57)
172.  オケ老人! 《ネタバレ》 
一つのジャンルとも呼べそうなフレームワークで、何ら想定を裏切らない。演奏会終了と共に万雷の拍手で、杏の晴れやかな笑顔がクロースアップされて ハッピーエンディングへと至るだろう流れも律儀なまでにパターン通りだ。  彼女の成長のドラマ、メンバーの団結と上達のドラマでバリエーションと独自性を作っていくわけだが、 ここも杏と笹野高史の関係に絞ってシンプルに徹している。 上達の過程は本来、練習シーンのモンタージュと反復によるべきところを季節変化と街の情景の早送りだけに頼っているのはかなり安直な印象だ。  コメディタッチに合わせて芦澤明子のカメラも明朗、杏の表情のクロースアップが頻繁過ぎるが、彼女のほどよくコミカルで豊かな表情と口跡の良さで 苦にはならない。下手な女優ならこれ見よがしのわざとらしい変顔を連発して白けさせられるところだが。
[映画館(邦画)] 5点(2016-11-11 23:20:53)
173.  湖中の女 《ネタバレ》 
監督・主演のロバート・モンゴメリーがまずはカメラに正対して長広舌を披露する。視線をほとんど逸らすことなく長台詞を軽やかに語る彼の 眼にまずは吸い込まれるのだが、そこからその彼の眼がキャメラと化してドラマが進行していく。 いわゆる一人称キャメラである。 煙草の紫煙が画面の下手から立ち昇り、鏡の反映が絶妙なアングルで映し込まれ、オードリー・トッターの顔が間近まで迫る。 難儀しただろう撮影上の苦心や技法の方につい関心が向きすぎてドラマにいまいち入り込みづらいのと、画面の動きの乏しさでさすがに中盤には 飽きがきてしまうのがやはり難点か。 と、その辺りは想定したらしく、地味ながら車の尾行やクラッシュなど活劇的見せ場の配置も忘れてはいない。  路側に停車している不審車の横を抜け市街へと車を進行させてゆくフィリップ・マーロウの視点。フロントガラスを緩やかに流れていく夜の街路。 バックミラーに視線が移ると、不審車のヘッドライトが次第に迫ってくるのが判る。  ノワールムード香る、一人称のカメラが良く活きるシーンである。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2016-11-10 23:43:47)
174.  続・深夜食堂 《ネタバレ》 
事前情報は一切抜きにして、新たに登場するゲストキャラクターと常連キャストのアンサンブルを存分に楽しむ。 前作で新たに加わった多部未華子が、新キャラの渡辺美佐子を部屋に泊め、新潟から送られてきた酒を酌み交わす。そんな何気ないショットが、 滋味を醸して心を和ませる。  ガードを潜って新宿東口に抜けていくオープニングは構図も繋ぎもナレーションも一緒だが、たぶん新規に撮ったものだろう。 「めし」の提灯が灯る食堂周辺の狭い路地や、落ち着いた雰囲気の店内のレイアウトなど、シリーズを担当する原田満生の美術が今回もレトロムードを 味わわせてくれる。 そして今回は焼うどんに蕎麦、焼き肉に豚汁定食がメインで、加熱調理の音と画面がシンプルながら相変わらずそそる。  郊外の高台の住宅地。タクシーの後部座席から息子の姿を遠目にみつめる渡辺美佐子。食堂のセットから離れてロケーションとなるこれらのシーン では、必ず風を渡らせて木々を揺らしエモーションを掻き立てる。松岡錠司はちゃんと心得ている。
[映画館(邦画)] 7点(2016-11-09 22:13:12)
175.  手紙は憶えている 《ネタバレ》 
老いと、いわゆる認知症の設定がサスペンスを一貫して持続させる。そこに銃社会という現在的テーマも巧みに絡ませながら戦後70年の時間を 浮かび上がらせる。ウェルズの『ストレンジャー』を思わせるこの題材、語り口を変えつつ引き継がれている。 大戦を生きた世代と戦後世代の対比を強く印象づけながら。 静かに、穏やかにピアノを奏でるクリストファー・プラマーのショット。そのイメージは、ラストの痛切なサプライズと共に 趣を反転させるだろう。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-11-08 23:26:13)
176.  ぼくのおじさん(2016) 《ネタバレ》 
確かに松田龍平は適役だし、甥っ子とのコンビネーションも良い。『まほろ』シリーズなどを始め類似した変わり者キャラクターをあてがわれながらも 作品ごとに微妙に演じ分けている。  狙った間延びとは云え、ハワイのパートでさらにダレ気味になってしまうの痛いが、東宝戦争映画を始めとする邦画が目を向けてこなかった 真珠湾攻撃によって苦難を被る日系移民や二世部隊についてさらりと言及するあたりの配慮がいい。 高台から望遠したパール・ハーバーの景観も1ショット、「家族」三人の背と共に慎ましく挿入されており感慨を沸かせる。  山下印の青い空に、風に揺れるコーヒーの木の緑と赤が映える。
[映画館(邦画)] 5点(2016-11-07 20:18:55)
177.  溺れるナイフ 《ネタバレ》 
菅田将暉と小松菜奈が初めて出会う入江の波立つ情景などは観る側の心もゾクゾクさせてくれるのだが、そのロングショットと 小松の視線、水面の菅田のカットバックが少々ぎこちなく感じられる。 土手のシーンなども、二人の位置関係が不明瞭で、高低差が活きていない。  劇伴や挿入曲も過剰に感じてしまう部分が多く、地方の映画なら尚のこと河川や水路のせせらぎや波音などをもっと活用して欲しいところだが、 ロケーションをロングショットのフレームの中で良く活かし、俳優らを良く動かし、彼らを幾度も水に浸らせて頑張っている。  森の中を風のように駆け、海に浸かり、炎と共に舞う菅田も小松もさすがに達者だが、 これだけ映画への露出が多いと食傷気味にもなるが、本作では重岡大毅がなかなか新鮮なバイプレーヤーであり、ナチュラルな口跡が素晴らしい。 彼絡みのシーンに長回しが多用されているのも頷ける。  バッティングセンターのショット、カラオケバーのショットなど、緩急自在の呼吸でロングテイクを活かしていて感心だ。 快活さとナイーヴさを体現し、一部で科白を噛んだりしているのも逆に自然体の魅力を生んでいる。
[映画館(邦画)] 6点(2016-11-06 08:38:18)
178.  湯を沸かすほどの熱い愛 《ネタバレ》 
赤いリンゴ、赤い車、吐血の赤とアクセントをつけつつ、ラストにはもう一発何らかのアイテムを用意しているのだろうと思いつつ観れば、 なるほどしっかりと情熱的でファンタジックな赤で期待に応えてくれる。  夜の人間ピラミッドや、宮沢りえの投石を始め、泣かせのシーンにもユーモラスな笑いをほのかに混ぜ込む加減が絶妙で、エモーションのほどよい バランシングが心地よい。  宮沢と松坂桃李の抱擁、伊東蒼と杉咲花の蹴り、篠原ゆき子への平手打ち、オダギリジョーに対する頭突きやパンチなどの 意表を衝く少々手荒なスキンシップによる親愛表現もよろしい。  勿論、杉咲花が披露する手話も感動的だ。身体で感情を表現させるべくして設定された属性である。
[映画館(邦画)] 7点(2016-11-02 00:02:44)
179.  インフェルノ(2016) 《ネタバレ》 
映画にブレーキをかけがちな謎解きを抑え気味にして、冒頭から一気に逃走劇に突入していく手際がいい。 記憶も不鮮明なまま事件に巻き込まれるトム・ハンクスが、ヒロインと共に複数の組織から追われる展開が主となり、なかなかにスリリングである。 そこにロン・ハワード的な落下や水のイメージが溢れ、観光映画の趣ともよく融合している。 が、アップのショットの多さは辟易するし、アパート裏口からの脱出や壁の乗り越えなど、危機突破の具体的描写が弱いと思う。 アイデアの貧しさ以上にアクションの撮り方の不味さである。  トム・ハンクスとシセ・バベット・クヌッセンが雨の中で見つめ合うメロドラマ的な回想パートは 水のモチーフとも相まって情感のあるシーンだ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-10-28 22:45:26)
180.  野性の少年 《ネタバレ》 
トリュフォーが演じるイタール博士が幾度か立ち寄るレムリ一家は、クロード・ミレール監督一家のカメオ出演だという。 そのクロード・ミレールが、ヴィクトール少年(ジャン=ピエール・カルゴル)にせがまれ手押し車に乗せて遊んでやるシーンがあるのだが、 そこでの彼はちょっと強張ったようなぎこちない表情を見せる。職業俳優なら間違いなくもっと楽しそうな笑顔を演じるところだろうが、 逆にその芝居気無しの無骨な表情が何ともいい味を出しているのである。あわせて、夫人の素朴な佇まいも生来的だろう清楚さを醸し出している。  自然と文明を区分するかのように、窓辺や玄関戸といったルノワール的ショットが頻繁に登場し、ヴィクトール少年はその境界の窓辺に立って窓外を見やる。 ミルクを意味する「レ」をようやく少年は発音する。その感動的なシーンを引いた位置から見守るカメラの慎ましさがいい。
[DVD(字幕)] 8点(2016-10-27 21:46:44)
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