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1.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
やっぱりハリウッドに比べるとCGはだいぶ見劣りするなあ……などと考えながら見始めたが、「人間」の部分に引き込まれてじきにそれも気にならなくなった。「天災(神)としてのゴジラ」という原点回帰に、我々が先の震災で得ることになってしまった放射能災害の実体験が加わり、ひところ流行った「ウルトラマン研究序説」的な空想読本に留まらない生々しさがあったように思う。「東京3区は帰還困難区域になる」という台詞の重さを、今の日本人ほど理解できる国民はいない。行政機能の東京一極集中とか、その辺りの問題もほんのり盛り込まれているように思ったり。 一方で、核ミサイルの使用を日本側の政治家があまりにも安易に応諾してしまう点は気になった。矜持とかそういう心情的な部分もさりながら、少なくとも貫通弾は有効だったのだから、「ゴジラが眠ってる間に自衛隊の戦力を再結集して、米軍と本格的に協力してどうにかできないか」と、先に考えるんじゃないか普通は?米軍だけじゃなく多国籍軍でも良いけれど、連携した作戦をすっ飛ばして「これはもう核ミサイルを撃ち込むしかないですね」「そうですね仕方ありません」というのは、一足飛びにすぎるでしょう。「知恵は多いほどいい」んじゃないのか? 石原さとみのなんとかパターソンも疵だった。あの空気感の中にあの漫画的高飛車キャラは何ともそぐわないし、あのキャラを出すにしても石原さとみでは全然柄が違う。第一ネイティブな日系アメリカ人感が全然ない。パターソンが出てくるたびに気持ちがふっと途切れてスクリーンから目を背けてしまった。 造形や演出に「エヴァンゲリオンだなあ」と思う部分も多々、多々あるけれども、庵野監督が蓄積してきた経験が、アニメファン以外も数多く観るであろうこの「シン・ゴジラ」に結びついたのだと好意的に解釈したい。目に付く不満もあって文句ばかり書いたようだけど、良くも悪くも怪獣エンターテインメントであったアメリカの新ゴジラに対して、これこそが日本のオリジンを受け継いだ新・真・神なるゴジラなのだと高らかに掲げることができる、それだけの作品にはなっているように思う。
[映画館(邦画)] 8点(2016-08-06 04:10:58)(良:1票)
2.  花様年華 《ネタバレ》 
アート的な映像作品に近いぐらいに感じたが、筋立てに頼らず映像美と音楽だけで感覚を揺さぶられる体験は貴重だった。「差し色」を実に上手く使った映画だと感じた。全体として小汚く雑然とした環境のなかに、常に存在しているチェン夫人のドレスや調度品の鮮やかな美しさ。ぼんやりとしたシチュエーションだけが提示していき、ふたりの感情や距離感が掴みきれないなか「リハーサル」で夫人がほんの一時露わにする感情。秘めた悔悟をアンコールワットの小さな穴に託すチョウの哀感。全体が淡々としているからこそ、ビビットに際立つ部分があったように思う。 最後にテーマを明示したことだけが不満と言えば不満だけれど、自分の中ではさほどの瑕疵ではない。久々に拍手をした作品だった。
[地上波(字幕)] 10点(2016-05-06 20:56:19)
3.  アントキノイノチ 《ネタバレ》 
死に向き合うことで生が救済される……大筋では「おくりびと」をやりたかったのかな、と思うんだけど。高校時代のカットインが邪魔だなあ……。停滞を招くばかりでなく、過度に嫌らしくて、とげとげしくて、想像上の「現代の若者」像を延々と見せられて辟易する。「世の中のリアルを描きたい」傾向の映画だと思うんだけど、出てくる人物がどうにもリアルじゃない。ありがちな「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!!」って演出にもうんざり。 それと腹が立ったのは、キョウヘイが檀れいに手紙を届ける件。キョウヘイが、彼自身の心を救済するために行ったエゴを、正しかったと断定して描いて欲しくなかった。読んで母の思いを受け取ったかも知れないし、一瞥もくれず破棄したかも知れない。受け取った側がどう処理するかは、観客の感性に委ねて欲しかった。また全体として、キョウヘイが「こうあるべき」と考える物事の姿に拘泥して突っ走る姿に、あまり共感できなかった。 サソウさんの滋味が良かったなあ。サソウさんとキョウヘイをコンビにして、あくまでも特殊清掃を中心に据えて物語を転がした方が良かったのでは。でも、それじゃあまりにも「おくりびと」か。
[地上波(邦画)] 4点(2016-05-04 20:26:37)
4.  ダイナマイトどんどん
突拍子もない設定で、メタな任侠パロディみたいなところもありつつ、任侠モノとしてもコメディとしてもちゃんと成立している。ピッチングではないけれど、演出も豪華出演陣の芝居も、緩急の使い方が素晴らしい。軽薄に堕さず、軽妙の線を守れているのは、出演者と監督の力量も大だろう。1950年という煤けた印象のある時代の、しかもヤクザ物でありながら、ファンタジーであることを優先した鮮やかな色彩も表彰もの。岡源ダイナマイツのユニフォームには衣装賞をあげたい。決闘や乱闘シーンの間延び、若干の長さを感じるところは減点材料だけど、ときに笑い、ときに手に汗を握り、ときにしんみり。娯楽映画の王道のような作品で、「ああ、現代でもこういう映画をもっとみたいなあ」と思える作品だった。
[地上波(邦画)] 8点(2015-12-15 10:51:51)
5.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
誠実な男が、魂魄を込めて作った優美な機体は殺人兵器であるという皮肉。この哀切が何とも心に迫る。しかし何のために造られたものであれ、本当のマスターピースは美しい。戦争は忌まわしい。零戦は美しい。どちらも真だと信じる、この機微、アンビバレントを正直にさらけだしたところが素晴らしい。 SEの類を人間の声で再現したところは、「古き良きキカイ」に寄せる宮崎駿のアニミズム的慕情を表すようで微笑ましく、また上手くいっていたとも思う。「おお、一生懸命動いてるなあ」という。また庵野秀明のアテレコは、出てきてからの10分ほどは「どうなることか」と顔を覆ってしまったが、じきに慣れた。終わってみれば、技術の巧拙よりも演者(庵野)にも通底する「志あるマニア」だという心性の方を優先したのかな、という気がして、これで良かったのだと思えた。 ヒコーキ屋の二郎と、菜穂子の恋人二郎の話がほとんど別立てになっていて、そこはどうかなという嫌いはあるけれど、それよりも好もしく感応する部分の方が大だった。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2015-12-10 22:14:13)
6.  ポセイドン(2006)
オリジナル未見。B級パニック物としては良いと思うのだけど、「あのUボートのヴォルフガング・ペーターゼンがリメイク」という煽り文句からすれば、期待した重厚感には欠けていたと言わざるを得ない。もっと息が詰まるような緊迫感の中で、人間ドラマを展開させつつ進んで欲しかった。最も失望的だったのは、最後に流れたハッピーエンド感溢れる音楽。Uボートみたいに救いのないラストにしろよ、なんて言うつもりはないけれど、あれだけ悲惨な死を映し出した末のあの能天気な雰囲気は「もっとこう……あるだろう!」と思わずにはいられなかった。ただ重ねて言うけれど、それも含めてB級パニックだと頭から割り切ってみれば全然アリな映画だとは思う。
[地上波(字幕)] 6点(2015-12-09 16:37:39)
7.  宇宙兄弟 《ネタバレ》 
原作未見。スタイリッシュに宇宙航空史の紹介からはじまるところは「おっ」と思わせたのだが、そこが盛り上がりのピークだった。まず前提として「六太が宇宙に行って何をするのか?何ができるのか?」ここをはっきりさせておいて欲しかった。「宇宙への漠然とした、しかし強い憧れ」「兄弟の夢」だけで、あの強引な展開を納得するのは難しい。ムッちゃんを演じる小栗旬はとても良かったのだけど。逆に、ヒビトの岡田将生はどうも表情に険があり、嫌な奴に見えてしまった。そこも物語に没入しきれなかった一因。 また、六太パートと日々人パートにあまり繋がりが感じられず、とくに日々人のアクシデントは映画的な要求からとってつけたようで(2025年にNASAが月で使う車両が崖の存在を検知できないのか?階段を検知すると転回するルンバ以下じゃないか)、激しく萎えた。 ただそれはそれとして、日々人が青く輝く巨大な地球に照らされるシーン。あそこは良かったと思う。あの映像が(何ができるのか不明な六太を宇宙飛行士として選抜する動機とは全く別の話で)「理屈ではない。宇宙は目指すべき場所だ」と語っているように感じた。あの映像でこの映画は(自分の中で)だいぶ救われた。全体として頑張っていた演者にも敬意を払いたい。
[地上波(邦画)] 5点(2015-11-19 10:35:30)
8.  御法度
惣三郎が魔性の存在であることに説得力を持たせられるか否かが鍵だったと思う。松田龍平の惣三郎は、確かに妙な色気はあり、それでいてどこかぼんやりとした雰囲気で、その気がある者ならちょっと手を出してみたくなる存在としては成立していたと思う。でも、個人的にはビジュアル面で納得がいかず、そこは減点対象だった。意外に良かったのは武田真治の沖田総司。武田の芝居が上手くない、そこが却って沖田のどこか人離れした雰囲気が出ていたように思う。ほか坂上二郎の井上源三郎や、トミーズ雅の山崎烝といった脇役に良キャラ、好演があった。 内容的にはどうってことはない。80近かった大島渚には新選組の中の衆道を題材に、というのは一大事だったかもしれないが、いわゆるやおいの世界では使い古されている。「幕末史の中の新選組」を完全に省き、衆道に焦点を絞っただけに、なおさら「新選組モノのやおい」の域を脱することができなかったように思う。そこからもう一段、なにか欲しかった。
[地上波(邦画)] 5点(2015-10-04 01:54:25)
9.  劔岳 点の記
没入するとまではいかなくとも、それなりに引き込まれながら見て、悪い印象はないんだけれども……。自分が果たして「映画」の魅力に引き込まれていたのか、剣岳をどのように攻略するのかという興味に引き込まれていたのか、判じかねる辺りにこの映画の弱さを感じる。 ハレの料理だったかケの料理だったか、ということであれば、ちゃんとハレの料理としてできていると思う。良い素材を、丁寧に調理したと思う。ただ「よくできた精進懐石」みたいな感じで、それなりに美味しく食べたのだけど、食後にどうも釈然としない印象が残る。「でも食べたいのはこれじゃなかった」と。信仰の山としての側面も重要なわけで、それはそれで良いのだろうけど、映画としてはひと味、脂分がほしかった。これならなにも豪華俳優陣を揃えて映画にせずとも、NHKのドキュメンタリースペシャルでも良かったではないかと。
[地上波(邦画)] 5点(2015-09-26 00:38:07)
10.  イップ・マン 序章 《ネタバレ》 
ひたすらに葉問つえーを楽しむ映画。物腰柔らかく、無用な争いは好まないが、一朝事あらば無敵の達人としての鋭い爪を剥く……というのはもうヒーローとして鉄板の人物像であるところにきて、それを演じるドニー・イェンの端正な佇まい。もう劇中の民衆のように「師父!私を弟子に!」と跪きたい気分になる。 吹き溜まりに身を置くような暮らしに落ちても、彼は生来の優雅さを失わないし、かといって「武士は食わねど」とでもいうように孤高を気取るわけでもない。一個人ではどうにも抗えない巨大な時流に嘆息はするが、その中でも周りの人々と一緒に、しっかりと目の前の生を踏みしめていこうとする。これぞ真の大人(たいじん)の姿だと思うし、またそうであるから彼は慕われるのだろう。 それと対照的なのが道場破りから盗賊に身をやつした金だが、彼も良い味を出していた。葉と再び相見えた金が「武館を開く俺の夢を潰しやがって!」「俺は二度と飢えない!」と叫ぶところは、彼も葉になりえる素地があったのに、なれなかった悲哀が表れていた。金が早い段階で衣食足り礼節を知っていたなら、彼も金のような大人になったのだろう。逆に、葉が金のように彼の力をその日暮らしの手段とせざるを得ない境遇にいたとすれば、道場破りをして返り討ちに遭い、強盗になったのかもしれない。まことに紙一重の二人であったと思う。 さて、ラスボスである三浦。彼は武術家であって武道家ではない。日本の士道さえ弁えてはいない。本当に「道」を重んじる者ならば、見せ物のような地下試合をさせてみたり、野良犬に餌をくれてやるように米を放り渡すことはしない。傍らにいる典型的「日本鬼子」な部下よりはマシというだけで、気分で人の扱いを変えるような三浦も、武道家を気取る小悪党に過ぎない。だから「仁を重要視する中国武術に値しない」と葉が見なすのも致し方ないし、小悪党はスーパーヒーローに手も足も出ないというのは、これも物語の常。あれでも池内博之が人物像をかなり修正したとのことで、元はどんな人物像だったのか。 お決まりの日本軍の描写には居心地の悪さを感じざるを得ないが、それでもなお後口爽やかな一級のカンフー映画だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2015-09-23 22:30:27)(良:1票)
11.  武士道シックスティーン
兎にも角にも成海璃子演じる磯山がどうにも受け付けなかった。おそらくこれが漫画や文章上であれば、自分も「ちょっと変わった子」程度に受け入れたのだと思うんだけども、こうして実写で現出されるとあまりにも奇矯さが際立って、「年相応の瑞々しさを見せない世間知らずの変人」という、「いかにも記号化された漫画的女性剣士キャラ」(漫画原作じゃないらしいけど)の気持ち悪さが増幅されて、もう勘弁してくれというほかない。これは第一にキャラの要旨を押さえた上で、実写なりに描かなかった監督なり脚本なりが悪い。竹刀で素面を思いっきり殴られて「いった~」で済んでしまう(まず間違いなく大出血ですよ)辺りにもいえるけど、リアルになると許容できなくなる描写というのは少なからずある。 で、そんな感じだから物語があんまり頭に入らなかった(断片的に入ってくる話も「くっだらねぇ」と思うようなありきたりなものだった)。それから剣道のシーンがグズグズだったり、そういう説得力のうえで大事な部分を疎かにする辺りに製作者の杜撰さというか、作品への愛の無さが垣間見えるのも不快だった。ジュブナイル映画なんてこんなもんでいいでしょ、みたいな。
[地上波(邦画)] 3点(2015-09-22 23:52:26)
12.  マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと 《ネタバレ》 
マーリーの存在と家族の物語の間に有機的な繋がりが感じられず、途中から退屈を覚えた。「ただ犬がそこに存在してくれているだけで、人生はいくぶん豊かになる」と言いたかったのかも知れないけど、やっぱり映画であるからにはマーリーを軸としたヤマが欲しかった。自分自身、犬を見送った経験があり、最後しんみりはしたのだけど。評価としては5点なんだけれども、「泣きモノに動物と子供と老人は反則」ということもあるので、この点数で。
[地上波(字幕)] 4点(2015-09-17 12:44:44)
13.  ブルース・リー/死亡遊戯
感情的で、頑固で、いらん行動で事態を悪化させるという、苛立たしいヒロインの諸要素を余すところなく備えたヒロインにげんなり。それから、出てくる格闘家が皆やたらにタフで、一つ一つの闘いが長くて飽きる。基本的にはケンシロウじみた「俺つえー」でいってもらって、苦戦するのは大ボスだけにしてもらいたかった。それとこれは重箱の隅のようだけど、マフィアの部下が雁首揃えてひとりも銃を携帯してないのはやっぱりおかしい。その点、『燃えよドラゴン』は上手かったのにね。
[地上波(字幕)] 3点(2015-07-22 15:20:02)
14.  パシフィック・リム 《ネタバレ》 
主人公機ジプシー・デンジャーの出撃シーンだけでもう参った。参りました。あの量感・質感を「キミらが見たいのはこれだろ?」とばかりに見せつけられたら、あとはもう酔っぱらい状態で2時間過ごすしかない。あのやられるときの痛そうな感じ、大して見せ場もないまま凄惨に破壊されていく脇役機たちから感じる全体の印象としては、やはり「ものすごく金を掛けたマジンガーZ」。ストーリーは何のひねりもない、怪獣が出てきてそれをやっつけるというものなので、巨大ロボットの姿に酔えない人にはお勧めできないが、私はもう満足でございました。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-04-21 23:44:47)(良:1票)
15.  アレクサンドリア
何気なくテレビで見たのだが、想像以上に重厚な作品だった。これは単純に宗教と科学の対立を描いたものではなく、理性を投げ出してはいけないということを呼びかけたかったのだろう。おそらく近年のイスラム原理主義やキリスト教の福音主義の台頭、移民排斥の流れを受けて作られたのだろうと思う。娯楽的要素はあまりなく、「愚かだなあ」ともの悲しい気分になりながら観る類の映画だが(といっても私はダオスとオレステスそれぞれの、ヒュパティアに対する少女漫画的情熱にも心を動されていたんだけど)、世界の色々なところで宗教対立、民族対立、さまざまな対立が火を噴き、理性なるものへの信頼が揺らいでいる今だからこそ作る価値のあった映画だと感じる。
[地上波(字幕)] 9点(2015-04-11 16:05:51)(良:1票)
16.  GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》 
この映画のタイトルは「MUTO ムートー(友情出演:ゴジラ)」が正しい。だから、ムートーにドキドキワクワクできるかが前のめりで観られるかどうかのポイントなのかもしれない。「いつか出てくるゴジラの勇姿」への期待感に引っ張られながらという部分もあったけど、私はけっこう「おおお、ムートー強いぞ」と思いながら観られた。「どうしてこうアメリカ人の作る怪獣は造形センスが禍々しいのか」というきらいはあるけれど、電磁波が武器というのは現代兵器の弱点を突いた感じで、静寂のなか電子系統をやられた戦闘機がぼとぼと落ちてくるシーンは面白い。妙に人間くさくて、「ムートーかわいそう」と思っちゃうところなんかもあったり。最後にはおいしいところを持っていったゴジラが見得を切り、「千両役者ぁ!」の声を浴びながら花道を去っていく。「ムートーも悪かあねぇけど、やっぱりゴジラだよなぁ」とホクホク顔で小屋をあとにするわたくし。監督の術中に嵌められてますな。不満を言えば、家族の物語は不要だったし、怪獣バトルがはじまったらテンションを切らずにちゃんと見せてほしかった。怪獣映画の爽快感というものには乏しい。ゴジラが核実験により生まれたのではなく、最初から地球の放射性物質を食べていた生物であるという設定も「反核のメッセージをそんな風に矮小化するなよ」とやや気分に角が立つところもあった。ただ何だかんだ言っても「でも最後まで前のめりになって観たんだろ?」と聞かれれば「ぐぬぬ」と唸るしかない。各論で言いたいことはたくさんあるけど、総論としては面白かった。これなら文句なくゴジラ復活の足がかりにはなったし、事実モスラやキングギドラを登場させての次回作もあると聞いている。これを叩き台として、次は「ゴジラ映画」としての良作を期待している。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-04-04 22:29:55)
17.  清須会議
史実をなぞりながら、三谷風のギャグを入れてみせるという作りで、近頃ありがちな漫画的にデフォルメされすぎな人物造形といい、もう少し重厚に作れなかったかという嫌いはある。密室劇を得意とする三谷をして、デリケートな政治の駆け引きをしている最中に、中庭で響くような大声で自分の野望を語らせてるのはどうなのよ、という不満点もある。しかし清須会議という史実が面白いので、それをなぞっている限りそうそう変な出来にはならない。全体に浮ついた雰囲気を引き締めていたのは、唯一現実感のある存在だった丹羽長秀(本当にもうどこからどう見ても丹羽長秀!)で、彼がいることによって政治劇としてのリアリティにある程度説得力が生まれたと思う。なんだかんだ時計に目をやらず最後まで観ることができたのは、彼のおかげ。また勝家はやや漫画的すぎるとはいえ、秀吉と対比される近視眼な脳筋具合と、単純であるがゆえのある種の可愛らしさを両立できていたし、大泉洋は、中間管理職をやっているこの年代の秀吉には、適当な軽さがあって良い出来だったと思う。史実のハイライトであり、歴史の重要な転換点である、秀吉が三法師を抱いて現れるシーン。そこに描かれる秀吉と勝家、勝者と敗者の対比。そこで観ている自分は少なからず「おお」と思ったし、その時点でこの映画は成功していると思う(そこから先の蛇足感はご愛敬か)。役者の無言の演技で見せてほしいところまで言葉にしてしまったり、正直三谷は監督には向いてないと思うけれど、史実の面白さと役者の好演に支えられて、この映画についてはなかなか良くできたものに仕上がっていると思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-02-25 16:47:29)
18.  笑の大学
舞台版からの付け足し的な箇所を除く90%ぐらいは、舞台の脚本がなぞられているから、本来西村・近藤にアテ書きされた脚本で、役所・稲垣が映えないのは仕方ないとは思う。役所広司は力はあるが、尊大に振る舞って見せても「冷徹」よりは「実直」という印象が先に立つ人で、鉄面皮が徐々に崩れていく可愛らしさに乏しい。稲垣吾郎は風貌にしろ芸容にしろキャスティングミスも甚だしい。とにかく台詞回しも間も悪い。これは監督の演出にも科はあるけれど。やはり「笑の大学」は舞台の脚本であり、映画の演出(間)では真価の半分も発揮できないのだと痛感した。
[DVD(邦画)] 4点(2015-01-12 02:25:14)(良:1票)
19.  草の乱
「困っている人々」や「阿漕な高利貸し」「横暴な官吏・司法」の姿がほとんど描かれず、さらっと撫でるように話が進んでいくので、困窮、逼迫のほどが伝わってこず、ゆえに音楽ばかり勇ましくとも義戦であるという理屈は分かっても引き込まれる説得力に乏しく、高利貸しを焼き討ちする場面では単なる暴徒との印象さえ受けた。 困民党の幹部たちもひたすらに場当たり的で、とりあえずひと暴れしてみたものの「官軍が来るぞー、わー逃げろー」という感じになってしまっており、総理が洞穴の中で「俺たちはよく戦った」と独りごちても「は?」という感想しか湧いてこない。最後に大砲を一発撃って解散するなどというのは論外で、あれでこの事件が「単に世の中を引っかき回して生き生きとしてみたかった幕末青春物語」に似たような心性にのものに堕してしまっている。 これほどまでに大規模な反乱が起こるほどの世情、時勢とはどのようなものだったかという描写もほとんどない割に、とってつけたように出てくる山県有朋や伊藤博文のステレオタイプな悪役像にも鼻白む。 決定された歴史の中で最後に破局が待つ場合、このような映画ではいかに憐憫、哀惜、悲憤の情を喚起するかが肝だと思うが、この映画はそれに完全に失敗していると思う。音楽だけ哀切でもしょうがない。 この事件に本当に向き合うと、もしかするともっと長尺で、複雑で、陰惨な話になるのかもしれない。それは商業映画向きではないのかもしれない。だけどそれを真正面から描く覚悟がないならはじめから扱うべきではないと思う。これならドキュメンタリーを観た方が、変な印象を与えないだけずっと良い。
[DVD(邦画)] 3点(2014-11-15 02:34:07)
20.  マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙
真正面からの政治ドラマを期待していたので、老耄したサッチャーの内的世界にスポットを当てた作風はちょっと肩すかしを食った。保守的なイギリスで庶民出身、女性という立場に伴う様々な苦労、政治家サッチャーと家庭人マーガレットを両立できない苦悩、それらは老耄を絡ませなければ描けないものだったのか? なんかリベラル派が多いという映画界が「庶民を虐げながら仮初めの栄光に浸ったサッチャーも、結局は独り相撲を演じていて追い落とされた末にボケ老人になってしまいましたとさ(笑)」と言っているような底意地の悪さを感じると言っては穿ちすぎか。 そもそもこういう描き方(「勝手に想像した」内的世界に基づく人物像)は、人物が完全に歴史上の人物となって初めてとられるべき手法で、あまりにも無神経さを感じ、遺族が「左翼のファンタジー」と不快感を示したというのもむべなるかなと思える。点数はメリル・ストリープの演技に全部振りたい。
[地上波(字幕)] 5点(2014-03-22 14:51:32)
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