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プロフィール
コメント数 2381
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  映画に愛をこめて/アメリカの夜 《ネタバレ》 
初めて観たトリュフォー映画でした。私のその頃のミューズであるジャクリーン・ビセットがお目当てでした。作品には恵まれた方ではなかった女優ですが、この映画は文句なしに彼女の最高傑作、その美しさは今こうやって観直してもため息が出ます。英仏ハーフだからフランス語に堪能で、フランス映画に出演する英国女優と言う設定を活かして両国語を自在に操る演技が愉しませてくれます。トリュフォーは惚れた女優を美しく撮る名人ですけど、ゴダールとトリュフォーの決定的な喧嘩別れはジャクリーン・ビセットがダメを押したという説もあるくらいです。 さて映画の中身ですけど、これほど映画への愛情が詰まったバックスクリーン・ストーリーはないでしょう。トリュフォー自らも映画監督役で出演(自分だけ飛びぬけて真面目でいい人と言うのは、ちょっとずるいかな)、他のスター役で出演しているヴァレンティナ・コルテーゼやジャン・ピエール・オーモンも自らや他のスターのキャラを投影したキャラになっています。ジャン・ピエール・レオなんて、ほとんどセルフ・パロディでしたね。そんな「駅馬車の旅(映画製作の苦労を例えたフェラン監督の言葉)」を進行させる監督や裏方スタッフの悪戦苦闘も丁寧に描かれています。実際、この作品を観て初めて映画製作の手順をわたくしは知ったぐらいで、それまでは舞台劇のように映画も準撮りするものだと思ってましたから。 プロデューサーのセリフにあるように、映画というものは沢山の人間が集まって愛しあい憎しみあいながら一つのものを創り上げてまた別れて散ってゆく、そう、人生そのものなんですね。
[映画館(字幕)] 10点(2017-11-08 22:28:39)(良:1票)
2.  M(1931) 《ネタバレ》 
史上初のサイコキラー映画と言う観方もできますが、そのストーリーテリングは今の眼で見ても古さを感じさせない斬新さで後世のスリラー映画に多大な影響を与えてるんじゃないかな。 まず、本作がフリッツ・ラングのトーキー第一作であるというところが驚くところ。BGMを一切使わず聞こえてくるメロディは、冒頭で少女たちが遊戯しながら歌っていた殺人鬼がテーマの時事ネタ(?)童謡とピーター・ローレが吹く口笛の『ペール・ギュント』のサビだけ。ほとんどのシーンがセット撮影ですけどクラクションや消防車のサイレンなどのいわゆる街の雑音が効果的で、街のギャングたちと警察がそれぞれ街頭で活動する二か所のシーンでは、音声が欠落してるのかと思ってしまうう無音での展開すらあり、その音響設計はトーキー初期らしい凝ったものです。ラングと言えば“ドイツ表現主義”の代表的な存在ですが、その構造的なこだわりは本作では商店のポップや飾りつけに見られます。中でも書店らしき店のウィンドウは、グルグル回る螺旋模様や上下する矢印のポップが現代でも通用しそうなセンスを感じました。映像も五メートルぐらいの高さに据えたカメラからの俯瞰撮影が多用されているのが印象的です。 そして何よりも先進的なのは、とくに物語後半は徹底的に犯人ピーター・ローレの視点で描かれているところでしょう。もっとも前半はローレや彼が犯す殺人はほとんど描かれず、連続殺人に振り回される警察と暗黒街の面々が巻き起こす社会不安がメインテーマになっており、優れた群像劇の様相を呈しています。ここら辺の展開には、ブレヒトの『三文オペラ』の影響を強く感じます。ピーター・ローレも優しそうな童顔のちょっとオタクっぽいキャラで、とてもサイコキラーには見えないところも上手いキャスティングだと思います。 “Ⅿ”のマーキングをされた彼が逃げ回るシークエンスは有名ですが、殺人者という設定は抜きにしてもそこには社会全体から迫害され追い回される恐怖がひしひしと伝わってきます。暗黒街裁判のシークエンスも法廷劇のパロディとしては秀逸で、高校生ぐらいに司法裁判の仕組みを教える教材に使ってみると面白いかも。 ラストは正式な法廷が映り判事が着席し『人民の名のもとに…』と判決を読み上げるショットで終わりますが、肝心の判決を聞かせないで映画の幕が閉じます。ここは「彼の裁きは観客の皆さんで決めてください。有罪=死刑ですか、それとも…」と問いかけられているような気がします。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-03-18 23:29:28)
3.  英国万歳! 《ネタバレ》 
王と王太子の仲が悪いというのは、現代まで連綿と続く英王室の伝統みたいなものなんですね。それにしても、王室の物語だというのにウンコやオシッコのネタが多いのは笑っちゃうほどです。それも国王のですからねえ、こんなもので患者の精神状態が判るなんてほんと眉つばものです。よく考えるとこのストーリーは『英国王のスピーチ』と基本的には同じ話なんですね、王族への視点が本作の方がはるかにシニカルですけど。このジョージ三世という王様はは失政が多くてアメリカ植民地の独立を招いてしまったりしてますが、悪役扱いの王太子の方が奴隷解放を唱えたりして政策的にはまともな感じなのは凄い皮肉です。この王様、精神錯乱状態のときに助けてくれた侍従や医師を回復するとクビにするなど、『英国王のスピーチ』のジョージ六世と違ってなかなか非情です。感動を呼ぶには程遠い結末ですけど、これはこれで王族という人達の本質を鋭く突いていると思います。ラストで「家族円満を見せることが王室の大事な仕事だ」と犬猿の仲のロイヤルファミリーが民衆に笑顔を振りまくところなんか皮肉がきつ過ぎです。 ナイジェル・ホーソンの演技は、狂っているというよりも強度のノイローゼという感じなのです。でも本当は正気なのに厳しい現実から逃避するために深層心理が暴走している様にも見え、なかなか優れた演出だと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-12-02 00:14:01)
4.  エイトメン・アウト 《ネタバレ》 
インディーズ映画の雄でありアメリカ社会の影を追ってきたJ・セイルズが撮っているので、強欲なオーナーと薄給の選手たちの対立という図式が濃厚。この八百長に加担したブラック・ソックスの選手たちが、とてもプロスポーツ界のトップに立つセレブとは思えないようなダサい生活ぶりで、彼らを資本家と対立するプロレタリアートに摸する意図があったのかもしれない。でも選手たちのとても共感できないような野卑な言動もきっちりと描いていて、バランスはとれている。この八人に曲者バイ・プレーヤーたちをずらりと並べたJ・セイルズ作品にしては空前のオールスター・キャストで、監督役のJ・マホーニーも実にいい味出してました。当時のメジャー・リーグ・ゲームの雰囲気は良く再現されていて、ダボダボのユニフォームに背番号が付いていないというのは、今の眼からはとっても奇異に見えます。 一度は観ておきたい野球映画の秀作です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-02-08 20:07:24)
5.  エイリアン 《ネタバレ》 
このシリーズでは『エイリアン2』の評価が高いけど、わたしは断然オリジナル派です。まずはエイリアン・モンスターありきの物語なんですが、あの姿を初めて見て嫌悪感を覚えなかった人はまずいないでしょう。二本足走行で尻尾があるけど、地球上のどんな生物にも親和感がないと言うのは、もうこれはデザイン革命だったとしか言いようがありません。 ネタ元がM・バーヴァの『バンパイアの惑星』であることは有名ですが、徹底的にスタイルから入るR・スコットのエイリアン・モンスターの見せ方は、今やこの手の映画のスタンダードとなっています。リプリーたちがまるっきりブルー・カラーなのもとても斬新なキャラ付けです。だいいち、無精ひげ生やしたH・ディーン・スタントンに宇宙飛行士役を演じさせるなんて、それまで誰も考えつかなかったキャスティングでしょう。 この後この映画がリプリーとエイリアンのオデッセイ物語に発展してゆくとは、当時のR・スコットも予想できなかったでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-01-02 22:15:30)(良:1票)
6.  L.A.コンフィデンシャル 《ネタバレ》 
ロス市警が舞台の刑事映画では必ずと言っていいほど市警の腐敗ぶりに驚かされるが、私が観た中でも本作がとびぬけて酷い。まあ手垢がついた舞台背景となりますが、抜群にキレの良い脚本なので最後までグイグイ引き込まれてしまいました。熱血漢、野心家、芸能界大好き、と個性の異なる三刑事のキャラ設定が巧みですが、このキャラにドンピシャの三人がキャスティングできたのが大きいでしょう。ラッセル・クロウの刑事は、『リーサルウェポン』シリーズのメル・ギブソンの様ないわばよくある暴れん坊デカなんですけど、俳優として全盛期のクロウの発する男の色気とオーラにはクラクラさせられました。大物マフィアが服役した暗黒街の空白を市警の悪徳刑事グループが牛耳ろうとするなんて荒唐無稽な感じもしましたが、現代のメキシコや中南米のことを考えるとあり得るのかな?と思ってしまいます。しかしこの手の刑事ものを見てていつも感じるのは、あれだけ犯人や証言できる共犯者を殺しちゃっても生き残った主人公の話しが通るのは、なんかおかしくね?世の中そんなに甘くないでしょ。 当然のごとく本作は九部門でオスカー・ノミネートされましたが、キム・ベイジンガーの助演女優賞など三部門をゲットしましたが作品賞と監督賞は獲れず、まあ97年は『タイタニック』の年だったから相手が悪かったとしか言いようがないですね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-08-31 22:32:24)
7.  エルム街の悪夢(1984) 《ネタバレ》 
70~80年代には、レザーフェイス、ジェイソン、ブギーマン、という殺人ホラーのスター・キャラが続々とスクリーンに登場しましたが、やはりフレディ・クルーガーが最凶のキャラでしょう。他のキャラとは違って、初っ端の登場シーンからも判るように、明らかにこの世の存在じゃないと観る者に理解させます。ウェス・クレイヴンの頭の良いところは、映画製作者や観客には嫌われている夢オチというストーリーテリングを逆手にとって、観客までも夢と現実の境目が判らなくなるように誘導するところでしょう。後年『スクリーム』でホラー・ジャンルを徹底的に再構築したように、彼は伝統的なホラーとは一線を画する視点で撮る技巧をものにしている知性を持っていて、映画業界に入る前は大学の教員だっただけはあります。魔界の者のくせにフレディーはナンシーの攻撃にはダメージを受けて、火だるまにまでされてしまいます。けっこう弱いじゃないかと思わせておいて、悪夢の中の魔物らしく実は何の傷も負っていないところなどは、コミカルでさえあります。殺し方もエグくて、ジョニー・デップなんか若くて精力がみなぎってますから血しぶきも半端じゃなかったですね(笑)。ナンシーにあれだけ懇願されても肝心の時には眠りこけているし全編にわたっても何の活躍もしなかったし、まあ当然の最期だったんでしょうね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-09-06 22:10:35)
8.  猿人ジョー・ヤング 《ネタバレ》 
恥ずかしながら、今までこの映画は怪獣・モンスター映画だとばかり思っていました。てっきりメリアン・C・クーパーが二匹目のドジョウを狙ったキングコングの二番煎じだとね。ところが本作のジョー・ヤング君はただのでかいゴリラそのものでしかなく、もちろん猿人であるわけがありません。ちょっとがっかりしましたが、これがどうして、けっこう面白いんです。レイ・ハリーハウゼンのストップモーション・アニメはキングコング当時よりも格段の進歩を見せており、ジョーとライオンの格闘なんか見事なシーンとなっています。でかいと言ってもしょせんはゴリラなんで街中に出て行ったら警察や軍隊にあっという間に仕留められちゃいますが、そこはナイトクラブの店内という閉ざされた空間で暴れさせるというところは脚本の妙味です。このナイトクラブでの破壊シーンはストップモーション・アニメと実写の合成が見事に決まっていますし、セット自体も大掛かりで迫力満点です。人間ドラマも良く撮れていて、悪役かと思っていた興行主オハラがジョー脱出に大活躍するようになるところなぞ傑作で、製作のジョン・フォードが助監督まで務めている効果が出ている感じがします。 ちょっとジョー君の顔つきがゴリラらしくないところが難点ですが、ラストのアフリカからのムーヴィー・レターのくだりは、なんかほっこりさせられました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-04-30 21:39:17)(良:1票)
9.  SOSタイタニック 忘れえぬ夜 《ネタバレ》 
観て驚きました、『タイタニック』はこの作品のリメイクみたいなものなんですね。随所に『タイタニック』で観たことある様なカットが観られます。イズメイ社長がこっそりボートに乗り込んで船員に軽蔑の眼差しを向けられるところや、“不沈のモリ―・ブラウン”が救命ボートで船員に喰ってかかるシーンなど、枚挙に暇ありません。極めつけはアンドリュース技師がダイニング・ルームで死を待つシーンで、暖炉に手を突いて時計を眺めるところなど『タイタニック』ではキャメロンはそっくり真似というか再現しています。このシーンでアンドリュー技師が話しかけるカップルこそ、ジャックとローズの原型なんですよ。製作当時には船体が折れたことなどが判明していなかったのですが、沈没の様子はミニチュア特撮ながらかなり忠実に再現しています。『タイタニック』では無視されていたカルフォルニアン号とカルパチア号の事はかなり克明に描かれていました。 こうやって観ると、ラブロマンスの要素がない分事実の重みが伝わってきますね。キャメロン版でタイタニックものはやるべきことはやり尽くした感がありますけど、本作も歴史の中に埋もれさせるにはもったいない一篇です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-05-16 20:28:04)(良:1票)
10.  エイリアン2 《ネタバレ》 
自らがゼロから創造したターミネーターと違って、キャメロンは雇われ監督なのでかえってオリジナルを大胆にパワー・アップ出来たのではないでしょうか。密室劇的なプロットを広大な基地全体に拡大させ、エイリアン・モンスターをソルジャーとして雑魚キャラのように膨大な数を繰り出す。もちろんこれはエイリアン・クイーンというボスキャラを活かすためですが、海兵隊との壮絶な闘いはまるで集団抗争時代劇の様相を呈して、もうこれは『十三人の刺客』をSF化した様なものです。 本作からウェイランド湯谷社がその邪悪な本性を表し始めます。スカイネット社(ターミネーター)、タイレル社(ブレードランナー)、アンブレラ社(バイオ・ハザード)とともにSFブラック企業四天王の一員ですけど、やっぱ湯谷が最右翼ですね。宇宙間で鉱物採掘と運搬業を営み、自社で未知の惑星を丸ごと開拓までしちゃうんですから、まさに英国東インド会社の未来版という感じです。リプリーが57年後に目覚めても、少しも衰えず活発に企業活動を続けているというのだから大したものです。でもエイリアンを生物兵器として使うと言うのが、自分にはどうしてもイメージできません。電波でコントロールできそうもないし、ペスト菌の様なつもりで敵陣に放り出すのでしょうか。そんなことしたら、ペスト大流行どころじゃ済まない世界的大惨事になりゃしませんかね。 思えば、冒頭の宇宙ステーションのシーンでは、リプリーはこのシリーズでもっとも地球に近い場所にいたんですね(涙)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-01-03 21:51:22)
11.  英国王のスピーチ 《ネタバレ》 
「オスカー獲るほどの映画か?『ソーシャル・ネットワーク』の方がいいじゃん」という批判があったことは承知してますけど、まあこれはこれで良かったんじゃないですか。作品賞はともかくとしても、演技賞は三人とも受賞すべきだったのは間違いなしです。とくにジェフリー・ラッシュ、なんか怪しげなところもあるライオネル・ローグを絶妙な演技で表現していて、脱帽です。コリン・ファースが手に汗握るスピーチをしている前で、始めはまるでオーケストラの指揮者の様に奮闘していたラッシュが、最後には王の言葉に打たれて畏敬の念を示してゆくのはホント名シーンでした。そしてバックにベートーベンの交響曲七番第二楽章を流されては、もう泣くしかありませんでした。 余談ですが本作の日本版予告編は予告編史上に残る大傑作だと思います、これだけで泣けます。
[DVD(字幕)] 8点(2011-11-16 20:54:41)(良:4票)
12.  エグゼクティブ・デシジョン 《ネタバレ》 
昔から何度も観てるけど(TVで流れたりするとついつい最後まで観ちゃう)、だんだん味が出てきて自分の中では熟成してきたワインみたいな作品。というか、セガールやラッセルのひねくれた使い方が絶妙な、90年代B級映画の最高峰ではないでしょうか。 セガールがいなくても、結局ジョン・レグイザモ以下の部下たちが突入すれば一瞬で片がつくほどで、乗っ取りテロリストたちはご面相はともかくとして実に弱っちぃ。そこをあの手この手を使って“突入出来ないスリル”に持ってゆく脚本の勝利でしょう。9.11が起こってしまったのでこの手のプロットのハイジャック映画はもう製作されることはないでしょうが、『ユナイテッド93』よりもよっぽど本作の方が面白い。
[DVD(字幕)] 8点(2011-02-10 19:24:24)(良:1票)
13.  エクソシスト 《ネタバレ》 
昔話になりますが、この映画は公開当時の騒ぎが本当にすごかった。当時中学生だった私は友人たちと日曜日に銀座に観に行ったのですが、午前中に着いたのにすでに劇場を3重に取り囲む行列で観るのをあきらめました。そしてその週の平日に授業が終わってから部活をさぼってまた銀座に行き、ようやく観られたという思い出があります。当時メディアでは大々的に取り上げられていて予備知識は豊富に持っていたのですが、実際に観ると想像をはるかに超えた内容で、劇場内も自分を含めて観客みんな体がかたまったような反応だったのを覚えています。見直してみて思ったのは、意外と悪魔の能力が慎ましい(?) ような感じを受けます。カラス神父から母親の旧姓を言ってみろと要求されても答えなかったり、神父から聖水だと言ってただの水道水をかけられてもだえ苦しむなど、本当にこいつは悪魔なの?と感じる部分もあります。CG全盛の最近の映画は、この手の悪魔や悪霊がやらかす悪事が映像的にどんどんエスカレートしており、かえって怖さがなくなっているのではないでしょうか。冒頭で悪魔が復活したことを暗示するシーンの場所はイラクの遺跡発掘現場ですが、そもそもイラク近辺は成立以来キリスト教がもっとも普及しなかった地帯でしょう。つまりこの映画では悪魔を宗教的な存在として語るよりも、普遍的に存在するがそれまで人類が認知できなかったエイリアンのような(?)ものとして表現する意図もあったのではと思っています。悪魔払いをする二人の神父はカトリックのイエズス会所属ですが、米国ではカトリック信仰自体がマイノリティで時には差別の対象でもあることも忘れてはなりません。そういうことがこの作品を単なるホラー映画をはるかに超越した傑作にしていると思います。
[映画館(字幕)] 8点(2009-07-05 02:26:15)
14.  エウロパ 《ネタバレ》 
いやー、皆さん思ったより辛口の批評ですねえ、私はけっこう見応えがあったと思いますけど。この種の映画の十分の一という低予算だったということを考えると、セットやCGはけっこう頑張ったんじゃないでしょうか。もちろん低予算を活かしたような新手の語り口ではありますが、こういうハードなテーマに正面から挑戦したスタッフには拍手してあげてもいいんじゃないかな。衛星エウロパの描写も良く取材してあり、センス・オブ・ワンダーが感じられます。暗くて一瞬しか見せないけど、やはりあれはイカなんですよね。でも未知の天体の水中に生息する生命体がイカのような形態をしているというのは、なんか説得力がある気がします。 ストーリーテリングはモキュメンタリ―(疑似ドキュメンタリー)というほど凝ってはいなくて、地球のスタッフが知ることのできなかったエウロパでの出来事に彼らへのインタビューがインサートされるというスタイルですが、その中で流れる探査船の女性飛行士の映像にはすっかり騙されました。聞き手に向かって語り掛けているインタビューとしか見えないので、てっきり少なくとも彼女は地球に生還出来て証言しているのだと思っていました。ところがそれは通信が復旧したら発見されるように残した、いわばビデオ版遺書みたいなものだったと判って「引っかけられた!」と心の中で叫んでしまいましたよ。こういうトリックのある脚本は、私好きです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-21 21:56:26)(良:1票)
15.  エグザム 《ネタバレ》 
ソリッド・シチュエーソンもの映画としてはその低予算とシンプルなプロットはかなりハイレベルでございました。題材を採用試験にしたことはアイデアとしては抜群だと思いますが、現実に企業の人員採用に携わったことのある人なら、ちょっと違和感を覚えることもあるでしょう。実際に日本の企業でも、さすがに「白紙の問題用紙」なんて極端なケースはなかったですけど、それに近い意表を突く課題で入社試験を行った会社を知っています。でもどちらかというと日本の場合は企業より学生の方が突飛なことをしたという話が多く、面接でマヨネーズを一本丸ごと飲み干すという芸(?)を披露してソニーに採用されたという都市伝説まがいの話がバブル期にはありましたよね。 まあそういう実体験もあり、この映画での試験問題の出し方とその答えというかオチに関してはさほどサプライズはなかったですね。そもそも途中で退室させられるフランス語を話す試験番号1番が怪しすぎ、絶対に後半でまた絡んでくるということは、誰でも読めるでしょう。候補者のうち六人が警戒しながらも協力というか共同作業してゆくという展開は。この手の映画のお約束ですけど映画自体の出来・不出来を左右する大事なところです。その点では本作は緊迫感を持続させる巧みな脚本です。だって他のソリッド・シチュエーソン映画と違って命がかかっているわけではなく、失格したら何事もなく退室できるというかなり緩い状況でこれだけ緊迫感を出せたんだから、大したものです。そしてラストがなんか明るく希望を感じさせてくれるのが同ジャンルの映画とは決定的に違うところでしょう。 観て損はないと私は思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-05-16 23:37:27)(良:1票)
16.  エルマー・ガントリー/魅せられた男 《ネタバレ》 
テーマ自体が大多数の日本人には縁遠いというか嫌悪感を催すことなので、評価されにくいでしょう。この映画で描かれているのはプロテスタント信仰であり、同じアメリカ人でもカトリック信者はこういう狂信的な信仰を嫌うところは日本人以上かもしれません。伝道師のジーン・シモンズの言動には“危ない人”としか思えない部分もあり、とてもじゃないけど感情移入しがたいです。その半面、バート・ランカスターが演じるエルマー・ガントリーは過剰なほど人間味があふれるキャラです。本作でのランカスターの驚異の弁舌力はもう圧巻です。彼がその能力を活かして宗教界の大立者になってゆくストーリーだと思っていたら、実はそう単純なお話しではなかったというのが、この映画のひねったところかもしれません。脇で新聞記者らしからぬ冷静な視点でシモンズとランカスターを追ってゆくアーサー・ケネディもなかなか良い味を出していました。シモンズが奇跡らしきものを起こした途端に失火で教会が焼け落ちるラストの展開も、「お前、調子に乗るんじゃないぞ!」という神様の怒りが爆発したみたいに感じませんかね?そう考えると信仰に対するけっこうシニカルなニュアンスも垣間見られる気もしますし、もっと評価されても良いんじゃないかと思います。
[ビデオ(字幕)] 7点(2019-05-08 23:38:12)
17.  エイプリル・ソルジャーズ ナチス・北欧大侵略 《ネタバレ》 
デンマークは実はヒトラーが第二次大戦で侵略した中で最短で降伏した国ということになります。1940年4月9日真夜中に侵攻が始まり半日余りで政府は降伏しドイツに占領されましたが、そりゃ第一次大戦も中立で参加していない小国ですから、ドイツと戦って国土を守れるわけがありません。同じような立場だったオランダが激しくドイツに攻められてロッテルダムまで爆撃されて大被害を受けたことを考えると、賢明な選択だったようにも思えます。でも降伏の情報を知らなかったといえドイツ軍と戦闘した部隊が存在したということは、国際政治では重要なんです。侵略に対してたとえどんな形であろうと反撃できない国家は、長い目で見れば他国から軽んじられることになるでしょう。同じゲルマン系という誼か政府は存続を許されましたが、東部戦線に義勇軍を派遣したりとドイツに協力させられました。でも老齢の国王は飛びぬけて反独で、ヒトラーからの長文の誕生祝の電報に「ありがとう」と一言だけ返信してヒトラーを激怒させたというエピソードが伝わっています。 というたった半日の戦争をデンマーク軍の側から描いた、これはデンマークじゃなきゃ撮られない貴重な映画だとおもいます。戦車や装甲車で攻めてくるドイツ軍に対して、デンマーク軍は歩兵だけで自転車で移動するというところが対照的です。この映画は彼らデンマーク兵たちが緊急招集されて訓練され、戦闘に巻き込まれて行くまでの過程をけっこう丁寧に描いていて好感が持てます。半日で終わってしまった戦争ですから壮絶に戦って全滅するなんてことはなく、最後は弾薬が尽きて降伏という淡々とした結末でデンマーク兵にもさほど戦死者は出ません。でも何が起こっているのかわからず路上に出てきた市民が戦闘に巻き込まれ、少年が射殺されるシーンはちょっとショッキングでした。 もうすっかり歴史の渦の中で忘れられた挿話なんですけど、こうやってきっちりと映像に残しておくという姿勢は大事なんですよね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-11 23:42:02)
18.  SF/ボディ・スナッチャー 《ネタバレ》 
うっかりしていました。中坊時代の自分にとって最大のトラウマ画像だったあの人面犬がこの映画のものだったなんて、私はてっきり人面犬は『悪魔のワルツ』にだけ登場したアイコンだと思っていました。ジャクリーン・ビゼット大好き少年だったけど『悪魔のワルツ』だけは怖くて観れなかったんですが、まさかこの歳になって予想もしない映画でご対面するとは…不覚でした。それにしてもなんの脈絡もなく突然登場して一瞬にして消えていった人面犬、もう監督の頭の中が理解できません。 冒頭から終りまで不安定なカメラワークと不気味な音楽、効果音としても街中に響くパトカーのサイレンが引っ切り無しで、こりゃあSFというよりホラーですね。徹底的に低予算で押し通せるプロットなのに、舞台を大都市にしてドナルド・サザーランドに火事を起こさせて反撃させたり、オリジナルよりもスケールアップさせた感が強いですね。そう言えば、第一作の監督ドン・シーゲルがタクシー運転手役でカメオ出演してます。その分オリジナルが持っていたアメリカの共産主義恐怖症のメタファーは薄れている感じがしますが、この設定自体は時代を超えて通用する何かがあるんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-02 20:11:03)
19.  エディ・コイルの友人たち 《ネタバレ》 
何と言うか、とてつもなく地味な映画です。ですけどその人間描写はリアルでぐいぐいと引き込まれてしまうところがあります。 ロバート・ミッチャムが演じるエディ・コイルという犯罪組織の末端にうごめく中年男が主人公です。こいつは若造には見栄を張ってでかいこと言うけど、実際には仲間の悪事を当局に売っている情けない男なんです。でも彼は妻子をこよなく愛しゴミ出しまでしてあげる様な人間なので、観ていて切なくなってくるしとても憎めないキャラです。ロバート・ミッチャムはタフガイ役が多かった役者ですが、意外と彼は物静かで弱さが表面に出るようなキャラを演じさせたら上手いんです。『ライアンの娘』なんかも良かったですよね。実はタイトルの『友人たち』というのがまた痛烈な皮肉になっていて、類は友を呼ぶじゃないけど仲間たちもろくでもない連中ばかり、中でもいちばん親しそうなバーテンはライアンが垂れこんでいるのと同じ捜査官に彼のことをチクっている始末です。 冒頭からライアンが銃を調達してやった仲間たちが繰り返す銀行強盗が平行して描かれますが、これがけっこう緊迫したシーンの連続で引き込まれます。同時にライアンたち小物の悪党の生態を見せられるのですけど、この緩急をつけた撮り方が実に巧みです。この頃はピーター・イエーツの技量が円熟期を迎えていたのですが、彼は俳優から演技を引き出すのがほんと上手です。 けっきょくエディ・コイルは自分が犯した凡ミスで組織に疑われてしまい“友人”のバーテンダーに命を取られてしまうんですが、この死にざまもドラマチックな演出はまるでなく「えっ、これが殺しなの?」と言う感じなんです。でもね、このエディ・コイルの生きざま・死にざまを観て身につまされる人は多いんじゃないかと思いますよ。カタルシスは皆無ですが、そんだけリアルな映画だったということです。
[DVD(字幕)] 7点(2015-08-24 23:08:08)
20.  エンド・オブ・ザ・ワールド(2012) 《ネタバレ》 
「もしブルース・ウィリスが『アルマゲドン』で小惑星の爆破に失敗したら、人類は残された時間をどうやって過ごすだろうか?」という妄想を映像化しました、って感じでしょうか。世界の情勢はほとんど判らず、主人公のカップルの周りで起こっている出来事だけで人類の滅亡を見せるとは、ラース・フォン・トリアーの『メランコリア』への返歌という意味合いもあるのかもしれません。私は『メランコリア』は未見ですけど、あくまでファンタジーだと判っていても本作で名もない庶民たちが見せる様々なリアクションは微笑ましくも有りまたリアルです。来週も来る気でいるハウスキーパーのおばさんやスピード違反の取り締まりに一生懸命な警官って、人間は恐怖から逃れるために無意識にルーティーン・ワークに没頭したがるものだという本質を突いていますね。 スティーヴ・カレルとキーラ・ナイトレイという意表を突いたようなキャスティングも良かったですね。二人とも良い演技でしたし、奇しくもそれぞれ別の作品で今年のオスカー演技賞にノミネートされたのも当然の結果かもしれません。ラストにバート・バカラックの『ディス・ガイ』を流してくれるところなんか、思わず涙がこぼれそうでした。
[DVD(字幕)] 7点(2015-03-30 23:43:01)
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