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こたさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 34
性別 男性
年齢 60歳
自己紹介 基本、好きな作品、気になる作品のみコメントします。批判的なコメントを書くとしたら、怒りを覚える映画です。だからそうそうありません。

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21.  燃えよ剣(2020) 《ネタバレ》 
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」と「燃えよ剣」をバイブルの様に読み倒している熱烈信者が 自分の世代(昭和30年代生まれ)には多いと思う。まさに自分もそう。 ただ、過去何度も映像化されてきたこの二作品、原作への思いが強すぎて正直期待を裏切られるものが多く、 今回もあまり過度な期待はせずに観賞しようと思っていた。 しかし、コロナ禍により封切りが一年半以上も伸びてしまった事で、否応なしに熱い思いが高まってしまう。 製作者には気の毒だと思うが、そんな面倒な司馬信者が、封切り早々に劇場へ足を運んだ。 結果、よくぞこの150分間であの原作の持つ情熱を描き切ったと、心より感動している。 当然、一年かける大河ドラマでも十分対応可能な原作だけに、端折られるエピソードがある事は致し方ない事。 ではどこをどう端折るか、そこがポイントであろう。 例えば芹澤、沖田、山南らと大坂に出向いた折の力士との乱闘事件や、 勇猛果敢な土方が初の海戦に挑み、新政府軍の軍艦に接舷して殴り込みをかける史実など、 映像的にも映えるであろうシークエンスがバッサリ切られている。 また、鬼の副長としての土方像の描写。古高への拷問シーンなど実に薄いし、 局中法度にしても隊士が恐れている場面がほとんどない。この端折りの決断はかなりの勇気だと思う。 でも、鑑賞後何故かそんなに気にならない。 考えてみれば、原作を読み込んだ者にとって、単に幾つかの描写が削られていただけで、 今回の映画の描きたかったテーマが失われてる訳では無いのかもしれない。 それよりも「ゆきは今宵乱心します」…このセリフ!!柴咲コウ、見事!土方と心から情を交わした「恋人」ゆきとのフィクション。 ここを実に大切に描いてくれている。この壮大なドラマの中で最も涙腺が危険であった場面。 原作ファンはおそらく、このセリフが出た時、忘れていた何か甘酸っぱい記憶を何十年か振りに思い出したに違いない。 土方がフランス武官に過去を語っていくという流れも自然で、このドラマ初見の観客にも優しい構成だと思う。 演者も実に見事。深堀はされなかったものの近藤勇の鈴木亮平は過去最高のキャスティングではなかろうか。 音楽の構成も美しい。最近最高の歴史ドラマ。 原作も改めて再読したい。
[映画館(邦画)] 8点(2021-10-18 08:26:49)(良:1票)
22.  罪の声 《ネタバレ》 
35年前の事件を題材とした、硬派な人間ドラマであった。 当時、大学生だった自分はコンビニで深夜バイトをしており、本部からの要請で菓子棚を一斉に調べて、 その事件にかかわるメーカーさんの商品を全て撤去した経験がある。 スカスカの売場を呆然と見つめて、無性に腹が立った事を鮮明に覚えている。 今回の映画、派手さは一切無いものの、実に誠実に、サスペンスフルに作り上げられた傑作。 キツネ目の男の登場には、ゾクっとしたなぁ。 時効になっても決して終わっていなかった事件の全容を、リアルな仮説でストーリー化、 当時から感じていたモヤモヤ感が少し晴れた思いだ (余談:桜木健一さんが柔道着で登場したシーンには思わずニヤリ。昭和ネタ!)。 あと、宇崎竜童さんの役柄。とても格好良く、良識が備わった老紳士然として登場する。 しかし、その存在と行為をしっかりと糾弾する小栗旬さん演ずる新聞記者。ここは本当に良かった。 作者の良心を感じた。 主役格の二人、懐かしいベテラン勢、子役、皆さんとても聞きやすいセリフ回しと、迫真の演技で引き込まれた。 最近の邦画のベスト。
[映画館(邦画)] 8点(2020-11-24 08:40:02)(良:1票)
23.  ヘアー 《ネタバレ》 
「グッド・モーニング・スターシャイン」のコーラスが素晴らしい。オープンカーで荒野を疾走するシーンは何とも明るく、楽しく、そして切ない。 ここでの背景の青空に感じられる解放的なイメージは、「カッコーの巣の上で」のクルーザーで釣りに出かけるシーンと相通じる。疑いもなく今を楽しんだ後に訪れる現実とのギャップ。あくまで本能のまま生きようとする主人公たちに待っている残酷な試練。 この時代のミロス・フォアマン監督は笑いと、そこからの突き落とし、そして静かに染みわたっていく怒りを描くのが実に巧みであった。 ラストの大群集のシーンでの「レット・ザ・サンシャイン・イン」。何度も繰り返されるフレーズ。未だに心の中で鳴り響いて止まない。
[DVD(字幕)] 8点(2015-02-18 08:50:50)
24.  カプリコン・1 《ネタバレ》 
ジェリー・ゴールドスミスの躍動感ある主題曲が印象的。朝焼けに浮かび上がる発射台の冒頭シーンの臨場感は正統派のSFスペクタクルの幕開けを予感させる。 観覧席における政治家同士の皮肉の応酬も現実にありそうで、開始15分ですっかり引き込まれてしまった。 その後の展開は、迫力あるチェイスシーンや渋いゲスト陣の好演によりメリハリのあるものだったが、国家陰謀を描いた部分の完成度は、随分と隙や手落ちがあった感も否めない。 異変に気がついたNASA職員の消され方に比較して、FBIまで動員しながらエリオットグールドを抹殺しきれない展開や、フェイクの撮影をしたセットをそのまま残しておくなど、もう少し丁寧な描き方(ネタの回収)がされていればサスペンス物としての完成度も更に上がるはずなのに。多少残念。 だだ、多くのレビューの中で比較的評判の良くないラストシーンの描き方に関しては、自分としてはすごく好印象。 新聞記者と、生き残った宇宙飛行士のがスローモーションで走り寄って来るシーンを、テレビ局のカメラが一斉に捉える。火星着陸のトリックを信じ込まされた国民が、今度は有り得ない現実をまた生中継で目にする事に。その後起こった騒動を想像するだけでもカタルシスを味わえる。 何故今さらこの作品を鑑賞したかと言うと、最近カレン・ブラックさんの訃報を知り、彼女の迫力ある風貌を見たくなった為。出番は僅かだが、発するセリフがとても粋で、テリーサバラス同様、とても輝いていた。
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-31 09:05:41)(良:1票)
25.  激動の昭和史 沖縄決戦 《ネタバレ》 
仕事で沖縄を訪問した際に、彼の地で起こった激戦の史跡を見る機会に恵まれた。それぞれ資料館も併設されており、悲壮な史実も改めて知るに至った。 その勢いで帰宅後、この映画をDVDにて再見。 岡本喜八監督は「死」の表現を、それこそ圧倒的な艦砲射撃のような勢いで描き続ける。そして観るもの全てに容赦なく「死」を叩きつける。 切腹という自決方法を選んだ牛島中将や長(ちょう)参謀長の「死」(切腹の様式美にこだわろうとする幹部面々の思いがめちゃめちゃになる演出が秀逸)から、戦車に轢き殺される兵員の「死」、鎌で幼子と自らの首を掻っ切る「死」、乙女達の服毒「死」。本当にあっけない。感傷などに浸っている隙もないほど当然にそして慌しくそこにある「死」。 その「死」の持つ意味を見出す事が鑑賞後の責務といえる。 実際、その期間の沖縄に何が起こったのか、じっくりと考える時間を持たねば、この映画も史実も単なる悪夢に過ぎなくなってしまう。 この沖縄戦に限って言えば、自決を含め、兵士や士官の死(日米双方)は殉死であり、刀を振り上げて突入する姿はある意味悲壮感とは程遠く、覚悟を決めて「格好良い死に方」を自己表現出来た幸せな「死」であったといわねばなるまい。 一方で敵味方に自らの大地に踏みにじられ、訳も判らないうちに「皆死ぬんだから」という空気の中で、集団自決を強いられた多くの県民の「死」は、それこそ浮かばれるはずも無く、ただ、ただ悲惨で残酷である。決してここの地の「死」は平等では無い。 それだけに、「戦場を歩く少女」が、ラストで死者の水筒を手に取りその水を飲み干すシーンの清々しさは鮮烈な印象であった。生きる権利を掴み取った者の強さとたくましさ。彼女こそ、戦後の沖縄県民の象徴であり希望である。 重い重い2時間半の最後にやっと救われた思いがした。 日本軍部、アメリカ軍、それぞれの思惑に翻弄され続け、県民全体の約4分の1の尊い命を失い、さらに四半世紀も占領下であり続けた沖縄県。戦争前から続く侵略と略奪の歴史。現在の基地問題。等々・・・。 常に歴史の厳しさの矢面に立たされながらも、どこかで「受け入れる事」「共存する事」を日常化してしまっている沖縄県民。愛おしすぎる。  日本人として見るべき映画。
[DVD(邦画)] 8点(2012-11-04 16:41:05)(良:2票)
26.  シン・仮面ライダー 《ネタバレ》 
もう待ちきれなくて仕事帰りに、最速公開日のレイトショーにて鑑賞。 本来、早々にレビューをアップして、お祭り騒ぎに便乗しようと目論んでいた。「シン・ウルトラマン」の時と同様に。 しかし、今回は手強かった。今自分が観たものをどう判断していいのか困惑していた。 果たして傑作だったのか、キワモノ映画だったのか、脳内整理が瞬時で付かなかった。  冒頭にいきなり結構エグい暴力描写が続き、その上池松ライダーの暗い表情がモチベーションを下げてくれる。 緑川博士や、ルリ子の説明も唐突で、言葉が頭に入らない。何が何だか。 クモオーグの乗った逃走車両が昭和ナンバーの古い国産車だったりして、時代設定も分からなくなり、混乱度は更に高まる。  しかし、その後に、政府機関の2人の強烈な登場で、今回の映画の世界観がぼんやりと浮かび上がる。 その先、パート構成で物語はテンポ良く進み、こちらも画面に集中して楽しめる。そう、楽しめたのだ。 思いがけないキャストの登場や、チープさを敢えて払拭しないコマ落としの様な特撮での演出など、 放映当初の「仮面ライダー」、あるいは原作漫画へのリスペクト、愛情、こだわり等がいきなり溢れ出てくる。 柄本ライダーの登場で雰囲気にも明るさが加わり、怒涛の展開が「スッキリ」させてくれる。 政府機関の二人が名乗るシーンは、「そう来たか!」と膝を叩いてしまう昭和的反応。 うん、確かに楽しめた。  ただ、一緒に観た作品背景を知らない妻は腑に落ちていない表情であったし、分かる人には分かるというストーリー構成、 またPG12である事は「仮面ライダー」としてどうなんだろうか。 「シン・ウルトラマン」は全ての世代が楽しめる明るい作風であり、観賞後の爽快感があった。 「シン・仮面ライダー」は観終わった後、劇場を埋めていた親父達は、帰りがけに連れにどう感想を述べようか悩んでいる様な、 そんなモヤモヤ感が漂っていた。  でも鑑賞後二日経った週明けの朝に思う。 やはり心に刺さっていた。そしてもう一度確かめに劇場に行きたい衝動。自分は決してこの映画が嫌いではないと。
[映画館(邦画)] 7点(2023-03-20 08:21:44)(良:3票)
27.  竜とそばかすの姫 《ネタバレ》 
仕事や旅行で何度か訪れた事のある高知県。大好きな場所。 都市部は駅前や市中心のわずかな地域で、東西に長い地形は北方に10分も車を走らせると緑豊かで長閑な風景となる。 広大な海も魅力的な高知だが、この映画の風景は川が主役。都市部を流れる鏡川、山間部へ上り沈下橋のある風景は仁淀川。 その美しい川々と、高いビルの無い高知の都市部(それだけに空が広く、雲の美しさが際立つ)が現実世界の舞台となる。 この土地に暮らす高校生達の都会願望が描かれていないのは、細田ワールドならでは。方言や訛りが無いのも現代っぽい。 監督の田舎への憧れと望郷の念が強く感じられ、そこは新海監督の作品との対比としても面白い。 一方でネットの中の仮想空間「U」。煌びやかで自由で果てしなく可能性のある理想空間。 ここの描写は「サマーウォーズ」よりもやや現実的に描かれており、いかにも近々に実現しそうな世界観。色彩と光の表現が見事。 Belleの歌唱シーンはそこだけMVとして切り取ってみても、おそらく超絶に高品質。 またこの空間で「サマー…」同様ネット空間を回遊するクジラは土佐の海の象徴であったのか、悠々として圧巻。  ストーリーにおいては、土佐っ娘の鈴が一人で深夜バスに乗って遠方に出かける決意をしても、 しのぶくんをはじめ、親友達、おば様達の誰もがそれを止めも、ついて行こうともしない不思議とか、 その先東京の多摩川近くの住宅街に迷いもせずにあっけなく鈴がたどり着いてしまうシチュエーションとか、 DVされていたこどもとタイミング良く外で出くわす偶然とか、 そのこどもを庇う鈴にDV親父が上げた拳を下せなくなってしまった理由とか、 そもそも素敵なおば様たちと鈴とのなれそめとか、深堀すれば劇的であろう多くの場面の解釈を 細田監督が鑑賞者に丸投げし過ぎている点には大いに違和感を持つ。 しかし、鈴を取り巻く高校生達の可愛らしい関係性、地方都市へのリスペクト、 そして何よりも作品の持つ高揚感、映像の奥深さと美しさが、そんな違和感すら凌駕して、 鑑賞後の爽快感と充実感に繋げる。 コロナ禍で旅行もままならない現状、細田監督はネットではなく映画でひと夏の素敵な経験をプレゼントしてくれた。
[映画館(邦画)] 7点(2021-08-10 08:47:24)(良:2票)
28.  ミッドウェイ(2019) 《ネタバレ》 
同名の1976年の映画は、亡き親父と初めて二人で観た映画。日比谷の有楽座だった。 それはセンサラウンド方式と言う凄まじい音響効果の上映と、軽快なジョン・ウィリアムスのマーチ曲、オールスターキャストの豪華さ以外は、 ドキュメントフイルムと、旧作映画の使い回しが目立つ中途半端な作品だった事が中坊の自分にも感じられた。親父との思い出として大事な映画ではあるのだが。 さて今回の作品。 エメリッヒだけにSFXを駆使した映像はリアルではあるが、やや単調に感じる。 しかし、血生臭い過剰な描写は極力排除されており、あくまで戦闘を重視した演出であった事は潔い。 内容的には比較的史実重視で、過剰な英雄崇拝も無い。一方人間ドラマ部分に関してはほぼアメリカ側に特化しており、 日米を均等に描こうとする心意気は感じられるものの、そこはやはり「トラ・トラ・トラ!」の様に日本側に日本人監督を立ててもらえれば良かったかと思う。 そうすれば、山口多聞役の浅野忠信さんのセリフ回しの一本調子が指摘されて、名将としての山口中将の気高さも表現されていたのではないだろうか。 それと、日本の空母4隻の損失に対し米空母ヨークタウンの飛龍航空隊による大損害はセリフのみの説明であった事が何とも腑に落ちない。 その割にはドゥーリットルの中国大陸でのエピソードや、日本の駆逐艦上での米軍捕虜の虐殺行為などの闇歴史の挿入が何とも不自然で、 カットしてしまった方が映画的にはスッキリするはずだ(史実を隠蔽しろという意味ではなく)。 製作サイドの某国を気遣う事情だとする穿った見方も禁じ得ない。  ただ、総体的に一方的な勝利、敗北という結果論にしなかった事には好感が持てた。ここの部分は1976年の同名作品も同様。 「パールハーバー」の様な映画にならなければ良いが、という危惧の念は幸いにも空砲であった。 近年、1970年代までは数多くあった史実に基づいた戦争大作がめっきり少なくなっている。 「なぜこのタイミングでこの題材の映画なのか?」という疑問はあれども「この題材の映画をこのタイミング制作した」スタッフの姿勢には大いに拍手を送りたい。
[映画館(字幕)] 7点(2020-09-16 08:48:45)
29.  翔んで埼玉 《ネタバレ》 
埼玉県出身の妻と、千葉県に住み続ける自分が、松戸の自宅から、都内下町にある亀有の映画館で、妙に生々しい地元感を味わいながらの鑑賞。 常磐線経由で茨城に進み、そこから埼玉に入るという変なルートの違和感、それすらもしっかり落としていく、地元ネタへの踏み込み方に敬意を表したい。 明らかに土地勘ありまくりの場所が舞台なのだが、これだけdisられると、かえって快感になるから不思議だ。 リヤカーについていた「野田」ナンバーなんて、地元民には屈辱以外の何物でもないのだが、自分の車のナンバーの「野田」の文字が何故か愛おしく感じてくる。  最近の、特定地域や国に向けてのネット上での陰湿な悪口(ヘイトスピーチ)や罵り合いは、何とも不快で暗い気持ちになる。 対して、この映画のdisり合戦の根底にあるもの。おそらくそれは「愛情」だと思う。「愛」よりも「愛情」。 その「情」があるから、中途半端な遠慮やフォローの必要が無い。その潔さ、清々しさが、鑑賞後の爽快感に繋がる。 バカバカしくも、実に痛快な2時間でありました。
[映画館(邦画)] 7点(2019-03-22 08:47:06)(良:3票)
30.  アメリカン・グラフィティ2 《ネタバレ》 
自宅で1作目を友人と観る機会があり、その勢いで2作目も観賞。 公開時には酷評が目立っていたが、しっかりと前作の内容を引き継いでおり、空気感は異なるものの、正統派の続編と言える。 エピソードによって画面サイズが変わるのも、時代を感じさせる上手い演出だった。 カートだけは登場せず、セリフでしか名前が出て来ないのが、残念な点。 物語は4つのエピソードを年を重ねながら進められる。  ①ジョンのエピソードは、田舎町のレーサーとしての英雄譚。 時代もまだ明るい空気が漂っており、前作のイメージを一番残している。 レースでの結果は、町の連中がジョンを助けて、盛り上げて、一緒に勝ち取ったもの。 この田舎町ではジョンミルナーは人気者なのだ。 北欧から来た美人の留学生とのエピソードも、ジョンらしく一筋縄ではいかないが、レース後の会話が何しろ微笑ましい。 それだけにラスト、波打つ坂道で黄色いデュースクーペが見えなくなるシーンは、胸が締め付けられる。  ②最も印象深いのは、戦場でのテリー。 リアルな戦場シーンにも正直驚いた。 1作目のおっちょこちょいで、臆病だったテリーの面影はなりを潜めて、仲間の命を救ったり、 壮絶な(友軍の)攻撃から、飄々と生還したりと、一人前の男として頼もしく成長している。 理不尽な上官に逆らったり、戦場離脱を企てたりという行動は、臆病風に吹かれた訳ではない。 彼の理想が戦場に無かっただけだ。 痛快にも部隊を脱した彼が、その後行方不明になってしまう件は、作品の中では直接描かれてはいない。 彼の前向きな行動と、力強い生命力。 決して死ぬんじゃないぞと、祈らずにはいられない。  ③デビーのエピソードは、最もお気楽。 時代背景はとても退廃的でありながら、彼女の持つ素直さや、ポジティブさが、コメディパートとして息抜きとなる。 ただ「大晦日は嫌い。とても良い友人が二人も死んだ日だから」というセリフには悲しくなる。 破天荒だが、いい仲間との出会いがあり、飛び切りの笑顔が見られた、一番のハッピーエンド。  ④夫婦となったスティーブとローリーの喧嘩は相変わらず、それどころか激しさは増す一方。 しかし、「いちご白書」を彷彿とさせる、学生と警官隊の激突に巻き込まれる事によって、 1作目同様、結局信頼関係を強めていく、ある意味進歩していない二人に、何故かホッとする。  4年にわたる大晦日、それぞれの「蛍の光」の歌唱で締めくくられるラストは、明らかに前作より悲しい。 混沌とした時代に突入してしまったアメリカが、1962年の様に輝きが感じられないのは、この時代の日本も同様。 再上映や、テレビでの放映がほとんどない本作、確かに、前作のような爽やかさはない。 しかし時代の厳しさに翻弄されながらも、前に進む事を選んだ彼らに再会できたのは、やはり嬉しい事であった。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-01-28 08:48:31)
31.  マグニフィセント・セブン 《ネタバレ》 
「荒野の七人」が「七人の侍」をリスペクトして作られた映画である様に、この作品も「七人の侍」と「荒野の七人」をしっかりと勉強して、敬って、感化されて作られた事がひしひしと感じられる。  例えが良いか分らないが、「宇宙戦艦ヤマト」を見て育った現在のスタッフが、「宇宙戦艦ヤマト2199」を作り上げた感じと似ている。 現在の視点で描きながら、矛盾点を克服していく手法。「荒野の七人」の農民の裏切りや、緩い悪党の描写はモヤモヤ感があったもんなぁ。 様々な人種が出てくる違和感についても、この映画の描かれている当時は黒人の保安官も、東洋人も、本作には出ていないロシア系も西部には存在していたらしく、人種の坩堝であった事が最近検証されたとの事。なるほど、多少の盛りはあったとしても整合性は取れていると。 あと、次々制作された続編以降の駄作群(ヤマトの「愛の戦士たち」は除く)に対する憤り。本当に観たかったリメイクはこれだ!という心意気。  劇場で鑑賞後、改めて観たくなってブルーレイを購入したのだが、正解。 特典映像、これが良かった。 グッドナイトがエマ・カレンにピアノで弾き語る息抜きのシーンや、熊男のホーンがファラデーと打ち解けているシーン、極めつけがメキシコ系のバスケスがこどもと心を通わせる場面が見られたりと、未公開の映像は宝箱。大収穫であった。 前述の方々が記されている様に、前作であった心に残るシーンが描かれていないのは、そこを見過ごしているわけでは無く、尺の問題と思われ、スタッフは分っていた。苦しんでいたに違いない。志はしっかりとあったんだ! 特典映像で感激したのは珍しい。この未公開シーンを加えたら、西部劇としての完成度、かなり高そう。  いずれにせよ、特典を観なければ物足りなさがあったのは事実。 もちろん痛快なアクションとスピーディーな展開の、久々に観た傑作西部劇として十分楽しめた訳だが、背負ってしまった神的二作品の十字架は、鑑賞しているこちらにも存在しているわけで、当然辛口になってしまう。 最後の音楽でかなりウルウルしてしまったが、それだけでは駄目なんだ。 尺を後30分伸ばしたら、絶対リメイクの傑作になる。  完全版やディレクターズカットが観たい!期待! 崇高なる7点で。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-06-08 16:42:53)
32.  世界大戦争
幼い頃、土曜の昼間にテレビで見て、無性に怖くトラウマとなった作品を40年振りくらいにDVDにて再見。台詞回しや、ミニチュアの特撮に時代を感じるものの、ドラマとしてしっかり腰を据えて作りこまれている。東宝映画スタッフの良心に敬意を表したい。 再見後、改めて思った事。それは、終末戦争の危機感と並行して、世の矛盾をあらゆる角度から見せつけている作品であるという事。 軍人や政治家を含め、世界の誰もが核戦争なんて望んでいる訳ではないのに、明らかにその愚行に進んでいくシナリオを書き治せない各国首脳。戦争の悲惨さを敗戦を通じて十分に理解しながらも軍需産業の株価に一喜一憂する一般庶民。 ラストの笠智衆の船上での「人間は素晴らしいもんだがなあ。一人もいなくなるんですか、地球上に」という発言こそ、まさに言い得て妙である。 この矛盾の打破(もちろん善意の方向に)をしない限りは、常に終末への不安は消え去らないという事を改めて考えさせられた。 主人公フランキー堺の夕陽に向かっての絶叫は確かに感動する。但し、そこに自己批判もあって欲しかった。終末は政治家や軍人が勝手に起こしているだけではない。本当に戦争を望まないという庶民の意識にも変化が必要だという事を。
[DVD(邦画)] 7点(2012-05-23 08:38:27)
33.  渚にて
キューバ危機以前にこの映画が作られた事は、今考えると凄い事だと思う。 戦後、東西両陣営の核のバランスの脅威から、時代への警鐘としての作品のはずだが、封切られて2~3年後に、現実にかなり際どい所まで世界情勢は行ってしまった訳だ。この時代にこの映画を見た人は、結構トラウマとしてその世界観をすり込まれていた事だろう。 反戦映画の抑止力がどれだけのものかなんて、誰にも判らない。 しかし、「その後の出来事」を淡々と、そして堂々と描ききったこの作品は、この時代にとってとても大きな役割を果たしたに違いない。 日本にも、もっとストレートに核戦争を描いた「世界大戦争」というフランキー堺主演の映画があり、小学生時代の土曜の午後テレビで見た記憶が、しっかりとトラウマになっている。 こういう、作り手の情熱が感じられる映画はその事だけでも評価するべき。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-23 08:22:43)(良:1票)
34.  雲霧仁左衛門 《ネタバレ》 
池波正太郎原作であれば、余韻や人情の機微を期待してしまう。 例えば無駄な殺生はしない真っ当な(?)盗賊は、火盗改めを小気味よく出し抜いたり、 悪運尽きてお縄にかかる時は潔く…それが池波スタイル。 ところがこの作品は、そこがおざなりになっている。 大仰な斬り合いが多い割には、双方が知略を尽くすという醍醐味は殆ど感じられない。 フジテレビのシリーズや最近のNHKのBS時代劇の方が、そこは丁寧で、事実名作も多い。 それと、裸のシーンがやたらとあるのも、制作時期ならではかもしれないが、なんか下品。 ただ、高松英郎、長門裕之、夏八木勲らの脇を固める名優陣の抑えた演技は素晴らしく、 池波スタイルを何とか保持している感があった。 終盤の名古屋城の仇討とかを無理に入れずに、ラストの仲代達也と市川染五郎(六代目)の解合のシーンに もっていけば後1点追加だったような作品。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 5点(2021-03-30 08:27:43)
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