Menu
 > レビュワー
 > tottoko さんの口コミ一覧。2ページ目
tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1997
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234
投稿日付順1234
変更日付順1234
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  トレマーズ 《ネタバレ》 
のどかでちょっと安い感じが真正B級作の佇まい。B級だからこそ発揮できるアイデア勝負の脚本がけっこう秀逸なんですな。 怪獣を4体用意してそれぞれ別のやり方でやっつけるんですが、4通りも考えるのって大変だと思うのよ。エライです。それにこの怪獣、人間の武器の使いようでちゃんと死んでくれるのがミソ。よし、やった、あと3体!という手応えがあって嬉しいです。こういうの珍しくないですか。超絶に強いのが一体で、そいつ相手に難儀するパターンが多い気がする。調べたわけではないけど。 「怪物の名前を何にするか」で議論するのんき描写のかたわら、電柱の上で発見される死体とか、老夫婦が地中に引きずり込まれる場面などは本当に怖い。何だこれ?って土をよけていったら車のフロント部がヘッドライトも煌々と現れて言葉を失う。やー、ここも巧いなあ。 必死のはずがなんかユルイ。この独特な空気。若きケビン・ベーコンがきっちりハマっています。 ハナからA級を目指さずにちゃんと低予算で作り上げようという気概の感じる快作です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-29 23:28:30)
22.  透明人間(2020) 《ネタバレ》 
わたしこれけっこう楽しく観られました。透明人間という古からの王道SFに臨む果敢さが評価できますし、ちゃんと脚本も練っていてホラーぽいカメラワークも良いです。かのケビン・ベーコン版透明人間に酷い目に遭わされた記憶があるので、トラウマ払拭できて良かったです。 透明になったら無敵ですやん。こんな奴に付け狙われたら反撃のしようもない。少なくともわたしの貧弱な発想力では何も思いつかないまま、ヒロインや周囲の人間がバタバタとやられる様を呆然と見守ることになる前半であります。あまりに絶望的なのでバッドエンドもの(最近多い)だったら嫌だなあと覚悟もしたのだけど、その分ヒロインの逆襲は大いにカタルシスを伴うものでした。なるほどアイツは「見えない」けど車を運転させたら補足可能、と。ペンキや消火器も大層有効ですね。覚えておこう。 エンドを迎えてやれやれ、と思っていたらもう一ひねり入れてきます。やり過ぎが興ざめになることもあるけど、基本的にこういう一生懸命考えた脚本は歓迎します。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-04-03 17:26:13)
23.  ドニー・ダーコ 《ネタバレ》 
十代の生き辛さ全開のドニー君。ジェイク・ギレンホールが天才的な仕事をしてる。彼はドニー・ダーコそのもの。常に不機嫌な鬱屈を抱えた顔で、やや猫背気味に歩く。ドニー君は受難だもんなあ。ちょっと逸脱したら無駄なカウンセラーに付き合わされ、秀才の姉とアイドル気取りの妹はどう見てもリア充だし。 世界の終わりを予告するウサギ、アイツはティーンエイジャーの心象風景の一つと思う。自分だけが見られる絶対的な存在、ハタチを過ぎたらもう見られない。 ドニー君の通う私立高(制服なんだよね アメリカにも増えてきてるとか)は妙なスピリチュアルな道徳授業を強制する、変な学校。ドニー君ははっきり言ってしまうんだ教師や外部講師に、その欺瞞と自己陶酔を。図星ゆえにニラまれる。おかしな犬の銅像、そりゃ斧をぶっ刺したくもなるよね。ウサギは背を押しただけ。 暴走気味のもやもやを抱えて生きる本人だってつらい。終盤、ドニー君が笑顔を見せるのはやるべきことを発見したからかな。恋すら霧消する切ない青春奇譚でありました。ちょっと忘れ難い一本です。
[DVD(字幕)] 7点(2023-01-13 17:53:05)
24.  ドレッサー 《ネタバレ》 
いやあ劇団の内部てのもなかなか人間関係がエグイですな。そりゃあそうか人生の殆どを芸事を極めることにつぎ込んできた人間が円満な社会性を身につけてるわけないか。 人生の晩年を迎えて扱いづらいこと究極の名優と、その付き人。この二人のやりとりが出色。猛獣使いの如き付き人ノーマンの、そのムチさばきが巧みです。メンタル不安定の老俳優をなだめたり叱ったり、オネエ仕草も勇ましくばしばしと畳みかけます。 トム・コートネイが、芸術に殉じる一員として涙ぐましいほどの忠実さを体現しています。一方で、名優の唯一の理解者であるというプライドや独占欲も時折顔を覗かせます。若い女優が近づいてくると見て取るや、「(抱き上げたのは)軽い女優を欲しているからよ」と言い放つ。その勝ち誇った表情には参りました。 そんな健気なノーマンの献身が、彼の望んだように返って来ないラストシーン。ああー、人の世にありがちな苦い顛末ですけど・・、残酷ですよねえ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-09-14 23:46:45)
25.  友だちの恋人 《ネタバレ》 
レアとブランシュ、性格全然似てないけど友だち関係が成立しちゃうことはあるよね。ハッキリしてて恋愛偏差値の高いレアと、容姿に自信が無くて不器用なブランシュ。 現彼に飽きたので「アナタの方が合いそう。付き合っちゃいなさいよ」と堂々譲渡宣言するレアに対し、「エーでもあなたの彼氏だし・・」と尻込み気味のブランシュ。で、結局ファビアンと良い仲になっても「やっぱりレアに悪いし」と気兼ねしてばかりなのですね。その一方でレアはのびのび他の男探し、で挙句ファビとヨリを戻しちゃったりでいやーなんかもう・・。 個人的にはブランシュのうじうじぶりは身につまされるものがありますわ。せっかく全仏オープンのチケットを譲ってもらっても、想う相手に近づくことはできずにそそくさと帰路についてしまう。すごくわかる。かたやレアは堂々として美人で傲慢なまでの自信家ぶりが、眩しくもあります。 リアルな等身大の女の子を描くロメールのタクトは本作でもキレが良くて、ずっとうんうんと頷きながらの鑑賞となりました。男性陣が皆受け身なのがちょっと笑えます。 昔の映画だけどファッションが今回も素敵なロメール映画。黄や青といった原色をさらっと着こなし、合わせるアクセサリーも大ぶりなイヤリングやベルトがとてもおしゃれ。さすがパリジェンヌ、と言いたいとこだけど彼女らはパリ郊外に住んでるんでした。 青とグリーンが交差してベストカップルに落ち着くラストシーンは、互いの勘違いがほどけてゆく爽快さと合わせて目にも鮮やか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-10-19 23:22:58)
26.  ドリーム 《ネタバレ》 
まだまだ黒人差別が色濃い60年代にNASAのプロジェクトに貢献した3人の黒人女性のお話。偏差値が超高い人たちの社会であっても道徳的価値観は知性とはまた別なモノなのね、と戦慄すら覚えました。 黒人専用のトイレに毎度800mも走るなんて。「自分たちの」コーヒーサーバーから彼女がカップに注いだ時の白い目。データを黒塗りする同僚。働きづらいことこの上ない環境下でも、彼女らは街中で暴徒と化す同胞らと違い、黙々と自分の成すべき業務をこなすのですね。悔しいったら。でもその分、ついに上司にブチ切れた場面が活きました。「考えてもみなかった」彼女らの被差別環境にようやく気付いて呆然とするケビン・コスナーの表情が良いです。コスナーはこのところ良い仕事をもらえているようで。演技幅の広い人ではないけれど、今作の”リーダーシップのある上司”像は彼にとっては十八番といっていいほどのハマり役ですから、とても説得力のある存在でした。 原題(Hidden Figures)の指す通り、NASAにこんな切れ者の黒人女性技術者がいたとは全く知らずにいて驚きました。でもこの驚きの中身って「黒人の、それも女性が活躍していたとは」に他ならない。キルスティン・ダンスト扮する上司に投げかけられた言葉「貴女が偏見などないと思い込んでいることは知っている」これはそのまま私にも当てはまるのだと気づいて、うっ、となりました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-11 23:16:28)(良:1票)
27.  トーチソング・トリロジー 《ネタバレ》 
ゲイの人たちの「生き辛さ物語」はたくさんあるのですが、本作はご本人が脚本を手掛け、出演もしているだけあって当事者の持つリアルに厚みがあります。 心が血を流していても湿っぽくならないタフさ、ユーモアの感覚がアーノルドの特筆すべき個性。とはいっても、いくら早口のマシンガン・トークで彼がやり過ごしても「ああ傷ついているなあ」と痛いほどこちらに伝わるものですね。 友人や恋人については良き人らに恵まれているアーノルドのネックは母親。こんなに激しい言葉をぶつけ合っても人間関係を続けられるものだろうか。ワタシは無理だな。母親は変わらない。でも母だから捨てられない。結局アーノルドはどこまでも優しい人だなあと思う。こんなに優しい性根の人がもう傷つくことのない社会であってほしい、つくづく思いました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-22 17:36:15)
28.  翔んで埼玉 《ネタバレ》 
たしか三十数年前にも埼玉vs千葉の田舎度争いが全国的(?)に盛り上がったことがあったなあと記憶しているのですが、とうとう映画になるとはこのネタの普遍性に驚くばかり。 魔夜峰央のクドく、こじれた少女漫画の世界観をGACKTという逸材を得て奇跡の実写化大成功と言えるのではないでしょうか。 こんな話なのに役者らが大熱演。しかも楽しそう。こんな話なのに、エキストラ大量動員の決戦場面は熱量大放出で迫力満点。無駄に流暢なカメラワークや、けれんみ溢れる演出がこの馬鹿々々しいワールドに見事に機能しており、制作陣の遊び心のセンスはまことに健全であると感じ入ります。 埼玉、千葉にとどまらず、周辺県への流れ弾もハンパないですが感動しちゃうのはこんなネタにされてもむしろ大ウケしている当該県の皆さまの感性豊かなこと。スタッフが謝罪しに行った時の埼玉県知事のにこにこ顔といい、遠くイタリアでも笑いを取れたという余禄といい、たくさん心温まる気持ちにさせてもらいました。
[地上波(邦画)] 7点(2020-03-01 23:36:51)
29.  ドクター・スリープ 《ネタバレ》 
この映画を観たいと思う人って、大方が”シャイニング”を鑑賞済みであると思うんですよね。となると、あの独特の、精神に異常をきたしそうなキューブリック流の「美」を期待したのは私だけではありますまい。 ところが、なかなかそんな感じにならない。アル中に悩む大人になったダニーと超能力少女と人外サイコ集団がESP対決を繰り広げる前段はまるでアメコミのサイキックバトルのようで、シャイニングファンの思いから大きく外れたものになっています。正直戸惑いました。 しかし、ここからです。ちゃんと監督はシャイニング派に向けて怒涛の巻き返しを用意してくれていました。 ついにあの超陰気な短調の調べにのって山道をよろよろ登ってゆくクルマの画がスクリーンに広がった時は、感激で肌が粟立ってしまいました。そしてオーバールックホテル!時間の経過も合わせて良く再現してくれたものです。  ローズの憎ったらしいことは野球少年のくだりで怒り心頭でしたから、ホテル先輩やっちゃってくださいよ的な気分にもなります。懐かしの亡霊フルメンバーも嬉しい(?)。けど、肝心のジャック・トランスがオリジナルニコルソンの風貌が強烈なためにそっくりというわけにもいかず、ちょっと残念ではありました。 残酷場面はほんとに残酷なだけで、キューブリックの毒々しい美的感覚は無く、やっぱり前作とは別物。だけどダニーが何故あの忌まわしいホテルへ戻らねばならなかったのかその辺の理由付けに無理のない脚本は技巧的に優れています。 バッドエンドにしなかったラストも、良い後味が残りました。
[映画館(字幕)] 7点(2019-12-29 23:59:13)(笑:1票) (良:1票)
30.  トラベラー 《ネタバレ》 
イラン版「手を焼く小僧」の冒険譚。この場合はテヘランまで夜行バスの旅。大人から見ればさしてどうってことない旅程だけど、10歳の子供にとっては、旅費集めからそれはそれは大変難儀なタスクなのである。 ごく普通で非力な人間のささやかな日常の起伏を映画一本分のストーリーにして見せる、いかにもキアロスタミらしい視点。ハリウッドでは商売にならないかもだけど、これがとても面白くできている。 まーとにかくこの子の生命力の強いこと。かなりの強引さで目的を果たそうとする貪欲さ。大人に叱責されるとそこはすぐ泣いて降参、でも大事な物は手放さない。この手のガキは日本にも戦後の混乱期にはいっぱいいたんだろうなあ。生きるために最大限知恵を絞って世の中を渡るような。 ああ、この子どうするんだろうと大人の心配をしながら見守ること70分。なんともキビシイ旅の結末となりました。勉強代だな、坊主。嘘ついて人からお金を集めてはイカンのだよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-08-30 00:44:10)(良:1票)
31.  特捜部Q Pからのメッセージ 《ネタバレ》 
前作でキツすぎたグロ描写が控えめになり、プロット重視になった3作目。3作目にして一番の出来かと思います。子供も死ななくて良かった。 犯人サイドの描写と捜索側の動きを交互に入れて立体的に見せる演出が、飽きさせず上手いです。 ”エホバの証人”という特定の宗教批判かな、と思わせておいていやいやさらにその上の、カルト信仰心の危険性を鍵にしてきたのも意外な展開でした。 個人的にはちょっと苦手なカール刑事、今作も終始重苦しい表情で前作より抱えるモノが重くなっちゃってるんですが、宗教観のことで相棒と口論になったり、かなり自己の内を見せてくれるようになりました。ラストの葬式で落涙する姿にはぐっときます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-20 16:32:13)
32.  特捜部Q 檻の中の女 《ネタバレ》 
陰惨、猟奇的、でも画は(緯度が高いせいか)清潔感あり、という北欧サスペンスの特徴を全部備えてます。謎解きと格闘するプロセスも至って地味で真面目。突拍子も無いアイテムや突然現われる情報提供者とかそういうのはありません。お国柄というんでしょうかね、これまで観てきた北欧系の作品は皆大真面目にグロかった。 本作が出色なのは刑事ペアの一人がアラブ系だということ。ぐっと暑い地域のDNAを有している彼は相方である生粋の北欧人のおっさんが暗く鬱屈していても、程よく前向きに物語を進めてくれる。深い思考と、前に推進する機動力と。この絶妙なペアがQシリーズの成功の鍵といえます。 ああ、地味地味と言いましたが、”見せ場”の監禁場面なんかは大掛かりですよ。あんな高圧をかけられる装置が何故一農家にあるのだろう。という疑問は脇に置いといて。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-17 19:45:54)
33.  動物と子供たちの詩 《ネタバレ》 
いつの時代にもいる”生きづらさ”を抱える子供たち。うん、みんなクラスカーストの下の方にいそうだもんなあ。私もそうだったよ。ほんと、キミらには共感する。だって正しい感性ではないか。撃たれるがままのバッファローに心を痛めるのはまっとうな人間性の証。キミらを否定する大人がいても気にするな。向こうが間違っている。 救いの無いラストはいかにも70年代の作品ぽい。ドライな描き方はニューシネマの定番だ。 今ならばおそらく死者は出さないだろうな。その代わり、逃がしたバッファローが大人によってまたあっさりと柵の中に収められて、自分らの非力を痛感するといったオチが用意されそう。だって生き抜いてほしい。彼らには。いつかその非力を克服できるように。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-12-26 00:46:51)
34.  ドラフト・デイ
絶頂期にはもう見飽きるほど、当たり作続きだったケビン・コスナー。水映画でコケてから、長い低迷期に入るとは人生分からないものだなあと思っていた。今作、「どれどれ」の気分でナメてかかって観ましたら、おやこれがなかなか”見せる”ドラフトドラマなのでした。コスナー復活の狼煙となるか。 プロスポーツの経営ドラマといえば、ブラピの「マネーボール」が記憶に新しいし、評価も高い。二番煎じというハードルもなかなか高いぞ、と思ったのですがこちらはアメフトのドラフトの一日に絞ったのが功を奏しました。 ライバルチームの腹の探りあいや、旧知の選手とのわだかまり、オーナーやファンからの圧力といったマネージメント業のストレス要素をみごとドラマに変換し、さらに一人の目玉選手について「マイナス点の有無」を観る者にも投げかける引っ張り方も巧い。 コスナー個人の恋愛ネタがちょっとうるさかったですが。ここ職場だよ。 苦悩しつつ、毅然と考えを貫くGMにコスナーが久々にかっこよくハマりました。長らく御無沙汰でもスクリーン映えするその姿。きちんと容姿をキープしているプロ根性に、ケビン・コスナーやるなあとちょっと感動しました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-09 00:45:26)(良:1票)
35.  ドクトル・ジバゴ(1965) 《ネタバレ》 
画面いっぱいに広がる異国の広大な風景。その圧倒的な空間の広がりは映画ならでは。加えて男女のままならぬ悲恋、歴史の動乱、と長編作の必須事項をきっちり押さえた200分。さすがにおなかいっぱいになったけれど、第一次大戦から革命に至るまでのロシアの市井はとても興味深かった。初めて知ったこともたくさん。 赤だ白だバルチザンだ、と国内大荒れだ。登場人物らがやや情勢に流されっぱなしの感はあっても、致し方の無いことなのかもだ。何しろ前線から帰宅してみれば共産の名の下に自宅が他人でいっぱい(!!)だ。うわうわ。怖気づくのはそれだけではない。苛酷な鉄道の旅。扉を開けたらもう一枚壁がある。氷壁なのだった。それをばーん、と割って汚物を捨てる。この描写の容赦の無いこと。ロシアの大地がどういうものか、身にしみて分かろうというものだ。 しかもD・リーンは、絵画のような繊細なシーンも不意打ちのように入れてくる。陰影に満ちた室内に黄色いひまわり、エルサの城もかくやと思わせる、氷漬けの邸宅。その銀の輝き。 映像監督の手練が全編にわたって発揮され、画の力が恋バナの弱さを補って余りある。ロシア国内での撮影でないとは驚愕だ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-08-02 00:17:58)
36.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 
人は種の存続を絶たれると、こんなにも絶望するのだなあ。考えたことも無かったよ。世界中で人も街も絶望しきった描写がリアルだった。数十年後のことなどあえて考えず、細々と律儀に交通インフラや政治は機能してるんだ。なるほどなあ。 “人類の奇跡”である妊娠した少女のためにいそいそと食事の支度(あまり美味しくなさそう)にいそしむM・ケインのじいちゃんが突き抜けてエクセレント。大変素敵です。最期までふざけて逝ったなあ。ユーモアも失ったテロリストを激しく憎むね私は。 まるで神が降臨したかのごとく、赤ん坊に道を開ける兵士たちの恍惚の表情。クライマックスのこの場面を今見せてやりたい現場があまりに多い。生命の誕生というのは後世に引き継げるということ。そのこと自体が輝かしい希望。決して粗末に扱ってはいけないのだ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-12-11 00:00:09)
37.  突撃(1957) 《ネタバレ》 
軍隊という理不尽組織の真髄を見せられるなあ。あの3人の敵前逃亡罪による処刑はもろに見せしめ。クジで選ばれるとか、もう戦時の狂気の極み。さらに見せしめだと軍にいる全員が解っているのがオソロシイというか、救いが無いというか。 で、カーク・ダグラス大佐はその処刑役に、小隊の隊長を指名するわけだ。同胞を殺して逃げ出し、頬かむりをしている奴に。まあ仕返しというか、罰ですよねこれは。しかし大佐のこの意地悪など可愛いもの。まさか大佐も三人を救うべく自分の流した情報が、将軍自らの弾除けに使われるとは夢にも思ってなかっただろうな。カーク・ダグラスのびっくり顔ったら。 狸将軍の上に大狸アリ。温厚そうな外見は百戦錬磨の狸の為せる業ということか。 フランスの地だけあって軍が接収した建物が瀟洒で美しい。優美な曲線の中で行われる軍法会議。このミスマッチな画面、強烈な印象を残します。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-10-05 00:07:59)
38.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
ぱっと見はオリジナルそっくりだなあ、というのが第一印象。ルーニー・マーラのリスベットは一瞬オリジナルの女優さんかと思うほどだし、鬼畜後見人への復讐場面や最後の地下監禁部屋の内装?などはほぼミレニアムのまま。でも映画を観終わってみると、こちらの方が滑らかにストーリー展開していたような感じを受ける。ここら辺は商業映画に長けた脚本家が上手いこと手を入れたんだろうな。ミカエルとリスベットの関係、心の通い方などはオリジナルより丁寧に描きこんである。ラストなんかね、リスベット、それまで抜群のIQの高さでもってミカエルを凌駕していたのが、突如恋する小娘に成り下がる。ミカエルにあっさり遊ばれてた感すらある。“大人の男”の一枚も二枚も上手な度量を見せつけて、ここにきてダニエル・クレイグが見事にこの役にはまる。リスベット、ますます男嫌いにならなきゃいいが。
[DVD(字幕)] 7点(2013-11-04 01:20:21)
39.  トイ・ストーリー 《ネタバレ》 
ちょっとやっぱりこの頃は、特に人間に“CGのリアルゆえの気色悪さ”を感じてしまって初見当時は苦手でした。3に胸震えるほどの感動を覚えた後で、戻ってきて見直すと、おやウッディがあんまり好青年じゃなかったんだねー、とか周りの仲間もけっこうな厳しさだ、とか再発見できたりします。オモチャが人間の見てないところで自在に動き、誕生日やクリスマスの度に偵察部隊まで出して一喜一憂している、このアイディアの斬新さ。見直してもやっぱり楽しい。ラストシーン、最後のプレゼントは犬ときましたか。良かったねえ、誰ともかぶらなくて。
[DVD(吹替)] 7点(2013-08-04 00:03:36)
40.  ドゥ・ザ・ライト・シング 《ネタバレ》 
うだるような暑さが、ストレスを加速させてゆくようなある一日。昼間から働くでもなく徒党を組んでる黒人の若者はホームレスの“市長”を蔑み、年寄りたちは韓国人の悪口を言いながら座っているだけ、店の写真に因縁をつけ、大音量のラジカセのボリュームを絞ろうともしない迷惑客。白人も黒人もアジア人も、それぞれが相手を悪く言い、建設的な意見を言う奴なんかいやしない。愚かで浅ましい略奪行為。“白人警官に殺された6人の黒人に捧ぐ”と掲げてはいたけれど、S・リーの目線は実にフラットで、「差別は許しがたいけど、俺らだってどうよ?」とぶちまけられたかのよう。自らも黒人ゆえに、逆に遠慮の無い抉りっぷりにはたまげた。
[映画館(字幕)] 7点(2013-04-04 17:29:17)
030.15%
1120.60%
2261.30%
3693.46%
41386.91%
528014.02%
653826.94%
752226.14%
826913.47%
9944.71%
10462.30%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS