暗殺の森のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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暗殺の森

[アンサツノモリ]
The Conformist
(Il conformista)
1970年西独上映時間:107分
平均点:7.13 / 10(Review 38人) (点数分布表示)
公開開始日(1972-09-02)
ドラマサスペンス
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2017-07-20)【S&S】さん
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監督ベルナルド・ベルトルッチ
キャストジャン=ルイ・トランティニャン(男優)マルチェロ
ドミニク・サンダ(女優)アンナ
ステファニア・サンドレッリ(女優)シセュリア
ピエール・クレマンティ(男優)リノ
ガストーネ・モスキン(男優)マンガニェーロ
原作アルベルト・モラヴィア
脚本ベルナルド・ベルトルッチ
音楽ジョルジュ・ドルリュー
撮影ヴィットリオ・ストラーロ(撮影監督)
配給パラマウント・ピクチャーズ
CIC
ユーロスペース(リバイバル)
字幕翻訳高瀬鎮夫(字幕監修)
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9.《ネタバレ》 町山智浩の解説付き上映で観てきました。
なぜイタリア人のベルトルッチが、フランスや中国やアフリカやインドを舞台にして映画を撮ったのか、以前から疑問に思っているのですが、この映画ではイタリアとフランスが対比されているので、この後にフランスで「ラスト・タンゴ・イン・パリ」が撮られた理由もそのことに関係するのかもしれません。また、町山智浩の解説によれば、この映画は「ラストエンペラー」の構造によく似ているとのこと。つまり、みずからをファシズムの檻の中に閉じ込めた男の物語なのですね。のみならず、同性愛や舞踏会のモチーフの使い方もよく似ているとのことです。
また、町山は「ベルトルッチが師匠ゴダールのような左翼になりきれなかった」との趣旨の話をしていました。たしかにベルトルッチは(思想的にはファシズムに否定的だったとしても)、なんだかんだでファシズムのグロテスクな美しさを浮かび上がらせている面があるし、複雑ながら結果的にファシズムと同性愛の親和性を認めてしまっているようにも見える。つまり、思想的にはファシズムを否定していながら、美学的には肯定しているように見えるし、政治的倒錯が性的倒錯に重なり合うファシズムの美学的誘惑から逃れていないように思えるのよね。逆にいうと、ゴダールは、その種の「美学」に懐疑的だったのでしょう。
これがベルトルッチの最大の魅力であると同時に危うさでもあり、そういうところは日本の鈴木清順にも近い気がします。ヴィットリオ・ストラーロの映像も、そういう側面から批評的に捉えねばならないのでしょうし、坂本龍一の音楽だって、やはりゴダールの批評よりはベルトルッチの美学に近いんじゃないかと思います。さらにいえば、これはベルトルッチのセクハラ問題とも無関係ではないかもしれない。
でも、作品の素晴らしさは傑出しているし、ジョルジュ・ドルリューの音楽もヤバかったし、やっぱり9点はつけたくなります。
まいかさん [映画館(字幕)] 9点(2023-11-11 10:06:11)
8.《ネタバレ》 監督の伝えたい事を念頭におきつつ、台詞からではなく
「映像上の隠された比喩や引用から意図を想像する」
そんな映画の楽しみ方を伝えてくれたという点で印象的な1本。

原題「体制順応主義者」とは主人公マルチェロその人を指すだけでなく、
イタリアのファシズム政権を誕生させてしまった数多くのマルチェロ
=社会に無関心・無責任な大衆への糾弾を伝えたかったのではないか。
年少期の出来事が影響したとはいえ信念の欠けた、未熟な生き方を
続けてきた男は(落語で言う「でも医者」ならぬ)「でもファシスト」。
反体制を主張する恩師の調査追跡によって感じたのは自身の生き方とは
真逆の、「人権を声高に主張し自由に生きている」人間の姿。

女性二人のタンゴ。平凡な生活を余儀なくされていた婚約者が
恩師の若い妻と踊るそのシーンは、女性としての真の生き方ってのか
心身の解放を教授してもらうというシーン、だと思ってる。

人間らしい生き方に触れたにも関わらず、全く動かない主人公。
恩師を暗殺する段になっても、その対応を同僚になじられる。
大勢の暗殺者によってナイフでめった刺しにされる恩師の様は
「無責任な大衆によって少数の良心は潰される」様を見ている様で
痛々しい。一度は気にかけた恩師の妻が惨殺されてゆく様子を
ただ車窓から見ているだけ。無関心が悲劇を増大させる。

でそんな情景を映し出す映像美。巨匠ヴィットリオ・ストラーロ30才。
青・赤・白を多用した色彩は主人公のフランス旅行に結びつくだけで
無く、国旗:トリコロールにも関連付けられてるとは今回知った事実。
青:自由/白:博愛/赤は平等なんだけど、どちらかというと暴力に
よる流血と合わせて、「血の色は同じなのに考えが異なる多様性」
を明示した隠喩と思っている。あと光と影の使い方。「カラヴァッジオ
(イタリアバロック絵画の巨匠)を参考にした」との事だが、絶対これ
エドワード・ヤン、影響受けてんだろ。「牯嶺街少年殺人事件(’91)」

ラスト、主人公夫婦にとってあのフランス旅行の喜びは一過性
でしかなかった事に愕然とさせられる。そしてファシスト政権の
崩壊と同時に目撃した出来事。何もかも失ってしまった主人公
はどう感じたか。「おまえら全員ファシストだ」

自分は無責任な傍観者になってないか?
映画館を後にする自分にも、その声は響いてるのだ。
長文失礼しました。
Nbu2さん [映画館(字幕)] 9点(2023-11-06 20:52:08)
7.《ネタバレ》 ベルナルド・ベルトルッチ監督の「暗殺の森」は、「ラスト・エンペラー」と同様、ヴィットリオ・ストラーロの撮影を観たかったというのが大きくて観たのですが、ベルトルッチ監督のあまりにも素晴らしい手腕を見せ付けられた感じです。
若干29歳の時の作品だとは思えないほどの、映画的魅力に満ちあふれた作品になっていると思います。

この映画の原題は「体制順応主義者」で、それは主人公マルチェロ(ジャン=ルイ・トランティニャン)のことに他なりません。
原作は、アルベルト・モラヴィアの「孤独な青年」という小説で、この作家の原作の映画は、他に2本観ていて、「倦怠」と「ミー&ヒム」ですが、「暗殺の森」とは似ても似つかないストーリーで、恐らくいろいろなタイプの小説を書いた人だろうと思います。

子供の頃に、殺人を犯してしまったと信じ込んでいるマルチェロは、そのトラウマからか、罪の意識からか、ファシズムに傾倒していきます。
組織から、パリに亡命中であった恩師でもある、カドリ教授を調査するように命じられ、恋人であったジュリア(ステファニア・サンドレッリ)と結婚して、新婚旅行を口実にパリに赴いた彼は、教授の妻のアンナ(ドミニク・サンダ)の美しさに、心を奪われてしまいます。

ストーリー自体は、それほど難しくないのですが、回想シーンが突然、出てきたり、主人公の説明がなかったりするので、どういうことなのか理解するのに、少しだけ時間がかかってしまいました。
そういう欠点はあるものの、見せ方は素晴らしいのひと言に尽きます。

特に良かったのは、アンナとジュリアが踊るダンスシーン。映画史に名高い、有名なシーンですね。
この女同士でダンスを踊るというのは、「フリーダ」にもありましたが、本当に綺麗でインパクトがあります。
そして、邦題のもとにもなっている、森の中での殺人シーンも圧巻です。

まるで、ホラー映画のような恐ろしさと緊張感がある一方で、切なくて哀しくて、やりきれないムードにも満ちあふれています。
とても、ショッキングだけれど美しい映像で、ベルトルッチ監督の天才肌ぶりを感じさせるシーンだと思います。

ドミニク・サンダは、当時19歳くらいだったそうですが、妖しい美しさをたたえる人妻の役を、見事に演じています。
彼女は「ラスト・タンゴ・イン・パリ」にも出演オファーがあったそうですが、妊娠中のため断ったというエピソードが残っています。
もし、ドミニク・サンダとマーロン・ブランドのツーショットだったら、またひと味違った映画になっていたかもしれません。

ジャン=ルイ・トランティニャンは、相変わらずクールで、不思議な雰囲気をたたえていて、ミステリアスな感じが、とても素晴らしかったと思います。
dreamerさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2019-06-01 15:31:10)
6.《ネタバレ》 ”人として当然持ち合わせるべき情操”の無い映画だ。それはつまり主人公のファシストの男の性質そのままである。この男のたどる半生をこちらは見守るわけだが、13才の時の決定的な事件により彼は情感を喪失したらしい。元娼婦の女に恋情を抱く部分はちょっと人間ぽいと思ったけれど、それすら驚愕の展開を迎えるわけで。なぜ彼女を見殺したのだろう。この男の冷たさは分かっていたつもりだったが、この暗黒場面には心底 冷えた。
感情は無いながら、映像は凄まじく雄弁で、ひとつひとつの場面の端麗さ、幽玄なこと。「青を意識した」とは監督の言葉。でも私個人的には強烈なのは「赤」だった。新婚旅行での列車の個室を照らす夕陽。森で絶命する女の、金髪・白いコートにそこだけ鮮血で真っ赤な顔。
私は芸術という分野には疎いけれど、この作品の織り成す映像美は”キレイな”他作品とは格が違うような気がする。青い森、白い精神病院、迷宮のような貴族の男の居城。
映像アート系の映画はえてして監督の独りよがりも多く、話がちんぷんかんぷんというのにも出会うけど今作品は男の半生と時代との整合性もきちんとあって物語として理解が難しくない。冷たさと色彩に圧倒される巨匠の傑作。
tottokoさん [ビデオ(字幕)] 9点(2016-01-05 00:29:03)(良:1票)
5.《ネタバレ》 ベルトルッチ初期の傑作。人によっては「ラスト・エンペラー」ではなくこの作品がベルトルッチの最高傑作だという人もいるそうだ。確かにそれほどの作品なのだろう。俺は最後まで余り好きになれなかったが。
第二次大戦前夜のイタリア。
主人公のマルチェロはファシスト組織の一員として暗殺の任務をこなす日々を送るが、幼き日のトラウマと優柔不断な性格で冷徹な殺し屋に成りきれずにいた。
まあ、殺しを部下に任せている事・銃もまともに撃てないなんて随分「中途半端」な殺し屋だ。
新妻となるアンナはマルチェロの裏仕事を知らない。
マルチェロも何処かファシストから足を洗いたさそうな表情を見せる。殺し屋一筋のマンガニエーロはそんなマルチェロをため息をもらしつつ護衛する。
マルチェロを励ます(?)マンガニエーロの姿はちょっと応援してしまう。
当の本人は殺しよりも魅力的な人妻にメロメロだ。いや夢中なフリと言うべきか。いや本当に惚れていたのかも。

母親の情夫、恩師の人妻・・・まったく嫌な事件だったぜ。やるせない。
車の中から“あの人”を見つめる姿なんてもう・・・ね・・・。

マルチェロが見た「アイツ」はソックリさんか本物か。それは解らない。

戦争によって狂い、戦争によって心を“抹殺”されていったマルチェロは今後どのような人生を歩むのか。そんな事を思うラストだった。
すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 9点(2014-05-20 23:12:24)(良:1票)
4.全体に主人公の内面が伝わって来ず・・・好きな映画ではない。ただ、暗殺の場面、こんなコワイシーンは見たことが無い!
Tomoさん 9点(2003-04-27 18:27:58)
3.完璧な映画!「完成し過ぎていて味気ない」と言う人もいるのではないかと思うほどの作品です。この頃から既に世界のベルトリッチだったんですね~
クロマスさん 9点(2002-12-11 22:58:52)
2.ファシズム政権のさなか、幼年時代のトラウマを抱えながら、平凡に生きようとするマルチェロを、ジャン・ルイ・トランティニャンがポーカーフェイスで見事に演じきっています。そして、この映画に花を添える二人の女性達、“フランス女”ドミニク・サンダの退廃的な美貌と“イタリア女”ステファニア・サンドレッリの色香がえもいわれぬ妖しいムードを作り出していました。    映像の美しさも必見です。 
リリーさん 9点(2002-10-28 01:53:43)
1.原作に比べると物語は「?」ってトコもありましたが、スタイルの美観にクラッときました。足元に虚無の深淵が広がっているのに、すがりつく樹を見出せない・・・そんな苦しみ哀しみがヒンヤリ伝わって、ある意味怖かったです。
さん 9点(2002-06-06 21:09:39)
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【点数情報】

Review人数 38人
平均点数 7.13点
000.00%
100.00%
212.63%
337.89%
412.63%
512.63%
6615.79%
71026.32%
837.89%
9923.68%
10410.53%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 5.50点 Review2人
2 ストーリー評価 8.50点 Review2人
3 鑑賞後の後味 10.00点 Review1人
4 音楽評価 9.00点 Review2人
5 感泣評価 10.00点 Review1人
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【アカデミー賞 情報】

1971年 44回
脚色賞ベルナルド・ベルトルッチ候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

1971年 29回
外国語映画賞 候補(ノミネート) 

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