オール・ザ・キングスメン(1949) の アイアン・バタフライ さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > オ行
 > オール・ザ・キングスメン(1949)
 > アイアン・バタフライさんのレビュー
オール・ザ・キングスメン(1949) の アイアン・バタフライ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 オール・ザ・キングスメン(1949)
製作国
上映時間109分
劇場公開日 1976-09-25
ジャンルドラマ,モノクロ映画,政治もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 ヒトラーなどに代表されるように、大衆煽動の基本といえば、敵を明確にした勧善懲悪的な主張を、誰にでもわかるシンプルな論理構成で仕立て、喜怒哀楽を表に出しながら、言葉はもちろんイメージなどビジュアル面でも訴える形で、何度も何度も繰り返す、というものです。そこに、庶民性をからませれば、なおよし。そして、政治で問われるべきは、手段や動機よりも結果(有権者の要求実現)だとする近代政治の大原則。さらには、一度でも権力の旨みを味わった人々は、たとえ「悪」と分かってはいても、権力の中心・周辺から容易に離れようとはしないという現実。それらをあわせて考えると、本作では、まさに政治の基本というものが忠実に描かれているといえるでしょう。この時期に、このような作品がアカデミー作品賞に輝いているという事実は誠に興味深い。第二次大戦中から戦後にかけて、ファシズム批判や研究が政界や学会を席巻したわけですが(現在でこそファシズムは民主主義の中から出現するものであるということが常識中の常識となっているものの)、当時はファシズムと共産主義とが(ともに民主主義の亜種であるにもかかわらず)全体主義という観点から、民主主義の対立項として同一視される風潮もありました。赤狩りもあった時代背景を考えると、本作=反ファシズム=反全体主義=反共=素晴らしい作品、という評価だったのでしょうか?(誰か知っている方、教えてください)それはともかく、本作で描かれる表面的な政治的汚職や全体主義政治批判が、すべてデモクラシーそのものに対する懐疑に直結するという事実は、決して看過されるべきではないでしょう。
アイアン・バタフライさん 8点(2004-04-04 09:44:39)(良:1票)
アイアン・バタフライ さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2004-05-22失われた週末7レビュー6.51点
2004-05-17雨の朝巴里に死す7レビュー5.00点
2004-05-16お熱いのがお好き8レビュー7.95点
2004-05-16パットン大戦車軍団8レビュー7.09点
2004-05-04サンセット大通り8レビュー7.63点
2004-05-03郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)8レビュー6.15点
2004-04-17東京物語8レビュー8.12点
2004-04-12波止場(1954)7レビュー6.31点
2004-04-12アメリカン・ビューティー9レビュー7.00点
2004-04-04オール・ザ・キングスメン(1949)8レビュー6.00点
オール・ザ・キングスメン(1949)のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS