予期せぬ出来事 の せんべい さんのクチコミ・感想

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予期せぬ出来事 の せんべい さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 予期せぬ出来事
製作国
上映時間118分
劇場公開日 1963-09-01
ジャンルドラマ
レビュー情報
《ネタバレ》  空港を舞台に、様々な人々の人間模様が交錯する【グランドホテル形式の映画】。私は某映画館のリバイバル上映で観ました。しかも日本初公開当時のパンフレットも復刻しており、サラサラッと目を通した上での鑑賞。
 その復刻パンフレットを読んで興味深かったのは【解説文】です。主演二人の紹介の後、製作者のアナトール・デ・グランウォルド氏の名前が挙げられており「私はかねがね【グランドホテル】のような映画を作りたいと考え、夢が叶った」という趣旨の文面が掲載されていました。また、映画解説者・淀川長治氏の評論もあり、その中で「脚本を担当したテレンス・ラティガンは、女優どうしがぶつかりあわないよう配慮した」という趣旨の文面が載っていました。
 このように、当作品は「一流の役者を集め、衣装担当は、それぞれの女優さんにユーべル・ド・ジンバシイやピエール・カルダンといった一流のデザイナーを集め…後は、脚本は無難なものに。監督さんも卒なく現場を仕切って完成させてほしい…」とでもいうような【製作者主導】の映画と言えるのではないか…という印象を受けました。実際、鑑賞してみて「無難にまとまったお話だな。監督が自分の作家性を発揮すべく創りあげた作品とは、これほど違うとは…」とある種“勉強”した思いが残りました。
 そして、今回、当サイトのレビューを拝読し、↓の【Oliasさん】がおっしゃっている『登場人物と役者を揃えた時点で、制作側が目的を達してしまった』は、まさに“言い得て妙”だと思いました。

 このように【時代を越えて愛される名作】とは言えないものの…もし現在でも観る上でプラスの意味合いがあるとしたら…これはあくまで個人的な思いですが…【大空港:1970年】の鑑賞とセットになったときだと思います。【大空港】は、当作品と同様【空港を舞台にしたグランドホテル形式の映画】のはずなのですが、後続作品との兼ね合いで【パニック映画の先駆け・元祖】と誤解される場合が多いようです。DVDの宣伝文句もこの誤解を助長している印象を受けます。パニック映画として観た場合、人間模様は“パニックまでの単なる前置き”としか映らず「いつになったら、飛行機が飛び立って本題に入るのか…」とヤキモキが募りかねません。少なくとも私の場合はそうでした。
 一方、まず【予期せぬ出来事】を観て「空港を舞台にしたグランドホテル形式の映画とは、こういうものなんだ」と認識した上で【大空港】を鑑賞すると【人間模様に加え、ラストにパニック要素を盛り込むことで娯楽色を高めた作品】としてスムーズに観ることが出来るのでは…と思うのです。

 さて、採点ですが…これ自体では無難な作品という意味で“可も無く不可も無く”の5点だと思うのですが…【大空港を誤解なく観る上で役立つ】という意味合いをプラスし6点とします。製作者のアナトール・デ・グランウォルド氏からは「大空港の前座じゃない!無難につくるのだって大変なんだぞ!」と叱られてしまうかもしれませんが…。

*備考:【大空港:1970年】については、別途、レビューを投稿しております
せんべいさん [映画館(字幕)] 6点(2020-05-30 17:01:21)(良:1票)
せんべい さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2023-09-23Little DJ 小さな恋の物語8レビュー6.00点
2023-09-15ジャイアント・ウーマン6レビュー3.33点
2023-09-15妖怪巨大女2レビュー1.00点
2022-06-19光る眼8レビュー3.35点
2022-06-19続・光る眼/宇宙空間の恐怖8レビュー7.50点
2022-06-19未知空間の恐怖 光る眼8レビュー6.37点
2021-12-29雨に唄えば10レビュー8.08点
2021-12-04デューン/砂の惑星(1984)8レビュー5.65点
2021-07-24ファンタスティック・プラネット10レビュー7.34点
2021-07-24天国に行けないパパ10レビュー7.58点
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