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プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ワイルド・アット・ハート 《ネタバレ》 
本作あたりから、リンチの映画は凡人の手が届かない次元に昇華していったのです。ニコジーとローラ・ダーンのバカップルぶりは、もうバカバカしいを通り越して神々しく感じられるほどです。でもこれでもかと立て続けに登場する脇を固める役者たちのぶっ飛んだ奇人・変態ぶりがもの凄くて、バカップルが実は一番まともに見えてくるから不思議です。でも自分には、リンチワールドとしてはまだバランスがとれた変態度で、役者の個性の見せ合いとして楽しませていただきました。それにしても、あの天使だけはなんとかして欲しかったですね…。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-06-04 00:51:15)
2.  ワイルドバンチ 《ネタバレ》 
時代背景を考えると、この映画は1913年の出来事なのです。1913年という年は、あのタイタニックが沈んだ年で、翌年には第1次世界大戦が勃発する様な時代です。パイクたちが使う武器も軍用拳銃コルトガバメントやライアットガンなど20世紀の武器で、米軍から奪った重機関銃まで登場します。ラストでソーントンがパイクの腰から西部劇でお馴染みのコルトピースメイカーを取り上げますが、パイクは劇中でこの銃は一度も抜きませんでした。ペキンパーは、パイクのコルトピースメイカーを消滅したフロンティア、19世紀を象徴させていると思います。ペキンパーのこだわった殺戮描写は、もはや西部劇というより戦争映画のレベルです。何度も観ましたが、6人がエンジェルの村を出てゆくのを村人が見送るシーンが抒情的で大好きです。
[DVD(字幕)] 9点(2009-02-06 00:22:14)
3.  我輩はカモである
ここまで徹底的に政治と戦争をコケにした映画はちょっと珍しいぐらいです。製作されたのは1933年で、ドイツでヒトラー率いるナチスが政権をゲットした年ではあるけど、まだ大統領ヒンデンブルクが存命でその地位は首相、いわば国際政治にもデビューしたてで売り出し中といったころ。したがってナチス体制を意識した脚本というのはちょっと的外れなんですが、自分の独裁体制に対する毒を感じとって上映禁止にしたムッソリーニはさすがです。マルクス兄弟の映画はこれしか観たことはないですが、この映画がその後のコメディに与えた多大な影響はひしひしと感じます。亡き志村けんのひげダンスは、グルーチョ・マルクスのパロディだったんだと改めて気づかされた次第です。というか、映画史上もっともカオスに満ち溢れた1時間余りなのかもしれません。そしてまさにギャグの百科事典と呼ぶにふさわしく、現在のコメディのパターンはほぼ網羅されているんじゃないかな。一言もセリフがなくて動き回っていたハーポには、狂気さえ感じたほどでした。「祖国は戦争に入れり」のミュージカル・シークエンスなんかも圧巻でした。ただ英語のダジャレのセリフは字幕では上手くニュアンスが伝わらないのは残念、自分の英語力のなさが悔やまれる次第です。やはりこういうギャグ映画は、原語が理解できないと半減とまではいかなくとも三分の一は面白さが減じてしまいますね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-03-25 22:23:59)
4.  ワイルド・アパッチ 《ネタバレ》 
54年の『アパッチ』ではバリバリのアパッチ戦士だったバート・ランカスターが、18年後の本作では年老いたアパッチ・ハンターを演じるというのは時の流れの残酷さを感じさせられます。もういい歳なので身体が動かなくなっているのであの驚異の身体能力を見せる場面はありませんけど、彼が70年代に見せた円熟味に溢れる演技は堪能できます。監督のアルドリッチも『ヴェラクルス』以来のコンビ、お互いに知り尽くした仲というわけです。 70年代ですからヘイズコードはとっくに撤廃されていますが、容赦ない残虐描写は『ソルジャー・ブルー』以降の西部劇の風潮だなと感じます。前半でアパッチに襲撃された避難民の女性が護衛兵に眉間を撃ち抜かれるシーン、レイプされてなぶり殺しになるよりはという慈悲ですけど、70年代までの西部劇で顔に銃弾が当たるところは初めて観た気がします。その兵士も銃を口に突っ込んで頭を吹き飛ばして自決しちゃいますが、その死体を切り裂いて内臓(らしきもの)を引っ張り出しちゃうアパッチがこれまたエグい。この映画は『ソルジャー・ブルー』と真逆で、アパッチ側の残虐行為を何度も見せられることになります。アルドリッチはこの凄惨なアパッチ追撃戦を感情が極力排されたドライな視点で撮っています。アパッチ戦士ウルザナの暴れっぷりは無軌道というよりも戦略的で、中盤以降はマッキントッシュとウルザナの知恵比べというか騙し合いの様相を呈してきます。騎兵隊を率いるデ・ビュイン少尉=ブルース・デイヴィソンも士官学校出たばかりで牧師の息子といういかにも実戦では部下が苦労させられそうなキャラ、『いちご白書』の人ですからもう適役としか言いようがないですね。追う側も追われる側もそれぞれキャラが立っていて、緊迫感を盛り上げるアルドリッチの手練れた演出手腕もあり、70年代西部劇の傑作の一つと言っても過言ではないでしょう。 本作もそうですが、70年代の先住民との争いが絡む西部劇を当時進行中のヴェトナム戦争に絡めて論じる風潮があります。そういう意図があった作品もあるかもしれませんが、そんなリベラルぶった見方がエンタティメントとしての西部劇が衰退していった遠因じゃないかと私は思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-12 22:07:49)(良:1票)
5.  ワーテルロー 《ネタバレ》 
ナポレオニック映画としては、いまだに本作を超える映画は製作されていないんじゃないでしょうか。監督がセルゲイ・ボンダルチュクでソ連陸軍全面協力とくりゃ、その映像のド迫力は想像をはるかに超えるもので、観ていただければ決して大げさな賛辞でないことはご理解いただけると思います。とくにネイ元帥率いる騎兵が方形陣を組む英国歩兵に突っ込んでゆく有名なシーンは、あまりの迫力に鳥肌が立った記憶があります。この映画を大スクリーンで観たのは、実に幸福な経験でした。登場人物では私はナポレオンよりウェリントンの方が好みで、クリストファー・プラマー、一世一代の当たり役です。なんでも、上映時間4時間のロシア語版が存在するそうですが、なんとかして観てみたいものです。
[映画館(字幕)] 8点(2012-01-13 00:04:46)
6.  私は死にたくない 《ネタバレ》 
女性死刑囚を演じてオスカーを獲ったのは『モンスター』のシャリーズ・セロンが記憶に新しいですが、元祖は本作のスーザン・ヘイワードで、もっとも映画自体は『デッドマン・ウォーキング』みたいなテイストです。ロバート・ワイズは『ウェスト・サイド物語』や『サウンド・オブ・ミュージック』の様な大作の監督というイメージが強い人ですが、本来はフィルム・ノワールを撮ってきた人で、この映画もノワール的な色合いが濃い作品です。前半三分の一はヘイワードが軽罪を重ねた末に殺人容疑で収監されるまでを、ノワールっぽいカメラワークを交えながらスピィーディに見せてくれます。この映画が『モンスター』などと違うところはヘイワードはあくまで冤罪で死刑執行されたとしているところでしょう。彼女を有罪にするためにロス市警が使う手口のあまりの汚さには嫌悪感を催します。とにかく彼女が死刑確定するまでに登場する人物は、マスコミを含めてゲス野郎ばかり(ヘイワードも含めて)なのが特徴です。この映画の凄いところは収監されて死刑執行されるまでのセミドキュメンタリータッチの演出でして、ガス室の準備をする手順を黙々と見せたり、執行日直前まで何度も執行が延期されるところなど、観ている方まで打ちのめされる様な重苦しさが伝わってきます。ヘイワードの演技は確かに熱演なのですが、ワイズの緊迫感あふれる演出があってこそのオスカー獲得だったと改めて確信しました。死刑執行の様子をガス室の外で群がって見物する新聞記者たちの姿には、これほどシュールで醜悪なシーンも珍しいと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-30 09:44:07)
7.  わたしが美しくなった100の秘密 《ネタバレ》 
登場人物の性格やストーリー展開が、すべてに悪意と皮肉が込められているというのがある意味凄すぎます。もうブラック・ユーモアなんて域をはるかに超越して、まぎれもなく悪趣味です。特に舞台となったアメリカ中西部のバイブル・ベルト地帯に対する痛烈な敵意は、「監督ってほんとにアメリカ人?」と言いたくなるほどです。結構酷評されていますが、私はこの映画好きですね~。あの“いいオンナ”エレン・バーキンのダメっぷりが特にツボでした。大やけどして飲んでたビール缶が手のひらにくっついてしまうなんて、ほんとこんなバカなこと誰が考え付くでしょうか! そして、あのゲロ吐きまくる美少女たち、まさに衝撃映像でした。
[ビデオ(字幕)] 8点(2010-04-23 02:23:45)
8.  わらの犬(1971) 《ネタバレ》 
ペキンパーが初めて撮った現代劇ですが、それまでとはがらりと違う作風です。後半の殺戮シーンにはお約束のスローモーションが使われて、そこら辺はペキンパーらしさが見えるのですが。再見して感じるのは、思っていたより知的な映画だったなということです。ダスティン・ホフマンの演技も良いのですが、普通のちょっと臆病な人間が暴力を行使することに躊躇しなくなる過程が説得力ある映像で表現されていて、ペキンパーという監督の奥の深さを見せつけられました。公開当時から暴力賛美の映画だという批判(もっともこれはペキンパー作品にはつきもの非難ですが)がありましたが、ホフマンはバイオレンスを楽しんでいるのでは無く、自分の力の行使に酔っているだけであり、ペキンパーは人間の理性と暴力性は薄い壁で隔たれているだけなんだと表現したかったのでしょう。男の眼からはちょっと問題が多いスーザン・ジョージの奥さんですが、ラスト最後に残った暴徒を射殺して初めて亭主のホフマンと心がつながったように見えるのは皮肉でした。
[映画館(字幕)] 8点(2009-09-21 19:55:37)
9.  ワイルド・リベンジ 《ネタバレ》 
私の中での映画を観る前のチェックポイントの一つに、製作者や製作総指揮にどういう名前が挙がっているか、そしてそれは何人ぐらいがリストされているかという事があります。大体にして、“船頭多くして船山に上る”じゃないけどこの人数が多ければ多いほど駄作率が高いという経験則があるんです。それがこの映画はIMDBで確認したらなんと42人!「むむ、これは…」と覚悟を決めて観始めました。 それが意外なことに、全然並みの映画以上の出来栄えで見事にジンクス破りをしてくれました。主演がジャック・ヒューストンで、自身も恋人もヤク中のブルーカラー男。婚約を機に二人してヤク絶ちをして人生やり直そうと苦労するけど、あと少しというところで恋人は売人に唆されて中毒死してしまいます。そして怒り狂った主人公は、若い頃はマスタングと呼ばれていた気性の荒さが復活して、お約束の復讐劇となり密売組織を潰しにかかります。典型的なインデペンデント映画ながらも、ヒューストン以外にもロバート・デ・ニーロとジョン・マルコヴィッチというビッグネームが出演しているんですよ。デ・ニーロは田舎町の老シェリフで、ファーストショットから登場して、いわばこの映画の狂言回しみたいな立ち位置だったと思います。でもさすがデ・ニーロ、こんなマイナーな映画でも彼が姿を見せるだけで引き締まった映画になるんですね。映像にも拘りが感じられて、やたら空撮(たぶんドローン撮影でしょう)が多用されていて、この映画の陰のモチーフが浸礼(パブテスマ)みたいだから、いわゆる神の視線を印象させる意図があるのかも。この映画の最大の弱点は、恋人が中毒死するまで二人がヤク絶ちに苦しんでいる描写があまりに長くて、これだけで尺の半分はあります。その後にヒューストンが復讐に駆け回るようになると俄然アクション映画要素が強まるだけに、決して不必要とは言わないが前半はちょっとテンポが悪すぎだったのかな。まあラストにかけては意外な展開とそれなりのカタルシスもあるので、そこは相殺されたかなと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-18 22:57:17)《更新》
10.  once ダブリンの街角で 《ネタバレ》 
どっかで観た顔だなと思ったら、おお、“男”は『ザ・コミットメンツ』のギタリストだった人じゃないですか。この人は元来プロミュージシャンなんで音楽性が高いのは当たり前ですけど、本来はこの役はキリアン・マーフィが予定されていたそうです。実はキリアンももとはロックシンガーだったそうなので、この世界線もちょっと観てみたいです。“女”はチェコのアナ・ケンドリックスという感じの容姿ですが、この時はまだ18歳だったみたいです。でも夫と別居している子持ち主婦という設定にはぴったりで、やっぱちょっと老けてるんだよな。 低予算が丸判りのオール手持ちカメラとロケ撮影の映像には、まるでドキュメンタリーかノン・フィクションの様な雰囲気があります。この映画に登場するキャラは冒頭で“男”のチップをかっぱらおうとする若い男も含めて、男女を問わずイイ人ばかりなんです。“男”の創る曲はフラレ男の元カノへの愚痴とぼやきと未練たらたらの歌詞ですが、確かに曲はイイですね。対する“女”はモーションをかけてくる“男”を頑なに拒むし、最後は“男”はロンドンにいる元カノとよりを戻せそうし、“女”は夫をチェコから呼んで新生活を始めることになる結末。まあこの結末だけじゃ“男”がロンドンでアーティストとして成功するかどうかは未知数って感じだけど、ベタなサクセスストーリーじゃないところに好感が持てます。こういう何の進展もなかった男女の出会いって、自分も含めて経験したことがある人は多いんじゃないかな、人生ってそういうもんよ。因みにこの“男”と“女”を演じた二人は撮影後にほんとに恋人になって同棲したんだとか、もっとももうとっくに別れたみたいですけどね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-02-20 22:51:54)
11.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 
シャロン・テートとポランスキー夫妻の隣家がディカプリオ演じる落ち目のTV西部劇俳優が住んでいた。有名な実話が元なので結末は判っているつもりで観始めるわけですが、シャロンとディカプリオたちのエピソードは全然噛み合わなくてまるで別の映画を観させられているかのようです。どうせあの事件をラストに持ってくるんだろうから、そこでディカプリオ&ブラピとシャロンが交差する展開なんだろうとタカをくくっていたらまさかの展開、『イングロリアス・バスターズ』に続く歴史改変オチだったんですね。でもこの結末の展開は、ハリウッド界隈の業界人たちは「本当はこうであって欲しかった」と胸を切なくするエモさがあったんじゃないでしょうか。 ディカプリオとブラピはこれがたしか初共演のはず、普通ならこの二人のギャラだけで映画が二本は撮れちゃうぐらいですが、二人ともタランティーノにはいろいろ恩義があるので友情価格だったかもしれません。相対的にディカプリオの方が演技の見せ場が多かった気がしますが、ブラピだってブルース・リーをカンフー勝負で投げ飛ばすという間違いなく本人もテンション上がる見せ場があるのでご満悦のことでしょう。そしてもう一つ判ったことは、タランティーノは本当に『サイレンサー/破壊部隊』が大好きなんですね、シャロン・テートが自分が出ているこの映画を劇場で観て観客のリアクションに大喜びするシーンには、タランティーノのシャロンに対する哀悼がひしひしと感じられました。 ポランスキーはこの映画を果たして観てるんでしょうか、もし観たなら一言感想を聞いてみたいものです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-07 23:30:53)(良:2票)
12.  わが青春のマリアンヌ 《ネタバレ》 
この映画についてはマリアンヌは実在したのかなどの議論がありますが、私に言わせれば彼女はヴァンサンの母親の象徴みたいな存在だったと思います。ヴァンサンが学校にやってくる冒頭のシーン、車の中の母親は最後まで画面には登場しません。ここに監督のこの作品に対する考え方が現れていると思います。中盤ではやはり車に乗ったマリアンヌがのお祭りを見に来るシークエンスがありますが、ここではチラリとですが窓から顔を覗かせます。これは顔すら見せずに去って行った母親に対するヴァンサンの哀しみを、彼自身も無意識なんですけどマリアンヌが代替してくれた様に見えました。また男爵と望まぬ婚礼を強いられるマリアンヌは、息子の気持ちを忖度することもなく大尉と結婚する実際の母親と見事に裏表の関係になっています。こうやって考えると、この映画は幻想的な寓話じゃなくて理詰めで計算された心理学的な脚本だと思います。 また全篇に漂うホモセクシャルチックな雰囲気がまた独特です。寄宿学校の生徒たちが普通に会話しているシーンでも、互いを見つめる視線になんかヘンな雰囲気が感じられてしまうのです。そんな濃密な男の世界に紛れ込んだ娘リーゼがだんだんと疎外されてゆき、最後は鹿の群れに踏み殺されてしまったのは当然の成り行きだったのかもしれません。 あと気になった登場キャラは男爵の用心棒兼ドライバー役の男で、あの太いまゆ毛が繋がった容貌はコントによく見かける西郷隆盛のパロディにそっくりです。彼の着ている制服をどっかで観た様な気がするなと気になったんですけど、気が付きました。松本零士がこの映画からインスパイアされてメーテルを創造したという話は有名ですけど、実は『銀河鉄道999』の車掌はこの西郷さんがモデルだったんじゃないかと思います(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2015-09-22 21:23:47)
13.  ワーキング・ガール 《ネタバレ》 
いやはや何とも、あのジョーン・キューザックの存在感というか厚化粧の凄さは強烈でございました。連獅子ヘアスタイルもさることながら毒々しいアイシャドウのメイク、もう荒事の歌舞伎役者そっくりです。メラニー・グリフィスもさんざん下着姿を披露したけど完全に喰われちゃった感がありました。 下積みキャリアウーマンの逆転サクセス・ストーリーといういかにも80年代らしさに溢れたテーマで、似た様なプロットの『赤ちゃんはトップレディーがお好き』(もっともこっちはエグゼクティブ・ウーマンがヒロインでしたが)に比べてみるとはるかに映画としての出来は上かなと思います。シガニー・ウィーバーが長を務める買収部門のフロアーが、良く見ると30人近くスタッフがいる様に見えるのに全員が女性というのはちょっと壮観でした、日本の証券会社では考えられないことですよ。そしてハリソン・フォード、この映画では三女優がオスカーにノミネートされたのに彼だけ無視され、まあそれも納得の平常運転の演技ですから。でも、ボタンをひとつも外さずにスルリとYシャツを脱ぐ妙技は、ワンシーンだけでしたけどなかなかレベルが高い技でした(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-10-07 21:45:27)
14.  ワイルドシングス 《ネタバレ》 
〈警告!伏せ字ではとうてい無理だから以下大ネタばれさせますので、この映画をこれから観る人はご注意願います。〉 首謀者はN・キャンベルで、まずM・ディロンを脅かして計画を立て始める。K・ベーコンを仲間に加える様にM・ディロンを操ったのもN・キャンベル。K・ベーコンはキャンベルが主導権を握っていることには気づいていない。D・リチャーズはベーコンが一味に加わっていることは知らなかった。ここで問題なのは、K・ベーコンになにをさせたかったのかがイマイチ不明なこと。キャンベル殺しのトリックでは、リチャーズとベーコンの両名とも騙されている。ベーコンは裁判後に独自に捜査して三人がグルだということを上司や同僚にアピールしている。ディロンはキャンベル殺しがリチャーズの犯行だと同僚刑事に信じさせようとするけど、もしリチャーズが逮捕されたらディロンがやったと白状しちゃう可能性が高いんじゃないの? ということは、ベーコンにリチャーズを殺させるお膳立てを創るために小細工をしていたと言うことになるけど、あまりにご都合主義がすぎるのではないか?  と、いろいろ思い返してみましたが、やっぱりK・ベーコンがやっていることは辻褄が合わないんです。いろいろ楽しめる作品であることは確かですがね。最後においしいところを持っていったB・マーレーの飄々とした演技は面白かった、実はこいつが本当の黒幕だったりして…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-09 19:26:57)
15.  私の優しくない先輩 《ネタバレ》 
『ハルヒ』の山本寛が実写映画を初監督ということで、あまり期待はしてなかったのですが、自分には意外とストライクでした。たしかに前半のポップだけどチープな展開とラジオドラマみたいなモノローグの多用は好き嫌いがはっきり分かれるところでしょう。あのハリボテ丸出しの宇宙と地球は、相米慎二の『東京上空いらっしゃいませ』を思い出させてくれて、なんか良かったです。まあ邦画では珍しいタイプの映画かもしれませんが、今後カルト的な評価がされるかもしれませんね。 そして、実はわたしここが目当てでこの映画を観た様なもんですが、ワンカット・ワンシーンで撮られたエンディングのダンスはポップでほんと至福感に満ちています。ここだけでも見る価値は十分あります。
[DVD(邦画)] 7点(2012-02-17 23:43:37)
16.  悪い種子 《ネタバレ》 
ローダは映画史上に残る極悪少女ですね。抱きしめられるシーンで見せる邪悪な表情の怖いこと!この映画は舞台とは結末が違っているそうですが、検閲で引っ掛かって文字通り「天からの罰」を与えてハッピーエンド(?)になったそうです。ラストにカーテンコールを持ってきて、母親に笑いながらローダをおしりペンペンさせているところも検閲に対する配慮でしょうか。難点は舞台劇の映画化ということもあり、出演者の演技がちょっと大げさで舞台調が抜けてないということです。でもパティ・マコーミックとアイリーン・エッカートの演技は鬼気迫るものがありますよ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-05 12:25:45)
17.  ワイルド・ギース 《ネタバレ》 
元祖“漢泣き傭兵映画”として傭兵戦争アクションというジャンルを築いた功績はこの映画にはあるんですけどね… 確かに脚本は秀逸で各キャラも立ちまくっているんですが、監督のアンドリュー・V・マクラグレンの演出力がそのレベルについて行けてないというのは残念なところです。この人ジョン・フォードの弟子で助監督としてフォード西部劇を支えてきた人なんですけど、ひとり立ちしてからはどうも冴えませんでしたね。この映画に限った事じゃないのですが、彼のアクション演出はどうも冗長でキレがないんですよね。言ってみれば昔の西部劇調の演出パターンから脱け出せなかったということです。あと、冒頭とラストに流される歌が、まるで角川春樹みたいなダサいセンスで最低。 リチャード・バートンはじめ傭兵メンバーはちょっとあり得ない様なオッサン軍団なんですが、これが皆いい味出してるんです。苦労して脱出できたのにリンバニは死んでしまうという結末は、傭兵の悲哀が色濃く漂っていて渋い。登場キャラの中では、“軽薄なジェームズ・ボンド”といった風情のロジャー・ムーアの役柄が私の好みです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-03-13 22:16:22)
18.  ワールド・トレード・センター 《ネタバレ》 
21世紀になってからのオリヴァー・ストーンは良く言えばオーソドックス、でもまるで面白みのない映画監督になってしまった様な気がします。この映画も、9.11を撮った作品としては予想通りの展開でなんの捻りも有りません。最近は過激な言動の方が目立つ彼ですが、こういう撮り方をみるとやっぱり根っこは従軍経験のあるアメリカ人なんだなとつくづく思いました。 この作品のニコラス・ケイジは久しぶりに抑えた演技を見せてくれて評価したいです。回想シーン以外は出番のほとんどが瓦礫に埋もれしかも暗闇で顔すら判別できないというキャラですからね。 それにしてもあの瓦礫の中からたった20人しか生還出来なかったという事実には愕然とさせられました。でも“20人も救出できた”と考えることもできるわけで、難しいところです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-11-09 18:13:01)
19.  鷲は舞いおりた 《ネタバレ》 
映画はずいぶん前に観てて、ぜひ原作を読んでみたいと思ったのに30年は経っているのにいまだに読んでいません。 この映画、良く考えたらジョン・スタージェス監督の遺作になるんですよね。原作のファンからは酷評されていることも判りますが、マイケル・ケインのシュタイナー大佐は観直してみるとそう悪くはない気がしてきました。世の中を達観した様なシニカルなキャラが、彼ら特殊部隊員たちの持っているゲルマン的な滅びの美学に良くマッチしているなと思います。 私の様なマニアはどうしても目が向いてしまうのですが、この映画は軍装や兵器の考証への拘りには目を見張るものがあります。シュタイナーがユダヤ人女性を助けようとするシーンでは、博物館にしかない様な実物の突撃砲まで登場するのには驚かされました(チラッとですけど)。でも?なのはポーランド軍の軍服の下に着ているのが降下猟兵のコスチュームではなく空軍のパイロットの制服であることで、原作もそうなんでしょうかね。 考証はこの様に満足できるものですが、肝心の脚本はけっこう粗い部分が目立ちます。撮影の都合があったんでしょうけど、いくら英軍の輸送機を使っていると言っても白昼に落下傘降下はふつうやらないでしょう。リーアム・デブリンのキャラも、人間味が溢れるというよりもこれじゃあ単なるバカみたいです。バカと言えばラリー・ハグマンたち米軍の描き方で、どうなんでしょうね、これは作品の緊張感を削ぐ悪効果しかないと感じますけど。ラストの改変もあるし、あまり原作の凄さを活かしきれていないという印象が強いです。
[映画館(字幕)] 6点(2013-09-26 21:24:21)
20.  ワールド・オブ・ライズ 《ネタバレ》 
最近はイラク・アフガニスタンや中東の対テロ戦争もの映画がハリウッドでは量産状態なので、観てもどれがどれやら頭がこんがらがってしまい困ったものです。本作もちょっと前の製作ですが、ディカプリオがこれまた以前に演じた様なキャラなので余計にややこしいわけです。その反面、R・クロウが超マイホーム主義のCIA幹部という意表を突いた役柄なのはセンスの良い発想です。銃を撃たないし誰も殴らない、そして最後まで怒鳴ることすらないR・クロウは久しぶりに観た気がします。とは言え決して善人じゃないので国家を裏切る様な陰謀を画策しているのかと思えば、けっきょく単なる高給サラリーマンだったとは期待をいい意味で裏切ってくれました。 ディカプリオがまるで“任地ぼれ”した外交官みたいな行動ばかりしているのが、この映画の印象を悪くしている一因でしょう。民間人の建築家をテロ組織の首領にでっちあげるという極悪非道な行いをしておいて、土壇場になってこの建築家を助けようと苦闘するところも、人としてちょっと間違っているんじゃないでしょうか。最後はヨルダン娘との恋を実らせたくてCIAを去るわけですが、彼女をあんなひどい目に合わせたんだから、きっと振られますよ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-02-19 00:17:38)
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