グエムル/漢江の怪物のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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グエムル/漢江の怪物

[グエムルハンガンノカイブツ]
The Host
(괴물/Gwoemul/怪物)
2006年上映時間:120分
平均点:5.99 / 10(Review 136人) (点数分布表示)
公開開始日(2006-09-02)
ドラマサスペンスパニックものモンスター映画
新規登録(2006-07-19)【sayzin】さん
タイトル情報更新(2022-09-26)【イニシャルK】さん
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監督ポン・ジュノ
キャストソン・ガンホ(男優)パク・ガンドゥ
ピョン・ヒボン(男優)パク・ヒボン
パク・ヘイル(男優)パク・ナミル
ぺ・ドゥナ(女優)パク・ナムジュ
コ・アソン(女優)パク・ヒョンソ
ユン・ジェムン(男優)ホームレスの男:
キム・レハ(男優)黄色い服の男
パク・ノシク(男優)影(私立探偵)
イム・ピルソン(男優)ナミルの同級生
コ・スヒ(女優)太った看護婦
スコット・ウィルソン(男優)ダグラス(駐韓米軍解剖医)
オ・ダルス怪物
山路和弘パク・ガンドゥ(日本語吹き替え版)
佐々木梅治パク・ヒボン(日本語吹き替え版)
小森創介パク・ナミル(日本語吹き替え版)
原作ポン・ジュノ(オリジナルストーリー)
脚本ポン・ジュノ
音楽イ・ビョンウ
撮影キム・ヒョング
製作総指揮チョ・ヨンベ
キム・ウテク
配給角川ヘラルド・ピクチャーズ
ハピネット・ピクチャーズ
特撮ケヴィン・ラファティ[特撮](VFXスーパーバイザー)
ウェタ・デジタル社(模型制作)
美術リュ・ソンヒ
字幕翻訳根本理恵
あらすじ
観光名所にもなっているにぎやかな漢江の川辺で、売店を営む怠け者のカンドゥ(ソン・ガンホ)がいつものように仕事をサボっていると、橋にぶらさがっている生き物が人々の注目を集めていた。その生き物は静かに川を泳ぎ、人々が集まる岸辺に近寄ってくる。そして突然人を襲い始めた。パニックになった群衆は逃げだす。カンドゥは娘(コ・アソン)を連れて逃げ出そうとするが・・。
ネタバレは禁止していませんので
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136.《ネタバレ》 韓国で大ヒットしていることや、予告編がそこそこ面白そうだったので、鑑賞してみたが『この映画のどこに面白みを見出せばよいのか全く分からない…』と困惑するしかなかった。つまらない映画や駄作ではないと思うが、オチのないコントを延々と見させられる感覚に近いと思う。
「①モンスターパニックムービー」として観た場合、黄色の二人組の制服を襲撃した際はなかなか良いと思ったが、それ以外ではグエムルに対して、恐怖や畏敬といった感覚は抱かない。ジョーズやキングコングといった映画では感じた感覚はこの映画では感じられない。本作ではグエムルに対して「生命」を吹き込むことには失敗していると思う。
「②親子愛・家族愛」ヒョンソからは父親を信頼して助けを待っているようには感じられない。「ウィルス」という変なストーリーを織り込んだため、娘を助けたいというよりも、政府から逃げることが主題に変わったため、父親カンドゥの成長や家族の絆も上手く伝わらない。「殺人の追憶」同様に、娘がさらわれたり、父親ヒボンを死なせているのは自らの責任であるため、不条理感を感じにくい。
「③アメリカ・政府批判」モンスターより怖いのは、政府やアメリカなんだということを言いたいのかどうかは映画からは伝わりにくい。「ウィルス」の存在は決して悪くはないネタだと思い「これから面白くなるか」と期待したが、やはり効果的に利用することもできなかった。②で述べたように悪い効果も生じている。
「④現代の韓国に対する批判」賄賂、怠慢、浮浪者、両親のいない子ども達、無神経なマスコミ、デモ、環境問題等々、ボールは大量に投げてくるが、受け取り側のことはあまり考えてないようだ。これらは日本人にとってみればよく分からないことだ。
「⑤ラスト」ヒョンソが命を賭けてガキを守ったというのも観客への感情の揺さぶり方としては上手く演出されておらず、なぜ製作者がガキを助けて、ヒョンソを殺したのかはよく分からない。自分が製作者だったら、戦いの末に、グエムルはどこかへ消えて、行方不明にし、ヒョンソの生死も明らかにしないだろう。そして、新しい携帯電話を握り締めて、ただひたすらヒョンソのことを待ちつづける。カンドゥの姿を描いて、エンディングを迎えさせると思う。
六本木ソルジャーさん [映画館(字幕)] 3点(2006-09-10 13:45:45)(良:4票)
135.なによりもまずこの作品は、「モンスターパニックもの」として高水準のエンタテインメントに仕上がっている。怪物<グエムル>を「熊やワニよりはるかに大きいが、ゴジラよりは小さい」サイズに設定した事で、迫力や恐怖感に説得力が生まれているし、国や軍隊ではなく個人に焦点を当てて等身大の物語を描いたのも正解だったと思う。つまり「普通に面白い」。■加えて、随所に見られる「ポン・ジュノ」印。例えば合同葬儀会場のシーン。一家が報道陣に囲まれ、フラッシュがたかれる中、ペ・ドゥナのジャージの背中が「ぺろん」とめくれる。孫の死を嘆き悲しみながら、父親は思わず娘のジャージを引き下げ、横暴なマスコミに怒る。「悲しみ」と「羞恥心」と「怒り」という、普通同時に並列し得ないものが並列する面白さ。■また、人物描写の豊かさ、それを通じて韓国の社会や歴史をさりげなく見せる巧さ。例えば軍政時代を経験しているであろう父親は、警官に対して媚びた笑顔を浮かべながら「袖の下」を渡そうとするし、学生による民主化運動をくぐり抜けた次男は逃げることと火炎瓶の扱いに長けている。■さらには一作目「ほえる犬は噛まない」にも見られた、話の流れをありがちな展開からずらし、観客の予想を良い意味で裏切る、ある種のユーモアも、いかにもポン・ジュノらしい。■ポン・ジュノらしいと言えば、容易に観客に感情移入させない、「抑えた」表現も個人的には好ましい。彼はいかにも「お涙頂戴」的な感情表現を使わない代わりに登場人物にひたすら「行動」させる。雨の中、或いは下水の中、彼らは己が行動を台詞で説明することなく、ただただ逃げるために走り、追うために走り、しばしば転びつつも、怪物に対して勇敢に立ち向かう。つまり「ベタ」ではないが「エモーショナル」なのだ。■ラストに関しては、賛否分かれる、というより「否」の意見が多いかもしれないが、個人的にはあれで良かったと思う。ポン・ジュノは常に「違和感」と「居心地の悪さ」を異化効果的に駆使する、確信犯的作家なのだから。
ぐるぐるさん [映画館(字幕)] 9点(2006-09-03 18:16:49)(良:4票)
134.今、世界中から最も熱い眼差しを受けている韓国の社会派ポン・ジュノが、いわゆる大娯楽作品に挑戦したのが本作である。本国では当たらないとされているジャンルであるにも拘らず、大ヒットを記録したこの作品は、紛れもなく“正しい怪物映画の作りかた”的な面白さに満ち溢れていて、今後、亜流作品が続出することは間違いない。  本作の最も注目したい点は、政府や軍隊あるいは科学者といった、市民(=弱者)を守り、本来立ち向かっていくべき組織が怪物を生み出す原因を作り、そればかりか、自ら闘う事を余儀なくされる市民の足枷にまでなってしまうという、今までの怪獣映画の常識を覆す逆転の発想にある。冒頭の在韓米軍研究所から薬物を廃棄処分するシーン(いかにもB級っぽい!)や、政府による妨害工作など、反米・反政府といった社会派としての一面を覗かせてはいるが、実のところ余り深読みするほどの面白みは感じない。それは怪物に攫われた娘を、家族が力を合わせて救出するというストレートなドラマツルギーのほうが勝っているからに他ならない。それは一方で、さながら街をジャングルに見立てた、サバイバルゲーム的な面白さとでも言えるだろうか。怪物と国家の両方と闘わなければならない家族には、悲壮感や深刻さを余り感じさせず、どこまでもカリカチュアされた描写を貫く事で、大騒動を繰り広げる人間たちの滑稽さと悲しさを浮き彫りにしている。それにしても、韓国映画の生々しさは本作でも健在で、黒くヌルっとした物体が橋の欄干から、(まるでウ○コのような)いかにも排泄物の塊のように垂れ下がる姿で登場する怪物と、“ん?あれは一体、ナニ?”と、一瞬わが目を疑うような反応をする人々の描写が秀逸で、そのあとにくる河川敷でのパニックへと波及していく転換の面白さは比類のないものである。カメラの遠くから近くへの遠近法と、「ジョーズ」を参考にしたような横移動との巧みな組合せによる視覚効果は、緊迫感を伴った極めて精度の高い迫真の映像であり、中でも、次々と人々を襲う怪物が土手で足を滑らせるマヌケぶりなどは、まるで本当の生き物のような錯覚を覚えさせるほど芸が細かい。この序盤の圧倒的な素晴らしさに比べると、クライマックスは少々呆気ないが、ジャンルを問わずとも質の高い映画を描出するポン・ジュノの才能も然ることながら、映画製作に於ける柔軟な姿勢と懐の深さには敬服せざるを得ない。
ドラえもんさん [映画館(字幕)] 8点(2006-12-02 16:39:36)(良:3票)
133.《ネタバレ》 従来にない怪物映画で、新境地に達していると思う。ホラー的要素よりも、社会風刺に重点を置いています。簡単に言えば、突如現れた怪物に娘を攫われた家族が必死に救出する物語の中にギャグを取り入れ、結局娘は助からない物語。視聴者を驚かすために用意したとしか思えないバッド・エンドの代償として、浮浪児が助かり、家族になります。米軍に対する怒り(毒物の不法投棄、ウィルスの勘違い、突然の軍事介入)や政府、マスコミへの批判など盛りだくさんです。オマヌケ家族のキャラが際立っているのが共感できます。まぬけ=愛されるいうことを再認識しました。天才バカボン一家に似てますが、違うのは、母親不在という点。その代わりに娘が母性を存分に発揮し、怪物から浮浪児を守ります。ここは見せ場でした。エイリアン2が頭をよぎりましたよ。大学は出たけどデモばかりに出て、就職できないが、火炎瓶作りが得意な弟、アーチェリーの選手の妹など、ラストの対決シーンへの伏線が効いています。父はカンドゥの弾の数え間違いで命を落としますが、その前に息子を溺愛しているシーンがあるので、悲惨さはありませんでした。息子のためなら生命を平気で投げ出す大きな愛情が感じられました。脇役のユニークさは特筆ものです。仮斎場でずっこけたのをごまかしてアナウンスする細菌部隊員、カンドゥの話をまじめに聞くと思わせてウィルスによる幻想と判断する米軍医師、助けると見せかけて裏切る借金まみれの先輩、役立たずと見せかけて意外に活躍する浮浪者など、ニヤリとしますね。みなストーリーにしっかり絡んでいます。残念なのは、浮浪児の兄貴分。店は荒らしても、金は盗むなと浮浪児のモラルを教えていましたね。是非生き残ってもらいたかったです。さて、ラストですが、カンドゥは成長したのでしょうか?髪の毛が黒くなり、料理を作り、店番も眠らずに出来てました。毒ガスを浴びたせい?ウィルスに関する米軍の弁解など意に介せず、食事にくらいつくのは庶民の雑草のような力強さの象徴でしょうか。それとも真実を見ようとしない暗愚な庶民の象徴でしょうか。いろいろと考えさせられます。さて怪物ですが、登場シーンでインパクトがあったものの、出現するたびに慣れて、怖くなくなるのは欠点です。次々と新しい生態を描いて、観客をはらはらさせるべきでした。十分楽しめる映画です。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 8点(2009-09-09 03:29:10)(良:2票)
132.怪物の姿がいきなり現れたときの唐突感が素晴らしい。怪物がぜったいいそうにない空間に怪物がいるという不自然さが素晴らしい。その後の徹底した家族のストーリーも悪くはない。むしろ徹底しているから良い。でも初顔見せが素晴らしかったのに、怪物が一向に怖くならないのが致命的。恐怖演出が弱い。弱すぎ。怪物が出てくるだけで実は社会派映画だからとか家族の絆こそをメインに描いた映画だからとか、そんなの理由にならん。怪物なんだから怖くないと話にならん。
R&Aさん [DVD(字幕)] 4点(2008-04-23 14:16:10)(良:2票)
131.《ネタバレ》 モンスター系パニック映画の常道を覆し、のっけからその姿を露にするグエムル。この登場シーンが秀逸です。橋桁にぶら下がる謎の物体。姿を見せることと正体を現すことは別。「何だアレ?」という疑問と同時に、生き物としての勘が自分に訴えかけます。何かヤバイものだ!序盤からのハイスパートでつかみはOK。娘の遺影を前にして泣き叫ぶ家族。涙を誘うシーンなのに笑えてしまう。シリアスにならざるを得ないお話なのに、あくまでも“娯楽作品”。クライマックスの決闘はもちろん、グエムルの巣から脱出を図るヒョンソなど、力が入る見せ場は多いです。それに多少強引な展開でも納得させられます。何故なら娯楽作品だから。でもラストには驚きました。本作の流れを考えれば、ヒョンソは助かって然るべき。だのに、こんなに悲しい結末にするなんて…。彼女の死は無駄ではなかった。それがせめてもの救いなのでしょう。でもやっぱり子供が死ぬのは切な過ぎる。こんなときに奇跡が起きなくてどうするの!それがフィクションの特権なのに!いや、後日談でナムジュが食卓にいないのは、長期入院しているヒョンソの付き添いをしているから、と考えることにしよう。物語の解釈は観客それぞれに委ねられている。それは観客に与えられた特権です。
目隠シストさん [DVD(字幕)] 8点(2007-04-01 07:21:46)(良:2票)
130.《ネタバレ》 たとえばリドリー・スコット「エイリアン」は宇宙の彼方で勝手に発生していたところにたまたま人間様が迷い込んだために、リプリーは生き延びるために闘わざるを得なかった。
「プレデター」は、はるか昔に宇宙の彼方からやってきて、地球に住み着いていたのだが活動時期が稀であったためにあまり人に知られておらず、シュワちゃんたちは、たまたまそこを訪れたために対決せざるを得なかった。
「怪物」、その発生の原因(または原因不明なこと)こそが何よりも重要な意味を持ち、産地によって異なる背景を持つ、もののようである…などとグエムルを見て考えた。
グエムルは意図的に生み出されたのではなく、白人科学者の気まぐれによる偶発的なものとされている。そこには、「韓国の河など、汚れたってかまうものか」という差別と無神経が存在した。
この映画では、リアリティはほとんど無視されているし、監督の意図はリアリティ以外のところにある。それはたぶん、「誰もが弱い者を守ろうとし、最も弱い者でさえ、自分より弱い者を守ろうとする。」人間の姿、とか、「漢江に象徴される韓国人魂は、白人のまやかしに無抵抗で屈することはない」という反骨心であろう。グエムル発生の原因からしても、パク一家が貧乏階級であることからしても、「白人に汚された韓国が、不屈の雑草魂で立ち向かう」話、というふうに私は思う。
「米軍」を「イラクにお手伝いに行っている日本の自衛隊」、「漢国」を「イラク」というふうに置き換えて、イラク人の監督が「グエムルイラクバージョン」を作ったとしたら、どうだろう。日本で上映できるだろうか。ボン・ジュノのメッセージの衝撃度が想像できるだろう。
「反骨」ボン・ジュノの意図はいいとして、作品としては、?をつけざるを得ない。
冒頭の果てしなくたらっとした日常から突如として非日常、のところはよかったし、子供の描き方は一級品と思うが、内容にしては長すぎ、全体としては各シーンを3分の2くらいずつに縮めたらよかった。「まんま」にすぎるというか、「つなぎ」がヘタ、というか、残念な編集と思う。グエムルの動きも、自然な場合と不自然極まりない場合が混在する。
特筆すべきはヒョンソ役の子である。ラスト近く、グエムルへ立ち向かうシーンは鬼気せまる。
パブロン中毒さん [DVD(字幕)] 6点(2007-03-23 23:56:32)(良:2票)
129.《ネタバレ》 ハリウッドからのパクり系で韓式の手垢つきまくりパニック&家族愛(←日本の配給会社の、もはや笑えないセンスが特盛のコピー)映画…じゃないのか?じゃないよ!?吃驚する程の完成度の高さ。見所は、客に出す筈のイカ焼きの足を一本くすねちゃうような主人公と、その家族の駄目っぷり。ここまで駄目でも成り立ってしまった脚本は、もう誉めるしかない。冒頭の惜し気の無いパニックシーンや、社会風刺・体制批判をも盛り込みつつも衰えないエンタテイメント性の高さにも、かなり驚かされた。そして何よりも凄いなと感じたのはラストの食事シーンからエンドロールにかけての流れ。スリムでシンプルで完璧。全然好みの作品ではないが、「トレマーズ」を初めて観た衝撃をアジアンテイストに仕立てて出世させたような感じ。御馳走様。
aksweetさん [DVD(字幕)] 9点(2007-02-04 00:21:31)(良:2票)
128.《ネタバレ》 アメリカ人には逆立ちしても作れないモンスターパニック。アクションでもホラーでも、題材を替えて同じパターンを繰り返すだけになりがちなもの。安手の使い古されたネタで、よくぞここまで斬新な物語を展開したものだと思う。

まず軍や警察ではなく、どちらかという生活レベルの低い庶民、しかも一家族を主役に据えているのが新しい。こういうのはたいてい偶然居合わせた連中がやむを得ず戦ったりするわけだけど、家族を中心に展開されるだけで否応なしに引きずり込まれてしまう。馴染みやすさが全然違うし、加えて、サスペンスで無理に盛り上げなくとも観客を惹きつけることができる。結果として豊かなドラマ性が生まれ、モンスターものなのにホラーというジャンルに収まりきれない異色作となっている。

またあの怪物の大きさがイヤだ。大きすぎず小さすぎず、ありえないんだけどありえそうな、ちょうどいいくらいのサイズ。クモザルみたいにひょいひょい移動するあの動作も巣に餌を溜め込む習性も、なんだかもっともらしくて、妙な説得力がある。

そして怪物が生まれた背景には人間の浅はかさがあるというテーマは大昔の『ゴジラ』からあるものだけど、これほど怪物よりも人間の怖さを思い知らせてくれる作品も珍しい。軍隊なんか全然頼りにならないどころか、隠蔽するために危害を加えてくる始末。ここらへんのリアリティなんかもう、気色悪いくらいである。

エンターテインメントなのにシリアスで、シリアスな割にはエンターテインメントしている。バランス感覚が絶妙というか、独特だ。すべてにおいてそうで、音楽や映像のセンスもけっしてB級ではないのに気取りすぎてもいない、ほんとうに絶妙な加減にとどめている。

この妙なリアリズムからいってもベタなハッピーエンドはありえないと思っていたので、この結末には素直に納得した(少なくとも、個人的には)。怪物に襲われても政府に踏みつけにされても結局は生き残る庶民のたくましさ、雑草魂が印象付けられる、いい結末だったと思う。米国の責任問題を報道するニュース番組を、「つまんないから」の一言で消してしまう、あの図太い神経。ああ、大丈夫なんだな、何があってもこいつらは生きていけるんだな、という安心感があった。

ハッピーエンドとも言い切れず、かといって救いがないわけでもない。ここでもやはり不思議なバランス感覚が発揮されている。
no oneさん [DVD(字幕)] 9点(2007-01-29 15:14:25)(良:2票)
127.いま観てきました。
アンチ怪獣、アンチ大作な心意気が映画のフォルムを壊しまくっている。素晴らしい。
モンスターデザインにはタトプロスではなく、成田了の遺伝子を感じますな。一見ありえなさそうなシュールなボディラインが素晴らしい。
そしてストーリー! まるっきりロジャー・コーマン製作の『吸血怪獣ヒルゴンの猛襲』のパクリじゃないですか! 真似るにことかいてコーマン御大の怪獣映画かよ! むっちゃくちゃ素晴らしい!
音楽が見事なくらい「わかってなかった」のがつくづく残念。満点には至りませんでしたが、とってもとっても素晴らしい映画だと思います。
人気の悪さ、宣伝の拙さに振り回されて、食わず嫌いしてた自分が本当に悲しくなりました。「蓋を開けてみると小粒な動員だったけれど…」と評しながらも、あえて再上映してくれた蠍座のオーナーさん、感謝です!
●追記:一日じっくり考えてみた。これほど明確に具象化された「北朝鮮」を今まで見た事がないのに気づいた。生い立ちも、自然界に存在を許されない奇怪な形態も、拉致って生殺しにする食餌行動も、水路から迫る襲撃経路も、そのステルス性と俊敏さを兼ね備えた攻撃能力も、そして大多数の市民にとって真の脅威ではない点もビシッと符合する。その上で、マスコミに流布するウィルスの噂や、論点がずれて行く(というかずらして行く)政府や米軍の行動や、火炎ビンで戦う事の意味や、墓穴を掘りまくる主人公たちの思慮のなさに、いろいろな意味付けが出来はじめた。そして、実際に怪獣なるモノが現れた時には、案外行政府ってこんな風に行動するんじゃないか…とも。
ここまでの政治性の強さは、日本怪獣映画(テレビは除く)ではやれなかったものだと思う。「んにゃ、グエムルの母はヘドラだ」と言う向きはあるかもしれないけどね、日本ではヘドラは根付けなかったのをお忘れでないよ(廃棄物13号は…オイラ的には発展性の少ないオマージュだったと思うがね…マンガしか見てないけど)。
この怪獣はきっと、日本より漢江の水が合ってたんじゃないかな。観客の危機意識ベクトルの問題かもしれんがね。
エスねこさん [映画館(字幕)] 8点(2006-12-10 20:28:44)(良:2票)
126.構造的には同監督作品の「殺人の追憶」とあまり変わらない。黒幕は連続殺人犯でも異形の怪物でもなく、韓国という社会。両作とも印象的なのはソン・ガンホのクローズアップ(「グエムル」ならば、小屋から暗闇の向こうに銃口を向けるシーン)で、彼の視線は映画を飛び越えて、実社会へのまなざしとして観客に投げかけ、映画が終わった後も居心地の悪さを残し続ける。大きく異なるのは、「殺人の追憶」においては犯人=怪物を見せないという事を徹底したのに対し、「グエムル」では群集を襲う怪物としてとにかく見せるという事だろう。前者がサスペンスならば後者はスペクタクル。しかし「殺人の追憶」のサスペンスの支柱となった、韓国の軍事政権下の社会をダイナミックに描いた様は、スペクタクルそのものだったように思う。「グエムル」では、スペクタクルの支柱となる見られる対象としての怪物に、スピード感ある視覚効果やキモいイデタチを与えるが、おそらく10年とか時間が経ったとして、そのフォルムを覚えている者はいないだろう。ゴジラとかエイリアンとか、そして最近だと「宇宙戦争」のトライポッド(怪物ではないが一応)、これらのフォルムや動作が忘れられないのはそれなりの理由があるからだが、「グエムル」の怪物にはそれなりの理由が無い。テキトーな感覚で言うならば、こいつは「企画から生まれた」感が非常に強い。あるいは、「~的」であろうとし過ぎている気がする。地味であるほどに存在感を引き立てるぺ・ドゥナの方がよっぽど怪物なんじゃないのか。映画が高速化する中で、アーチェリーの矢を、しかもジャージ姿で放つ彼女と矢の軌道からは、高速化するサッカーの中で一発のスルーパスに賭ける前時代的なトップ下のそれを感じ取れるだろう。優雅な運動はスポーツ界のみならず、映画からも消えつつある。
Qfwfqさん [映画館(字幕)] 7点(2006-10-09 01:56:37)(良:2票)
125.《ネタバレ》 生きるとは食べること。本能的な機能に擦り寄れば、生きるとは食うこと。グエムルはなんのてらいもなく人を食う。パク一家はインスタントラーメンをぱくつく。唐突に姿を現したヒョンソに食べ物を与えることで家族の根源的な機能を画面に焼き付ける。これはヒョンソを助けるために奔走する家族の本能的な物語ではないか。本能ならばこそ、走る行為、食う行為のその美しさと醜さが同居する。きれいはきたない、きたないはきれい・・・それは無垢な少女ヒョンソの下水溝のドロに汚れた顔のクローズアップとタクシーから降りた時に夕日の逆光に照らされる野宿者のカットに象徴される。ラストシーン、ソン・ガンホの髪が黒いことは、それまで徹底してガンホの顔を覆っていた消毒剤などの遮蔽物が晴れて拭われ、生まれたままの姿での彼の再生を謳っている。ヒョンソが命をかけて守った男の子はヒョンソの生まれ変わりであり、必然そのシーンは「めし」となる。雪の暖かさが涙を誘う家族の物語である。
彦馬さん [映画館(字幕)] 10点(2006-09-07 19:46:08)(良:2票)
124.《ネタバレ》 「これぞ韓国、映画のチゲ状態や~」(映画帰りの南武線の中から友人に送ったメールより)。という事で、今日はグエムルチゲ。メインの材料とダシはもちろん、川から取れたホルマリン風味のぴちぴち新鮮なグエムル。これに家族、米軍、韓国軍、反米活動家、路上生活者、怪しげなウィルス、ペ・ドゥナ萌えなどを混ぜれば、ほーら、甘味と苦味、渋味に酸味、辛味と旨味が複雑に絡み合う映画の出来上がり。混沌とした風味から醸し出される、見終わった後の複雑な充実感に、なんかエラいモン見てしもたわぁ!と興奮する事請け合い。いやいや、お見それしました。なんかいろんな要素がごった煮になってて、一筋縄では行かない状態なのがとても面白いです。これ、取り沙汰されてる反米とか反政府って、ちょっと違うかな?と思いますし。米軍も政府も反米も全部まとめてゴタゴタと煮てあるだけ。家族愛だって、どんな愛のカタチよ?みたいな世界だし、ラストはあんなだし。グエムルは韓国の人々の日々の不安をいっぱい色々象徴して家族を襲いますが、それって中身は違えど感覚は世界共通。だから怪獣映画の本場やモンスター映画の本場ではないところから、こういう映画が出て来たって事がとても新鮮な驚きでしたし、こんなパワフルである種バカだけど、中身もしっかり詰まってまっせ、という映画が生み出せる事も、なんか凄いなぁ、って。うーん、脱帽。
あにやん‍🌈さん [映画館(字幕)] 8点(2006-09-03 21:22:26)(良:1票)(笑:1票)
123.ポン.ジュノ監督アカデミー受賞記念として鑑賞。
やはりメッセージ性ある作品なんだね。警察も医者も【聞く耳持たず】。頼れるのは己の力のみ。
「パラサイト」同様アメリカを皮肉ってる部分も見えるし、只の娯楽作品ではなく、何を感じるか、何を伝えたいのか、ポン監督の作品は考えさせられます。
tonaoさん [インターネット(字幕)] 7点(2020-02-10 16:30:53)(良:1票)
122.《ネタバレ》 ありがちなモンスターパニックといえるのは最初だけで、物語は怪物VS家族・社会風刺を含みながら怪物VS社会VS家族と進んでいくのだが、何か変。いきなりの怪物登場で犠牲者が大勢でて、娘も連れ去られるのだがなぜか笑わせる。変にコミカルなおもしろ家族を印象付ける。まあそんなおもしろ家族だからシリアスな場面をよりソリッドにしてくれるのだけど。あ、これは言い過ぎた。そのコミカルさ故に緊張感を欠き、怪物の怖さを打ち消してしまっているので。それはそうと、二世代に渡り母親不在の中、どうしても女性器にしか見えない形状の怪物が、娘を殺さず連れ去ったのは、母性的な何かあるのかと期待したのだけど、どうもそういう訳でもなかったな。母性は娘さんが見せてくれたので、怪物は知らぬ存在である母に対する畏怖の具現化とでも思えばいいのだろうか。突っ込みどころはたくさんあると思うけど、ラストで、娘への愛情だけは強かったがバカでポンコツな父親が、ここぞの意地で復讐を遂げた後に見せた哀しげな表情に、こまけーこたーいいんだよとなぜか納得させられてしまう。笑って(笑っていいのかはわからないが)泣けるエンターテイメントで、単純にハッピーエンドとしないのも好み。
長谷川アーリオ・オーリオさん [インターネット(字幕)] 9点(2011-06-13 06:46:06)(良:1票)
121.《ネタバレ》 なかなか面白かった。ただ、ウィルス関係のためか中盤ダレ気味でした。しかしストーリー的にはあった方がいいと思うし、難しいところですな。とにかく、もう少し短くまとまった方がよかったと思います。あと、前半笑いをとる場面も多く、コメディかと勘違いしかかりました。それがシリアスな怪物(この映画ではクリーチャー?)の場面とうまく切り替えられなかった。それ以外は、かなりよかったんではないでしょうか。一家のキャストがそれぞれはまっていたし、一旦離れた兄妹が、連絡を取りつつそれぞれ行動して、最後に集結する展開もうまい。単なるモンスター映画ではなく、いろいろな要素を取り込んだ欲張りな作りで、それをけっこううまくまとめていたのも賞賛できます。
肝心のヒョンソが結局死んでしまうわけですが、それは男の子を守るためだった、つまり犬死にではなかったというところが、ポイントではないかと思います。誰かを守るために行動するというのは、パク一家全員に共通していることですね。
アングロファイルさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-11-07 20:10:17)(良:1票)
120.《ネタバレ》 う~ん・・・ ウイルス関連って必要かな? ウイルスのせいで軍、警察、医療関係者など立場的に強い者の邪魔がちょくちょく入ってくる。「なかなか倒せない」はOKでも、「なかなか戦わせてもらえない」は見る側としてもストレスが溜まる。「頭にウイルスがいるから」と強制的にメスを入れられるなんて、もうイライラして大変。また所々コメディ調になるのは怪獣映画に100%真剣に向き合うことへの照れだと感じた。保険ですね。それでも親父さんはもっとかっこよく死なせてあげないとな~。怪物との最終決戦は一応満足。ホームレスとアーチェリーねえちゃんの活躍が気持ち良い。でもエージェント・イエローはよく分からなかった。人間も耳から血を流してたけど、どういう事なんだろう? 軽く有害?
リーム555さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-10-19 21:15:02)(良:1票)
119.《ネタバレ》 ポン・ジュノ監督の映画なので、色々と背後に隠れたものを考えながら観ようと思ってみたが、結局馬鹿笑いしながら見てしまった。化け物のコミカルな体型とか主人公の駄目っぷりとか、主人公一家のハチャメチャぶりとか。シリアスな中にもどこかコミカルな雰囲気を持った作品を作る監督だから、ある程度は意識的にやったことだと思うが、ここまで来るとコミカル要素の方が強すぎてちょっといただけない。ストーリー自体は結構バッドエンドだったりするし、もちょっと真面目にやってよーって感じがする。

ラストのご都合主義は確信犯だとして、知らんルンペンとエージェント・イエローが出てくる終盤は正直微妙。あのガス程度の威力じゃ、化け物がよっぽど近くにいないと通用しないわけで。結局モロにガスを浴びた主人公一家も軽症で済んでるし。逆に化け物をおびき寄せるために米軍がデモを仕組んだのだとしたら、それはそれで面白いけど、それが分かるシーンはない。

この後、監督は傑作「母なる証明」を撮るんだから、「ブラインドネス」でこけたメイレレス監督も次はやってくれるかもしれないと期待してみたり。
枕流さん [DVD(字幕)] 6点(2010-01-15 23:54:24)(良:1票)
118.なぜ『グエムル』は日本でコケたのか? という表題の記事を多く目にし、今さらそれらの記事を読み漁ってみたのですが、その中のひとつに 【 『グエムル』は韓流スターを前面に押し出さず、怪獣映画として日本に広報された。 しかし日本で怪獣ジャンルはマニア層が存在するが、彼らの期待心理を充足させることができなかった。 彼らは(つまり、日本人は)グエムルが遅く登場し、英雄や自衛隊にやられるという従来の怪獣映画の公式と『グエムル』の違いを受け入れることができなかった」と説明した。】  というご意見を目にしたのですが、、、 いかがなのでしょう・・  なんか違う。この方の見解には納得できない なぜなら日本人だからってグエムルが遅く登場する事なんて たぶん誰も望まない。逆に唐突早々に現われた事に度肝をぬかれた訳であって そこをかなり評価している それになにさ、英雄やら自衛隊っていうのは具体的にいうなら アレですかね、例えば、ウルトラマンやウルトラ警備隊などの事を指して言ってらっしゃるのでしょうか。そんなバカな。あなた日本人をかなりオタク扱いしてくれちゃってませんか  とまあ、なんだか記事に対して異議を唱えてみたくなってしまいましたので この場をお借りしてみました。すみませんでした。 しかし、個人的な見解であってデータ的なものではないんであれなんですが、『グエムル』って日本ではほんとにコケたのでしょうか  いや、コケたって言われるほどではないでしょ。そりゃ確かに、劇場収入は見込んでいた数字以下の大惨敗だったのでしょうが、その後 DVDの売れ行きは良い感じでしたやん、レンタル市場でもヒットしてましたやん、結局は日本人の皆さん何らかの手段にて目にされているわけなんですから、あんましコケたコケた言わんでもいいんではなかろうでしょうか そんなにめちゃめちゃコケたわけでもないのに コケたコケた言われるって事は そんなにハゲてもいないのに ハゲやハゲやって言われてるようなもんやないでしょうか そんなんやったらカワイソですやん。以上です。
3737さん [DVD(字幕)] 8点(2009-12-21 23:42:02)(笑:1票)
117.《ネタバレ》 めちゃくちゃ面白かった。爆笑という意味で。予告編がかなりイイ出来で、あれを見て本編見てみたいなぁとい気持ちになったのだが、更に友人の追い討ちの一言「あの怪物、どうやら鯖らしいよ」でTSUTAYA行きが決定。まじ?サバ??鯖なの????開始10分からすでにわくわく。結局鯖かどうかはわかりませんでしたが私の中では終始「怪物は鯖」と言う設定で見進められて行ったためもうコメディにしか見えず。お父さんがやられるシーンとかも一人で爆笑。いらないシーンも多かった気はするものの、モンスターパニックの新しい楽しみ方を体感できた貴重な映画でした。
らいぜんさん [DVD(字幕)] 8点(2009-06-07 14:40:22)(笑:1票)
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【点数情報】

Review人数 136人
平均点数 5.99点
000.00%
121.47%
210.74%
396.62%
41511.03%
52316.91%
63525.74%
72216.18%
82014.71%
953.68%
1042.94%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.75点 Review8人
2 ストーリー評価 5.25点 Review8人
3 鑑賞後の後味 4.40点 Review10人
4 音楽評価 5.33点 Review6人
5 感泣評価 6.00点 Review5人
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