リリイ・シュシュのすべて の まさかずきゅーぶりっく さんのクチコミ・感想

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リリイ・シュシュのすべて の まさかずきゅーぶりっく さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 リリイ・シュシュのすべて
製作国
上映時間146分
劇場公開日 2001-10-06
ジャンルドラマ,犯罪もの,青春もの,音楽もの,小説の映画化,ネットもの
レビュー情報
《ネタバレ》 この作品(というかこの監督)に関してはレビュー点の付けようがないなあと思ってずっと避けてたんですが、レビュー500本近くなってきたので踏み込もうと決意。もう何度も観てる作品なんですが、「映像だけで作品を語れる術」を持っているのは、北野武と岩井俊二だけだと思います。セリフや音楽一切無しでも魅力的な映画を魅せられるのは実力だと思いますし、素人のようなカメラワークは、逆に見ている側もまるでそのコミュニティにいるかのような錯覚を感じさせます。この作品も、まるで現在のいじめ社会を象徴するかのようなリアリズムで観ていてとっても痛いのですが、田舎の綺麗な風景と残酷なまでのイジメ、逃げられない中学生という狭いコミュニティでの窮屈さと、田園の中で目をつぶり、リリィ・シュシュの音楽を聴きながら現実逃避する対比。マジメで優等生で男子にも人気のある伊藤歩演じる生徒がレイプされ丸坊主になったり、岩井監督映画の象徴とも言うべき蒼井優演じる女性も、売春を繰りかえしながら必死に自分の存在意義を求める。灰色の日発足後(犬伏の前でナイフを見せた教室のあの日)忍成君演じる星野の世界になった灰色を、最後は市原君演じる蓮見が、同じようにライブ会場外でナイフで決着を着ける。全てがリアルであり、それでいて無味乾燥な映像に、もう数回観てるのにまた胃が痛くなりました。とは言ってもこんな作品、他の実力の無い映画監督ではとても撮れないし、この監督特有の、まるでカメラの前に霧をかけたかのような「残酷なメルヘン」の世界は日本に留まらず海外での評価も肯けます。わざと嫌悪感を持たせる作品ながら、役作りとは思えない登場人物のセリフ回しも相まって、本当のリアルがここにあるんだなと今回も感じました。いじめや理解の無い大人の多い世界に苦しむティーンエイジャーにとって、この作品のように、共感できる歌手に救いを求められたら、不幸中の幸いだと思います。ラスト、まるで市原君が首をくくって自害したかのように見せるカメラワークは、岩井監督としては希有なユーモアセンスある演出を感じました。
まさかずきゅーぶりっくさん [ビデオ(邦画)] 7点(2006-12-17 19:53:37)
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投稿日付邦題コメント平均点
2023-11-12サンゲリア22レビュー3.54点
ザ・リッパー7レビュー6.00点
バーニング・ムーン4レビュー4.00点
2023-07-03愛に関する短いフィルム8レビュー6.90点
2023-04-23アライバル-侵略者-6レビュー5.02点
2023-04-15ザ・グリード6レビュー5.87点
2023-04-15獣の剣5レビュー5.00点
2023-04-09御存じ いれずみ判官7レビュー6.00点
2023-04-08仕掛人・藤枝梅安28レビュー7.60点
2023-04-06グリーンランド -地球最後の2日間-7レビュー5.05点
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