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1081.  拝啓天皇陛下様 《ネタバレ》 
渥美清演じるヤマショウこと山田正助の物語を戦友・棟田(長門裕之)の視点から描いているが、軍隊というと普通は「人間の条件」でも描かれたような地獄のような日々を誰もが想像すると思うのにこのヤマショウという男は、三度の飯が食えて風呂にも入らせてもらえる天国のようなところだという。これだけで今まで相当につらい人生を送ってきたということが想像できるし、天皇陛下を一目見て親しみを感じ、いざ除隊というときになって覚えたての字で「ハイケイテンノウヘイカサマ」と天皇に軍隊に残してもらえるように手紙を書くシーンなどは思わずヤマショウに感情移入して泣けてくるし、棟田との友情も実によく、ヤマショウにとっても棟田にとってもお互いがかけがえのない存在であるというのが見ていてよく分かるし、とくにヤマショウにとって棟田という存在がどれだけ大きいかというのが見ていてものすごく伝わってくる。この二人の友情がきちんと描かれているからこそ、深みがあるものになっているし、名作と呼ばれるに相応しい映画になったのではないかと思う。渥美清の演技は寅さんとはまた違った魅力を発揮しており、渥美清という俳優が寅さんだけの役者ではないことを改めて感じられたし、まだ渥美清の「男はつらいよ」シリーズ以外の主演作を見るのが三本目だが、これは渥美清の「男はつらいよ」シリーズ以外でのいちばんのハマリ役だと思うし、「男はつらいよ」シリーズ以外での渥美清の代表作というのも異議など全くない。西村晃や加藤嘉といった面々も素晴らしかった。戦争を扱っているが、野村芳太郎監督はそれを前面に押し出すことなく、ヤマショウという一人の純朴で心優しい孤独な男を通して人間というものを見事に描ききっている。間違いなく日本映画の歴史に残る名作だ。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-08-13 21:28:53)(良:1票)
1082.  帰ってきた若大将 《ネタバレ》 
加山雄三のデビュー20周年を記念して作られたシリーズ18作目。このシリーズを見始めたのは植木等の無責任シリーズと同じ田波靖男がすべての回で脚本を手掛けているからという単純な理由だったが、とうとう最後の回まで来てしまい、感慨深いものがある。10年ぶりのシリーズ新作ということで、シリーズ過去作の映像が劇中に登場したり、若大将の部屋に大学時代の写真が飾ってあるのはやはりシリーズ集大成的な作品という意味合いがこめられているのだろう。ただ田能久のシーンは完全に同窓会的な雰囲気でしかなく、りき(飯田蝶子)の法事のシーン以外にもう少し見せ場が欲しかったところ。とはいえこのシーンは今回プロデューサーもつとめた加山雄三のりきへの思い入れが感じられる。(実際の加山雄三もおばあちゃん子だったらしい。)既に黒板五郎の風貌になってしまった青大将(田中邦衛)が相変わらずヒロイン(坂口良子)を口説きまくるのは見ていて痛々しいが、今回はなんと青大将自らがヒロインを若大将に譲るという結末で、最後の最後になって若大将との本当の男の友情を感じさせる終わり方をしているのが嬉しい。これでこのシリーズは本当に終了だが、シリーズの締め方としてはこれまですべての回を見ていれば、シリーズ作品ならではの味が感じられ、加山雄三や田中邦衛のこのシリーズでの長い長い共演で築いたであろう関係がそのまま出ていて、それだけであらためていちばん最後にこの映画を見て本当に良かったと思う。田中邦衛はこの後「北の国から」でも20年以上吉岡秀隆や中嶋朋子と共演していくことになるんだなと思うとつくづく息の長い俳優なんだなと思う。これで若大将シリーズはすべて見てしまったわけだが、すべて見終わった達成感とともに一抹のさびしさがある。
[DVD(邦画)] 6点(2012-07-12 12:08:33)
1083.  やじきた道中 てれすこ 《ネタバレ》 
先週見た同じ平山秀幸監督の「必死剣 鳥刺し」はシリアスな本格時代劇だったのに対し、それ以前に作られた本作は落語をベースにした道中もので肩の力を抜いて気楽に楽しめるコメディーに仕上がっている。冒頭から「近松物語」のパロディーに始まるのだが、そこからもう引き込まれ、一気に見てしまった。中村勘三郎、柄本明の弥次喜多コンビと小泉今日子演じるお喜乃のやりとりが見ていてなんとも楽しい。中でも柄本明のコメディアンぶり。この人は志村けんのコント番組でコントをやっていたことがあるのだが、この映画でも忠臣蔵の舞台で浅野をやっているシーンで松の廊下で吉良を刺してしまうなどコメディーリリーフとしての存在感はじゅうぶんで、大いに笑わせてくれる。お喜乃を演じる小泉今日子もハマリ役で、アイドル時代の主演映画「快盗ルビイ」(和田誠監督)で助監督だった平山監督が小泉今日子の見せ方を分かっているのか、既に40を超えているのにそれよりだいぶ若い役を演じていてもほとんど違和感をあまり感じないし、逆に魅力的だなと思った。ラスト近くで弥次さんが死んだ妻子の夢を見るシーンはほろりとさせられるが、「雨月物語」のパロディーのようでもあり、笑えるシーンでもある。とにかく本当に何も考えずに楽しむことができた映画だった。平山監督は「愛を乞うひと」や「必死剣 鳥刺し」のようなシリアスな映画もいいが、こういった肩の力を抜いて楽しめるコメディー映画のほうがより本領を発揮できる監督なのではないかと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2012-07-12 11:36:32)
1084.  ザ・ヤクザ(1974) 《ネタバレ》 
日本のヤクザを描いたシドニー・ポラック監督によるアメリカ映画だが、製作総指揮に俊藤浩磁、撮影に岡崎宏三、撮影所は東映京都という合作仕様。外国映画の中の日本と言うと日本人が見て違和感を覚える場合が多いが、この映画はその描写がかなりまともで、ロバート・ミッチャム演じる主人公と高倉健演じる元ヤクザとのドラマも見ごたえがあって面白かった。クライマックスの殴り込みのシーンはほとんど東映のヤクザ映画そのままな感じで、ドスを片手に敵と戦う健さんを見ているとハリウッド映画じゃなくて本当に東映の任侠映画を見ている感覚になり、少し妙な感じがするのも事実だが、ハリウッド映画でもヤクザを演じて様になっている健さんはやっぱりこういう役がいちばんのハマリ役なのだろう。ほかの日本人キャストも岸恵子(外国映画とはいえこの人をヤクザ映画で見るとは思わなかったなあ。)、岡田英次と海外の映画に出演経験のある人をキャスティングしていて抜かりがない。日本を舞台にしたアメリカ映画で健さんが出演というと「ブラック・レイン」が思い出されるが、こちらのほうが日本を描いたアメリカ映画としての出来は上のように思う。でも、ロバート・ミッチャムが指を詰めるシーンはちょっと笑ってしまった。
[DVD(字幕)] 7点(2012-06-28 15:54:57)
1085.  ロック ~わんこの島~
三宅島の噴火によって全島避難を余儀なくされた一家と、離ればなれになった飼い犬との絆を実話を元に描いた作品。「めざましテレビ」の「きょうのわんこ」で取り上げられたエピソードの映画化ということで、あからさまなテレビ局の企画もの以外のなにものでもなく、かなりオーソドックスなファミリー向け動物映画という印象。テレビ局主導の映画ゆえ仕方がないのだが、映画というよりはテレビドラマっぽく、どうせなら映画ではなく連ドラでやったほうがよかったかもしれない。子供目線のナレーションで物語が進んでいくが、その口調が子供らしくないのが少し気になる。(まあこんなものかもしれないが。)佐藤隆太と麻生久美子の両親役はなかなかいいコンビ。倍賞美津子は朝ドラ「梅ちゃん先生」でも主人公の祖母を演じていて、最近はこういう役が板につくようになってきたみたい。エンディングの小田和正の主題歌は良かった。
[DVD(邦画)] 5点(2012-06-26 17:42:08)
1086.  トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 
前作から11年ぶりに作られたシリーズ3作目。冒頭のアンディーが楽しそうにおもちゃで遊ぶシーンは自分もああいう頃があったなと妙な懐かしさに駆られた。そしてそのあと、成長したアンディーがおもちゃで遊ばなくなり、何人かの仲間は既にいなくなっているというのが切ない。自分が遊んでいたおもちゃは今でも物置にしまってあると思うが、どうなっているだろうということを考えてしまった。シリーズ今までの作品は娯楽活劇的な要素が中心であってもドラマ部分にも手を抜かないというつくりだったと思うが、今回はまず「アンディーとおもちゃたちとの別れ」というのがテーマであり、娯楽映画としての要素はもちろん健在だが、前2作よりもドラマ性が高くなっている。ラストシーンはアンディーのおもちゃたちへの思いというものが伝わってきて泣けるし、アンディーと同じくウッディたちもこれから新しい持ち主のもとで新しい人生を歩んでいくという結末が素晴らしく、シリーズ完結編としてはこれ以上ないほどのエンディングだろう。また今までのシリーズをすべて見ているからこそよけいにこみあげてくるものもある。公開当時は前作との間があきすぎだろうとも思ったが、今は成長して大人になった1作目の頃のアンディーと同じような子供に向けられて作られた続編と考えればこの長いスパンも納得できる。このシリーズはどの回から見ても楽しめるが、できれば1作目から順番に見てほしい。そうすればこのシリーズの本当の良さが分かると思う。
[DVD(吹替)] 9点(2012-06-21 15:33:28)(良:2票)
1087.  御用金
フジテレビが初めて映画製作に参加した作品で、監督は当時フジテレビの演出家だった五社英雄。あまりこの監督の映画は見ないのだが、この映画は娯楽時代劇としては普通に面白かった。ただ、ストーリーはけっこう重い話で、見終わってもスカッとしない部分があるのにつくりとしては軽い娯楽映画という感じなのでやや中途半端な印象は否めない。仲代達矢と丹波哲郎、それに神隠しで一人生き残った浅丘ルリ子の心情をもっと掘り下げるとかしていれば、ドラマに深みが出たのではないか。それでも、クライマックスの雪山での仲代と丹波の決闘は見ごたえがあるし、全体的に見ていて退屈はしない。仲代と旧知の浪人役を錦之助が演じているが、最初は三船敏郎がキャスティングされていて、実際に三船で途中まで撮影されていたんだとか。確かに実際見てみると特別出演のわりに仲代との絡みが少なくなく、この役は三船のほうが良かったのではないかと思えてしまう。錦之助は変に三船を意識することなく自分の演技をしているが、やはり三船で見たかったなあ。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-06-07 23:16:19)
1088.  吸血髑髏船
「吸血鬼ゴケミドロ」に続く松竹の特撮ホラー映画。この作品はSF路線には行かずにオカルトチックなB級ホラーというつくりになっているが、どうも白黒のせいか「昆虫大戦争」や「吸血鬼ゴケミドロ」よりもB級っぽく見え、話も支離滅裂な感じであまり面白くはないし。ただ、B級ながらも白黒のおかげかホラー映画という雰囲気はよく出ていたと思う。(骸骨とかコウモリとか明らかにちゃちいのだが。)この前年に「007は二度死ぬ」にノンクレジットのチョイ役で出演した松岡きっこが主演で、けっこう美人なんだなとか、その恋人役は去年自らが侵されたガンとの向き合い方で注目されていた入川保則だとかそんなことを考えながら見ていた。これで同時代に作られた松竹の特撮映画は一通り見たことになるのかな。いずれもがんばってはいたのだが、やはり松竹に特撮映画というのはどう考えても畑違いのように感じる。
[DVD(邦画)] 5点(2012-05-30 01:44:55)
1089.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
特に興味もなかった映画だったのだが、見ているうちにだんだんと引き込まれた。他人の子どもを赤ん坊のときに誘拐して育てながら逃避行を続ける女・希和子(永作博美)を描いた過去と、成長した娘・恵理菜(井上真央)の葛藤を描く現代が交互に出てくるが、二つのパートとも丁寧で秀逸なつくりで、日本映画らしい日本映画になっている。本当は永作博美演じる希和子は憎らしい存在なはずなのに、話がすすむうちにこの二人が愛おしく微笑ましく見え、本当の親子ではないことをつい忘れてしまうほどだった。それだけに希和子が逮捕されるシーンは切ない。赤ん坊を誘拐された家族にとっては一刻も早くわが子に戻ってきてほしいという気持ちは分かる、でも誘拐された赤ん坊にとってはこのまま本当のことを知らずに育てられるほうがしあわせかもしれない、ふとそんなことを考えてしまった。あまり出演作を見ていないせいか現代パートで主人公を演じる井上真央には明るいイメージがあるのだが、暗い過去を持ち、その過去を肯定するまでの主人公をうまく演じており、幅の広さを感じた。ラストの恵理菜の決意も泣ける。暗く重苦しい映画だが、女性の強さや希望といったものを感じられるいい映画だったと思う。また、現代の希和子をあえて出さずに終わったのはいい意味での裏切り。後半の舞台である「二十四の瞳」でお馴染みの小豆島(二十四の瞳映画村が撮影協力としてクレジットされている。)の美しい風景も印象的だ。おそらくここでの生活が二人にとってもっとも幸福な時間だったのではないだろうか。
[DVD(邦画)] 7点(2012-05-24 23:15:02)(良:1票)
1090.  吸血鬼ゴケミドロ 《ネタバレ》 
松竹の特撮ホラー映画。「昆虫大戦争」と同じ年の作品で、本作もかなり退屈な代物なのではと思っていたが、墜落したわりに飛行機の乗客生き残り多すぎでみんなピンピンしていたり、「昆虫大戦争」では吹き替え(納谷悟朗)だった外国人キャストのセリフが英語のままだったりする(しかも通じてなかった政治家が最後のほうになるといきなりバッチリ通じていたり・・・)など突っ込みどころ満載の展開ながらも思ったよりははるかに楽しめた。極限状態に置かれた人間模様を描いた前半は「マタンゴ」を思い起こさせるが、この部分は密室劇として普通に面白いし、ホラー要素なくてもこれだけで見ごたえのある映画にはなっていると思う。金子信雄の役柄が実にこの人らしい。宇宙からの侵略者が人間同士の争いに目をつけて攻めてくるのは当時の社会情勢に対する批判がこめられていることは明らかで、ラストが「昆虫大戦争」と同じような感じなのも合わせて考えるとやっぱり当時の時代性が感じられる。ところで、本来は子供向けに作られた映画らしいが、ドロドロの宇宙生物が割れた額から出入りするのは小学生くらいの頃に見てたら絶対にトラウマになりそう。
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-24 11:00:28)
1091.  櫻の園(1990) 《ネタバレ》 
はじまってしばらくはガールズトークばかりで少し冗長に感じていたが、不思議と退屈することなく、むしろ最後まで面白く見れた。演劇部の生徒役は全員がオーディションで選ばれたらしいけど、全員が初々しく、自分が馴染みのない役者ばかりなためもあってか、すんなりと映画に入っていける。また、中原俊監督の映画を見るのはこれが初めてだったのだが、映像が美しく、若い登場人物たちの描き方も秀逸。実際の女子校とはだいぶ雰囲気が違うのかもしれないが、男である自分でもこの女子校の雰囲気に憧れを抱かせてしまうのはすごいと思う。志水(中島ひろ子)と倉田(白鳥靖代)の同性愛的な関係が出てきたのには驚いたが、この二人が並んで繰り返し写真を撮るシーンはこの映画の中でも非常に美しく印象的で、まさに名シーンだと思う。全体を通して流れる「ショパンの主題による変奏曲」も効果的に使われていて、この曲だからこそこの映画の雰囲気も生きてくるのだと思う。人によっては好き嫌いは分かれるかもしれないが、個人的には見てよかったと思うし、じゅうぶんに佳作といえる映画だろう。あと一つ、上演が中止になるかもというくだりで、先生達にとっては毎年の恒例行事でも3年である自分たちには今年しかないんだと話すシーンは思わずそうだよねと感情移入してしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2012-05-18 22:33:18)
1092.  熱泥地 [短縮公開版]
市川崑監督の初期作品。短縮版のせいか唐突に感じる部分が多く、あまり面白いとは言えないが、娯楽映画としてはそこそこ。「黒い十人の女」でも見られたようなシャワーの演出など市川監督らしいタッチは既にこの頃から健在。主演は藤田進。東宝の映画でよく見る俳優であるが、主演作を見るのは「姿三四郎」二部作以来か。ヒロイン役の刀根はる恵がふてぶてしく、「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」のリリーの母親役の印象がある人だが、まるで別人のよう。東野英治郎がやけに若々しいなど出演している俳優を見るだけでも楽しい。ただやはり時間が短すぎて何か物足らない。ラストもやたら唐突でそれで終わりなのかよという感じだし。オリジナル全長版は残っていないのかもしれないが、残っているならいつか見てみたいと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-10 22:02:11)
1093.  復讐するは我にあり 《ネタバレ》 
今村昌平監督の代表作の一つで、実在の連続殺人犯を描いた作品。どうも濃そうで今まで敬遠していたが、今回やっと見た。前半の殿山泰司と垂水梧郎を殺すシーンから既に引き込まれた。主演の緒形拳は見事な熱演で主人公を演じていて、リアルすぎて怖い。実際の殺害現場で撮影したという今村監督のこだわったドキュメンタリータッチの演出も映画にリアル感を生んでいる。描かれる人間関係もどろどろとしていて、主人公を含め、主要な登場人物に誰ひとりとして感情移入できないが、わざとそういうふうに描いているようにも思う。今村監督の映画はあまり見ていないのだが、このどろどろとした人間を描くのが今村監督の持ち味というか特徴なのだろう。三國連太郎と倍賞美津子が緒形拳の遺骨を海にまくラストシーンは重々しく、投げた遺骨のストップモーションの繰り返しはこの主人公の執念を表しているようであるが、それがどこか喜劇的な演出であるというのがすごい。難を言えば清川虹子と小川真由美の親子が登場するあたりから少しダラダラ感があったのと、途中から時系列がよく分からなくなるのがマイナスだが、じゅうぶんな力作だと思う。全体的に重々しい映画であるが、川島雄三監督の映画の常連俳優であるフランキー堺が川島監督の助監督だった今村監督の映画に出演しているのはなんだか嬉しい。
[DVD(邦画)] 7点(2012-05-02 15:22:52)
1094.  激動の1750日
山一抗争をモデルとした東映のヤクザ映画。中島貞夫監督の映画は初めて見たが、オーソドックスなヤクザ映画という印象。主演の中井貴一は頑張ってヤクザ役を演じているが、どうも似合っていないし、ほかの出演者もなんか物足りない(渡瀬恒彦や岡田茉莉子など印象に残る役者がいないではないけど。)が、まあまあ面白かったかな。同じ監督と原作者の「制覇」のほうが見たいけど、機会に恵まれないのが残念。
[DVD(邦画)] 5点(2012-04-26 12:58:03)
1095.  女の一生(1967)
野村芳太郎監督がモーパッサンの名作文学を映画化した文芸作品。運命に翻弄される女性の波乱の人生を描いていて、それなりに見ごたえはあるものの、やや駆け足気味でドラマとしての深みはあまり感じられない。野村監督の映画での岩下志麻といえば「鬼畜」や「影の車」などで怖い役が多いイメージだが、この映画では若い娘時代から晩年に至るまでの主人公を演じていているのだが、違和感もなく演じきっているし、野村監督の映画でこういう岩下志麻を見るのは新鮮に感じる。しかし、左幸子のほうが演技力は上か。ヒロインの息子を演じる田村正和は若い頃の出演作を見るたび若いなあと思うのだが、独特のしゃべり方は今とまったく変わっていない。その恋人を演じるのが左時枝で、姉との共演シーンもあり、楽しませてくれる。この二人の共演は初めて見たが、齢が離れているゆえか、共演シーンが姉妹であることをまったく意識させておらず、この二人の共演も見どころのひとつとなっている。(この二人が親子役で共演する「かあちゃんと11人の子ども」が見たいなあ。)
[DVD(邦画)] 6点(2012-04-19 23:52:56)(良:1票)
1096.  大決戦!超ウルトラ8兄弟 《ネタバレ》 
平成ガメラシリーズのように怪獣が実在しないリアルな世界を舞台にしたウルトラマン映画だが、後半はいつもどおりのウルトラマンという感じになってしまっているのが少々勿体ないが、イベントムービーとしてはまあしょうがないか。しかし、「ウルトラマンメビウス」でも思ったが、この映画でもオールドファンを意識した脚本になっている。しかし、昭和のシリーズでの主人公とヒロインが夫婦の設定だったり、アキ(榊原るみ)が重傷を負うところまで再現していたり、当該のシリーズを思わせるようなセリフがあったりと多少やりすぎてしまったという印象は否めないし、1966年に小学生ぐらいだった子供が現代でもやたら若すぎるのは突っ込みどころ以外のなにものでもない。(ついでにいうと、ダイゴ、アスカ、我夢なんて名前の子供はあの時代にはいないだろう。)別の世界ではウルトラマンである登場人物たちにパラレルワールドでの記憶が宿り、変身するというのも強引に感じる。しかし、シリーズに少しでも思い入れがあればそこそこ楽しめるとは思うし、平成三部作(あまり見てないから思い入れはないに等しいのだが。)と昭和の4人が居並ぶ姿はやはり爽快。石坂浩二がナレーターを担当しているのもよくぞ引き受けてくれたという感じである。貶していたわりに最後にフォローを入れてしまったが、結局は自分がこのシリーズが未だに好きだってことだな。
[DVD(邦画)] 5点(2012-04-11 22:29:14)
1097.  カラフル(2010) 《ネタバレ》 
「河童のクゥと夏休み」のあとシンエイ動画を退社した原恵一監督がサンライズでてがけた作品。あまり期待が高かったというわけではないが、ファンタジーという体裁をとりながらも、人生をやり直すことになった主人公の葛藤や、主人公の家族の人間模様がリアルに描かれていて原監督らしい映画になっていると思う。描写もアニメというよりは実写に近く、作風としては原監督のデビュー作「エスパー魔美 星空のダンシングドール」に近いが、やはり原監督は「クレヨンしんちゃん」シリーズのような派手さのある作品よりもこういった作品のほうが得意なのだろう。この映画でも「クレヨンしんちゃん」や「河童のクゥと夏休み」同様に家族が一つのテーマとなっているが、野原一家や上原一家がなんの問題もない普通の家庭として描かれているのに対し、この小林一家は母親が不倫をしていたりと何かと問題を抱えた家族というのが興味深く、何回も出てくる一家での食事シーンも象徴的に感じられる。終盤主人公・真がひろかに向かって言う「人間にはいろんな色があっていい。おかしくて当たり前、いろんな自分がいていいんだ。」という言葉。ぼくもなかなか自分というものを肯定できない人間なので、聞いていて思わずはっとさせられ、とても共感できたし、もっと自分を肯定する勇気と自信を持って生きていきたいと感じた。タイトルからも分かるが、これがこの映画にいちばん込められているメッセージなのだろう。はっきり言って退屈なシーンもなかったわけではないが、見終わって素直に良かったと言える映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2012-03-15 15:13:05)(良:1票)
1098.  若大将対青大将 《ネタバレ》 
若大将シリーズの(一応の)最終作だが、これ本当に最終作のつもりで作ったのだろうかと思うほど適当なつくりで、岩内克己監督自らが「ブラボー!若大将」のオーディオ・コメンタリーで忘れたい作品と語っていたのがよく分かる映画になってしまっている。トップ・クレジットは大矢茂となっていて、前回登場した太田茂夫に田沼雄一から若大将のニックネームが譲られるのだが、冒頭に青大将の卒業式のシーンが描かれていたり、青大将の実家が登場するなど映画の中心人物として描かれているのは明らかに青大将で、加山雄三は出番が少なく、主人公が誰かすらもよく分からない状態。青大将がヒロイン二人を口説きまくるのだが、いくらなんでもそれがしつこく、演じる田中邦衛もイヤイヤやったんじゃないかと思うほどだ。田能久のメンバーが江口すらも一度も登場することがないのは「男はつらいよ」シリーズでとらやとその周辺の人物が一切登場しないのと同じようでさびしい。この10年後にもう一本作られているとはいえ、一応最終作として作ったなら田能久のメンバーもちゃんと出すべきだったんじゃないかな。
[DVD(邦画)] 3点(2012-02-29 18:45:59)
1099.  阪急電車 片道15分の奇跡 《ネタバレ》 
ローカル電車を舞台にそれに乗り合わせた乗客たちの群像劇。思ったより面白かったが、やはり出来としては平凡で、上映時間もやや長いか。西宮に住んでいる妹が「始まってすぐに泣いた」と言っていたが、確かにときどきほろっとくるエピソードはあるものの、感動というまでには至らない。ミサ(戸田恵梨香)と伊藤さん(南果歩)のシーンとか印象には残るし、脚本的にも頑張っているのだが、もうひと押し足らない感じである。中谷美紀は「ケイゾク」や「嫌われ松子の一生」での独特な演技が印象に残っている女優であるが、柴田や松子のキャラが強烈すぎるためか、役としてあまり印象に残らない。逆に宮本信子は品のある白髪の老人役を演じていて、伊丹十三監督の映画での彼女とは違う味のある演技を見せていて印象的だった。ラストシーンの翔子(中谷美紀)とミサの意気投合シーンは唐突に感じるが、できればこの二人のツーショットは「spec」で柴田と当麻として見てみたい。やっぱり無理かな。
[DVD(邦画)] 6点(2012-02-25 14:26:46)(良:1票)
1100.  ブラボー!若大将 《ネタバレ》 
若大将が社会人になって3作目。今回は若大将に最初から恋人(高橋紀子)がいる設定だが、冒頭で若大将がふられるという展開は今までなかったので妙に新鮮に感じるし、今までポジティブ一直線だったシリーズだが、今回は上司との衝突で会社を辞めた若大将の屈折や、田能久の金を使い込んでしまう江口などネガティブな部分が描かれていてこのシリーズらしくないといえばそうだが、逆にそれがリアルに感じられなかなか面白かった。前2作でスポーツを描かなかったのが不評だったのか、若大将が大学のテニス部に顔を出すエピソードが学生編を思い出させており、それによって若大将が元気を取り戻すのはこのシリーズはやっぱりこうじゃなくちゃと思わせる展開で見ていて心地よい。今までとは随分毛色の違う作品になっていて、教訓めいた部分もあるのでシリーズの熱狂的なファンから見れば好き嫌いがはっきりと出るとは思うが、ぼくとしてはこの回はけっこう好きだ。最近いろいろ悩んで落ち込むことが多かったので「悩まないやつなんかいないさ。」という若大将のセリフに元気づけられた。少し甘めだけど8点。
[DVD(邦画)] 8点(2012-02-16 17:51:13)(良:1票)
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