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プロフィール
コメント数 2380
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  の・ようなもの 《ネタバレ》 
森田芳光は本作が商業映画デビュー、そして志ん魚=伊藤克信もこれが俳優デビュー作。初見の折は伊藤の強烈な栃木訛りと棒読み調セリフ回しには度肝を抜かれました。これが森田の演出なら特異な演技力の持ち主ということになりましょうが、彼はそもそも日光出身だしちょっと前までは素人だったんだから、たぶん素なんでしょう。森田芳光の演出も初期・森田の特徴であるシュール調が織り交ぜられています。銭湯のシークエンスに於いて、男湯でなぜか一人だけ女性が脱衣しているのに誰も反応を示さないというシーンは、何度観ても訳が判らん(笑)。女子高落研部員たちも、みなたどたどしいというか素人っぽい演技(この中にはなんと若き日のエド・はるみがいる)。でもそんな中でも、尾藤イサオと秋吉久美子が見せる演技はさすがでした。尾藤はオープニングとエンディングでは歌声まで聞かせてくれる大サービス、これは浜田省吾が作曲でこれまたいい雰囲気なんだなあ。秋吉はソープ嬢なのにお店ではビキニ姿、70年代はけっこう脱いでいた印象があるんですけど、もう出し惜しみですかね(苦笑)。また志ん魚はじめ若手噺家たちが、私生活はみんなアイヴィー・ルックなのもなんか80年代らしくて良かった。この映画の登場人物はみな善人でしかも裏表がないというのも、ある意味珍しい部類の映画と言えるでしょう。そして、付き合ったJKの父親から「お前の落語は下手くそ」と酷評されて隅田川ベリから浅草仲見世を抜けて歩いて帰るシークエンスは、やはり森田映画きっての名シーンでしょう。 心がささくれだった時こそ観るべき、森田芳光の落語への愛が迸る一編です。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-10-29 22:51:46)
2.  ノック・ノック 《ネタバレ》 
これはあのカルト映画『メイク・アップ』の完全なリメイクですね。オリジナルのイカレ女コンビのソンドラ・ロックとコリーン・キャンプがそれぞれ製作陣で参加していますし、コリーン・キャンプはワン・シーンですが出演すらしています。それがまた驚くような変貌ぶり、完璧なメタボ中年おばさんですからねえ。最近はプロデューサー業に進出しているそうですが、『地獄の黙示録』のミス五月がここまで行くとはもう絶句です。あとオリジナルの監督まで製作総指揮ですから、これはまるで同窓会ですよ。それをカルト映画のリメイクが趣味みたいなイーライ・ロスが撮っていますのでその不快感は当社比120%、これは『ファニーゲーム』を超えてるんじゃないかな。 ここまで弱っちくて情けないキアヌ・リーヴスを見せられたら、女性ファンは悲鳴を上げるでしょう。ふつうのハリウッド・セレブならこんな役オファーが来たら即拒否でしょうが、キアヌ・リーヴスは自ら製作総指揮で陣頭に立つぐらいですからやる気満々、この人実はマゾ性癖なんじゃないでしょうか(笑)。こういうキャラは影で悪事を働いていたりして何かしら弱みがある設定がふつうですが、この映画のキアヌくんはあまりに非の打ち所がない善人なので、あまりの理不尽な仕打ちをされるのを見せられると、同情よりも糞女たちへの怒りが倍加させられます。どこかで反撃に移りジョン・ウィック化するはずだと誰もがハラハラしながら観続けると思いますが、イイ線行くかと思わせておいてキアヌくんは肝心なところではドジを踏んでばかり、あの無情なラストはそれこそ『ファニーゲーム』に通じるところがあります。ちょっと疑問だったのはイカレ女たちがキアヌくんの友人を殺しちゃってるところで、もし殺しがなかったらあのラストは超絶ブラックですけどブラック・ユーモアとして閉じることもでき、その方が後味が良かったんじゃないでしょうか。私は未見ですが話によるとオリジナルのラストはちょっとスカッとするそうで、そこを踏襲しなかったのはいかにもイーライ・ロスらしい感じがします。 最近知りましたが、ソンドラ・ロックは昨年11月に亡くなったそうです。でも今年のアカデミー賞授賞式の追悼コーナーでは取り上げられていませんでした。イーストウッドと揉めたので、アカデミー協会に嫌われていたのかな、でもちょっと寂しいですね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-03-28 10:18:30)(良:1票)
3.  ノスフェラトゥ(1978) 《ネタバレ》 
ムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』がマイ・フェヴァリットと公言するヴェルナー・ヘルツォークが、リスペクトと新解釈を込めたリメイクです。 ストーリー・ラインはオリジナルとほぼ一緒(ということはブラム・ストーカーの原作にも忠実ということ)様々なオリジナルと同一のカット割りが発見できます。変なところもあって、ノスフェラトゥがドラキュラ伯爵など主要な登場キャラは原作通りの名前に戻っていますが、ジョナサン・ハーカーはロンドンではなくバルト海沿岸の都市ヴィスマールの人という設定です。これはオリジナルがヴィスマールでロケされたという故事に思い入れがあったようですが、そのヴィスマールは東独領になっていてロケは不可能、どうも実際はオランダあたりで撮影されたみたいです(随所で風車が遠景になっていることからも明白)。つまりオリジナルではドイツの都市がクライマックスの舞台で登場キャラもドイツ人だったのに、ドイツの都市に英国風の名前の人がたくさんいるという変な設定になっちゃっているわけです。ここら辺の監督の意図は完全に?です。 なんといっても「辺境大好き」のヘルツォークですから、ジョナサン・ハーカーのトランシルヴァニアへの旅からして、その風景は僻地探検ものような味わいです。クラキンのドラキュラ伯爵はこれまたオリジナルのオルロック伯爵とほぼ同一といっていいメイクで、これができるのはクラキンしかいなかったと思います。不気味さはマックス・シュレックには弱冠劣りますが、「死ねない、永遠に生きる運命の悲しみ」がひしひしと伝わってくる演技で、冷静に考えると歴代ドラキュラ役者の中でもトップかもしれません(クリストファー・リーより上かも)。ヘルツォーク映画には欠かせないポポル・ヴーの音楽がまた不思議とドラキュラ物語にマッチしてるんですねえ。 ドラキュラ城で二回現れるヴァイオリンを弾く少年は何だったの?などと訝しんでいると、後半ペストが街に蔓延するあたりからヘルツォークの幻想趣味が炸裂し始めます。こういうヤバめのストーリー展開になると、イザベル・アジャーニが生き生きとしてくるのがまた不思議。ネズミ嫌いの人には耐え難い映像の連続でもあります。そしてびっくりしたのはヴァン・ヘルシング教授がドラキュラの心臓に杭を打ち込んでからの展開で(ドラキュラを殺して逮捕されるヴァン・ヘルシングというのも珍風景ですが)、オリジナルはもちろん他のドラキュラ映画でも見たことがない幕の閉じ方です。ここが観れたのが、この映画の最大の収穫だったかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-07-25 22:46:46)(良:1票)
4.  野火(1959) 《ネタバレ》 
これが現実だったんでしょうけど、日本兵たちの汚れっぷりは凄いもんですね。みんなひげ面で軍服だったとは想像もつかないようなぼろ布を身にまとい靴はボロボロ。最近の太平洋戦争をテーマにした邦画が観るに値しない大きな理由は、俳優たちをここまで汚くさせないところでしょう。船越英二なんか、もちろん役作りには力を入れたんでしょうけど、ひげ面に目ばかりギョロギョロさせていて真に迫っています。この映画はその船越英二演じる田村一等兵の彷徨を描いたロードムービーみたいなものです。教会のある村で出くわしたフィリピン人女性をいきなり射殺するエピソードなんかは唐突過ぎる気もしますが、その他の彼が出くわす人々や戦闘も、まるで田村一等兵が死ぬまでに見た幻想のように観ることもできるでしょう。ということもあって、人肉食というショッキングなテーマもちょっと薄らいでいる気もします。まあそこら辺が市川崑らしいとも言えますけど。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2017-04-14 22:32:30)
5.  ノーマッズ 《ネタバレ》 
これが『ダイ・ハード』を監督したジョン・マクティアナンのデビュー作なんだそうですが、はっきり言って仕上がりは微妙でした。SFでも純粋なアクションでもなくホラーなわけですが、なんかおどろおどろしい雰囲気だけは感じられますが、何が起こっているのかわかりにくいせいで、あまり怖くはなかったです。要は、「死霊がパンク野郎の姿になって追っかけてくる」ということみたいですけど、インパクトは今一つという感じです。途中で出てくる怪しげな尼僧は印象深かったんですが、もっとここを膨らませた方が良かったんじゃないでしょうか。妙に情感たっぷりなビル・コンティの音楽もあまりマッチしてなかった感があります。ビルの屋上からピアース・ブロスナンが悪霊を突き落とすシーンには、「なるほど、確かにこの監督は『ダイ・ハード』を撮ることになっている人なんだな」と思わず苦笑してしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-07-29 23:31:31)
6.  呪われたジェシカ 《ネタバレ》 
この映画はむかしTV放映されたことがあり、今までソフト化されてませんでしたがTVで観た人たちの間ではカルト化していた幻の映画です。私は本作を観るのは初めてですが、果たしてどんなもんでしょうか。 いかにも70年代という雰囲気のアメリカの田舎町にNYからドロップ・アウトしてきた夫婦とその友人の男が引越してきます。新居の田舎家にはヒッピー娘がねぐらにしていて、共同生活することになります。妻はどうも精神を病んで入院してたみたいで、外出する度に不思議な少女を見かけるのですが、周囲の人たちはまた病気かと相手にしてくれません。 不思議とどの紹介でも触れられていないんですが、この映画の元ネタはレ・ファニュの怪奇小説『吸血鬼カーミラ』なんですよ、と言うことはロジェ・ヴァディムの『血とバラ』の子孫(?)ということになりましょうか。『血とバラ』の方もソフト化されていない幻の傑作なので、観たことある人はほとんどいないというのが現状でしょう。でも本作のプロットには明らかに『血とバラ』を彷彿させるところがあります。幻想的な主人公のモノローグを冒頭とラストに持ってくるところはそっくりですし、物語が現実か主人公の妄想なのかをあえて曖昧にするドラマツルギーも一緒ですね。でも『血とバラ』の特徴である強烈な幻想性にはとても敵わないのですが、これは舞台がアメリカの田舎で陽光降り注ぐ昼間にストーリーが展開しますのでしょうがないですね。 でも説明描写をとことん排除した撮り方は不気味さを増幅させますし、謎の少女の扱いがちょっと予想外で驚きました。そういう面ではかなりアメリカ映画らしくないホラーであることは確かで、子供のころに観たらトラウマになったかもしれません。
[DVD(字幕)] 5点(2015-07-23 20:47:49)
7.  呪いの館 血を吸う眼 《ネタバレ》 
『血を吸う』シリーズも第二弾になってようやく真打ち岸田森が登場、ようやくヴァンパイア映画らしくなってきました。実はこの人設定では父親がドイツ人(大滝秀治がカツラ被って演じてますが、とても外人には見えない!)ということなので、論理的には白人かハーフと言うことになります。牙を剥いて獲物に襲いかかるところはなかなかの迫力で、さすが邦画界随一のヴァンパイア役者だけのことはあります。冒頭のシーンで映る能登半島の海岸の夕暮れ空は血の色を思い起こさせるどす黒いオレンジで、その幻想的な映像はハマー・プロのホラーに匹敵する水準かと思います。 物語は秋子と夏子と言う姉妹に秋子の恋人の医師が中心に展開しますが、妹の夏子は岸田森に血を吸われてお仲間になってしまいます。ヒロインは秋子なんですが、どこか由美かおるに似ているコケティッシュな妹の方に眼が行ってしまいます。この女優は江美早苗と言って、なんと由美かおると同じ西野バレエ団出身だったんですね。映画出演はたった五本で本作がいちばん大きな役ながらこの後すぐ引退。その後中里綴という名前で作詞家として活躍し南沙織や少年隊など多数の歌手に詞を提供しましたが、昭和63年に殺人事件に巻き込まれて非業の死を遂げるという数奇な運命をたどった人です。岸田森に血を吸われて呪われちゃったのかなぁ…
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-11-16 21:23:02)
8.  のら猫の日記
監督や音楽のJ・ルーリーなどJ・ジャームッシュ組のスタッフが撮った映画なので、この独特のユルさはジャームッシュ好きの人はきっと満足できるはずです。スカヨハの子役時代は初めて観ましたが、天才的な演技とは到底言えないけれどあの独特な表情は現在の彼女より上手いと思ってしまいました。ロー役のA・パラディノだってスカヨハに喰われっちゃって気の毒でしたが、これが映画デビュー作とは思えない好演です。この人はスカヨハみたいにブレイクしてませんけど、最近でもけっこう中堅女優として見かけますよね。それにしてもあの別荘のオーナー、いったいなんのためにこの映画に登場してきたのか、わたしには謎です(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-01-23 21:02:20)
9.  ノウイング 《ネタバレ》 
ディスカバリー・チャンネルで太陽フレアがとりあげられていて、誕生から40億年の歴史を持つ地球は過去に太陽フレアに直撃されたことがあった可能性があると聞いた後だけに、この映画で描かれる地球滅亡はなんかリアルでした。ところがキリスト教文明の世界観では、人類も恐竜などの様に絶滅するときが来ると言うことはどうしても許しがたいことみたいですな。この映画のプロットはキリスト教で言うところの“携挙(キリストが再臨するときに信者を天につれてゆく)”をそのまま画にした様なもので、そっちの方に話が暴走し始めるとせっかく前半のオカルチックな雰囲気が吹っ飛んでしまいました。だいたい、あの数字が羅列された紙はこの映画で結局なんの意味があったんでしょうかね。最近のハリウッドSF映画は安易に宗教をモチーフにする例が多すぎるんではないでしょうか。そう考えると、キューブリックやスピルバーグは偉大だなとつくづく感じてしまいます。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2011-07-18 23:16:43)(良:1票)
10.  のるかそるか 《ネタバレ》 
自分はてっきり1レースから最終レースまで全部あてて天文学的な大儲けをする話だと想像してたんですが、中穴を4回あてると言う地味というかわりと現実的(?)なお話しでした。この映画の風味は、そういうスリリングな愉しみよりもリチャード・ドレイファスの周囲の人間たちが織り成す人情小話といった趣です。ドレイファスとテリー・ガーの夫婦だなんて、その性格付けからして思いっきり『未知との遭遇』のパロディですよね。ジェニファー・ティリー、ミシェル・フィリップスといった脇をかためる女優が魅力的なのも良かったです。
[DVD(字幕)] 7点(2011-04-29 21:36:23)
11.  野のユリ
たぶん超低予算で撮られたと思うのですが、アイデアと語り口が映画には大事な要素なんだねと納得させてくれました。シドニー・ポワチエが演じる黒人青年は、あくまでアメリカの当時の白人が心に描いていた理想の黒人像であることは確かですが、あたかも神の使いの様な登場と退場するエンドシーンにしたことで、黒人の未来は今よりきっと良くなるぞ、というメッセージが感じられました。リリア・スカラと四人の修道女たちが面白いキャラで、観ているうちにだんだん可愛らしく感じられてきました。もしリメイクするのなら、ミュージカルとして撮ったら面白いんじゃないかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-03-03 21:58:48)
12.  ノーバディーズ・フール 《ネタバレ》 
正直あまり期待しないで観たのですが、これが予想をはるかに上回る良作だったので嬉しかったです。この映画のポール・ニューマンの演技は、彼の晩年でもっとも素晴らしいものだと私は思います。これでオスカー獲っててもおかしくなかったし、『ハスラー2』なんかより全然いい! こういう静かなほのぼのとした小品を撮らせると、ロバート・ベントンはホントに上手い人です。メラニー・グリフィスもなかなか魅力的な役柄でしたが、ほんの一瞬オッパイを見せる瞬間芸は笑わせていただきました。あれは、彼女のアドリブだったんじゃないでしょうか。ジェシカ・タンディもニューマンや他の共演者の素晴らしい演技に見送られる様に逝けて幸せだったのでは。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-02-04 00:32:30)(良:3票)
13.  ノーカントリー 《ネタバレ》 
コーエン兄弟映画に特有のブラックなユーモアが全く観られない不気味な作品。唯一それらしいかなと思われるのは、ウディ・ハレルソンの役名がオーソン・ウェルズをもじったカーソン・ウェルズというところかな(ちょっと考え過ぎかも)。“No Country”ならぬ“No Music”で押し通すところも、今までどちらかと言えば「音楽過多」気味な作品が多いので、観客の不安をあおる語り口と相まってなんか居心地の悪さが感じられます。 それはもちろんコーエン兄弟の計算された構成が狙った効果だけど、アントン・シガーという映画史に残るモンスターキャラがあまりに強烈だからでもあります。このキャラが不気味なところは、劇中の会話がとってもピント外れで、他人とのコミュニケーションが取れていない、と言うかとろうとしない不条理さです。 私はこの映画はコーエン兄弟版の『ターミネーター』だと感じました。シガーが風呂に浸かりながら傷を治療するシーンは、まさに『ターミネーター』へのオマージュですよ。 しかし、こんな実験作でオスカー獲っちゃったコーエン兄弟の行く末が個人的には心配です(すでにその兆候が顕れている様ですが)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-09-05 14:00:13)
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