2.大川橋蔵扮する若者と片岡千恵蔵扮する泥棒が江戸城の御金蔵を狙う犯罪映画。石井輝男監督が「網走番外地」シリーズを手がけはじめる前年に手がけた作品で、本作でも冒頭が牢屋での拷問シーンなのは「網走番外地」シリーズや「大脱獄」を先に見ているとなにかそれだけでこの監督らしいと思えてしまう。石井監督の時代劇を初めて見たのだが、橋蔵が主演のためか思ったよりもオーソドックスな娯楽作に仕上がっていてそこそこ楽しめる。登場する脇役陣も個性的なのだが、中でも東映映画でお馴染みの悪役俳優である安部徹演じるヤクザの親分がどこかお茶目で印象に残る。どことなく「ルパン三世」のテレビシリーズにもありそうな内容だったのだか、千恵蔵に付きまとう岡っ引き役の丹波哲郎(こういう役、ちょっとイメージ違うけど。)がどことなく銭形警部みたいに感じるのは偶然だろうか。ラストのオチや橋蔵、千恵蔵、丹波の三人が海の前で話すラストシーンもどこか「ルパン三世」を見ているような雰囲気があった。全体的にはすごく面白いというわけではないが、娯楽作としてはそこそこの出来にはなっていると思う。