三度目の殺人のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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三度目の殺人

[サンドメノサツジン]
2017年上映時間:124分
平均点:6.29 / 10(Review 62人) (点数分布表示)
公開開始日(2017-09-09)
公開終了日(2018-03-07)
ドラマサスペンス法廷もの犯罪もの
新規登録(2017-07-13)【にゃお♪】さん
タイトル情報更新(2018-06-14)【イニシャルK】さん
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監督是枝裕和
キャスト福山雅治(男優)重盛
役所広司(男優)三隅
広瀬すず(女優)山中咲江
満島真之介(男優)川島輝
市川実日子(女優)篠原一葵
松岡依都美(女優)服部亜紀子
橋爪功(男優)重盛彰久
斉藤由貴(女優)山中美津江
吉田鋼太郎(男優)摂津大輔
蒔田彩珠(女優)ゆか
原作是枝裕和(原案)
脚本是枝裕和
音楽ルドヴィコ・エイナウディ
撮影瀧本幹也
製作フジテレビ
ギャガ
配給東宝
ギャガ
美術種田陽平(美術監督)
衣装黒澤和子
編集是枝裕和
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【クチコミ・感想】

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62.硝子を挟んで二つの「顔」が重なる。
利己的な弁護士と虚無的な殺人犯。両者の発言と深層心理は時に絶妙に重なり合い、発される言葉が一体誰のものなのか一寸分からなくなる。
主人公は、或る殺人犯の靄がかった深層に、自分自身の本性を見つけるのだ。
ラストカット、彼は一人十字路に立ちたたずむ。果たして、どの路を進むべきなのか。答えの見えない葛藤に途方に暮れるかのように。

映画が終幕し、主人公と同様に映画館のシートでしばし呆然とたたずんだ。
秋の夜長、味わいがいがある余韻を残すサスペンス映画であることは間違いないと思う。
「三度目の殺人」というタイトルからも伝わってくる通り、往年の国産サスペンス映画を彷彿とさせるクラッシックな佇まいは、非常に上質だった。

と、今の日本映画界におけるトップランナーであることは間違いない監督の最新作を大いにべた褒めしたいところではあるのだけれど、あと少しのところで諸手を挙げて賞賛することが出来ない悩ましさがこの作品には確実に存在する。

先ずはストーリーの練り込み不足。最終的に示される深いテーマ性に対して、ストーリーの奥行きに物足りなさを感じずにはいられなかった。
意味深長でシンボリックな描写は随所に散りばめられ、その一つ一つの場面は極めて映画的で、非常に印象的ではあるけれど、同時にそのすべてに説得力が乏しい。

なぜ殺人犯は十字を切ったのか?少女の父親の愚劣な行動の実態は?
と、物語の核心となる重要なポイントの描き出され方が、あくまでも象徴的で類型的な処理をされるため、ストーリーテリングとしても、人間描写としても、掘り下げが浅いと感じざるを得なかった。

それに伴い、各俳優陣の“良い演技”も何だか“型どおり”に見えてくる。

殺人犯を演じた役所広司は凄まじい演技をしているとは思う。言葉では表現しきれない空虚さと漆黒の闇を抱えた殺人者を、圧倒的な存在感で演じている。時に少々オーバーアクトにも見えなくもないが、この役柄のある種のメフィスト的立ち位置を踏まえると、正しい演技プランだったと思う。
しかしながら、肝心の人物描写が浅く中途半端なので、やはり最終的な印象として説得力に欠け、実在感が希薄だった。

広瀬すず&斉藤由貴の母娘像も、両者の好演により絶妙に忌まわしい関係性を醸し出せてはいるのだけれど、実際に彼女たちが抱えたであろう「痛み」の描写が皆無であるため、「そういう設定」の枠を出ず描かれ方が極めて軽薄だったと思う。
広瀬すずに関して言えば、昨年の「怒り」での“或るシーン”があまりに強烈だったため、殊更に今作での彼女の使い方に「弱さ」を感じたのだと思う。


そして、このサスペンス映画が、一級品になれなかった最大の理由は、「主演俳優」だと思う。
主演である福山雅治の演技者としての奥行きが、そのままこの映画自体の奥行きの無さに直結している。
決して、福山雅治が悪い俳優だと言っているわけではない。演者として、表現者として彼のことが嫌いなわけではない。むしろファンだ。
ただ、この映画においては、福山雅治という俳優の良い部分でも悪い部分でもある「軽さ」が、肝心な部分で引っかかってしまっている。

同じく是枝裕和監督が福山雅治を主人公に抜擢した「そして父になる」は素晴らしかった。
あの映画においては、主演俳優の軽薄さが最良の形で活かされる主人公造形が出来ていたからこそ、新しくも普遍的な父像を浮かび上がらせ、難しいテーマを孕みつつも、新たな家族映画の傑作として成立したのだと思う。

「そして父になる」と同様に、今作の主人公造形においても、おそらくは主演が福山雅治に決まった上での“当て書き”だったのだろう。
だからこそ、当然ながら主人公キャラクターの設定自体はマッチしているし、映画の構成的にもビジュアル的にも商業的にもバランスはよく纏まっているように見える。
だがしかし、突如として目の前に現れたメフィストフェレスと対峙して、自分自身の存在性と、「正義」というものの意味を突き付けられるというあまりにも深淵な人物表現を必要とされる役どころを演じ切る力量と適正を求めるには、彼には荷が重すぎた。
少なくとも、この映画においては、クライマックスに入り主人公の感情が揺れ動き、感情的になるほどに、演者としての空回り感が際立っていたことは明らかだ。

くどくどと長くなったが、結論として「面白くない」ということではなく、充分に見応えのあるサスペンス映画であったことは冒頭の通りだ。
傑作を通り越して名作になり得る「雰囲気」を感じる映画だっただけに、口惜しさも大きいという話。
鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 6点(2017-09-22 23:59:36)(良:2票)
61.《ネタバレ》 人は自分の今までの経験を通して、あらゆる物や人を、自分の常識や理解の範疇に押し込める事で型にはめて、自分なりの善悪の基準で無意識の内に物や人を裁いている。
それは映画であっても同じで、今観ている映画を、自分の知識や今までの映画体験を通して、ジャンルを分け、筋道を考え、結末を考え、物語の意図を監督の意図を知ろうとする。
そうして理解しようとしなければ、理解が出来なければ、気持ちが悪いから。自分の器に、物や相手をはめなければ怖いから。
ラストの接見室の場面。重盛は観客も予想したであろう、三隅の意図(自分が犯行を否認する事で、咲江への言及を免れ、彼女を苦しめずに済む)を彼に投げかける。重盛は自分の器に三隅をはめようとし、若しくは自分が三隅の器にはまろうとし、同一化しようとする。それは視覚的にも提示され、それまで徐々に境界を薄めていっていた鏡面は完全に姿を消す。そして二人が重なり合う寸前、また二人は離れる。
観客も重盛も三隅の真意(そもそも思いがあったのかすら)も、犯行の真実も犯人も知ることは出来なかった。
確かな事は、司法制度という器に無理矢理はめこまれて、”死刑になった三隅”という人物がいる事実。
三隅は理解も共感も寄せ付けない。
この映画は、観客が安易な物語の枠組みにはめる事も、偏狭な物差しで裁く事も、観客にとって都合のいい真実を捏造する事も、特権的な視点を持つ事も許さない。
これほど挑発的な是枝作品は始めて観た。
ちゃじじさん [映画館(邦画)] 8点(2017-09-16 09:40:57)(良:2票)
60.時間をおいて二度見ました。一度目の採点が3点とするなら
その数ヶ月後テレビ放送をしているのを再度見て評価が6点上がりました。
思わせぶりでハッキリしない話は基本好きでは無いのだが、
予めそういう映画と解って再見すると一度目では味わえなかった所が見えてくる所もあり。
ただ、見る側の脳内補完に頼る雰囲気映画が許容出来る精神状態で見るのかどうかで
評価は変わって来そうだね。
デミトリさん [DVD(邦画)] 6点(2019-02-03 08:52:34)(良:1票)
59.《ネタバレ》 「三度目」「十字架」「カナリア」「裁くのは誰?」「器」などなど、あれこれメタファーを盛り込み過ぎの感はあったし、俳優みんなオーバーアクトな感じもあって、見終わったときはお腹いっぱい。いつもの是枝監督作と比べると「思ってたのと違う」感もあった。その上、サスペンス風な味付けなので、「犯人」「動機」「真相」みたいなところにも関心が飛んで、さらに落ち着かない。ただ、あとでじんわりじんわりと、作品の味が伝わってきて、思ってたのと違ったけど、これはなかなかよかったのでは、と思うようになった。何より、最後の「器」がいい。結局、登場人物たちはみんな役所さん演じる三隅に、自分が思う犯人像を重ねていて、それを彼は「演じて」いるに過ぎない。彼が力強く自分の意志を訴えているように見えるシーンでも、彼の目は「からっぽ」だ。それを考えると、最初は苦手だなと思った役所さんのオーバーアクトも説得力を持ってくる。裁判をめぐるあれこれの表現は、自分は昔近い人に関する裁判を数回傍聴したことがあって、そのとき「裁判なるもの」に感じた違和感を、すごく適切に表現してくれた気がする。裁判は「真実」を明らかにする場ではなく、起こってしまった「アノマリー(非日常)」を日常世界へと回収するための共同体儀礼である、というのは言い過ぎかもしれないが、そういう側面が見事に描かれていた。これは、米国産の量産される裁判モノにはない、是枝さん的な視点でとても面白い。「モヤモヤ」する映画であることは間違いないが、そもそも裁判で「スッキリ」すること自体への違和感というか、そこを見事に突いた作品だと思います。
ころりさんさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-10-11 11:54:58)(良:1票)
58.《ネタバレ》  「忖度」→自己犠牲→神?
【ネタバレ】
 あきらかにそういう撮りかたしてたよな。最後らへん。一回しか見てないけどよ。

 こりゃあかんよ。「忖度」という言葉がなぜ今の時代のキーワードなのか全然わかってない。つか、生まれつき空気を読めない人に対し、おまえ普段迷惑かけてんだからみんなのために私刑犯して、低級な人間から神様に昇華して死ね、じゃーまるで権力者の思うツボじゃねーか。

 法律は忖度と対峙する。すべての人間の平等性を確保するために「法」とは生まれ存在するのだ建前上は。法律家はだからあくまで真実を追求しなければならない。そのへんをまるで足蹴にして、あまつさえ法制度を逆手に取って自己満のうちに死にましたじゃ、法に対する侮辱というか、こいつ何言ってんだ、なんて思われるだけだわな外人にゃ。

 日本人はなぜ忖度するのか? 断言するが、宗教的コミュニティによる(会社・階級を超越した)馴れ合い社会を維持するためである。いじめや不正はその中で「安全に」行われる。したがって仕事ができる人間よりも、馴れ合いを「絶対に」堅持できる人間が重要視され出世する(旧貴族が無難である)。そりゃ~当座はうまくいくかもしれんが、長期的には組織は当然劣化する(つーか、してしまった)。しかしこんなことバラすわけにいかんし(なんせ悪いこといっぱいしてきてるわけだから)、戦争によるリセットも不可能だし、さてどうしましょ? というのが今の時代じゃねーの? 会社も、政治も。

 盲人が象を撫ぜるんじゃなくて、「群盲が」象を撫ぜてわからんわからん言ってる、わかるはずの「目明き」は排除しちまっただどんすんべ? と善人ヅラした馬鹿どもが脳天気に呟いてる、そういう状況が問題化してるんだぞ今は。

 それをまるで必要悪みたいに描いて。まったく何十年も古いっての。『白痴』。忖度すなわち賤民制度の肯定。

 映像的なことをいえば、つくづく才能のない監督だという印象は変わらん(わかってたけどよ)。世の中の些末をしつこくほじくりだす脚本力はすげーとしか言いようがないが、しかしそれも売れてだんだん周囲にコントロールされはじめたか、あるいは年食ったか。

 この監督は救いを神になることに求めてしまった。一方で、本物の神に似たものがもうすぐ具現化しようとしている(世界中のすべてを監視する、あるいは全人類の一生分の思考量を一瞬ですますものの現出)。こんな時代をこの監督が思考するのは「とても無理」だろう。もう期待できん。

 これからは、日本流の「不正隠し」はできなくなるかもしれん(外人に全部バレる)。優秀な移民が来れば、大多数の「他人の言葉で喋っていればよかった」無能どもをいったいどうするのか?

 リベラル(犠牲の尺度)をどうあらたに引き直すのか? 日本はなぜ周辺との融合(止揚)を頑なに拒否するのか。なんでそんなに自信があるのか。 それとも自ら滅びを選んでいるのか。

 な~んてカッコつけていってもしゃーないが、しかし今の時代、みんな多少なりと感じていることを書いたまでで、そういう時にこのての(体制の「温存」に与するような)古臭い思考の映画を見て腹がたったので、あえて苦言を呈させていただく。
アンギラスさん [映画館(邦画)] 2点(2017-10-22 05:17:47)(良:1票)
57.撮影に入ってからも脚本の変更が相次ぎ、監督自身が迷走したらしいと聞いて、期待よりも不安が上回る状態で観に行ったが、いやいや、よく出来ていた。ベネチア映画祭コンペティション部門出品作だが、それに恥じるものではない。弁護士に限らず裁判に携わる者が感じるモヤモヤを疑似体験するみたいな。日本も裁判員制度へ移行したわけだからもはや他人事ではないなと。また、この着地点に至るまでも単純に面白い。これは多分、俳優・役所広司の凄さ。被害者への憎悪を吐き出す回の接見なんて鳥肌もので、共演者の一人、満島真之介はこの瞬間を「体に電気が走ったよう」と表現している。2時間釘付けにされ、その後もしばらく頭から離れない。是枝監督の新しいジャンルへの挑戦は成功に終わったと言えよう。
リーム555さん [映画館(邦画)] 7点(2017-09-10 00:34:00)(良:1票)
56.《ネタバレ》 モヤモヤするやんけっ!
東京ロッキーさん [インターネット(邦画)] 7点(2024-03-31 21:04:02)
55.『神は、わたしたちが偉いから使ってくださるのではないのだよ。
聖書にあるとおり、吾々は土から作られた土の器にすぎない。
この土の器をも、神が用いようとし給う時は、必ず用いてくださる。
自分が土の器であることを、今後決して忘れないように...』

三隅が重森に「なんですか?器って?」と聞き返す、
その言葉に僅かに首を振り身を引く重森、そこに穏やかな表情で残る三隅。
次のシーンでクロスロード(十字路)に立ち、長々と天を仰ぐ三隅のブラック・アウトで終わる本編。

なるほど「裁き」にピンとくるもののない我々には判りにくいだろう。
良作であることは間違いない。
crushersyuさん [インターネット(邦画)] 7点(2023-10-29 09:58:57)
54.《ネタバレ》 結論どうなるの??って思いながら楽しみましたがそういう終わり方なんですね。私的には白黒つけてもらえたら+1点でした。
珈琲時間さん [インターネット(邦画)] 6点(2023-10-24 15:26:05)
53.《ネタバレ》 「怪物」のプロトタイプ、または姉妹品?
この作品でやりたかったけどできなかったことを「怪物」でようやく実現したのか?
食品偽装は本当らしいが、それ以外は被告が語ることも、弁護士が語ることも信用できないし、咲江のレイプも事実かどうか分からない。
それに弁護士の戦術らしいが、無関係かもしれない(警察にそのことで疑われていない、事情聴取されていない)被害者の妻を主犯として被告の弁護をするところに違和感。
面会室で境のガラスに重盛と三隅の両者の顔が映り、重なり、そして離れる。それがセリフと絶妙にリンクして心情を表す点は良かったと思う。でも話は面白くない、というか面白くなりきれなかった。
リニアさん [インターネット(邦画)] 4点(2023-07-22 17:10:50)
52.《ネタバレ》 咲江(広瀬すず)が事件に関与していると認知された後、主人公および観客の間で共有されてきた『事件の真相』は、一般的に“腑に落ちるもの”でした。裁判途中で三隅が突然翻意した件も、この仮説を裏付けます。ですから裁判終了後、三隅の元を訪ね真意を質した重盛に対して、彼が黙って“頷いてさえくれれば”何の問題もなかったのです。ところが三隅は『それはいい話ですね』と嘯きます。例えば鉄棒の演技。後は着地だけのところで床が消えてしまったような。宙ぶらりんなこの感情をどうしてくれるの。
重盛や観客が想定していた『ストーリー』は、多分に性善説に基づくものでした。しかし元裁判官である重盛の父は『殺す奴と殺さない奴の間には深い溝がある。どちらかは初めから決まっている』と口にしています。そう三隅は『人を殺せる』側の人間でした。先の事件で彼が2人殺している事実は消えませんし、仮に誰かを助けるためだったとしても、普通は人殺しなどしません。
三隅を表す象徴的な言葉『器』。先の事件の関係者は、彼の本質が何かわからないと言いました。しかし、これは三隅に限った話ではありません。他人を理解することなど、土台無理な話。評価する側の価値観、経験測、信念等を頼りに想像するのみ。自分のキャパシティの範囲内で“分かった気になる”だけで精一杯。そういう意味では、重盛も、咲江も、それぞれの人間観で三隅の器に『納得できる人殺しの理由』を入れたに過ぎません。
おそらくこれは司法制度も同じ。真実を見極めることは至難の業。結局は、被害者や加害者、そして何より第三者(社会)が、それなりに納得できる“落としどころ”を見つけるのが本来の司法制度の趣旨という気がします。
目隠シストさん [インターネット(邦画)] 8点(2021-06-07 17:56:30)
51.「三度目」ってどこ?
あたま悪いのでよくわかりませんでした
(後に解説を読んでようやく把握)

役所広司がスゴかった
福山雅治との掛け合いも面白かった
そういう意味では面白い映画でした
シリアスでミステリアスで考えさせられる映画
是枝監督にしては珍しい感じの作品かな(たぶん)

最後までよく分かってなかったですけどね
愛野弾丸さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2021-01-13 18:50:27)
50.《ネタバレ》 真実を明らかにする事はよい事なのか?そもそも真実を明らかにする事は可能なのか?弁護士は真実なんてどうでもいいと思っている。大事なのは法廷戦術であり、裁判に勝てばいい。つまり儲かればいい。裁判はビジネスである。被告も真実なんてどうでもいいと思っている。被告にとっての正義が達成されるならそれで構わない。被告は裁きを下す器でしかない。30年前の殺人も同じである。つまり正義による殺人という私刑で裁きを下す。よって、真実なんてどうでもいいという点においては両者は似た考えを持っている。そこに真実を明らかにしようとする少女が現れ2人は翻弄される。ここがクライマックス。2人は少女に証言させるのは反対である。共に娘の父であるというのが影響したのか。そして両者は結託し、訴訟経済の観点から裁判はやり直しとはならず結審する(ここには死刑制度に対する批判も込められているのだろう)。若い弁護士・検事は真実の究明に向けてのやり直しを求めるが、真実よりもカネと時間と出世の方が大事なのが大人である。本作は真実を巡る世代間格差がテーマだろう。だから本作においては事件の真相がどうかなんてのはどうでもいい話である。にもかかわらず、謎解き法廷ミステリー風に製作してしまったため、ストーリーに気をとられてテーマの本質を見失ってしまいがちになるのが難点か。もうちょっとテーマがわかりやすいように製作すればよいと思うのだが、それをせずに暗示に留めてしまう(象の例え話は過剰説明にも思えたが)傾向にあるのがこの監督の手法なので仕方ないのかもしれない。が、あまりにも解釈を視聴者に委ねてしまうのは、主張が伝わらないどころか問題提起にすらならないというデメリットもあると思うのだが。
東京50km圏道路地図さん [地上波(邦画)] 7点(2020-07-08 13:27:54)
49.本格ミステリーかと思ってじっくり見てしまった。なんか何も解決しなくて気持ち悪いです。「器」ってなんなのさ。
真尋さん [DVD(邦画)] 4点(2020-05-04 19:34:32)
48.《ネタバレ》 三度目の殺人、って何がどう三度目なんでしょうか。Ⅾ・フィンチャーの『セブン』みたいなシステムですかね、これは。
顔のアップが多い、顔面映画です。表情だけで画面の緊張感を持続させなきゃいけない、ってのは、俳優さんにとっても大変だったんじゃないかと思われる、のですが、こういう時に役所広司というヒトは妙にノリノリな感じに見えてきて、ホントにこれでいいのかな、とも。それに比べると、広瀬すずは、時に表情を揺らがせつつも、相手に内心へ入り込ませない意志を表情に漂わせて、強い印象を残します。
実際、人間の表情から内面を完全に読み取ることなどできないワケで、「演技」というものはしばしばその読めないはずの内面を読み取らせんがために誇張気味に行われたりもするのですが、この映画の場合は逆に、事件の当事者たちの表情は様々な形で、内面を読み取られることを拒絶しています。だから事件の真相も、モヤモヤしたものになっています。一応は、「役所広司と広瀬すずは実は知り合い」であり、「父親に虐待されていた彼女を守ろうとした」のが一連の事件の真相、であろうという体裁にはなっていますが、では彼女の母親である斉藤由貴の、存在なり、役所広司との関係なりは、どう考えたらよいのか。役所広司と広瀬すずとは、(設定上の矛盾があろうがなかろうが)「雪のケーキ」のエピソードによる繋がりが示すように、実の父と娘の関係なのではないのか。とか・・・。雪合戦の幻想シーンや、役所広司との写真の中で示される、彼女の笑顔。
物語に登場する殺人シーンもまた、本当にそこにいたのは誰だったのか、描写が揺らいで、真相をはっきりとは示しません。ただ、血の付いた「頬を拭う」という動作が、犯罪への加担の有無にとどまらない広義の共犯関係のようなものも示していて。
ラスト近くで、福山雅治の顔と役所広司の顔とが、両者を隔てていたはずの仕切りへの映り込みによって重なるのですが、ここも、両者が重なっているようでもあれば、福山雅治が重ねようと顔を近づけるたびに役所広司の顔が離れていき「重なること」を拒絶しているようもであり。
役所広司の内面に繋がっているのであろう「十字架」のモチーフが、福山雅治の頭上でクロスする電線として示され、しかしそれを見上げる彼もまた「十字路」のど真ん中に立っている・・・。
鱗歌さん [地上波(邦画)] 7点(2019-12-17 21:42:06)
47.《ネタバレ》  事件の真相が意図的にぼかされているが、実質的には2つのうちの1つと考えている。1つは三隅が咲江に忖度して行った単独犯で、もう一つは咲江の意向を受けて三隅が実行した共犯である。そのどちらであっても、三隅と咲江は何らかの形で加担しているため、心情的には大差はない。咲江は法で裁かれることがなかったため、罪の十字架をこの後も背負って生きて行かねばならない。
 会社を解雇された三隅に、山中社長が人気のない河川敷について行くことは考えにくい。冒頭の犯行シーンでは、河川敷に向かう山中社長を三隅が追うシーンがあるが、社長の行く先は映像がカットされているため、明らかにされていない。重盛弁護士は徹夜の事務所で夢うつつになりながら、実際はこうだったかもしれないと憶測する。それは、河川敷に向かう咲江を、父である社長が追い、最後に三隅と咲江の二人で殴打するシーンである。これは現実ではなく、重盛の妄想である。社長を河川敷に誘ったのは、三隅ではなく咲江だろう。法律論的には、咲江が殺意を抱いて人気のない場所に誘い殺させたか、それとも三隅が二人に知られないよう尾行したかが重要だろうが、心情的には重要ではない。二人とも殺したかったのだから。真実はともあれ、心情的には殺害を遂行した二人は、ともに頬の返り血を拭う。そのとき重盛も、殺害現場にいるかのような錯覚に陥る。彼は真相の一部を知りながら、隠蔽に加担しているからである。そのとき血のつながりのない3人が、家族であるかのような絆を感じる。
 ずっと前のシーンで、三隅と咲江と重盛が家族のように雪合戦する描写があり、三隅と咲江は殺人の十字架を負うかのように十字に寝るが、重盛にはまだその意識はなく、大の字になっている。しかし最後のシーンでは、十字路に立って思わず立ち止まる。自分も殺人の十字架を背負って生きていくことを自覚したからだろう。
 「三度目の殺人」とは、三隅が情状酌量の余地がありながら死刑になっていくことだろう。彼はイエスのように、全ての罪を背負って死ぬことで咲江を救おうとした。死刑回避の方法はあるのに、重盛は結局回避できない。裁判所を出た重盛は、顔を夕日に照らされ、思わず頬を拭う。彼もまた、殺人の返り血を浴びたのだ。
 重盛は、裁判をただの勝ち負けのゲームとしか考えていなかった。仕事にかまけて、自身の家庭を顧みなかった。娘のゆかは、ときどき万引きをやらかす。万引き犯の父が弁護士とわかると、被害者は穏便に済ませてくれる。「父さんはこんなことでしか役に立たないでしょう」という当てこすりだ。だが事件関係者の心情に寄り添い、被告人の望みどおりの死刑を受け容れた彼は、きっと自分の娘の心情と向き合い、真の家族になっていけるのではないかと予感させる。
高橋幸二さん [地上波(邦画)] 7点(2019-11-15 12:17:27)
46.《ネタバレ》 是枝監督らしからぬ法廷ミステリで且つ、オリジナル脚本で勝負しているのは評価できるし、完成度は決して低くない。明確な答えのないモヤモヤ感のまま、日本の司法制度に問題提議を掲げているという意味では理にかなっているとも言える。だがやはり、複数のキーワードの表面を触れただけで終わり、登場人物が深く掘り下げられていない気がする。被害者の社長による実娘への性的虐待を見かねた前科者が再度殺人を犯し、それが公になることを恐れ、彼女を守るために自ら死刑になることを選んだというのが一般の解釈だ。メディアでは一方的に悪のレッテルを貼り、世間はそれに追従する。しかし、真実なんて掴みどころがなくて、たとえ偏ったものでも提示された情報でしか判断できないところに、人間の脆さとリンクする。殺人犯の真意など100%誰も分からない。それは理解している。ショッキングな描写や過剰演出に頼らない作風の限界かもしれないが、もっと深みを描けなければ「それで?」で終わってしまうのだ。
Cinecdockeさん [地上波(邦画)] 6点(2019-11-14 07:51:42)
45.《ネタバレ》 十字架とか、カナリアとか、淫行とか、殺人教唆とか、いろいろモヤモヤさせたままで終わったのは、真相究明より事務手続きとしての裁判の結審を優先するという、世の中の世知辛さのようなものを見せたかったのかなと拝察します。こういう事例は司法に限らず、社会全般に無数にあるわけで。そんな妥協の産物として死刑が宣告されることを、「殺人」と称したのかなと。
それはそれとして、ただし最後のセリフに出てくる「器」の意味がわからない。何かの比喩なんでしょうが、ラストシーンでのモヤモヤはキツいです。もっと腑に落ちる言葉があるような気がします。
ついでに言うと、つかこうへいの「熱海殺人事件」を思い出しました。まったく対象的な作品ですが、目指した方向は同じかもしれません。

 
眉山さん [地上波(邦画)] 7点(2019-11-04 01:47:38)
44.有無を言わせず 監督の考えを押し通すタイプの映画もあれば、解釈を観客に委ねる映画も有る。是枝監督は後者を目指していると思う。(前者が悪いという訳ではなく、面白いと感じられるものも多い。)
特にこの映画は 濁している部分が多いので、煮え切らない・潔くないと感じる人も多いかも知れない。でも、テーマによってはそれが効果的になる場合もあると思う。殺人者の心中なんて、やっぱり当人にしか分からないと思うし、類推しか出来ない。それを考えさせるには、こういう手法になるということかなあと思う。
くろゆりさん [地上波(邦画)] 7点(2019-11-02 23:09:08)
43.《ネタバレ》 てっきり犯人捜しのミステリかと思いきや、全然違うっていう。
強力なエンパシー(あるいは弱いテレパシー)能力を持つ犯人が、他人の想いを受ける器となって3度の殺人を犯す(3度目は自分の希望もかなって自分を裁くっていう)まぁそういう内容なのは観ててわかったんですが(てかその理解であってますよね?)、ぶっちゃけ、「それで??」っていう思いが抜けず。

ミステリだと思ってずっと見てたもんだから、ゴールが見えないまま映画終わってしまって、えー…って感じでございました。
てかこの映画のテーマって何なの?司法制度の問題についてなの?人が人を裁く事の是非についてなの?それすらわかりません、わかりませんよ、えぇ。
あばれて万歳さん [地上波(邦画)] 6点(2019-10-31 23:06:15)
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【点数情報】

Review人数 62人
平均点数 6.29点
000.00%
100.00%
211.61%
311.61%
446.45%
5914.52%
61524.19%
72235.48%
81016.13%
900.00%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 5.75点 Review4人
2 ストーリー評価 5.60点 Review5人
3 鑑賞後の後味 5.00点 Review5人
4 音楽評価 5.75点 Review4人
5 感泣評価 4.75点 Review4人
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