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プロフィール
コメント数 2381
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ソウ
初見の際にはこのアイデアにはぶっ飛びました、自分の『驚愕させられた映画ランキング』のベスト3に今でもランクインしています。正直に言うと、あのラストには思わず立ち上がるほどびっくりしたもんです。いまじゃあ本作をパクった映画が濫造されちゃいましたけど、やはりオリジナルは偉大です。私はいわゆる“ソウ・マラソン”はすでに完走しておりますけど、監禁ゲームと並行して元刑事ダニー・グローバーが暗躍していたりする第一作がやはりベストな脚本だと思います。このシリーズは回が進むにつれジグソウのゲームをいかにエグく見せるかにどんどん比重がかかって来て『ファイナル・ディスティネーション』シリーズみたいになってしまうんですけど、それはそれで愉しめます。中盤までゴードン医師とアダムの“信頼できない語り手”視点のストーリーテリングが緊迫感を煽ってくれますが、この視点をもっと引っ張ってラストまで持って行ったらもっと良かったかなと感じます。 冷静になればツッコミどころは多々あるんですけど、ストーリーテリングの巧妙さがそんな粗を覆い隠してしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-10-26 23:02:48)
2.  ソーシャル・ネットワーク 《ネタバレ》 
若き天才起業家のサクセス・ストーリーだと思いきや、初っ端から最後までドロドロした人間関係のもつれと裁判沙汰に終始する映画だったとは意外でした。マーク・ザッカ―バーグ、オタクの中でもとても友達にはなり得ないタイプで、ここまで嫌らしく描かれてご本人も良くOKを出したものですね。この映画の製作に当たってはザッカ―バーグや訴訟相手の弁護士たちが入念にチェックしたそうですから、まあ納得はしてるんでしょうね。フェイスブックというコンテンツは革新的な技術というよりもWEBをパーソナルなコミュニケーションに結び付けた着眼点の勝利だったと私は思うので、友達が2~3人しかいなさそうなザッカ―バーグの様な人間が生みだしたと言うのは神さまの悪戯でしょうか。東部のアイヴィー・リーグの学生たちで盛り上がったフェイスブックが、魑魅魍魎の跋扈するシリコン・ヴァレーで変質してゆく過程はなかなか興味深かったです。ずっと猛烈な早口で通すジェシー・アイゼンバーグの鬼気迫る演技も良かったです。ラストに流れるビートルズの"Baby, You're A Rich Man"がけっこうきつい皮肉になっていました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-02-24 22:59:49)(良:1票)
3.  その場所に女ありて 《ネタバレ》 
最近『悪の階段』を観るまでは恥ずかしながら鈴木英夫監督のことを全然知らなかったのですが、昭和30年代にこんなにハードボイルドでしかも女性が主人公のサラリーマン映画を撮っていたなんて、本作を観てさらにぶっ飛びました。昼は会議室や応接室、夜は酒席でビジネスが進む、営業系サラリーマンの仕事ぶりが実にリアルに描かれています。 そして司葉子のカッコいいことと言ったら、さすが昭和を代表する美人女優のひとりです。現在はすっかりふっくらしたおばあちゃん(失礼)ですが、この映画で見せるショートヘアのいかにも出来そうな営業ウーマン姿にはもうほれぼれとしてしまいます。それまでお嬢さん女優だった彼女にこういうシャープなキャラを演じさせるとは、『悪の階段』で団玲子に悪女を演らせた鈴木英夫ならではの手腕にもう脱帽です。 ライバル社の広告デザインをこっそり手掛けて報酬をもらう主任デザイナー(完全な背任です)、社内で金貸しをやって月三分の利子を取る女子社員(超高金利!)、こういったまだ生きてゆくのに精いっぱいだった時代のホワイトカラーの生態には考えさせられるものがあります。最近『ALWAYS 三丁目の夕日』なんかで昭和30年代が過剰に美化される風潮がありますが、高度経済成長前期までの日本はまだまだ喰うのに精いっぱいだったのです。司葉子が査問に懸けられてクビになりそうになるシーンでも、「私が生活し生きてゆくにはこの会社が必要なんです」と毅然とした態度で訴えます。現代で重要視される「やりがい」とか「自分らしさ」なんて御託を並べる余裕は誰にもなかったんです。 社長シリーズや無責任男シリーズを量産していた陰で、こんなリアルでカッコいいサラリーマン映画が東宝で撮られていたとはほんと驚きでした。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-12-02 23:44:44)
4.  存在の耐えられない軽さ 《ネタバレ》 
“驚異の目力”が武器のプレイボーイ外科医、まさに“肉食獣”と言える女流画家、そして腋毛ボーボーの田舎娘、この三人が見せる純愛とは対極に位置するような恋愛劇ですが、ドロドロになりがちなストーリーなのにどこか突き抜けた明るさがある語り口です。ヨーロッパ俳優を多く使い撮影監督もスヴェン・ニクヴィストなので、ハリウッド資本ながら欧州映画の様な味わいがありました。スヴェン・ニクヴィストのカメラがまた美しくて、「プラハの春」の記録映像にデイ・ルイスやビノシュが映り込むところなぞ素晴らしい映像テクニックです。黒い山高帽をかぶった下着姿のレナ・オリンはポスターやパッケージにも使われてこの映画のシンボルみたいな存在ですが、本作での彼女のセクシーさはちょっと尋常ではない。人間の存在なんて「耐えられないほど」軽く歴史の激動にのみ込まれてしまうはかないものかもしれませんが、それでもそれぞれが生きた証しは必ず残ってゆくものなんでしょうね。そう考えるとラストのフェード・アウトには泣かされてしまいました。それにしても役者がいい演技を見せてくれる映画はホント上映時間の長さなど気にならないものですね。
[DVD(字幕)] 9点(2011-08-10 22:37:32)
5.  ゾンビランド 《ネタバレ》 
ゾンビ+コメディ+ロード・ムーヴィー+バディムーヴィー、って感じですかね。でもそれぞれのジャンルが高いレベルでバランスを保っていて、ゾンビものとしては特筆すべき面白さ。ジェシー・アイゼンバーグとウディ・ハレルソンという組み合わせが実現できた時点で、この映画の成功は約束されたようなものです。エマ・ストーンとアビゲイル・ブレスリンの姉妹も良い味出していますけど、たしかにエマはゾンビランドを彷徨っている割にはメイク濃すぎですよね(笑)。やたらと映画の小ネタが使われていますけど、最大の映画ネタはビル・マーレーのまさかの登場。しかもあんなバカげた退場の仕方をするなんて、こんな使い方ってアリ?実際のビルの家もあんな豪邸だったりして。でもゾンビランド化してしまったのに、どうして電気が途切れることなく供給されているのかな?きっとゾンビ化した発電所職員たちが、かすかに残った人間だったときの本能に従って保守してるんですよ、絶対そうだ(笑)。タラハシーが車のドアに“3”という数字を書き込むのはどうして?何かのおまじない?トゥインキーってそんなに美味しいの?コロンバスの“サバイバル・ルール”は全部で幾つあるの?知りたい。とまあ愉しくなる要素が満載の一編でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-04-24 20:34:05)
6.  空の大怪獣ラドン 《ネタバレ》 
東宝特撮で初のカラー作品。前半は他の特撮作品とは一味違うミステリー仕立て。炭鉱で連続殺人が起こり緊迫感が高まるが、実は犯人は甦った古代の巨大トンボの幼虫メガネウラだったというサプライズな展開。これだけで一本の特撮映画が出来そうなくらい秀逸なプロットで、炭鉱の事務所や坑道内のセットも造りこまれていて雰囲気が良く出ている。■ジェット戦闘機の本格的な空中戦映画を撮るのが夢だった円谷英二だけあって、ラドンとF86セイバー戦闘機の死闘はまさに元祖・大怪獣空中戦と呼ぶに相応しい。超音速で飛翔するラドンを巨大な飛行機雲の空撮だけで表現する映像、そしてそこに被さる伊福部昭のテーマがまた素晴らしい。それまでのゴジラやアンギラスの様な神話的な存在から離れて、ラドンには「巨大な鳥」としての動物らしさを見せる工夫が施されている。地中から出現したラドンが飛び立つ前に羽つくろいの様な仕草を見せるところなぞは、特筆すべき芸の細かさであろう。ただいくらサイズが巨大とはいえ、生物が超音速で飛翔するというのは物理的に不可能であろう。これはひとえにセイバー戦闘機と空中戦させるための無理筋の設定だったと解釈したい。■福岡で生まれ幼少期をこの街で過ごした自分にはラドンの福岡破壊は驚愕映像の連続で、初見の小学生のころは中州も天神も撮影時の風景からほとんど変化してなかったからである。実はラドンに破壊される天神の街並みに親戚の店があって、精密に再現されたその家が焼けおちてゆくのは良く知っているだけに恐ろしかった(さすがに看板は架空だった)。撮影時にはその界隈を東宝スタッフが挨拶して回ったと聞いたが、『ゴジラ』で燃やされた松坂屋に激怒されたという苦い経験から東宝も学習したのかもしれない。■操演のワイヤーが切れてラドンが溶岩に落ちたのでラストを変更したという話は今や伝説だが、二匹目のラドンも同じショットの中で落ちるのが腑に落ちない。でも製鉄所内で溶けたコークスを使った一発勝負の撮影なので、その場で円谷英二がつがいのラドンの死を決断したのかもしれない(二匹目は明らかに操演されている形跡がある)。だとしたら、さすが特撮の神様、と唸るしかないけど、これが東宝特撮映画のお家芸の「投げやりなエンディング」の始まりかと思うと複雑な気分である。あと平均的な東宝特撮ものと比べると本作は10分ぐらい尺が短い。これは何らかの事情でカットされたシーンの存在が推測される(二匹目のラドンの登場なんかはいかにも唐突)。でも上映時間が短い分、特撮映像の濃密さが増すという効果があったことは否定できない。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-05 20:26:48)(良:1票)
7.  続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 《ネタバレ》 
20年ぶりぐらいに観直しましましたが、南北戦争の戦闘シーンまであるし記憶に残っていた以上の超大作だったんだと再認識させられました。もっともカネかけてるのは判るけど、はっきり言ってあの戦闘シークエンスは不要だったんじゃないでしょうか。前作に続いて善玉・悪玉・卑劣漢の三すくみ対決ですが、ここまでこってりしていれば数ある三すくみ映画の完成形と言える存在で、このプロットはタランティーノが後年になって盛んに模倣していますが未だに本作を超える域にまでは達していないのです。 セルジオ・レオーネの映画では物語の進行があまりにゆったりし過ぎるのが欠点で、本作でも善玉・悪玉・卑劣漢の三人が一人ずつ紹介されるだけで冒頭30分も使うんですから恐れ入ります。さすがのリー・ヴァン・クリーフもイーライ・ウォラックには喰われっぱなしで可哀想でした。本作でのイーストウッドは“ドル三部作”の中でいちばん個性が薄かった気がしますが、まあこの“名無しのジョー”は『夕陽のガンマン』と合わせると莫大なカネを稼いだのだから良しとしなければ罰が当たりますよ(笑)。
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-21 22:43:07)
8.  その男、凶暴につき 《ネタバレ》 
途中から監督になった経緯は有名な話しだが、すでに出来上がっていた野沢尚の脚本をたけし流に手直ししているので、以後の北野映画とはちょっと違うテイストもある。岩城刑事の家庭生活や我妻刑事の妹の過去などがTVドラマ風に書き込まれていたみたいで、その片鱗を残したまま独特のつなぎで大ナタを振るった様に感じられる。その為、北野映画の特徴である叙情性がほとんど皆無で、その殺伐とした雰囲気は彼のフィルモグラフィの中でも抜きんでている。 でもこの映画の完成度は素人の映画監督デビューとしては奇跡の様な水準で、やっぱこの人は天才なんだなとしみじみ感じる。音楽の久石譲やカメラの柳島克己といった北野映画の鉄板スタッフとはまだ組んでいないので、あの北野ブルーと言われる色調はまだ見られない。でもエリック・サティを劇中しつこく使っているところに監督の音楽センスの良さが感じられる。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-03-08 20:45:32)
9.  それぞれのシネマ 《ネタバレ》 
カンヌ映画祭60周年を記念して、カンヌで賞を受けたり縁があった映画作家ち30余人に、時間は3分間テーマは映画で撮らせたオムニバスです。数あるオムニバスでもこれだけの映画作家が参加した例は今までなかったのでは。そうそうたる顔ぶれですが、個人的にはゴダール(彼の場合はカンヌとは因縁ですけど)、クストリッツァ、タランティーノが参加してないのが残念でした。それぞれの作品の傾向として、面白いことに欧米系の監督は詩的・観念的・政治的な切り口で撮った作品が多いのに対し、アジア系はノスタルジーな視点で映画を視ている傾向が強いことでした。そして“盲人が映画を観る”と言うプロットの作品が3本あって、それぞれ男性・女性・子供と別れているのが面白かったです。日本からは北野武が参加してますが、この『素晴らしき休日』はちょっとがっかりな出来で、他の監督に比べて一段落ちるなと感じました。 さてベスト作品ですが、私はエリア・スレイマンの『臆病』を選びたいと思います。自作が酷評される映画監督って大変だよなと同情しちゃいました、爆笑まちがいなしです。ワーストはたぶん観た人の意見が90%は一致すると思うのですが、ラース・フォン・トリアーの『職業』でしょう。この人、ちょっと人格異常なんじゃないでしょうか(怒)。コーエン兄弟も『ワールド・シネマ』で参加していますけど、版権の問題か何かで日本では観れないそうで残念です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-10-22 17:33:07)
10.  そうして私たちはプールに金魚を、 《ネタバレ》 
ハイ、『ウィーアーリトルゾンビーズ』に続いて見事にわたくしも嵌りました。 ファースト・カットを観て、懐かしの『バタアシ金魚』の高岡早紀を思い出してしまいました。閉塞感にさいなまされる青春がテーマの映画としては、埼玉の狭山という町ほどぴったんこな場所はないんじゃないの、自分は行ったことないけどね。四人という主人公の数、ちょっとブレイクするけどすぐに消えてしまったアイドル、ゾンビ、モノローグ、等々まさに『リトルゾンビーズ』の原型と言えるスタイルでしょう。“学校のプールに400匹の金魚が放流された”って実話らしいけどどこがニュースになるような事件なのかは?なんですが、それを含めても何も起きないストーリーだったかと思います。冒頭とラストで『17歳』をカラオケで狂ったようにシャウトする少女たちを観ていると、『台風クラブ』のあの名シーンが浮かんできたのは私だけでしょうか? この長久允という人は二作ともサンダンスで賞を獲得するという俊英なのに、なんで日本映画界はもっと彼に映画製作させるチャンスを与えられないのだろうか?まあ私が言うまでもなく理由は明白ですけど、これじゃ韓国映画界の後塵を拝する状態が続くことは間違いないでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-04-30 20:43:59)
11.  ソウ2
「続編では群れで出す」というモンスターもの映画の鉄則をきっちり応用して、今回のゲームの参加者は大量増加、その上にゲームを見守る警察陣も大量参加で一気ににぎやかになりました。お約束のグロ・シーンはシリーズ後半作に較べるとまだ大人しめですが、その分心理的な嫌悪感を与えられた感じが強いです。地味な絵面でしたが、自分的には注射器のプールは背筋がゾクゾクするほどおぞましかったです。監督が代わっているのに早回しやカットショットの過剰なまでの多用は前作と変わらずというかエスカレートしている感じで、製作に廻ったとはいえジェームズ・ワンの強いコントロールが感じられます。ラストのカットなんかを観ると、この映画は三作目と二本でひとつの映画と言う感じがしますね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-10-27 22:07:35)
12.  ゾンビ/ディレクターズカット完全版
名画という尊称を賜るには、①プロット②ストーリー③役者④演出、これらの要素が重要ですけど、この映画ほど①だけが突出しているのは珍しい。はっきり言って、他の部分は下手な監督が撮ったB級映画みたいなものですから。でもショッピング・モールに立て籠もるというアイデアがひらめいた瞬間に、ロメロは歴史に名を刻まれる栄誉が約束されたわけです。ゾンビになっても微かに残った本能がショッピング・モールに足を運ばせるなんて、人間ってなんと哀れな生き物なんでしょうか! まあ本作ほどサブカルと化して深読みされている映画は他にないでしょう、互角の勝負を挑めるのは『ブレードランナー』ぐらいのもんです。自分としては、ゾンビはやはりこれくらいのろまな方が好みです。ショッピング・モールの駐車場でうろついているゾンビたちが絵になるのも、このスローモーな動きがあってのものです。ロメロも晩年は社会批評家みたいに持ち上げられてましたが、このころは間違いなく受けを狙って暗中模索していただけで、別に深い考えはないんです。デビュー作では微かに感じられたゾンビが発生する原因を説明しようとする努力は本作ではきれいさっぱり無くなって、社会の動揺やサバイバルのシミュレーションみたいな撮り方です。いわば『シン・ゴジラ』の撮り方に近い、と言ったら褒めすぎでしょうか。 「世界の人間は二種類に分けられる、『ゾンビ』が好きな人と興味がない人だ」と言っていた人がいましたが、私はどちらかと言うと「興味がない人」に分類される方です。でも、さすがに本作だけは死ぬまでに一度は観ておくべきでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-07 23:51:35)
13.  ゾンゲリア 《ネタバレ》 
実はわたくしもその邦題のおかげで、「どうせB級グロゾンビだろ」とこの歳になるまで敬遠していました。なんせ一時期まで『サンゲリア』と混同していたくらいですからね。ところが観てみてもうビックリ、なかなか上質のホラーじゃないですか。確かにゾンビはたくさん登場しますが、こいつらは由緒正しいブードゥー系ゾンビなのであります。なんでもブードゥー系は生前の記憶がまったくない生きた死者なのだそうで、記憶がないということがラストのオチに綺麗につながってゆくわけです。ネタバレが過ぎてしまうのであんまり詳しくは書けませんが、これはわたくしが大好きな『恐怖の足跡』系列だったというわけです。怖がらせ方もグロだけでなく心理的な見せ方も駆使していて、暗闇を進む人物の懐中電灯を持った腕だけが映ります。その腕は画面右方から伸びているので光は左側だけ放射されています。その腕の奥の暗闇から人影の様なものがぼんやりとしか判らないけど近づいてきますが、主人公は全然気が付きません。このカットには心底ゾッとさせられました。 無名の安い俳優ばかりの中で(ロバート・イングランドやリサ・マリーといったのちに世に知られる人も出ています)、やはりオスカー俳優ジャック・アルバートソンの存在は光っていました。実は9年前の『ポセイドン・アドベンチャー』から本作まで、彼は劇場映画にはまったく出演してなかったんです。そして本作公開の半年後に亡くなってますので、どうやらこれが劇場映画としては遺作みたいです。クレジットに彼担当のダイアローグ・コーチの名前があるくらいですから、撮影当時はもうかなり老化していたんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-06-25 20:08:57)
14.  ソルジャー・ブルー 《ネタバレ》 
私たちの世代には『ソルジャー・ブルー』と言えば残酷西部劇の代名詞みたいなものです。かつて一度だけ地上波で放送されたことがあり観ましたが、予想通りラスト20分はかなりカットされていたのは明白でした。今回DVDで再鑑賞して日本語吹き替えにするとどのシーンがカットされたのかが判ります、なぜかというと吹き替え音声が無く原語になっているからです。たしかにこれは当時でも絶対にお茶の間に流せない凄まじい映像ですね。部落中がナマ首ゴロゴロ状態なんですから、これは公開当時に観なくて正解でした。 キャンディス・バーゲンの若いころではこの映画がいちばん輝いていたと思います。前半のロード・ムーヴィー的なパートでは、いかにも原住民と生活をともにしてきた娘という存在感が良く出ていました。監督は西部劇のベテランであるラルフ・ネルソンですからニューシネマという枠に囚われないしっかりした撮り方だと思います。 この映画が開拓史とベトナム戦争の批判になっているのは明白です。でも、史実ではないのは判りますが、もしホーナス二等兵が密売業者のライフルを焼かなかったら、シャイアン族は騎兵隊に抵抗出来てあそこまで悲惨な目に遭うことはなかったんじゃないかという問題提起も感じられます。これは暗にリベラル派に対する当てこすりの意図があるような気がしますが、いかがでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2015-10-12 22:38:44)
15.  その男ゾルバ 《ネタバレ》 
遠く離れたアジアの我々にはギリシャ人のイメージは曖昧なものしかなく、せいぜい「陽気な人たち(南国だから)」ぐらいしか頭に浮かばないでしょう。実はあのバルカン半島の民でもあるギリシャ人の民族性はけっこう気が荒く、周辺の国とはしょっちゅう諍いをおこしてきた歴史があります。ゾルバも「戦争に行ったときは、捕虜を殺して女を犯した」と普通のことのように語っているぐらいですが、本作の舞台になったクレタ島というところはゾルバの様なギリシャ本土の人間でもビビるぐらい荒っぽい土地だそうです。イレーネ・パパスを村人総出で殺しリラ・ケドロヴァが死ぬやいなや身ぐるみ剥いでしまうといった蛮行は普通の感覚では嫌悪感がこみ上げてくるだけです。マイケル・ベイツが演じる英国人は半分ギリシャ人だと言うのにギリシャのことは何も知らずに島にやって来て、中途半端なインテリぶりで恋人を殺されるは鉱山開発にも失敗してしまい、結局この映画を通してなにも成就できないで島を去るわけです。ゾルバという男はインテリ作家のベイツと凶暴な島民たちの両者を仲介する使命があったのに、結局単なるピエロで終わってしまったなという印象ですね。ラストのベイツが踊るシーンは、やることなすこと全部ドツボになってしまい、「もうこうなりゃ踊るっきゃないよ!」という開き直りの儀式みたいなもので、人間は誰しもそういう心境になった経験があるんじゃないでしょうか。この映画、どうしてもゾルバのキャラに目が行ってしまうのですが、物語自体もけっこう奥が深い様な気がします。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-04 00:26:49)
16.  卒業(1967) 《ネタバレ》 
ダスティン・ホフマンがあたりまえだけど若い! これが実質映画デビューで、すでに30歳だったとは思えない新鮮な演技です(この人『マラソンマン』でもほとんど40歳でまだ大学生が演じてるから凄い)。今の若い人にはなかなか理解できないベンとエレインの行動だけど、あの時代のカルチャーというか若者のパワーに心を揺さぶられる人もいるはずです。ニューシネマ全盛期ですが、この映画はそのまま絵になる様なショットが多くて、マイク・ニコルズの才気には感服です。そしてキャサリン・ロス、この瑞々しさは永遠にフィルムの上に刻まれていくでしょう。 しかし数ある恋愛映画の中でも、このカップルほど長続きしそうもないと感じられるキャラは他にないのでは(笑)
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-13 01:04:05)
17.  続・激突!/カージャック 《ネタバレ》 
本作が実際のところスピルバーグの劇場映画第一作目なのですが、瑞々しい感性が感じられる良作です。とても実話とは思えないアホみたいな脱獄手段には笑ってしまいますし、映像も美しくて名手ヴィルモス・ジグモントのカメラは夕方から夜にかけての風景が印象に残りました。前半はロードムービーとしても楽しめるのですが、中盤からだんだん笑えない展開になってきます。銃社会アメリカに対するスピルバーグの厳しい眼が感じられ、民間人が勝手に犯人たちを射殺しようとするシークエンスなど、マジ怖いですね。ゴールディ・ホーンたちも所詮頭カラッポな若造なのは判りますが、彼らをどんどん英雄視してゆく民衆もバカとしか言いようがない。そこら辺が良く伝わってくるのは映画の出来が良いからですが、それにしてもアメリカ人ってやっぱ変な人たちだなと改めて感じさせられました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-11-07 01:46:44)
18.  ゾンビランド:ダブルタップ 《ネタバレ》 
きっちり10年後にまさかの続編製作、劇中の時間も10年後という設定みたいですね。驚いちゃったのはウディ・ハレルソンとジェシー・アイゼンバーグの容姿の変化のなさ、メイクのパワーもあったろうけどこれは拘りが凄すぎます。そして、エマ・ストーンはともかくとしても最近お姿を拝見していなかったアビゲイル・ブレスリンの大変貌!まさに太ったキルスティン・ダンストとしか言いようがないですね。コロンバスとウィチタは10年経ってもヤルことはやっていてもまだ同棲始めたばかりのカップルみたいな感じ、やっぱ時間設定も10年後としたのは失敗だったかも。考えるに製作側としては前作からさして間がないストーリーにしたかったけど、アビゲイル・ブレスリンが他の三人と違ってあまりに変貌が激しくて、止む無く現実の時間経過を取り入れたって感じかもしれません。 ゾンビ殺しのグロ度はまた格段とアップしていますが、この映画ではゾンビの生態や存在の恐怖がもうどうでも良いレベルまで低くなっているので、アフリカの野生肉食獣の生活圏でロードムービーしてるって感じすらします。まあ猛獣狩りをしてるって感覚ですかね。今回はプレスリー・ネタでやってみましたって感じでまあそれはそれで悪くないんですけど、ヒッピー・コミュニティーみたいなものまで登場して“ファミリーの絆”みたいなものが前面に出ています。感じとしてはちょっと真面目に寄り過ぎる気がして、『テッド』と『テッド2』みたいなパターンになってしまったのはちょっと残念。唯一愉しめたのは前作を観てないと絶対に理解できないビル・マーレ―のネタ、前作でのあまりに酷い扱いを帳消しにするかのような暴れっぷり、でもこういうエンド・タイトルを最後の最後まで観ないと拝めないってのは一つのパターン化していますけどなんか迷惑だよね。「面白いものをお観せしますから、どうか最後まで席をお立ちにならないで下さい」とでもテロップを入れて欲しいもんです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-27 23:07:19)
19.  狙撃 《ネタバレ》 
冒頭の新幹線狙撃のシーン、冷静にあんなこと絶対にできるはずないじゃんと突っ込んじゃいますけど、煙草の煙で風向を測ったりする手順を丁寧に見せられると「こいつなら出来るかも」と納得させられちゃうから不思議です。若大将をプロのスナイパーに転職させるとは東宝も当時としては思い切ったものですが、もともと演技力には難がある加山雄三ですからこういう寡黙で劇中ほとんど表情を変えないキャラは彼の素質を活かす新境地だったかもしれません。新境地と言えばなんと浅丘ルリ子とのベッド・シーンまであるというまさかの展開、今の眼では全然大したことないですけど若大将には胸毛が生えていたというのは新発見でした。たしかに銃に対する拘りは印象的で、森雅之がモーゼル・ミリタリーを撃つシーンではちゃんと薬莢が排出されるところが映っているのはさすがだなと思いました。日本映画では、コルトガバメントみたいな自動拳銃でも撃っても銃身がスライドせず、銃口から火花が出るだけというのが当たり前ですからねえ。これまた極端にセリフがない殺し屋森雅之もある意味加山を超えたカッコよさで、金髪女を侍らせて殺し屋家業に励み一人でカートを引っ張ってゴルフコースをラウンドするというちょっと訳が判らない渋さです。浅丘ルリ子も割と早めに加山の稼業を知ったのに大して驚きもせずその後も離れない、悪女チックなキャラは好演です。でもあのニューギニアの原住民(?)に扮装して民族の踊りを披露するところは、シュールというよりもほとんどギャグですよ。とくに黒塗りした加山の顔は、私にはラビッド関根(関根勤の若かりし頃)にしか見えず困りました。ほんとこの映画の脚本はクセが強くて、当時全盛だった全学連のアジ演説みたいなモノローグが入ったりして、今の眼で見ればクサ過ぎます。浅丘ルリ子の幻想的なというかサイケデリックな心象シーンなんかも、シュールというよりも『あの胸にもういちど』の単なるパクりのような気がします。説明過多とは無縁なストーリーテリングは良かったですけどね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-03-15 22:17:54)
20.  ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり 《ネタバレ》 
本作を語る上ではずせないのは、やはりエンパイア・ピクチャーお得意のヘタウマ・テイストな絵のポスターでしょう。レンタル屋に貼ってたポスターを初めて見たときは、そりゃ衝撃でした。あの伝説のトンデモ・ホラーが4Kレストア・ヴァージョンで鑑賞できるなんて、イイ世の中になったものです。 いちおうラブクラフト原作の映画化ということですが、「どこがラブクラフトやねん!」と手厳しいラブクラフト・マニアには怒りを買いそうな感じは否めません。でもラスト近くの地獄の扉が開いて触手が延びてくるような展開は、個人的にはラブクラフト的かなと思います。どちらにしてもこの映画は、あの“首だけ教授”のインパクトだけで持っているようなものです。たしかに首だけになったヒル教授は演説芝居を熱演しているアル・パチーノにそっくりですが、首が繋がっていた、というか素の教授は往年のヴィンセント・プライスを彷彿させるいかにもホラー向きなキャラ、最もプライスならこんな変態キャラはオファーされても断固拒否でしょうけどね(笑)。ハーバート・ウエストを演じるジェフリー・コムズも幼かったころのダニエル・ラドクリフみたいな風貌で、この映画がコメディみたいに誤解されるのは彼の大根演技が原因かもしれません。でも、首だけになってしかも死体をゾンビみたいに操れるような能力を持ったというのに、教授がやりたかったことがあれじゃ確かにこれはコメディとして観るのが正解なのかもしれないですね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-12-12 00:00:53)
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