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風花(1959)

[カザバナ]
1959年上映時間:78分
平均点:7.00 / 10(Review 4人) (点数分布表示)
公開開始日(1959-01-03)
ドラマ
新規登録(2008-10-07)【青観】さん
タイトル情報更新(2021-06-04)【Olias】さん
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監督木下恵介
キャスト岸恵子(女優)名倉春子
川津祐介(男優)名倉捨雄
有馬稲子(女優)乾幸子
久我美子(女優)名倉さくら
和泉雅子(女優)名倉さくら(少女時代)
東山千栄子(女優)名倉トミ
永田靖(男優)名倉強之進
細川俊夫〔男優・1916年生〕(男優)名倉勝之
井川邦子(女優)名倉たつ子
笠智衆(男優)弥吉
脚本木下恵介
音楽木下忠司
作曲ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンピアノソナタ「ワルトシュタイン」「熱情」
撮影楠田浩之
配給松竹
美術梅田千代夫
編集杉原よ志
録音大野久男
照明豊島良三
その他IMAGICA(現像) 旧社名:東洋現像所
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1
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4.《ネタバレ》 一面に広がる田圃と遠くに見える山々の稜線が美しい信州・善光寺平(長野盆地)。ある屋敷から一人の花嫁が現れた。外には大勢の見送りがおり、離れた場所には立派な自動車が停まっている。
時を同じくして、屋敷から一人の若者が飛び出した。「捨雄!」。後を追う女性。捨雄は川で自殺しようとする。それを止めた女性は彼の母・春子だった。ここから話は19年前の戦時中に遡る…。

本作は、戦時中から戦後10数年後までの名倉家とそこに渦巻く人間模様を描く作品だ。戦時中、地主だった名倉家には若い息子が二人いた。長男・勝之は名家から嫁・たつ子をもらっており、その間には小さな娘のさくらがいる。次男は召集前日に恋人の春子と心中。次男は死に、春子だけが生き残った。そんな彼女のお腹には次男との間の子供がいた。春子は半ば隔離された状態で名倉家に住み、男の子を産む。春子は英一と名付けようとしたが、主の強之進が勝手に捨雄と名付けた上に届け出てしまった。踊りを教わるなどして大事に育てられるさくらに対して、捨雄は春子と共に厄介者として扱われる。それでもいとこ同士のさくらと捨雄は仲良しだった。

戦前は地主として裕福な名倉家だったが、戦後の農地改革で土地の殆どを失い、没落していく。
たつ子の実家からお金の工面してもらおうという話の中、癇癪を起こした強之進は倒れて死ぬ。母・トミは地主時代のプライドが捨てられず、古風な考えに固執し、家族の自由を許さない。女学生となったさくらの、男子学生を含むグループとの付き合いも禁ずる。一方で、没落した名倉家にはさくらの婿のきてもなく、跡取りが望めない。物語はこんな名倉家の悲劇とそこから垣間見える滑稽さを描きながら進んでいく。ここで言う悲劇とは、没落したとはいえ、ある程度の土地と建物を所有する一家が、それゆえに土地に縛られ、家に縛られる中、徐々に衰え、腐っていく過程である。

家から出たいと考えるさくらに、ついに結婚の話がやってくる。嫁にもらいたいという話で、さくらは望み通り家から出られることとなった。そして、それまで悪役然としていたトミが「これでやっと楽になる」と、名倉家を守る者としての責任からの解放を口にする。

ある日、さくらのところに女学生時代の友人・乾幸子が訪ねてくる。女学生時代のグループの一人だった幸子は昔話を始める。やがて「あなたは何も経験していない。私は色々経験している(大意)」。これまで謳歌した自由や、絵描きとの結婚への自慢じみた話に移行するが、最後に5,000円を貸してほしいと頼む。ここで監督は自由な生き方をことさら誇示する若者も揶揄したかったのだろうか。いきなり余談だが、丁度この時代が青春だった女性で、年を重ねた今も幸子のような慇懃無礼な話し方をする人がいる。あの話し方は、この時代の若者言葉だったのかもしれない。

ある日、大勢の前で踊りを披露するさくら(披露会?)。それを見た捨雄は「綺麗だ」と手紙を書く。捨雄はさくらに手紙を渡すつもりはなかったが、春子がお別れだからとそれを渡す。自分に対する捨雄の恋に気付くさくら。そして自分も捨雄が好きだったことを自覚する。結婚前夜に外で密会する二人。「これっきりよ」。二人は堅く抱き合う。
結婚当日。ここで冒頭シーンに戻る。さくらが嫁に行き、正式な跡継ぎがいなくなった名倉家。春子と捨雄は自由を求めるために家を出て、東京を目指すのであった…。

こうしてあらすじを辿っていくと、本作は運命に翻弄される一家を描き出したなかなかの力作と言える。映画としては比較的短い、78分という時間でこれだけのことを描き切ったのにも驚く。
だが、観た後の不思議な感慨は、本作の物語がようやく把握出来た中盤以降に芽生え始めた感情だ。正直、それまでは何をしているのかがさっぱり分からず、開始20分ほどで一度視聴を中断している。なぜ分からないのか。実は本作はやたらと回想が多く、「19年前」以外はテロップがない上にナレーションもないからだ。文字や言葉による説明の不在は、確かに本作にじんわりとした味わいを残してくれた。それでも、もう少し分かりやすい構成でも良かったのではないか。それとも、上映された昭和34年当時は、名倉家のような状況が鑑賞者の共通認識で、説明の必要がなかったのだろうか。

もしかしたら、僕自身が地主の悲劇という視点の物語を観たのはこれが初めてかもしれない。これまで考えなかった視点だが、当時はかつて小作人だった者たちが本作を観て溜飲を下げたり、いい気味だと思ったりしたのだろうか。

鬱屈とした内容を反映してか、豪華キャストだったにもかかわらず、作品自体を輝かせて引っ張る俳優・女優が存在しなかったのは残念だったが、これは仕方のないことかもしれない。
はあさん [DVD(邦画)] 7点(2020-09-04 17:02:44)
3.善光寺平は去年行きましたけど、50年以上前はこんなだったんですねえ。その後オリンピックも開かれ、今は新幹線も通る大都会で、東京へは100分で行けるし。家や身分に縛られて生きる事の窮屈さ。随所に出てくる東京という地名。当時の人は有馬稲子に希望を感じたのでしょうか?時代は変わり、女性も生きやすくなって今はよい時代になったような気もしますが、結婚相手選びや上京幻想等々変わらぬ価値観もあるのかなと。
東京50km圏道路地図さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-05-10 10:09:16)
2.《ネタバレ》 単純メロドラマと見せかけておいて、時系列操作、同一シーンの角度を変えての繰り返し、同一アングルによる時制飛ばしなど、結構実験的なこともやっているのですね。一番インパクトがあったのは、当たり前のように家の人間とは別に台所の一隅のようなところで食事をしている母子の姿、そして、粗末な納屋のような別棟で淡々と生活を送る母子の姿。この辺を強調せずに自然に出しているからこそ、その背後にある、背筋が寒くなるような理不尽さが際立っている。そして、縁談が決まって祖母が内心を吐露するシーンでは、頑強に家を守ろうとしていた権化であるかのような祖母が、一気に家全体を放逐するかのような逆転が起こり、ラストの嫁入りを単なる愁嘆の場ではなく、必然性と重みを持った場とすることに貢献している。写生のやりとりも後で回収するなど、脚本も丁寧。
Oliasさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-12-15 01:29:39)
1.子どもの頃見た映画がDVDで懐かしく蘇る、これもそのひとつね木下恵介生誕100年の記念だ。悲しくも切ないこの映画は、何と言っても木下忠司の音楽の力が大きい。農村の風景を映し出す映像と共に実に印象的である。ただ同年代の岸、有馬、久我らが親子ほどの年代差を演じるのにはちょっと抵抗があった。
ESPERANZAさん [映画館(邦画)] 7点(2013-12-06 07:18:44)
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【点数情報】

Review人数 4人
平均点数 7.00点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
600.00%
74100.00%
800.00%
900.00%
1000.00%

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