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プロフィール
コメント数 2375
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ヨーク軍曹 《ネタバレ》 
公開されたのは41年だけど米国が参戦したのは真珠湾攻撃をくらった12月、つまりまだ戦争状態ではなかった頃なので戦意高揚プロパガンダ映画と言うよりはキリスト教プロパガンダをメインとしたヒーロー映画とみるのが適切でしょう。まあルーズベルト大統領は何とかして大戦に参戦して英国を助けたいと苦心していた時期でしたから、製作するにあたって忖度というか裏工作があったかもしれません。そう言えばヨーク軍曹が凱旋してから世話をする地元テネシー州選出の下院議員はコーデル・ハル、すなわち当時の国務長官で日本に最後通牒ハル・ノートを突き付けたご当人、ストーリーテリング上は登場しなくても別に差し支えないキャラだったので、なんか意味深なものを感じます。 前半はまるで西部開拓時代の様なお話しです。1910年代でも南部の田舎ではここまで素朴な生活だったのかと驚かされます。ゲイリー・クーパーは当時すでに40歳、20代のアルヴィン・ヨークを演じるにはちょっと老けてるような印象ですけど、朴訥なキャラはクーパーに適役だったんじゃないでしょうか。アルヴィン・ヨークが若い頃はゴロツキの嫌われ者だったというのは意外でしたが、史実通りとはいってもそんな男が聖書通りに行動するような信仰を持つようになったとは驚きで、それこそ「神のなさることは理解できない」ですね。ここら辺の無理ゲー的な展開ですけど、ジョン・ヒューストンも加わっている脚本が丁寧なので、意外と納得できるのがなんか不思議です。でも厳密に言うと、アルヴィン・ヨークは良心的兵役忌避者ではなくて“信仰心から戦闘に参加するのに躊躇した人” という分類に入れた方が妥当でしょう。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-11-12 22:23:12)
2.  妖怪百物語 《ネタバレ》 
“大映京都の妖怪三部作”の第一作目。当時は水木しげるがブレイクして鬼太郎ブームの真最中、水木漫画に登場する妖怪たちを勧善懲悪の時代劇にぶっこんだいわば『大魔神』のモチーフをそのまま流用したような感じ。この1968年から69年にかけての大映京都撮影所はどうかしちゃったんじゃないかと思うほどのペースで『大魔神』シリーズ三作とこの妖怪三部作を立て続けにリリース、思えば時代劇が青息吐息の中での大映京都が放った最後の煌めきだったのかもしれません。『大魔神』が暗い基調のお話しだったのに、怪談噺ながらも唐笠お化けの件などユーモアを交えての語り口が対照的です。『大魔神』のような大掛かりな舞台設定ではないので特撮自体は地味です、それでも毛利郁子のろくろ首なんかは今観てもインパクトは大で、子供にはトラウマものでしょう。若き日の藤巻潤は痺れるほどカッコよいし高田美和は相変わらず可憐で五味龍太郎はふてぶてしいほど悪辣で、子供向けとは思わせないアダルトな撮り方も大映京都らしいところです。そして怪談映画の音楽ならこの人しかいない、第一人者である渡辺宙明もイイ仕事をしています。ラストのお約束の百鬼夜行もなんか雰囲気があってシュールでした。 この映画は『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』と二本立てで公開されています。ガメラ・シリーズは大映東京撮影所の製作ですけど、手間のかかる特撮映画を二本立てで興行できたというのは大したもので、やはり今は亡き大映は凄い映画会社だったんですね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2022-04-29 22:13:49)(良:1票)
3.  妖婆・死棺の呪い 《ネタバレ》 
ゴーゴリの中編小説『ヴィー』の映像化。社会主義リアリズム・唯物史観のソ連で製作された珍しいホラー映画、まあ文豪ゴーゴリの作品の映画化だからお目こぼしをいただいたって感じなんでしょう。ゴーゴリにはこういうフォークロア的な怪奇譚を題材にした作品が散見され、言ってみれば小泉八雲の『怪談』の一エピソードを映像化したようなもんです。当初若手の監督が映像化を手掛けたが上手くいかず、ソ連発のカラー映画『石の花』を撮った大御所アレクサンドル・プトゥシェンコが引き継いで完成させました。 神学生が夏休みの帰郷途上で道に迷って気持ち悪い老婆の家に泊めてもらいます。老婆は夜中に神学生に迫ってきてあわや貞操の危機かと思いきや、実は彼女は魔女で神学生に馬乗りして空中浮遊を愉しみます。ここは原始的な合成特撮ですが、幻想的な雰囲気は良く出ていました。またここまでのストーリーテリングはコメディ調で、民話的な軽快さがあります。地上に降り立った魔女に神学生は反撃しこん棒で滅多打ち、瀕死になった魔女は若い美女に変身、彼はビビって逃げます。この魔女転じての美少女が確かに目を瞠るような美形で、これは眼福です。学校に逃げ帰った神学生は、校長から死にかけている地主の娘が彼を指名しているので、最期の祈祷をして来いと命令されます。行ってみると娘はすでに死んでおり、そして彼がボコボコにしたあの美少女でした。そして父親から三晩連続の祈祷を依頼されますが、それは恐怖に満ちた三晩になるのでした…ここからは死棺から夜な夜な蘇る娘と学生の対決になりますが、結界を造って籠ったので娘には中に入り込むことはもちろん彼を視認することすらできません。しかし三晩目には彼女は霊界から悪鬼と妖怪ヴィーを呼び込んで攻めまくってきます。やはりこの映画がカルトとして映画史に残ったのは、この悪鬼とヴィーのビジュアルのおどろしさでしょう。短いシークエンスでしたが子供が観たら悪夢に悩まされるのは必定でしたが、ヴィーの造形が水木しげるの描く妖怪みたいだったのには苦笑でした。  ランタイムも70分余りと中編でしたが、フォークロア調の語り口が印象的な秀作です。原作の舞台もロケ地もウクライナで、登場人物たちもウクライナ・コサックです。現在この地がとでもないことになっていると思うと、心が痛みます。
[DVD(字幕)] 7点(2022-03-14 02:18:41)
4.  48時間 《ネタバレ》 
これがエディ・マーフィーの銀幕デビューなので感慨深いところがあります。TVの『サタデー・ナイト・ライブ』でのし上がってきたマーフィーにしては、このデビュー作はその片鱗は見せるがコメディ調はほとんどなく、その後すぐにトレードマークになるマシンガントークが皆無なのでまるで別人みたい。いわば『ひょうきん族』でブレイクしたビートたけしが『その男凶暴につき』で観客を驚かせたのに通じるところがあるんじゃないかな、アメリカ人には。もっと重要なのは、エディ・マーフィーがバディムーヴィーに関しては天才的な才能を持っていることにハリウッドが気づかされたことでしょうね。重苦しい作風のウォルター・ヒル作品でもここまで弾けられるのは、マーフィーの強みなのかもしれません。対するニック・ノルティはいかにもウォルター・ヒル映画に登場するにはうってつけのキャラ。さして有能なデカではなく、やることはムチャクチャでただ馬力だけで押し切るタイプ、これこそが彼の個性が最大限に活かされたキャラです。殴りあうときや銃を撃つときに見せる殺気に満ちた表情は、もう怖いぐらいです。ウォルター・ヒルも本格的な刑事アクションを撮るのはこれが初めて、まるで西部劇のガンファイトみたいに悪漢が銃で殺しまくるのも彼らしい脚本です。彼が刑事アクションでやりたかった事の集大成が『レッドブル』で実現し、バスを使ったカーチェイス・アクションがスケールアップして再現されたわけです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-10-08 20:54:43)
5.  ようこそ映画音響の世界へ
映画音響の歴史と役割を判りやすく解説してくれる貴重なドキュメンタリーです。「トーキー映画は音を芸術に変えた」、そう、忘れちゃいかんのは映画というものはそもそも音が無かった単なる映像だったということでしょう。トーキー映画が誕生してまず観客が喜んだのはスクリーンの役者たちの声が聞こえることで、それが映画音響のすべてだった。日陰者扱いだった音響効果でしたが、オーソン・ウェルズ、ヒッチコック、キューブリックといった天才たちが映画音響を革新してゆくことになります。本作には様々な音響技術者や映画監督が出演して語りますが、やはり“映画音響のゴッドファーザー”ウォルター・マーチの存在と業績が偉大だったんだなと改めて認識させられます。70年代以降はスピルバーグやルーカスといった面々の活躍で映画音響もデジタル化が飛躍的に進んでいまやすべての作業がミキシング・ルームのデジタル機器で済んでしまっているような印象を受けますが、効果音やフォーリー音の作成には昔ながらのアナログ音集めが健在なのも面白いところです。本作に登場する音響スタッフたちの活動を見ていると、本当にみな映画を愛する真の職人集団だなと感じます。いろいろと言われますけど、ハリウッドというところは各分野のプロフェッショナルが造り上げる職人文化が他国に追随を許さない強みを持っているんじゃないでしょうか。「職人気質は日本人の強み」と言われたりもしますが、情けないことに現在の日本映画界で消え失せてしまったのがこの職人気質だと思います。古い話しですが、東宝の円谷特撮なんかはその歴史だけでも一本の映画になる職人芸の極致です。たとえば現在の邦画界での映画音響のドキュメンタリーを撮ろうとしても、とうてい映画として成立しないでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-09-09 21:35:25)
6.  4匹の蝿 《ネタバレ》 
初期アルジェントのいわゆる“動物三部作”の三本目という位置づけ。「幻の傑作」なんてコピーを臆面もなくつけて40年ぶりにリバイバル上映されましたが、「幻」になったのは権利関係の揉め事が原因で、よくある話です。そして「傑作」は明らかに誇大広告で、これにはアルジェント自身もさすがに恥ずかしいんじゃない? はっきり言って70年代に流行ったイタリアン・ジャーロの中でも多少出来が良いという程度のお話し。あのストーリーテリングでは犯人は予想外の人物ということになりますが、私の様にぼんやり観ていなければ大概ホシの目星は付きますよ。でもこの犯人の行動はツッコミどころが満載で、ご都合主義が目につきすぎます。警察の方もたいがいで、“被害者の網膜に最後の映像が焼き付いている”というトンデモ科学を大真面目に見せられるとはねえ。その残像が“四匹の蠅と言うわけですが”、ここのタネ明かしの説明も無理筋すぎるでしょ。今や昆虫好きと言えば香川照之かダリオ・アルジェントかというぐらい有名になってしまいましたが、その隠しきれない性癖を映画作りにぶつけ始めたのはこの頃からだったということですかね。 ちょうど本日エンリオ・モリコーネの訃報が配信されました。本作はアルジェント作品としては珍しいモリコーネ起用ですが、“来る仕事はすべて引き受ける”がモットーのモリコーネらしいです。音楽自体はオーソドックスないかにもイタリアン・ジャーロと言った雰囲気ですけど、やはりアルジェントの作風とは合わなかったみたいですね。合掌。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2020-07-06 22:44:25)
7.  夜のいそぎんちゃく 《ネタバレ》 
これが一応『いそぎんちゃく』シリーズのラストとなります。前二作では石田浜子だったヒロイン渥美マリの役名は浜口洋子に変わってますが、役名は同じでも今まで一作ごとに全然違うキャラだったので大した意味はありません。もっと大きく変わったのはヒロインのキャラ付けで、色気たっぷりの銭にがめついたくましい女性というキャラのはずが、そこから“銭にがめつい”という要素がなくなっちゃてるんです。この映画は言ってみればマレーネ・ディートリッヒの『嘆きの天使』を翻案したようなもので、千秋実がエミール・ヤニングスの役柄だというわけです。この二人を取り巻く登場人物たちは単なる背景みたいな意味しか与えられていなく、渥美マリに惚れてひたすらに落ちてゆく牧師・千秋実を追いかけてゆくのがメイン・ストーリーです。東宝の名優・千秋実が軟体動物シリーズに出演しているというのは考えてみればすごいことですが、どうしても彼の演技のほうに眼がいってしまうのはやむを得ないでしょう。ラストで渥美マリに捨てられ、教会の門前で祈りの姿勢のままで固まってしまう演技は秀逸でした。肝心の渥美マリの方は、監督が第一作と同じ弓削太郎であるのにもはや脱ぎもなく、軟体動物シリーズの中では最も印象が薄かったキャラなのは残念でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2019-08-31 23:09:43)
8.  陽動作戦 《ネタバレ》 
サミュエル・フラーの戦争映画は戦争を個人の目線で追うストーリーテリングがその特徴なんだけど、本作はそういう彼の作劇術とはちょっと外れたある意味普通の戦争映画と言えます。 世界中で戦争に明け暮れた大英帝国が「戦争するには世界で最悪の土地」と認めたのはビルマです。雨季の降雨量は半端じゃないし、地勢のほとんどはジャングルで高温多湿となれば西洋人にはそりゃ耐え難いでしょう。そのビルマで戦い抜いた米軍志願兵部隊の史実を基にした映画です。その部隊の創設者というか親玉が、フランク・メリルという准将で、当初三千人規模だった彼らの俗称が“メリルの匪賊たち”でこれが原題です。もっともこの俗称は、戦後メリル自身が話を盛ってでっち上げたもので、これもよくある手柄噺の一つでしょう。ストーリーはメリル率いる部隊が日本軍の後方に侵入して戦闘を続けて激戦地ミートキーナにまで苦労して行軍し先頭に参加するまでを、コンパクトに描いています。メリル准将は部下とともにミートキーナまで行軍して攻撃中に心臓病で倒れますが、実は史実ではかなり初期に発作で戦場離脱していて指揮をとっていないそうで、話しは大盛りになっているわけです。まあそれじゃ映画としたら面白くもなんともないし、そもそもこの映画には特殊部隊の存在を一般世間に宣伝したい米軍が協力していますから、これはこれでありでしょう。 ジャングルを徒歩で移動する軽装備の米軍と戦車も持たない日本軍ですから、戦闘シーン自体は地味です。でも米軍は“弾を撃てば必ず中る状態”なので日本兵はバッタバッタとやられてしまい、「いくら何でもそこまでヘボじゃないだろ」と突っ込みたくなります。それでも駅の操車場でのシーンでは、場内に沢山設置してある三角形のコンクリート・ブロックの隙間で繰り広げられる戦闘シーンは実に不思議な絵面で、この映画でサミュエル・フラーらしさが唯一出ていたところかもしれません。 最後のナレーションにもあるように“メリルの匪賊たち”は結局八割が戦死傷してしまったわけで、これは軍事的には全滅したということです。ビルマでは日本軍も米軍もお偉方の無茶な命令で兵士は大損害を強いられたのですが、最終的に戦争の勝敗によってかたや犬死かたや英雄と後世の評価が分かれてしまうのが、悲しいところです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-19 20:52:20)
9.  蘇える金狼(1979) 《ネタバレ》 
大藪春彦は高校生ぐらいのときにはまって愛読しましたね。荒唐無稽なストーリーですけど、あの独特の文体には読む人を引き込む魔力があった思います。ハードボイルド畑で凝った文体という共通点があるので、この人は日本のヘミングウェイだったのかもしれません(ちょっと褒めすぎかな)。 小説の映画化はその作家が文章を通して描こうとする世界観をいかに料理するかと言うのが重要なポイントですけど、監督の村川透や角川春樹にそんな高尚なことを期待するのは無理というものです。このお話自体は『特命係長 只野仁』の元ネタみたいなもので、まさに“カネ!暴力!SEX!(by宇多丸)”の世界です。主人公のキャラは正義の味方どころかまるっきり真逆な存在ではありますけど。まあ確かに村川透作品としてはカネがかかっていますが、撮り方自体は東映セントラルとまったく変わっていないのでチープ感は健在です。悪役やわき役のキャスティングにカネを使ったのかもしれませんけど、千葉真一の使い方だけはさすがに?でした。松田優作はいつもの優作で平常運転でしたが、こういうB級アクション的な撮り方が原作の持っていたハードボイルドな雰囲気を雲散させてしまったのです。松田優作の芝居は灰汁が強すぎて続けて観るとほんとに疲れます、でも旅客機の中でこと切れる最後の表情は、やはりこの人じゃなきゃできない凄い演技でした。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2017-09-09 22:38:33)
10.  妖星ゴラス 《ネタバレ》 
私の中では“はやぶさ”と言えば、“妖星ゴラスのJX隼号”と昔から決まっています。バンザイしながらゴラスに吸い込まれて散ってゆくクルーたちは、何と日本的なことか(そういやこの映画、やたらバンザイするシーンがありますが)。古今からさまざまなSF映画が製作されたけど、ここまで壮大で大乗的な視点の大法螺話は映画史に残る偉業です。高度成長期の日本のバイタリティは、なんと地球まで動かしてしまったんですから大したものです(笑)。 南極からジェット噴射しながら地球が動く画って、稚拙な技法かもしれませんが今の眼で観ても凄い映像です。東宝特撮ミニチュアワークの粋を凝らした南極での工事シーンは見応えがあり、建設現場のミニチュアから溶接の火花が見えるように撮っているのは感心しました。 あまりに不評な唐突に怪獣が出現するシーンも、ここで登場する航空機が後に『ウルトラマン』で科学特捜隊が使用するジェットビートルの原型になっていることは評価してあげたい。 この映画で異彩を放つのは、久保明と宇宙飛行士たちの異様なまでに高いテンションと陽気さです。彼らの描き方を観ていると、旧海軍の戦闘機パイロットたちの文化をそのまま持ってきた様な印象を受けます。「宇宙飛行士は駕籠かきみたいなものよ」なんてセリフまであった気がしますが、まだ日本ではアストロノーツという職業への理解がまだ浅かったのが伺えます。当時はアメリカではジェミニ計画が進行中でしたが、『ライトスタッフ』を観れば判るように、宇宙飛行士には知力体力ともに超人的な能力が必要だと言うことは想像を超えていたんでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-10-19 21:08:16)
11.  4番目の男 《ネタバレ》 
ヴァーホーヴェンにしては珍しく宗教色が濃いのですが、この人やはり信心深くないことが逆に良く判ります(笑)。 『氷の微笑』の原型だと良く言われていますけど、“謎の女”がシャロン・ストーンの迫力に足元にも及ばないんじゃ、『氷の微笑』より遥かに映画としての面白さは落ちます。また主人公の作家が、ホモなのはしょうがないとしても、あまりにおバカなのがまたイラつきます。女に手相占いしてやるシーンなんか、脚本からしてアホまる出しじゃないですか。 よく考えると、この映画ニコラス・ローグの『赤い影』に雰囲気が良く似ているんですよ、個人的には「パクったな、ヴァーホーヴェン」と思っています。
[ビデオ(字幕)] 5点(2012-05-31 23:42:13)
12.  世にも怪奇な物語 《ネタバレ》 
「お勧めのオムニバスは?」と人に尋ねられたら、迷わず本作をプッシュします。ポオを題材にしてはいますが、はっきり言って三者三様で出来にもムラがあります。しかし、有名なフェリーニの『悪魔の首飾り』は超絶と言って良いほどのハイレベルな傑作で、これだけは観て絶対損はしません。ヴァディム、マルとは作風が全然違うし、時代を現代に映しているのでポオが原作とは気づかないぐらいフェリーニらしさに満ち溢れています。もうあの空港シーンからして行っちゃってますし、テレンス・スタンプの演技には画面にくぎ付けにされちゃいます(この人の生涯最高の演技でしょう)。そしてあの少女が…。 フェリーニが撮った唯一のホラーを堪能すべし!
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-07-13 22:31:04)
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