Menu
 > レビュワー
 > tottoko さんの口コミ一覧
tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2000
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234
投稿日付順1234
変更日付順1234
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  カラオケ行こ! 《ネタバレ》 
面白かった!普通ではまず接点のない中学男子とヤクザの兄ちゃんが関わることで発生する事象の数々を、まあ上手に笑いに変換してます。強面のチンピラが腰低く中学生にビールを勧めてくる、ベタだけどその画ヅラに笑えます。口のあるキティちゃんはツボにはまっちゃった。 視点は中三の聡実なので15歳のリアルとともに物語は進行。ジュヴナイルな瑞々しさが本作の魅力の一つに感じます。彼が中学生活で心を注いできた合唱部の仲間や担当教諭らもキャラ立っています。めんどくさい後輩に、掛け持ちで所属する映画部という大事な場所。客観的に見られるようになってきた愛すべき両親。まだまだ狭い中学生の世界に突如ぐいぐい押し入ってくる別世界の大人。困惑する聡実を演じた斎藤くんは当て書きかのように違和感なしです。 「気の良い兄貴」的な懐っこい若頭狂児役の綾野剛は、(関西弁の難しさに足を引っ張られてる感があるけれど)魅力的な造形に仕上がってます。スタイルが良いのでちゃんとスクリーン映えしますし。でもでも、なぜに狂児がカラオケ大会最下位なのよ?序盤の「紅」だってわりかし上手じゃないですか?この場面はもっと音外してくるものと思ってましたのでやや拍子抜け。演出的にどうなんだろうとは思いました。 カタギの中学生には優しくても、ヤクザですからいつマジでおっかない側面を出してくるのかと内心冷や冷やしながら観てたのだけど、最後までハートフルな空気感でした。「カラオケ大会が終わったらLINEも通じなくなった」と聡実の台詞。ヤクザの自分がいつまでも未来ある15歳に関わっていては良くないと狂児が身を引いたのでしょうね。実にハートフルです。
[映画館(邦画)] 7点(2024-02-05 15:39:51)
2.  カムバック・トゥ・ハリウッド!!
ハリウッドの老優に恩給を与えたくて作ったんだろうかこの映画。 デ・ニーロもM・フリーマンもトミー・リーもゆるっとラクだなあこんな脚本。役作りも大していらないし。 コメディならコメディでもっと振り切れてほしい。中途半端にトミー・リーの「老いた名優の哀愁」話なんて入れなくたっていい。すごく安易に感じる。 映画は正直4点評価なんだけど、デ・ニーロの小物プロデューサーぶりがやっぱり上手くて、その空とぼけた表情なんか観てて楽しかったのでプラス1点とします。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-06-24 23:52:45)
3.  カトマンズの男
半世紀前のフランス映画にこんなに力いっぱい振り切れたギャグシネマがあったとは。なんというか開いた口がふさがらないほどのはっちゃけぶり。海に落ちたベルモンド、なぜかクレーンで吊り上げられたと思ったら船の排気筒に突っ込まれて真っ黒け。コロコロコミックみたいだ。 そんな程度(失礼)のずっこけを撮りに本当にわざわざカトマンズへロケしに行く、その熱量には畏れ入ります。カトマンズはタイトルにあるけれどほんの少しの滞在のみ。むしろ香港の濃ゆい街が目に刺さって金と赤のハレーションを起こしそうです。 ウルスラ・アンドレス、当代きっての人気女優もよく走ってお馬鹿映画を盛り立てています。大笑いはできなかったけど、制作の熱さがひしひし伝わる映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-06-18 16:23:55)
4.  ガートルード 《ネタバレ》 
わあーすごいなブルジョアの奥様ってのは。 夫に愛想が尽きて若いツバメにご執心→だけど若造は他に女がいる上に性格もよろしくないことが発覚→ショックを受けている所に元カレが寄り付いてくるけどこれはこれでうっとうしい  ざっと要約するとほとんどお昼の韓ドラですな。かくも下世話になり得る話が芸術作品の枠に入れられてるのはなんでだろう。 この奥様さ、なんか他の事やったらどうかな。犬飼うとか庭作るとか身体を鍛えるとか。有閑てのは狭いコトを無駄に突き詰めたがるものなのね。 やけに白っぽい画面、表情もほとんど変えない、そしてどこ見てるのかわからない人物らの台詞劇。 こんな感想しか抱けないわたしはアートを解さない人間なんだろうな。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-02-27 22:27:52)
5.  悲しみは空の彼方に 《ネタバレ》 
巷の高評価に反してわたしは今いちノレなかったです。メロドラマが苦手な性分のせいですね。それに人物のあちこちに話の主軸が飛ぶので落ち着かない。なんといってもサラ・ジェーンを主役に据えるべきです。 初めのうちこそ主役かと思われたローラはどんどん典型的な「善良白人」な描かれ方しかされず、つまらない。サラ・ジェーンだけが現代にも共感しうる苦悩を抱えたキャラクターで鮮烈です。母を拒絶し、同時に自身をも切り刻んでいる彼女の痛みにもっと寄り添ってほしかった。しかしこの作品はメロドラマであるので、サラの叫びすら観客のお涙を頂戴するために消費されてしまうだけなのですね。 古い映画ならではの感覚ズレもしんどかった。ローラはサラに「あなたたちを私たちが差別したことがあって?」と大真面目に言うのだけど、いやでもアニーは召使いで当然と思っているじゃないですか。貧乏だった頃はまだ幾分対等だったのに。売れっ子女優になったら主従関係になっているとはこれいかに。黒人の仕事=白人に仕える召使い、という感覚が制作含めて普通だったのだろうな。 プライベートで家にいる間もきっちりメイクとヘアスタイルで、大きなイヤリングもつけているっていうのも今ではやらないよね。ラストの葬儀なんて国葬かと思うほどの大仰さが演出としてもあり得なく、かつての映画としての記号が大変古臭く感じてとても苦手です。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-06-17 00:30:50)
6.  カセットテープ・ダイアリーズ 《ネタバレ》 
タイトル(オリジナル)からしてスプリングスティーンのデビューシングル。もはや映画がスプリングスティーンの楽曲で構成されているといっても過言ではないですね。歌詞も一々表示されるのだけどコレが主人公の置かれた境遇にどんぴしゃで、実話ベースと聞かされてなかったらレコード会社のプロモーションかと思っちゃいますね。 父親への反発、社会からの差別、追いかけたい夢。それに加えて恋と友情、とジャベドの10代は絵に描いたような青春グラフィティの記号であふれています。ありきたりといえばそうだけど、ロックミュージシャンに心を支えられて無茶ができるのはティーンエイジャーの特権で、誰でもちょっと身に覚えのあるあの頃を瑞々しく蘇らせてくれる作品でした。 上の世代のお父さんの苦悩もちゃんと説明してあるのも共感の幅を広げられていると思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-04-26 19:11:47)(良:1票)
7.  ガラスの城の約束 《ネタバレ》 
どこの家庭でも肉親の間の感情って愛憎交じるものかとは思うんです。毒親というキツめの言葉も昨今ありますが、本作の両親は「通常の社会生活からかなり逸脱した人」です。父母揃って「自由人」であるために、子どもらが成長するにつれて社会に沿って生きたいと思うようになると、彼らの障害になってしまう。ジャネットたちが気の毒で仕方がないし、親の責任を果たしていない二人には腹立たしさを覚えます。 けれど、子どもたちが幼少期の人格形成を成す時期に愛情を注いでいたのは間違いないのです。子どももそれに応えて、短いその一時期があの家庭の最も幸福な季節だったでしょう。子どもらが自立をしっかり志す大人に育ったのも良くも悪くも両親が影響しているとも考えられますし。虐待との厳しい言葉がこの両親にぴったりかというと疑問です。 可愛かった我が子が育つにつれ、自分に批判的になってゆくのもツライものだなあ、と親の立場から鑑賞しましたのでウディ・ナオミ夫妻に甘めの評価なのは自覚しているところです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-10-21 23:18:02)
8.  カーリー・スー 《ネタバレ》 
この手の"子ども上位モノ”は子役の出来いかんにかかります。賢さも器量も「大人顔負け」でなければならないし、かつ愛され要素として‟幼さ”も併せ持っていなければならない。さすがにハリウッドです 汲めども尽きぬ天才子役。次々輩出してきますねえ。その後のキャリアが大成したかどうかは別として、本作のアリサン・ポーターも見事な主演ぶりです。 演技論などを超えた彼らの天然演技は表情に嘘が無く、こましゃくれたトコも困った顔も寂しそうな様子も、全部素に見えてしまう。しかも本作は「コメディ」である、ということは押さえているみたい。恐るべし子役です。 そして今作大きく割を食っているのが大人たちで、造形の凡庸なことったら無いです。気ままだけど人の好い父親としっかり者のキャリアウーマン。この二人がくっつくであろうことは、しょてから100%分かっちゃってるわけで、展開にもヒネリがありません。心情描写も大雑把、出会って気に入ってくっつくだけ。子役のアリサンにおんぶにだっこの手抜き脚本はちょっと頂けないです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-09-19 23:15:06)
9.  華氏119 《ネタバレ》 
何故トランプが大統領になり得たのか。その原因を民主党政権の時代にさかのぼって多角的に分析した本作は、これまで「怒り」をベースにしたムーア監督に「疲れ」や「絶望」も垣間見えてアメリカの闇が深まった感がありました。 ごりごりに「左」の監督が民主党への批判をも縷々織り込んで展開してみせるは拝金主義に陥った米政治の混沌ぶり。彼の故郷ミシガン州フリントの水問題のくだりでは、「新しいアメリカの象徴」として輝かしく大統領に就任したはずのバラク・オバマの骨抜かれぶりが記録され、かの地の住民ほどではないにせよ日本人のわたしも衝撃を覚えました。 ヒラリーが献金漬けなのは有名な話だし、政治信条など無いトランプは時に民主党以上にリベラル発言をしたりで場は混乱。結果「どっちも嫌」という有権者を大量に生むことに。 これまで漠然と「米国は民主主義のチャンピオン」と思っていたけれど、実はかの国でも未だ民主主義は到達すべき理想形に過ぎないのだという学者の指摘には、問題がそびえたつほどの山積なのだと思い知らされます。 すぐになど変えられない。でも声を上げないとどんどん専横がまかり通る事態になる。その恐ろしさを胸に刻んで、この国でも選挙には必ず行かなくちゃ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-18 23:31:07)(良:3票)
10.  仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督) 《ネタバレ》 
この映画は私にとっては6点中のザ・6点。分かりやすい流れとちょっとした起伏、勧善懲悪なお話、誰もが望む平和なオチ。画も綺麗ですし、実に平均的な水準の娯楽映画なので、山ほどある細かい突っ込み所もスルーして観るのがマナーというもの。 甘々な脚本にはさして感心するところは無いけれど、中年四銃士のメンツがそうそうたる顔ぶれ。ベテランならではの達者な演技で大いに作品を助けています。どうしてもヨーロピアンの雰囲気を纏えないアメリカンな若者臭のディカプリオがルイ14世てのが説得力ゼロなのですが、欧州おじさんらが渋く脇を固めてくれたお陰で辛くもブルボン王朝の体を成しました。 アトス「あいつケツ出して何やってんだ」アラミス「なんか首吊るって言ってたぞ」のとぼけたシーンがお気に入り。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-05-24 00:26:29)
11.  カフェ・ソサエティ 《ネタバレ》 
アレン十八番の恋愛模様、相変わらず男女が意気投合したりすれ違ったりですが今作は毒も少なく、こじらせかたもやや軽く、いつにもましてライトタッチな仕上がり。 主人公がユダヤ系でハリウッドを嫌ってNYへ戻って、ともうアレンの自伝なんじゃないかと思いますね。 恋も仕事も上手くいくもいかないも、それが人生とばかりに大げさな感情表現を避けて淡々と展開する物語。主人公と元カノと妻、それぞれがもやっとした心を抱えながら日々を送る。諍いを起こすのにも面倒を感じるような年齢になった大人たちはこんなものかもしれないですね。 今作のアレン起用女優はK・スチュワートとB・ライブリーですか。クリステン・スチュワートもちろん綺麗なんだけど、いつもながら表情硬いねえ。あまり軽快なアレン作品には向かないように思うなあ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-13 23:42:42)
12.  ガール・オン・ザ・トレイン 《ネタバレ》 
全体像はテレビの2時間サスペンスとどっこいどっこいなんですが、画は綺麗です。車窓から広がる景色は広く奥行きもあって、映画的。 軸となる三人の女たちがうまく配置されていると思いました。三人の共通点としては一人の男に振り回されたことの他に、「わが子」に人生を大きく影響されてもいますね。子を授かりたかった、あるいは子を失ってしまった、そして子を守りたい。“母性”がスタート点となって最終的には命を失った者、人を殺めた者、と辿る人生は凄絶であります。まったくフリーの独身かつ子どもに興味のない女だったなら、あんなクズ男は一発殴って別れて終わりであったことでしょう。 女優陣が各々抱えた人生を演じきっています。トラウマがもろ顔に出ているメーガン、夫にそこはかとない不信を抱く、一見幸せ絶頂のアナ。怖いほどリアルなアル中レイチェルが迫力満点。エミリー・ブラントの美貌の荒れように凄みがあります。がさついた肌や目の周りの落ちくぼんだ感じは、ダイレクトに不摂生&精神不安定をこちらに訴えてくるので不安でざわざわしました。 失踪妻の夫の所に押しかけて、友人を騙って思い込みをご注進ときた日には妄想炸裂のヤバい人そのもの。うへえー、とすっかり引いたワタシはラストに至る展開を全く読めませんでしたので、けっこうたくさんの人が気付いたらしい真犯人にもしっかり驚きました。なので評価は高めにしときます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-26 16:49:07)
13.  帰ってきたヒトラー 《ネタバレ》 
移民問題がナショナリズムを煽り、極右政党が躍進している現在ヨーロッパにおいてタイムリーに作られた本作。初めのうちは笑って、最後には冷やっとするという、まさに制作の狙い通りの反応をしてしまった。 いや、総統さすがというか、どんな突っ込みにも質問にも堂々と揺るぎない政治信条で相手を論破しちゃうんだもんな。ほんとのとこ、実在の政治屋など小物にすら見えてしまう。おおすごく頼れるリーダーだ、とうっかり感想を抱きそうになって慌てた。 歴史学者の先生によると今の時代って30年代に似ているんだそうな。ヒトラー総統(比喩であっても)が戻ってきたとして、さてまた歴史は繰り返すのだろうか。映画はその答をこちらに投げて終わります。21世紀の我々は30年代の人々と違って、第二次大戦を知っている。またあの惨禍を繰り返すほどに学習能力の低い種であるとは思いたくないのだが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-20 17:10:38)(良:1票)
14.  ガールフレンド・エクスペリエンス 《ネタバレ》 
ソダーバーグ版「娼婦はつらいよ」です。 十八番の時系列いじりやシャープでいかにもなアート映像はこの監督ならでは。私はソダーバーグ作品については好きなものが多いのですが、これは退屈してしまいました。思うに主人公の渇きや孤独に共感しづらい、というのが一因じゃないかな。 一時間で2000ドルも稼ぎのあるトップ・エスコート嬢だもん、だって。地道に働く彼氏もいて、仕事を黙認してもらっているというのも驚異的に幸運な環境だ。ところが彼女が盲目的に信じているのは「人間学」なんだとか。なんてことはない、つまりは占星術じゃねえか。占い上相性の良い一見客のために現実の彼氏を振るシマツ。女の私でも何やってんだあんたはと思う。 雰囲気の似ている「セックスと嘘とビデオテープ」の市井の人間たちとは環境が違いすぎる。アンやシンシアの気持ちは分かってもチェルシーの感覚はぶっとびすぎて掴めないわあ。 本職の売れっ子ポルノ女優さんだそうですが、彼女のルックスがさほど魅力的に思えないのもノレなかった理由のひとつ。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-11-10 16:40:41)
15.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 
これは絶対にネタばれ厳禁なやつ。なので感想のみにとどめようと思います。感想はまあ観ている間、めまぐるしく変わります。 「おや?下手くそか?」「なんじゃこりゃ」の前半を乗り越えてからの、怒涛の人間ドラマ、もう鮮やかでびっくり。 かくして中盤以降は「ああー、なるほど」「うわうわ」「そういうことかー」で脳内爽快感の大嵐。で、しかも終幕には涙ぐんでもいました。映画って、映画を作るって、いいもんだなあ。トリュフォーの「アメリカの夜」にも比肩する、映画愛に満ちた傑作が日本に誕生してうれしい。
[映画館(邦画)] 9点(2018-10-19 15:40:23)
16.  影武者
白黒時代の黒澤作品級の面白さを期待したら外れてしまった。面白さで言えば、三船らが生き生きしていた活劇の方が何倍も面白かった。 老年に至った大監督の美学が優先されていて、監督的には必要だったのであろう夢のシーンや、野に晒された武田兵らの累々たる屍のショットなどはいかにも長い。幽鬼のような仲代の姿も、幻に取りつかれた男の姿なのだろうが悲愴すぎて、監督のロマンチシズムがやや過剰に感じる。 しかしながら、”馬”が出てくる場面は皆美しかった。騎馬戦の勇壮なこと、駆ける馬群のその筋肉の輝き。「七人の侍」ではモノクロの馬の圧倒的な躍動感にうわあ、と思った。今回カラー作品で黒澤の”馬”を見ることができて、その綺麗さにやっぱりうわあと思った。 黒澤作品に7点を切るのは畏れ多いのだけど。うーん、やっぱり正直にこの点数で。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2018-06-16 00:59:28)
17.  カポーティ 《ネタバレ》 
ノンフィクション「冷血」は稀代のルポルタージュである。その著者であるT・カポーティの人物をなぞろうとすれば、この著作を手がけた5年余りに絞ったのはしごく当然と思う。 本人も認めているように、この作家と一家惨殺犯の一人、ペリー・スミスとは魂のありようが似ている。恵まれなかった子供時代、容姿へのコンプレックス、言葉への敏感な感性、決して埋められない孤独感。 新聞記事で事件を知り、彼らを「飯のタネ」にしようと思いつく作家。地元保安官は眉をひそめ、友人らも若干引き気味なある種の厚かましさをもって殺人犯らと交流を持つカポーティ。「飯のタネ」ではあるのだけど、一方でペリーへの親近感や同情といった自分の心に気付いて動揺する彼。嘘や誇張で死刑囚の気持ちを引き寄せ、かと思えばセレブらとの社交パーティではへらへらと空騒ぎ。 なんとも複雑で繊細な有名作家の姿を、名優P・S・ホフマンは見た目や発声の仕方、仕草に至るまできっちり再現してみせた。取材対象に近づきすぎて、その処刑の場に立会い衝撃を受ける作家。目を宙に泳がせたり、薄皮を一枚被ったように顔つきを捉えどころ無くしたり、表情筋のわずかな動きで作家の心の空疎なことを表現しつくしたホフマンに圧倒された。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-04-21 14:49:43)
18.  カルテット!人生のオペラハウス 《ネタバレ》 
脚本が何も紹介しなくても、その存在だけで刻んできた人生のひだや葛藤を醸し出すことのできる英国ベテラン俳優の実力を思い知らされます。逆に言うと彼らの存在におんぶされっぱなしのスクリプト、ともいえます。何せ「歌姫」として名高かったマギー・スミスの、その「音楽家」たる姿が一切示されないんだもの。歌っている姿は練習するとこが一瞬だけ、ついにはラストステージ上でも披露されることなく幕を閉じるというぶん投げぶりです。いや、やっぱりそこは芸事に人生を捧げてきた人たちが昇華する瞬間として、輝きを放つ舞台を設けるべきでした。我々も目撃者になりたかった。たとえ口パクでも、M・スミスだって演技者として歌姫像をまっとうしたかったはずでは。一見、しみじみといい話のようでいて、「元音楽家」にした必要性があまり無かったような。期待した音楽要素にスカされた感が残っちゃった。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-03-25 01:34:45)
19.  かくも長き不在 《ネタバレ》 
静かな映画である。1960年、パリ。スマホはおろかFAXだって無い、今よりずっと社会全体がゆっくりだった時代。さらに季節はバカンスを迎えて通りに人がいなくなり、静まり返った日常にふいと現われた行方不明の夫。 妻は一人必死に記憶を呼び覚まそうと奮闘する。性急にならぬよう、自制しながら。レコード音楽がゆるゆると流れ、妻の激しい一念とは裏腹に、何もかもがスローにおっとりと描写される。1カット固定でじっとしているシーンも多いし、オペラを一曲聴かされるのも退屈で苦痛に感じる人もいるだろう。 だけど、それまでのどっちつかずのもやっとした空気がラストシーンで一変するのだ。妻の努力が、周囲の気遣いが無に帰すあの瞬間。どんなに必死に思いをかけても、彼の脳裏に甦るのは収容所での苛酷な記憶なのだ。 かくもかくも、その不在の長きことに胸を衝かれる、非情のラストなのでありました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-12-18 23:45:52)
20.  彼女について私が知っている二、三の事柄
なんでこの監督はこんな独りよがりを許されているのだろう。私は見事なまでに何の感想も抱けなかった。色彩のセンスがカラフルでこの人らしいですけど、「お話」を聞きたくて映画を観る者には不向き。「俺にだけ分かってりゃいいんだ」ということかい?少なくともワタシは90分時間を提供したのだ。ただただ困惑と退屈の90分。なんでこんな目に。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2017-11-26 17:28:25)
030.15%
1120.60%
2261.30%
3693.45%
41396.95%
528114.05%
653826.90%
752326.15%
826913.45%
9944.70%
10462.30%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS