リップヴァンウィンクルの花嫁のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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リップヴァンウィンクルの花嫁

[リップヴァンウィンクルノハナヨメ]
2016年上映時間:180分
平均点:7.08 / 10(Review 40人) (点数分布表示)
公開開始日(2016-03-26)
ドラマ小説の映画化
新規登録(2016-02-09)【8bit】さん
タイトル情報更新(2023-08-21)【イニシャルK】さん
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監督岩井俊二
キャスト黒木華(女優)皆川七海
Cocco(女優)里中真白
地曵豪(男優)鶴岡鉄也
和田聰宏(男優)高嶋優人
野間口徹(男優)
中島ひろ子(女優)
浅見姫香(女優)
大友花恋(女優)
桜井美南(女優)
郭智博(男優)
中村ゆり(女優)
紀里谷和明(男優)
野田洋次郎(男優)
軽部真一(男優)
玄理(女優)
原日出子(女優)鶴岡カヤ子
毬谷友子(女優)皆川晴海
金田明夫(男優)皆川博徳
りりィ(女優)里中珠代
綾野剛(男優)安室
芹澤興人(男優)堤啓介
原作岩井俊二
脚本岩井俊二
撮影神戸千木
製作東映(RVWフィルムパートナーズ)
ポニーキャニオン(RVWフィルムパートナーズ)
木下グループ(RVWフィルムパートナーズ)
プロデューサー杉田成道(エグゼクティブプロデューサー)
配給東映
美術部谷京子
編集岩井俊二
録音岩井俊二(ミキサー)
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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6.《ネタバレ》 自らの主体性というものを強く持ち合わせておらず、周りの人間によって何処かへと流されるままに生きているような若い女性、七海。社会が提示する「こうすれば君も幸せになれるよ」という空気感に抗うことなく、彼女は出会い系サイトで知り合った男性と恋に落ち、あっさりと結婚してしまう。だが、そんな七海へと忍び寄る怪しげな男、安室。彼の策略により、七海の幸せだと思われていた結婚生活は次第に綻びをみせるようになり、やがて彼女のちょっとした愚かな行動により全てを失ってしまうのだった。残酷な社会へとたった独りで放り出されてしまった七海を救ったのは、再び安室という謎の男だった。彼に言われるまま、七海は大きな屋敷の住み込みのメイドとして働き始める。同僚として一緒に働くことなった自由奔放な女性、真白と次第に仲良くなってゆく七海。だが、真白には誰にも言えない深い秘密を抱えていた――。現実なのか、空想世界なのか、都会の片隅にひっそりと開いた秘密の扉を開けてしまった可憐な女性、七海。彼女が辿ることになる摩訶不思議な運命をリリカルに綴る大人のための残酷なファンタジー。日本が世界に誇る天才映像作家、岩井俊二監督の新たな代表作とも言えるそんな本作、3時間にも及ぶ長丁場ということで今回気合を入れて鑑賞してみました。なのですが、そんな僕の先入観など軽く吹き飛ばすほどの傑作でした。もう全編に渡り、監督の映像センスが炸裂しています。ストーリーの見せ方もそれぞれのキャラクターの描き方も一切無駄がなく、何よりこの唯一無二のカメラワークが最後までとても心地よく、3時間を一切長く感じさせません。本当にセンスの塊ですね、この人。また、聖なる愚者とも呼ぶべき純粋可憐なこの主人公を演じた黒木華がまさに嵌まり役で、とても素晴らしかったです。夫により新居から追い出された彼女が、大きなキャリーバックだけを手に何処でもない場所を彷徨うシーンはあまりにも切なく思わず涙。そして後半、彼女が辿ることになる現実感のない展開も最後にきちんと説明がなされ、観終わった後、僕は更なる感動に包まれていました。素晴らしい!正直、観終わった直後はちょっと長すぎかなとも思ったのですが、思い返せば思い返すほどじわじわと心に効いてきて、この長さはやはり必然だったのだと改めて納得。真白も安室も考えてみれば酷いキャラクターなのですが、結果的に七海にこんな幸せな記憶を与えてくれた。こんな残酷で酷い社会でも、生きていればこんな素晴らしい出来事があるかもしれないと思わせる希望と再生の物語。僕にとって特別な作品がまた一つ増えてしまいました。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 9点(2019-08-01 23:14:37)(良:1票)
5.《ネタバレ》 ■第1部 虚構に満ちた現実
七海は、電脳空間でしか本音が言えない。自分の殻の中に閉じこもっている主人公に対し、ネット授業の生徒であるカノンは引きこもりで、顔は映らずパソコンの中だけに登場する。主人公の分身のような存在だ。
現実世界の結婚式は、新郎新婦の少年・少女時代を演じる役者が登場するなど、滑稽なほど虚飾にまみれている。七海の父はにこりともしない。七海にとって自分のための結婚式なのに自分のものでないようで、緊張からか表情がこわばっている。
浮気の容疑をかけられた七海は家を追い出され、行く当てもなくさまよい、安室に電話で「ここはどこですか」と問う。スマホがあれば確認できることなど、わかっているはずだ。家を失い、職を失い、頼る人もいない彼女には、自分が何者でどこに属しているのか説明できなかっただろう。
リップ・ヴァン・ウィンクルが村に戻ると、知り合いは誰もいなかった。彼は、口うるさかった妻の安否をきく。妻なら、20歳ほど年上になってはいるが、生きていれば夫の自分を認識できるはずだ。しかし実際には亡くなっていて、誰一人として彼を認識できなかった。人は単独では、自分が何者かを説明できない。人は人に認識されることで、自分が誰なのかを説明できるのだ。
電脳空間でしか人と繋がれない七海は、孤立無援に陥った。やがてバッテリーが切れ、他者との繋がりを完全に断ち切られてしまう。長い道のりを歩いて来たのに、映像では不思議なことに人も車も全く通っていない。本当はいたのに、目に入っていなかったのだろうか。夕暮れ時となり、ようやく通行人の姿が見えるようになり、ショーウィンドウからウェディングドレスが見え、視聴者は皮肉だと感じるが、当の七海は茫然自失で気づかないようだ。
■第2部 虚構世界にある真実
七海は自分の結婚式では顔をこわばらせていたが 自分が代理出席する側になると、結婚式が終わったとたん、家族役を演じた他人どうしで大笑いし、姉役だった真白と意気投合する。ここでは、現実世界に喜びがなく虚構世界に喜びがあることが表現されている。
真白と豪邸で暮らし始めた七海は、初めて相手の意に反し「この仕事辞めます」「二人で暮らせる家を探そう」と言って涙を流す。他人の顔色を窺うのではなく、真に相手を思いやっての提案である。
家を追い出されたときはウェディングドレスに注意を払わなかったが、真白と部屋探しに行ったときは、店の奥に見えるウェディングドレスに気づいている。二人は試着と称し、記念撮影する。日本には同性婚はないから、これはどこまで行ってもまがいものである。結婚も偽物、指輪も偽物、だが七海は、現実の結婚では見せなかった笑顔に溢れている。ここでも、現実世界に喜びがなく虚構世界に喜びがあることが表現されている。
二人はウェディングドレスを着たまま豪邸に帰り、酒を酌み交わし、ピアノを弾き、ダンスを踊り、二人だけの宴に興じる。サクラの出席者など要らない。指輪も証明書も。画面はBGMだけの無声になり、逆光やスローモーションを用いた幻想的なシーンが続く。虚構世界の結婚式が、現実世界で満たされなかった二人の、至福の時を描き出す。この二人が出逢ったのは、結婚式のサクラがきっかけだったというところに皮肉がある。
■第3部 再び現実生活へ
真白の死を知った七海は、声をあげて泣く。夫に追い出されたときも、大声をあげなかったのに。真白の葬式シーンには、本物のAV女優・男優が登場する。ここは演技ではなく本心なのだということで、監督が本物の起用に強くこだわったところだろう。
リップが村に戻ると、全てが変わっていた。物語は最後に、再び一人暮らしに戻った七海の引越しシーンを描く。彼女が新婚生活から追い出された日は雨だったが、今度は晴れ渡ったすがすがしい朝だ。引きこもりのカノンも「東京ってどんなところ?」と、外の世界に興味を示す。
安室は頼まれもしないのに、家具をプレゼントする。一人暮らしなのに、二人で椅子を二つ運ぶ。七海はこの部屋に、誰かを招くつもりだろう。それはいつかこの町で出逢うであろう、愛する人。別れ際には「ありがとうございました!」と大きな声をあげ、大きく手を振る。冒頭では小さくしか手を挙げることができず、授業では声が小さかった彼女がである。
安室が帰ると、七海はまた一人になる。だが彼女はもう、孤独ではない。七海は、薬指に残る虚構の指輪の感触を確かめる。そこには、愛にはもともと形なんかないのだという強いメッセージが込められている。ベランダの外は雲一つなく晴れ渡り、彼女の視界を遮るものはない。最後にカメラはすうっと引いて行き、七海を取り巻く都会の風景を映し出す。彼女はもう、人ごみの中でとまどうことはない。虚構に満ちたこの世界にも、真実の愛はきっとあるはずだ。
高橋幸二さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2019-03-31 20:39:18)(良:1票)
4.《ネタバレ》 映像も演者さんも、一瞬、一瞬に心をこめて、愛をこめて、技をこめて、大事に丁寧につくっておられるんだろうなあ、いう印象です。長い作品なのに、どんどん引き込まれ飽きることなく没頭できます。登場人物たちは、自分の都合で主人公を操作しようとする人たちばかりなのですが、利用する側と利用される側という構図にはならず、愛ややさしさが循環する形になってゆきます。主人公の女性は安易だけれども純粋で、何があっても受け止め続けます。彼女のただひたすらの受容によって、善も悪も認めてそこにあらしめる世界が展開します。現代社会は、実はこんなふうに、強く儚い人々がひしめく美しい世界なのかもしれない…なんて思いたくなりました。
Totoさん [インターネット(邦画)] 9点(2018-04-01 21:40:13)
3.《ネタバレ》 おとぎ話のような、そうでないような。
どんな話なのか、まったく予備知識なく観たのもよかったのかな。
あー映画観たなぁって満足感。
黒木華さん、綾野剛さん、Coccoさん、みんな良かった。
ろにまささん [CS・衛星(邦画)] 9点(2017-04-01 06:16:59)
2.《ネタバレ》 もうね、Coccoの存在感が凄いの。
Cocco登場以前と以後で別の作品になったような気がする。
なので、急に居なくなったときは寂しかった。
もしかして、スペシャルゲスト的な扱いで、これだけしか出番が無いの?とか思ったけど、そうじゃなくて良かった。
これが素なのか、演技なのかはよくわからないけど、とにかく魅力的なの。
もし主演が並の女優だったら完全に食われてバランスを失ってたかも知れないけど、黒木華の透明感のある演技も素晴らしかった。
序盤は流されるだけの主体性の無い女性だったけど、中盤以降はどんどん魅力的になってく。
ちょっとうちの従姉妹に似てるんだよね。
最近、結婚式も挙げたし。
まあ、そんな縁起でもない話はどうでもいいんだけど、これだけ僕を夢中にさせておいて、この展開ですからね。
衝撃的過ぎました。
涙脆い僕が泣くのを忘れて唖然とするくらい。
終盤は泣きそうになるとちょっと笑わせようとしてくるもんだから、結局泣くタイミングを逃してしまったけど、切なくて感動的な素晴らしい作品でしたよ。
あと、クライマックスのCoccoの長台詞は、とても感動的なことを言ってるんだろうけど、黒木華のバストショットがエロ過ぎて、台詞が頭に入って来ないんです。
仕方がないので、そのシーンだけもう一度見直してみたけど、やっぱりエロいんです。
web版にはこのシーンが無かったので、劇場版を見直して良かったと思います。
それから、泣きそうになると笑わせてくる例のシーンも丸ごとカットされてて、代わりに別のシーンが追加されてたけど、やっぱりそっちでも泣きそうになると笑わせてくるので、もうどうしようもありません。
初見のweb版で点数付けてましたけど、見直した劇場版の評価に変更させていただきます。
もとやさん [DVD(邦画)] 9点(2016-08-29 13:03:59)(良:1票)
1.《ネタバレ》  嘘とフェイクに溢れた世界でリアルな生を追い求める、けれどそれを求めている者自身が嘘とフェイクばかりで構成された存在なのかもしれず。

 わりと最初の方、結婚式のシーンあたりから映画にのめり込んで、あっという間の3時間が駆け抜けてゆきました。
 嘘とニセモノばかりで飾られ、組み立てられた結婚式、その切なさ、悲しさ。ジェットコースターのような展開の前半、騙され何もかも失ってしまうヒロインは、中身の無い、カラッポな存在。

 黒木華がとてもいいです。自分というものがまるでなく、ホワホワとクラゲのように漂い、流され、無防備に堕ちてゆくその姿は、本来ならば「もう少ししっかりしろ!」とイライラしてきそうなキャラなのですが、儚げな佇まいで「そういう生き方になってしまうのも仕方のない、弱い女性」を完璧に創造しています。

 その彼女がホンモノの存在へと変化してゆく、本物こそが生の実感を得られるのです、みたいな教訓めいた話ではなくて、映画の後半は本物でなければならない意味なんてない、嘘や偽物の中にも価値のあるもの、かけがえのないものがある事を優しく描いてゆきます。
 ヒロインとは対照的に強烈な存在感のCoccoは何もかも嘘とフェイクで作られた世界のお城に住むお姫様。お金の力を借りたお伽話ごっこの中に存在する、かけがえのないもの。

 見ていて、そうか、コレは自分が好きな「人間になりたい、なれないロボットの物語」なんだ、だからこんなに響いてくるんだ、って。岩井俊二版『オズの魔法使い』は、登場人物がブリキマンばかり。

 世界と他人と自分の実体を見つけられない人々に「この世界は嘘とフェイクばかりだけれど、だからこそ素晴らしい世界なんだよ」と優しく語りかけてくる映画でした。そう、映画ってモノが嘘とフェイクばかりで作られていて、その中に世界があって心が宿るように。
あにやん‍🌈さん [映画館(邦画)] 9点(2016-04-06 15:44:44)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 40人
平均点数 7.08点
000.00%
100.00%
200.00%
312.50%
412.50%
5820.00%
6512.50%
7615.00%
81025.00%
9615.00%
1037.50%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.66点 Review3人
2 ストーリー評価 7.75点 Review4人
3 鑑賞後の後味 8.00点 Review4人
4 音楽評価 8.00点 Review4人
5 感泣評価 6.50点 Review4人
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