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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1872
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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281.  アダムス・ファミリー(2019) 《ネタバレ》 
アメリカで古くから親しまれてきたホラーコメディ漫画『アダムス・ファミリー』を豪華声優陣を揃えて映像化したフルCGアニメ。いまだ根強い人気を誇るだけあって独特の世界観と個性豊かなキャラクターはすこぶる魅力的。おどろどろしい雰囲気なのにどこかコミカルなのもこの作品ならではで、ティム・バートン好きな自分としてはけっこうツボでした。今回悪役として登場した、髪の毛盛り過ぎセレブおばさんも負けず劣らずキャラ立ちしているのも良かったです。ただ、さすがにお話が空気すぎる!余りにも中身がなさ過ぎて心に残るものが何もないまま、さらさらっと終わっちゃいました。このオーソドックスでベタベタな物語の中に、もう少しぴりりとした隠し味が欲しかったかな。この監督の前作が『ソーセージ・パーティー』という毒の塊のようなアニメだったので、その10分の1でも盛り込んで欲しかったところ。ここらへん、ティム・バートンはやはり偉大だなぁと再確認しちゃいました。結論。可もなく不可もなくなごく普通の家族向けアニメ。でも、声優陣も豪華だし、アニメとしてもちゃんとクオリティは高いし、暇つぶしで観るぶんには充分楽しめると思います!!
[DVD(字幕)] 6点(2023-03-24 06:27:43)
282.  エルサレム 《ネタバレ》 
地獄への入り口は三つある。一つは砂漠に、一つは海に。もう一つはエルサレムに――。イスラエルへと観光にやって来たアメリカ人女性サラとレイチェル。楽しいバカンスになるはずだった。そうその日、行き先をテルアビブから三つの宗教の聖地とされるエルサレムへと変更するまでは……。地獄への門が開くとされる贖罪日の夜、突如として異形の怪物たちが現れ、人々を見境なく襲い始めたのだ。さらにはイスラエル政府が軍隊を投入したことで、この歴史ある街は大混乱へと陥ってしまう。これは実際にその日、現地でこの災厄と遭遇したアメリカ人女性が撮影した映像を独自に再構築して公開された作品である。と、まあよくあるタイプのPOV作品なのだけど、目新しいところといえばこれまであまりホラー映画の舞台とされることのなかったエルサレムで撮影されているとこでしょうかね。地獄の門が開き、鬼や悪魔が人間界に襲い掛かってきたという荒唐無稽な設定に説得力(まああくまである一定の、ですけどね笑)を与えています。それに多少の観光気分が味わえるのもグッド。エルサレムという現実に渡航するのは勇気がいるけれど一度は行ってみたい聖地を実際に訪れたかのような気にさせてくれます。もう一つは、画面を記録するアイテムがそれまでの単純なビデオカメラなどではなく、スマートグラスという眼鏡型のウェアラブル端末であるという点。新しいキャラクターが画面に登場するたびに顔認証されてその人のフェイスブックが表示されたり、目的地までの地図が表示されたり、音楽が流れたりと、単調になりがちなPOV作品の弱点をそれなりに補っております。まあ主人公が男友達とエッチする前に、何故かその一部始終がばっちり見えるところにその眼鏡を置くのはご愛敬ですけど(笑)。と、評価できるのはその二点ぐらい。あとはこれまで何度となく制作されてきた凡庸なPOV作品と大して変わりありません。だいたい物語の肝となる、魔物たちの復活までが無駄に長すぎます。もっとテンポよく進めてくれないと。あと、最後のオチの肩透かし感も酷い。「はぁ?これで終わり?なにそれ?!」って感じでした。
[DVD(字幕)] 5点(2023-03-22 14:00:08)
283.  フィフス・ウェイブ 《ネタバレ》 
謎の宇宙生命体〝アザーズ〟が突如として地球に襲来。大混乱へと陥った人類に、彼らは5つの段階を踏んで攻撃を開始したのだった。第1の波。それは強力な電磁パルスを発信し全ての電化製品やエンジンを使い物にならなくさせるというもの。第2の波。彼らは世界中で大地震を起こし津波を発生させると沿岸部の大都市に壊滅的な打撃を与えた。続く第3の波。強化した鳥インフルエンザを世界中で大流行させ、アザーズは生き残った人類をさらに追い詰めることに成功する。そんな中、密かに行われた第4の波。それはアザーズ自らが人類の脳へと寄生し互いに仲間割れさせるというもの。もはや人類の運命は風前の灯火と化していた。そして、最後の総仕上げとして謎に満ちた第5の波が着々と実行に移されるのだった……。宇宙人の襲来によりディストピアと化した世界で生き残りをかけて戦う一人のティーンエイジャーの壮絶な戦いと成長、恋と青春の日々をダイナミックに描いたサバイバル・アクション。主演は、『キックアス』で大ブレイクを果たしたクロエ・グレース・モレッツ。系統としては、最近ハリウッドで流行りのヤングアダルト系SF映画『ハンガーゲーム』や『ダイバージェント』の系譜に連なる作品なのですが、それらのショボ作品のさらに上をいく極めつけのショボショボ映画でしたね、これ。もう突っ込みどころの雨あられ。冒頭の津波シーンで予算を使い果たしたのか、以降のアクションシーンのショボいことショボいこと…。また、どうでもいい恋愛要素がだらだらだらだら最後まで続くため、ますます眠気を誘発させること半端なし。唯一の見どころであったクロエちゃんも、なんかちょっと微妙(笑)。結論。観終わった後、時間と金を返せと大声で叫びたくなる超ショボショボ映画でありました。
[DVD(字幕)] 2点(2023-03-22 13:46:05)
284.  アウトバーン 《ネタバレ》 
最愛の女性のために足を洗った元犯罪者、ケイシー。スクラップ工場で働き、彼女とともに貧しいながらも幸せな生活を送っていたある日、彼は最悪の事態に見舞われる。愛する女性ジュリエットに重大な腎疾患が見つかり、医者から腎臓移植しか助かる道はないと宣告されたのだ。だが、手術には途方もない額の大金がいる。追い詰められたケイシーは、かつてのボスであったゲランといういかれた犯罪者の元を訪れ、金になる仕事を廻してもらうように依頼するのだった――。与えられた仕事は、強大な麻薬密売組織の現金を積んだトラックを強奪するというもの。相棒とともに綿密な計画を立て、計画実行の日を迎えたケイシーだったが……。恋人の命を救うため、〝アウトバーン(速度無制限道路)〟をどこまでも疾走する青年のそんな息詰まるような攻防を描いたクライム・アクション。敵対する悪の組織のボス役で往年の名俳優、ベン・キングズレーとアンソニー・ホプキンスが豪華共演を果たしております。まあ率直に言って本作の見どころはそれぐらい(笑)。なんか脚本がイマイチなんですよね~、これ。物語の軸となるべきものがすごく弱い。主人公ははじめ、現金強奪の為のトラックを調達するはずが、すぐさま失敗。そのまま麻薬組織に追われる展開となります。だが、その過程で手に入れた高級車から大量の現金が発見されたので、これでどうにかしようと主人公は考えるわけです。でも、そのためには恋人を組織から守らなければならない。なので、組織と敵対する自分の雇い主であるボスに保護を依頼します。んで、何故かガソリンスタンドでのよく分からない紆余曲折を経てこの雇い主の元へと命からがら帰ってくる。でも、そこに居たのはなんと手違いで連れてこられた恋人とは似ても似つかない赤の他人。そこにまた組織の手下が現れ…、と、このように物語があっちこっちへと寄り道回り道するせいで全然サスペンスが盛り上がらない。肝心のカーチェイスシーンも頑張って撮っているんでしょうけど、なんかありがちでいまいちテンション上がりません。最後のオチにいたってはお粗末すぎて失笑レベルでありました。うーん、率直に言って駄作!
[DVD(字幕)] 4点(2023-03-22 13:33:03)
285.  ズートピア 《ネタバレ》 
弱肉強食という自然の摂理を乗り越え、全ての動物が平和的に暮らす理想都市ズートピア。だが、そんな動物たちの楽園でなぜか一握りの肉食動物たちが野生に戻り狂暴化して失踪するという事件が多発する。果たして彼らに何があったのか。捜査に乗り出したのは、うさぎで初の警察官となったジュディと詐欺師として都会でしたたかに生きる狡賢いキツネのニック。二人の懸命な捜査によって、事件の背後には謎の組織「夜の遠吠え」が深く関わっていることが判明するのだった。しかし、事件が明るみになると多数派の草食動物と全体の一割に満たない少数派の肉食動物たちの対立が激化していく……。いかにもディズニーらしい分かりやすいストーリーと魅力的なキャラクター、細部まで緻密に描かれた美しい映像とゴージャスで胸躍る音楽等々、全てにおいて高い水準を誇るアニメ作品でありました。現代のアメリカ社会が直面する人種問題へと鋭く切り込む深いテーマ性を有しながら、それでもあくまでエンターテイメントに徹したその制作姿勢は素晴らしいとしか言いようがない。主にネズミたちが住むミニチュアタウンやシロクマたちが住むツンドラタウンなど、見ているだけでわくわくするようなズートピアの舞台設定もいい。マフィアのボスがネズミでもろ『ゴッドファーザー』のパロディだったりお役所の窓口係が超スローモーな動きのナマケモノだったりと、随所に散りばめられた遊び心も楽しいですね。個人的には、服を脱ぎ捨てた動物たちの秘密のヌーディスト倶楽部がツボでした。これが本来の姿なのに、妙にエロティックなのは何故なんでしょう(笑)。うん、なかなか完成度の高い良品であったと思います。ただ一つだけ言わせてもらうと、ちょっとメッセージ性が前面に出過ぎかな。もう少し控え目にしてくれても良かったような気がしなくもない。僕はちょっぴり説教臭く感じちゃいました。
[DVD(字幕)] 7点(2023-03-22 13:02:27)
286.  ハウス・オブ・グッチ 《ネタバレ》 
世界的な高級ブランド、「GUCCI(グッチ)」。その創業者であるグッチ一族の内紛とその過程の中で起きた3代目社長マウリツィオ暗殺事件を赤裸々に描いたサスペンス・ドラマ。主役であるマウリツィオを演じたのは若手実力派俳優アダム・ドライバー、彼の妻役には最近俳優業にも進出し始めた世界的アーティスト、レディー・ガガ。他にもアル・パチーノやジェレミー・アイアンズ、ジャレット・レトといった超豪華な面々が脇を固めております。監督は名匠の名をほしいままにする、リドリー・スコット。長いキャリアに裏打ちされたであろう、この監督のもはや匠の技と言ってもいい演出の冴えはやはり抜群の安定感。ただ事実を時系列順に追っただけなのに、最後まで淡々と見せ切ったところは称賛に値すると思います。登場人物も多岐にわたり、分かりにくい株取引の世界もちゃんと素人にも理解できるように整理して描いているところも好感持てます。何より、アル・パチーノをはじめとする役者陣の華のある演技合戦!新旧実力派が織り成す、まるでシェイクスピアの舞台劇を観ているかのような重厚なやり取りは見応え充分でした。ただ、内容の方は……、いたって普通。リドリー・スコットって良くも悪くも職人気質なのよね。どの作品もある一定のクオリティは保証されてるんだけど、どれも魂を震わせるような深いものはありません。「グッチという世界的ブランドにこんなことがあったんだ、凄いなぁ」とは思うものの、もう一度観たい、映画として手元に残しておきたいと思うほどの名作ではない。それが自分の正直な感想です。
[DVD(字幕)] 6点(2023-03-22 09:09:52)
287.  シラノ 《ネタバレ》 
19世紀に初演されたフランスの名作戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を元に、自らの外見にコンプレックスを持つある一人の剣士の長年にわたる片思いを美麗に描いたミュージカル。監督は、現代的な解釈で古典的名作を幾つも蘇らせてきた名匠、ジョー・ライト。このお話って確か、主人公は鼻が物凄く大きいことにコンプレックスを持っててそのせいで好きな人に告白できず何年も片思いに苦しめられるって設定だったよね。でも、本作でシラノを演じるのはピーター・ディンクレイジ。持って生まれたハンディを乗り越え、実力で今の地位を築いた個性派俳優。とにかく彼の自身の境遇を重ね合わせたかのような、周りの偏見や同情を圧倒的な力で捻じ伏せるかのような熱演が素晴らしかったです。心から愛する女性が自身の後輩に想いを寄せていると知った時に見せる彼の切なそうな表情には思わず感情移入してしまいました。それでも彼女の幸せを願って、後輩との仲を取り持とうとする主人公。自分の恋心を納得させたいがため、彼からの手紙だと偽って自らが書いた恋文を何通も彼女に渡すシーンには胸がぎゅうぎゅう締め付けられますね。監督、モテない男の気持ちをよく分かってらっしゃる。癒えたはずの僕の心の古傷がズキズキ疼いちゃいましたわ(笑)。肝心のミュージカルシーンはいかにもジョー・ライトらしい、煌びやかで華のある場面の連続でもはや抜群の安定感。中世フランスの宮廷を再現した、ゴージャスで美しい映像には思わず乙女のように見惚れてしまいました。殺伐とした戦場シーンも何処か気品を感じられて、この計算された統一感は素晴らしいですね。ヒロインを演じた、ヘイリー・ベネットのいかにも恋に恋する自由奔放な感じもグッド。男を振り回す典型的な小悪魔感が憎たらしいけど、でも悔しいけど魅力的でした。彼女と彼女が想いを寄せるイケメンとシラノがベランダ越しに会話するシーンは、それぞれの情熱と諦念が交錯する素晴らしい名場面。片想いの切なさに苦しんだことがある全ての人にぜひ観てもらいたい、なかなかの秀作でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2023-03-20 07:28:43)
288.  イレブン・ミニッツ 《ネタバレ》 
とある高級ホテルを舞台に、そこに集う様々な人々の11分間のドラマをモザイク状にして描く複雑な群像劇。この監督の前々作『アンナと過ごした四日間』がけっこう好きだったので今回鑑賞してみました。率直に言うと、さっぱり面白くなかったです。映画って監督の創作スタイルによって主に二種類に大別されると僕は思うのです。それは娯楽性に重きを置いたものと芸術性を重視したもの。前者の場合、作品にもっとも必要なのは徹底的な分かりやすさと有無を言わさぬ面白さ、一方後者に必要なのは多くの観客を置き去りにするくらいの難解さや独創性を有しながらそれでも一部あるいは多くの人の心に残る深いテーマ性です。本作は、恐らく後者。その場合でも映画として物語の中に必要最低限の因果律が働いていなければ駄目だと僕は思うのです。本作には、その因果律を働かせるための必要最低限な情報量が足りていない。たくさんのキャラクターが登場しそれぞれにドラマがあることは分かるのですが、全てにおいて具体性が欠落しているため一向に物語が入ってこない。わざと分かりやすさを排除したというのであれば、それを補うための例えば詩情溢れる豊かな映像美だとか知的好奇心を刺激する独創性などがあってしかるべき。ですが、本作にはそれが一切ない。大して面白くもないお話がだらだらだらだら垂れ流され、最後まで何のメッセージ性も残さずに終わってしまいました。残念ながら、これでは監督の独り善がりというほかありません。正直、芸術性以前の問題です。
[DVD(字幕)] 4点(2023-03-17 13:35:15)
289.  ルーム 《ネタバレ》 
舞台は、何処にあるか分からない、薄汚れた小さな〝部屋〟。狭苦しいその部屋には常に鍵が掛けられ、自由に外と出入りすることは出来ない。四方の壁に窓はなく、唯一あるのは天井に穿たれた小さな天窓のみ。キッチンやバスルーム、小さなトイレや古びたテレビがあり、一応はこの部屋だけで生活が完結するようになっている。週に一度、正体不明の中年男が必要最低限の生活物資をこの〝部屋〟へと届けてくれる。住民は、2人。1人はジョイという名の若い女性。なんと彼女は7年前に誘拐されこの部屋へと監禁されてから一度も外部と接触したことがない。そして、もう1人は今年で5歳になるジャック。5年前、ジョイが誰の助けも借りずたった一人で産み落とした男の子だ。そう、ジャックは生まれてからこの小さな部屋の中だけで過ごし、一度も外の世界へ出たこともなければ一度も外の世界の人と会ったこともないのだった――。彼女たちはこの特異な状況をどのように生き延びてきたのか?どうしてこんな境遇へと陥ってしまったのか?そして、彼ら親子はこの部屋を抜け出し無事に外の世界へと帰ることが出来るのか?本作は小さな納屋に何年にもわたって監禁されてきたそんな母子の過酷な運命と、だからこそ培われてきた強い絆を真正面から見つめたヒューマン・ドラマだ。物語の中盤まで舞台はこの小汚い一部屋のみ、登場人物もこの母親と息子である男の子のみというなかなか特異な設定なのだが、この外部と一切接触したことのない純粋培養された少年を語り部とすることで非常に見応えのあるドラマを構築することに成功している。情報の出し方も巧く、この少年の父親が誰なのかをぎりぎりまでぼかして描いているため、観客はそれが誰なのかはほぼ分かっていながらそれでも違っていてほしいと思わせる不安感の煽り方も抜群にいい。と、途中までこれは傑作になるかもとワクワクしながら観ていたのだが、まだ一時間を過ぎない辺りで少年が外の世界に脱出してしまってから僕は急速に冷めてしまった。自分の好みの問題なのかもしれないがちょっと脱出が早すぎたように思う。誘拐犯に監禁されていたこの親子が決死の脱出を図る前半部分がサスペンスとしてすこぶるよく出来ていただけに、後半のシリアスな展開とのチグハグ感が何とも勿体ない。誤解を恐れずに言えば、エンタメとして前半部分と自らの人生を破壊した憎むべき男の息子を宿してしまった女性の葛藤を描く後半部分がうまく繋がっていないような印象を持ってしまったのだ。本来2時間だったものを1時間に短縮した別々の映画を連続で見せられたような、そんな居心地の悪い印象を受けてしまった。2人の脱出劇をメインにして重くシリアスな後日談は問題提起をする程度で留める。そうすれば、はるかに人の心に残る良質の作品になったように思う。サスペンスフルな前半部と親子の絆を真正面から描いた後半部がそれぞれによく出来ていただけに、惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2023-03-17 13:08:10)
290.  TUBE チューブ 死の脱出(2020) 《ネタバレ》 
理由も分からぬまま狭いチューブに閉じ込められたある女性の決死の脱出劇をノンストップで描いたソリッドシチュエーションスリラー。主人公となる女性が放置されるのは、ほとんど棺桶ぐらいの広さしかない狭い空間。そこはカラフルなネオンによって無機質に照らされ、同じような空間がどこまでも続いている。しかもそこには様々な罠が仕掛けられ、腕に取り付けられたタイムカウンターがゼロになるまでに脱出しないと死にます。とまあ一言で言うと『キューブ』の狭い版ですね。本家と全く違うのは、とにかくセンスが悪い!主人公の着ているコスチュームもダサいし、舞台となるチューブ内の映像も凡庸。なんですか、あのチューブを照らす変なネオンは。また各チューブに仕掛けられた罠もまるで小学生が考えたようなベタなものばかりで、さっぱり盛り上がらない。急に参戦してくるゾンビまがいのモンスターなんて何の意味があったのやら。途中で主人公の過去を巡る幻想的なシーンを差し挟んでくるのも違和感しか感じません。また演出のキレもすこぶる悪い。ずっと画が変わらないのに、主人公がひたすらグダグダやってるから途中の中だるみ感が半端ありません。最後のオチも投げっぱなしの酷い代物。これなら本家『キューブ』のように、最後までこのチューブ内だけで物語を完結させてしまった方が良かったんじゃない?まぁとにかくセンスのなさとキレの悪さが際立つ作品でありました。こういった設定勝負のB級映画に最も必要なものなのにね。
[DVD(字幕)] 4点(2023-03-17 09:53:39)
291.  ダーク・プレイス(2015) 《ネタバレ》 
1985年、カンザス州のとある田舎町で起こった凄惨な一家惨殺事件。シングルマザーだった母親とその二人の娘が残虐な手法で殺され、生き残ったのは当時8歳だった末娘のリビーただ一人だった。容疑者として逮捕されたのは、なんと一家の長男である当時17歳だったベン。悪魔崇拝に傾倒し地元の不良グループとも付き合いのあった彼は、唯一の生き残りであるリビーの証言により刑務所へと送られることに。こうしてこの忌まわしい事件は解決したかに見えた――。30年後、事件のトラウマから誰にも心を開けず、ずっと一人で生きてきたリビーももはや40になろうとしている。刑務所に28年も服役している兄とは連絡すら取っていない。そんな彼女にある日、殺人クラブと名乗る謎の団体から声がかかる。それは、全国各地に散らばる未解決事件を独自に調査するという犯罪マニアたちの集団だった。「君の家族の事件には、新たな真犯人がいるかもしれない。もう一度、一緒にあの事件を調査しよう」。兄の犯行を信じて疑わないリビーだったが、金のために渋々了承することに。クラブのメンバーである青年ライルとともに関係者や服役中の兄にまで話を聞きにいくリビー。彼女の脳裏に再び、あの30年前の悪夢の夜が甦ってくる…。果たして事件の真相とは?30年前に起こった一家惨殺事件の唯一の生き残りである女性が再び事件と向き合うとき、炙りだされる衝撃の真実を描いた重厚なミステリー作品。シャーリーズ・セロンとクロエ・グレース・モレッツが初共演、監督はかつて『サラの鍵』というナチスドイツに運命を翻弄される少女を描いたヒューマンドラマの秀作を撮ったジル・パケ=ブランネールということで今回鑑賞。とにかく、主役を演じたシャーリーズ・セロンの圧倒的な存在感はさすがというほかありません。心に深い傷を負い、決して幸福な人生を歩んでこれなかったやさぐれた女性役を熱演しております。また、男を翻弄する不良少女役を演じたクロエ・グレース・モレッツもなかなか嵌まっておりました。やはりクロエちゃんはこういう役の方がよく似合いますね。あの夜、本当は何があったのか――。事件を巡り過去と現在を複雑に行き来する演出も分かりやすく整理されており、監督の演出力も冴えています。特に過去と現在がリンクするクライマックスは見事な出来映えでした。ただ、残念だったのは肝心の事件の真相。ちょっといろいろと強引に詰め込み過ぎていて、いまいち納得できません。ここらへん、もう少し頑張ってほしかった。とはいえ全体的に見れば、なかなか見応えのある力作と言っていいんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2023-03-14 00:12:20)
292.  インセプション 《ネタバレ》 
これは面白い!!自分が認識する世界はどこまで信頼できるのだろうという、「われ思うゆえにわれあり」のような極めて哲学的なテーマを扱いながら、超一級の娯楽作品としても成功している凄い映画だった。人の夢の中へと入り込み、その人が将来、考えつくであろうアイデアを盗むことを生業としているディカプリオ演じる主人公コブ。恐らく映画でしか表現しえないだろう、そんな設定を最大限活かして、クリストファー・ノーラン監督は今まで誰も観たことがなかった世界を見事に映像化してみせた。第一層から第三層まであり、それぞれが全く違う世界で下に行けば行くほど時間の進み方も全く違ってくるという複雑な人間の深層心理の中を、コブたちはどんどんと奥深くへと沈み込んでいく。それを徹底的にスタイリッシュに、しかもアクション映画としても一級の迫力をも備えた映像で描き出す手腕は見事としか言いようがない。そこへ絡んでくる、コブ自身の亡き妻を巡る哀しい思い出もまた切なくて良い。そして最後、コマが止まるのかどうか、その寸前で終わるという、最高に格好良いラスト!!「このまま、コマが止まるかどうか?それを信じるのは君たちしだいなんだよ」観終えたあと、あまりの格好良さにしばらく痺れてしまったよ!!
[DVD(字幕)] 10点(2023-03-13 07:50:28)
293.  アメリ 《ネタバレ》 
大人に成り切れない、どこかに少女のように純粋な心とそして子供特有のある種の残酷な毒を残したまま成長してしまったアメリ。自分が大好きなものは心の底から応援するけれど、許せないものは徹底的に排除しようとする。そんな彼女の唯一の心の支えは、豊かな想像力が織り成す空想の世界――。まぁ簡単に言うとよくいるイタい女性なんだけど、その人物造形が奇跡のように魅力的!!フランスのお洒落な街並みで繰り広げられる、自分の大好きな人を今よりほんの少しだけ幸せにしてあげようというアメリの数々の〝悪戯〟も、その動機があまりにも純粋な心から発せられているから、素直に応援したくなってくる。かなり独り善がりだけど、ね(笑)。そんな彼女を客観視するような、早口で捲くし立てるナレーションもグット。そして現実と極力関わらないように生きてきた彼女自身の不器用な恋の行方……。ふわふわとした荒唐無稽なお話が、ジュネ監督のセンス溢れる演出と映像美によって、奇跡のような美しい世界へと昇華されてしまっている。素晴らしいとしか言いようがない。日々の生活に疲れたとき、人間関係に悩んだときなどに、子供の頃のおもちゃ箱をそっと覗き込むように、何度も観返したい映画の一つ。
[DVD(字幕)] 10点(2023-03-13 07:29:49)
294.  ブラック・ファイル 野心の代償 《ネタバレ》 
大手法律事務所に勤める将来有望な若手弁護士ベン。仕事は順調なものの、看護師の妻とは最近擦れ違いがちで夫婦仲は必ずしもうまくいってない。そんなある日、ベンはフェイスブックで学生時代に付き合っていた元カノから友達申請を受けるのだった。多少の下心もあって、彼はそのエミリーという女性と連絡を取り合い二人で飲みに行く約束までしてしまう。だが、実際に会ってみるとエミリーの真意は別のところにあった――。大手製薬会社が金の力で隠蔽した薬害事案。なんとエミリーはその製薬会社の社長と愛人関係にあり、盗み出したこの情報を買い取ってほしいというのだ。「きっとこいつは金になる」。直感的にそう確信したベンは、すぐさま上司に掛け合い、その製薬会社を相手に訴訟を起こす。だが、彼はまだ知らない。事件の背後には様々な人物の思惑が複雑に絡まり合い、やがて彼を破滅の淵へと導くことを…。アル・パチーノとアンソニー・ホプキンスという二大オスカー俳優が豪華共演ということで今回鑑賞。冒頭から、この二人のさすがの存在感もあって、なかなか面白くなりそうな空気を漂わせています。彼らをはじめ、個性豊かな登場人物たちが織りなす複雑で緊迫感溢れる駆け引きに否が応でも期待は高まるばかり。でも、それも途中まででした。おかしくなり始めるのは、イ・ビョンホン演じる謎の男が登場したあたりから。どうやら腕の立つ殺し屋らしいのですが、こいつの存在がさっぱり意味不明なのです。誰に雇われて何を目的に行動しているのか全く理解不能。病気で余命幾ばくもないらしいのですが、それもこの企業の薬害が原因かと言うと特にそういうわけでもない。いったいなんだったんでしょう。また、主人公に秘密を暴露する社長の愛人もストーリーの混乱に拍車を掛けています。主人公と共犯になるのかと思いきや彼の妻に挑発的な態度を取ったり、偽装誘拐を試みたかと思えばあっさりと殺されたり。死んでからも、何故か主人公の部屋にその死体が移動させられてたりと物語上の役割がさっぱり意味不明。終盤でアル・パチーノが捕まる理由もよく分かりません。最後の妻の告白にいたっては「はあ、何それ?」と呆れるしかありませんでした。と、腑に落ちなさ120%の駄作なのですが、二大オスカー俳優の渋さに免じて+1点しときます。
[DVD(字幕)] 4点(2023-03-13 06:59:45)
295.  デモニック 《ネタバレ》 
地方の寂れた田舎町で独り暮らしをしている中年女性チャーリー。ある日、彼女に医師を名乗る人物から電話がかかってくる。「あなたのお母さんが今昏睡状態で大変危険な状況に陥っている。今すぐ来てくれませんか」。急なその知らせは彼女を酷く動揺させるのだった。何故なら、看護師だったカーリーの母親は十数年前に精神を病み、老人ホームへと放火して21人も殺害した罪で服役中だからだ。以来母親とは関係を絶ち、連絡すら取っていなかった。それでも何年も抱え込んだ心の傷に決着を図るため、カーリーは指定された都会の病院へと向かう。そこで彼女はにわかには信じられない提案を受けるのだった。先端技術で再現された、あなたの母親の深層意識へと潜入し問題の原因を探り出してほしい――。半信半疑ながらも提案を受け入れたカーリーはさっそく、母親の脳波を元に作り出されたという仮想現実へと踏み込んでゆくのだが……。過去に大量殺人を犯した母親の深層意識へと入り込んだある女性が経験する驚愕の体験を濃厚に描いたサイコ・サスペンス。『第9地区』や『エリジウム』を撮ったニール・ブロムカンプ監督の最新作ということで今回鑑賞。この人って、デビュー作である『第9地区』がすこぶる良かったもののその後は正直右肩下がりな印象だったのですが(個人の感想)、本作でだいぶ底辺までいっちゃったような感じですかね。ぶっちゃけさっぱり面白くなかったです。まあ内容の方は『インセプション』以来大量に制作された人の夢の中に入り込む系のお話。この仮想現実空間の描写が敢えて映像の質を落とした、今発展途上のメタバースみたいなチープな質感にしているところはちょっと新しく感じました。でも、本作の観るべき部分はそこくらい。後は、同ジャンルの先行作で散々見てきたような映像がずっと続き、しかもお話のテンポが悪いことも相俟って最後まで退屈で仕方なかったです。しかも後半からはタイトルで盛大にネタバレしてる、現代の悪魔祓いというオカルト要素をぶっこんでくるのも支離滅裂感が半端ない。とにかく登場人物の誰も彼もが何がしたいのかよく分からないのが致命傷。特に主人公。母親を救いたいのか決別したいのか最後まで意味不明で感情移入出来ませんでした。ブロムカンプ監督、『第9地区』が自分はけっこう好きだっただけに、この先華々しく復活してくれることを祈るばかりですね。
[DVD(字幕)] 4点(2023-03-13 03:30:46)
296.  クーリエ 最高機密の運び屋 《ネタバレ》 
彼の名は、グレヴィル・ウィン。英国の中堅企業で働くごく普通のセールスマンだ。愛する妻とまだ幼い一人息子に恵まれ、平凡ながらも幸せな日々を過ごしている。東西冷戦が激化し始めていたこの時代、それでも彼は得意の語学力を活かし、東欧諸国にもそのビジネスチャンスを拡げていた。定年後の安らかな老後だけを楽しみに、家族のため日夜仕事に精を出していたある日、彼は政府の役人と名乗る人物から会いたいと打診を受ける。商務庁の人間だと待ち合わせ場所に向かったグレヴィルは、そこで待っていた人物に衝撃を受けるのだった――。彼らはなんとMI6とCIAに所属する、いわゆるスパイだったのだ。「ソ連のある高官が西側に寝返ろうとしている。彼と接触するためにはソ連に怪しまれない人物が必要だ。平凡なビジネスマンであるあなたはまさに適役。どうだ、国に貢献してみないか」。彼らの提案に最初は難色を示すグレヴィルだったが、現実味を帯びる核戦争の危機に触発され、渋々スパイとなることを決意する。モスクワへと赴き、当局の監視の目を搔い潜って情報を持ち帰るグレヴィル。もちろんバレると命の保証はない。何度もソ連へと行き来するうちに彼の神経は徐々に擦り減ってゆき……。キューバ危機に見舞われた東西冷戦期を舞台に、核戦争を回避するためにスパイとなったある平凡なセールスマンを描いたサスペンス。実話を元にしただけあって、この全編に漲る緊張感は凄まじかった。いつどこに監視の目が光っているかも分からず、部屋に一人でいるときも盗聴器の存在を常に意識しなければいけない。それでも国のため家族のために任務を遂行する、もともと普通のセールスマン……。圧し潰されそうな重圧から次第に家族と険悪となってゆくというのは皮肉極まりない。そんな難しい役をリアルに演じたベネディクト・カンバーバッチの熱演が光る。そんな中、同じく世界の未来の為に祖国を裏切るソ連高官との次第に深まってゆく絆。当局から疑いの目を向けられるようになり任務も遂行不可能となったのに、それでも彼を亡命させるためもう一度モスクワへと渡る決心をした主人公の決断は重い。そこからはまさに息詰まるようなシーンの連続で自分も固唾を吞んで見守るしかなかった。ただ、惜しいのは拘束されてからの後半。妻がようやく彼に会いにモスクワへとやってくるところが意外とあっさりで、ここをもっと踏み込んで描いてほしかった。地獄のような収容所生活で彼が正気を失わずにいられたという重要な場面、何ならここをクライマックスにしても良かったのでは。げっそりと痩せてしまったカンバーバッチの演技が見事なだけに、惜しい。誰もが不安を抱えて生きていた当時、核戦争を回避するために自分を犠牲にしてまで動いてくれた人がいた――。その事実に改めて畏敬の念を感じざるを得ない、なかなかの秀作であった。
[DVD(字幕)] 7点(2023-03-13 03:23:09)
297.  PITY ある不幸な男 《ネタバレ》 
都会の高級マンションで洗練された生活を送る、ある中年弁護士。常に清潔なスーツを着て、誰に対しても礼儀正しく、毎日規則正しい生活を心がける、品行方正を絵にかいたような真面目な男だ。だが、彼の最近の一日はベッドで目覚めてからしばらくの間、咽び泣くことから始まる。何故なら、彼の長年連れ添った妻が事故により昏睡状態へと陥ってしまったからだ――。もう長い間、彼の妻は病院のベッドで寝たきりで、医師も匙を投げるほどの深刻な状態。そんな彼を気遣って、周りの人々は常に優しく接してくれる。マンションの上階に住む心優しい奥さんは毎朝甘いケーキを焼いて差し入れてくれるし、弁護士事務所の事務員はいつも励ましの言葉を掛けてくれる。長年の友人は食事やスポーツへと彼をとにかく一人にさせないよう誘ってくれ、仕事の依頼主である殺人事件の被害者も自身と境遇を重ね合わせ一緒に涙してくれる。いつしかそんな周りのサポートが彼の生きる支えとなっていた。そんなある日、妻が奇跡的に目を覚ますのだが……。不慮の事故により生活を一変させられた、とある〝不幸な男〟の秘められた狂気を淡々と描いたサスペンス・ドラマ。いやー、なんか変な映画でしたね、これ。特に何が起こるわけでもない中年男の普通の日常を描いているのに、この全編に漂う言いようのない違和感。とにかくこの主人公がすんんんごく気持ち悪いんですよ!!愛する奥さんが事故で寝たきりという不幸な境遇にいるのに、何故か同情できない行動ばかりとる。「俺は世界で一番不幸な男だ」と言わんばかりの暗ーい表情でひたすら周りの同情に依存し、ピアニスト志望の一人息子には「明るい曲を弾くな、周りに立ち直ってると誤解されるだろ」なんて言ったりする。ほんとキモい(笑)。繰り返される謎のテロップも妙に心をざわつかせるものばかりだし、極めつけは息子に「妻がもし亡くなってしまったときの為に歌を作ったんだ。聴いてくれ」と突然歌いだすシーン。妻が死んだら1000匹の動物を殺すだろうと1曲丸々歌いきるところはもはや一周回って笑けてきちゃいましたわ。そして妻が回復してからは、もはやコメディ。「違う、自分が望んでたのはこれじゃない」と、周りに妻がまだ入院中だと嘘をついたり上階の奥さんにまたケーキを焼いてくれとしつこくねだったり長年飼ってた犬を海の上に捨ててきたりと、笑えないのに笑うしかない一連のシーンは白眉。全編気持ち悪いのに、変に癖になる面白さがありますね。画が無駄に奇麗で清潔感に溢れているのも良いセンスしてる。脚本は、ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモスと一緒に仕事してきた人とのこと。なるほど、なんか納得。かなり癖が強いので観る人を選ぶだろうけど、自分はけっこう好きでした。最後、物語は不幸のどん底に落ちたけど、捨てられた犬が浜辺に帰ってきて観てる方はほっと一安心。人間が嫌いになりそうな映画、お薦めです(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2023-03-13 03:15:07)
298.  キャッシュトラック 《ネタバレ》 
彼の名は、パトリック・ヒル。通称〝H〟。最近、現金輸送を専門とするセキュリティ会社に就職したばかりの普通の男だ。10年務めた欧州の警備会社が倒産し今回この会社に応募、採用試験もぎりぎり合格点レベル、妻とも離婚、家族もおらず無口で不愛想。同僚からも少し浮いた存在である彼は、簡単に言うと冴えない男だ。ロサンゼルスの街で日々黙々と働いていたそんなある日、彼が運転する輸送車が武装した凶悪な強盗集団に襲われる。だが、Hは全く取り乱すことなく冷静沈着な判断力と高い射撃能力でやすやすと敵を排除するのだった。そればかりか、後日襲ってきた別の強盗集団も彼の顔を見た瞬間、金には目もくれずすぐさま逃げ出してしまう。上司も同僚もこれには驚くばかり。果たして彼は何者なのか?FBIや会社の上層部が疑念を深める中、全米で最も現金が動くブラック・フライデーが近づいてくる……。世界でも有数の危険区域であるLAで現金輸送車のドライバーとして働く謎めいた男の過去を巡るドラマを重厚に描いたクライム・アクション。監督・主演は、ハリウッドのエンタメ映画界を牽引するガイ・リッチー&ジェイソン・ステイサムコンビ。と言う訳で、そこそこ期待して今回鑑賞してみました。そんな僕の期待をそこそこ上回るそこそこ面白い映画でしたね、これ。まあベタっちゃあベタですけどツボを押さえた演出はどれも嵌まっていて、最後までそこそこ楽しめました。いかにもガイ・リッチーらしい現代と過去を行き来する脚本も分かりやすく練られていて、後半の急展開にもけっこう驚かされました。まあかなり力技でしたけど(笑)。重低音を効かせた重苦しい雰囲気も嫌いじゃなく、ひたすら口をへの字にして無双するジェイソン・ステイサムも相変わらず渋い。各シーンにタイトルをつけて章仕立てで見せる演出もかっこいいし、特に最後の「肝臓・肺・脾臓・心臓」のタイトルの意味が分かるラストシーンは痺れました。まあ内容の方は3日も経てばきれいに忘れそうなお話だったけど、そこそこキレのいいアクション、そこそこ面白い脚本、そこそこ華のある役者陣と、そこそこ面白い映画の見本のような作品でありました。うん、そこそこの7点!!
[DVD(邦画)] 7点(2023-03-10 07:20:56)
299.  アイス・ロード 《ネタバレ》 
炭鉱事故により地下に閉じ込められた作業員を救うため、重い重機を載せたトラックで氷の張った湖上の道、通称〝アイスロード〟を疾走するドライバーたちを描いたサスペンス・アクション。今やすっかりアクション俳優として定着したリーアム・ニーソン主演ということで今回鑑賞。まあ普通に面白かったんですけど、何だろう、この今一つ物足りない感。いつ割れてもおかしくない脆い氷上をいかにも重そうなトラックでいくシーンとかけっこう緊迫感もあって、誰が裏切り者か分からない脚本もそこそこよく出来ていたとは思うんですけどね。クライマックス、もう少し盛り上げてほしかったような気がしなくもない。あまりにも優等生的に纏められていて、この作品ならではというもっと突き抜けたものが欲しかったところ。まぁでも暇潰しで観る分にはそこそこ楽しめると思います。
[DVD(字幕)] 6点(2023-03-08 00:15:30)
300.  レジェンド 狂気の美学 《ネタバレ》 
1960年代、ロンドンの裏社会で暗躍した双子のギャング、クレイ兄弟。兄レジーはその明晰な頭脳ともって生まれたカリスマ性で他のギャングたちを圧倒し、精神的な問題を抱えた弟ロンはその無軌道で命知らずな性格ゆえ回りから狂犬と恐れられていた。本作は、そんな実在した双子のギャングをトム・ハーディが一人二役で挑んだクライム・ドラマ。監督は、血腥い犯罪物を得意とするブライアン・ヘルゲランド。なのでなかなか安定感のある一本に仕上がっておりました。本作の最大の見どころはこの正反対の双子の兄弟を見事に演じ分けたトム・ハーディの魅力に尽きる。同じ顔をしているのに、最後まで完全に別の人間にしか見えないのはさすがというほかない。ストーリーの方も実話を基にしていながら分かりやすく整理され、なおかつちゃんとギャングもののツボを押さえているのもポイント高い。ただその反面、実話を基にしたから仕方ないのかもしれないが若干パンチに欠ける面があるのも事実。狂気の美学と言いながら、残念ながらそこまでの狂気性を感じられませんでした。またストーリーの重要なキーパーソンであり、物語の語り部となる兄の恋人フランシスに全く人間的な深みが感じられないのも本作の大きな弱点。トム・ハーディの熱演がなかなか光っているだけに色々と惜しい作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2023-03-02 13:35:42)
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