1. 3時10分、決断のとき
《ネタバレ》 西部劇を劇場で観るのは初めてだったと、気づかされた。幼少期に出会ったジョン・ウェインもイーストウッドも「金曜ロードショー」のTV画面の中だ。 本作のオリジナルは当然未見。 「生きている限り、人を殺めてしまう生地獄を味わう男」の葛藤を、ラッセル・クロウが見事に表現している。本来は悪役が似合わないであろう彼が、「悪党になりきったはずの善人」を演じる事で、観客はラストに向けての展開に胸ときめかせる。果たして彼は、親子を見殺しにするのか否かと。 その彼の生地獄に一筋の光明をもたらしたのが、生い立ちは違えど幼少期の自分に瓜二つの少年であり、彼はその魂に“救い”を賭けた。 西部劇にスターは一人で良い!とにかくカッコよければ良い!ベン・ウェイドという男の物語として、すっかり私は取り込まれてしまった。 痛快・衝撃・落涙のラストシーンに、昔の「シェーン、カムバック!」以来の感動を呼び戻してもらった。 [映画館(字幕)] 10点(2009-11-16 03:31:04)(良:1票) |
2. グラン・トリノ
《ネタバレ》 うぅ。。。ハリーだったら蜂の巣にされても立ち上がり、鬼神のごとく悪党共を殲滅したのに・・・ウォルトは2度と起き上がる事はなかった、優しい表情のままで・・・ 切なさと清々しさをスクリーン一杯に湛えた名作です。ストーリー自体は極めてシンプルですが、近年のイーストウッド監督作が描いてきた戦中・戦前の「家族愛」「人種の壁」を、病める現代アメリカを舞台に、強烈に更に重く訴えかけてきています。 家族にも持てなかった絆を、人種を超えて手に入れられた喜びとその裏腹にある危うさ。すべての価値基準がモノと金になった殺伐としたアメリカ社会において、人間同士の心の交流の可能性を求めて止まない監督の姿が見えます。 超大国となった代償に失ったモノ。ビッグスリー凋落の今、輝けるアメリカイズムを引き継げる者は、名車グラン・トリノを操る移民の少年なのか・・・と。 現代日本にも通じる警鐘です。 [映画館(字幕)] 10点(2009-05-15 02:25:41)(良:1票) |
3. エグザイル/絆
《ネタバレ》 脚本なしである。監督の頭の中の物語があるだけで、すべては現場スタッフの直感によってここまでの映画が完成するとは!日本人が作れば、三流Vシネマになるだろうに・・香港映画恐るべし。 全編に流れる緊張感は、手持ちカメラの多様と共に、俳優陣の鬼気迫る演技に拠る処が大きい。極めて少ない台詞が、無言の表情の演技を更に際立たせる。テーマは「友と約束」。昔のヤクザ映画にありがちな主題が、かえってノスタルジーを揺り起こす。直球勝負の漢(おとこ)の為の漢(おとこ)の映画。最期の銃撃戦のシーンを私は一生忘れないだろう。 [映画館(字幕)] 10点(2009-02-01 02:33:55) |
4. パコと魔法の絵本
《ネタバレ》 ディズニーもティム・バートンもびっくり! “下妻~嫌われ松子”と連なる中島監督の世界観が、「ジャパニーズ・ブラック・ファンタジー」としてひとつの到達点を極めた作品だと思います。鮮やかな原色が織りなす色彩絵巻(ニナミカイズムと私は呼ぶが~蜷川実花)と奇天烈なファッションの数々。実写&CGの奇妙なアナログ的融合。まず日本国内でしか通用しないであろうギャグの乱発。一歩誤れば、単なるグロ映画で終わる処を、小川洋子の「博士の愛した数式」を彷彿させる題材を下地に、名優達による迷演技が「パコの清楚・処女性・永遠性」を際立たせ、涙を誘います。クールジャパン・カルチャーの第一人者として、中島監督が世界に羽ばたくであろう次回作に夢が広がります。しばらく、ザリガニ魔人のオドロしいCGとパコの扁平な爪が頭から離れませんわ・・・ [映画館(邦画)] 10点(2008-11-02 23:49:23) |
5. スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
思えば27年前。高校時代の初デートが当時話題の「スター・ウォーズ」。隣の彼女の手をいつ握ろうかずっと思い悩んでいるうちに映画は終わっていた。思えばこれがエピソード4。時代は移ろい、エピソード1を家族全員(妻は初恋の相手ではないが)で鑑賞し、この世紀の完結編をオールナイトでひとり寂しく観る中年おやじ! 名作は自分の人生の一こま一こまを映し出してくれる鑑であると再認識すると共に、30年の歳月をかけての偉業を成し遂げたルーカスに惜しみない賛辞を贈りたいと思います。 [映画館(字幕)] 10点(2005-08-18 23:27:48) |
6. エターナル・サンシャイン
《ネタバレ》 過去の恋人の記憶を消去できるという非現実的な設定を、ストーリーが進むにつれ、自然と受け入れてしまう。ひとえに脚本の見事さか、俳優陣の名演技の賜物か? 時間軸の目まぐるしさで観客を小パニックに陥らせ、ラストでため息をつきながらの種明かし。さすがカウフマンというべきか。 手持ちカメラの多用とCGを極力排した映像は、最近の大作には見られない、身近な緊張感を醸し出し、場面場面での少々ウイットの富んだ音楽の挿入が更に花を添えている。 「タイタニック貴婦人」「スパイダーマン妻」は過去の大役のイメージを払拭する素晴らしい演技。2人が直接絡む場面はないが、火花散ってます。(それにしても最近のウィンスレットは単なる垂れ乳ネェサンなんだが、いい色気を出すね。きっと私生活が充実~二人目の旦那メンデス監督のおかげ~しているのでしょう。) 主要スタッフの映画に対する勘所のベクトルが似ているようで、何とも言えない調和を感じる作品。何度見返しても新しい発見があり、何度でも同じ場面で鳥肌が立つ映画。 「バニラスカイ」同様、この手の映画は大好き! [映画館(字幕)] 10点(2005-05-23 01:19:27)(良:1票) |
7. ネバーランド
子供の頃、旅行先で吹雪の為、ホテルに缶詰になり翌早朝にようやく外に出たら、あまりにも美しい純白の世界を目の当たりにして思わず目頭が熱くなった事があります。そんな映画です。 10点(2005-01-19 03:12:47) |
8. ゴッドファーザー
30年振りに劇場で観た。(リマスター版とやら)中学生時に衝撃的だった殺しのシーンや心臓ドキドキのラブシーン(ほんのわずかだったが)が今は自然と受け入れられる。この30年の映像の過激化に麻痺したか、年齢による感受性の衰えか?逆に当時感じなかったブランドの演技力に圧倒、カメラワークに脱帽、音楽に共感。映像社会を変えた記念碑的な作品です。(私の映画人生の中でも) 10点(2004-07-19 12:16:05) |
9. ビッグ・フィッシュ
縁あって関わった人達すべてを幸福にしてしまう主人公。そんな力は私にはないが、せめて縁あって一緒になった女房ひとり位は幸せにせにゃいかんな。 10点(2004-07-19 11:26:53)(良:1票) |
10. バタフライはフリー
若かかりしゴールディ・ホーンの白い下着姿が眩し過ぎる。ストーリーのほとんどがアパートの一室を観客が覗き込むようなセッティング、しかも二人芝居が基本。低予算の劇団芝居を観ているような錯覚に陥るが、主要3人物の演技が素晴らしい。盲人の恋のトキメキと挫折を見事に表現したアルバート、過保護の母親役のヘッカートの渋い演技は映画全体をピリッと引き締めている。そしてホーンの天真爛漫・天衣無縫~これぞお気楽オンナの生きる道~といった、女性本来が持つ悪魔的かわいらしさを遺憾なく演じている。隠れた名作!個人的にはキューティ・ブロンド 病に罹った記念碑的な作品。日本女性がいくら髪を染めてもネイティブの魅力には勝てません。もちっと個性を大事にしよう、ガンバレ・ニッポン! 10点(2003-11-14 02:45:15) |
11. メリーに首ったけ
頭からっぽにして観られる最強B級コメディー。笑いのセンスは人によって別れるけど…「チャリーズ~」や「クリスティーナの~」ほどキャメロン・ディアス自身はお下品でないところが好きだな。廻りの馬鹿モノ共との対比で彼女の美しさはフルスロットル! 10点(2003-09-10 00:21:26) |
12. バニラ・スカイ
騙されたと思って3回は観て欲しい映画です。私も当初はペネロペ観たさのみでしたが、3度目には涙が止まりませんでした。素晴らしいラブロマンスです。キャメロン・クロウの映画へのこだわり方は好きだなー。 10点(2003-09-08 02:06:57) |
13. ディア・ハンター
「To Nick」で感涙。立てませんでした。 10点(2003-09-08 01:51:15) |
14. ミッドナイト・エクスプレス(1978)
最新作の「ライフオブ~」を観た後、25年ぶりに見直してみた。蘇る戦慄!空港での心臓音、男同士のシャワー、恋人との面会室、ゆっくり走り出すラスト…虚無感と爽快感をじっくり味わえる名作。 10点(2003-09-08 01:18:04) |
15. 瞳の奥の秘密
《ネタバレ》 『TEMO』(I FEAR)というメモに、永年壊れたタイプライターで打てなかった文字『A』を書き足したら・・・『TE AMO』~I LOVE YOU~に変わった。。。これでトドメを刺されました。 映画の面白さが凝縮された作品! [映画館(字幕)] 9点(2010-10-05 01:12:16)(良:1票) |
16. インセプション
恐い夢から無理矢理”ジャンプ”して目が覚めたと安堵していると・・・そこはまだ夢の中だった。。。 誰しもが経験している小さな恐怖を逆手に取っての大活劇!「エルム街の悪夢」や「パプリカ』等で描かれたような夢絵巻を最新技術を駆使して臨場感溢れる映像に昇華させ、個性溢れる俳優陣と迸る音楽がそれを支えるノン・ストップ・SF・アクション・ミステリー!! 「欲張り過ぎ、詰め込み過ぎ」というなかれ。ここまで映画の愉しさを味わせてくれれば、制作費の「注ぎ込み過ぎ」も納得できますわ。お見事!!! [映画館(字幕)] 9点(2010-07-31 21:49:23) |
17. 母なる証明
《ネタバレ》 オープニング・・・けったいなオバハンの踊りに=??? 前半・・・溺愛母子の関係に=嫌悪感 同じ布団で寝るな~! 中盤・・・燃える母さん刑事に=拍手 あなたは中村玉緒(流石姫子)か! 後半・・・真犯人判明と急展開に=驚愕 嫌な予感はしてたが、このオチかぁ!!! エンディング・・・安息の訪れた母子に=嗚咽 母さん、もっと踊りなさい。。。 非常に、非情に、疲れる素晴らしい映画です。 [映画館(字幕)] 9点(2009-11-11 02:24:20)(良:1票) |
18. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
~旧エヴァ補完計画~ オリジナルのエッセンスを残しつつの斬新なリメイク(ストーリー・キャラ共に)が、飛躍的な作画技術の進化を得て、『エヴァオタ』の心を大きく揺さぶります。ファンの予想・期待を良い意味で大きく裏切ったこの作品に、金儲け主義の単なる旧作の焼直しではない、製作者側の良心と「エヴァは生き続ける!」という強い意志を感じました。 近年のキャラ販売等のエヴァ商法には辟易する感が強かったが、この作品は納得です。 そう言いつつ、綾波会いたさに「パチンコエヴァ」を打ち続ける私は、完全に嵌められている? [映画館(邦画)] 9点(2009-08-10 01:54:36) |
19. ウォーリー
《ネタバレ》 ピクサー映画はなんとなく敬遠しており、まともに観たのは今回が初めてでしたが・・・ 絵作りの巧さに感激しました。特に前半部のウォーリーとイヴの二人?芝居は、チャップリンの無声映画を彷彿させる。ロボットの微妙な感情?表現と美術館級のCGの美しさ。そのシチュエーションごとに切り替わる挿入音楽との調和。まさに「プロの仕事」! 後半からは「2001年宇宙の旅」をパロってのドタバタ劇になるのだが、キューブリックより遥かに理解しやすい素直な構成に好感度。 退化と進化を繰り返す人類と、進歩の過程で“人間らしさ”を醸成してしまったロボット。創造主が自ら作り出した機械から「人類のアイデンティティ」を啓示される大いなる皮肉を、さらりと描いています。映画好きの大人ほど十分楽しめる秀作です! [映画館(字幕)] 9点(2009-02-11 01:51:00)(良:1票) |
20. 歩いても 歩いても
《ネタバレ》 冒頭の昼餉の支度のシーンから胸が熱くなります。誰でも抱えそうな家族の問題を、さりげなく描いていますが、ここまで自然な姿に凝縮するのは、並大抵な演出の手腕ではないですね。キャスティングが秀逸。「あ~似てるね、やっぱり親子だね。」と思わせる俳優陣の取り合わせと演技(樹木+YOU、原田+阿部)、後妻の微妙な心境を演じきった夏川。「誰も知らない」の毒と汗の部分を奥深くにしまい込みつつ、たまに人間の醜い本質を見え隠れさせる処がまた憎い。ちょっとすれ違う親子の心のふれあいが、主人公の年代に近い自分にも重なり、もの悲しくまたほほ笑ましく・・・本当に親子の関係とは、ちょっとづれてしまうものですね。 優しい気持ちになれる映画でした。 [映画館(邦画)] 9点(2008-08-20 02:25:02) |