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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1872
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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201.  異端の鳥 《ネタバレ》 
第二次大戦時、ナチスのホロコーストから逃れるために地方へと疎開したあるユダヤ人少年の苦難の旅路を全編モノクロ映像で描いた不条理劇。ほとんど音楽も使われずセリフも必要最低限、ただひたすら主人公の少年が頭のイカレタ登場人物たちに酷い目に遭わされ続けるというお話で、しかもそれが170分続くというもはや苦行と言ってもいい映画でした(笑)。楽しいだけのエンタメ映画とは真逆に位置するいわゆる芸術系の作品なんでしょうけど、こーゆー作品の評価のポイントとなるのは監督のセンスに自分の感性が合うかどうか。正直言って、自分は全く合わなかったです。疎開先の自分を虐めていた叔母さんが心臓発作で急死してから、ただひたすらこの少年を好奇の目で見たり暴力を振るったり性的搾取の対象にしたりとさまざまな頭のおかしい人々が出てきては自ら破滅してゆくという展開が延々と繰り返されてゆきます。リアリティはあまりなく、なんだか寓話に近いエピソードがひたすら羅列されてゆくというその内容に、自分は昔読んだ大岡昇平の『野火』を思い出しました。あの小説も何がいいのかさっぱり分からなかったけど、次々と繰り出される強烈なエピソードに頭がくらくらして良くも悪くも印象には残るなという感想を持ちましたが、本作も同じような鑑賞後感。確かに芸術性は高いのでしょう。突発的に描かれる暴力的でエロティックなのにどこか美しいシーン、妙に心に残る個性豊かな登場人物たち、人間的な魅力を一切感じさせないまるで世界を写す鏡のような主人公、そして最後に明かされるのは彼の名前……。3時間もあるのに、最後まで観客の興味を捉えて離さない深いテーマがきっとそこにはあるのだろう。でも、自分はもういいです(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2023-06-26 06:29:59)
202.  6才のボクが、大人になるまで。 《ネタバレ》 
『6才のボクが、大人になるまで。』を、同じ俳優が同じ役柄を演じ続け、12年もの長きにわたって撮り続けて完成させたファミリー・ドラマ。ぶっちゃけ、それ以上でもそれ以下でもありません。うーん、なんだろうなあ。巷では評判がいいみたいですけど、面白いですか、これ。確かに、相当な困難と労力を駆使して完成させた作品であることは僕も認めるところなのですが、肝心のドラマ部分がなんとも退屈。映画の良さって、このような何処にでも居るような平凡な人々の何処にでもあるような平凡な日常を如何に人々の興味を惹き、かつ面白く見せるかが一つのポイントになると思うのです。が、本作は大して面白くもないお話をただ時系列順にだらだらと垂れ流しているだけで、もうつまらないったらありゃしない。例えるなら、あんまりよく知らない家族のどうでもいいようなホームビデオを延々と見せられたようなもので(しかも2時間半!)、僕は途中から眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。アル中夫のDVや実父の再婚など、「お」と思わせるようなエピソードもたくさん出てくるのですが、それらがその後どうなったのかはほったらかしのまま。いやいや、アル中男の元に残してきたあの義理の兄妹はどうなってん!せめて、あのロクデナシの父親から離れることが出来たかどうかくらいは知らせてくださいって。そういうエピソードの投げっ放しがたくさんあって、僕は最後までずっとモヤモヤしっぱなしでした。これはやはり脚本などはなからなく、年に数回俳優のスケジュールに合わせ行き当たりばったりで撮ったのであろう本作の弱みと言っていい。どうやら僕はこの監督の作風とは合わないみたいです。この作品を創るのに使われただろう労力に、4点。
[DVD(字幕)] 4点(2023-06-22 13:44:21)
203.  リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン 《ネタバレ》 
1983年、世界中から様々な人々が集う人種の坩堝ニューヨーク。独自の習慣と閉鎖性に支配された中国人たちの街チャイナタウンには、今日も本国から色んな人々が夢を求めてやって来る。幼いころに中国から越してきた不法移民の子サニーとスティーブンは、ずっと兄弟同然で過ごしてきた幼馴染みだ。だが、ふとしたきっかけで、彼らはその地で警察よりも強大な権力を有する凶悪なギャング組織〝青龍(グリーン・ドラゴン)〟の一員となるのだった。麻薬密売、レイプ、拷問、殺人…。何でもありの無法者集団の中で過ごしてゆくうちに、2人は一人前のギャングへと成長してゆく……。生々しい暴力が渦巻く80年代のチャイナタウンを舞台に、生きるために犯罪者とならざるを得なかったそんな青年たちの青春をエネルギッシュに描いたクライム・ドラマ。大御所マーティン・スコセッシが製作を務めたくらいの情報のみで今回鑑賞してみました。さすがスコセッシ御大が絡んでるだけあって、なかなか見応えのある骨太のギャング映画に――幾分か問題があるとは言え――仕上がっていたと思います。実話を基にしていることもあり、いつ殺されてもおかしくないような狂った世界に生きるギャングたちの、まるでこちらまで汗の匂いが漂ってきそうなほどの生々しい迫力には素直に圧倒されました。中華料理の脂っこい臭いや麻雀牌が掻き回される雑多な音が充満する街の中で、餓えた野犬のように生きる男たちの生き様は観ているだけで火傷しそうなほど。全編に漲るこの熱量はなかなかのものでした。ただ、実話を基にしたからなのか、お話がけっこうごちゃごちゃしてて、いまいち分かり難かったのが本作の欠点。具体的に言うと、登場人物がやたらと多いうえに彼らが組織内でどのような立場で誰とどういう関係にあるのかいまいち理解しづらい。なのに、お話自体はどんどんと進んでいってしまう。途中、僕は何度か置いてけぼりを喰らってしまいました。映画として、これは大きなマイナス・ポイントと言わざるを得ないでしょう。もう少し丁寧な演出を心掛けてほしかった。ほとばしるような生命力を感じさせるエッジの利いた演出は凄く冴えていただけに残念です。
[DVD(字幕)] 5点(2023-06-22 13:19:22)
204.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 
「ドイツ軍がこれから行う奇襲攻撃や爆弾投下、神出鬼没のUボート攻撃、全ての指令が今この空中を飛び交っている。これらの無線信号は受信機さえあれば子供でも傍受出来る。だが、その内容は高度に暗号化されている。その組合せは、159×10の18剰通り……。10人が1分間で一つの組合せを試し、1日24時間、週7日休みなく続けても、全てを調べ終わるのに2000万年もかかるのだ。しかも、それは1日のはじめに全て設定しなおされてしまう…。それが、ナチスドイツが開発した世界最高峰の暗号化システム、エニグマだ」――。本作は第二次大戦中、英国諜報部の極秘指令を受け、そんな難解な暗号化システムの解読に成功したものの長らく極秘扱いにされ、歴史の闇に埋もれていた天才数学者アラン・チューリングの生涯を描いた伝記映画だ。なるほど、数々の賞を受賞しただけあって、堅実に創られた歴史ドラマとしてなかなかよく出来ている。アラン・チューリングという天才的な頭脳を有するものの、人間としては社交性ゼロ、偏屈な変わり者が如何にして仲間たちと協力し合いエニグマという世界最高峰の暗号を解読することが出来たのか?また、第二次大戦の終結を2年は早め、多くの人命を救ったばかりか現代のコンピューターの原型と呼ぶべきシステムを開発したのに、何故それが何十年も極秘扱いされてきたのか?そんな興味深い内容であるもののいかんせん地味になりがちなテーマを極めて分かりやすく、かつ魅力あるドラマとして描き出すことに成功している。主人公の人格形成に大きく影響を与えた少年時代、仲間とともにエニグマ解読に全精力を捧げた第二次大戦下、そして、その抱えた秘密によって不遇の晩年を余儀なくされた終戦後…。ともすれば空中分解しそうなそんな三つのエピソードを、極めてバランスよく配置したその物語構築の手腕は高く評価されるべきものだろう。観客の好感を得られにくい偏屈な数学者という難しい役柄を、一人の人間として見事なまでに演じきったB・カンバーバッチの仕事ぶりも大したものだった。ただ一つ難点を挙げるとすれば、それはK・ナイトレイが演じたアランの婚約者、ジョーンの存在だろうか。同性愛者であった主人公がどうしてそこまで彼女に執着し、あまつさえ婚約者となって引き止めたのか。そこにいまいち説得力が感じられない。ここらへんをもう少し丁寧に描いてほしかった。とはいえ、歴史の荒波に翻弄され、不遇の人生を歩まざるをえなかった一人の偉人の生涯を現代に甦らせた本作の業績は称賛に値する。なかなかの佳品と言っていい。
[DVD(字幕)] 7点(2023-06-22 13:07:32)
205.  コングレス未来学会議 《ネタバレ》 
かつて類まれなる美貌でもって栄華を誇ったもののいまや落ちぶれ、障害のある息子と共に質素に暮らす中年女優、ロビン・ライト。ある日、そんな彼女に大手映画会社から特異なオファーが舞い込んでくる。「君には映画会社が自由に操れるCG女優となってもらいたい。君は映画の中で永遠の若さを得ることが出来るのだ。その代わり、現実の君は今後一切、公の場に出てきてはならない」――。当初は断ろうとしたロビンだったが、息子のために仕方なく契約書にサインすることに。永遠に年を取らない女優となって見る見るうちに人気を得ていく〝ロビン〟。だが、20年後、事態は意外な方向へと転がり込んでゆく……。実写とアニメを融合させた独創的な映像で知られるイスラエルの映像作家アリ・フォルマンの新作は、そんないかにも彼らしい前衛的な作品だった。前半、コンピューターでスキャンされCGとなった主人公を軸にハリウッドの内幕をシニカルに見つめたドラマになるのかと思いきや、後半から物語は予期せぬ展開を見せ始める。初老の域に達した主人公が「未来学会議」という謎の会合に出席するため全てアニメで構築されたアブラハマシティへと迷い込んでからは、この監督の面目躍如といった独自の世界観が開陳されていくのだ。現実世界は全て原色系のカラフルな世界へと変貌を遂げ、人々はユーモラスでありながら何処かグロテスクなアニメキャラとなって主人公を迎え入れる。やがて、この世界は革命を起こし何不自由ないユートピアとなるのだが、当然、そこには不都合な真実が隠されている…。離れ離れになった息子を求めて、何不自由ないアニメ世界から現実へと戻った主人公が目にする真実には大いに戦慄させられた。この監督の前作『戦場でワルツを』を髣髴させるこの反転構造はやはりこの監督独自のものだろう。素晴らしい。だが、本作には決定的な弱点が一つ。それはストーリーの要所要所に腑に落ちない部分が幾つも散見されるところだ。何故、CGとなったはずの主人公が迷い込むのはアニメ世界のみなのか?何故、主人公は新たなユートピアのシンボルへと祭り上げられたのか?そして何故、主人公は〝ロビン・ライト〟という実在の女優でなければならなかったのか?そこに明確な理由付けが感じられない。そこが本作のレベルを一段低いものにしてしまっている。この独創的な世界観は文句なしに素晴らしかっただけに、惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2023-06-22 12:33:40)
206.  オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体 《ネタバレ》 
第二次大戦下、ナチスドイツを欺くためにイギリス政府が極秘に行った特殊作戦、その名も「オペレーション・ミンスミート」。それは偽装されたイギリス将校の死体を地中海に漂流させ、敢えてナチスの手に渡そうと言うもの。あらかじめ死体に持たせておいた偽造文書によって、敵の目を自軍の上陸作戦から逸らそうというのだ。あまりに無謀な作戦だったが、首相の決断により実行にうつされることに。失敗すれば2万人もの若き英国兵の命が危険に晒される。作戦の責任者として任命されたモンタギューは、集められたごく少数のメンバーとともに着々と計画を練ってゆくのだが……。実話を元に、そんな無謀とも言える極秘任務に従事した英国諜報部員たちの奮闘を描いたスパイ・サスペンス。監督は、『恋におちたシェイクスピア』で有名なジョン・マッデン。名優コリン・ファースが主演を務めたということもあり今回鑑賞してみました。題材は物凄く良かったと思うんですよ、これ。ドイツの同盟国であったイタリアのムッソリーニ政権を倒すためにシチリア島に進攻しようというイギリス軍。敵の目を島から逸らすために偽造文書を持たせた死体を海に流す(海流が変わって違うとこに流されたら終わりですやん!)なんて、常人にはとても成功するようには思えない作戦を実行に移したというだけでも凄いのに、ましてやそれが実話なんて!なのに、なんだろう、この最後まで付きまとう微妙な空気……。映像が終始暗くて地味だし、お話も無駄にややこしいのがその原因じゃないですかね。特に敵が死体を見つけてからの展開が、いったいどうなったら作戦が成功なのかいまいち分かりづらい!さらにそこに無駄としか思えない主人公のロマンス要素も加わって、まぁサスペンスが盛り上がらない盛り上がらない。もう少しお話を整理してもっと分かりやすく見せてほしかった。この監督の前作がけっこうお気に入りだっただけに残念!
[DVD(字幕)] 4点(2023-06-22 07:21:29)
207.  インフィニット 無限の記憶 《ネタバレ》 
体験したことのない思い出や習ったことのない専門知識、夜毎見る悪夢の中では自分とは違う人間となっていつも殺される――。幼い頃からそんな謎の記憶に悩まされる中年男性エヴァン。統合失調症と診断され、何度も施設に出たり入ったりを繰り返した彼は、結婚も定職に就くことも出来ず常に最底辺の生活を強いられていた。そんなある日、彼の目の前に「インフィニット」と名乗る謎の組織が現れる。彼らはエヴァンに到底信じられないような衝撃の事実を告げるのだった。なんと全人類は輪廻転生を繰り返していて、自分たちのような限られた人間だけはこれまでの前世の記憶を全て憶えているというのだ。世間の好奇の目を避けるため、ずっと密かに生きてきた彼ら。だが、そんな永遠の生を否定し、安らかな無を望む人々も存在していた。彼らの名は、「ニヒリスト」。全人類を滅亡させればこの輪廻の輪を終わらせることが出来ると信じていた。エッグという最終兵器を開発した彼らは、今まさに計画を実行しようとしている!組織の女性戦闘員ノーラとともに、エヴァンは人類を救うために行動を起こすのだが……。これまでリアルな設定の男臭いアクションを幾つも手掛けてきたアントワン・フークア監督が恐らく?初めて挑んだであろう、そんなSF作品。冒頭から存分にお金を掛けた手に汗握るアクションシーンの連続に掴みはバッチリでした。SF的ギミックもけっこう格好良くて、ドローンやハンドルが2つ付いた車などどれもスタイリッシュで大変グッド。特にクライマックスの飛行機上での敵味方入り乱れる攻防はフークア監督らしいキレの良さで素直にハラハラドキドキ!とは言え、肝心のお話の方は余りにグダグダ過ぎて観てられませんでしたけど(笑)。突っ込みどころ満載の荒唐無稽な設定もそーゆーものだと割り切ってみれば良いんでしょうけど、さすがに無茶苦茶すぎて後半はかなり置いてけぼり状態。特に悪役の世界を終わらせる理由が、もう生きるのに疲れたからというのはさすがに説得力がなさすぎる!だって悪役のボスを演じたキウェテル・イジョフォーが生きるエネルギーに満ち溢れてて、とても自殺願望を抱えているように見えへんという…。ここは文字通りもっとニヒルな根暗系の役者さんをキャスティングしてほしかった。んで物語のキーとなる、人類を破滅させる最終兵器「エッグ」の隠し場所もそんなしょーもないとこに隠してあったんかいと自分はずっこけそうになっちゃいました。しかもそれを簡単に敵の皆さんに知られちゃうという脇の甘さ。こんな人たちに人類の存亡を知らぬ間に託されてると思うと背筋が寒くなっちゃいますね。てか、そもそもこの輪廻転生のことを政府なり科学者なりに公表しない理由は何?とまあ突っ込みどころは満載ながら、アクションシーンも迫力あったしストーリーのテンポも良かったしで暇潰しで観る分にはぼちぼち楽しめると思います。
[DVD(字幕)] 6点(2023-06-19 08:25:01)
208.  ラスト・リベンジ 《ネタバレ》 
バニールはまだ生きている!テロリストの元幹部である奴は数々の殺人や誘拐に関わり、観光バス爆破事件では多くの子供たちまで犠牲にしたんだ。なのに、病気だからと言ってほっとくんですか?野放しにしておくことはCIAや政府の方針に反するはずだ――。かつて対テロ工作員として国際的に活躍していたものの、いまや認知症を患いCIAのお荷物となってしまったエヴァン・レイク。もはや引退を余儀なくされそうになっている彼に、ある情報が舞い込んでくる。22年前、彼が逮捕寸前まで追い詰めたものの直前で取り逃がししてしまった大物テロリスト、バニールが深刻な病を患いケニアに潜伏しているというのだ。すぐさま上司に報告したレイクだったが、彼の訴えは「もうすぐ病気で死ぬ男に関わっている時間はない」と無下に却下されるのだった。どうしても過去と決着をつけたかったレイクは、独自に捜査を開始する。自分を慕ってくる若手スパイと共に、情報を求めてルーマニアへと向かった彼だったが、認知症の進行により徐々に意識が朦朧としてくるのだった……。病を抱えながらも因縁の相手を追って世界を駆け巡る孤独な老スパイを描いたポリティカル・アクション。いまやB級映画の代名詞とも言えるニコラス・ケイジ主演ということで相当ハードルを下げて観始めたのですが、案の定、その下がりに下がった僕のハードルのさらに下を行く完成度の低さでしたね、これ。何が駄目かって、とにかくストーリーの根幹をなす大事な部分にいちいち突っ込みどころ満載な点。たとえば、①何故、主人公はそのバニールというテロリストにそれほどまでに執着するのか?恋人や同僚を殺されたという明確な理由があればこそサスペンスが盛り上がるというのに、昔取り逃がしちゃったからという理由だけではさすがに乗り切れない②主人公を慕う若手工作員がどうして職を賭けてまで彼に同行するのか?先輩として尊敬してるからだけではさすがにちょっと、ねえ…(笑)③主人公が認知症で何度も意識が混濁するという設定が一切活かされていない。本作において、これは致命的な欠点と言っていいでしょう。他にも、ケニアに入国するのに初対面の医師に成りすましたり(付け髭とグラサンだけでOKってそんなアホな…笑)、ようやく念願のバニールと対面できたのに何故か殺しも捕まえもせずにその場を立ち去ったり(後日、彼の部下に襲撃されてやっぱり殺しに行くって、じゃあ最初に殺しとけよー!笑)、そういう細かい部分にも荒さが目立ち、とてもじゃないけど楽しめなかったです。まあ、よくも悪くもニコケイブランドの作品ってことで。
[DVD(字幕)] 4点(2023-06-16 08:40:38)
209.  ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ 《ネタバレ》 
1950年代、長年音楽業界の第一線で活躍してきた伝説的ジャズシンガー、ビリー・ホリディはある困難な事態に直面していた。黒人を中心にロングセラーを記録していた彼女の代表曲にして人種差別を告発する問題作「奇妙な果実」。激しい公民権運動に揺れるアメリカ政府はこの曲を問題視、社会の秩序を乱すとしてコンサートでは歌わないよう彼女に圧力を掛けてきたのだ。だが、幼い頃から黒人たちの理不尽な現実を目の当たりにしてきたビリーは、政府のそんな圧力にも負けず、堂々と歌い続ける。次第に黒人差別闘争のシンボルへと祭り上げられてゆくビリー。業を煮やした政府は、彼女を麻薬不法所持の容疑で逮捕するのだが……。実話を基に、そんな反骨の女性シンガーの生涯を力強く描いたヒューマンドラマ。監督は、デビュー以来黒人としてのアイデンティティを追求し続けてきたリー・ダニエルズ。確かに描きたいテーマも分かるし、この不遇の生涯を生きた女性の魂の遍歴を現代に蘇らせたいという監督の想いも充分に伝わってきました。ビリー・ホリディを演じたアンドラ・デイの真に迫った熱演も素晴らしく、本来は歌手である彼女の魂のこもった歌声も胸にくるものがある。アカデミー賞ノミネートも納得。ただ、純粋に一本の映画としてみれば、自分は正直微妙と言わざるを得ませんでした。とにかく説明不足。冒頭から、彼女が歌手としてどれほど成功しているのか、またどのような政治的立場にあったのか、基本的な部分がいまいち掴めず物語にうまく入り込めません。彼女が刑務所から出所したあと、如何にして全国ツアーに出るに至ったのかもその経緯がよく分からない。政府からの圧力を逃れるため?単純に人気に陰りが出たから?たくさん出てくる登場人物も誰が誰なのかさっぱり掴めず、またその相関関係も極めて分かりずらいため、自分は中盤からほとんど置いてけぼり状態でした。特に、語り手なのか何なのかよく分からない、あの潜入捜査官みたいな黒人男性はいったいなんだったのでしょう。もう少し丁寧な演出を心掛けてほしかった。興味深い題材だっただけに、惜しい。
[DVD(字幕)] 5点(2023-06-16 04:54:36)
210.  はじまりのうた 《ネタバレ》 
これは新曲だからまだ荒い部分もあるけれど…。都会で独りぼっちだと感じているあなたへ――。妻と離婚し、都会の片隅で酒浸りの毎日を過ごす音楽プロデューサー、ダン。かつてヒットメーカーとして、数々のアーティストを発掘し育て上げた彼もいまや会社のお荷物扱い。元妻からも邪険な扱いを受け、娘との関係もうまくいかず、ますます酒の量も増えていた。そんなある日、追討ちをかけるように会社からクビを宣告されるのだった。自暴自棄となり様々なバーをハシゴし酔い潰れてしまった彼は、とある酒場でたまたま一人の若い女性が歌う曲を聞き、まるで雷に打たれたような衝撃を受ける――。曲を披露した女性の名は、グレタ。彼女も長年連れ添ったアーティストの彼に浮気されフラれたばかりだった。友人の家に居候しながら、元彼との思い出がたくさん詰まった写真や動画を見ては溜息ばかり吐くようなどうしようもない日々。大都会ニューヨークで、そんな人生の袋小路に迷い込んでいた2人は、音楽で自分の人生や業界を変えようと意気投合するのだった。次の日、2人は画期的なアイデアを思いつく。それは全ての曲を路上でゲリラ録音すると言う奇抜なものだった。バンドのメンバーを集め、NYの様々な街並みで歌い始めた彼女たちは、少しずつ世界を変えていく……。冒頭、何の説明もなされないままそんな2人が音楽を通じて出逢うシーンを描き、そこから時系列をバラバラにしてお互いの息詰まった生活を交互に描いていくトコロまでは、抜群の編集センスや音楽的な趣味の良さもあって素直に面白く見ることが出来ました。NYという大都会で孤独を抱えている男女が出逢い、音楽を武器に自らの人生を変えていくなんて、まあベタだけどこれはこれでアリかもね、なんて。だけど……、彼らがそこから路上ライブをするために奔走し始めたあたりから僕のテンションはどんどん下がってゆくのでした。いやいやいや、なんなんですか、この薄っぺらい展開は!!落ちぶれていたはずの登場人物たちがいつの間にか立ち直ってゆき、大した苦労もないままお洒落なニューヨーカーとなって成功していくってなんですのん!!正直、自分はうんざりしちゃいました。たとえ性格が捻じ曲がってると言われようが、たとえひがみ根性が半端ないと言われようが、僕はこういう「本当の悪人は誰も出てこず、みんながみんな音楽を通じてハッピーになって、誰もが気分爽快に観終えることが出来るようなリア充礼讃映画」は嫌いです。以上。これはもう完全に好みの問題なのでいかんともしがたい。
[DVD(字幕)] 4点(2023-06-12 10:52:35)(良:1票)
211.  ザ・トライブ 《ネタバレ》 
この映画の言語は手話である。字幕や吹き替えは存在しない――。ウクライナ郊外にある聾唖学校の寄宿舎に、ある日、一人の青年が転校してくる。もちろん青年も迎え入れる生徒も先生たちも皆、他人とのコミュニケーション手段は〝手話〟だ。この学校に、音というものは存在しない。青年は、そこでこの学校を牛耳る不良グループと知り合い、仲間となるのだった。売春、強盗、窃盗……。様々な悪事に手を染めてゆく中、青年はある一人の美しい女性と恋に落ちる。だが、青年は知っていた。彼女はそんな不良グループのボスである危険な男の女だったのだ。それでも青年は自らの情熱を止められなかった。人目を忍んで何度も身体を重ね、情欲の海に溺れてゆく2人。やがて、静かな学校内に愛と憎しみが少しずつ交錯してゆき、それはいつしか危険な発火点を迎えてしまう……。字幕や吹き替えはおろか、全編にわたって音楽すら使われていない本作は、一見、あまりにも静かな映画だ。だが、画面の中で繰り広げられる物語は、そんな静けさとは対照的にとてもパワフルかつ情熱的であり、しかも暴力的な血の匂いに満ちている。そのギャップこそが、この映画の全編に通奏する不穏さであり、また唯一無二の魅力となっている。今までにないタイプの映画だ。この静謐さと不穏さを詩情溢れる映像でもって同居させたこの監督の感性は特筆に値する。世界中で数々の賞を受賞しただけのことはある。ただ、この挑戦的な手法が大きな武器となっている反面、逆に本作に幾ばくかの制約を課してしまっているのも否定できない事実だろう。セリフや説明が一切ないため、ストーリーに分かり難い部分が幾つもあり、そこを汲み取れなければ物語としてうまく受け取めることが出来なくなってしまうのだ。映画を鑑賞中、僕は何度か深い霧の中に迷い込んでしまったような感覚を味わってしまった。観終わって、後で思い返してみれば「なるほど、あれはそういうことだったのか…」と納得できるものではあるのだが、映画としてこれは大きなマイナスポイントと言わざるを得ない。もう少し何とか工夫出来なかったものか。今までにない独創的な世界を見事なまでに構築した作品だっただけに、惜しい。
[DVD(字幕なし「原語」)] 6点(2023-06-12 10:21:37)
212.  Dearダニー 君へのうた 《ネタバレ》 
かつてヒット曲を連発し栄華を誇っていた往年のロックスター、ダニー・コリンズ。だが、いまや老境の域に差し掛かった彼は、酒とドラックに溺れる寂しい日々を送っていた。もう何十年も新曲を書かず、かつてのヒット曲だけを頼りにツアーを廻っていたダニーに、ある日、マネージャーが誕生日プレゼントとして一通の手紙を持ってくる。なんとそれは、ジョン・レノンが生前彼に宛てて書いたものの約40年もの間配達されずに保管されていた手紙だった――。「親愛なるダニー、音楽を堕落させるかどうかは君自身。音楽と自分自身に常に忠実であれ。ジョンより」。深いショックを受けた彼はツアーを中止し、浮気中の妻には別れを告げ、とある地方都市のホテルにやってくる。新曲を書くため、そして今までずっと目を背けてきた自らの過去と真剣に向き合うために……。実話を元に、落ちぶれた往年のロックスターが約40年ぶりに発見されたジョン・レノンからの手紙をきっかけにして再起を図る姿を軽妙に描くヒューマン・ドラマ。アル・パチーノ主演、ジョン・レノンの名曲が幾つも使われているということで今回鑑賞してみました。うん、いいですね、このいい意味で力の抜けたノスタルジックな雰囲気。ともすれば雰囲気だけの薄っぺらい作品になりそうなテーマなのですが、そこにアル・パチーノやアネット・ベニングといった熟練の役者陣がいいアクセントを効かせていて非常に好感の持てる作品に仕上がっていたと思います。特にアル・パチーノ、酒浸りで胡散臭いロックスターながら時おり深い優しさを垣間見せるという個性的キャラクターを見事に演じておりました。そんな彼が後半、癌を患う息子と和解しようともがくことになるのですが、そこも単純な和解劇とせず主人公の弱さをちゃんと目を逸らさず描くところも好印象。うん、人間なんてそんなすぐ真人間に変われるほど単純じゃないしね(経験者談!!笑)。ただ、本作のストーリーにはちょっと弱い部分があるのも事実。それは、ジョン・レノンの手紙を読んだ主人公が急に心変わりする理由にいまいち説得力が感じられないところ。レノンからの激励の言葉を受け取った主人公がずっと書いていなかった新曲製作に取り掛かるのは分かるのですが、長年疎遠にしていた息子との和解まで決意するというのはいささか強引すぎやしませんか。とはいえ、この牧歌的な雰囲気を壊すほどの瑕疵ではない。全編を彩るジョン・レノンの名曲群も良かったですし、なかなかの佳品だったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2023-06-12 09:59:31)
213.  クーデター 《ネタバレ》 
外国人は皆殺しだ――。東南アジア某国。転職を機に、愛する妻とまだ幼い2人の娘と共にこの地に赴任してきたジャック。11時間にも及ぶフライトを終え、会社が用意した高級ホテルの一室にチェックインした彼らは、新たな地で人生の再スタートを切るはずだった。だが、翌日、ジャックは街の異変をすぐに感じ取る。中断されたままのテレビ、いつまで経っても接続されないネット、街を忙しなく行き交う軍部隊、不穏な住民たち…。やがて、〝彼ら〟がジャックの目の前に現れるのだった。鉈やピストル、軽機関銃で武装し、外国人抹殺を叫ぶ血走った目の暴徒たちが…。すぐさま家族と共に脱出を図るジャックだったが、街は一夜のうちに彼らに占拠されていた。はたしてジャックたち家族は無事に国外へと脱出できるのか?パッケージやキャスティングからいかにもB級感ぷんぷんのそんな本作なのですが、ピアーズ・ブロズナンが出ているということで今回鑑賞してみました。冒頭こそ、これぞアジアでございと言わんばかりののっぺりとしたカメラワーク、無意味なスローモーションの多用等々先が思いやられていたのですが、暴徒と警官隊が暴動を起こしてからはもう畳み掛けるように続くアクションシーンの連続にけっこう惹き込まれて観ている自分がいました。何をするか分からない残虐非道な暴徒たちが暴れまわる中、幼い2人の娘と共に決死の覚悟で逃げ惑う主人公に素直にハラハラドキドキ。救援に来たと思いきやいきなり銃を乱射してくるヘリコプターの襲撃に始まり、隣のビルに乗り移るために娘を無理やり放り投げたり、家族と一緒に死体に隠れて敵を遣り過ごしたり、変装して小さなバイクに乗り込んだ彼らが群集が暴れまくる夜の街に繰り出したり……。と、なかなかハードなアクションの連続で観客をぐいぐい惹き込む展開はなかなかのもの。「これは思わぬ掘り出し物かも!?」と思いながら観ていたのですが、後半息切れしたのか、アクションが幾分かスケールダウンしてしまったのが残念でした。特に僕は、P・ブロズナン演じるCIA職員ハモンドの薄っぺらさが気になりました。国際政治の裏舞台で常に死と隣り合わせで生きてきたスパイはもっと冷徹であってしかるべき。それが、「俺たちのせいだから君たち家族を全力で助けてやる」と命まで投げ打って主人公家族を救出するというのはさすがに甘すぎやしませんか。このハモンドの行動にもう少し説得力を持たせてほしかった。と、そこらへんが気になりましたが、それでも娯楽作としては充分水準に達していたと思います。第三世界を舞台にした、重厚な軍事アクションとして観て損はないでしょう。
[DVD(字幕)] 6点(2023-06-12 09:43:27)
214.  コーダ あいのうた 《ネタバレ》 
彼女の名は、ルビー・ロッシ。寂れた港町で漁業を営む家族とともに暮らす平凡な女の子だ。勉強やスポーツが特に出来るわけでもなく、人が羨むような特技もない。見た目だって普通、交友関係もいたって人並。だけど、彼女には他の人とは違う特徴が一つだけ。それは、彼女以外の家族全員が耳の聞こえない、いわゆる聾者だということ――。そう、両親はもちろん彼女の兄も一切耳が聞こえず、言葉を話すことも出来ない。家族との会話は全て手話、食事のときも食器の音以外何も聞こえない。どうしても他の人とコミュニケーションを取りたいときは、唯一の健常者であるルビーの力を借りなければならなかった。彼女はいわゆる〝コーダ(聾者の両親に育てられた子供)〟。それでも家族とともに充実した日々を送っていたルビーは、ある日、ふと思いついて高校の合唱クラブへと入部することに。緊張しながら初めて人前で披露した歌声。顧問の先生は、指導を続けてゆく中で粗削りながらも彼女の歌声に秘められた可能性を感じるようになる。ボストンの音楽大学への進学を薦められるルビー。でも、私がいなくなれば家族の生活はますます大変なものに。思い悩んだ末にルビーが出した結論とは?耳の聞こえない家族の元で育った17歳の女の子の青春を瑞々しく綴ったヒューマンドラマ。アカデミー作品賞受賞ということで今回鑑賞。感想は、良くも悪くもとにかくオーソドックス。全編通じて、何処かで見たような映像と何処かで聞いたようなお話のてんこ盛り。主人公カップルが崖の上からキレイな森の湖に飛び込むシーンなんて、この手の青春ドラマでもう何回見てきたことか。誰もいない湖面で2人泳ぎながらキスするとか、トム・クルーズの『カクテル』ぐらいから受け継がれてきたもはや青春映画のテンプレなんでしょうね。クライマックスの両親が見守る中での発表会なんかも、まぁ~~既視感満載。でも……、このベタさ、自分はけっこう嫌いじゃない。それはやはり、主人公をはじめとする登場人物誰もがみな魅力的だからでしょうね。この家族、障碍を持っていても誰も自分を憐れんだりしていない。自分たちだけで健常者と普通に渡りあおうとするし、頼るべきところはちゃんと頼るしたたかさも持ち合わせている。そんな両親を愛していながらも世間に引け目を感じてしまう主人公も気持ちが分かるぶん切ない。何かと言うと家族の責任を前面に出し娘に依存しようとする両親も最初はちょっとウザかったですけど、最終的には娘を清々しく送り出すところは素直に感動しました。妹にちゃんと自立した道を歩んでいって欲しいと願う兄も凄くいい奴。妙に下ネタが多いところも、障碍者を必要以上に美化しないという決意が感じられて好感持てますね。自分は最後まで清々しい気持ちで観ることが出来ました。ルビー、これからもっと幸せになれよーー!
[DVD(字幕)] 7点(2023-06-12 08:13:48)
215.  パラレル 多次元世界 《ネタバレ》 
最近立ち上げたITベンチャー企業の経営に奮闘する4人の若者。ところがかつての従業員の裏切りに遭い、経営の危機に直面してしまう。1週間以内にソフトを完成させ取引先に納入しなければ倒産するのは明らか。そんな絶体絶命の状況を救ったのは、とある小さな鏡だった――。オフィスとして借りていた古い一軒家の屋根裏部屋にあったその鏡には、驚くべき力が宿っていたのだ。なんとその鏡の向こうには、こことは違う別の世界が拡がっていた。自分たちが住む現実とは微妙にずれた世界、しかも入るたびにその世界は刻々と変ってゆく。そこでは今とは違う職業に就いた自分がいたり、見ず知らずの他人と結婚していたり、さらには死んだ人間が生きていたりする……。そう、この鏡は幾つもの時空を越えた別世界へと繋がる、いわゆる多元宇宙への扉だったのだ。鏡の力を使い経営の危機を脱した彼ら。やがて彼らはそのパラレルワールドへと頻繁に出入りし、自分たちの世界にはない発明品や芸術品を持ち帰ると、あたかも自分たちが作り出したかのように世間に発表する。鏡の力で充実した日々を送る彼らだったが、次第に自らの欲望を止められなくなって……。さまざまなパラレルワールドへと繋がる鏡を偶然見つけた今どきの若者たちの驚愕の体験をノンストップで描いたSFスリラー。監督は、『ダークレイン』や『パラドクス』でスマッシュヒットを飛ばしたイサーク・エスバン。確かにこの監督らしい独自の世界観は構築出来ていたと思います。突っ込みどころは満載ながら、スピード感あふれる演出とぶっ飛んだユーモアセンスで最後まで突っ走るところはこの監督ならでは。どうせ別の世界だからと金を盗んだり嫌な奴をボコボコにしたり、さらには他人の絵画や発明品を盗んだりと主人公たちがやりたい放題するシーンはけっこう楽しい。ただ、そーゆーワンアイデアを勢いとノリだけで一本の映画に仕上げてしまったのはどーなんでしょうね。過去作では、そういう荒唐無稽な設定も「これは映画ですよ」という寓話的な枠組みがバッチリ嵌まっていたからこそ観ていられたと思うんです。本作のように、現実と地続きの世界でこれをやられるとさすがに違和感が凄い。この多元宇宙という設定をもう少し詰めるべきだったのでは。例えば、この鏡がどのようにして出来上がったのかとか、別の世界からものを持ち帰るとその元の世界ではどうなるのかとか、別世界でもう一人の自分と出会うとどうなるのか等々。ここら辺のルール設定をもう少ししっかり描いて欲しかった。これでは物語としてあまりにふわふわしすぎていて、後半のサスペンスがいまいち盛り上がらない。監督の過去2作はそこそこ気に入っていただけに、惜しい。
[DVD(字幕)] 5点(2023-06-12 07:02:36)
216.  ヴィオレッタ 《ネタバレ》 
子供のころ、実の母親にヌード写真を撮られることを強要され、さらにはそれをアート写真集として世間一般に販売されてしまった少女、ヴィオレッタ。そんな彼女が大人となり、そのころの忌まわしき体験を基に自伝的物語として製作したのが本作である。主役を演じた少女が当時10歳でありながら相当な美少女であり、なおかつかなり大胆な衣装を着てかなり挑発的なポーズをとっているということでも話題を呼んだ作品でもある。正直そっち系の嗜好を自覚している自分としては、たまたまビデオ屋さんに並んでいた本作のその怪しい魅惑に満ちたパッケージを発見し、「こ、こんな作品があったとは……。不覚」とすぐさまレンタルし今回鑑賞してみた。結論から言うと、映画としての出来は大したものではない。むしろ、完全なる失敗作と呼んでいいほどの酷い内容だった。あまりにも拙い脚本、全く繋がりというものを考えていない場当たり的な編集、センスというものを一切感じさせない凡庸な映像、そして作品の肝と言ってもいいはずなのにとことんダサい主人公たちの衣装や撮影現場のセット…。映画としての基礎がまるでなっていない、完全なる駄作である。だが、しかし!この作品を毎年何十、何百と大量に創られてはあぶくのように消えていくあまたの駄作たちの海に沈めて忘れ去るには惜しい魅力がただ一つだけある。それは、主役を演じたアナマリア・ヴァルトロメイの類まれなる美少女性である。すっと通った鼻梁にふっくらとした唇、透き通るような美しい肌に大人になりかけた少女だけが持つまるで妖精のような未成熟な身体つき、そして何よりも男心を貫くように見つめてくるその純粋な瞳……。脳と何処かがスパークしそうなほどの魅力に満ちた完璧なる逸材であった。素晴らしいというほかない。これで、映画としての出来が良ければと考えると本当に惜しい作品であった。
[DVD(字幕)] 5点(2023-06-05 12:07:47)
217.  インサイド・ヘッド 《ネタバレ》 
父親の都合でそれまで暮らしてきたミネソタの田舎町から突然、大都会サンフランシスコへと引っ越すことになった11歳の少女ライリー。ところが夢見ていた新居は薄汚れた狭いアパート、おまけに引越し業者の手違いで荷物は一向に到着せず、優しかったお父さんもお母さんもずっとイライラしっぱなし。おまけに転校した先の学校では新しい友達にもうまく馴染めず、ライリーの心はどんどんと沈んでゆくのだった。そんなライリーの頭の中をこっそり覗いてみると――。そこには常に天真爛漫なヨロコビ、いつもめそめそしているカナシミ、いつだって不機嫌なムカムカ、絶えず不安なことを考えてしまうビビリ、今にも噴火しそうなイカリ、そんな個性豊かな〝感情〟たちがライリーを見守っていたのだった。ところがある日、カナシミとヨロコビが頭の中の司令室から飛び出してしまう……。いまや3Dアニメーションの代名詞とも言えるピクサーの新作は、そんな一人の少女の頭の中を想像力豊かに擬人化した冒険活劇でした。自分、こういう少女の頭の中をファンタジックに映像化した作品に弱いんですよね~。記憶の貯蔵庫や映画撮影所のような夢製作現場、見ているだけでワクワク感が止まらないイマジネーションランド等々、彼女の頭の中がとても魅力的な舞台として視覚化されていてすんごく良かったです!ライリーの頭の中だけが舞台なのかなと思いきや、途中、お父さんやお母さんの頭の中も見せてくれたり(しかも、お母さんの頭の中はカナシミ、お父さんの頭の中はイカリがそれぞれ主導権を握っているところなんか凄くリアル)、ガムのCMソングがどうしても忘れられないと思ったら作業員が毎回司令部に戻していたりと遊び心も満載で大変グッド。特に僕は、近道として抽象概念の部屋に入った主人公たちがどんどんと単純化された二次元アニメになって最後は色と物だけになるという、ポップとシュールが渾然一体となったマジカルなシーンにもう痺れちゃいましたわ。ただ一つ不満な点を挙げるとすれば、物語で重要な役割を果たすビンボンというキャラクターが正直微妙でいまいち魅力を感じなかったところですかね。もうちょっと可愛くすれば良かったのに…、と思ってしまったのは僕だけなのかな。とはいえ、思春期に差し掛かった少女が如何にしてままならない現実と折り合いをつけ大人になってゆくのかという、考えてみればとても深いテーマをこれだけのエンタメ作品に仕上げてしまうピクサーの手腕にもはや脱帽です。うん、8点!
[DVD(吹替)] 8点(2023-06-05 11:39:23)
218.  ザ・ロストシティ 《ネタバレ》 
ゆる~~~~~い映画でした。
[DVD(字幕)] 3点(2023-06-05 10:54:51)
219.  やさしい本泥棒 《ネタバレ》 
1938年、ドイツ。ナチスがその汚れた爪で世界をずたずたに切り裂こうと手ぐすねを引いていたその年、とある一人の少女が貧しい老夫婦の元へと養子に出される。彼女の名前はリーゼル、まだ思春期を迎えたばかりの平凡な女の子だ。甲斐性はないが心優しいおじいさん、口が悪く一見性悪に見えるが根は善人のおばあさん、そして腕白盛りのクラスメートの少年たちとリーゼルは新しい生活に少しずつ馴染んでゆく。学校で文字を習い始めた彼女は、図書館にある様々な本に書かれたまだ見ぬ世界に強く惹かれてゆくのだった。だが、社会ではナチスがその正体を徐々に表し始める。リーゼルが愛する様々な本たちは彼らによって有害図書に指定され、強制的に燃やされていく。そんな折、彼女の家に突然マックスと名乗る一人の大怪我を負った青年が訪ねてくる。昔おじいさんの命を救った恩人の息子であり、そしてユダヤ人だった。地下室に匿うことになった彼の気を少しでも紛らわすためにリーゼルは、本をたくさん隠し持っている市長の家に忍び込み、夜な夜な彼に朗読して聞かせるために一冊ずつ盗み出してゆく…。時代の波に翻弄されたある一人の少女の青春を、死神という特異なストーリーテラーの視点でもって描き出す大河ドラマ。そういった変わった設定ではあるものの、とても堅実に創られた歴史ドラマとしてなかなか良く出来ていたと思います。主人公の少女を演じた女の子の瑞々しさもさることながら、やはりジェフリー・ラッシュ&エミリー・ワトソンという名優コンビが演じた老夫婦の存在でしょう。どんどんと悪化していく世情に決して負けることなく、人間として必死に生きていこうとする彼らは全編を通じて胸に迫るものがあります。地下室に隠れ住むことになるユダヤ人青年マックスも、リーゼルに大切なものをたくさん教えてくれる男として充分存在感を放っている。特に、主人公に恋する同級生の男の子が非常に魅力的でした。常にリーゼルのために頑張ってくれた彼が、その後に辿る運命を思うと切なくなってしまいます。ただ、一個の物語として見ると少々散漫な印象を受けたのも事実。タイトルにもなっている〝本泥棒〟というエピソードが物語の中でいまいちうまく機能していないうえ、ラスト、彼らが戦後どうなったかを駆け足で説明するくだりも何だかとってつけたような感じがしてちょっと残念でした。とはいえ、丁寧に創られた大河ドラマとしてとても好感の持てる作品に仕上がっていたと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2023-06-02 11:48:48)
220.  チャーリーとチョコレート工場 《ネタバレ》 
過去の辛い出来事が原因で人を信じることが出来なくなってしまった天才チョコ職人、ウィリー・ウォンカ。彼の造りあげたカラフルでポップでユーモラスだけど、その裏側に恐ろしい狂気を感じさせる工場で日々作られるのは世界的な人気を誇るウィリー・ウォンカのチョコレートだ。そんな魅惑的なチョコを作る工場の作業員たちは、無表情でみな同じ顔をした小人族であるウンパ・ルンパ。彼らが用意した〝特別賞〟を求めてある日、一癖も二癖もある5組の親子たちがこの謎めいた工場へと足を踏み入れる。だが、賞品を手にすることが出来るのは1組のみ。脱落した親子には、どこか歪んだモラルによって次々と酷い制裁が加えられていく……。ともすると、とても陰鬱な映画になりそうなのに、天才ティム・バートンにかかると、まるでウィリー・ウォンカの魔法のチョコのように、どこまでも明るく楽しいメルヘンに仕上がってしまうのだから凄い。この映画の優れている点は、あくまで子供の目から見た鋭い社会批判となっているところだろう。通常大人が子供に聞かせるおとぎ話には、多くの場合、子供への教訓が含まれている。例えば、赤ずきんちゃんには「子供だけで森に行くと狼をはじめとする危険がいっぱいなので絶対にダメだぞ」。アリとキリギリスには「今が楽だからと仕事を怠けていると後でしっぺ返しを食らうぞ」。浦島太郎には「酒や女にかまけていると気づいたときにはもう老人で一人ぼっちになるぞ」……。でも、大人社会にはどうしても子供に説明できないような理不尽や不条理がまかり通っている。豚のように意地汚い子供は砕いて食べてしまうよ、いつも喧嘩ばかりの子供は大きなブルーベリーにするぞ、我が儘ばかりの子供はゴミ捨て場行き、屁理屈ばかりの子供はちっさくして指チョンだ。そうやって子供に教訓ばかり垂れるあなたたち大人はそんなに立派なのですか。良い子にしていれば僕たちは立派な大人になれるのですか。でも結局、あなたたち大人も僕たち子供と大して変わらないんじゃないですか。だってこの世界には今でも戦争や犯罪や貧困がまかり通っているじゃん――。子供たちからのそんな痛烈な社会批判が最後まで一貫しているからこそ、この作品は傑作となりえている。一時期低迷していたティム・バートンが見事なまでの復活を遂げた歴史的名作と言っていい。盟友ジョニー・デップの類稀なる怪演も本作の成功に多大な貢献を果たしてることも忘れてはならない。
[DVD(字幕)] 10点(2023-06-02 11:22:31)
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