わたしに会うまでの1600キロ の かたゆき さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ワ行
 > わたしに会うまでの1600キロ
 > かたゆきさんのレビュー
わたしに会うまでの1600キロ の かたゆき さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 わたしに会うまでの1600キロ
製作国
上映時間116分
劇場公開日 2015-08-28
ジャンルドラマ,伝記もの
レビュー情報
《ネタバレ》 冒頭、何の説明もなされないまま、とある一人の女性が荒れ果てた荒野をザクザクと歩くシーンから始まる。同行者は誰も居ない。たった一人、いかにも重そうなリュックを背負い、見渡す限りの荒れ地をただひたすら歩いてゆく。聞こえてくるのは彼女の荒い息遣いと風の音のみ。日が暮れればテントを張りリュックの中から取り出した自炊用具でまずそうなお粥を作り腹を満たす。朝日が昇ればまた彼女は旅を再開する。来る日も来る日もひたすら歩き続ける。途中途中でチェックポイントのようなものがあり、どうやらこれが何らかの競技であることが分かってくる。そんな彼女の孤独な旅路に過去の辛い記憶がフラッシュバックされてゆくのだった。最愛の人の死、寂しさを満たすためだけのセックス、離婚、そしてヘロインへと溺れた最悪の日々。いったい彼女は何のために歩き続けるのか――。答えは、メキシコ国境からカナダにかけて徒歩で走破するパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)という競技。本作は無謀にもそんな過酷な競技へと挑んだ一人の女性の苦難と再生を描いたロード・ムービー。極めてシンプルかつ地味な映画でしたが、これがなかなか惹き込まれる佳品に仕上がっておりました。やはりそれは主役を演じたリーズ・ウィザースプーンの説得力ある熱演の成せる技でしょう。ほぼ全編を通して彼女の一人芝居が続くのだけど、その旅路が本当に辛そうで、実際に何か月もの旅路を追ったドキュメンタリーに見えるほどリアル。アカデミー賞の候補となったのも納得です。そして、その旅路にフラッシュバックされる過去の出来事も壮絶なもので、僕は彼女のそんな人生やり直し旅に思わず共感せずにはいられませんでした。そう、人生何もかもリセットして一休みしなきゃいけない時期ってきっとあるんですよね、誰にだって。厳しい雪道や途中で出会う男たちの卑しい目にも耐え、ただひたすらゴールを目指す彼女。心優しい仲間たちにも出会い、旅が終わりに近づくにつれそれまでのやさぐれた表情からどんどんと自然な笑顔となっていくのが本当に魅力的でした。でも、映画はそんな彼女のゴールまでを追ったりはしません。困難な人生はいつまでも続くということを表しているのでしょう。切ない余韻に満ちた美しいラストシーンでした。「コンドルは飛んでゆく」の哀愁に満ちた調べも作品にとてもマッチしていて印象的。地味ではあるけれど、なかなか良作と言っていい。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 7点(2017-01-01 18:26:26)
かたゆき さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-05-15終わらない週末8レビュー8.00点
2024-05-10REBEL MOON パート2 傷跡を刻む者6レビュー5.50点
2024-05-10ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語4レビュー6.50点
2024-05-04REBEL MOON パート1 炎の子7レビュー6.50点
2024-05-01ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE7レビュー7.37点
2024-04-26ザ・キラー7レビュー6.40点
2024-04-26バービー(2023)5レビュー6.73点
2024-04-20ブラックアダム5レビュー6.72点
2024-04-13エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス3レビュー5.72点
2024-04-10すずめの戸締まり7レビュー6.55点
わたしに会うまでの1600キロのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS