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プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ブレードランナー/ファイナル・カット 《ネタバレ》 
2016年はロイ・バッティが製造された年です!ヤバい、あと三年でLAに酸性雨が降り注ぎ“強力わかもと”が世界のブランドになっている世界になっちゃうんですよ。昨年は『バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2』で盛り上がりましたが、三年後にはどんなお祭り騒ぎが観れるでしょうか?まあ内容がアレですから地味でマニアックなんでしょうね。 またこの映画こそ各種カルチャーにもっとも強い影響を与えたSF映画で、80年代以来サブカルの一翼を担ってきた傑作です。また“○○カット”という映画ビジネスにとって画期的な手法を産み出したのも偉大な(?)功績で、やっぱリドリー・スコットはビジネスの天才です。 その各ヴァージョンの中でもやはりこのファイルカット版がやはりベストですね。工業製品であるレプリカントが自らの死を自覚して苦しむ姿は何度観ても切なくなりますし、またデッカードとレイチェルの悲恋物語でもありSF恋愛映画としてもこのジャンルの最高傑作です。またこの版を観る限りではデッカードがレプリカントであることはかなり明白になっていると感じます。 「ついに」と言うか「止めときゃいいのに」と言うべきか、いよいよ今年から『2』の撮影が始まるそうです。そうなると必然的に“デッカード・レプリカント説”に回答が得られることになるわけですが、果たしてリドリー・スコットの胸中やいかに?
[CS・衛星(字幕)] 10点(2016-04-10 23:52:40)
2.  フレンチ・コネクション 《ネタバレ》 
我が“オールタイムベスト刑事アクション”はもう文句なしに『フレンチ・コネクション』です! この映画たしか公開時期は『ダーティ・ハリー』と思いっきりかぶっていた記憶がありますが、ハリー・キャラハンがマグナム.44なのにポパイはS&Wチーフ・スペシャル、しかも足首にくくりつけられるほど小型というのが対照的で面白いところです。 このポパイ刑事の行動、もはや人間ではありません、もう“犬”です。家族はいない、本能(ホシに喰らいついて離さない)のままに行動するだけ、ロマンスのかけらもなく性欲が要求すれば素人ねえちゃんをひっかける、激しい人種差別感情、アメリカ映画が生んだ最初のアンチ・ヒーローにふさわしいダメっぷりです。これも“映画を撮る狂人”フリードキンだから創れたわけで、あの迫真のカーチェイスの息を呑む迫力には狂気さえ感じるほどです。そしてまるで不条理、無常観がただようラストシーンとテロップがこの映画の本質をよく表しています。 フランケンハイマーが続編を撮りましたが、あまりに雰囲気が違い過ぎて私の中では本作とは無関係なスピンアウトという認識です。
[映画館(字幕)] 10点(2011-06-24 00:40:54)(良:1票)
3.  フィツカラルド 《ネタバレ》 
ほとんど誇大妄想狂の男が妄想した夢を追い求める物語を、狂ってるとしか言いようがない監督が間違いなくあっちの世界に片足を踏み込んでいる俳優を使ってこの世に残した奇跡の一編です。ご存じ、ヴェルナー・ヘルツォークとクラウス・キンスキーの最凶コンビの『アギーレ/神の怒り』以来のアマゾン秘境ものですが、クラキンとコンビ再結成するまでにはやはりいろいろあったみたいです。当初は主役がなんとジャック・ニコルソンで企画が始まったのにビビったニコルソンに逃げられ、ジェイソン・ロバーズを主役に迎えて撮影開始したのは良いが彼はロケ地で赤痢に罹って降板、困ったヘルツォークが嫌々ながら起用したのが因縁深いクラキンだったというわけ、しかしオファー受ける方もやっぱどうかしています(笑)。  しかしこんな突拍子もないストーリーを考えつき、実際に映画化しちゃうヘルツォークがいちばんの狂人で、フィッツカラルドはまさに彼の分身だと言えるでしょう。とにかくあの船に山越えさせるシークエンスの映像は、素手だけで山を切り拓く土木工事のドキュメンタリーを見せられている錯覚にすら陥りました。そしてジリジリと斜面を登ってゆく船、これはとんでもない映像を見せられてるんだと自覚させられました。何百人もいたんじゃないかと思える先住人のエキストラも、現代に同じような撮影をしたら人道問題で炎上必至でしょう。船が急流を流されてゆく映像も危険極まりない撮影ですが、『アギーレ/神の怒り』で筏に俳優を載せて急流下りをさせたヘルツォークですから、「今度はボロとはいえちゃんとした船だから、ヘッチャラでしょ」と感覚がマヒしていたのかも(笑)。 そして意外だったのは、このストーリーがハッピーエンドで幕を閉じたことでした。船上でのクラキンが見せる爽やかな笑顔は、最高の表情です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-06-21 22:10:20)
4.  ファントム・オブ・パラダイス 《ネタバレ》 
今回観直してみてつくづく実感したのは、その後のどのデ・パルマ作品にも本作と似た作風がないということです。彼はもちろんミュージカルをその後撮っていないわけですが、これほど見事なロック・オペラを撮れた人なのにそれは不思議ですらあります。ストーリーテリングがまた自由奔放の限りで、デ・パルマ印のヒッチコック・オマージュも『サイコ』のシャワー・シーンのパロディがあるぐらいなのがかえってウザくなくて好感が持てます。ストーリーは『オペラ座の怪人』+『ファウスト』+『フランケンシュタイン』というところですが、思った以上に『ロッキー・ホラー・ショー』の影響を感じました。映画製作は『ファントム』の方が早いけど、『ロッキー』の舞台版は『ファントム』の前年には上演されているので、デ・パルマはきっと観ていたに違いないと思います。ビーフのキャラを見てると、『ロッキー』のティム・カリーにそっくりだし、舞台版でも第一幕で“Science Fiction/Double Feature”が歌われる場面に仮面をつけたファントムが登場するそうです。昔名画座で『ファントム』と『ロッキー』の二本立てプログラムが流行ったのは、けっこう的を射ていたわけです。そういえば『Tommy』や『ジーザス・クライスト・スーパースター』もあったし、70年代はロック・ミュージカル映画の黄金期だったんですね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-09-21 22:54:52)
5.  豚と軍艦 《ネタバレ》 
唐獅子みたいなご面相で決して美人とは言い難い吉村実子、でも不思議とこの人には引き付けられる魅力があるんです。まして本作が17歳のデビュー作、とても高校生の新人とは思えない溌溂とした演技が素晴らしい。数年前に『徹子の部屋』に出演しているのを見ましたが、すっかり魅力的なおばあちゃんになっていて感慨深かったです。 今村昌平の最高傑作と言えば、やはり本作になるんでしょうね。この映画が若き日のマーティン・スコセッシに衝撃を与えたという逸話は有名ですが、確かにピカレスクものとしては『グッドフェローズ』に通じるところがあるかもしれません。今村昌平らしく“敵はアメリカ”“悪はヤクザ”という徹底的に冷徹な視点、ヤクザ業界とズブズブな東映じゃないのでヤクザ組織のクズっぷりをこれでもかと突き付けてくれますが、ここもマフィアに厳しいスコセッシと通じるところがあるのでは。でも長門裕之と吉村実子のカップルはまさに「どぶの中の青春」という感じですけど、まだ少年の面影が残る長門裕之の弾けっぷりが見ていて愉しいです。印象良かったのは兄貴分の丹波哲郎で、肩の力が抜けた軽やかなコメディ演技ができたとは意外でした。丹波が横須賀線の電車に飛び込もうとするシーンで線路際に建っている大きな日産生命の看板、強烈なブラックユーモアでした。でもよく見るとタイトルロールに「協賛 日産生命」と出てました(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2018-10-12 23:08:36)
6.  ブルース・ブラザース
コメディ映画としては『1941』に匹敵するほどのクドさがありますが、ミュージカル映画として観ればこれほどぶっ飛んで躍動的な作品は珍しいんじゃないでしょうか。伝説のジェームズ・ブラウンを筆頭に、レイ・チャールズ、キャブ・キャラウェイ、アレサ・フランクリンというキラ星の様なR&Bの大御所たちが勢ぞろいしているんですから、もう感涙です。ジェームズ・ベルーシの“踊れるデブ”っぷりも見事で、改めてこの人は物凄い才能を持った人だったんだなと思いました。ダン・エイクロイドも若いときは細身でカッコよかったわけですが、そういやこの人最後までサングラスを外しませんでしたね。この二人がやはり出演している『1941』とどうしても比べたくなりますけど、ジョン・ランディスのコメディと音楽のセンスにはスピルバーグはとうてい敵わないということでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-04-12 20:44:22)
7.  ブラッド・シンプル ザ・スリラー 《ネタバレ》 
今まで色んな映画作家のデビュー作を観てきたけど、ここまで完成度の高いデビュー映画は後にも先にも本作だけです。もちろん再編集版『ザ・スリラー』で鑑賞したことは承知してますけど、DVD特典で観られたオリジナルとの相違点をチェックしてみても、あたりまえだけど基本的に同じ映画だと判ります。レイがマーティを埋めた畑から車で立ち去るロングショットなんか、デジタルリマスターの力であのほとんど黒に近いブルーの色調が見惚れるほど鮮やかになってますよ。このブルーを強調した映像や音楽の雰囲気そして大胆なカット割りなんかを観てると、そう、北野武の映画と空気がすごく似ているんです。例えると、凄く良く出来た脚本の北野映画という感じです。彼はこの映画を絶対に観て影響を受けてますよ。 冒頭でインチキ解説者を登場させて「この映画はフォーエヴァー・ヤングです」なんて言わせるところなんか、コーエン兄弟のすっとぼけたユーモアがわたしには大受けでした。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-29 23:35:08)
8.  ファニーとアレクサンデル 《ネタバレ》 
ベルイマンの映画を大して観たわけではないけど、これは自分にとっては初めての“色つき”ベルイマンです。クリスマスパーティに始まり赤ん坊のお披露目パーティで終わる、これはもう素晴らしい人間賛歌ではないでしょうか。夫が孕ませたメイドを平気な顔で家族の一員として迎えるグスタフの妻をはじめ、この愛らしいエクダール家の面々がもう最高です。死んでからも亡霊となって現れるオスカル、このヤール・キューレという俳優の演技には心を揺すぶられました。ラスト、アレクサンデルの背後から現れたのはオスカルだと思っていたら、なんと司教の亡霊だったというのはサプライズだったしゾッとさせられました。 ふつう巨匠と呼ばれる映画監督でもたいがい晩年は力量が衰えるものですけど、ほとんど遺作といってよいほどの本作がこれほどの傑作とは、ベルイマンは恐るべき人です。
[DVD(字幕)] 9点(2012-12-26 22:18:25)
9.  プライベート・ソルジャー<TVM> 《ネタバレ》 
TVMながらも並みの劇場映画をはるかに凌駕した、知られざる傑作戦争映画です。同時期に製作された『プライベート・ライアン』や『バンド・オブ・ブラザーズ』がレンジャー部隊や空挺部隊といったエリートの物語であるのとは対照的に、本作でとりあげられている師団は、兵卒も大半が徴兵されたばかりの普通の連中。主人公のマニングという兵士、ちょっと他の戦争映画ではみたことない様な卑劣で赤裸々な奴で、上官と取引して除隊の約束をさせるシーンで見せるニヤニヤ顔は人間の卑しい部分を見せられて強烈です。「ニタニタするな!」と大尉に怒鳴られるのも当然です。戦争では市街戦のつぎに兵士が嫌うのは森林戦だそうで、霧で視界が悪く地雷だらけの森で突撃させられるのは、ホント恐ろしさがひしひし伝わってくるシーンでした。冒頭で背負ってた戦友を途中で見捨てたマニングが、ラストは一度は見殺しにしようとした部下に背負われて死んでゆくのはなんという皮肉でしょうか。
[ビデオ(字幕)] 9点(2012-02-11 23:00:05)(良:1票)
10.  ブロンコ・ビリー 《ネタバレ》 
深刻なテーマを取り上げる様になる映画としては完璧な後年の作品より、初期から中期の軽く荒削りなタッチのイーストウッド監督作の方が個人的には好みです。その中でも本作はイーストウッドのベストフィルムと言っちゃってもいいんじゃないかな。 他愛もないお話しなんですが、弱者や負け組への温かいまなざしがとても心地よい。ブロンコ・ビリーを始め登場人物の造形が良く考えられていて生き生きしている。サンドラ・ロックのツンデレぶりと後半のイーストウッドへのデレデレぶりの変わりっぷりが、イーストウッドの男としての願望がストレートすぎるほど単純に表現されていてもう笑うしかありません。ジェフリー・ルイスの絡み方などはストーリー・テリングとしては粗さが感じられますが、実に愛すべき一篇です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-03-31 23:08:00)
11.  ファーゴ 《ネタバレ》 
“実話”なんて大ウソで、実在するのは地名ぐらいでしょう。その地名にしたって、タイトルになっているファーゴからして冒頭ブシェミたちが打合せに集まった場所ですが、その後まったくストーリーに無関係というおとぼけぶりです。田舎の町ですから警察署長を始めのんびりした人ばかりのところに、ウィリアム・H・メイシーが立てた間抜けな誘拐計画のためにやって来たよそ者二人が期せずして凄惨な殺しを重ねてゆくところは、後年の『ノーカントリー』に繋がってゆくわけです。メイシーのかみさんが拉致されるシークエンスは、侵入してくるところから実に怖いカットの連続なのですがドタバタ喜劇の様なかみさんのリアクションが妙にシュールに見えてコーエン兄弟の演出の真骨頂です(このかみさん、その後殺されるまでずっと袋かぶせられたままというのもおかしい)。フランシス・マクドーマンドの食事シーンが何度かありますが、どれも脂ぎった喰い物をバクバク平らげているのが、とってもグロテスク。「食べる」ことは「生きる」ということに直結しているということが言いたいシンボリックな表現なのかなと思いました。いずれにせよ、コーエン兄弟映画のひとつの頂点であるのは確かです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-02-25 19:12:00)
12.  フォロー・ミー
名匠キャロル・リードの遺作となった珠玉の一品です。自分はミア・ファローが苦手なのですが、この映画の彼女だけは別人の様です。トポルと言う俳優も優しい眼と表情が素晴らしくて、とぼけたいい味出してます。そしてなんと言ってもテーマ・ソングの素晴らしいこと!イルカの名曲“Follow Me”は、絶対この映画にインスパイアされて出来たと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2010-02-06 01:57:05)
13.  プロデューサーズ(1968) 《ネタバレ》 
日本人にはいまいちウケが悪いけど、やはりメル・ブルックスはハリウッド・コメディの巨人だと間違いなく言えるでしょう。なんせ、アカデミー賞、エミー賞、トニー賞、グラミー賞を全て受賞するという偉業を成し遂げた人ですから。そんな彼の最高傑作はと問われれば、異論はあるかもしれないけどやはり『プロデューサーズ』じゃないかな(『ブレージング・サドルス』もいい勝負ですけどね)。ショー・ビジネス業界が舞台で意図して駄作を製作したのにどういうわけかヒットして製作者が窮地に陥る、というプロットはこの映画が始祖でその後さまざまなコメディに使われてウディ・アレンにも影響が感じられます。だいいち、その一晩で上演打ち切りになるはずの『ヒトラーの春』というミュージカルが、もうぶっ飛びすぎています。ナチスをコケにするのはブルックスのお家芸ですけど、ここまで吹っ切れてナチスの歴史を笑いものに出来たのは、ブルックスを始めゼロ・モステルやジーン・ワイルダーがユダヤ系だからでしょう。奇人変人しか登場しないうえに特に前半のゼロ・モステルの芝居はくどすぎてゲップが出そうですが、『ヒトラーの春』のオープニングを観たら劇中の観客と一緒でもう口あんぐりです。「これはきっとブロードウェイでヒットしたのを映画化したんだろうな」と思っていたら、なんと2001年が初の舞台化だったそうで、純粋なミュージカル映画である2005年版の方が『ヒトラーの春』をじっくり堪能できそうです。ショービジネスの世界は投資がモノを言うということを教えてくれた一編です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-02-10 23:11:27)
14.  腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 《ネタバレ》 
まず題名に一言。ストーリーとはどこにも繋がらない、いかにも青臭い演劇人が思いつきそうなダサいネーミングは何なんですか。もちろん原作通りなのは承知ですが、劇作家である原作者は一周回って確信的にこういう名づけをしたのかな。 とりあえず腐しましたけど、映画自体は予想を外されて面白かったです。他の方のレヴューを見ると総じてストーリー自体が受け入れられないという意見が目立つような気がしますが、私はブラックコメディとしてはかなりの高レベルと評価いたします。サトエリはもうどう見てもサイコパスとしか言いようがない外道っぷり、こういう女性と今まで遭遇してひどい目に遭った過去を思い出しました(もっともここまで酷いのはいませんでしたが)。対する嫁の永作博美は、そのKYぶりというか理解不可能な言動はもう立派なアスペルガー障害の域に達しています。彼女がここまでの演技ができる女優だったとは意外で、この役で女優賞を総なめしたのは納得です。この二人に挟まれ、とくにサトエリにズタボロに虐待される喘息持ちの妹・佐津川愛実だけは多少はまともなのかと思いきや、ラストには大どんでん返し、実はこいつが最恐のサイコ女だったというオチにはやられました。彼女のことは『悪夢のエレベーター』で知ったのですが、そういやこっちの役も…(ネタバレが過ぎるので以下自主規制)文字通りサトエリに翻弄される永瀬正敏も彼らしいいい演技だったと思いますが、永作博美に対する虐待もこれまたすごい迫力です。 実質登場人物は四人で進行するドロドロ劇ですが、苗字に「佐」と「永」いう漢字が付く役者同士がペアになって相手を苛めるという構造なんです(だからどうした、って言われそうですけど)。一番怖かったシーン:永作博美が永瀬正敏に襲い掛かってロスト・ヴァージンを成し遂げるところ(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2018-07-28 22:11:08)
15.  ふるえて眠れ 《ネタバレ》 
『何がジェーンに起こったか?』に続くロバート・アルドリッチ&ベティ・デイビス黄金コンビ第二弾。前作と比べるとかなりクライム・サスペンスの要素が強くなっており、スリラーとしても愉しめるようになっています。 デイビスとの往年の不仲が爆発してジョーン・クロフォードが途中降板しオリヴィア・デ・ハヴィランドが起用されたという裏話はけっこう有名ですが、何かで読んだ話では『不意打ち』も本来クロフォードが出演するはずだったけど「もう屋敷に閉じ込められる話は懲り懲りした(これは『血だらけの惨劇』に出演したことを指しているみたいです)」と出演拒否した後がまだったそうです。ジョーン・クロフォードの落ち穂拾いをするのがオリヴィア・デ・ハヴィランドというパターンが当時のハリウッドにはあったみたいです(笑)。でもどっちも美味しい役で、デ・ハヴィランドはなかなか聡明な女優だったんじゃないでしょうか。 というわけで、本作では頑張ってはいますがデイビスは完全にデ・ハヴィランドに喰われてしまったしか言いようがないですね。ネタバレが過ぎちゃうんであんまり書けないんですけど、残り40分の彼女のド迫力演技は一見の価値ありです。クール・ビューティというイメージだったアグネス・ムーアヘッドの怪演も見どころで、ほんと最初は彼女だと気づかないぐらいの変身ぶりです。 まあ考えてみればアルドリッチがオカルトものを撮るはずもなく、「本当に怖いのは人間だ」という彼のメッセージを素直に受け止めようではありませんか。
[DVD(字幕)] 8点(2017-01-26 22:25:34)
16.  プリデスティネーション 《ネタバレ》 
いやー、自分が今まで観てきた中でも「?」がトップクラスで多かった映画でしたね。でもこの「?」は良い意味での「?」であるのも確かです。タイムパラドックスを扱った作品としてはかなりのハイレベルで、間違いなく『バタフライ・エフェクト』を超えていると思います。自分の中では「タイムトリップでその当時の自分と出逢ったらどうなるのか」という疑問がずうっとあって、これはある意味哲学的な思考実験でもありますが過去のタイムトラベル映画では「そのような邂逅はしてはいけない、もしくは起こり得ない」というスタンスで撮られていて、自分としてはまあ納得していたわけです。ところがこの映画にいたっては出逢うどころか過去の自分とアレまでしちゃうし、いやさすがにネタばれありとしてもこれ以上書けませんけど、自分の常識をぶっとばしてくれる衝撃的なプロットです。ここではいわゆるパラレル・ワールド理論はまったく無視されていて、この映画の世界は時間が完全にループしているだけで完結している宇宙だと考えるしかないんでしょうね。 イーサン・ホークはSF映画ではほんとに輝く役者で、素晴らしい演技だったと思います。でも衆人の一致するところだと思いますけど、サラ・スヌークの高度な演技も驚愕ものです。何と言いますか、“オーストラリアのジョディ・フォスター”と呼んであげるのが相応しいんじゃないですか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-13 23:19:54)
17.  フォーン・ブース 《ネタバレ》 
外国映画では見かけますけど、今まで生きてきて自分は公衆電話が着信しているのを見たことがありません。日本の公衆電話には外部からかけることが出来ないようになっているんですかね、でももしベルが鳴っていたら思わずでちゃいそうです。 この映画の肝は、コリン・ファレルがなぜ公衆電話のブースにいたのか、そしてどうしてそのブースから出られなくなったのかということですが、そこは巧みにストーリー・テリングしています。ラリー・コーエンが書いた中で間違いなくベストの脚本だと思います。この人映画監督としてはどうしようもないヘボですが、ライターとしてはイイ腕してるんですよね。事件の経過と映画のランタイムが一致するスピィーディーな展開で、緊迫してくるとスプリット・スクリーンになる映像もよくマッチしてました。途中からコリン・ファレルが小細工をして反撃し謎の男と知恵比べになるところも面白かったです。ある種のどんでん返しみたいなラストは皆さんの評価が分かれているみたいですが、自分はけっこう気に入っています。実は私、謎の男を演じているのは声やセリフ回しからケヴィン・スペーシーだと思っていましたが、エンドタイトルでそれがキーファー・サザーランドだったと判ってちょっとびっくりしてしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-02-02 21:42:18)
18.  プラトーン 《ネタバレ》 
ベトナム戦争に従軍した人がこの映画を観て号泣したという話がありますが、なんか良く判る気がします。なんせオリヴァー・ストーン自身のベトナム戦争体験を基にした脚本ですから、軍隊生活のディティールはきっと真に迫ったものでしょう。そしてこの映画に全篇にわたって満ち溢れているのは“モラルと価値観の崩壊”でしょう。その象徴としてエリアスとバーンズという人物を創造したストーンの作劇術はレベルが高く、彼の書いた脚本の中でもベストと言ってよいでしょう。また随所に“弦楽のアダージョ”を流すセンスもベタながらも感動的で、エリアスがまるで弁慶みたいに大往生するシーンは観るたびに泣かされます。この有名なシーンはいまやベトナム戦争映像のアイコンにまで昇華していますからね。ジョニー・デップがチョイ役で出演しているところも注目です。 日本の団塊世代がいいとこ取りの食い逃げしてるのとは大違いで、アメリカのベビー・ブーマー世代は血を流し犠牲を払ってきたんですね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-01-08 22:25:17)(良:1票)
19.  プレデター 《ネタバレ》 
この映画も考えてみると『フロム・ダスク・ティル・ドーン』顔負けのハイブリッド・ムーヴィーなんですよね、バリバリのコマンド潜入アクションで始まったのがモンスターSFで終わってしまうんですから。シュワちゃんはこの映画のダッチ少佐が、“人間役”としては彼のフィルモグラフィの中ではベスト・アクトなんじゃないでしょうか。いやはや強いのなんのって、このキャラが後半のプレデターとの対決にリアリティを与えてくれます。部下たちも凄腕揃いという感じが良く出ていました。 何と言ってもこの映画のすごいところは、プレデターの事については最小限しか情報を観るものに与えない放置プレイに徹しているところです。プレデターの素顔にご対面したときの「醜いツラだ」というシュワちゃんの感想が全てを物語っているとも言えますが、それにしても気持ち悪いお顔です、このデザインをクリエイトした人には敬意を表したいぐらいです。さすがにこの映画を観ながら蟹とかシャコを食する気にはなれませんよね(笑)。 ラストでヘリの中でプレデターとの激闘に疲労困憊して呆けた表情を見せるシュワちゃんが印象的でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-12-29 20:27:40)
20.  ブラック・レイン 《ネタバレ》 
追悼、高倉健。この映画は日本人出演者の中では健さんよりも松田優作の方が今まで圧倒的に注目されてきてましたが、改めて観てみると随所にそれまでの高倉健のイメージを変える様な人物造形が見られます。上司に忠実な窓際族だったり、なんせあの健さんがヘンなサングラスをかけてレイ・チャールズのモノマネさせられるんですから、リドリー・スコットも怖いもの知らずです。対照的にマイケル・ダグラスはいつも通りで、『氷の微笑』の荒っぽい刑事と同一キャラを再登場させたのかと思いましたよ。 お話自体は前年に製作された『レッド・ブル』の設定を真逆にした様な感じがします。『レッド・ブル』と違って主人公の方が敵の母国に乗り込むわけですから、それだけ敵国たる日本の描写をどれだけ丁寧に撮れるかが映画の出来を左右するわけです。でもそこはリドリー・スコットはご覧のとおり自分のやりたい通りに大阪を撮っちゃってますが、センスが良いから様になってます。毎日自分が通勤で通っていた阪急梅田駅のコンコースが、あんな幻想的な映像になるなんて思いもよりませんでした。難波・十三・京橋・神戸とロケしていますが地元の人間が見ると確かに空間的にはおかしなところも有りますが、これはリドリー・スコット世界なんだから良いんです。でもクライマックスの田舎家の対決だけは風景からしてアメリカで撮影したことがミエミエだったのは残念でした。 ラスト、松田優作を殺さずに逮捕して府警本部に連行するところも普通のハリウッド・ポリスアクションとは一味違っていて良かったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-11-22 20:55:12)(良:1票)
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