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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2381
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ジョン・ウィック:コンセクエンス 《ネタバレ》 
相変わらずぶっ飛んだ世界線の本シリーズもついに最終章(なのかな?)に突入です。冒頭で主席連合の上位に立つとされる首長がジョンにあっさりと射殺されてしまいますが、このジョンの行動にはちょっと説明がつかない感じがありました。代わって主席連合のトップに立つのがグラモン侯爵なる若造、彼が本作での最凶ラスボスという位置づけなのですが、貴族ぶった言動をするだけで最後まで銃を一発も撃つこともなくて悪役としては拍子抜けさせられます。そしてジョン・ウィックに絡む旧友二人がどちらもアジア人のドニー・イェンと我らが真田広之となります。盲目の暗殺者イェンの能力は超人と言うよりも超能力者というレベルですが、この人の動作やアクションには華というか男の色気の様なものすら感じさせられます。できればこのケインというキャラは真田に演じて欲しかった気もしますが、イェンの方がハリウッドではまだ格上ということなんでしょうね。まあ真田が演じたコウジというキャラも十分にカッコイイんですけど、彼に割り当てられるキャラはパターンが決まっているような気がするのは、自分だけでしょうか? 凱旋門のロータリーでの銃撃戦や200段の階段落ちなど、今作では体を張った見せ場が多かったかなと思います。キアヌ・リーヴスも、ローレンス・フィッシュバーンがプレゼントしてくれた完全にスーツスタイルの防弾着のおかげで、車にはねられても弾を喰らってもダメージが少ないという設定でしたが、いくら何でもこのスーツ無敵でしょ(笑)。キアヌは基本(?)に忠実で必ず相手の頭や顔に何度も弾をぶち込むのに、なんで敵の弾は頭部や顔面に当たらないのかな?すいません、野暮でした(笑)。 最近は『ミッション・インポッシブル』シリーズやジェイソン・ボーン作品群などシリーズになったアクションものが多いけど、その独特な世界線も含めてこの『ジョン・ウィック』シリーズが私には一番のツボでした。ジョン・ウィックよ安らかに眠れ!と哀悼の意を示すところですが、まさかの第五作目製作の噂が…それじゃあ『アウトレイジ』になっちゃうじゃん!
[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-04-03 22:52:45)
2.  地獄門 《ネタバレ》 
長谷川一夫が演じるのは、後に出家して僧侶文覚として平安後期および鎌倉初期に活躍した遠藤盛遠です。この盛遠がいくら田舎武士とはいえやってることがムチャクチャ、その行動は匈奴か鮮卑族かと思うぐらい、自分の思い込みで独身と誤解した同僚の妻である袈裟を無理くりに奪おうとして夫や親族までも皆殺しにしようとするヤバい奴です。これを美男スターの代表である長谷川一夫が演じるのはミスキャストのような気がしていましたが、その眼力と風格でこなしてしまったという感があります。そのストーカー侍に狙われるのが京マチ子、この人はケバい顔つきのヴァンプ的なキャラというイメージがありますが、やはり平安美人を演じさせたら右に出る者はいないと断言しちゃいます。『羅生門』を超える妖艶さ、まさに“グランプリ女優”の称号に恥じません。もちろんカラーでスクリーンに映しだされたのはこれが初、さぞや当時の観客は魅了されたことでしょう。大映としてもこれが初のカラー映画、その色彩の鮮やかさは現代の眼で観ても息を飲むほどで、「自分は産まれてからこのかた、こんな美しいものを見たことがない」とまでジャン・コクトーが激賞したというのも納得です。 この映画は同じ『門』でも『羅生門』と較べれば最近では映画ジャーナリズムでも取り上げられることが滅多にない感じですが、後にも先にもアカデミー賞で二部門受賞した日本映画は本作だけなんですよ。決して忘れられてはいけない重要作なんだと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2024-02-26 22:49:03)
3.  地獄(1979) 《ネタバレ》 
70年代東映ラインナップの主柱だった異常性愛路線が行き詰まって、社長の岡田茂はロマンポルノの巨匠・神代辰巳を招いてエログロ路線を踏襲した新分野開拓を狙った企画。もっとも地獄を題材にする10年も前に石井輝男がメガホンを取る予定だった企画の復活だったみたいです。“地獄もの”といえば中川信夫の怪作『地獄』が有名ですが、主要登場人物が全員死亡という展開などはかなり同作を意識して書かれた脚本みたいです。肝心の神代辰巳は本来ドロドロの人間関係や情念を描くのが芸風で、ホラー要素がある登場キャラが多い大作を撮るのに適した人材ではなかったということでしょう。じっさい「最後まで脚本が良く判らなかった」と監督本人が告白する体たらく、興行も大惨敗で岡田社長は「俺の目が黒いうちは神代には絶対東映では撮らせない」と激怒したそうです。 ストーリーは近親相姦と因果応報を縦軸にしたドロドロ愛欲劇ですが、随所にムリというかおかしなところが目立つ脚本です。ほぼ現代の設定なんですが、いくら山間部の旧家が舞台だとしても江戸時代じゃあるまいし殺人やレイプがあっても隠し通して警察も動かないなんてあり得ない。捨て子の栗田ひろみと取り換えられて養護施設に送られた原田美枝子が20年たったらレーシングドライバーになっているなんて、現実味がなさすぎでしょ。しかも、レース中に追い込み過ぎて事故らせて引退に追い込んだ石橋蓮司が、旧家に帰ってみるとその家の長男で異母兄だった!もう笑うしかないです。肝心の地獄のシークエンスも、中川版をオマージュしたような見世物小屋的なチープさで観るとこもあまりないです。どうせみんな死んでしまったから岸田今日子を始め登場キャラたちが責め苦に遭うところを見せてくれたら少しはカタルシスがあったろうに、それとも何人かは極楽の方に行けたのかな(笑)。でもなんも悪事を働いてなかった栗田ひろみが地獄にいるのはなんか可哀そう。ラストで原田美枝子は先に堕ちていた母親と出会えるわけですが、その母親(原田の二役)がひょうきん族のアミダババアにしか見えないのはなんか情けない。まあこの辺りというかラストの展開は、映画としてはほとんど破綻していましたがね。 没にされた石井輝男は99年に念願の『地獄』を苦労の末に映画化しましたが、この作品は色んな意味でぶっ飛んでいてBS・CSでも放送は難しそう、でもぜひ観てみたい。若き日の原田美枝子のあまりに美しい容姿と迫力ある裸体にプラス一点を献上させていただきます。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-12-23 22:47:36)
4.  シシリーの黒い霧 《ネタバレ》 
イタリアの戦後史に疎いこちとらには、この映画の背景なんてさっぱりでございました。シシリーといえばマフィアの本場ってぐらいの知識はありましたが、第二次世界大戦後にシシリー島に独立闘争があったなんてこの映画で初めて知ったぐらいです。まあ簡単に言うと、山賊からその独立闘争の武装勢力のリーダーになったジュリアーノという男がいて、彼が闘争が収まってからもマフィアと組んで共産勢力を虐殺して憲兵隊に追われる身になり、挙句の果てには射殺死体で発見されたという事です。ジュリアーノ一味の残党はその後に皆逮捕されてメーデー虐殺事件の裁判にかけられますが、その裁判の推移とジュリアーノ生前の活動が交互に描かれるので注意して観ないと何が何だか判らなくなっちゃいます。ジュリアーノは冒頭で死体となって登場するのですが、面白いことにその後の過去のシークエンスでも彼が部下たちの近くにいることは暗示されますが決して画面に映されないところです。終盤で仲間に射殺されるところでも部屋は真っ暗で姿を見せず、二言三言のセリフが辛うじてあったぐらい、これがジュリアーノ役の俳優が発した唯一のセリフでした。イタリアン・リアリズモの系譜に繋がる監督らしく音楽もほとんど使わずに徹底的なドキュメンタリー調、イタリアの政治情勢に詳しくないとそのリアリズムが仇となって余計に難解なストーリーに感じられます。それでもジュリアーノ一味壊滅のために村の男性を軒並み連行しようとする憲兵隊に女性たちが抗議に押し寄せるシークエンスは、迫力と緊迫に満ちた映像でした。しかしながらラストで射殺された男はいったい誰?と最後まで惑わされる映画でした。因みにあるレビューによるとその男はマフィアのボスだという事ですが、普通に観ていりゃそんなん判るわけないだろ!
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-12-12 02:50:29)
5.  首都消失 《ネタバレ》 
原作は未読ですが小松左京のSFはシミュレーション的な手法で書かれているのに、ほとんどお涙頂戴といった家族愛メロドラマになってしまってもう観るに堪えない。まず、首都圏が異常な雲のようなバリアに覆われて通信途絶、中に閉じ込められた2000万人余りの安否さえ全く不明なのに、大阪ではサラリーマンが昼休みにバレーボールに興じ浜名湖ではウインドサーフィンで遊んでいる、そんな緊張感がないなんてあり得る?となりますよ。雲の壁の端では宗教団体や群衆が集まって大騒ぎ、屋台まで出てまるでお祭り状態。センスのない歌謡曲みたいな曲をがなっている盲目ロックシンガーまで登場してくると、もう観るの止めようかと真剣に考えましたよ。一介の電機メーカーが造った超音波なんだか知らないがメーサー光線砲みたいな装置をふそうトラックに乗せて突っ込むクライマックス、もうこの脚本はどういうセンスなんだよ!と殺意すら覚えてしまいました。あと関西TVがスポンサーだからとうぜん忖度があったはずなのにこれでもかと見せつけてくれるTV局のマスゴミぶり、この当時のマスコミはマジでこれがカッコいいと思ってたんでしょう。 あとこれは小松左京自身の認識の問題でもあるけど、東西冷戦中の日本国の立ち位置に関しての被害妄想的な捉え方は困ったものです。雲の中に閉じ込められて国家機能がマヒしたからと言って国連常任理事会で日本の主権を停止して信託委任するなんて、いくら何でもそんなバカなと言いたい。仮に大震災が襲って東京が壊滅して政府首脳が全滅したとしても、統治機構は別の地域で臨時にしてもすぐに立ち上がることでしょう。小松左京の世代は敗戦トラウマが根っこにあるので、深層心理としては日本はアメリカの自治領に堕ちてしまったという意識があるんでしょうね。21世紀の現在となって振り返れば、日本は決して傍観者ではなく東西冷戦のプレイヤーの一員だったと解釈できるのにね。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2023-12-05 22:55:05)
6.  シャンプー 《ネタバレ》 
女にモテモテの美容師ジョージのキャラは、演じるウォーレン・ベイティ自身のセルフパロディみたいな存在、なんせその頃関係があったジュリー・クリスティーとゴールディ・ホーンを出演させてるんだから、これぞプロデューサーの特権ですね。この映画はクリスティーとゴールディそしてリー・グラントとの三角関係のもつれとその顛末というところですかね。ベイテイはけっきょくボロボロになった挙句にクリスティーが去って行くのを寂しく見届ける結末ですが、まさにLA版『アルフィー』というストーリーなわけです。マイケル・ケインの『アルフィー』と異なり洒落っ気がないしょうもないお話しと言ってしまえば身も蓋も無くなってしまいますけど、そうとしか言いようがありません。ニクソンが大統領に初当選した1968年11月の三日間という設定ですけど、ベイティを取り巻く三人の女とベイティの関係が、美容院の客という以外は説明不足過ぎてほんと判りにくい。おまけにグラントの娘エディ・フィッシャー(これが映画デビュー)にまで手を付けたことが暗示され、ほんとこの映画のキャラたちはどいつもこいつも感情移入できないろくでなしばかりで嫌になっちゃいます。でもいちばんイライラさせられたのはベイティのヘアスタイルで、いくらカネになるからと言っても女の髪ばかりいじってないで自分の髪形を何とかしろって!まさに“紺屋の白袴”です(笑)。そして60年代のお話しなのに他の登場人物たちも70年代の人みたいなのも、違和感アリアリでした。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-11-24 22:51:46)
7.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 
“怪獣vs超人バトル”というコンセプトだった元祖ウルトラマンの、“宇宙人であるウルトラマンと異星人の係わり”という隠れテーマに注目した映画化は良い着目点だなと思います。登場するザラブやメフィラスには“外星人”という呼称が使われていますが、ここは個人的には興味深かったところです。ザラブやメフィラスは人類というか日本政府に武力か知力かの違いはあっても特殊権益を求めていますが、これはロシア・英国・米国などが江戸幕府に開国を求めてきた幕末の情勢に似ているところがありませんか。つまり令和の時代に開国と言うか降伏を要求してきたのは、外人ならぬ外(星)人だった!なんてちょっと捻くれた観方かもしれませんがね(笑)。 樋口真嗣が監督なので正直期待感は低かったんですが、どうしてどうして、けっこう見応えがありましたね、庵野秀明が総監督なだけはあります。まさかのウルトラQの怪獣たちから物語が始まり、禍威獣ネロンガと禍威獣ガボラと元祖登場の怪獣の進化形が登場。びっくりしたのはガボラの造形で、頭部が完全にドリルなんだけどなんとそこがパックリ開いて元祖と同じようなひまわりの様な襟が開くところ、こんなこと良う考えつくわ!笑っちゃうのは「パゴス・ネロンガ・ガボラ、どれも頭部や背中の形状が違うだけで首から下の部位はどれも酷似している、まるでアタッチメントしているみたい」というセリフがあったことで、実はオリジナルではこの三体はバラゴンのスーツを順番に改造して撮影されていたというのは有名な話し、マニアは思わずニヤリとさせられる楽屋オチでした。禍威獣の登場はここまでであとはザラブやメフィラスそして偽ウルトラマンとの対決となるけど、やはり強烈だったのは巨大女・長澤まさみに尽きるでしょう。この巨大女のフィギュアを海洋堂あたりが販売すれば、けっこうヒットするんじゃないかな。やっぱこの映画では長澤まさみの存在感が光っていましたね。人間の姿形をしているとはいえ、ウルトラマンとメフィラスが居酒屋で一杯やりながら地球征服の密談をするなんてこれも爆笑、しかも割り勘とはね(笑)。あとメフィラス、お前好きなフレーズが多すぎだ、どんだけ日本語に詳しいんだよ! ザラブやメフィラスは中途半端に退場して地球とだけでなく太陽系自体を宇宙の秩序を守るために消滅させようとするのが、ウルトラマンの同僚であるゾフィーというかウルトラマンの故郷である光の星の意思であるというところは斬新な脚本かと思います。オリジナルでもウルトラマンを倒したゼットンが登場しますが、ゼットンが生命体ではなくマシーンだという設定も良かったな。 ウルトラマンの造形は、カラータイマーが無かったが、エネルギーの消費量は赤い縞の色変によって判るという設定、やはりCGの効用でオリジナル版のスーツの弛みが無い姿は見惚れてしまいますね。飛翔するところもカッコいいけど、飛び立つときの「シュワッチ」がなかったのはちょっと寂しかったかな。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-11-21 23:26:56)
8.  死霊の罠 《ネタバレ》 
ヒロインの名前が“名美”なので?だったけど、よく見れば脚本は石井隆だったので納得。監督も例の『人魚伝説』の池田敏春、つまりディレクターズ・カンパニー御一行様の製作というわけです。今から観ればバブル時代のカリカチュアライズみたいなメイクとファッションで決めた小野みゆきがTVディレクター、スタッフには小林ひとみと中川えり子という当時のスターAV女優を配し、ワンシーンだけの出演だけどプロデューサーは島田紳助!というちょっと突っ込んだキャスティング。 なんですけど、ちょっと予算をかけたVシネマという程度の出来、いやもっと面白いVシネマはゴロゴロあります。送られてきた謎のスプラッター・ビデオの真相を探りに行ったTV取材陣がいわば“ミイラ取りがミイラになる”というお話しなんだけど、もう脚本がムチャクチャ、ツッコミ入れる気力さえ失せてしまいました。一から十まで説明しちゃうストーリーテリングは問題外だけど、いくら何でもこれは語らなすぎです、おまけにその舌足らずのストーリーの裏を考えようという興味も持てない。“日本初のスプラッター映画”ということらしいですけど、私の観たヴァージョンでは大したことはなく(上映時間が数分短かったので、CS放映用にカットがあったのかも)、でも起用した二大AV女優はいちおうはそれらしき仕事はこなしていました。中盤で謎の男・本間雄二が登場したところで予想した結末通りだったというのも、この脚本の薄っぺらさが偲ばれます。まあそれ以前に、主要キャラたちの演技も学芸会レベルだったしね。貴重な私の人生時間の100分をムダに使ってしまいました。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2023-08-17 11:32:19)
9.  新・兵隊やくざ 《ネタバレ》 
三作目も前作と同様に脱走したが再び他の部隊に見つかって何とか潜り込むことで軍隊生活になってしまった大宮と有田、しかし今回は開幕十五分余りで部隊を脱走、そこからは天津の街に紛れ込んでゆくという新しい展開です。ここでは女郎屋でこき使われた挙句女郎を引き連れて逃亡、なんとその女郎たちとともに新規に女郎屋を始めるという予想外な展開。本作では藤岡琢也=豊後一等兵や玉川良一=坊主上がりの上州一等兵といったゲストキャラが登場しますが、彼らが良い味出しているんです。大宮と有田の関係も、それぞれの出自が違うところから来る対立もありながらも、友情・信頼関係がより深まってゆくところが丁寧に描かれています。二人が同性愛的な心情を持っている観方もありますが、これはさもありなんという感じです。後半から登場する成田三樹夫=青柳憲兵伍長がまた彼にマッチした悪辣なキャラで、まるで憲兵隊のラインハルト・ハイドリヒという風情すら感じてしまいました。大宮と嵯峨三智子=桃子が結婚してしまう展開もびっくりですが、後のシリーズでは桃子という役は登場しないみたいなので、この結婚の先行きが心配です(笑)。 本作は軍隊映画というよりもヤクザ・マフィア映画に分類したくなるテイストでしたが、ここまでのシリーズ三作中ではもっとも痛快でした。ラストが大暴れしたあと何か乗り物を分捕って銃撃を浴びながら脱走するというのはいつもの展開ですが、むき出しのサイドカーに乗って突破するというのはさすがに無理ゲーでしょう、ほんと二人には一発も弾が当らないんだから(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-02-28 23:16:53)
10.  市民ケーン 《ネタバレ》 
古い映画だと侮って長年じっくり観たことがなかったけど、今更ながら観直してみるとトンデモない映画だと改めて気づかされました。これが弱冠25歳の演劇青年の初監督作だとは、恐るべしオーソン・ウェルズ! 狂言回し役の新聞記者がチャールズ・フォスター・ケーンの関係者たちを回って彼が発した最期の言葉「ローズバッド…」の意味を探ってゆくというストーリーテリングは、37年のフランス映画『舞踏会の手帖』とよく似ているというか参考にしたに違いないと思います。たしかに舞台演出家だったウェルズらしくセリフには拘っている感はありますが、根本的に本作はあくまで映像でストーリーを繋ぐ映画です。その映像がまた凄いの一語に尽きるのです。ローアングル・パンフォーカス・長回しと目くるめく映像テクニックの玉手箱状態、撮影監督グレッグ・トーランドの力量もあるでしょうが実現させたウェルズのイマジネーションの成せる技であるのは間違いないです。またウェルズやジョセフ・コットンおよびエヴェレット・スローンなどの老け演技がまた見事で、メイクアップ賞をあげたいぐらい(そのころのアカデミー賞にはメイクアップ賞はなかったけど)。チャールズ・フォスター・ケーンは映画史に残る複雑なキャラ、でもこれが数奇な映画人生を歩むことになるオーソン・ウェルズの未来を予言しているような感すらあります。とにもかくにも、一生に一度は観て損はない映画だと思います。 モデルとされた新聞王ランドルフ・ハーストが激怒して潰しにかかったというのは有名なお話し。でも“ローズバッド(バラのつぼみ)”が愛人のマリオン・デイヴィスのアレにハーストがつけた愛称だったとは、そりゃハーストも怒りますよね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2023-02-16 22:33:00)(良:1票)
11.  人類SOS! 《ネタバレ》 
ジョン・ウィンダムの傑作SF小説『トリフィド時代』を台無しにしてしまった駄作です。 原作ではトリフィドは品種改良(現在で言えば遺伝子操作か)で創造された人工植物で、良質の植物油が採れるので世界各地で栽培されています。名前の由来になったのは三本の脚の様な幹で、これを使ってのろのろとながらも移動できます。獲物は動物で蔓のような枝で叩いて毒液を注入し、死骸から流出してくる体液を吸収するのが捕食方法です。その為に人間に危害を加えないように囲いに閉じ込められる、まるで家畜のような存在です。原作とこの映画の設定での大きな違いは、原作では人類の大半を失明させた流星群とトリフィドが無関係であることでしょう。本作ではまるで流星の発する光線で突然に出現したようになっています。 本作でいちばん違和感があるのは、入院していて失明を免れた船員のビルと、孤島の灯台でなぜか灯台守をしている生物学者トムのシークエンスが全く交差しないことでしょう。他にもいろいろな登場人物があるのならばともかく、これじゃミニマムな群像劇ですらなくどうかしてます。脚本を書いたフィリップ・ヨーダンはオスカー脚本賞を獲ったこともある人なのに、どうしちゃったんでしょうね。この二人の男性ヒーローは原作のトリフィド研究者であるウィリアム・メイスンを因数分解してキャラ分けしたような感じですけど、トリフィドが海水を浴びると腐って死滅するというのは映画オリジナルです。 「この撃退法が判ったことで人類は救われた」とのナレーションで幕を閉じるのですが、全人類の9割以上が失明した問題は解決しておらず、文明崩壊の危機は進行中じゃないですか!原作ではトリフィドは脅威の一つであって、視力を喪失しなかった一部の人間が徒党を組んで争いを始めているのに文明の再建が果たして可能なのかという鋭い視点を持っているのです。娯楽映画としてはこういう文明論的な要素は避けられたのかもしれませんが、普通にモンスター映画として観てもあまりに緊張感がない演出なので褒めようがないです。 ロメロのゾンビの造形に影響を与えたとも言われています。私はこれはのそのそ移動するトリフィドのことだと思っていましたが、案外、盲目になって腕を突き出して街中を彷徨するロンドン市民の絵面の方だったのかもしれません。
[インターネット(字幕)] 3点(2023-02-07 22:45:22)(良:2票)
12.  知らなすぎた男 《ネタバレ》 
とぼけたキャラを演じさせたら右に出る者がいないビル・マーレイが真骨頂を見せてくれます。この頃のマーレイは、80年代の演技から臭みが抜けてきて、現在の様に枯れきった境地に達する前のいわば全盛期だったような気がします。徹底的におバカな主人公がスパイとして大活躍するというのはMrビーンの原型という感じですけど、ローワンアトキンスの『ビーン』とこの映画が同年の製作だというのは興味深いところです。原題からしてパロっているヒッチコックの『知りすぎていた男』とは、ほとんどどこも被らない内容というところもふざけている。最後までマーレイが勘違いしたままで終わっちゃうところも、ある意味いさぎよいかなと思います。でも冷静になるとシュールなほどバカバカしいストーリーなんですが、やはりビル・マーレイ抜きでは成立し得なかっただろうな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-01-25 22:07:51)
13.  知りすぎていた男 《ネタバレ》 
前半部は謎めいた展開で引き込まれますけど、中盤から伏線回収というか謎解きが始まると突っ込みたくなるところがだいぶ出てきます。まず言えることは、諜報員ルイ・ベルナールの行動が謎というか穴だらけなんじゃないでしょうかね。ジェームズ・スチュアート夫妻に接触してくる動機もなんか辻褄が合わないし、あんなに群衆でごった返している広場でスチュアートに出会ってダイイング・メッセージを残すなん偶然が過ぎるでしょ。彼はロンドンの公安部が差し向けた諜報員らしいけど、誰にも漏らしていないはずの息子が誘拐されたという情報がスチュアート夫妻がロンドンに到着する前に公安が把握しているというのはどうしてなの?誘拐犯夫婦がスチュアートたちに接触してきた理由に至っては理解不能。まるでベルナールがスチュアートに死に際に接触するのを予知していたみたいです。 とまあかなり穴が見える脚本ですけど、名匠ヒッチコックの手にかかるとけっこうハラハラドキドキさせてくれるのが憎い。ジェームズ・スチュアートはもちろんマッチョな活躍を見せるヒーローというタイプじゃないので、こういう冷静なようでいて役に立たない行動で右往左往するキャラがイメージ通りです。やはり奥さんのドリス・デイの方が序盤から鋭い観察力を見せる名探偵みたいで、悲鳴で要人暗殺を防ぐし最後は『ケ・セラ・セラ』を歌って息子を救い出すし、もう大活躍ですよ。二階で息子が吹く口笛があんな遠くまで響くってのは、ちょっと盛り過ぎですけどね(笑)。 ところでヒッチコック御大はどこで顔を出してましたかね?判らんかったなぁ…
[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-01-22 21:50:11)
14.  死霊のはらわた(2013) 《ネタバレ》 
オリジナルが“グロい&気持ち悪い”がテイストだったとすると、このリメイクはひたすら“痛い”を追求する映画でした。片腕や手首を自分で切り落としちゃうはチェンソーで足切りされるは、マチェーテで素足がスノコ斬りされるし極めつけは文字通り“釘付け”にされるところ、思い出しただけで背筋がゾワッとします。でも、やっぱオリジナル版に比べると落ちるんだよなあ、それなりにまとまってはいるんだけどね。 もちろんプロットは同じなんだけど、オリジナル版の設定をミラーイメージみたいに再構築するという工夫が感じられました。オリジナル版のシェリル=アッシュの姉がミア=デビッドの妹となるわけです。実は最後にミアがアッシュの役割を果たすというのもサプライズでしたが、彼女が電気ショックで正常に戻るというハチャメチャな展開やまさかのハッピーエンド(?)という幕の閉じ方はちょっと支持できませんね。オリジナル版でアッシュがけっきょく使えなかったチェンソーをリーサル・ウェポンとして使う発想は、時空を超えての伏線回収なのかしら?たしかに兄妹の関係やらドラマ性が加味されていたのは今風ですけど、ラブクラフトのネクロノミコンを引用した前作なのに今度は死霊の正体を単純に悪魔としてしまったのは、個人的にはちょっと許せないです。 それにしてもミアちゃん、悪魔に勝って放心状態なのはいいけど、手首を切り落としたことを忘れちゃってんじゃない?経験したことないけど、すっごく痛いと思うんだけど…
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-12-15 20:54:38)
15.  死霊のはらわた(1981) 《ネタバレ》 
初見のときはすでに成人後だったけど、予備知識もなくレンタルしたビデオを深夜に同僚と観て、自分も含めて全員が震え上がった記憶が鮮明に残っています。私は「こんな気色悪い映画二度と観るもんか!」と固く心に誓ったもんでしたが、『死ぬまでに観たい映画1001本』に選出されるぐらい評価が高いらしくて、再見してみました。ところが『死霊の…』まで記憶していましたがその先の単語が思い出せない、たしかひらがなだったはず。そりゃ無理もないかもしれませんよ、『死霊の…』と邦題が付いた映画は検索すると『…いけにえ』『…たたり』『…したたり』と山ほどあるんですから、まあ『…盆踊り』は別格ですけどね(笑)。 弱冠21歳でこれを撮ったサム・ライミは、やはり天才じゃないでしょうか。それなりに苦労して資金集めの果てに完成にまでこぎつけたんでしょうけど、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』などの後年の自主製作映画と比べてその完成度は段違いです。この時代にラブクラフトからネクロノミコンを引用してきたのも、新しい発想だったと思います。ステディカムで撮った映像も斬新と思っていたら、なんとカメラを二本の棒で挟んで全力疾走するという原始的な手法だったそうで、やっぱ低予算ですし苦労してたんですね。登場人物も男女五人だけ、余計な描写は一切なくてひたすら憑りつかれた姉や恋人たちと血まみれ粘液まみれになったアッシュの死闘を見せるだけに徹する潔さ。何故か地下室にあったチェンソーを一度は手にするも結局は使わないところなんかもあの映画へのオマージュというかネタで、こういうコメディすれすれのところは後のサム・ライミが撮るホラーでも見られる特徴なんです。クレジットを見ると、アイヴァンやテッドのサムの兄弟たちなどもゾンビ役で出演しているんですね、さすがにほとんど素人の出演者にあんなグチャグチャのメイクをして演技させるのはムリだったということでしょう。つまり三人の女ゾンビは実は男だったというわけです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-12-12 21:56:04)
16.  地獄の花園 《ネタバレ》 
徹頭徹尾ヤンキー漫画のパロディで、脚本を書いたバカリズムのこのジャンルに対する愛が感じられるぐらいです。彼はこの前に『架空OL日記』という怪作を撮って自ら制服コスプレして主演までしているぐらいで、どんだけOLが好きなんだよ、と思わず突っ込んでしまいます。主演の可愛い平凡OLが永野芽郁、まあ彼女が本性を表すだろうなということは予想が付きますけど、思った以上にアクションの動きがキレキレでなかなか良かったです(もっともCGのおかげだったかも)。学生時代はスケバンやレディースでトップをとっていた連中が就職してOLになり、それでも各社で裏OLを従えて抗争を繰り広げるという世界線がバカバカしいけど面白い。この裏OLたちもケバい化粧だけど社内では普通にOL仕事をこなしている、そして時には社内にまで乗り込んでの大乱闘を繰り広げるけど、一般OLや上司たちはそれがまるで目に入らないような無関係の存在、まるで社内に異世界が拡がっているような世界観がまた面白かった。“地上最強のOL”小池栄子もまつ毛を無くしての怪演、でもなんか10歳は若返ったような感じで、ちょっと見では彼女とは気が付きませんでしたよ。監督は知る人ぞ知る関和亮、劇場映画は初監督ですが彼は初期からMV監督としてPerfumeのブレイクに貢献し、海外アーチストではOK Goの『I Want Let You Down』という度肝を抜かれるような映像のMVを手掛けている鬼才です。彼ならデビュー作でこれぐらいの映画なら難なく撮っちゃえるでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-11-30 23:02:36)
17.  ジンジャーとフレッド 《ネタバレ》 
大抵の映画作家がそうであるように、巨匠フェリーニも晩年にはノスタルジーに惹かれてゆくようになる。そのノスタルジーがアナクロニズムの一形態に過ぎないと理解しているのもフェリーニなのです。 クリスマスのTVバラエティー特番に出演することになった、かつて“ジンジャーとフレッド”というアステア&ロジャースのコピー・ダンスで一世を風靡したアメリアとピッポ。コンビを解消して三十年ぶりに再会を果たしたふたり、ともにとっくに芸能界から足を洗っているのに人生初のTV出演、果たして往年のような息の合ったダンスを披露することは出来たのか?クリスマス特売セールの派手なポップやサイン・ボードがローマ駅周辺を埋め尽くしている冒頭シーン、やっぱフェリーニ映画はこうでなくっちゃいけません。彼は心底ローマという魔都を愛していたので、これは彼独特のローマに対する愛情表現だと思います。彼が嫌っていたのは当時すでに映画産業を衰退させていたTV業界で、アメリアとピッポが出演する俗悪なバラエティー番組をつうじてTVカルチャーをコケにしています。出演者は“ジンジャーとフレッド”も含めたそっくりさん芸人と世間を騒がせたゴシップ当事者たち、でもド派手で騒々しい演出はまるでサーカスの公演を見せられているような感じ。そう、フェリーニは「TVなんてしょせん電波サーカスだよ」と喝破しているんです。 マストロヤンニとジュリエッタ・マッシーナはこれが最初で最後の共演ですが、どちらも実年齢に相応しいふけ演技、でも年老いた色男と可愛いおばあちゃんが絶妙でさすが名優同士です。二人の駅での別れのシーン、「アメリア悪いが送らないよ、出てゆく汽車は苦手だ」というマストロヤンニのセリフ、なんか『ひまわり』の有名なシーンの楽屋オチみたいで洒落ていました。
[ビデオ(字幕)] 7点(2022-10-28 22:36:52)
18.  シャドウ・イン・クラウド 《ネタバレ》 
そりゃあね、クロエちゃんは御贔屓にしている女優の一人ですよ、私はね。でもいくらクロエちゃんの活躍が堪能できると言っても、いくら何でもこれはやり過ぎでしょ(笑)。B17爆撃機のボール・ターレットといえば小柄な男しか入れないほど狭かったことで有名、そこに小柄な女性を押しこんでしかも機内戻れなくなる密室状態になるという前半のアイデアはかなり秀逸。グレムリンが徘徊する中で機内のクルーたちとインタホンでしかコミュニケーションが取れないうえに、その間の映像はクロエちゃんだけ追っていてクルーたちは“声の出演”で済ますというのも低予算を逆手にとったような良きアイデア、いっそ最後までこのストーリー・テリングで押し通すというのもアリだったんじゃないかな。“秘密の箱”を運搬する密命を受けてB17に便乗してきた彼女の正体はそして箱の中身はなんなのか?せっかくホラー&ミステリーの雰囲気が盛り上がってきていたのに、その箱の中身が明らかになってからはもう荒唐無稽、究極のぶっ飛びムービーと化してしまいます。ターレットから脱出してからの空中サーカスみたいな絶対にあり得ないアクション(もちろんCG)には思わず「お前は女トム・クルーズかよ!」と絶叫してしまいましたが、ついに空中に放り出されたのに零戦の爆発に噴き上げられてまさかのご生還、ほとんどアニメの世界です。零戦が銃撃してくるのは判るけど、なんでグレムリンが出現してくるのかが意味不明なのがこの映画の最大の問題点でしょうね。要は製作者のオタク趣味をぶち込み過ぎたってのが原因なんでしょう。 ラストでクロエちゃんがグレムリンをボコボコにするところも冷静に考えれば?でしたが、まるで成長したヒット・ガールが暴れているような感じでプラス一点とさせていただきます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-10-13 23:02:27)
19.  ジャンヌ・ダルク(1999) 《ネタバレ》 
公開当時は「なんでまたリュック・ベッソンがジャンヌ・ダルクを?」と違和感がありましたね、ベッソンの奥さんがミラ・ジョヴォヴィッチだったし。しかし製作同年の99年には二人の二年間だけの結婚生活は破綻しているし、この企画は別れる女への惜別かはたまた火あぶりにしたかったぐらいの憎しみの現れだったのか? 手足がもげて首が吹っ飛ぶスプラッター要素が強いドロドロの中世史劇ではありますが、ジャンヌ・ダルクという世界史でも稀な謎に満ちた人物の存在に精神分析学的なアプローチで迫ったところはいかにもベッソンらしい。もっともこの部分はジャンヌが捕縛されて処刑されるまでのラスト三十分で、それまでの二時間続いた中世劇とのストーリーテリング上のアンバランス感は否めませんね。そこで登場するジャンヌの良心の化身という存在をダスティン・ホフマンが演じているというのは違和感が半端ないですけど、斬新なキャスティングだと好意的に受け止めたいです。彼の役柄は、ジャンヌの内心やはたまた神の声と言うのにはちょっと違和感があるし、いわば近代以降の理性が擬人化された存在だと考えた方がしっくりします。そしてこの三十分のミラ・ジョヴォヴィッチの憑き物が取れていった様な表情が良いですね、前半のいつも怒鳴っているような険しい顔つきからなんか可愛いとすら感じてしまうところまで変化してゆく、ミラ・ジョボヴィッチなかなか良い演技です。 けっきょくジャンヌはシャルル七世などの王家にはいいように利用されて見捨てられたわけですが、やっぱイングランドの手先になってジャンヌに火刑を宣告した教会がいちばん醜悪。この映画では教会はいったんジャンヌが改悛したので許したのに、イングランド側が男装させて魔女としてジャンヌを処刑させたと史実とは微妙に異なる責任転嫁をしている。当時のローマ法王が直接関与したわけじゃないだろうけど、ベッソンめローマ教会に忖度して日和ったかな?だいたいからして、二十世紀になってからやっとジャンヌを列聖してるぐらいだから、カトリック教会も後ろ暗いところがあったんだろうな。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2022-09-06 23:06:56)
20.  地獄のモーテル 《ネタバレ》 
噂には聴いていたけど、期待に違わずメタメタなトンデモ映画でしたね。“人肉を混ぜて隠し味とした世にも美味な燻製”をウリにして商売繁盛のサイコ兄妹、アメリカB級ホラーでは定番のジャンルである“モーテルもの”でございます。でもこの映画、登場するキャラがみな頭のねじが外れていて善玉を含めて行動がほとんどシュールです。ヒロインといちおう位置付けできる女性にしても、普通に考えれば半ば拉致されたような境遇なのに、危ない目になんども逢いながらも緊張感がまるで欠落している。挙句には弟の保安官からのモーションを振ってサイコな兄貴になぜか惹かれていって、ついにはマジで結婚しようとする。もっと判らんのは食材の“畑”で、声帯を切って呻くことしかできない人間を首だけ出して埋めるって、こりゃなんの意味があるんだい?脚本も酷いけど監督が超怪作『ゴースト・イン・京都』のケヴィン・コナーですからこうなるのは必然だったのかもしれない、ほんと『ゴースト・イン・京都』がまともに感じるほどです。ラストが唯一の見せ場であるチェンソーでのチャンバラですが、ブタの生首を被った兄貴のビジュアルはさすがに強烈でした。インパクトがある絵面でスプラッター映画のアイコンみたいな扱いをされていて自分も知ってはいましたが、まさかこの映画のキャラだったとは… ラストの兄貴の死に際での衝撃の告白、たしかにこれはこの映画をコメディにカテゴライズする唯一の要素かもしれませんね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2022-08-25 22:52:18)
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