X-MEN:ファイナル ディシジョン の エスねこ さんのクチコミ・感想

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X-MEN:ファイナル ディシジョン の エスねこ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 X-MEN:ファイナル ディシジョン
製作国
上映時間104分
劇場公開日 2006-09-09
ジャンルアクション,サスペンス,SF,シリーズもの,漫画の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 うわ、アリですかコレ! 原作・上田秋成!
思いっきり『雨月物語』第一話「白峰」ベースの戦闘。ウルヴァリンの台詞が西行の歌に重なり、すっげー泣かせてくれます。んでクライマックスの最後のシーンで、月をバックに雨を降らせたダメ押しには思わず拍手してしまいました(場内で一人だけでしたが…みんな雨月読もうよ面白いんだから…)。もちろん製作陣の「わかって引用してるんだよ~ん」っていうサインなんですな。

ちゃんとした評価としては、大黒柱の抜けちゃった作品&最終話という重責からか、監督は目立った仕事をしてません。推測ですが、マーヴェル社のスクリプターが描いた絵コンテをそのまま実写にしてる? アングルは今までの映画にないほどアメコミ的でした(作家性ゼロですが…)。実写とアニメの中間に位置するヒーローコミックとして観るべき絵作りですね。ただどうしてもアップが多くなっちゃうので息抜きできないのが厳しいところ。
テーマ的には、不運にもこのシリーズが背負ってしまった(だって1作目は2000年公開)「制御できないアメリカのパワー」についての様々なエピソードが積み重ねられ、コミックから少し深化した群像劇として、かなり劇的な語られ方をしていました。だからミスティークやマグニートーの「ケリのついた」後にほとんどセリフがなかったのが残念ですが、その分、活躍中に見せる演技が強烈。佳境を崇徳院発動(笑)でビシッと決める事を想定して、怨念を炙り出すシチュエーションが多かったのが、常連メンバーを一本芯の通った演技にしていました。
手にしてしまったパワーを捨てる事ができない弱さ、人間らしさが、観客の心を自然とX-メンたちから離します。ローグと、天使ボーイのエピソードが巧くそのあたりを括ってるかな。そして、今までは「敵」だったマグニートーの論理が、俄然と現在のアメリカ人にかぶってくる。人間から一歩離れた場所にいるスーパーマンとの立場の違いを(おそらく戦略的に)意識した結果の流れだと思います。これはアメリカ人の心象風景として培われてきたコミックの底力と言えるんでないかな(日本怪談で決着するけど)。
だからこそこの作品は、極めて正直に世界へ頭を垂れる結果になった。オイラには、「私たちが手にした力は、どうしても捨てる事はできません。ごめんなさい」と聞こえます。
エスねこさん [映画館(字幕)] 9点(2006-09-18 17:28:58)(良:3票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2019-10-14ジョーカー8レビュー6.85点
2017-06-12コードネーム U.N.C.L.E.6レビュー6.56点
2017-03-05インセプション9レビュー7.21点
2016-10-06君の名は。(2016)9レビュー6.97点
2016-08-10シン・ゴジラ9レビュー7.25点
2016-08-08理由(1995)4レビュー5.78点
2016-07-25ボーン・アイデンティティー7レビュー6.24点
2016-05-15ファースト・スクワッド7レビュー5.00点
2016-04-23マッドマックス 怒りのデス・ロード8レビュー7.72点
2016-04-17バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生8レビュー5.38点
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