羅生門(1950) の ひのと さんのクチコミ・感想

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羅生門(1950) の ひのと さんのクチコミ・感想
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白黒映画を撮る上で東洋には、西洋にはない強みがある。それは白と黒の色の美学だ。東洋には水墨画という伝統美術がある。それは、完全な白と完全な黒との間の無限の灰色の一色一色全てにそれぞれの意味を見出すというもので、白と黒が持つ無限の美学と可能性を畏怖する思想だ。だからこそ日本は前提的に、白黒映画を武器に出来た。黒澤監督はそれを誰よりも分かっていた。だから、1つ1つの色彩に偏執的なまでにこだわり、結果的に作品中に1つの宇宙を作り出した。無限の美学。この作品の色彩の美しさには紡ぐ言葉もない。木立にも、光にも、百姓が着るボロ服の中にも美学がある。この作品の中に剥落するものなど何もない。必要なものは全てあり、不必要なものは何もない。事象全ての凝縮体のように思う。限りなく瑣末な人間模様、滑稽劇の中に、1つの宇宙がある。人間の弱さ瑣末さ矮小さ、人間が卑小であることに対する、1つの赦しがある。
ひのとさん 10点(2004-02-06 15:41:58)(良:6票) (笑:1票)
ひのと さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2008-04-22300 <スリーハンドレッド>4レビュー6.07点
2006-12-03アワーミュージック7レビュー7.27点
2006-07-14隣人13号7レビュー5.46点
2006-06-08ショーン・オブ・ザ・デッド6レビュー7.18点
2006-06-08レプリコーン2レビュー3.00点
2006-06-03LOVELY RITA7レビュー5.00点
2006-06-03ケイナ2レビュー2.85点
2006-06-03EUREKA ユリイカ6レビュー6.05点
2006-05-15mute ミュート(2001)7レビュー5.66点
2006-05-15美しき冒険旅行9レビュー6.50点
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