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プロフィール
コメント数 2374
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 
自分にはその趣味は無いんですけど、それにしてもホモが主人公の映画ってなんでこんなに心を打たれる名作が多いんでしょうかね。製作したマシーンに早世した初恋の少年の名前“クリストファー”と名づけるなんて泣かされてしまいます。もっともこれは史実ではなく脚本家の創作だそうです、でもGJ! オスカー脚色賞をゲットした脚本もいいけど、やはりここはベディクト・カンバーバッチの好演が素晴らしいと褒めるべきで、もう彼には名優の風格さえ感じます。エニグマ解読の話は本で読んだことはありますが数学的なことはさっぱり理解不能だったんですが、そういう数学的な要素は無視してひたすらチューリングのマシーンが解読してゆくところに絞った見せかたは視覚的に判り易くなっていて良かったですね。解読に成功するところをラストに持ってくるんじゃなく、その後の秘密保持の苦悩にも重点が置かれているところもなかなか誠実な観せかただと思います。史実でもこの“ウルトラ”情報で目標都市を事前に知っていたにも関わらず、チャーチルはコヴェントリー空襲(大戦中一夜で最大の死者が出た爆撃)の際には何の情報も軍や自治体に伝えなかったそうです。だから「誰が死んで誰が生き残るか」を神のように決めてしまったと苦悩するべきなのは、本当はチューリング達じゃなくて政治家じゃなきゃおかしいんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-02-24 23:05:59)
2.  イースタン・プロミス 《ネタバレ》 
まぎれもない傑作です。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」あたりからクローネンバーグは人が変ったように監督としての腕があがってます。どのカットにも緊迫感がみなぎっていて、それが最後まで途切れません。皆さんご指摘のように、全編で使われる武器が刃物だけというのも効果絶大です。この調子でいけば、クローネンバーグがオスカーを獲る日も近いでしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2009-01-22 21:36:41)
3.  1秒先の彼女 《ネタバレ》 
なんと言っても主演女優のリー・ペイユーが良い。なんか眼と眼が開いていて決して美人というわけじゃないけど、街を歩けば見かけるようなごく普通のOLみたいな感じだけどそのほんわかした雰囲気と豊かな表情に引き付けられてしまいます。こんな彼女が三十路の郵便局員を演じているのは、もう実在感が半端ない、そりゃあ同僚の超美人な後輩の方がビジュアルとしては目を引くのは確かですけどね。因みにこの美人な同僚、なんと本業はプロの囲碁棋士で七段、台湾でも有名な強豪なんだそうです。 ストーリーはラブコメとは相性が良いタイムパラドックス系列なんですが、中韓の映画にありがちな強引さや押しつけがましいところがなく、そのストーリーの根底にある情緒は日本人の感性に近いものがあります。台湾では七夕がバレンタインデーみたいに盛り上がるというところが、初めて知ったけど面白い。たしかに織姫と彦星が年に一度だけ会えるというところは、バレンタインデーに通じるところがありますね。そしてバスが走る海辺の光景の美しさには息を飲まされます。固まっているシャオチーをグアタイがバスからおろして色んなポーズを採らせて撮影するところはちょっと間違えば単なる変質者の所業ですが、なるほどこういう風に撮れば微笑ましくなるんですね(笑)。 この監督チェン・ユーシュンは90年代に台湾ニューウェーブの旗手として登場した人なんだそうですが、もっと他の作品も観てみたいと思います、でもフィルモグラフィを見ると寡作みたいですね…
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-07-13 21:49:28)
4.  硫黄島からの手紙 《ネタバレ》 
当たり前ですけどほとんど全編にわたって日本語オンリーのセリフ、こんなハリウッド映画は前代未聞だったそうでゴールデングローブ賞では外国語映画賞を受賞しているぐらいです。俳優も渡辺謙をはじめ名が知れた面々も起用されており、中でも二宮和也はイーストウッドのお気に入りみたいで、今でも日本のジャーナリストから取材されると「二宮は元気でやってるか」と聞くそうです。確かに彼は本作に出演してから俳優としても一皮むけた感じがしますし、現在の活躍は皆さんご存知の通りです。 『父親たちの星条旗』と比べると戦闘場面の壮絶さはやや薄めの感じはしますが、その分守備する日本軍の内情がかなり突っ込んで描かれています。どうしても呆れてしまうのが海軍の無能さで、これは史実でも栗林大将が東京への電報で嘆いている通りです。中村獅童が演じていたあの肝心な時にはヘタレ野郎だった将校も、海軍大尉でした。陸軍の中でも命令を無視する旅団長がいて、こんな組織でよくアメリカと戦争したもんだと感心するぐらいです。そこはアメリカ軍とは大違いですね。考えてもみてください、そもそも硫黄島攻略は日本本土空襲の航空基地を造るのが目的だったわけです。つまり陸軍航空隊のために海兵隊がすりつぶされたわけで、当たり前の様な事ですけど陸海軍が最後までいがみ合っていた旧日本軍では考えられないことなんです。大局的に観ると、旧日本軍とは下士官・兵は優秀なのでどんな国と戦っても苦戦を強いらせることができるが、国力が貧弱なうえ軍上層部が無能なので戦争に勝つことはできない軍隊だったと言えるでしょう。 総じてイーストウッドらしい淡々とした目線で描かれた地獄絵図だったという印象でした。でも彼はアメリカの敵国兵たちも“祖国を守るために必死に戦って死んでいった”ということをきちんと描いていて、それは海兵隊の戦死者と何ら相違はないんだと訴えている気がします。これこそが彼の“硫黄島プロジェクト”の目指したことだったんだろうな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-12-08 21:47:00)
5.  いのちの戦場 -アルジェリア1959- 《ネタバレ》 
アルジェリア戦争がテーマの映画と言えば、私は未見ですけど『アルジェの戦い』が有名です、いや言い直すとこれしかなかったというのが正解でしょう。アルジェリアが独立するためにフランスと8年間も戦争状態だったということですが、独立を目指す武装組織との戦闘ですからこれを“戦争”と呼ぶのはちょっと違う気がします、1996年までフランスが公式に戦争であったと認めてこなかったのは、国際法的には正しかったのかもしれません。韓国が東学党の乱のことを「甲午農民戦争」と呼べと最近しつこく主張していることと、どこか通じる理屈があるのかもしれません。どちらにしてもこの紛争は「両者とも常軌を逸した血なまぐさい殺し合い」だったことは確かです。 アルジェリアと言うと砂漠というイメージですが、この映画で見せられるアルジェリアは、ゴツゴツした岩場が続く山また山の風景の連続です。フランス兵たちは山頂にある砦みたいな基地から出撃し、武器装備も大したものも持っていない。まああんな山地では戦車も役に立たないし、歩兵に頼るしかないでしょうね。でも考えてみてください、1959年と言うとトリュフォーやゴダールがヌーヴェル・ヴァーグを撮り始めたころで、パリやフランス国内は当時の日本と比べても遥かに生活水準が高かったんですよ。そんな国を離れてアルジェリアくんだりで命のやり取りをしなければいけなかった若者たちは、ほんとに可哀想です。たぶんこの映画が『アルジェの戦い』と決定的に違うところは、アルジェリアの組織FNLがフランス軍に負けず劣らず残虐な殺しを繰り返していたことをきっちり描いているところですね。フランス軍の中にもFNLと敵対するアルジェリア人兵士がいたり、この戦争の救いようがない悲惨さを若い中尉と古参軍曹の視点から地味ながらもきっちりと描いていて好感が持てます。新米中尉が戦争の狂気に犯されてゆくところは定石ですけど、軍曹までだんだんおかしくなっちゃうのは怖いです。 地味な兵器ばかり登場していますが、考証はかなり正確だったと思います。ゲリラの使っていた機関銃はドイツ軍のMG42でしたが、この機関銃は発射速度が猛烈に速いことで有名です。森の中で火を噴くMG42、まるでチェンソーで刈られたみたいに飛び散る木枝がその威力をよく示していました。撃たれたフランス兵たちが古参兵までパニックになってしまうのは、無理もありません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-09-16 21:56:28)
6.  インターステラー 《ネタバレ》 
これはまさしくクリストファー・ノーラン版『2001年宇宙の旅』そのものという感じですね。その世界観というか滅びゆく地球環境の描写は、アメリカのド田舎の描写だけに簡略化して見せ、後はひたすら時空を超える宇宙の探検にシフトしています。相対性理論やらワームホールは名称は知っているけど正直あまり理解していない自分ですが、まあこの様な観せかたならば初心者でも大丈夫でしょう。「もしブラック・ホールに吸い込まれたらどんな光景が観れるのだろうか?」ということに昔から興味がありましたので後半の展開ではちょっと期待していましたが、そこはちょっと期待外れだったかなと感じました。四次元を通り越して五次元まで登場してくる展開には驚きましたけど、私なりの解釈ですとノーランは「五次元は愛だ」と言いたいのかなと思います。ここまで引っ張って来て結論はそこかい!と突っ込みたくなる衝動も有りましたけど、マシュー・マコノヒーが見せる絶妙な父性愛が良かったので気にしないことにします。またこの映画は小さな役にいたるまで豪華なキャストで、あの卑劣な(というか至極人間的な)キャラまでマット・デイモンをあてるというのも、かなり贅沢なことです。 まあそれでも突っ込みたくなるところも有り、あんだけ離れた地球とのデータ通信が速すぎないかといううこと、宇宙飛行しているのにアン・ハサウェイがきちんと化粧している(様に見える)ところです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-10-20 23:36:45)
7.  いつか晴れた日に 《ネタバレ》 
アン・リーがオースチン原作物を監督したことは意外でしたが、作品の出来は上々でした。この種の題材はジェームス・アイボリーが手がけていますが、人物像の掘り下げ方が鮮明でアン・リーの方が手腕は優れていると思います。エマ・トンプソンは目の演技がいいですねえ。ケイト・ウィンスレットを捨てて持参金つきの女と結婚するウィロビーにも最後に暖かい視線を向けているところが良いですね。アラン・リックマンがまた渋くてカッコ良い。彼のベスト・アクトではないでしょうか。食事のシーンにこだわることで知られるアン・リーですが、さすがに英国料理では見せ場が作れなかったみたいで可笑しかったです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-24 23:16:58)
8.  いぬ 《ネタバレ》 
決して複雑なお話しではないはずなのに、とくに前半は独特な語り口のせいで異様に判りにくい映画になっているんじゃないかな。冒頭でモーリス=セルジュ・レジアニがなんで故買屋を殺すのかとか、モーリスとシリアン=ベルモンドとの関係性とかが特にね。こういうところがフレンチ・ノワールらしいと言っちゃえばそれまでなんでがね。登場人物たちは犯罪組織の上層部というわけではなくローン・ウルフの集まりみたいな感じなのに、妙にきちんとした服装でとくにベルモンドのトレンチコートの着こなしなんか惚れ惚れさせてくれます。完全に“いぬ”はベルモンドだと思わせといての後半での急展開はちょっと都合よすぎるところもあるけど見事な脚本でした。ベルモンドにしても決してカッコよいだけでなく、けっこう躊躇なしに人を殺すダークヒーローなんです。それにしても60年代のベルモンドは、この作品も同様ですけど死ぬ間際の一言がカッコ良いんですよ、死ぬ寸前で女に電話して「フェビアンヌ、今夜は行けそうにもない」ですからね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-02-08 21:58:13)
9.  インドへの道 《ネタバレ》 
ああ、これがデヴィッド・リーンの遺作なんですね。実はリーンの妻はインド人で、インドにはいろいろな思いがあったんじゃないかと思います。結果的に最後の作品でインドをテーマにしたわけですが、本当は『ガンジー』みたいな映画を撮りたかったんじゃないかな。 鑑賞してつくづく感じたのは、このインド統治こそが英国人および大英帝国の本性を理解させてくれるものだということでした。前半で散々見せられるアジズ医師を始めとするインド人たちの卑屈さよ、逆に言うと彼らをここまで飼いならす英国人の植民地支配の手腕こそが凄いんでしょうね。朝鮮・台湾が植民地統治だったのかは疑問のあるところですが、大日本帝国なんて帝国主義の世界ではアマチュアだったんじゃないでしょうか。そんな坩堝のような地に旅してくるいわば意識の高い系の二人の女性が、インドの持つ魔力に運命を狂わされる物語でもあります。ジュディ・デイビスは美形なんだけどその眼力というか眼つきの悪さは他の追随を許さないものがあります。この後はウディ・アレンの映画によく出ていましたね。彼女は洞窟に入ったところでそれまでインドの風物からの影響で燻っていた官能に火がついてどうしようもなくなったという感じなんでしょうね。音楽はモーリス・ジャールですけど、アデラが官能的な気分になると流れるメロディーは、どう聞いても『ライアンの娘』のメインテーマの変奏としか思えない。ジャールは本作でオスカー受賞しましたが、どうせなら『ライアンの娘』で評価してオスカーを与えて欲しかったな。同じく洞穴に入ってこだまに恐れおののいて結局死期を早めることになったペギー・アシュクロフト、この人のことは良く知らなかったけどキャリアを感じさせる手練れの演技を見せてくれてオスカー助演女優賞ゲットは納得です。やはり面白いのは、ちょっとKYなんじゃないかと思わせる浮世離れした哲学教授を演じたアレック・ギネスです。狂言回し的なキャラでしたが見事にインド人に化けていました、さすが百面相俳優の異名を持つだけのことはあります。一緒に狂言回しキャラを演じていたのがジェームズ・フォックス、最後に美味しいところを持って行った感はありました。それにしても、『ジャッカルの日』のエドワード・フォックスは弟ですけど、この当時になるとこの二人は見分けがつかないほどそっくりさんになってます。 14年も映画を撮らなかった(撮れなかった?)とは思えないほど、お得意の自然描写やストーリーテリングはしっかりしていたと思います。高齢の大監督の晩年作はメロメロになってしまうことが良くありますが、そんなところは微塵も感じさせられませんでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-01-31 23:10:38)
10.  1917 命をかけた伝令 《ネタバレ》 
第一次世界大戦中、アドルフ・ヒトラーは西部戦線で四年間伝令兵として従軍して最終階級は伍長でした。戦闘能力や指揮能力が認められれば一兵卒でも将校以上に昇進することが珍しくなかった当時、ずっと伝令兵で伍長どまりだったというのはヒトラーの生涯の謎の一つとして歴史研究者を悩ませています。大戦最終年の西部戦線ではドイツ軍は攻勢につぐ攻勢で、歴戦の古兵は攻撃の要として重宝されたはず、まあヒトラーは自分が語るほど有能な兵士じゃなかったってことでしょう。でも本作を観る限り、最前線で突撃するわけじゃないけど伝令はかなり危険な任務だったことは理解できます。ヒトラーの伝令兵仲間も、ほとんどが戦死したそうです。 “全編ワンカット撮影!”というのがウリの映画ですが、十数キロ離れた地点まで伝令が行くというお話しが二時間程度のワンカットで撮れるはずがない、と訝しんで観始めました。やはりちゃんとトリックというか編集点がありまして、スコフィールドが橋を渡って建物内で独狙撃兵と相撃ちになるシークエンス、それは白昼の出来事でしたが夜明けの一時間前までその後ほぼ半日も失神しているんですね。他の映像も複数の長回し映像を巧みに繋げたいわばワンカット風映画なわけですが(でもその撮影技術は驚異としか言いようがない)、この場面では完全にネタばらししたようなもんでしょう。今まで撮られたワンカット(風)映画は室内劇や限られた空間でのロケ撮影で製作されていますが、これほど大規模な戦場風景がまるで個人の観ているような視点で見せられると、まさに「コール・オブ・デューティー」のようなRPGゲームの映画版という感じです。考証は行き届いていて、とくに英軍に比べて異様に豪華で立派な造りの独軍塹壕などは良く調べているなと感心しました。コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、マーク・ストロングといった大物俳優をそれぞれワン・シーンだけ登場させるというのも贅沢過ぎです。強いて難をつけるとすれば、大量消耗戦に麻痺してしまっていた西部戦線の実情から、将軍や大佐などの幹部の対応がかけ離れているところです。史実を観ると当時の将軍たちの自軍の人的損害に対する無神経さは驚愕レベルで、実際のところ1,600人の戦死者なんて彼らにとってはかすり傷みたいなもの、まさに“西部戦線異状なし”って感じでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-27 21:49:59)(良:1票)
11.  インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 《ネタバレ》 
第一作に立ち返ったかのように、今度は聖杯を巡ってナチス・ドイツと死闘を繰り広げるインディ・ジョーンズ親子です。 プロローグは若きヘンリー・ジョーンズ・ジュニアがインディ・ジョーンズとなるきっかけとなった事件ですけど、この短いシークエンスの中に小ネタが満載、でも本編にはまったく繋がらないお話しでしたね。ここでは今や伝説となったリバー・フェニックスを若きインディに持ってきましたが、それ以上の大物キャスティングはやはりショーン・コネリーのパパ・ジョーンズです。考えてみれば、ショーン・コネリーの数あるフィルモグラフィー中で、本作がもっともコメディチックな演技じゃないかと思いますが、飄々とこなしているのはさすがです。このジョーンズ親子の関係もこの当時のスピルバーグ映画の隠れテーマである“父と息子の葛藤”をコミカライズしており、ラストの大団円にまで持って行けたことでスピルバーグも少しは吹っ切れたような感じがします。またこれまで女性にはモテモテだったインディの、一種の大失恋物語という観方もできるでしょう。 アクションや小ネタの量は三部作中で最大のテンコ盛り状態でしたが、小ネタに関してはドリフのコントかひょうきん族みたいなレベルでしたが、さすがにヒトラーからサインを貰うのはやり過ぎでしょ(笑)。タイトルや撮り方からしてもこれでシリーズ・エンドというのは一目瞭然、20年近くたってから四作目が製作されたのはまさに想定外でした。私の中ではこの三部作は“大人版ハリー・ポッター・シリーズ”みたいな位置づけです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-08-26 22:55:02)
12.  5つ数えれば君の夢 《ネタバレ》 
現在日本映画界でもっとも期待されている映像作家のひとりである山戸結希の、商業映画デビュー作です。アイドルグループ東京女子流の五人をメインにした彼女たちのプロモーション・ビデオと言えなくもないが、各人のキャラやストーリーそして世界観はすべて山戸結希ワールドになっているところはさすがです。私立名門女子高の学園祭で開催されるミスコンを舞台にして、マウントとりに熱中している女子高生たちを独特の感性とセリフ回しで表現しており、この作風には観る者の好き嫌いがはっきりしてしまうかもしれません。監督じたいは女子流の活動についてはまったく予備知識がなく、初対面での各メンバーとの10分程度の面談で劇中のキャラを決めたそうなので実際のメンバーのキャラとはほぼ無関係になっているそうですが、このキャラ付けには山戸結希の感性の鋭さが感じられます。哲学を専攻したそうなので確かにセリフのロジックには理屈っぽいところがあって一昔前のATG映画を見せられるような雰囲気もありますが、ここを現代の10代が演じるというのはある意味新鮮な感じすらしました。ももクロの『幕が上がる』なんかよりはるかにささるものがありました。 アイドル運営から山戸結希にPV監督の依頼が現在殺到しているというのも、納得です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-08-24 22:38:21)
13.  イコライザー 《ネタバレ》 
ストーリー・ライン自体は単純というか他愛のないお話しです。主人公は後半に少し明かされるけどかつてはCIAのエージェントだったらしく、リタイアするときもいろいろあったみたいで、円満卒業というわけでもなかったことは判ります。そんな昼はホームセンターで働き、夜はダイナーで読書するのが唯一の趣味である独身のおっさんが、実は凄腕の殺人マシーンだったという設定は面白いけど、日本じゃ『仕事人』シリーズで飽きるほど見せられています。それを名優デンゼル・ワシントンに演じさせるとなると…これがなかなか魅力的な映画に仕上がっているんです。彼は映画中盤から数えきれないほどロシアン・マフィアを殺しまくりますが、銃をいっさい使わずいろんな小道具を武器にして処刑するところが面白い。そこはホームセンター勤務という設定が生きています、考えてみるとホームセンターってところは恐ろしいものをいろいろ売っているんですね(笑)。クロエちゃん演じる娼婦を助けるようになるという展開の説得力のなさがこの映画の最大の弱点かと思いますが、ラストでデンゼルがネットで“お助け屋”みたいな稼業を開業するところは、この弱点を判ったうえでの脚本家の開き直りみたいな皮肉を感じました。最近のハリウッド映画で最凶なのはロシアン・マフィアというのが相場ですが、こいつら大物も雑魚も背中一面にタトゥーを入れまくっているところに禍々しさが強調されてます。でも振り返ってみると、面構えの割にはみんな大して強くなかったのがちょっと残念。 デンゼル・ワシントン&アントワン・フークワのコンビはやっぱ最高ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-07 22:45:09)
14.  一万三千人の容疑者 《ネタバレ》 
冒頭で、当時の東映社長である大川博の前口上が流されます。まあこれは「この映画は義展ちゃん事件を再現していますが、このような悲惨な事件が二度と起こらないことを願って製作いたしました」というような趣旨ですが、さすがに「ヒット作が欲しくて撮りました」とは言えませんよね。こんな興行側の言い訳はどうでも良いんですけど、犯人が逮捕されてから一年余りしかたっていない時点で映画化しちゃうところに、当時の日本映画界がまだ持っていたバイタリティを感じさせてくれます。それに比べて現在の日本映画界のだらしなさは眼を覆うばかり、なんせあのオウム真理教事件ですら正面から取り組んだ作品が未だに製作されていないんですからねえ。 私らの世代には義展ちゃん誘拐事件といえばいまだに誘拐事件の代名詞のように記憶に刷り込まれていますが、こうやって丁寧に事件の推移を見せられると、いろいろなことが改めて見えてきます。これは史実通りなんですけど、身代金受け渡し時の警察の失態・無能ぶりには驚くべきものがあります。そして犯人逮捕まで2年以上もかかったとは知りませんでした。逮捕の突破口になったアリバイ崩しの攻防戦もまるで推理小説みたいな展開で、まさに“事実は小説よりも奇なり”です。 わたしの中で「ベテラン刑事を演じたら日本一」の称号を与えられているだけあって、芦田伸介はハマり役でした。これも多分に幼いころTVで観ていた『七人の刑事』からの刷り込みがあるんでしょうね。でも、のらりくらりとウソをついて刑事たちをはぐらかす犯人役の井川比佐志が予想外の好演で、この人は善人役だけが持ち味だったんじゃなかったんだな、って再認識させられました。また音楽担当があの伊福部昭で、この救いようがない悲惨なお話しにピッタリのサウンドを聞かせてくれます。 尺は短いんですけどあまりに救いのない事件なので、ダウナーな気分にさせられること間違いなしです。やはり恩地日出夫が監督した泉谷しげる主演のTVドラマ版の方が出来は上かなと思います。そういや、このTV版も刑事役は芦田伸介でしたね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-04-26 00:08:28)
15.  家(1976) 《ネタバレ》 
オリヴァー・リードとカレン・ブラックが夫婦でベティ・デイビスが同居の叔母というとてつもなく濃いキャスト、もうこれだけで充分に怖いです(笑)。そこにただニヤついているだけなのにトラウマになるほど不気味な謎のグラサン運転手が登場となると、心底震えます。でもこの謎の男は画面に映るのは全編で3か所だけ、それでこれだけ強烈なインパクトを残しているとは、例の『悪魔のワルツ』の人面犬といい勝負しています。よく観ると低予算を逆手に取ったアイデア勝負じわじわ系のホラーで、感覚的には日本の怪談話に通じる怖がらせ方かと思います。 言ってしまえば『ハウス/HOUSE』を正攻法でホラーにしましたって感じですけど、製作年は『家』の方が先だし大林宣彦は本作をパロッたみたいですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-07-17 17:53:34)
16.  一刀斎は背番号6 《ネタバレ》 
原作は五味康祐の小説で、奇想天外な野球ファンタジーに下町人情喜劇を合体させた様な感じです。武者修行のために合気道の達人との手合わせを求めて紀州の山奥から出てきた武術の達人・一刀斎が、ひょんなことからプロ球団に入ることに。そのきっかけが、試合前のアトラクションで稲尾和久からホームランをかっ飛ばしたいうのだからふざけてます。この伊藤一刀斎という男、身なりははかま姿でいかにもな格好で天丼が好物でこればっかり食べているというのがこれまたふざけてます。大毎オリオンズに入団してから全打席ホームランで39打席連続本塁打の記録を樹立するというんだから、もうふざけ過ぎです。 まあこの映画は大映がプロ球団を持っていたから撮れたようなもんで、後楽園球場にエキストラを入れてグラウンドでは現役の大毎や西鉄の選手にプレーをさせて撮影するなんて、実に贅沢です。剣の極意で本塁打を量産するのはいいんだけど、野球の事を全然判っていなかった一刀斎は守備はどうしてたんだろう?まあそこはご愛敬ということで(当時まだ指名打者制は導入されてません)。 というわけで野球の描写自体はしごく適当なんですけど、一刀斎を取り巻く下町の人間模様がけっこういい味出してるんです。一刀斎が住んでいる旅館の経営者家族や芝大門の天ぷら屋の親父さん、みんな実にキレの良いセリフのやり取りが笑わせてくれます。監督は誰かと思えば『狸御殿』シリーズの木村恵吾じゃありませんか、彼ならではのスピード感が溢れるユーモアは絶妙です。 ラストのヤンキースとの日米対決戦は予定調和ですけど、余韻を残したラストシーンは清々しさを感じさせてくれました。ちょっとした掘り出し物です、この映画は。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-04-04 23:49:21)
17.  インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 《ネタバレ》 
オープニングにドタバタ・ミュージカルを持ってきてそこにこれでもかとスプラスティック要素を詰め込んでいますが、『1941』と比べるとスピルバーグのセンスが格段に進歩してるのが感じられます。他の『インディ・ジョーンズ』とは違ってサブ・ストーリーもなく、インディ、ウィリー、ショート・ラウンドの三人だけの視点でストーリーが爆走するのが本作の際立ったところ。ジェット・コースター・ムーヴィーとしての純度の高さはシリーズ中で最高じゃないでしょうか。インドの奥地を舞台にしているから、20世紀のお話しとは思えない荒唐無稽な展開も上手くごまかせている気がします。 そういや昔、この映画のトロッコ・シーンを移植した様なアーケード・ゲームがありましたよね。当時ゲーセンでけっこうはまったのが懐かしい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-05-05 01:07:53)
18.  いのちの紐 《ネタバレ》 
名匠シドニー・ポラックの監督デビュー作です。シドニー・ポワチエ、アン・バンクロフト、テリー・サバラス、音楽クインシー・ジョーンズ、衣装イーディス・ヘッド、とてもデビュー作とは思えない豪華なキャスト・スタッフですこと! ポラックはそれまでTVドラマの演出で評価されていただけあって、ポワチエやバンクロフトからも高いレベルの演技を引き出しています。睡眠薬を飲んで自殺を図った女性がホットラインに電話をしてきて、それをボランティア相談員であるポワチエが必死に話を続ける一時間あまりの出来事がストーリーです。その間に電話を逆探知しようとするのですが、アナログ交換機を使っていた時代の原始的な逆探知の手法が面白いです。結末は、まあ予想通りなのですが、ポワチエとバンクロフトが最後まで顔を合わさないで映画が終わるところがいいですね。そしてクインシー・ジョーンズ、この映画はシアトルが舞台だけど彼の都会的な音楽が実にマッチしていてサントラが欲しいくらいです。ポラック、シドニー・ルメット、ペキンパーとハリウッドではTV界出身の名匠が多いのに、なんで日本ではTVディレクターから良い映画作家が出てこないのか、実に不思議です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-10 00:11:23)
19.  インセプション 《ネタバレ》 
「記憶」をテーマにした『メメント』で映画史に革命を起こした(と、自分は感じている)クリストファー・ノーランが今度は「夢」をモチーフにした映画を撮ったと言うので期待したのですが、まあ何と言うかぼちぼちの出来だったかなというのが感想です。ディカプリオたちは他人の夢に入り込んで潜在意識を操作するというミラクルな技術を持っているのに、その技術を使ってやっているのが産業スパイだというのがリアリティに欠ける気がします。俺だったらもっと凄いことやってやるのに、と残念がる人も多いのでは。考えてみれば、これって“時間を止める”に匹敵する様な妄想を呼び起こさせる設定だと思いますけど。 意外とその“なんでもあり”的な夢の世界の映像に突拍子のなさが少なかったのは拍子抜けでした。いちばんインパクトがあったのは、車道を列車が爆走してくるシーンで、後半の雪山での展開は安っぽいアクション映画みたいでいただけません。ラストのコマがまわるカットは、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、解釈を観客に丸投げした様なところがあり、ノーランらしさが感じられて良かったですね。
[DVD(字幕)] 7点(2011-04-10 01:51:52)
20.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
まあ確かにタランティーノじゃなきゃこんなに狂ったストーリーは考えつかないだろうし、また彼だからこそ狂った脚本をここまで楽しめる映画に仕上げることができたとも言えましょう。ウンチク王タランティーノが言語についてここまでこだわりがあったとは意外でした。ドイツ語、フランス語、英語、イタリア語と、全編にわたって言語の違いがサスペンスを生む展開は脱帽です。 ブラピにあそこまでアホ丸出しな演技をさせるとは、タランティーノも人が悪いですな。監督の要求に素直に従ったブラピも人がいいんですね。おかげでクリストフ・ヴァルツが余計に上手く見えて、オスカー獲るのにナイス・アシストだった様な気がします。 そして『キルビル』にも出ていたジュリー・ドレフュス、『キルビル』に続いて劇中悲惨な扱いを受けてたような気がしますけど…。タランティーノって彼女が嫌いなのかな、など思わず勘ぐってしまいます。自分はNHK『フランス語講座』以来の彼女のファンなのですがねえ。
[DVD(字幕)] 7点(2010-09-21 00:24:39)(良:1票)
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