鬼畜 の まりんこ さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > キ行
 > 鬼畜
 > まりんこさんのレビュー
鬼畜 の まりんこ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 鬼畜
製作国
上映時間110分
劇場公開日 1978-10-07
ジャンルドラマ,犯罪もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 なんとも点のつけにくい作品。子供の喋り方が嫌だとか、後半岩下志麻が出てこない所とかが嫌だ、とか色々気になるところはあるんですが、すごい映画です。
物凄く綺麗で紅い夕日と向かい合って、子供を海に落とす親。私はあのシーンがとても心に残っている。恐らく子供が産めない岩下志麻にとって子供は眼を逸らしたい存在である。ましてや手中にあると思っていた旦那が囲っていた女の子供。憎くて憎くて堪らないはず。しかし緒方拳は岩下志麻と違い、彼は彼なりに子を愛し、子も彼の事が好きだ。なぜ彼は殺さなければならなかったのか。
彼は自分で行動する事が出来ない。それは彼の出生に深く関わっていると思われる。生まれた時既に父親がおらず、長男と同じ歳の6歳の時に母親も消える。その後は親族の家を転々とし、どこでも厄介者扱いされ、飢えながら、1人ぼっちで生きてきた。それを大人になった今でも涙が溢れる程傷を負っている。きっと幼い頃の彼は、なるべく目立たないように、できるだけ小さくなって生きてきたんだと思う。印刷屋で働きだしたのも居候していたおじに奉公に出されたから、お給料は全ておじの借金に何年もとられる。自己の個性を出すスキなんてないし、自発性は更に消える。きっとそんな人生だったから岩下志麻の言われるままに子供を殺す。緒方拳はあの男の子と自分を重ね合わせていたと思う。更に彼は、子供があんな思いをするくらいなら今死んだ方が・・と思ったか(極めて自分勝手だが)、自分が向かい合いたくない過去を子供に見たからか、いづれかでも殺さなければと思った。しかし、何度も殺すチャンスがあったのに、彼は殺せなかった。あの怖いくらいの夕焼けに助けられないと殺せなかったのだ。それがとても悲しくて恐ろしかった。
あの子供が「おとうちゃんじゃないやい、よその人だい!」っていったのには胸が熱くなりました。はたして言葉通りの意味か、かばったのか‥。もしかしたら自分が捨てられたと思いたくなかったのかもしれません。なんにせよ悲しすぎます。
彼が子供が生きてて心底救われた事に、私自身も救われた。
あの生き残った男の子が、彼と同じような人生を歩まない事を祈るばかり。
まりんこさん [DVD(邦画)] 7点(2009-01-12 20:17:45)
まりんこ さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2011-05-05THE 4TH KIND フォース・カインド5レビュー4.04点
2010-10-28ホースメン6レビュー5.00点
2010-03-30●REC/レック(2007)7レビュー6.17点
2010-03-29カムイ外伝4レビュー4.14点
2010-03-15顔のない眼4レビュー6.59点
2010-03-15デトロイト・メタル・シティ7レビュー6.07点
2010-03-15岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 EPISODE I7レビュー6.95点
2009-08-01レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語5レビュー5.72点
2009-07-29何がジェーンに起ったか?9レビュー7.46点
2009-07-29トロイ(2004)5レビュー5.86点
鬼畜のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS