二十四の瞳(1954)のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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二十四の瞳(1954)

[ニジュウシノヒトミ]
(二十四の瞳 デジタルリマスター2007)
1954年上映時間:155分
平均点:8.01 / 10(Review 78人) (点数分布表示)
ドラマ戦争ものモノクロ映画学園もの小説の映画化
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2019-01-09)【イニシャルK】さん
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監督木下恵介
助監督川頭義郎
松山善三
キャスト高峰秀子(女優)大石先生(大石久子)
田村高廣(男優)岡田磯吉(成人)
月丘夢路(女優)香川マスノ(成人)
井川邦子(女優)川本松江(成人)
小林トシ子(女優)山石早苗(成人)
三浦礼(男優)竹下竹一(成人)
天本英世(男優)大石先生の夫
夏川静江(女優)大石先生の母
笠智衆(男優)男先生
浦辺粂子(女優)男先生の妻
明石潮(男優)校長先生
小林十九二(男優)松江の父
草香田鶴子(女優)松江の母
高原駿雄(男優)小ツルの父
浪花千栄子(女優)飯屋の女将
清川虹子(女優)よろずや
原作壺井栄「二十四の瞳」
脚本木下恵介(脚色)
音楽木下忠司
撮影楠田浩之
製作桑田良太郎
配給松竹
美術中村公彦
編集杉原よ志
録音大野久男
西崎英雄(録音助手)
照明豊島良三
その他木下忠司(デジタル・リマスター版監修)
楠田浩之(デジタル・リマスター版監修)
橋口亮輔(Blu-rayオリジナル予告編監督)
あらすじ
壺井栄の同名児童文学の映画化。昭和三年、小豆島の岬の分教場に新しいおなご(女)先生、大石久子(高峰秀子)が、颯爽と自転車に乗って赴任する。久子は初めて担当する1年生12人の、自分を真っ直ぐにみつめて輝く『二十四の瞳』を決して濁らせてなるものかと強く思う。やがて不穏な時代の大きな波がこの小さな島にも訪れ、彼らを呑み込んでいく・・・。大石先生と子供たちは戦中戦後、この時代をどのように生きたのか。1953年度キネマ旬報ベストテン第1位。失われた昭和の日本の風景を丹念に描いた、叙情派木下恵介監督の真骨頂。
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78.《ネタバレ》 日本の映画史上、最も多くの人の涙腺を刺激し、泣かせた映画ではないだろうか!この映画、とにかく音楽の使い方が素晴らしくてそれだけで涙が出てきます。全編に流れる小学唱歌の名曲の数々、子供達の歌う村の鍛冶屋などある意味、反則だとは思うが、反則だろうが、良いものは良い。あの子供達の健気さだけで既に私はもう、何度見ても解っちゃいるけど涙が出てきて困る。あの桜の木の下で大石先生と子供達が電車ごっこをして遊ぶ場面における素晴らしいショットも映画ならではの幸福感というものを感じることが出来て本当に素晴らしい。それにも増して七つの子は全編に流れる音楽の中でも最高です。あの子供達と撮った集合写真が出てくる度に泣けて泣けて本当に涙で眼の前が見えなくなりそうです。最初からとにかく泣けるのに大石先生(高峰秀子)の教え子達が青年になり、そしてその教え子達が戦争が始まった事により、みんな兵隊に行ってしまった後の物語など特に泣けて仕方がない。その教え子達の半分以上は戦争によって亡くなってしまい、そして戦争が終わるものの、大石先生の夫も戦死して帰ってこない。何という悲しみ!これを観て泣かない人がいたらそれは鬼です。戦争が終わり、かつての教え子達の中で生き残った何人かと再会をする場面も本当に泣ける。眼の見えなくなってしまった岡田磯吉(田村高廣)が集合写真を見てそれを隣で見ている大石先生とその他の教え子達(仲間達)、窓を明け、「浜辺の歌」を歌う香川マスノ(月丘夢路)、この場面も涙なくして見れません。この作品とにかく日本映画史上に残る反戦映画の名作です。大石先生演じる高峰秀子の美しさと全編に流れる音楽、美しい瀬戸内海の風景、どれをとっても素晴らしく文句無しの10点です。「先生、何もしてあげられないけど、一緒に泣いてあげる」あぁぁぁ~大石先生よ!なんて良いこと言うんだ!最後にこの話は他にもリメイクものやテレビなどでも幾つも作られてはいるけど、どれも駄目!認めたくない。大石先生は絶対に高峰秀子!高峰秀子しか認めません。
青観さん [映画館(邦画)] 10点(2005-07-17 22:22:07)(良:4票)
77.○映画による日本童謡・唱歌集。 ○日本人に共通する記憶があるとしたら、それは童謡と唱歌にしか残っていない。その歌詞とメロディは、自然の美しさ、人間の優しさを謳いあげるが、死への憧憬(コノ美シイ景色ノ中デ死ニタイ)という一面も持っている。この映画では、出征兵士を見送る場面の軍歌4曲以外は、切ない切ない童謡・唱歌が連綿と流れ続ける。木下(弟)の恐るべき演出である。 ○私がこの映画をはじめて観たのは化石時代、小学生のときだ。炭住(炭鉱住宅)の講堂に、アッパッパの女たちと子どもたちが座布団持参で集まった(鉱夫たちはアクション映画しか観ないので敬遠)。大石先生の分教場勤務時代まで、女たちはアハハハとアケスケに笑っていたが、それから後はラストまで嗚咽の大合唱。中にはヒイヒイ声を出して泣く女もいた。「深く泣ける人でなければ本当の笑いを笑うことができない」とは五木寛之の言葉だ。泣いて泣いて大泣きして、それでスッキリするのである。 ○後年、名画座で再鑑賞したとき、やはり、観客を泣かせることを目的として作った映画だと確信した。いわゆるお涙頂戴映画である。しかし、お涙頂戴イコール低級とは限らない。低級にさせない2つの凄みがこの映画にはある。1つは高峰秀子の恐るべき演技。もう1つは木下(兄)の恐るべき演出である。 ○私の邦画オールタイムベスト10の1本。
火蛾さん [映画館(邦画)] 10点(2014-08-16 16:08:01)(良:3票)
76.《ネタバレ》 何度この映画を観たか自分でも判らないんですが、休日にふと時間ができると観てしまいます。
 出てくる人で強い人は誰もいない、校長先生も男先生も時勢の中で学校や生活を必死に守っている優しい正直な中年男性にすぎない。
 完全な「負け組映画」と言えるかもしれない。
 大石先生はいつも愚痴って泣いて子どもたちの運命を変えることはできない。
「一緒に泣いてあげる」ことしかできない。
 子どもたちが運命に流され消えていく(売られていく・カフェに身を落とす・奉公に出される)、あるいは自分のチカラで歩いていく(師範学校に進む・軍人になる・産婆になる)のを見守ることしかできない。
 小学校の卒業式の後、自宅に訪ねて来た竹一に中学の制帽を愛おしく大切にかぶせ、予定外に奉公に出ることになった磯吉に、同じように鳥打帽を愛おしく大切にかぶせ、旅立ちの仕度をした二人を見つめる大石先生。
バス停まで歩く3人、背景には満開の櫻と菜の花。
 数年後、満開の櫻の下、菜の花を教え子の墓標に捧げる大石先生。
 その間に大石先生も母と夫を亡くし、愛娘を亡くしている。
 そのたびに「あぁ、いやね・・」と泣く、何かの運動をすることも抗議におしかけることもない。
 遺された者を守り、逝った人を思って泣くだけだ。
 振り返って、私たちの世代は愚痴らず、泣かず目標に向かって努力することを美徳として、突き進んできた世代だ。
 「見守る」・「泣く」という受動的な生き方を否定して成長してきた。
 きっと「就職する磯吉」と「進学する竹一」に優劣を一瞬でつける。
 同級生との「社会的地位」を逆転する方策を練り、磯吉を叱咤するだろう。
 しかし、強いようでいて、見守る者として、大石先生のような「その子をそのまま受け入れる・信じる」強さを失っているのではないかと思う。
 木下監督の映画は「弱者」の映画だ。
 「二十四の瞳」も「喜びも悲しみも幾年月」「日本の悲劇」も人が人を見守り、育っていき、旅立つのを、メソメソと愚痴り、泣きしながら受け入れていく映画だ。
 どんな社会になっても、木下作品が色あせることがないのはこの「弱い者・残された者」の持つ本質的な、「旅立たせる者」のもつ「痛み」と「強さ」なのではないだろうか。
 観る度に、自分を「旅立たせてくれた人」を思い、泣き、いつか自分が「誰かを旅立たせる日」を思い、泣くのだと思う。

グレースさん [DVD(邦画)] 10点(2008-02-17 16:32:18)(良:3票)
75.《ネタバレ》 子供たちはよく歌うし、よく走る。観ていて童心に帰るような、浄化されるようなシーンが多数あります。大石先生は、明るく優しいだけじゃなく、信念を持っている高潔な人。波乱万丈な人生は、観ていて辛いものがありました。前半と後半で、印象ががらっと変わる映画です。
VNTSさん [インターネット(邦画)] 9点(2018-07-24 13:38:59)(良:2票)
74.《ネタバレ》 「大アンケートによる日本映画ベスト150」で名作と知り、ビデオレンタルで初めて観たのは大学4回生の時。画像が良くなくて台詞が聞き取りにくいというのが第一印象で、正直、内容や良さはよく分からなかった。それでも格調の高さは感じられたので、一応ダビングして保存▼二年前、そのビデオを当時小学3年の息子に観せたが、半ばでギブアップされる。曰く「面白くない」▼その頃にブルーレイが発売され、何となく購入。そして昨晩ようやく1人で鑑賞。この年になってようやく分かる。「確かにこれは名作だ」▼程良い広さと美しいロケーションを持つ小豆島。島の風景と、そこで描かれる村民の生活が素晴らしい。まずは風景を観るだけでも心が和む▼顔やしゃべりかた、立ち振る舞いで、それぞれの個性がよく出ている島の子供。その表情を丁寧にとらえたカメラワークも素晴らしく、容易に見分けられるそれぞれの子供に感情移入が出来、後に描かれる貧困や戦争による悲劇が一層胸にしみる▼その子供を誠実に受けとめる大石先生。高峰秀子の年齢に応じた演じ分けは本当に見事▼ただこの作品、何の予備知識も無いまま観ても面白くないのも確かだろう。映画内で語られる、ほんの90年ほど前に当たり前だった生活環境――例えば産後のひだちで母親が亡くなり、間も無く赤ん坊も母乳をもらえないまま亡くなる状況――は今ではほとんど見られない。こんな状況は、僕でさえ咄嗟には信じられない。ましてや今の子供が観たら想像さえ出来ないはずだ ▼ある程度の人生経験と予備知識が無いと感動を味わえなくなってしまった名作。そして、それが時代を誠実に反映して撮られたゆえのこの現状。歴史とは皮肉なものだ。
はあさん [ブルーレイ(邦画)] 10点(2015-04-05 00:35:24)(良:2票)
73.古臭い映画、という印象はどうしても拭えません。たびたび流れる唱歌が、余計にそう感じさせます。今の小学生には、ほとんど馴染みのない曲ばかりなのではないでしょうか。教科書的な印象も受け、それらを欠点として、5点以下の低評価を下している人が少なからずいるのもうなずけます。それでも、この映画は紛れもなく名作だと思います。例え古臭く、教科書的な内容であってもです。この映画が描く頃の日本は、今とは比較にならないほど厳しい時代でした。小学生の修学旅行に、自分で稼いだ金を出して行くなんて、今の子供たちに想像できるでしょうか。若い時に見てピンと来なくても、ある程度年齢を重ねてこの映画を見れば、今の時代の素晴らしさが必ず分かると思います。尺は2時間半と長めですが、山場(泣き所)が全体に散りばめられていたのも好印象です。単に他人に見て欲しいというレベルを超えて、後世に残すべき映画だと強く確信したことから、10点とさせていただくことにしました。
川本知佳さん [DVD(邦画)] 10点(2015-03-15 21:14:27)(良:2票)
72.《ネタバレ》 木下恵介監督の代表作にして紛れもない傑作。
小石先生が決して濁すまいと誓った二十四の瞳、彼等彼女等をあそこまで愛おしくキャメラに収めた時点でこの映画は勝ちだと思います。成長していくに従い、ある者は貧しさ故に将来の道を絶たれ、ある者は戦争に命を刈り取られる。少年少女時代の愛くるしい姿を見てきた者として、その無慈悲な結末には落涙せずにはいられません。極度の貧困や戦争がない時代に生まれた人達が如何に恵まれているか、再確認できる作品でもあるでしょう。木下恵介監督は数々の作品で、戦争に引き裂かれた家族・恋人を描きましたが、壺井栄さんの原作『二十四の瞳』は正に彼にとって望んできた作品だったのではないでしょうか。これ程、原作者と監督の資質がピタリと重なり合った映画化作品も珍しい。
一つの街や村を舞台に数十年を描くのは木下恵介監督の得意とする手法ですが、本作の主演である高峰秀子の演技はとりわけ素晴らしいと思いました。約20年の歳月を経て、新米教師から母親になり老教師となる姿を、全身を使って演じ分けていました。
民朗さん [DVD(邦画)] 9点(2013-12-27 23:21:31)(良:2票)
71.すばらしい小説がすばらしい脚本と演出によって、すばらしい映画に生まれ変わった。「二十四の瞳」は日本の映画史に永遠に残る名作だろうと思う。
名誉の戦死が尊ばれていた時代に、死なないでと言うことが非国民だアカだと言われていた時代、一人の女教師と12人の教え子たちの心のつながりを暖かく静かに描いた映画だ。数々の名場面が心に残る。
小説を初めて読んだ時の感動と映画を初めて見たときの感動がまったく同じものだった。
ESPERANZAさん [映画館(邦画)] 10点(2012-06-27 22:55:42)(良:2票)
70.《ネタバレ》 嗚呼高峰秀子、高峰秀子!
どれだけ涙を絞り取るつもりなのか。例えば大阪に奉公に出された筈のかつての教え子松江に、修学旅行先の高松の丼飯屋で偶然にも再会した大石先生。積もる話もあるのだろうに、店の女主人の浪花千栄子(上手い!)の手前、ほんの挨拶しか出来ずに後ろ髪を引かれる思いで店を出る先生。離れた場所で俯きながら佇んでいた松江は、咄嗟にか意を決してか直ぐに追いかける。しかし通りで、嘗ては一緒に机を並べた、本当なら今日も一緒に旅行しているはずのクラスメートが、屈託なくはしゃぎながら先生を囲んでいるのを路地から見つけた松江。どうして顔見せが出来よう。流れる涙を必死に拭う松江とかつてクラスメートのはしゃぐ声との対比! これに泣かぬ者があろうか。
終戦後、先生の末っ子の一人娘が柿の木から落ちて死ぬ。二人の息子と墓参りをする大石先生の台詞「お腹をすかした小さい子供が柿の木に登って何の罪がありましょうか。お腹すいていたんだね。青い柿握って・・・」嗚呼、この時の高峰秀子の表情、台詞回しの、優しさに満ちた母性がこぼれんばかりの美しさよ。これに泣かぬ者があろうか。
日本的情緒、優しさに満ちた叙情性を完璧に表現した高峰秀子に感嘆する。
「何もしてあげられないけど、一緒に泣いてあげる」貧しさや、戦争や、病気や、挫折に遭遇したとき、涙を流すことで癒し、慰めてくれる母親や教師が今どれだけいるだろうか。又それをこれだけの演技で表現できる女優がいるだろうか。
高峰秀子はフィルムの中で永遠に輝き、生き続けるだろう。日本国民必見の作品。
高畑カムバックプリーズさん [DVD(邦画)] 9点(2011-01-22 02:09:19)(良:2票)
69.《ネタバレ》 美しい小豆島の自然描写と学校唱歌の効果的な使い方だけではない、監督木下の描写あってこその映画。それは桜の木の下を電車ごっこで走るショットの幸福感や教え子達を戦地へ送る際のテープを持つ手のアップカット、または走る自転車をロングショットで捉えたところはどこまでも続いていく道の厳しさ・そして希望へつなぐ道行きを感じさせるのがやはり並の監督ではうまくはいかない所。そして戦争に巻き込まれる市井の憤りや無念さを静かな風景との対比でちゃんと描き出している点が「静かなプロテスト」木下の面目躍如たる部分。ラストに近づくにつれ泣いてばかりいる「大石先生」高峰秀子の演技は通常の役者が演じたら嘘くさいものになってしまう(リメイクはほとんどそう)が、失ったものへの想いや歳月の重さ、そしてそれでも生き続ける難しさと生きることへの希望が混在した名演技だからこそ観客は皆納得されるのだろう。と書いてますけどねぇ、この映画私にとって「パブロフの犬映画」、つまりラストはいっつも泣かされっぱなしなんですよ!国民必見の一本。
Nbu2さん [映画館(邦画)] 10点(2008-04-05 19:42:25)(良:2票)
68.以前勤めていた会社に小豆島出身のとんでもない性悪な女性がいて、以来小豆島と聞くだけで反射的な嫌悪感に捉われていた私を見事に解放してくれたのがこの映画。“1リットルの涙”はこの作品にこそ捧げたい。大石先生が初めて教壇で名前を呼び上げた時の子どもたち一人ひとりのクローズアップ、射抜くようなまっすぐで純な瞳が後々の画面を最後まで射抜いているようで、記念写真の子どもたちを一人ずつカメラが移動していくその瞳と重なり、タイトルに相応しい映画へと昇華しています。盲目となってしまうも、心の瞳で記念写真が見える。二十四の瞳はいつまでも大石先生の、そして子どもたちの人生に輝き続けているんですね~。また演じる役者が変わっても、本当にその子が成長したかのようなキャスティングにも驚かされます。日本シリーズのロッテに合わせたわけではありませんが、ど~んと10点。
彦馬さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-10-26 13:06:03)(良:2票)
67.タイトルロールに流れる「仰げば尊し」を筆頭に、「故郷」「七つの子」「浜辺の歌」などなど数多くの唱歌が作品全体を包み込み、これが抜群の効果を収める。音楽担当は監督木下恵介の実弟に当たる木下忠司。この人、兄恵介と毎回息がピッタリだが今作ではそれを極めている。場面、場面に流れる馴染みの唱歌を彩りのあるメロディーで微妙にアレンジしており、この作品にかける意気込みが充分過ぎるほど伝わってくる。また、小豆島の美しい風景と島民の生活模様が楠田浩之のカメラに余すところなく収まっており、これもまた監督と息がピッタリ。忍び寄る軍国主義に召集令状、貧苦に喘ぐ島民の生活、敗戦という新たな時代への出発…切々と暦をめくるように綴っており木下調の演出が冴えに冴え渡る。戦時の戦意高揚作「陸軍」の製作がよほど悔しかったのか、今作では平和へのメッセージがビシビシと伝わってくる。そして言うまでもなく、主人公の大石先生を演じた高峰秀子が文句なしに素晴らしい。純朴な子供たちに向ける優しい眼差しに、情感のこもった台詞回し。洋服の似合う新人の先生から人生の辛酸を体験し尽くした初老の先生までごく自然体で演じており、女性教師として一人の母親としての弱さと強さ、哀しさと美しさを見事表現しきっている。情感に訴える見事な反戦映画としてはクレマン作「禁じられた遊び」と双璧をなしており、日本映画史上、燦然と輝く名画。文句なしに10点満点。
光りやまねこさん 10点(2004-11-01 17:57:37)(良:2票)
66.《ネタバレ》 小豆島という懐かしい日本の風景。素朴な子どもたち。仰げば尊し。高峰秀子や笠智衆といった、日本映画の良心のような役者たち。その全てが、画面から溢れんばかりの優しさで、僕の涙腺を刺激します。本作の舞台は小豆島。実は少し前に一度訪れたことがあります。島にある「二十四の瞳映画村」には、撮影で使用された学校が今も残っていて、そこには確かに大石先生が教鞭をふるった教室があり、窓からは今も変わらず海のにおいを感じます。すっくと教壇に立つと、あの時先生が見据えた12人の生徒たち、その純粋無垢な瞳が心に蘇るのです。思えば、本作はまるで12人の生徒全員が主役であるように、その表情(瞳)のクローズアップがとても印象的でした。原作の"瀬戸内海べりの村"という曖昧な舞台を、木下監督があえて"小豆島"という小さな島に選んだのは、さて一体なぜだろう?と考えました。きっと監督の思いでは、この国の子供たち全員が日本の宝であり、全員が本作の主役なのでしょう。でも数万の瞳を描くことが無理ならば、それができないならばせめて、せめて二十四の瞳で。監督の心には、小豆島という舞台は、"日本という島国の縮図"として存在したように思えてなりません。最近の"この世界の片隅に"でも強く感じたことなのだが、日本人は戦争を題材にしながらも、どうもアメリカを悪く描かない。それどころか、戦争という怪物ですら、もう起きてしまったことだからと誰のせいにするでもなく受け止めて、ただただ未来に向けてひたむきに生きようとしています。これは語り継がれるべき反戦映画、でも伝えようとする人たちなくしては、それは到底伝えていくことはできません。二十四の瞳の奥に、何を感じたのか。終戦後、もう70年以上が経ちます。8月のこの時期を迎えるたびに、今という時代があることを、あの時代の人たちに感謝します。そしてこの平和がいつまでも続くことを心から願います。
タケノコさん [DVD(邦画)] 10点(2017-08-15 00:05:33)(良:1票)
65.《ネタバレ》 印象に残るシーンがたくさんある素晴らしい映画だと思います。みんなが先生に会いに行く途中でさびしくなって泣いてしまうシーン。修学旅行でのまっちゃんとのシーン。琴絵ちゃんへのお見舞いのシーン。同窓会での磯吉君の写真のシーン。...おまけで男先生の歌のシーン。
yanasanさん [地上波(邦画)] 10点(2015-10-18 00:56:55)(良:1票)
64.《ネタバレ》 紛れもなく日本映画史の中でも傑作の一つであり『東京物語』と同じく、日本人なら是非とも観て欲しい。
小石先生とその生徒たちが瀬戸内海の小さな島で色々なこと学び経験し、そして時代に翻弄されながらも一人一人が自分なりに生きている姿に感銘を受けました。
当時は戦時中で、最も時代や環境に個人が翻弄され、それでも生きなければならない時だったでしょう。健気に自分自身の信念を曲げずに生きようとする者、生きたくても病で生きられない者、はたまた真直ぐな心で国に忠誠を誓い、命を捧げる者と多くの人間ドラマがあります。
多少、戦後リベラル的な要素が表現されているかも知れませんが、それを抜きにしても素晴らしくそれでいて面白い。また、時折挿入されている唱歌が本当に素敵で哀愁を誘います。懐かしくもあり、哀しく、それでいて観終わった後に不思議と前向きになれそうな作品だと思います。
功聖良さん [DVD(邦画)] 10点(2014-04-04 23:01:24)(良:1票)
63.《ネタバレ》 初めて観たのは小学生の頃で、「感動して泣く」ということが自分的に恥ずかしいと感じる年頃だったにも関わらず、号泣でした。数年後にももう一度観ましたが、初めて観た時の感動をそのまま持っていたいので、もうそれ以来観ていません。この作品を子供の頃に観たのは運が良かったと思います。もしいま初めて観たとしたら、しょーもない映画論や大人的な理屈を持ち出したり、素直に感動する心がなくなっていて、10点はつけられなかったかもしれません。
ramoさん [地上波(邦画)] 10点(2013-10-28 21:15:34)(良:1票)
62.《ネタバレ》 確かに古い映画だし、音声もかなり聴きとりにくいし映像も荒い。しかし輝いた美しい二十四の瞳は純粋で無垢だ。間違いなくこの時代にしか撮れない美しさがこのモノクロフィルムに記録されていますね。もう皆様が言い尽してしまっているが、小石(大石)先生をお見舞いに行くといって泣きながら歩いていく姿に涙してしまった・・・・これに泣かない人っているんだろうかね(苦笑)。子どもたちの成長後の姿がそっくりで、何年後かに撮ったのか(んなことはないと思いつつ)とか思って観てたが、顔の似ている子供を探してきたという事を知りビックリ。昭和初期から終戦後までの激動の日本と重なる二十四の瞳とうつくしい高峰秀子。もぅ先生は後半泣きっぱなしだけど、いやぁそりゃぁ泣くよ。ちょいと長いかなぁとは思いつつも、とても印象深い映画でゴザイマシタ
Kanameさん [DVD(邦画)] 9点(2013-09-09 15:44:26)(良:1票)
61.《ネタバレ》 この映画を見ると、唱歌というものの美しさを、しみじみ感じる。
そして、浜辺の歌の歌詞がなんと物語に合っているかと驚いたものだが、今回調べてみて知ったのだが、この歌には3番目の歌詞があって、それがまた実に物語のラストに沿っている(*)。このみごとさは、童謡『赤とんぼ』のイントネーションと音階がちゃんと合っている凄さ、という話を思い出させる。
 そして、映像的にも、美しい風景はモノクロでもちゃんと美しいんだなあ、とアタリマエのことだが思う。電車ごっこのシーンの桜の美しさは、後のカラー映画を含む、邦画の中でも屈指だろう。
*:(自分解釈)
Tolbieさん [DVD(邦画)] 8点(2012-08-04 04:32:52)(良:1票)
60.戦争というより貧困が怖い。貧困の元に戦争があるんだけど。貧しさが子供を犠牲にする。それが当たり前の世界。当たり前なんだけど人間としてそれは憂うべきことなのだ。大石先生は純粋に憂う。人として悲しむ。時代とか世相とかに関係なく。ただ泣くことしか出来ない先生は弱者でしかないのかもしれない。しかしその世界を当たり前と割り切るよりもただ泣く方がずっと人間らしい。人々はそれは悲しいことなんだと知るべきなんだ。先生は子供たちに悲しみ泣くという行為が間違っていないことを教えているのだ。いい先生だなあと思う。長いけどさ。台風接近で時化た海沿いを歩くシーンがあるんだけど、そのときの波の高さが尋常でなく高峰秀子にバンバンかかっててちょいと心配した。二十四の瞳映画村は私も行ったことあるんだけど、87年版(田中裕子主演)で使用したオープンセットなんだな。
R&Aさん [DVD(邦画)] 6点(2011-12-08 17:00:08)(良:1票)
59.日本人なら誰もが知っているであろう名作中の名作。
何せ昭和3年から終戦直後までの長丁場なので、映画でこのお話をまとめるのは無理なのでは?
と思っていたのだが、重要なポイントはしっかり押さえており、違和感はほぼ感じなかった。
郷愁を誘うような小豆島の素朴な風景はもちろんのこと、さりげない反戦のメッセージがいい。
一番びっくりしたのは、成長した子供たちの顔がそっくりな事。
どうやら全国公募で顔の似ている兄弟や姉妹を集めたようだ。気合い入ってるなぁ。
それでも、子供たちのそれぞれの細かいエピソードがかなり削られているせいか、
全員の名前と顔が最後まで覚えられなかったのは残念。
時間的な制限上仕方がないのだが、そこがカバーできていれば中だるみも感じないはずだし、
もっと感情移入ができたかと思う。監督さんの手腕が非常に光っている、お薦めの作品。
MAHITOさん [DVD(字幕)] 8点(2011-08-10 08:13:57)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 78人
平均点数 8.01点
000.00%
111.28%
211.28%
311.28%
411.28%
578.97%
645.13%
71114.10%
81417.95%
91316.67%
102532.05%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review4人
2 ストーリー評価 8.11点 Review9人
3 鑑賞後の後味 8.25点 Review8人
4 音楽評価 8.00点 Review9人
5 感泣評価 8.75点 Review8人
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【ゴールデングローブ賞 情報】

1954年 12回
外国語映画賞 受賞 

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