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1.  春の日は過ぎゆく
とってもよかった。「8月のクリスマス」や「リメンバーミー」で有名なホ・ジノ監督最新作。せりふらしいせりふが少なく、音や空気の流れ、会話と会話の微妙な間で最大限に情感を表現。好きだな、こういうの。一般的に韓国人というと「気性が激しい」「性格がはっきりしている」などのイメージでとらえられがちですがこの映画は、とても韓国人らしい部分を引き出していると思う。私の個人的な韓国人イメージは「かなりロマンティック好み」「ソウルの人は田舎好き、山とか森とか、小川にあこがれてるみたい?」「男は見た目強そうだけど、実は気は弱い人が多い」「女も大人っぽい外見に反して意外に幼く、かわいらしい子が多い」「いつもははっきりしてるのに、肝心なところで本当の感情を隠してしまう(言えない)」といったところでしょうか。そういうのがよく出てます。それから、いままでの韓国映画は、日本の昔のトレンディドラマみたいに「20代一人暮らしサラリーマン、、OLがこんな所に住める??」っていうような、ちょっと無理してる感じがあったけど、「春の日は過ぎゆく」では、生活感があふれている。現代的な乾いた生活と、韓国にまだまだ残る儒教的生活を同時に見せることによって、とても身近に感じることができる映画に仕上がっています。また、さりげない季節の移り変わりの感じさせ方もいいな。ご覧いただくにあたってのインフォメーションを少し。主人公男の子が住むのは、ソウル郊外の街。韓国ではソウル中心を出ると「田舎」のイメージが強い。家も古びた感じで韓国らしいつくり。一緒に住んでいるのは叔父、叔母、祖母。韓国では親戚縁者が長男宅に住み、家族同然に暮らしていることがとても多い。また、老人痴呆について描いているのはこの映画が初めてではないだろうか?韓国は日本より老人の数が少ないが、(平均寿命も低い)そろそろ高齢化社会について考える時期にきているのかもしれない。恋人の女の子は、ソウルから高速バスで約4時間の「カンヌン」という所。「ソラクサン」という山があり、有名な観光地で四季を通して美しく、風光明媚な場所です。ただ日本と違って、観光地と言えどもめちゃ田舎です。だからほんと長距離恋愛です。特にカンヌンへの荒涼とした山の間を延々続く道は、目的地によほど期待するものがない限りは、なんだかわびしくなってしまう。一人暮らし用のアパートに住んでいますが、これもごく一般的な韓国での一人暮らし用のつくりになっています。韓国ではまだ、独身女性の一人暮らしは日本ほど多くなく、(下宿は多いが。女性の就労賃金が比較的低いこともある)他人は「何か理由があるのかな?」と思うようだ。それから、恋人同士が訪れる寺は、韓国人では知らない人がいないくらい有名。境内に黒い竹が生えていることが名前の由来になっている「オジュッコン」という所。韓国紙幣にも、のってる(確か10000ウォン??)主人公の祖母役の女優さんと、恋人役(JSA出演)の女優さん、とってもいいです。祖母の名ぜりふは聞き逃す事なかれ!!この辺のツボがわかれば、おもしろく見られると思います。
8点(2002-11-19 16:22:58)(良:2票)
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