ユナイテッド93 の ドラえもん さんのクチコミ・感想

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ユナイテッド93 の ドラえもん さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ユナイテッド93
製作国,,
上映時間111分
劇場公開日 2006-08-12
ジャンルドラマ,サスペンス,歴史もの,実話もの
レビュー情報
「再現ドラマのお手本」あるいは「再現ドラマの極致」。本作をひと言で形容すると、こう言ったところだろうか。秀作の多い今年、そんな中でも本作は特筆すべき作品と言っていいだろう。9・11における無差別テロ攻撃で、標的としてのホワイトハウスへ向けられていたと伝えられているのが、本作に登場するユナイテッド93便。唯一、テロ攻撃が回避されたとされる旅客機であるが、それは単にホワイトハウスへ突っ込まなかったと言うだけの事で、結末は周知の通りである。本作はその顛末を、当時の関係者からの証言などに基づく膨大な資料を微に入り細にわたり分析し、出来得る限りの想像力を働かした結果、“彼ら”しか知り得ない出来事を忠実に再現し、最も真実に近付けたものである。ハイジャックされた機内と管制塔だけの密閉された空間だけのドラマだが、ポリティカル・サスペンスとしての驚くべき迫真性は、映画を観ていると言う事を暫し忘れてしまうほどである。それは純粋な映画でありながら、著名な俳優を一切起用しない事でドキュメンタリー性がより強調され、ノンフィクション・ドラマとしての一貫性を齎せているからに他ならないからである。また、結末云々の映画ではない事は観客の誰しもが認識しているが、それだけに興味を繋いでいく演出力が殊更要求されるものはなく、そういう意味に於いてもP・グリーングラスの緻密な計算に裏打ちされた演出手腕は並外れたものであり、高く評価されるべきである。国家やイデオロギーが違うという理由で、立場を異にする人間たちを描いた本作は、民間人とテロ集団という対立軸の構図をとりながら、どちらに比重を置く事もなく、一つの運命共同体として、そして双方をあくまでも一人一人の人間として描いている点が最大の特徴だと言える。緊張・動揺・躊躇・不安・恐怖・覚悟。行動を起こす方も、被る方も、極限状況で究極の選択を迫られたとき、人間は人間としての当然あるべき感情を露わにする。最悪のシナリオを未然に防ぐ為、勇気を振り絞って闘った人々の白熱のドラマの面白さと、現実の結末とのギャップに虚しさを覚えずにはいられない。何が正義で何が悪であるかは、映画ではついに語られる事はない。それ自体むしろ意味のない事なのかも知れないからだ。しかし、本作は“人間の真価”を問うた秀作である事だけは間違いない。
ドラえもんさん [映画館(字幕)] 9点(2006-10-28 18:16:51)(良:3票)
ドラえもん さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2013-04-06007/スカイフォール5レビュー6.50点
ダイ・ハード/ラスト・デイ8レビュー4.83点
2008-05-06長江哀歌8レビュー6.04点
2007-10-18ツォツィ9レビュー6.26点
2007-07-29世界最速のインディアン9レビュー7.41点
2007-07-29ブラックブック8レビュー7.43点
2007-04-29ポセイドン(2006)7レビュー5.87点
2007-03-18ディパーテッド9レビュー5.98点
2007-02-25それでもボクはやってない10レビュー7.60点
2007-02-18単騎、千里を走る。6レビュー6.64点
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