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プロフィール
コメント数 2381
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  恋しくて(1987) 《ネタバレ》 
いやぁ、何度観てもホロリとさせられる80年代青春映画の金字塔、ジョン・ヒューズでないと書けないストーリーです。日本人には想像つかないようなアメリカの高校生活、生徒たちがグレードはともかくとして普通に自家用車を運転している、自分らの頃は自転車がせいぜい、原付で通学する奴もいなかったな。エリック・ストルツが演じるキースは現代日本で言うところのいわゆるキモオタって感じでしょうけど、イケメンすぎて実感がないですな。この超鈍感男や男依存体質のリー・トンプソンを始めあまり感情移入できないキャラばかりが登場するので、メアリー・スチュアート・マスターソンがあまりにいじらしくて可哀そう。ストルツとマスターソンの関係は幼なじみみたいなものなんだろうけど、あそこまで彼女の心情に気が付かないなんて、この男ゲイなのかとすら思えてきますよ。今は怪優的な立ち位置の名バイプレーヤーであるイライアス・コティーズがやばいパンク高校生を演じていますが、彼にも当たり前ですけど若い頃があったんですね。ストルツの父親(『ビバリーヒルズ・コップ』のタガート刑事です)も息子に自分の主張を押し付けるだけの頑固おやじのようでいて、最後にはいい親父だったことを見せるところはベタですけどやっぱいいよね。泣きながら歩くマスターソンをストルツが追いかけるラストは、まさに感動の名シーンです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-11-12 23:26:27)(良:1票)
2.  コーマ 《ネタバレ》 
『ジュラシック・パーク』の原作者としても有名なマイケル・クライトンは映画監督・脚本家としても活動しましたが彼は生涯で四作しか監督していません。本作はその一本ですけど、個人的には本作がいちばん面白いと思っています。クライトンと同じく医師資格を持つロビン・クックのベストセラーが原作、学生時代に洋書屋に行ったらこのペーパーバックが山の様に積まれていたのを思い出します。医療がテーマですので、まさにクライトンの本領発揮という感じの病院内の描写がリアル。とくにジェヌヴィエーヴ・ビジョルドが解剖死体が詰め込まれた部屋に逃げ込むシークエンスは、さすがにゾワッときました。恋人役のマイケル・ダグラスは、病院内の政治的な動きや自身の立身にしか興味がない様な、いつもの脂ぎったキャラです。こいつが実は病院の闇勢力に取り込まれていて、ビジョルドを裏切っているんじゃないかと疑わせる演出は上手いですね。サスペンス映画としても、ハラハラドキドキ濃度は一級品じゃないでしょうか。でもラストで突然彼がヒーローになる展開だけは、なんか唐突過ぎて解せませんでした。因みに、クライトンが60年代に弟ダグラスと共著で小説を上梓していますが、その時に使ったペンネームは“マイケル・ダグラス”だったそうです、奇遇ですねえ。謎の研究所の目的はなんと臓器の競り売り、謎めいた看護婦の役目が競りのディーラーだったという展開は、笑えて来るほどシュールでした。疑問点としては、いくら大病院と言っても年間で10人以上も脳死昏睡者が発生したら世間でも大問題、そりゃ遺族が黙っちゃいないと思うんですけどね、医療過誤訴訟を山ほど抱えて病院が潰れちゃうのは間違いないでしょう。70年代はアメリカでもまだ医療過誤訴訟は流行ってなかったのかな?
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-10-12 21:18:47)
3.  コンビニエンス・ストーリー 《ネタバレ》 
しょうじきイマイチ意味が判らんストーリーでしたが、ラストまで観てやっとこれは“お前はすでに死んでいる”パターンの『恐怖の足跡』、というか“死ぬまでに観てしまう走馬灯”パターンの『ふくろうの河』的なお話しだったと理解できました。この監督の映画は『大怪獣のあとしまつ』しか観たことがなく小ネタを挟み込んだストーリーテリングが芸風の人なんだなと理解していましたが、ホラーテイストの本作ではその小ネタがどう考えても有機的に繋がってないところが残念かな、と言うのが自分の感想です。それでも一つ一つのシーンでの非現実的なイメージはとても印象的で、とくに空一面を鳥が埋め尽くすように飛び回るカットにはひきつけられました。明らかに異界の者である恵子が服を脱いで加藤を誘惑するところ、「けっ、出し惜しみしやがって!」と心中で悪態をつきたくなりましたけど、よく見れば演じているのは元AKB48の前田敦子じゃありませんか、そりゃヌードになるわけなかったです(笑)。あと演技に難があるわけではないけどほとんどの会話が聞き取りにくいこと!これはイライラさせられました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-09-17 22:36:21)
4.  殺し屋たちの挽歌 《ネタバレ》 
まるでチョウ・ユンファ主演の香港ノワールのごとき邦題には騙されますけど、純然たる英国ノワールでユニークな視点のロードムービーでした。監督はスティーヴン・フリアーズで、『マイ・ビューティフル・ランドレット』で注目される前年に撮った彼の長編第二作目であります。タイトルバックに流れるギターソロがえらく渋いなと感心したら、なんとエリック・クラプトンの演奏でした。 強盗仲間を裏切って証言をして司法取引でスペインで隠遁生活をしていたテレンス・スタンプ、10年経って出所した仲間に居場所をかぎつけられて拉致されてしまう。このテレンス・スタンプが演じるのが実に不思議なキャラで、捕まるときこそ抵抗したけどボスが待つパリにまで護送される間は悟りきったように穏やかで、派遣されてきた殺し屋には協力的。この殺し屋二人組がジョン・ハートとティム・ロスで、途中で行きがかりで女を一人誘拐することになり、ほとんどこの四人で進行するスペインからパリを目指す奇妙なロードムービーとなるわけです。このジョン・ハートが演じる寡黙な殺し屋は印象深いキャラで、有能なのかはともかくとして非常に冷酷な男で、警察に通報しそうに思える目撃者を躊躇なく殺してゆくのです。コンビを組む若造がティム・ロスですが、当然ですけど若々しくて金髪なので始めは彼とは気づきませんでした。面白いのは処刑台へ歩かされている死刑囚のような立場のスタンプが、逃げるチャンスは何度もあるのにまるでガイドの様にハートたちを導く理解しがたい言動で、それに二人が翻弄されてゆくところでしょう。若いロスの方は女に情が移り気味でスタンプの影響が顕著になりますが、けっきょくハートには通じずに悲劇が訪れます。 「お前は運が良い」と女だけは殺さなかったハートが、その為についに国境を越えられなかったラストは予想通りの展開ですけど、まだ駆け出しの頃のスティーヴン・フリアーズの才気は十分に堪能できました。この映画のジョン・ハートを観ていると、『ジャッカルの日』でジャッカル役でも良かったんじゃないかと思うほどでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-08 10:46:26)
5.  ゴジラvsコング 《ネタバレ》 
なんかこのシリーズ、回を重ねるごとに脚本が酷くなってきましたね。ゴジラとコングが対決しても、東宝特撮の『キンゴジ』の例もあり勝負つかず引き分けというという予測通りの結末でしたが、ここにメカゴジラを登場させてゴジラ&コングvsメカゴジラの変則タッグマッチが用意されていたとは期待を良い感じで裏切ってくれました。でもそのメカゴジラを操縦するのは小栗旬、芹澤蓮なんて名前だから芹澤博士の遺児であろうと当然予測しますが、劇中このキャラについては一切説明がないのでわざわざこのキャラ名にしたのか意味が判りませんでした。「それだけはやって欲しくなかった…」と思わず呻かされたのは唖者の少女とコングが手話だかテレパシーだかで会話が出来るという設定で、これじゃあ昭和のガメラ・シリーズと一緒じゃんか!日本では『シン・ゴジラ』などから始まる『シン…』作品群が現実世界にシンクロさせたリアル路線であるのとは対照的です。そして頭を抱えたくなるのは真面目に“地球空洞説”を取り入れているところで、空洞内の原始的な世界がコングとゴジラの生誕の地なんだそうです。何故かその世界に埋まっていた化石みたいな銅剣をコングが見つけて振り回し始める、これまた何の説明が無いので事情が理解できませんが、これはコングがエクスカリバーを見つけたと解釈すればいいんですかね(笑)。またまたチャイナ・マネーの御威光か三怪獣の決戦の地は香港でしたが、どうせなら北京でゴジラが荒ぶって中南海あたりを廃墟にする画が観てみたい(笑)。 またエイペックスなる悪の秘密結社みたいな企業の内部告発者という役柄の男、こいつイルミナティまで持ち出すバリバリの陰謀論YouTuberなんだけど、こういう陰謀論者が真実を探り当てたみたいなヒーローにするのは、ほんと止めて欲しい不快です。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-04-01 23:23:18)
6.  GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
先にハリウッド実写版を観ていたので、背景とか展開は理解し易かったかと思います。この韜晦な世界観が、ハリウッドにかかるといかに通俗的なストーリーになってしまうことにも、気付かされてしまいました。押井守特有の決して難しい言葉遣いではないけど、難解な理論を登場人物たちがさりげなく語るストーリーテリングには好き嫌いが分かれるところでしょう。でもその造りこまれた世界は圧倒的な画力で、東京と香港とヴェニスを混ぜ合わせたような都市の細部には圧倒されます。26年前、まだWindows95が最新だった時代にここまでサイバー・ワールドを創造できたのは、まさに押井守おそるべしです。原作を読んでいない身としては「えっ、これで終わり?」という感は否めなかったですけど、続きというか続編はぜひ観たいという気にはなりました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-11-30 22:38:29)
7.  ゴースト・イン・ザ・シェル 《ネタバレ》 
原作は未読なんですけど、これは明らかに押井版アニメ・第一作の実写バージョンというのが正解ですね。草薙素子をスカヨハが演じるというのはある意味サプライズでしたが、ハリウッド製作なんでしょうがないし、彼女の肉襦袢ヌード(?)を堪能できたのでお得感はあります。ファーストショットから序盤の展開はもろ押井版の実写化という感じ、舞台となる無国籍風都市の造りこみはお決まりの『ブレードランナー』風でなんか能がないんですけど拘りは伝わります。スカヨハ以外の荒巻やバトーのキャラは原作にかなり寄せてますけど、やはり問題はたけしの起用でしょう。たけしだけが喋る日本語がなぜか全員に通じているのがヘンを通り越してシュールな領域に達していますし、日本人向けに日本語字幕を付けて欲しいほどの相変わらずの滑舌の悪さです。荒巻の髪形もなんかヘンですけど、原作の荒巻のお茶の水博士スタイルの髪形にしちゃうと『ひょうきん族』なんかで演じていたマッド・サイエンティストの再現になってしまうので、たけし本人からNGが出た結果なのかもしれませんね(笑)。 賛否が分かれるオリジナルの実存的テーマの追及はエンタティメントにはならないと判断されたのか、スカヨハと『ブレードランナー』的なブラック企業との闘いと自分探しの苦悩という判りやすそうな方向に流れてしまったのは止むを得ないのかな。単なるハッピーエンドに終わってしまったところは、『攻殻機動隊』の持つ世界観とはかけ離れてしまった感じがして残念です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-11-28 21:41:06)
8.  ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 《ネタバレ》 
このハリウッド・ゴジラは、キングコングも含めて連作として先のストーリー展開も含めて構想されているところがいいよね。今作は『三大怪獣 地上最大の決戦』のリメイクときましたか。悪の組織としてX星人ならぬシー・シェパードまがいの軍団が登場させていますが、この組織がコネリー007時代のスペクターなみに何がやりたいのか判らないところがストーリー展開での最大の難でしょう。いつも思うんだけど、こういう環境問題というテーマには偽善がプンプンするところが堪らなく嫌です。多細胞生物が地球に誕生してから、全生物の90%以上が消えた大量絶滅が何回発生したのか判ってんのかと言っておきたい。地球という天体の寿命は一説にはあと40億年ぐらいだそうで、いま地球に生存する生物の大半は一億年以内に必ず絶滅しますよ、人類も含めてね。でもそこから新しい形の生命が生まれてくるだろうし、そもそも地表の出来事なんて地球そのものには大したことじゃない。だからこの組織やマッドサイ・エンティストと化したヴェラ・ファーミガの思想(らしきもの)には何の共感もないし、神が創造した人間が存在しない地球はあり得ないというキリスト教的な傲慢さが鼻につくんです。まあハリウッド大作の脚本にそこまでケチつけてもしょうがないですけどね(笑)。 今回のメイン・ゲストはやはりキング・ギドラであることは間違いなく、東宝特撮では他の怪獣たちとはかけ離れた出自からイマイチ暴れ方が地味だったのに、生物的な特徴を強調したスタイルには拍手を送りたい。だいたい、ギドラの首がもげるなんて期待をはるかに超えています、“モンスター・ゼロ” なんて呼ばれるところなんかも、東宝特撮へのリスペクトが感じられます(東宝特撮時代の全米公開版では、キング・ギドラじゃなくてこう呼んでいた)。昭和の時代ではただ飛んで羽ばたくだけといった印象だったラドンが、まさに火の鳥と化して存在感を主張しているところも嬉しいところです。半面、モスラが昆虫的な要素が強調されてなんか気色悪い造形なのは、何とかして欲しかったな。そして渡辺謙が、先代芹沢博士と同じようにゴジラに命を捧げる展開こそ、監督の東宝特撮への最大のリスペクトだったんじゃないでしょうか。でも、オキシダント・デストロイヤーの役立たずぶりには、愕然とさせられましたけど(笑)。 ラストで、ゴジラのもとに集まってきた怪獣たちがひれ伏すかのような動作を見せるところは、まさに“キング・オブ・モンスター”の誕生でした。でもコングが黙ってそれを許すわけないし、ゴジラのチャンピオン・ベルトを奪取するべく挑むビッグ・マッチが次回作ってことですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-26 02:04:45)
9.  go(1999) 《ネタバレ》 
今までに山ほど撮られてきた『パルプ・フィクション』の亜流映画と言ってしまえば身も蓋もないけれど、若き日のダグ・リーマンが監督しただけあって才気の片鱗は見えました。そういや、主演のサラ・ポーリーはなんかユマ・サーマンに似てるなと感じたのは私だけかな? 出てくるキャラはみな半分アウトレイジの世界に足を突っ込んでいるような感情移入できそうもない若造たちですが、L.Aまでやって来るベガスの本物のアウトレイジ親子も含めて終わってみればみんな憎めないんですよ。なかでもいちばんの大バカ者はサイモンですが、こいつのバカっぷりはほとんどビョーキの域に達してました(笑)。というわけで、三つのエピソードの中ではこの“サイモン”のパートがいちばんぶっ飛んでますが、それぞれのエピソードはオチが弱いというのは残念なところです。それでも、夫婦でネットワーク・ビジネスに励むウィリアム・フィクトナー刑事には笑わされました。銃が撃たれてあんだけムチャクチャやっても、終わってみれば誰も死んでないというのが、ある意味最大のオチかもね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-05-20 02:19:07)
10.  コドモ警察 《ネタバレ》 
TVバージョンは観たことがなく、まったく予備知識なしで鑑賞。『ダウンタウン物語』的な感じかと思いきや、実は『西部警察』のパロディでかなり王道の刑事ものに寄せた撮り方というわけです(コドモが刑事ということ以外はね)。演出なのかこれが素なのか私には不明ですけど、鈴木福の滑舌の悪さはちょっと凄いと言えるレベル。エナメル刑事の子なんかはかなり軽快なセリフ回しができているけど、他の刑事たちも総じて滑舌悪しでした。でもコドモ刑事たちと較べても壮絶に演技がド下手だった本庁から来たエリート刑事役、この人ジャニーズのアイドルなんですね。いくら製作委員会にTV局が入っているからと言っても、こんなレベルで映画に出すなんて舐めてます、同じアイドルでも指原莉乃はさすがきっちりとコメディ演技をこなしていますよ。設定自体が超ナンセンスなのに割とシリアスに展開するストーリーラインが、噛み合ってない感じが凄くしました。もっと弾けるような映画を予想していただけに、期待は大外れでした。これじゃあ、正月の暇つぶしにもならないよ。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-01-05 22:38:07)
11.  五人の軍隊 《ネタバレ》 
日本が誇る昭和の国際ムーヴィー・スター(?)我らの丹波哲郎がマカロニ・メキシコ革命劇に颯爽と登場!と言っても役名はそのものズバリの“サムライ”でなんと劇中セリフは一言もなし、初登場のシーンではどう見ても中国の道士服にしか見えない格好で必殺の得意技はナイフ投げ!でも五人のおっさんたちの中では唯一のモテキャラで、振り落とされた列車に延々と走って追い付くなんて見せ場(?)もあっておいしいキャラではありました。製作年度なんかから見て五人の悪党などのプロットは『ワイルドバンチ』からインスパイアされてるのは明確、マカロニ資本なのになぜかハリウッド監督のドン・テイラーなので結構しっかりした撮り方です。砂金列車の強奪は、ピーター・グレイヴスの作戦を事前に最小限しか観客に見せないので緊迫感あふれる展開になっています。その細部にこだわる手口の見せ方は、バート・ランカスターの『大列車作戦』に通じるところがあります。よく考えると、メキシコ革命が題材のアクション映画では列車が登場する頻度が高い気がしますね。 ラストもちょっと意表を突く展開、なんとなく納得させられる幕の閉め方でした。この手のジャンルでは佳作と言えるんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-19 20:52:10)(良:1票)
12.  コッポラの胡蝶の夢 《ネタバレ》 
てっきり本作がコッポラの最新で最後の監督作だと思っていたんですけど、よく見るとこの後に話題にもならなかった小品を二作監督していたんですね(もっとも十年近く前になりますが)。でも正直コッポラは本作を遺言作みたいにして、ここで監督業から引退した方が良かったと言えるほど、全編に人生に対する諦観を感じさせてくれます。ほぼ同年代のスコセッシがいまだに脂ぎった映画を創り続けているのとは対照的で、親子三代と甥で7個もオスカーを獲得し何度も破産を乗り越えてきたコッポラには自分の人生も邯鄲の枕だったんじゃないかという心境にすでになっているのかもしれません。ストーリーラインはなんか『プラーグの大学生』と『ある日どこかで』をミックスしたような感じです。ヴェロニカがサンスクリット語や古代エジプト語を喋りだすあたりからちょっとわけが判らないストーリー展開のような気もします。ヴェロニカがラウラの転生だということはしっくりきますが、ヴェロニカが雷に打たれて古代インド人の女性の生まれ変わりになってサンスクリット語で話し出すと、ストーリーとしては飛躍しすぎという感もあります。そしてドミニクと彼のドッペルゲンガーが核兵器について議論する件には、ちょっとコッポラの趣味が強すぎるなと感じてしまいました。できればとことん掘り下げて言語の根源というか始祖までたどる大風呂敷を広げてくれたら面白かったんじゃないでしょうか。そうなるとバベルの塔のお話しになっちゃうのかな。 「コッポラ、老いたな」というのが正直な感想ですが、彼が得意の映像美だけはまったく衰えていないのが救いでした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-08-10 23:36:44)
13.  ゴッドファーザー PART Ⅲ 《ネタバレ》 
失敗作とまで酷評する人までいるのは知っていますが、私が思うにそれは偉大なゴッドファーザー・サーガの最終作という宿命を負っているためで、90年代マフィア・ギャング映画の中では『グッドフェローズ』と双璧をなす作品だと思います。■PARTⅡと同じように、PARTⅢもパラマウントとコッポラの大人の事情(つまり切実にお金が欲しいということ)によって製作が決定されています。本来はトム・ヘイゲンの死というテーマの下で脚本が書かれましたが、ロバート・デュヴァルの降板というアクシデントでまず躓きました。アル・パチーノもギャラでゴネまくっていたのを宥めすかして出演させたそうです。だけどいざ撮影となるとコッポラの情念が詰まったような映画となりました。三部作はどれもパーティーのシークエンスで始まりますが、それぞれのパーティーには込められた意味が違っているというところが、コッポラの構想力の凄みなのかもしれません。そしてキャスティングが強烈で、コッポラの妹タリア・シャイアに続いてソフィア・コッポラをついにヒロインに抜擢しました。本作ではソニーの隠し子・マイケルの甥としてヴィンセントが登場しますが、こうなればこの配役にはコッポラの甥のニコラス・ケイジを起用して欲しかったところですね。でもソフィアとヴィンセントのラブシーンもあるし、実際の従兄妹同士に演じさせるのは不味いとコッポラが判断したのかもしれません。こうなってくるとマイケルはコッポラの分身みたいな感じになりますが、すでに功成り名遂げてハリウッドではまさにゴッドファーザー的な存在であったのでけっこうリアルなのかもしれません。■そして三部作でマイケルとともにサーガを創り上げたコニーが怖いんです。本作では完全にファミリーを陰で支える姐御的な存在になり、その武闘派ぶりがマイケルを苦しめます。そんなコニーですらフレドーの死が事故だったと信じているシーンは、ちょっと衝撃でした。さすがのゴッドファーザー・マイケルも隠し通すしかないんでしょうが、これではマイケルの苦悩が深まるのは必然でしょう。■実際のヴァチカンのスキャンダルと法王の死を巧みに盛り込んだ脚本は、さすがコッポラと感嘆しました。ヴァチカン聖職者をここまで悪役として憎々しく描けるとは、同じイタリア系とは言ってもスコセッシには到底できないことでしょう。それだけ両者にはカトリックに対する思い入れが違うということです。その悪役陣の中でもイーライ・ウォラックの大狸ぶりは光っていました、あれにはマイケルと言えども騙されるのはしょうがないでしょう。■物語はマイケルが父を守ったように、ヴィンセントがマイケルを守る、いわば第一作がタイムスリップしたような展開になっています。でもマイケルは父ヴィトのようにはなれず、愛されることを切望しても憎まれてしまう人生となってしまいました。そして再びシチリアで最愛の女性を失い、やがて父と同じように屋外で大往生するのですが、それはあまりに対照的な寂しい最期です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-02-18 22:29:26)(良:2票)
14.  コンビニ・ウォーズ ~バイトJK VS ミニナチ軍団~ 《ネタバレ》 
ケヴィン・スミスが撮った『Mr.タスク』からのスピンオフ作品らしいんですけど、言ってみればケヴィン・スミスとジョニー・デップ、それぞれの家族を総動員した究極のファミリー映画じゃないですか。主人公のJKコンビはそれぞれの娘ですが(それにしても娘にハーレイ・クインなんて名前を付けるとは、さすがケヴィン・スミス)、太めのコリーンの母親はスミスの嫁さんでハーレイ・クイン実の母親、スミス自身は判りにくいけどソーセージ製クローンのミニナチの顔として出演。顔にギミックつけすぎでもはや誰だか判らないデップの謎の探偵こそが元ネタからのスピンオフ・キャラらしく、元嫁ヴァネッサ・パラディは歴史の先生、コンビニでJKコンビへ悪態をつく悪ガキもデップとパラディの息子。というわけでそれぞれ家族睦まじいのはいいんだけど、肝心の映画の方が適当な思い付きを映像化したような感じで、つまり全然面白くない。ウジャウジャ出てくる顔がケヴィン・スミスのミニナチ小人が観てるうちに気持ち悪くなってくるし、いくらソーセージ製と言ってもあとからあとから踏みつぶされてザワークラフトの体液をまき散らすさまはゴキブリみたいな昆虫をつぶしているみたいで「もう勘弁して」と泣きごとが入ります。JKコンビのパワーの元がヨガだってのも、判ったようで判らなく要はピンとこない。まあこれは才人監督の暇つぶしと思うしかないけど、これでカネをとられる方は堪んないぞ。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-08-11 23:19:08)
15.  恋とニュースのつくり方 《ネタバレ》 
原題が一緒なのでてっきり30年代にキャサリン・ヘップバーンが初めてオスカーを獲った『勝利の朝』のリメイクかと思ったら、全然関係ないお話しでした。“MorningGlory”というのは朝顔のことだそうで、早朝の情報番組が舞台であるところに懸けているわけです。ヘップバーン版でも朝顔の意味で使われていて、これをストレートに直訳しただけの『勝利の朝』は洋画史上に残る珍訳・誤訳なんだそうです。 大して期待しないで観たら主要キャラ三人が思いのほか良い味を出していて、なんか得した気分です。“三種類の表情だけで演技して高額ギャラを稼ぐ男”ハリソン・フォードですが、本作では三種類どころか全編を仏頂面の不機嫌顔だけで押し通してしまいましたが、これが意外と良いんです。大物ジャーナリストがキャスターをやるというのはあまり実例がないのですが(そもそも日本には高級ジャーナリストという人種が存在しない)、無愛想つながりで強いて言えば木村太郎ってところですかね。となると相方のダイアン・キートンは安藤優子となるのでしょうが、ジャーナリズムとは縁遠いTVタレント役を嬉々として演じています。彼女は知的コメディエンヌとしての並々ならぬ才能の持ち主なので、このキャラはまさに適役です。レイチェル・マクアダムスもフォードやジェフ・ゴールドブラムとの掛け合いで芸達者なところを見せてくれますが、ハリウッドには彼女と同世代の女優がわんさかいますから、その中で目立つのはなかなか大変なのが現状です。 ラブコメの波動を感じるというよりも軽いノリのサクセス・ストーリーというところでしょうが、センスが良いので安心して観ることができました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-06-09 20:52:57)(良:1票)
16.  恋のスクランブル 《ネタバレ》 
名門私立高校のルームメイト、アンドリュー・マッカーシーとロブ・ロウの友情物語と思わせておいて、途中からジャクリーン・ビセットが登場してからが思わぬ展開となります。マッカーシーの童貞をジャクリーン・ビセットが頂戴してイイ関係になりますが、実は彼女はロブ・ロウの母親でしたっていうちょっと出来過ぎなお話しでもあります。面白いのは男優ふたりのキャラ付けで、マッカーシーが庶民階級の一見まじめな少年でロウはセレブな家のボンボンな息子なんですが、中盤からキャラ転してマッカーシーの方がセコイ手を使ってハーヴァードに合格するこずるい奴になってしまいます。ロウの方が母親とルームメイトの関係を知って真面目に苦悩しますが、ラストで二人は殴り合いの大げんかをして仲直り。この映画ではジャクリーン・ビセットはほとんどアル中でニンフォマニアみたいなキャラですので、「悪いのはすべてこの女」みたいにされるのでちょっと後味は悪いです。面白いのはジョンを始めとするキューザック親子が総出演しているところで、ジョン・キューザックなんて相当若いころだと思いますけど、今とほとんど同じ顔なのですぐ判りました。チョイ役でヴァージニア・マドセンも顔を出しますが、驚くほど安易な展開でおっぱいポロリを見せてくれるのでなんか可哀そうになります。そう考えると、この映画はけっこう豪華な出演陣(今となってはですが)だと言えます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-04-27 23:37:39)
17.  殺しの烙印 《ネタバレ》 
これは正真正銘のコメディですよ、それも日本映画では他に類を見ないスタイリッシュ・コメディです。 “コメが炊きあがるときの香りフェチな殺し屋” という宍戸錠のキャラは、別に深い哲学があっての設定ではなくなんとパロマガス炊飯器とのタイアップのおかげなんだそうですが、それを知ったときは思わず「まじか…」と絶句してしまいました。そして何度も見返してようやく確認できたのは、宍戸錠演じる花田と組織の中ボス薮原の両者の女房を小川万里子が演じていることです。もちろんメイクや髪形を変えているし彼女自身があまり特徴のない地味な面相(失礼)なので気づきませんでした(お前注意力散漫だと突っ込まれそう)。でも宍戸錠だって薮原に電話したら女房が出てきたことに気が付かないんだから(というか亭主が電話してきてるの女房が平気というのが凄過ぎる)、私と似たようなもんです(笑)。要は冒頭のクラブのシークエンスで薮原と女房が出会って出来ちゃったということなんでしょうが、普通の監督ならこんな演出ぜったいしません。 そしてこの映画のコメディ要素が大爆発するのは、宍戸錠と殺し屋NO.1が不思議な同居対決をするところで、これはもう抱腹絶倒するしかないです。身動きできない状況で尿意を催したら殺しのプロはどうするか?その場合は尿を放出してズボンを通して靴の中に溜める、これをまじめな顔で実演する殺し屋NO.1のプロフェッショナルぶりには大爆笑しました。 まあこれで鈴木清順が日活をクビになったというのは、トップの経営判断ですからしょうがないでしょう。むしろ深刻な問題だと思うのは、こんな才能ある映画作家がその後10年も映画に関われず生活が困窮したという当時の日本映画界の情けない状況でしょう。ハリウッドで現在巨匠と呼ばれる人たちで、若いころ製作者と対立してクビになったけど順調にキャリアを積んできた監督なんてゴロゴロいるのにねえ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-01-13 00:11:52)
18.  子連れ狼 三途の川の乳母車 《ネタバレ》 
大江戸版子連れゴルゴ13、拝一刀シリーズ第二弾。今回は松尾嘉代率いる明石柳生のくのいち軍団と、大江戸版トランスポーター弁天来三兄弟という敵役も豪華ダブルキャストです。明石柳生のアマゾネスたち、忍びの黒鍬衆には滅法強いのに肝心の拝一刀にはいずれも瞬殺されるという残念な結果に。あの大根切り殺法にはそのユニークさに爆笑しましたが、最後の一人はなんと大五郎に仕留められるという衝撃の結末。だいたいあんな殺気ばしった顔で近寄ってくれば、いくらコスプレしてたって一刀に見破られるのは当然の帰結。でも全滅しながらも一刀に手傷を負わせたところは評価してあげたい。目を見張るのは大五郎の子役の演技力、乳母車からガンを飛ばすところなんかもう天才子役と呼んであげたい。弁天三兄弟との砂丘での対決は、地中に潜んだ阿波藩の雑魚侍の登場がなんといってもシュールの極み。でもガジェットに凝った割には、三兄弟とも一刀にはまるで歯が立たずにあっさり斬られてしまいました。護送されていた職人を助けるのかと思いきやばっさり斬捨てる、さすが拝一刀引き受けた仕事はきっちりこなす、まさに非情な大江戸版ゴルゴ13でした。でも何人斬っても一依頼につき五百両とは、なかなか良心的な価格設定です(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2018-12-25 00:27:58)
19.  子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる 《ネタバレ》 
製作当時の邦画界はどん底で死に体も同然、それで勝プロ製作で出演俳優は東映作品の常連ばかりという本シリーズが東宝から配給されるという珍現象が起こったわけです。若山富三郎の拝一刀は原作キャラとは容姿があまりにもかけ離れていて違和感が半端ないのですが、その殺陣の切れ味はさすがです。劇画チックなお話し(劇画が原作ですから当たり前ですね)を三隈研次が独特の映像表現を駆使してまとめ上げており、冒頭の若君介錯の件なんかはシンプルに徹した様式美ながら思わず引き込まれてしまいます。現代では絶対製作できないどころか地上波での放映さえ不可能なスプラッターぶりには、唖然どころかもう笑うしかないという気分になるぐらいです。笑わせてくれたのが無頼集団のボス官兵衛が子連れ浪人を拝一刀と気づくシーンで、あれは当時NHKで放送されていた『連想ゲーム』のパロディかと突っ込みたくなるほどのバカバカしさでした。 それにしても大五郎の愛くるしいこと、この人は今どんなおじさんになっているんでしょうか、その姿を見るのはなんか恐い気もします。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2018-12-20 02:08:27)
20.  荒野の七人 《ネタバレ》 
これが黒澤明のあの傑作のリメイクでなければ西部劇としてはかなり面白いということができますが、比べるなというほうがムリというものです。まあ端的に言えば舞台を開拓時代のメキシコに置き換えたオリジナルの短縮版というところでしょうか。 ユル・ブリンナーが志村喬、スティーヴ・マックイーンが稲葉義男、ホルスト・ブッフホルツが三船敏郎(と木村功)などオリジナルのキャラが投影されていますが、みんなオリジナルの泥臭さが消えてスマートすぎるのが私には不満です。ブリンナーには志村喬の持っていた侍も百姓も引き付けるカリスマ性が全然感じられないし、ブッフホルツには三船=菊千代が体現した爆発的なエネルギーが決定的に欠けています。存在感のあるイーライ・ウォーラックを盗賊のボスとして前面に出して、村人が七人を裏切って盗賊に内通するなど元ネタを進化させたなと感じるところもあります。ラストも全然違いますけど、いったん追放された七人が村に戻るくだりがかっこよすぎて説得力がない。ラストであの有名なセリフを使って辻褄を合わせた感は否めなかったです。 とは言ってもあまりに有名なテーマ曲は何度聞いても気分が良くなるし、スティーヴ・マックイーンは痺れるほどカッコよいし、観て損はさせない一編ではあります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-17 01:05:45)
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