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プロフィール
コメント数 2374
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ライアンの娘 《ネタバレ》 
デヴィッド・リーンのオール・タイム・ベストを選ぶとしたら、私は『アラビアのロレンス』じゃなくて迷わず本作です。この映画の映像・ドラマツルギー・演技は神がかっています。■まるで『ボヴァリー夫人』を彷彿させる重厚な人妻不倫物語、これが小説の映画化ではなくてロバート・ボルトのオリジナル脚本だとは驚きです。上映時間は三時間余りと長尺ですが、一時間ごとにテーマが変わってゆく構成になっています。ローズとチャールズの結婚までが最初のパートで、まさにランタイムがジャスト一時間でドリアン少佐がバスで集落に到着します。そしてその後の一時間はローズと少佐の愛欲物語、ラスト一時間ではティム・オライリーが武器弾薬を密輸しようとして村人たちに協力させますがあえなく失敗、そして悲劇的な破局になだれ込んでゆくわけです。まさに「序・破・急」のメリハリがきいたストーリーテリングで、長尺を忘れさせる巧緻な脚本です。■特筆しておかなければならないのは、オスカー受賞したジョン・ミルズのもう神がかったとしか言いようがない演技です。唖者(なんとこの言葉はいつの間にか差別用語になっているそうで、今は“発話障害者”と言わなければいけないんだって、言葉狩りって怖い…)で知的障害のマイケル、まさに俗に言う“神の子”なんですが、あの表情は素顔のミルズとはまるで別人で、本来はトレヴァー・ハワードが演じた神父のような役柄がピッタリな重厚な英国名優です。このマイケルは狂言回しのような役柄ですが、この映画で進行する出来事すべてを目撃する唯一の人物で、実は神だったのかもしれません。■そしてやはりオスカー受賞したフレディー・ヤングの撮影で、アイルランドの荒々しい自然を見せる映像は、もう適切な言葉が浮かばないぐらい感服してしまいました。雲の動きをダイナミックにとらえ、尚且つ太陽光の照りと翳りを鮮明に映した映像は、風景が雄弁にストーリーを語っているように思えます。嵐の海岸でのシーンも、スタントマンは当然使っているんでしょうが下手したら死人が出そうな凄い撮影でした。■ローズの行動はもちろんのこと、チャールズにしても演じるのがロバート・ミッチャムだけに優しいというよりも単に無気力な中年男という印象すらあって感情移入しにくいですね。第一次大戦中で独立蜂起が起きていたアイルランドが舞台ですけど、あの村人たちの民度の低さからは彼らが貧しいのは英国の圧政のためじゃなく、自分たちの怠惰のせいじゃないかとすら感じてしまいます。神父ぐらいしか好感が持てそうなキャラはいないのですが、ほぼ全方位に凡人や卑怯者を配置した脚本は上手いなと思います。幕が閉じてみれば誰にも幸福がもたらされなかった物語ですが、耳にこびりついてしまうモーリス・ジャールのテーマが流れると、こんな愚かな人間の営みにもかすかな希望があるような気がします。
[映画館(字幕)] 10点(2021-02-24 23:04:05)(良:2票)
2.  羅生門(1950) 《ネタバレ》 
この映画のヴェネツィア映画祭グランプリ受賞は、今はどうなっているのか知らないけど私らの世代では中学校社会の教科書に湯川秀樹のノーベル賞受賞とともに戦後の文化の欄に必ず記載されているトピックスだった記憶があります。映画の内容はとても文部省が中学生に推奨するものような代物じゃないし、実際観ても中学生ぐらいじゃ理解できないでしょうけど、ちゃんとスチール写真付きで載ってました。教科書を執筆するお偉い大学教授なんかも実はこの映画を観てないなかった、なんてところが真相なのかもしれません。 とはいっても世界の映画作家に与えた衝撃とその影響は、『七人の侍』以上のものであることは確かです。これほど知的に撮られた時代劇は前代未聞で、そのシンプル極まりないストーリーテリングと相まって現代でもまったく色あせてないと思います。多襄丸・侍・妻の三者の言い分が全く違って、その再現劇が三人ともまるで違う人格みたいなところが面白いし、中でも京マチ子の三変化が凄まじいレベルに達しています。昨今の“me too”運動に熱心な意識の高い方々には「実にけしからん映画だ!」と上映禁止運動が起きそうな内容とも言えますが、悪いけど自分には三人の中では京マチ子がもっとも女性というか人間の本質を出している気がします。「門を造るだけだから安く上がります」と会社をだまして凝りまくった羅生門のセットは見事の一語に尽きます。そして受賞したときのドタバタというか大騒ぎのエピソードの中でやはりいちばん強烈なのは、授賞式に日本から関係者は誰も出席してなかったので、急遽街中で見つけたヴェトナム人を引っ張って来てトロフィーを渡すセレモニーを強行したことでしょう。もちろんトロフィーはすぐ回収して日本に贈られたそうですが。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2019-09-17 23:16:09)
3.  ラスト・ショー 《ネタバレ》 
1952年の米国テキサス州の、何もない片田舎の寂れた町。大戦後の米国は消費ブームで賑わいテキサスはオイルビジネスが活況だったにも関わらず、まるで大不況の30年代からタイムスリップしたような活気のない住民たち。中には近くの油井でひと山あてて裕福な家庭もあるけど、相対的に貧富の差が激しい。そんな町にも高校があって卒業してゆく若者がいるけど、世界一裕福な国の若人とは思えない覇気がないどんよりとした青春を送っている。 これはニューシネマ全盛期に撮られたピーター・ボクダノヴィッチの最高傑作と評価されてますが、明らかにニューシネマとは違った感性の作品だと思います。ジュークボックスやカーラジオからはハンク・ウィリアムズなどの曲が聞こえてきますが、そもそも音楽担当は起用されておらずオリジナルの劇伴音楽は皆無、『ペーパームーン』も同様でしたがこれが当時のボクダノヴィッチ・スタイルです。ジェフ・ブリッジスがティモシー・ボトムズを殴るのとラストでサム・ボトムズがトラックに轢かれて死ぬ以外は、ほんとに何も起こらないストーリーだと言えます。でもこのストーリーは、若者たちと親世代の中年組とにはっきり分かれたストーリーテリングなんだけども、両者のキャスティングと演技が絶妙なバランスを保っているのが上手い演出でもあります。いわば両者の橋渡し役的な存在だったベン・ジョンソンが急死してからはこの田舎町をかろうじて繋いでいた絆が崩れていったような気がします。若者組で唯一大人と親密だったのはコーチの妻と不倫関係だったティモシー・ボトムズも盛りのついた牝猫のようなシビル・シェパードに翻弄された挙句にかけがえのない友を失ってしまいます。最後に不倫相手のもとで許しを与えられる結末には、カタルシスはないけどほのかな光明が感じさせられました。 『アメリカン・グラフィティ』よりも一回り前の世代のお話しですけど、陽気な『アメ・グラ』と似たような題材でありながらも、対照的なテイストの映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-12-09 22:39:00)
4.  ライトスタッフ 《ネタバレ》 
孤高のパイロットで初の超音速飛行に成功したチャック・イェーガーと、彼とは対極の生真面目・堅物な海兵隊パイロットだったジョン・グレンらマーキュリー計画の七人の宇宙飛行士たちを対照的に描くストーリーテリングです。この映画のチャック・イェーガーこそが、そりゃ美化されている部分もあるでしょうけどまさに漢の中の漢と呼ぶに相応しいんじゃないでしょうか、とにかくカッコいいんだなこれが。実物の彼も第二次大戦ではドイツ占領下のフランスで撃墜されるが敵地を突破してスペインに逃れて復帰、その後P-51マスタングを駆って一日で5機のドイツ機撃墜を果たして 米軍初の"ace in a day"の称号を得るという伝説的な戦闘機乗り。超音速飛行に成功したⅩ‐1もこれまた凄い飛行機で、ロケットに翼をつけて(しかも後退翼じゃなく直線翼)水平飛行させたような代物。開幕から音速飛行に成功するまでの二十分は虚実を織り込みながらも劇的かつ感動的でここだけで一本の映画を観たような気分になります。パイロットとしての誇りに満ち溢れたイェーガーがモルモットのような存在だったマーキュリー計画の宇宙飛行士に志願するわけもなく、ここから政治に翻弄される宇宙飛行士たちと人生が分かれてゆくことになるわけです。 実際のイェーガーはベトナム戦争では作戦部隊を指揮して将軍になるぐらいですから決して破天荒なだけの人物ではなく、でも演じるサム・シェパードがあまりにカッコいいんでこれはこれでアリでしょう。マーキュリー計画のグダグダな進行ぶりはかなり揶揄した描き方で、とくにジョンソン副大統領はこれでもかと醜悪さが強調されていて面白かったです。マーキュリー・セブンの面々は政治に翻弄されたと見ることもできますが、忘れちゃいけないのはマーキュリー計画こそが政治そのものでジョンソンの道楽だったわけじゃありません。ロケットの開発はICBMを実戦化するためのソ連との軍拡競争そのもので、この辺りをまったくスルーしているのは違和感がありました。テキサスで七人がジョンソンの政治ショーで道化を演じさせられているシークエンスに、イェーガーが高度記録を破ろうと単独でNF-104を飛ばすシーンをカットバックする編集にこの映画が訴えたいことが濃縮されているんじゃないでしょうか。墜落寸前で彼が見た星空には、イェーガーこそが誰のサポートも受けずに単独操縦で宇宙に達した唯一の人間だったんだ、という訴えが込められているような気がします。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-08-30 22:27:21)(良:1票)
5.  ラストエンペラー 《ネタバレ》 
そう言えば『秦・始皇帝』も自分は観たので、知らないうちに“中華王朝マラソン完走!”の偉業を達成していました。でもその間の2100年間の中華皇帝の映画なんて観てないし(そんな映画自体がほとんど存在してないでしょ)、すみません全然意味がありませんでした(笑)。 ご存知、史上2作しかないオスカーのパーフェクト受賞達成(これはもう紛れもない偉業です)映画ですが、ひとことでまとめるとベルトリッチという西洋人の眼で観た現代中国史と言えるでしょう。頑迷なる東洋文明が近代西洋文明によっていかに変容させられたかということを追求する視点が貫かれています。西洋文明には共産主義も当然含まれるわけです。あとかなり溥儀の残した自己弁護に基づいて脚色され、お決まりの日本悪玉パターンが徹底しているところも要注意です。この映画は溥儀が紫禁城を出るまでの前半が映像と言いドラマチックな構成といいもうパーフェクトなんですが、満州に舞台が移ってからはとくに日本含みのパートが妙に薄っぺらで価値を落としています。坂本龍一の甘粕正彦なんて登場させている意図が判らないほどの影の薄さでした。婉容の私生児の件なんか、まるっきり日本が殺させたなんて史実と真逆の描き方なのはちょっと酷すぎの感があります。 溥儀の人生は日本が利用して狂わせたが、共産中国が刑務所で教育して真人間に生まれ変わらせたという結末なんですけど、ベルトリッチは共産主義を信じているんだなとため息が出てしまいます。 私の祖父は満州国政府の日本人官吏だったので皇帝溥儀と接触する機会もあったのですが、「溥儀は腹黒くて冷酷な人物だった」と回想していたそうです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-11-17 23:56:54)(良:1票)
6.  ラウンダーズ 《ネタバレ》 
いかにもという感じの役柄であるM・デイモンはともかくとしても、E・ノートン以下脇を固める曲者俳優たちの濃くて絶妙な演技には引き付けられました。“KGB”マルコヴィッチのほとんどバカ演技と言ってよいほどの怪演も凄かったけど、中年で堅実なギャンブラーのJ・タートゥーロの生きざまがとってもリアルです。デイモンの借金お願いをきっぱり断るところなんか、単にタートゥーロの小心さを感じる人が多いだろうけど、たとえ友人だろうとも一線を画すというギャンブラーとして一本筋が通った生き方だと私は思うんですよね。 プロのギャンブラー同士ではお互いに見破る眼力があるのでイカサマはしない。逆に素人にはプロのイカサマはまず見抜けないものであるが、素人の警官にイカサマがバレてE・ノートンが袋だたきにされるのは、ちょっとリアリティとしては疑問でした。 安易にスタイリッシュな撮り方をしていないところは好感が持てる、ギャンブル映画の秀作です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-02-28 00:05:24)(良:1票)
7.  ラブ・アクチュアリー
最近はすっかりクリスマス定番映画になりましたね。ひとつひとつのエピソード自体はラブコメ映画のプロットの寄せ集め(それもコテコテの展開ばかり)ですが、それを同時進行させたおかげで臭みが抜けたように見せてくれる脚本が上手い。冒頭のお葬式とラストの学芸会に主要キャストを集めるという構成はなかなか秀逸、リチャード・カーティスの脚本は『ブリジット。ジョーンズの日記』よりよっぽど優れています。そしてビル・ナイの老ロッカーは傑作です。 しかし、ビリー・ボブが米国大統領でヒュー・グラントが英国首相じゃ世界の行方が心配です(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-12-31 18:31:31)(笑:1票)
8.  ラスト、コーション 《ネタバレ》 
予想以上に引き込まれる映画でした。イーは政権内では秘密警察長官の役職を務めている男ですが、自分のしていることに罪の意識を感じているわけではありません。しかし自分の妻も含めて他人を信じることができない。それは別に秘密警察長官だからではなく、きっと他の役職であっても変わらないでしょう。そんな男が反政権勢力の送り込んだ女に引かれてしまうわけです。最初は彼女の肉体に引き込まれていきますが、最後のほうではほとんど心を開いています。トニー・レオンの孤独の演技には圧倒されました。イーは土壇場でワンに告白され逃げるのですが、何も知らずに計画通り暗殺された方がイーの魂は救われたのではと考えてしまいました。思えばワンは残酷なことをしたものですね。
[DVD(字幕)] 8点(2009-02-02 21:21:37)
9.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 
前半は「えらくオールドスタイルなミュージカルだな」と思っていたら、中盤以降は完全にほろ苦い大人のラブストーリーでした。売れないジャズピアニストと女優志願の娘が主人公という典型的な“ボーイミーツガール”なんですが、デイミアン・チャゼルはあえて奇をてらわないというか一周回って新しさを感じさせるようなノスタルジー、スタジオ・クレジットと“CinemaScope”のロゴの見せ方なんかはモロでしたね。この映画はミュージカルではなく、いわば“ミュージカルをフューチャーした恋愛映画”と捉えるべきでしょう。多彩なミュージカル・シークエンスを期待していたこちとらにはちょっと拍子抜けでした。それでもベタではありますが、ラストの“二人が歩んだかもしれなかったもう一つの人生”を見せるミュージカル・シークエンスは感無量です。この映画は音楽以上に色彩設計が素晴らしい。冒頭のダンス・シークエンスはもちろんですが、セブとミアの心情を表すのに青系や赤系そしてそ補色として黄色と緑が、セットや情景そして衣装に効果的に使われています。演技としては、やはりエマ・ストーンが良かった。これほど演技しているような表情(ちょっと変な表現ですが)で歌唱できる女優だったとは、観直してしまいました。あと前半にワン・シーンだけ出演してライアン・ゴズリングをクビにするJ・K・シモンズ、これは『セッション』のパロディなんですね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-11-06 21:41:08)
10.  ラブ ゴーゴー 《ネタバレ》 
パン屋くんと同居している男女、三人とも吉本の芸人をスカウトしてきたような風貌なのが面白い。この若者たちの恋愛模様と言っても、髭男爵の相方・ひぐち君みたいな風貌の郷里に帰る素人音楽プロデューサーは恋バナには絡まず、けっこうイケメンだけど気弱なスタンガンのセールスマン君を含めての三人というわけなんですね。塚地武雅を可愛くしたようなパン屋君と小学校の卒業式の前夜に消えた“透明人間”彼女との再会と彼女に認知してもらおうとする奮闘ぶりがストーリーの軸に当たるんだろうと思いますが、面と向かって話してもパン屋君のことを全然思い出さないところが哀しい、彼は十数年ぶりの遭遇でも一瞬にして認知したのにね(笑)。そんな美容師として店を持つ彼女の方は、中二病を引きずっているような吉本三人組とは違って、不倫して奥さんに店に突貫されるような大人の恋愛中なんだから、パン屋君に気が向くはずもないんでけどね。でもこの映画の最注目キャラは、ポケベルを拾ってから見知らぬ持ち主に会うためにダイエットに奮闘するメタボねえちゃん・リリーとなることは間違いない。どう見ても女芸人としか思えない彼女も、コミカルにダイエットしてゆくうちにだんだん可愛くていとおしくなってくるのが不思議。でもそのポケベル男が、あの前半で売り物のパンにグチャグチャに噛んだガムをねじ込むようなサイコ野郎だったとは、そりゃリリーちゃんが可哀そうってもんだよ。失恋してバーガー屋でヤケ食いしてる横の席で、マナーモードの携帯がブルブルしているラスト、やはりこの映画が撮られた97年当時は携帯の黎明期だったのかな、台湾でも。 三人の導線が交差しているとも見えなくもないラストの展開には、なんか独特の余韻がありました。台湾の映画界って、中韓とは違って日本人に馴染みやすい感性の映画作家が多い様な気がします。この監督チェン・ユーシュンは、寡作ですけどやはり台湾ニューウェーブの旗手として注目してゆきたいです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-07-31 22:56:34)
11.  ランブルフィッシュ 《ネタバレ》 
出演俳優の面々を観ると当時はやっていたいわゆるブラットパックものの亜流かと思いきや、コッポラだけあってその手の安直映画とは明らかに一線を画す出来です。夜はなぜかいたるところで煙がたなびき、昼はやたらと窓に映る雲が流れるカットが多用されるなど、コッポラは映像派だったんだなと再認識させられた次第です。モノクロで撮った理由のひとつに、色覚異常という設定であるミッキー・ロークが見ている世界を表現していることは間違いないでしょう。その中でランブルフィッシュだけが鮮やかな色を放っているという描写は、さすが名脚本家コッポラ!と拍手を送りたいです。音響スタッフに「もっとはっきり喋ってくれ!」とミッキー・ロークは何度も文句を言われたそうですが、この終始ボソボソとセリフを呟く演技は結構よかったですよ。若き日のニコラス・ケイジもシュッとしていて、ニコジーを観て初めて“カッコよい”と思ってしまいました。 コッポラがゾエトロープがガタガタになって苦労していたころの、彼の原点に帰ったような佳作です。映画作家は小品を観るとその人の才能が判るという良い見本です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-07-09 15:32:38)(良:1票)
12.  ライフ・イズ・コメディ ! ピーター・セラーズの愛し方 《ネタバレ》 
ピーター・セラーズのことを知らない人はそもそもこの映画を見ようとは思わないだろうし、彼のファンや人物に興味感心がある人には虚像と実像の差異に戸惑いを感じるに違いない。スターの人間性やゴシップなんかは別にどうでも良く芸さえしっかりしていれば十分、と言うのは自分の考えですがこの映画は「特殊な能力を持ったひとりの男の生涯」を描いたバイオグラフィーとしてはとても良く出来ていると思います。ただ注意しなければならないのは、古今の名優と呼ばれる人たちは「どんな人間にも化けられる」能力を大なり小なり持っているわけで、セラーズが「カラッポの容器」だったこととマザコンの性癖は関係がないということでは。「名優」イコール「マザコン」では無いことは言うまでもありません。 そういう部分を除けば、本作の脚本と演出はとてもTVムービーとは思えない水準の高さではないでしょうか。セラーズの元妻たち(リン・フレデリックは亡くなってますが)やブレイク・エドワーズがまだ存命なのに、ここまで赤裸々に映像化出来たことには脱帽させられます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-10-17 01:33:08)
13.  ラン・ローラ・ラン 《ネタバレ》 
久しぶりに「アイデアで勝負!」という映画に出会いました。ジャーマン・テクノに乗って走りまわるローラの姿は実に爽快!バギーパンツ姿で走るローラは下半身がどっしり(安産型)しているから走るフォームに説得力があります。しかし、恋人のマニの情けなさはツボにはまります。こいつが自転車に乗った浮浪者を追いかけるときの走りっぷりは、ローラと対照的でおかしかったです。監督の意図が?だったのは冒頭ローラが走り出す前の部屋でテレビがドミノ倒しの番組を放送していますが、テレビの音声が日本語なんです。これはなんなのでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2009-03-15 12:21:37)(良:1票)
14.  LIFE!(2013) 《ネタバレ》 
『虹を掴む男』のリメイクかと思ったら全然違うストーリーでした。もうこれは完全に紙媒体のLIFE紙の廃刊という実際の出来事をネタにした脚本で、ウェブ版に移行する際の社内リストラがけっこう赤裸々に描かれていて、買収先の企業が良く許容したなというレベルです。『朝日ジャーナル』や『週刊朝日』の休刊の内部事情をえげつなく映画化することを朝日新聞が大目に見るなんて、日本じゃ到底考えられないことです。前半のベン・スティラーの妄想は確かに派手にCGを使っているので判りやすいのですが、ショーンを追いかけてグリーンランドなどで冒険するところは妄想に入るところが曖昧で、自分は観終わるまであの冒険はスティラーのファンタジーとしての実際の活動だと思ってましたよ、まあ映画なんだからそれもアリでしょう。冒頭から“ショーンを捜して”というストーリー展開なので「ショーンって誰なんだろう?」という興味を否が応でも観客に持たせてくれますが、それがショーン・ペンだと明かされるところでは「なんだ、そのまんまじゃん」と苦笑してしまいました。とは言っても冒険パートでの雄大なロケ映像の数々、これだけでもこの映画を観る価値はアリでしょう。まだまだ元気そうなシャーリー・マクレーンを観れたのも、嬉しかったです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-01-19 22:26:13)
15.  ラストキング・オブ・スコットランド 《ネタバレ》 
歴史に名を残す悪名高き独裁者アミン、彼に気に入られて主治医兼側近になったボンボン育ちのスコットランド人医師の恐るべき秘話。という体裁の映画なんですけど、実はこの医師は架空のキャラで事実をモチーフにしたフィクションということなんです。アミンが主人公の映画といえば、これまた悪名高き『食人大統領アミン』というモンド映画がありますけど、この映画で描かれたような食人したとか生首が冷蔵庫に…なんて逸話は最近の研究では誇張された与太噺だったとか。“実はアミンはベジタリアンだった”というのも事実らしくて、こうなると苦笑するしかありません。それでも一説では三十万人の自国民を殺害したというのは紛れもない事実で、やっぱとんでもない奴だったのは確かです。 そんなアミンを巨漢フォレスト・ウィテカーが熱演しています。元来心優しいキャラを演じることが多かっただけに、権力を握りたてで妙にテンションが高い頃のアミンは彼の持ち味だけど、中盤からの疑心暗鬼に捕らわれて周囲の人間を殺しまくる独裁者に変貌してゆく様を、彼にしかできない見事な演技で見せてくれます。特に後半は、もうアミンにしか見えないというのが正直な感想です。でもそのアミンが可愛く見えちゃうほど嫌悪感を呼ぶのが、ジェームズ・マカヴォイが演じる医師でしょう。英国籍のくせにやたら「俺はスコットランド人だ」を強調するし、現地で世話になった医師夫婦を平気で裏切るし、女にはだらしがなくてアミンの第三夫人と情事を重ねて妊娠させちゃうし、パスポートを没収されて英国外交官に泣きついても「アミンの白いサル」と蔑まれて拒絶されるところでは、思わず「ざまーみろ!」と心の中で快哉を上げてしまいました。まあここまで観る人を不快にさせるとはそれだけマカヴォイの演技が優れているからでもあり、多いに褒めてあげなくてはね。 ラストのエンテベ空港事件を絡ませた脱出シークエンスは、史実を上手く取り入れたハラハラ・ドキドキの盛り上がるサスペンスでした。思い出すだけで背筋がゾクゾクしちゃうのはマカヴォイが乳フックで吊るされる拷問シーンで、これとケリー・ワシントンの意味が判らん切断死体を見せられるところはほんとキツイ。でもこの映画でグロいシーンはこの二ヶ所だけだった感じで、『食人大統領アミン』とはえらい違いです。ていうか、そんなモンド映画と較べられちゃ迷惑ですよね。 ハッピーエンドだったのかどうか、微妙なストレスが残る映画でした。でも実際のアミンが夢のお告げ通りに天寿を全うしたのは、ほんと世の中は理不尽です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-09-06 21:39:02)
16.  ランナウェイズ 《ネタバレ》 
ランナウェイズかあ、いやーほんと懐かしいです。シェリー・カーリーとジョーン・ジェットにスポットを当てすぎた構成で、バンドそのものについては薄味な描写なのにはちょっと不満ですけど。いろいろ噂には聞いてたドロドロした内幕にもっと突っ込んで欲しかったものです。 ダコタ・ファニングとクリステン・スチュアートという今が旬の若手が、ここまで今までと違う危ないキャラを演じちゃうところが凄いところです。こういう演技上の冒険を厭わずやっちゃうのは、二人ともなかなかクレバーだということでしょう。そしてこの映画のにくいキャスティングは、いまや伝説となったかつての名子役テイタム・オニールをシェリーの母親役で引っ張り出してきてることでしょう。ミドルショットだけでアップもない本当にチョイ役もいいところなんですが、やはり名子役としてキャリアを始めたダコタとクリステンに「こんなになっちゃ、ダメだよ」と監督が忠告してる様な使い方でした(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-10 20:19:03)
17.  ランブリング・ローズ 《ネタバレ》 
D・ラッドとL・ダーンの母娘共演と言うとどうしても『ワイルド・アット・ハート』を思い出してしまいますが、あんな怪演ではなくて二人とも落ち着いた演技なので安心して観れました。まあ何と言いますか、30年代のアメリカ南部を舞台にした大人のファンタジーと言ったところでしょうか。ローズは男にとっては都合のよいちょっとオツムの弱い可愛い女というM・モンローが得意としたようなキャラなんですが、あのL・ダーンがここまで上手く演れるとは意外でした。のっけからローズがR・デュヴァルのお父さんを誘惑しようとするのでこの映画はどういう方向に行っちゃうのかとハラハラしちゃいましたが、「俺はテルモピュライのレオニダスだ!」と実にシャレたことを言ってローズの色気を撥ね退けちゃうのはさすがです。まあそこら辺が『青い体験』とは違うところなんでしょうね。でもその光景を観て喜んでいるお兄ちゃんと妹のませガキぶりも大したものですよ。 イタリア艶笑喜劇の様なくどさはないけど愛すべき小品だと思います。 
[ビデオ(字幕)] 6点(2013-05-19 19:54:39)
18.  ライフ・イズ・ミラクル 《ネタバレ》 
“ケダモノバカ一代”クストリッツァ、とうとう熊まで登場させてしまいました。そう言えばこの映画、息子さんも出演しているのですよ、これは“オヤバカ”ですかね。この息子、セルビア軍の将校役ですが堂々たる大男で結構渋い演技でした。お話しとしてはボスニア内戦中のセルビア人とモスリム人の男と女が運命に翻弄される悲喜劇で、前半はお約束のクストリッツァ調で快調なのですが、後半内戦が激化してからはちょっと失速気味なのが残念です。そう言えば本作もそうですが、クストリッツァの映画には鉄道が重要なモチーフになっている作品が多いですね。この人意外と鉄道オタクではないでしょうか?
[DVD(字幕)] 6点(2010-04-10 00:37:20)
19.  楽園をください 《ネタバレ》 
名匠アン・リーらしい叙情あふれる作品でした。面白いのは脚本で、普通だったら、さあ盛り上がるぞというところが何も起きずに通り過ぎてしまうところで(ジェイクとスー・リーの結婚、ピットと出会う場面、ラストの別れのシーンなど)、下手な監督だと多分相当な駄作になってしまうのでは。脚本を書いたJ・シェイマスはさすがアン・リーとは数々の作品でコンビを組んでいるだけあって、血なまぐさい戦争ものとは思えない味わい映画になっています。ジュエルという人は有名なシンガーだそうですが、結構良い演技していました。女優としてもっとたくさん映画に出て欲しいな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-03-07 21:35:38)(良:1票)
20.  ライフ・アクアティック 《ネタバレ》 
こんなに豪華な俳優を集めてこういうテイストの映画を撮っちゃうって、ある意味凄く贅沢なことです。この監督のドラマ作りはユニークなキャラクターの出演陣に一呼吸外した演技をさせるのですが、悪くはないのだけどちょっとワン・パターン化している感じがします。本作では海洋冒険活劇という若干ドラマ性のあるストーリー展開になっていますが、ウェス・アンダーソン節としてはどこか中途半端な印象です。まあ、ウィレム・デフォーの面白さを再認識できただけ儲けものでした。自分は「ザ・ロイヤル・テンネンバウムズ」の方が好きですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-11-01 20:05:40)
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