ヒストリー・オブ・バイオレンスのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。5ページ目

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ヒストリー・オブ・バイオレンス

[ヒストリーオブバイオレンス]
(ヒストリー・オブ・バイオレンス 愛と暴力の対立)
A History of Violence
2005年カナダ上映時間:96分
平均点:7.20 / 10(Review 97人) (点数分布表示)
公開開始日(2006-03-11)
ドラマサスペンス犯罪もの小説の映画化漫画の映画化バイオレンス
新規登録(2005-07-27)【rothschild】さん
タイトル情報更新(2019-08-17)【Olias】さん
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監督デヴィッド・クローネンバーグ
キャストヴィゴ・モーテンセン(男優)トム・ストール
マリア・ベロ(女優)エディ・ストール
エド・ハリス(男優)カール・フォガティ
ウィリアム・ハート(男優)リチー・キューザック
アシュトン・ホームズ(男優)ジャック・ストール
ピーター・マクニール(男優)サム・カーニー保安官
コナー・プライス(男優)キッド(ノンクレジット)
スティーヴン・マクハティ(男優)レランド
脚本ジョシュ・オルソン
音楽ハワード・ショア
編曲ハワード・ショア
撮影ピーター・サシツキー
製作クリス・ベンダー
デヴィッド・クローネンバーグ
ニュー・ライン・シネマ
製作総指揮トビー・エメリッヒ
配給ムービーアイ・エンタテインメント
特殊メイクステファン・デュプイ
特撮デニス・ベラルディ(視覚効果監修)
アーロン・ワイントローブ(視覚効果監修)
美術キャロル・スパイヤー(プロダクション・デザイン)
衣装デニス・クローネンバーグ
字幕翻訳風間綾平
その他ハワード・ショア(指揮)
あらすじ
町で良識人と知られ小さなダイナーを経営する主人公トム・ストール。自慢の娘と息子、妻と家族四人で仲睦まじく暮らしていた。そんなある日、トムのダイナーに銃を持った強盗が押し寄せる。しかしトムは怯まず殺人マシンの如き咄嗟の判断で強盗を殺傷する。このニュースが流れると、トムは町で一躍時の人となり名は全米に知れ渡る。そんな父の活躍に沸く族。しかしその幸せも長くは続かなかった。ある一人の男が来店するまでは。眼に深い傷を負っていてとても堅気に見えないこの男がトムに向かって言った。「お前、ジョーイだよな」。
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17.《ネタバレ》 『ヒストリー・オブ・バイオレンス』・・「暴力の歴史」から連想するのは「戦争」。この作品で戦争が語られることはない。でもその根源となる暴力のアメリカにおけるスタンスが露呈されていると思う。そもそも暴力によって獲得した地、、アメリカの歴史は暴力と切っても切り離せない関係にある。暴力が描かれているのに嫌悪感を抱かせないつくりになっている「西部劇」の構成をそのまま現代へ転化させ、家族を守るという大儀を与えられた主人公がとてつもなく強いガンマンさながらに超人的強さを見せつけながら敵を倒してゆく。冒頭で見せたモーテルでの暴力の醜悪さとは異にする「正しい暴力」によって。しかしこの映画は暴力を肯定していない。『許されざる者』のイーストウッドがそうであったようにモーテンセンの顔もまたただの人殺しの顔だ。暴力の世界にいた者は暴力に誘われる。暴力には暴力で解決させることしか出来ない。アメリカが抜け出すことの出来ない暴力の連鎖が描かれているように感じた。息子の「暴力の目覚め」もまたアメリカの抱える遺伝子の継承を意味しているのかもしれない。ラストシーンは感動的だ。しかし暴力を許さざるをえないアメリカを象徴しているようでもある。
R&Aさん [映画館(字幕)] 7点(2006-06-05 12:16:49)(良:3票)
16.容赦なく、えぐってくるよな話か? と想像してたんですが、それほどでもなく、けっこうあっさりに思えました。つか、非常にキュートなヴィゴさんに煙幕張られて、全てがキュートにしか見えなくなっちゃいました(笑)。皆さん言われてるように、冒頭の長回しのじりじり感が凄かったです。
ジマイマさん [映画館(字幕)] 7点(2006-06-02 22:42:39)
15.《ネタバレ》 この監督グロメイクが得意だからって、あんなグロい特殊メイクは必要なんだろうか?始めのモーテルのシーンだけで見てる人をぞっとさせることができるのに・・・。最後のシーンとかも誰も話さないけど、行動ですべて物語っていて良かったのに・・・。この映画ほど映画館で見たことを後悔した映画はなかった。ところで映画館で号泣してる人が何人もいました。スミマセン。私にはワカリマセンでした。どこで泣けたのでしょう?それを知る為にも、もう一度は見たい映画です。
さらさん [映画館(字幕)] 5点(2006-06-01 10:22:54)
14.《ネタバレ》 特に深い話ではないのだけれど、刺激的な描写が多くて飽きませんよ。冒頭のじっくり長回しで穏やかな雰囲気を作っておいて、グチャッといく所なんてうまいですね。昔すごく悪かったんだよ、と自慢したくなる過去が欲しい男の心理。それを、うまくついてるなと思いました。カフェの主人が暴力のプロ達をぎったんぎったんに懲らしめててしまうんだもの。それはもう、強いのなんのって。
チューンさん [映画館(字幕)] 6点(2006-05-23 20:10:56)(良:1票)
13.《ネタバレ》 バイオレンスもの好きとしては外せない映画が来た。流血するシーンとか残酷な描写があるという風に聞いていたが、パクチャヌク監督好きの自分にとっては別に何ともなかった。それより一番最初のモーテルをただ横移動するシーンが一番はかりしれない恐ろしさがあった。何か不吉な事が起きているけど、それが何かが分からない、というか多分推測できるけどその推測がいやだ。という導入部。その後はそれほどショッキングな事もなく、むしろヴィゴ・モーテンセンの淡々とした演技で静かに進んでいく映画だった。ただ今から人を殺す時にふっと風が吹いて空気が揺らいで、ヴィゴの瞳の色が一瞬変わるのだがそれを見た時にぞくっとした。静かに来たるべき時を待つ、楽しんでるのか悲しんでるのか見抜けない、何とも言えない瞳の表情。こういう目をする時って確かにある。そういう演技をしてみせるヴィゴという役者はすごいと思った。全体としては短めで欲張り過ぎない、きりっと引き締まったシンプルな映画なのも良かったと思う。佳作だと思う
さばさん [映画館(字幕)] 8点(2006-04-28 22:12:46)(良:1票)
12.食前酒は深紅のネグローニ。カンパリ特有のピリッとした苦味が舌を刺す。それからうって変わってまったりとしたニョッキのポタージュがやってきた。食べごたえ十分の、ホッとする家庭的な味。だが一緒に出てきたビーツと赤ピーマンのサラダが、熾火のような紅をチラチラと自己主張して目に痛い。その後に巨大な巨大なステーキが来た。席に着く前からレアステーキだとはわかっていたが、これが実際に目の前に置かれると途方もないコッテリ感だ。ふうふう言いながら食べ終わるが、これでメインディッシュは終わりではない。仔牛のテールシチューがやってきた。デミグラスソースの複雑な香りに、ひとつまみ置かれた血のようなパプリカ。ひとさじ口へ運ぶと濃厚な酸味が食欲を奮い立たせる。もうこれ以上こってり系は食べられない。もう無理だ。絶対に食えないよ…などと思いつつ、気がつくと平らげていた。何という恐ろしいシェフだ。容赦なく客を肉責めにするとは…そう思っているうちにやってきたデザートの抹茶アイス。甘みを抑えた脂肪たっぷりのアイスクリームに、手摘みの玉露を挽いた抹茶の苦味が加わって、それまでの胸焼けが消えていく。決して爽やかな後味ではないのに、味わうほどに奥深い甘みを感じる。食べながらいつの間にか泣いていた。周囲の席でもかなりの人が泣いていた。いまこれを打ちながら、舌に残っているのは最後のデザートの心地よさだけだ。ここのシェフは普段ゲテモノばっかり出してくるが、ちゃんとしたディナーを作るとそこらのレストランでは太刀打ちできないモノを出してくるのが、自分が通い続けている理由だろう…でも今晩はもう、お腹いっぱいです。しばらく肉はいらないや。
エスねこさん [映画館(字幕)] 9点(2006-04-28 21:10:09)(良:1票)
11.《ネタバレ》 この作品をどうとらえるかは、受け手に委ねられています。なぜジョーイはトムとして生まれ変わろうとしたのか、暴力に目覚めた息子の今後の学校生活は?信頼を失った家族の再生は可能なのか。劇中生じる疑問の答えを監督は用意していません。ただ、この多くを語らない手法は、私たちの想像力を刺激し、むしろ多くの「答え」を感じ取らせてくれるように思います。ラスト、団欒の場に戻ったトム=ジョーイの姿に、救いと希望を感じつつ、同時に破滅も予感させる居心地の悪さ。見た目のグロテスクさはずいぶんと抑えられていますが、クローネンバーグ映画の尾を引くイヤラシサは健在です。また、わずかな目の動き、微妙な表情の変化で複雑なトムの人間性を表現するヴィゴの執拗なまでのアップは、ファンには眼福。繰り返し見るたびに新たな「答え」を発見する非常に懐の広い映画です。
HIDUKIさん [映画館(字幕)] 10点(2006-04-20 14:23:10)
10.戦慄の映画である。一見、ひねりのない平凡な映画に見えるが、同時にこんな映画は見たことがないかもという不思議な感覚がある。この手の映画はふつう、傾く。暴力を映画で扱いきれず、奇抜な脚本とか編集あるいは特殊な映像表現という、いらん飾りをつけてしまう。そうすることで暴力の危ういバランス感覚がどこかへいってしまう。だがこの映画は暴力をスタイリッシュという文法に乗せないで、極めてシリアスに扱っている。スタイリッシュ暴力はそのほとんどが「痛み」感覚を追求しており、映画でしか味わえない暴力体験を擬似的に与えようとする。しかしヒストリー・オブ・バイオレンスはそんなに甘くない。痛いじゃ済まない。そもそも痛みは猶予でもある。痛がる前にもう死んでるのがこの映画。そして素早いカット割りで無駄のない殺しを実行するヴィゴ・モーテンセンの目にこそ暴力の本質が現れるのである。そしてバイオレンスとくればセックスという安易な発想から逃れた、バイオレンスの地続きとしてのセックスがあの階段でのシーンとなり、観る側の血を凍りつかせる。ラストは、暴力というバランスの危うさに傾き堕ちることを免れたこの映画だからこそ到達できた屈指の名シーンだと思う。この映画を見てしまうと、あれほど面白いと思った「オールドボーイ」や「ファイトクラブ」が単なる曲芸のように見えてしまうのだから恐ろしい。
Qfwfqさん [映画館(字幕)] 9点(2006-04-11 12:26:41)(良:1票)
9.《ネタバレ》 良くも悪くも淡々とした映画に感じた。15禁ということもあって、もっと激しい展開なのかと思いきや、ストーリー自体はあまりバイオレンスでなかった気がする(※映像としてバイオレンスではあったが)。トムは記憶を失くしてしまっているんだろう、と思いきや、実際はもう一人の自分を隠していたというのには驚いた。息子に「暴力で物事を解決しようとするな」と諭していたのも、今思うと真実への伏線だったのだと思われる。惜しむべくは、その真実をあまりにもあっさり妻に自白してしまうこと。もっと掘り下げてトムのヒストリーを描写して欲しかった。なぜジョーイという人格を殺したのか、とても残忍であった過去からどうやって現在のような温和な性格になれたのか…など、いまいち納得のいかない部分がある。話変わって、ラストのシーンはとても印象的。娘が皿を出し、息子は食事を差し出し、妻は指輪をつけて最後にトムと向き合う。トムはもちろん、私たちにも何も語らずとも、伝えたいことがわかる。この映画のキーワードの一つであろう「真実」は、間違いなくそこにある、と感じられる終わり方でした。
グングニルさん [映画館(字幕)] 6点(2006-04-09 12:36:07)(良:1票)
8.冒頭のシーンが最高です。
たまさん [映画館(字幕)] 9点(2006-04-02 16:17:14)
7.オープニングから「これは暴力の映画です」と始まってしまいました。深作欣二、それも若山富三郎の子連れ狼やKill Bill観てるから身体のパーツがくっついたままの暴力には鈍感な私ですが、スピード感は最高かも知れません。考えてみたら、クローネンバーグはそういう監督でしたわ。奥さん役のマリア・ベッロ、前回のジョニー・デップといい、今回のヴィゴ・モーテンセンといい、最悪の旦那に振り回される役どころですな。たとえば、運動神経のない息子が、キレたからといってあんなに素早く的確に相手殴れないだろ、とか突っこみたいところは多数あります。それから、二重人格なのか?精神力で感情押さえてるのか?などよくわからないところもあります。それらに眼をつぶって、巻き込まれによって自分の環境が瓦解してしまう物語と、それに立ち向かう「男たち」の映画として評価します。たぶん、大藪晴彦作品を映画化するとしたらこの手法しかないでしょう。角川はひどかったもんな。
shintaxさん [映画館(字幕)] 7点(2006-03-31 22:06:08)
6.《ネタバレ》 小説のような映画。映画とは、概して、1から10までが全て作り手の目線で描かれており、僕らが入り込む隙はあまり与えられない。対し、小説とは、概して、そこに書かれている文章から、僕ら読者がその世界観を想像していくものである。本作は、一人の男の一生を視覚的に描きつつも、彼の過去や現在、未来に至るまで、全ては観客の判断に委ねている。映画に「結論」や「答え」を求める人には苦手なタイプの作品だろう。更に、グロテスクな描写もあるので、万人向けの作品ではない。しかし、回想シーンや、多くの言葉に頼らないスマートな問題提起の仕方はお見事。無駄な描写を一切挿入していないという点も評価に値する。退院の直前までテレビを気にするトムの描写。「10代の時に出会いたかった。」と妻に言われて行為に至ったセックスの描写。イジメられっ子だった息子が突如、暴力に走る描写。観終わった後に、ジョーイという過去と重ねてみると、これらの描写がどれだけ重たいものかわかるのだ。個人的には、もう少し父と息子の関係を掘り下げても面白いかなとも思ったけれど、それでも脚本、演出共に抜群。俳優陣の演技も素晴らしい。特にウィリアム・ハートは、10分にも満たない出演時間でオスカーにノミネートされただけあり、強烈なインパクトを残した。副題の「愛と暴力の対立」というのも良い。実に上手く本作を表していると思う。これは「愛(トム)と暴力(ジョーイ)の対立」であり、「愛(トムの家族)と暴力(トム)の対立」でもある。過去に蹴りをつけ、真のトムとなって家に帰って来たラストシーンは、愛が暴力に勝った瞬間だった。僕は、人間である以上、そう確信したい。
こばやんさん [映画館(字幕)] 9点(2006-03-29 19:42:32)(良:2票)
5.《ネタバレ》 映画は常に現実社会や人生やらとの距離を計測し続けてきた。現実をいかにもっともらしく映画の中に表現し、現実との折り合いをつけていくか。現実では解決できない問題も、2時間足らずの中で解決したり、曖昧に濁してみたりせねばならない。ところが、こうも現実が複雑になる、「そんなの今どきあり得ないじゃん」などという観客ばかりになってくると、映画の中のお約束や紋切り型な表現はもはや許されなくなる。ジョン・ウェインは家族のために敵に立ち向かい、敵を殲滅し、白いエプロンの翻る我が家へと帰ってくる。しかし現代のジョン・ウェインは「人殺し」とののしられるばかりだ。■クローネンバーグがやろうとしたのは、このような「紋切り型」をあえて行うことなのではないか。映画史が紡ぎ出した現実との折り合い方に、今、パロディではなく、真剣に、気合いと根性と己の演出技術のすべてを賭けて取り組むこと。例えば「クラッシュ」のような良心的なハリウッド映画がひた隠しながらもつい求めてしまう、安易な叙情や「曖昧」という名の決着を排すること。例えばリンチやコーエン兄弟のように、スタイリッシュな映像や「変態」的な「感性」で「紋切り型」を糊塗するような姑息なことはすまい、という意志。■さりげなく、なんということもない、ただ撮っているかのような一見凡庸なカットの連なり、しかしそれらは物語が持つ力によって、やがて力の漲ったものとなる。オープニングの緊張感、階段でのセックスシーンの素晴らしさ、保安官に詰問される夫と妻の2ショットの力、あっけなくまるで信じられないアクションシーン。■そしてラスト、暴力の限りを尽くした父を許すかのように、娘が食卓へと父を招く。感動的な、しかし安易な結末、でもなく、問題の曖昧な、だからこそ現代的だと言いたげな結末でもない、これは現在の映画が抱く「紋切り型」だ。その大いなる力に私は泣いた。ラストカットが素晴らしい。
まぶぜたろうさん [映画館(字幕)] 10点(2006-03-29 00:25:46)(良:1票)
4.《ネタバレ》 クローネンバーグ監督作品はほとんど馴染みがなく、代表作の「デッドゾーン」もあまりピンと来なかったので、自分に合うかどうか不安だったが、アメリカでも評価が高かったと聞いており、噂に違わず素晴らしい映画だった。
原作もあるらしいけれども、そんな余計な知識は要らない。96分という短い時間に、無駄な部分を省いて、適度な重み、観客へのメッセージや問いかけを残して、ボールを観客に投げ込む。
そのボール(問いかけ)にどう想うかは観客に委ねられるというラストはまさにプロの業の一言。中途半端なラストが多い昨今の映画の中でこの映画はベストに締め括ったといえよう。
個人的に気に入ったセリフは「なんでも暴力で解決しようとするな」ヴィゴが息子に語ったセリフ。この一言がとてつもなく重い、心に響いた。
恐らくヴィゴは、暴力で解決することへの後悔や無意味さを知り、暴力では何も解決できないということを自分が重々知っているのであろう。
だからこそ、ヴィゴはジョーイからトムへと生まれ変わったのである。生まれ変わり、家族を持つ事で解決しようとしたヴィゴだからこそ、あの一言が重く感じる。
そのことをなんとしてでも息子に教えたかったのだろう。だからこそ、暴力の連鎖が起きたときの彼の表情や息子への接し方に複雑な心境が感じられる。あれは見事な演技だったと思う。
ラストでヴィゴは「どうすれば償えるのか」とウィリアムハートに問いかける。しかし、暴力以外で解決したくても、暴力でしか物事を収束できないというもどかしさ、虚しさを湖面でたたずむヴィゴに感じずにはいられない。
また、この映画では家族や妻の役割の重さも感じずにはいられない。自分の素性が妻にばれたときの階段での二人の行為には「自分を信じて欲しい」という無言でのヴィゴの問いかけと「どうすれば信じられるのか」というマリアベロの反論、それぞれに開いた心の傷を埋めようとする言葉よりも何よりも必要な行為ではなかったか。
そして、傷つきながらも家族の元へと帰るヴィゴに何も聞かずに、皿や肉を差し出す息子と娘の姿が温かい。「なんで結婚なんてしたんだ」「いい女なんていっぱいいるだろう」というハートの問いかけの答えのような気がしてならない。
六本木ソルジャーさん [映画館(字幕)] 9点(2006-03-20 23:57:40)(良:3票)
3.《ネタバレ》 暴力と狂気の歴史。一見ハートウォーミング風に攻めておきながら、突如バイオレンスの嵐が吹き荒れる。クローネンバーグらしく人体破壊はリアル。何の武術を体得しているのか知らんが、掌低や蹴りは強烈ですな。ヴィゴは疵面と凄みがあるので堅気には見えませんね。昔はヤンキー、今はサラリーマンのグレードアップ版。なんにせよ帰れる場所や迎えてくれる家族がいるって良い事だ。
ロカホリさん [映画館(字幕)] 7点(2006-03-18 23:14:14)
2.《ネタバレ》  もし父が殺人を犯していたら?それで家族関係は崩壊するのか?
映画では善良な夫トムが過去に殺人なぞ当たり前の元マフィアであった事で苦悩する家族の様を描いている。主人公トムは過去に暴力を限りを尽していた。まさにそのツケ、過去の恨み辛みを持った者がトムへ復讐しにくる。夫の暴力の歴史に家族が巻き込まれてゆく姿は、凄惨の一言。
 ラストに過去に蹴りを付けて来た夫を迎える食卓のシーン。無言で皿を差し出す健気な娘、料理を渡す息子。そして妻の表情。映画はここで幕を閉じるのだが、本当にこのシーンには救われた。
 どんなに過去に悪党で、何人もの人を殺害していても、変わらないことがある。それはトムには帰れる場所があるという事だ。家族が夫を信じること。それだけは紛れも無い真実なのである。
カイル・枕クランさん [映画館(字幕)] 10点(2006-03-17 22:14:04)(良:1票)
1.グラフィック・ノベルというジャンルの「アメコミ」が原作なので、よく考えてみれば物語や登場人物は非常にコミック的(「夜叉」みたいな健さん映画的でもある)。素性を隠した一般人が危機に際すとスーパー・ヒーローに変身して、且つ自分のアイデンティティに苦悩するというのは、最近のコミック・ヒーローモノ共通のプロットです。しかし、デヴィッド・クローネンバーグの抑えに抑えた演出は好感が持てました。二回登場する濡れ場に、ちゃんとした意味を持たせてあるのも良かった。個人的に「暴力」というテーマの深みは余り感じられませんでしたが、尺が短いということもあり、中だるみすることなく最後まで一気に観てしまいました。また、クローネンバーグらしい余韻を残したラストシーンで、評価も少し上がりました、7点献上。
sayzinさん [映画館(字幕)] 7点(2006-03-03 00:04:22)
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【点数情報】

Review人数 97人
平均点数 7.20点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
422.06%
51010.31%
62020.62%
72222.68%
82626.80%
91212.37%
1055.15%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review7人
2 ストーリー評価 7.25点 Review12人
3 鑑賞後の後味 6.72点 Review11人
4 音楽評価 6.16点 Review6人
5 感泣評価 6.42点 Review7人
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【アカデミー賞 情報】

2005年 78回
助演男優賞ウィリアム・ハート候補(ノミネート) 
脚色賞ジョシュ・オルソン候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2005年 63回
作品賞(ドラマ部門) 候補(ノミネート) 
主演女優賞(ドラマ部門)マリア・ベロ候補(ノミネート) 

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