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プロフィール
コメント数 2374
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  メトロポリス(1926) 《ネタバレ》 
本作は、アヴェル・ガンスの『ナポレオン』エリッヒ・フォン・シュトロハイムの『グリード』と並んで20年代を代表する三大超大作と称されているそうですが、もちろん有名なのはこの『メトロポリス』でしょう。これぞまさに、『2001年宇宙の旅』に匹敵するSF映画史上に残るオーパーツ的な存在です。でもオリジナルでは三時間近かった上映時間のうち25%のフィルムが散逸してしまったというのは残念なことです。 サイレント映画はさほど観てきたわけではないけど、修復版の鮮やかな映像を観るとその映像の造りこみ方は感嘆するほかないですね。とくにアナログな手法ながらもその合成技術は凄いの一言です。またメトロポリスの都市デザインがとても20年代の発想とは思えないレベル、中でもチラッと映る屋上に五角形のヘリポート(?)がある高層ビルは、『ブレードランナー』に登場するポスターにも使われているビルと映されるアングルまでそっくり、これは明らかにオマージュですね。サイレント映画ですから当然セリフはなし、でも字幕は必要最小限しか使われてなく当たり前ですが映像と俳優の動きだけで十分に伝わるその情報量、一から十までセリフで説明しようとする最近の日本映画界は爪の垢でも煎じて飲みなさい。あの有名なロボット・マリアの登場シーン自体はわずかですけど、ブリギッテ・ヘルムのコピーされた邪悪なマリアの演技が鬼気迫ってます。彼女はスタントでも良いのにラングの指令でロボット・マリアのスーツ・アクターまでさせられおまけに火刑のシーンでは実際に目前で火がつけられ、「二度とラングとは仕事をしたくない」とインタビューに答えたそうです。メトロポリスの歓楽街がヨシワラと呼ばれているのは笑ってしまいますけどね。マリアというかこの映画の根底にはキリスト教的な思想が色濃く感じますけど、フリッツ・ラングと違ってナチスに心棒してドイツに残ったテア・フォン・ハルボウの脚本とは思えない、人って不思議なものですね。 ロボット・マリアはもちろんのこと、うなだれてゾンビの様に隊列を組む労働者やメトロポリスの都市デザインなど、この映画が後世に与えた影響は計り知れないものがあります。やっぱ死ぬまでに観ておくべき映画のひとつでしょうね。
[DVD(字幕)] 9点(2021-12-24 23:31:32)
2.  眼には眼を 《ネタバレ》 
設定は地名や通貨名からレバノンあたりみたいですね。とある町の病院に勤務する外科医バルテル=クルト・ユルゲンス、有能だけどいかにも傲岸不遜という感じです。このフランス人医師を、どこから見ても典型的なドイツ人のクルト・ユルゲンスが演じているというのがミソです。この人物の背景説明はいっさい無いんですけど、最近赴任してきたばかりなのか現地の言語や地理を皆目理解していなく、これが後ほど彼を地獄に落とす上手い設定なんです。この物語には圧倒的に多数派である現地人と少数派のフランス人およびイタリア人が登場しますけど、民族間の交流や良好な人間関係は存在しない異様に冷たいコミュニティであるのが特徴です。 前半は短いシークエンスを繋いでゆくストーリーテリングになっていますが、劇伴音楽をいっさい使わず徐々に高まってゆく緊張感は息詰まるほど。西洋文明とアラブ社会の対立・反目という視点を持って撮っている感じが濃厚ですけど、ボルタクの妻の死は不幸な偶然が重なった不可抗力としか言いようがなく、こういうアクシデントは人種・宗教とは関係なく誰にも降りかかる可能性があるものです。この映画の様にアラブと西欧の対立に持ってゆかなくても成り立つお話しですが、遠隔の村でのエピソードなんかには監督・製作者の西欧人らしい視点というか偏見すら感じてしまいます。まあまるでエイリアンのように通じあえないバルテルとアラブ人という図式が、サスペンスを究極まで高めているのは確かですけどね。 そしてあの“世界一怖いロープウェイ”を二人が降り立ってから、ガラリと雰囲気が変わり、そして“映画史上最凶のロードムービー”が始まります。この延々と続く荒涼とした砂漠というか荒地の風景には戦慄させられますが、実はこれはスペインでロケされたそうです。60年代にさまざまなマカロニ・ウエスタンや『アラビアのロレンス』のロケ地になりますが、スペインにこんな土地があるとはサプライズでした。バルテルが颯爽と着こなしていたライト・ブルーのスーツがどんどんズタボロになってゆくのがリアルです。そして鳥瞰で見せられる永遠に続くかのような荒地、 “絶望というものを画にしたらこうなる”という映画史に残る残酷なラストシーンです。 ここまで徹底的に人間不信というものを見せてくれる映画は、滅多にあるもんじゃないです。私の中では、本作はサスペンスじゃなくホラーです。
[DVD(字幕)] 9点(2021-12-03 21:25:55)(良:1票)
3.  メジャーリーグ 《ネタバレ》 
嫌なことがあって気分が落ち込んだりした時はぜひ本作をお勧めします、言わずと知れた野球コメディ映画の最高峰です! 初めてこの映画を観たとき、アメリカに次ぐ野球大国なのになんで日本映画界はこういう野球映画が撮れないんだろうかと、腹が立った記憶があります。確かにプロ野球をテーマにした日本映画はほとんどないし、数少ない作品も単なるヒーローものか超駄作ばかりですからねえ。 この映画の凄いところは、クリーブランド・インディアンスという実在のメジャーリーグ球団を使って、オーナーから選手までフィクションの存在にして徹底的に笑いを取りに行っているところでしょう。その選手たちもキャラが立ちまくりで、ウェズリー・スナイプスまでもが今じゃ決してやってくれないコメディ演技を見せてくれるんですから、もう堪りません。特にキャンプにインチキ臭いハイブリッド・ワーゲンで乗り込んでくるところや、アメックスのCMで滑り込んできて「出かけるときは忘れずに」と微笑むところなんか抱腹です。私は長いこと彼がコメディアンだと思ってました(笑)。そしてもちろん、リッキー・ボーンのチャーリー・シーンを忘れてはいけません。プレー・オフの“ワイルド・シング”にのって登場するシーンは何度観ても鳥肌立ちまくり、きっと永遠に語り継がれてゆくことでしょう。彼は実際にも野球が上手いらしく、投球フォームがさまになっています。 そしてつくづく感じるのは、実際にエキストラで球場を埋めて撮影されたプレー・オフ戦の迫力です。もちろんボランティア参加みたいにして集めたんでしょうけど、みんなノリノリだしほんとに楽しそう。 日本にも75年の広島初優勝や85年の阪神優勝のようないいネタがあるんだから、映画化しようという発想は邦画界にはないんでしょうかね、まあないでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-06-02 23:43:43)(良:1票)
4.  メン・イン・ブラック 《ネタバレ》 
久しぶりに再見して、本編時間が90分という短さだったのがサプライズでございました。ストーリーテリングのテンポの速さといい詰め込まれた内容も含めて、2時間超の映画並みの濃さです。名優トミー・リーも本作からコメディ演技に開眼して、今やBOSSの『宇宙人ジョーンズ』として日本でも一般認知度が高いハリウッド・スターの上位に君臨しているのは周知のとおりです。メキシコ国境に中米から移民希望者が殺到して緊張が高まっている昨今、エイリアン亡命者を全宇宙から受け入れてNY周辺で市民として共存しているというプロットは、図らずもトランプ政策への痛烈な批判になっているのが面白いと思います。悪玉エイリアンをゴキブリ型にしちゃったのはちょっと安易な感じもしますが、『スターシップ・トルーパーズ』をはじめ当時のハリウッドの流行だったので大目にみましょう。メカやガジェットのデザインもけっこうセンスが良くて、グロ要素も品をギリギリ保ったレベルに抑えています。ギャグについては日本人でも十分通じますけど、ニューヨーカーにはもっと受ける地元ネタも多そうです。 不思議なこと:MIBのブラック・スーツにさすがに液体系は付着するけど地面を転がったりしてもホコリなどが全くつきません。これってやはり特殊スーツの一種なんでしょうか?防弾性や水中とか宇宙でもOKといった気密性があったりして。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-12-01 23:05:56)
5.  メイトワン-1920 《ネタバレ》 
アメリカ西バージニア州の炭鉱町メイトワンで1920年に起こった炭鉱労働争議をテーマにした作品。ここに登場する炭鉱会社は現在の眼で見ればもうブラック企業そのもので、低賃金なだけでなく給料をクーポン券みたいなものらしい社票で支払いし、買い物は会社が運営する商店でしか認めず(もちろん社票しか使えない)、違反したら罰金をとる。労働者たちは組合を創ってストに突入するが、会社も対抗して新規に集めた黒人やイタリア移民の労働者をスト破りに投入してくる。そんなところへ組合の全米組織からひとりのオルグが派遣されてくるが、会社側も武装したゴロツキどもを代理人として呼び寄せた。 この映画の巧みなところは、この抗争をウェスタンとして見せてくれるところで、社会派的なテーマを風刺と娯楽性を盛り込んで料理するジョン・セイルズ脚本の真骨頂です。組合の指導者役のクリス・クーパーはこれが映画デビューです。カリスマ性を持ったリーダー役として評価できる演技ですが、ラストでは警察署長役のデヴィッド・ストラザーンが思わぬ展開でヒーロー役を奪っちゃう、と言うか実はこの署長がヒーローだったというオチは実に上手いシナリオでした。 クライマックスの対決はもう西部劇の決闘そのもので、我慢を重ねて最後に怒りを爆発させる展開も東映任侠映画みたいなカタルシスが味わえます。オスカーにノミネートされたハスケル・ウェクスラーの撮影なんですが、残念ながら古いビデオでの鑑賞だったんで、イマイチその繊細さが判りませんでした。デジタル・ソフトでのリリースが待ち望まれます。
[ビデオ(字幕)] 8点(2013-10-16 23:10:20)
6.  召使 《ネタバレ》 
ジェームズ・フォックスが劇中「魚の様な男」とダーク・ボガートのことを評するけど、これぞどんぴしゃりの表現。無表情というわけではないけどあまり顔の筋肉が動く感じが見えない、まさにお魚の様な顔なんですよ。家の中にある鏡はなぜか円形や楕円型をしていて、そこに映る画がまるで魚眼に映っているかの様なのも、意味深です。こんな演技ができるのは、ダーク・ボガートのほかにはいないでしょう。 屋内でほとんど話が進行するのでこのフラット(屋敷)が影の主人公みたいなもんですが、壁に映る影の映像が多用されてドイツ表現主義の教科書みたい。そして屋外はありふれた風景なのに、名カメラマンであるダグラス・スローカムの静謐なモノクロ映像が素晴らしく、屋内とは対照的である。 最後の悪夢のようなパーティはいまいち意味不明っぽいのではありますが、ハロルド・ピンターの脚本はかなりの完成度だと思います。 今ではカルト映画みたいな位置づけになってますが、本作はジョセフ・ロージーの最高作なのかもしれない。
[DVD(字幕)] 8点(2012-06-23 01:14:43)
7.  めぐりあう時間たち 《ネタバレ》 
まるで寄木細工のように重層的な見事な脚本でした。ヴァージニア・ウルフや「ダロウェイ夫人」について何も予備知識なく観たので、始めは三つのエピソードにつながりがあるなんて夢にも思いませんでした。中盤以降の展開で「あっ、そうなのか!」と驚かされましたが、まるで上質のミステリーを見せられたような気分です。三人の女優とも凄い演技を見せてくれますが、特にジュリアン・ムーアが良かったと思います。また、ジュリアン・ムーアのエピソードでは、「ダロウェイ夫人」がまるで「デス・ノート」みたいに彼女を翻弄するのがちょっと怖かったです。そしてこの映画を観て、人間の顔にとって鼻の形がいかに重要な要素であることを再確認しました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-10-03 02:13:09)
8.  メリエスの素晴らしき映画魔術 《ネタバレ》 
ジョルジュ・メリエス、彼こそが世界初の映画作家と呼ばれる資格があるんじゃないでしょうか。映画を撮っていたのはわずか16年間だったそうですが、そんな偉大だけど不遇だった彼の人生をたどったドキュメンタリーです。とはいえ、実質半分は『月世界旅行』彩色版の修復の記録でしたけどね。 『月世界旅行』前史といえる彼の初期作品を多々観ることができたのは感涙ものです。なかでも『一人オーケストラ』はやっぱ傑作、こりゃ現代でも通じるセンスじゃないでしょうか。メリエスが建てた温室みたいなガラス張り撮影所を復元して、『月世界旅行』の撮影風景を再現しているのも愉しいところです。コメンタリーとしてトム・ハンクスが出演していますが、この再現シークエンスでメリエスを演じているのが、ノン・クレジットでどこにも証拠はないけどどうもトム・ハンクスみたいな気がします、声もそっくりなんですよ。メリエスは映画製作を止めたときに自作700本のネガフィルムを燃やしてしまったそうですが、コメントにもありましたがまさに「形を変えた自殺」というのが相応しく、時代に取り残された彼の絶望感がひしひしと伝わってきます。発見されて修復に使われた『月世界旅行』の彩色版のフィルムもほとんど固まった状態でしたから、燃やされず現在まで残ったしても痛みは相当ひどいことになっていただろうと思います。 この映画ではほとんど腐ってるんじゃないかと思うような状態になった他作品のフィルムも映りましたが、映画フィルムの保存の困難さを改めて教えられました。日本なんか戦災もあって戦前の映画はかなりの数が永久に失われてしまったそうで、これは悲しいことです。フィルムがどんなに傷ついていても、そもそも存在しなければデジタル修復なんてできませんからねえ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-10-14 21:08:20)
9.  めまい(1958) 《ネタバレ》 
子供のころTV放映で観ていて、ジェームズ・スチュワートが幻覚でうなされるシーンで怖さのあまりそこで観るのを止めた強烈な記憶があります。この歳で見返して観ても、怖さはともかくそのシュールさはなかなかのものです。 ストーリー展開は『レベッカ』を彷彿させるホラーというかオカルチックで、やっぱゾクゾクさせてくれます。マデリンが転落死してからのジェームズ・スチュワートはもう廃人状態、予備知識なしで観ていたらこの「お話しはどこへ行ってしまうんだろう?」と不安になるでしょう。ところがここからが原作のせいか大味な推理小説の謎ときみたいな感じになってしまうのが残念なところです。ヒッチコック自身がこの作品の出来には満足していないのは、意中の女優ではなくキム・ノヴァクを起用せざるをえなかったということだけではないでしょう。だいたいからして、マデリンの身代わりを首尾よくこなしたジュディが犯行後もスチュワートの行動範囲でウロチョロしているってのは、あまりにご都合主義が過ぎるって。主人公を助けるために登場させているキャラとしか思えないミッジが、中盤以降姿を見せないってのもどうなんでしょうか。そしていちばん納得がいかないのは、スチュワートが出会って恋したのはマデリンのふりをしたジュディであって、マデリンとは一面識もないはずだってことです。ジュディ=マデリンと思い込んでいた彼がジュディの正体を知ったあと、ジュディと会ったこともないマデリンの区別がつかなくなってしまったと解釈するしかないですね。ここで彼の精神は完全に崩壊してしまっており、もしエンドマーク後も物語が続くとしたら、今度は本当に廃人になって病院送りというお話しになるんじゃないかと妄想してしまいました。そう考えると、この映画の幕の閉じ方にはけっこう怖い意味があるような気がしてなりません。 私が鑑賞したのは修復されたレストア版でしたが、復元されたカラー映像の美しさには驚嘆しました。とくに原色のカラー設計が秀逸で、前半で金髪のキム・ノヴァクの背景には深紅を配するところなんかが素晴らしい。金髪に赤は映えるんだってことは、さすが金髪フェチのヒッチコックは判ってらっしゃったみたいです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-15 20:17:17)
10.  メメント 《ネタバレ》 
その奇抜なアイデアで映画史に名を残したクリストファー・ノーランの出世作。10分経つと記憶が消えてしまうガイ・ピアースの記憶を遡って行くストーリーテリングはあまりにも有名になっています。この記憶を遡って行くストーリーが、なんというかまるで後ろ向きにどんどん歩いているときに感じるような居心地の悪さに通じるところがあります。ラストからリヴァースしてみると実は単純な物語だという指摘もありますが、それでも未熟者のわたくしには理解しきれないところが多々あります。以下、激しくネタバレいたしますので、悪しからず。 最初に観たときには、妻を殺したのは実はガイ・ピアース自身だったという解釈だったのですが、観直してみるとなんか違うように感じました。これはサミーの話がレナードの作り話だと土壇場でテディに明かされてからのすっ飛ばすようなストーリーテリングに影響されていることは間違いないです。正直な感想このあたりの展開は非常に判りにくい。最後まで(つまりこの物語の始まり)観ればテディ=ジョン・ギャメル=刑事だということが理解できるが、その前の記憶をたどってゆく(つまり冒頭で刑事と名乗ったテディが写真を撮られた以降、ああ、ややこしい)シークエンスでは彼は自分が刑事であることをほのめかすことすらしないのはなぜなんだろうか。こうなってくると、レナードが保険調査員だったという過去も果たして真実なのかアヤしくなってきます。テディやナタリーなどのレナード周囲の登場人物が、10分しか記憶が続かないレナードを自分たちの利益のために利用していたということだけはかろうじて理解できましたけど。とは言ってもレナードがテディを殺す動機はイマイチ理解できてませんけど。 近年の研究では人間の記憶というものは、本人が自己防衛のために改変しているということが定説となってきています。自分の記憶さえそんないい加減なものならば、アイデンティティとはいったい何なんだろうか、という疑問すら湧いてきます。この哲学的な命題を巧みに織り込んだのがこの映画だと言えるでしょう、観終わって決してスッキリした気分にはしてくれませんが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-10-24 17:36:33)
11.  メカニック(2011) 《ネタバレ》 
たしか一年ぐらい前に観たはずなのに、内容が全然思い出せませんでした。そこで改めて観てみましたが、けっこうソリッドな撮り方でジェイソン・ステイサムの近作の中では上位にランクして良いでしょう。ジェイソン主演の映画って、彼がどの映画でもまったく役作りしないので、ほんとどれも同じみたいになって記憶から消えてしまうんですよね。 冒頭の殺しが彼の魅力を最大限に引き出している感じがします。あのクールな手際良さ、プールの殺しから河に飛び込んで曳き舟につかまって逃げ切るところまで一気に見せてくれます。さすが元ダイビング選手だけあって水中アクションはお手の物ですよね。 ベン・フォスターもいかにもキレやすそうな青っぽさが上手く表現していたと思います。でも完璧をモットーとするジェイソンが、いくら殺してしまった友の息子とはいえあんな未熟者を弟子にするかと思いますが、まあこれはオリジナル映画が有るんで仕方ないですね。 我が国にも世界に誇る『ゴルゴ13』というコンテンツがあるんですから、せめてこの映画ぐらいのレベルで映像化して欲しいものです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-10-30 21:44:28)
12.  メル・ブルックスの大脱走
エルンスト・ルビッチのオリジナルは未見なのですが、これはこれで楽しめる作品です。メル・ブルックスは自作に出演するとこれでもかこれでもかというほどクサイ芝居をするのが厭だったのですが、どうしてどうして、本作では鮮やかなコメディ演技で感心しました。歌う場面はさすがに年を感じさせて苦しかったですが。大女優アン・バンクロフトのコメディエンヌぶりもさまになっていました。
[DVD(字幕)] 7点(2009-06-01 23:37:47)
13.  明治天皇と日露大戦争 《ネタバレ》 
左翼全盛の50年代に、こんな映画が観客動員記録を塗り替える大ヒットしたというのが面白い。インテリは決して観に来ないだろけど庶民には受けるだろうと見抜いて、新東宝始まって以来の製作費を投入した大蔵貢の炯眼は大したものです。さすが活動弁士から成り上がってきただけのことはある。アラカンの明治天皇は、きっと実物もこうだったろうなという説得力が抜群です。場面ごとに挿入される明治天皇御製もなかなか効果的でした。まあ映画自体は相変わらず新東宝テイストの紙芝居調で、史実もかなり脚色された部分が目立ちます。乃木将軍の息子保典が白襷隊の一員として戦死するなんて、ちょっとやり過ぎの感があります。でもこの203高地攻防戦はけっこう力が入った撮り方をしていて、後年の『日本海大海戦』なんかよりよっぽど迫力があります。野砲を撃つと反動で砲が後退するのをちゃんと再現しているなんて、芸が細かい。 邦画では、戦争が絡む歴史ものだと末端の兵士や庶民の目線で描かれることが多いのですが、こういう“上から目線”で撮られた映画というのは、不思議と新鮮な感じがしました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-09 01:12:51)
14.  迷探偵シャーロック・ホームズ/最後の冒険 《ネタバレ》 
“名探偵”じゃなくて“迷探偵”となっている邦題がミソのシャーロック・ホームズのパロディもの。私は別にシャーロキシアンじゃありませんので大して気になりませんでしたが、名探偵は実はワトソン博士でホームズは彼が見つけてきた三文役者だったという、熱狂的なファンたちの神経を逆なでする様な挑戦的なプロットです。でもこの飲んだくれでアホなホームズをマイケル・ケインにやらしているので安心して観れました。ワトソンはベン・キングズレーで、この二人の名優の掛け合いは観ていて実に愉しいものです。敵役にはおなじみモリアティ教授も登場で、ストーリー自体はオリジナルながら色んなお約束ごとは盛り込んでいるみたいですね。ヘンリー・マンシーニが音楽担当ですから洒落た雰囲気も愉しめます。 で、肝心のストーリーなんですが、これがちっとも印象に残らない薄味でした。ラストの劇場でのアクションもちょっとは大掛かりなんですが、何と言うか平均的な凡作としか言いようがないですね。ここは二大名優のボケ・突っ込みを漫才として愛でるのが正解でしょう。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-07-20 22:06:19)
15.  メカニック:ワールドミッション 《ネタバレ》 
どう観ても、今まで散々見せられてきた“無精ひげハゲ”=ジェイソン・ステイサムの単なる肉体アクション映画です。彼の出る映画はけっこう観ているので、最近はどの映画も同じような記憶しか残らないので困ったものです。ゴマ塩頭に濃密な無精ひげと“喋る筋肉”と呼ぶに相応しい肉体、どの映画でも同じキャラの様で、少しは役造りしてくれよ(笑)。 正直言ってこれが『メカニック』の続編だと主張されても、「ああ、そうなんですか」としか返しようがないぐらいです。ストーリーも全然捻りが無いし、“メカニック“と称されるぐらい冷徹な殺し屋だったはずなのに、相手がジェシカ・アルバとはいえあんなに簡単に人助けするならただのイイ人じゃん。観てる方としては、ここでテンションが急降下してしまいました。いくらガードが固い商売敵とはいっても、あれだけ苦労してジェイソンを働かせるのは割があうものなんでしょうかね。さすが有能なジェイソンですけど、ターゲットを教えられてから36時間とか24時間であんな周到な準備ができるもんだろうか。でも二人目のターゲットにはさすがに笑わしていただきました。高層ビルの最上階からせり出していてしかもガラス張りのプール、こんなバカバカしい設定を考えついたスタッフは褒めてあげたいぐらいです。三人目のターゲットがトミー・リー・ジョーンズとなると、その後の展開はもう予想がつくというもんです。トミー・リー、出番は少なかったけどなかなか味のあるキャラでした。 ラスト・カットを見る限りでは今度はトミー・リーを絡めて続編を製作する気は満々という感じでしたが、真剣にアドバイスさせていただきます、ほんと止めた方がイイって!
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-11-25 22:49:36)
16.  MEG ザ・モンスター 《ネタバレ》 
サメ映画といえばアサイラムというのが昨今の常識ですが、その牙城に敢然と殴り込んできたのはやはりチャイナ・マネーでした。ただのサメ映画にするには多額のバジェット、というわけで登場いたしますのは古代ザメ・メガロドン、でもこれも本家(?)アサイラムで何度もフューチャーされているので目新しさは薄いです。 これはもう、ジェイソン・ステイサムの割れまくった腹筋を愛でる女性ファンとその手の趣向のお持ちの男性のために撮った映画と言っても過言ではありません。五年前の原潜事故の際に巨大生物と遭遇したと主張しているけどキチ〇イ扱いされてタイで気ままな世捨て人を愉しむ我らがジェイソン、でも彼がやっていた稼業はどの組織に属していたのかなど面倒くさい説明はいっさいスルーしちゃうところがまた潔い。嫌だ嫌だといいながらも元嫁が潜水艇でメガロドンに襲われた聞くといともあっさり元の稼業に逆戻り、なんかすごくイイ人じゃないですかジェイソン。そう、この映画の登場キャラは研究のスポンサーである大富豪以外はみんなイイ人ばかりなんです。それではいくらサスペンスシーンを並べても、モンスター映画としての緊迫感がイマイチでないんです。そして理解しがたいのは、危機を脱してもとことんメガロドンを仕留めようとするステイサムたち登場キャラたちの執念です。中国の海水浴場に入り込むメガロドンを追っかけてゆくわけですが、どうせ喰われるのは…おっとこの辺で自主規制させていただきます(笑)。でも、フカヒレ漁に狂奔する彼らは、サメ一族の深い恨みを買っているかもしれません(笑)。 アサイラムと比較されたらさすがに「バカにするな」と製作者は怒るでしょうが、それでもかろうじておバカ映画の水準をクリアした程度です。そして私は嫌なことに気が付いてしまいました。ラストのメガロドンがサメの大群に喰われまくるシーンで、メガロドンの口から幼生が飛び出してくるようなカットがあったのです(サメは胎生、体内で仔魚を育てる)。これは続編製作もあるかもね(怖)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-07-14 23:33:10)
17.  女獣 《ネタバレ》 
それにしても、いくら新東宝だからと言っても、このタイトルもう少し何とかならなかったんですかね。雰囲気だけでストーリーとは無関係で意味不明、まあそんなことで新東宝プログラムピクチャーに難癖付けてもしょうがないのは判ってますけど。 いきなり現金を輸送する銀行の車が襲撃されて銀行員たちは皆殺し、おまけに共犯の女まで始末されてしまう、そんな非現実的ながらもハードな幕開けです。この事件の捜査のために警視庁は婦人警官をズべ公に変装させて女子少年院に潜入させるのですが、こんな危険なこと婦警にやらせますかね? 作戦は上手くいって新宿の組織にまで潜り込めますが、どうもこの組織は麻薬取引の元締めでもあるらしいと判ってきます。ここで同じく潜入していた麻薬Gメンの菅原文太が登場です。実はこの映画が思ったより観られたのは、文太が一応ヒーローであるがなぜかほとんどストーリーに絡んでなかったからだと思います。とにかく新東宝時代の文太は、主演するとただでさえひどい出来の映画にとどめを差す必殺ぶりを如何なく発揮してましたからね。 この映画、麻薬中毒者の悲惨な禁断症状や新宿の風俗などが予想外の丁寧さで描かれています。ジャズ喫茶のバンド演奏なんか、音楽担当があの『11PM』の有名なテーマ音楽で知られる三保敬太郎なので、なかなかの迫力です。女優陣も左京路子や星輝美といった個性派を使っているところがグッドです。またところどころで遊園地のアトラクションを効果的に使ったショットがあったりして、撮り方が普通の新東宝映画とはちょっと違うなと思わせるところもあります。 でもやっぱり所詮は新東宝の映画、ユルユルな脚本ではどうしようもありません。文太をあまり活躍させなかったことには敬意を表して、ここはプラス一点とさせていただきます(苦笑)。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-11-08 23:20:34)
18.  MEN 同じ顔の男たち 《ネタバレ》 
いやあ、今年観た中でいちば訳が判らなかった映画でした。てっきり私は田舎の村に越して来たら村人の男性がみんなクローンの様に同じ顔だったというホラーを予想していましたが、これが外れたような的中したような微妙な映画です。主人公が気が付かなかったように、屋敷の管理人を演じた俳優が司祭を始め登場する村人全てに扮していたなんて、あまりに違い過ぎて気が付きますかね?妙に長髪の司祭からしてマーロン・ブランドそっくりで、唯一「あれって?」と訝しんだのはマリリン・モンローみたいなマスクをつけて現れた少年だけだったし、これはCGで顔だけ付け替えたのかな?まあ統合失調症の患者の頭の中を映像化しただけのストーリーと切って捨てれば身も蓋もなくなっちゃうけど、フェミニストというか男性嫌悪主義者が喜びそうな映画なのかもしれません。クライマックスというか後半三十分はもう???の無差別攻撃状態でしたけど、中盤に裸の男が庭に現れるけど主人公が気が付かないというところだけは、ゾワゾワする恐怖が味わえました。庭に生えているリンゴを食べるところや、とても教会にあるはずもない不気味で卑猥なレリーフ、なんか宗教的な意味づけがあったのかもしれないけど、こちとらにはサッパリでした。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2023-12-14 22:17:33)
19.  メンフィス・ベル(1990) 《ネタバレ》 
ぶっちゃけたところ、「第二次世界大戦でアメリカは精密な照準でドイツの軍事目標だけを爆撃した」というお話は、西部開拓神話と同様の神聖なメルヘンに過ぎないのです。たしかに当時としてはハイテクなノルデン爆撃照準器は一定の効果があったが、爆撃目標が砂漠の真ん中にあるわけではないので、周囲の市街にも爆弾は落ちて民間人も多数が犠牲になっています。爆撃機の搭乗員に責任が問われることはありませんでしたが、たぶん当時の搭乗員たちは地上で何が起こっているかは考えないようにしてたでしょう。 だからM・モディーンの機長が「目標の周囲には学校や病院がある」と言って爆撃進入をやり直させる偽善的なシーンが私は反吐が出るほど嫌いです。こんなことは実際には起こり得なかっただろうと確信しますし、かような幼稚な描写など使わなくてももっと違う観点で爆撃作戦の苛酷さをいくらでも表現出来たでしょうに。 この映画は製作時期からして、湾岸戦争の戦意高揚プロパガンダ映画だったと思います。M・C=ジョーンズ監督の作品にはスプラッターじみた描写が多いのが特徴ですが、機首がちぎれて乗員がこぼれ落ちたり空中衝突して真っ二つになったり、本作では人ではなくてB17爆撃機自体をその残酷趣味の対象にしているみたいです。実話をモチーフにし当時の若手俳優を集めて青春映画っぽくしたかったみたいですが、あまりに幼稚な脚本には呆れるばかりでした。 クレジットを良く見ると、なんとフジサンケイ・グループがこの映画に出資していたことに気がつきます。これもあの当時叫ばれていた“対外貢献”のひとつだったんですかね。
[映画館(字幕)] 3点(2013-07-28 22:12:06)
20.  明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史 《ネタバレ》 
当時まだこの世にいた阿部定本人を出演させたというのがウリ文句の作品ですが、それ以外はなんの見どころもないというのが正直な感想。その阿部定は短時間の路上インタビューをドキュメンタリー・タッチで撮っただけ、同じ阿部定事件を題材にした大島渚が『愛のコリーダ』で使った手法の方が遥かにインパクトは強いと思います。いちおうオムニバス形式になってますが、とりあえず阿部定事件の企画があってその他は付け足しという感じで撮影されたような気がしてなりません。だいいち、『明治・大正・昭和』と銘打っておきながら『大正』の事件がないといういい加減さ、これぞ「看板に偽りあり」そのものです(笑)。 いちおう“女性が犯人の殺人事件オムニバス”という形式になっていますが、その中に小平義雄の事件が入っています。これは有名な女性連続殺人事件でもちろん女性が被害者なのですが、「この事件は女の魔性が誘発したものなのか?」なんていうナレーションを入れてごまかしてますが、これはちょっとひどすぎでしょう。こんなソフトポルノまがいのネタにされて、遺族から抗議はなかったんでしょうかね。現在の若者には想像つかないでしょうが、60年代の日本なんて民度の低い何でもありの時代だったんですよ。 吉田輝雄が狂言回し的な役柄の監察医として出演してますが、冒頭で自殺した妻の検死解剖をするところから始まり「なぜ妻は自殺する羽目に陥ったのか、犯罪に巻き込まれたからではないか?」と過去の事件の資料を検証するというストーリーテリングになっています。妻の自殺の謎を解明するのになんで過去の女性犯罪を調査するのかが謎ですが、そっちの解明は全く忘れられてラストの「けっきょく妻の自殺は謎のままだ」というナレーションで閉める、これぐらいいい加減な脚本もちょっと珍しいぐらいでした。石井輝男、酔っ払って脚本かいたのかな?
[CS・衛星(邦画)] 2点(2018-08-07 23:01:13)
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