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 > かたゆき さんの口コミ一覧。23ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1872
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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441.  キング・オブ・エジプト 《ネタバレ》 
いかにもアレックス・プロヤス監督らしいこの唯一無二の独自の世界観は素晴らしかったです!!いいっすねぇ~、このぶっ飛んだセンス。まあいつものようにストーリーの方はゆるゆるなんですけど(笑)。でも、僕は充分楽しめました。7点!!
[DVD(字幕)] 7点(2017-09-30 19:24:01)
442.  グッバイ、サマー 《ネタバレ》 
クラスのはみ出し者の二人の少年が、自家製の車を造り気の向くままに旅に出るという青春ロード・ムービー。こういう映画にありがちな泥臭さは皆無、ポップでほのぼのとしたこの空気感はなかなかのものです。ここらへん、いかにもミシェル・ゴンドリーらしい。普通じゃすぐに見つかっちゃうからと車の外装を小さな小屋型にしたり(窓にお花を飾るとこなんていかにもキュート!)、日本の娼婦が勤める散髪屋さんでサムライカットにされちゃったりと描かれるエピソードのどれもがセンス抜群!たいへん可愛らしい青春映画の佳品でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2017-09-08 23:34:10)
443.  ダーク・プレイス(2015) 《ネタバレ》 
1985年、カンザス州のとある田舎町で起こった凄惨な一家惨殺事件。シングルマザーだった母親とその二人の娘が残虐な手法で殺され、生き残ったのは当時8歳だった末娘のリビーただ一人だった。容疑者として逮捕されたのは、なんと一家の長男である当時17歳だったベン。悪魔崇拝に傾倒し地元の不良グループとも付き合いのあった彼は、唯一の生き残りであるリビーの証言により刑務所へと送られることに。こうしてこの忌まわしい事件は解決したかに見えた――。30年後、事件のトラウマから誰にも心を開けず、ずっと一人で生きてきたリビーももはや40になろうとしている。刑務所に28年も服役している兄とは連絡すら取っていない。そんな彼女にある日、殺人クラブと名乗る謎の団体から声がかかる。それは、全国各地に散らばる未解決事件を独自に調査するという犯罪マニアたちの集団だった。「君の家族の事件には、新たな真犯人がいるかもしれない。もう一度、一緒にあの事件を調査しよう」。兄の犯行を信じて疑わないリビーだったが、金のために渋々了承することに。クラブのメンバーである青年ライルとともに関係者や服役中の兄にまで話を聞きにいくリビー。彼女の脳裏に再び、あの30年前の悪夢の夜が甦ってくる…。果たして事件の真相とは?30年前に起こった一家惨殺事件の唯一の生き残りである女性が再び事件と向き合うとき、炙りだされる衝撃の真実を描いた重厚なミステリー作品。シャーリーズ・セロンとクロエ・グレース・モレッツが初共演、監督はかつて『サラの鍵』というナチスドイツに運命を翻弄される少女を描いたヒューマンドラマの秀作を撮ったジル・パケ=ブランネールということで今回鑑賞。とにかく、主役を演じたシャーリーズ・セロンの圧倒的な存在感はさすがというほかありません。心に深い傷を負い、決して幸福な人生を歩んでこれなかったやさぐれた女性役を熱演しております。また、男を翻弄する不良少女役を演じたクロエ・グレース・モレッツもなかなか嵌まっておりました。やはりクロエちゃんはこういう役の方がよく似合いますね。あの夜、本当は何があったのか――。事件を巡り過去と現在を複雑に行き来する演出も分かりやすく整理されており、監督の演出力も冴えています。特に過去と現在がリンクするクライマックスは見事な出来映えでした。ただ、残念だったのは肝心の事件の真相。ちょっといろいろと強引に詰め込み過ぎていて、いまいち納得できません。ここらへん、もう少し頑張ってほしかった。とはいえ全体的に見れば、なかなか見応えのある力作と言っていいんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2017-08-27 22:03:46)
444.  エクス・マキナ(2015) 《ネタバレ》 
ストーリーはいたってシンプル。主人公は、ネット検索エンジン世界最大手の巨大IT企業に勤める寡黙な青年ケイレブ。ある日、彼が社内抽選に当選し社長の別荘へと特別に招かれたことから物語は始まる。ヘリで連れてこられた先は雄大な大自然に囲まれた山の中の一軒家だ。だが、その山荘は見た目こそみすぼらしいものの、内部に一歩踏み込むと最先端の技術とそこかしこに高度な意匠が凝らされた、極めて洗練された施設であることが判明する。そしてそこには秘書と思しき日本人女性ケイコと二人切りで暮らす社長ネイサンが待ち構えていたのだった。「君には特別な仕事をしてもらうことになる」。ネイサンの言葉に促されるまま守秘義務契約の書類にサインしたケイレブは、ガラスの壁に隔てられたとある秘密の部屋へと連れてこられる。そこに居たのは、〝エヴァ〟という名の高度なAIを搭載した美しい女性型アンドロイドだった――。そう、彼に与えられた仕事とは、そのエヴァという人工知能に人間と変わらぬ高度な感情や想像力があるかどうかをテストするというものだったのだ…。人間によって創られた美しき人工知能エヴァ、彼女を巡って交わされる人間とコンピューターの違いや自意識の源泉、アイデンティティや感情はどのように育まれるのかといった哲学的な考察をスタイリッシュな映像の中に描いたSF作品。と、これまでの同系統の作品よりは幾分か哲学的ではあるもののストーリー自体は極めてオーソドックスな人工知能ものなのですが、本作がそれらの作品と一線を画しているのはやはりこの全編に渡って冴え渡る抜群の映像センスでしょう。美しい女性の顔を持ちながら頭部や腹部には明らかに人工的な光を湛えたアンドロイド・エヴァの洗練された造形美はもちろんのこと、生活感を微塵も感じさせないまるで現代アートの世界に入り込んだかのような極めて人工的な研究施設内部、口の利けない日本人秘書ケイコが醸し出すエキゾチックかつエロティックな雰囲気、登場人物たちが交わす知的で洞察力に富んだ会話劇、どこを切り取ってもこの監督のセンスの良さが溢れ返っています。アカデミー視覚効果賞受賞も納得の出来栄え。まあ逆に言えば、センスしかなかったんじゃないかという気がしなくもないですが…(笑)。とはいえ、この唯一無二の極めて洗練された世界観はやはり素晴らしいと言うしかありません。充実した映画体験をさせてもらいました。
[DVD(字幕)] 7点(2017-08-24 22:58:57)
445.  ズートピア 《ネタバレ》 
弱肉強食という自然の摂理を乗り越え、全ての動物が平和的に暮らす理想都市ズートピア。だが、そんな動物たちの楽園でなぜか一握りの肉食動物たちが野生に戻り狂暴化して失踪するという事件が多発する。果たして彼らに何があったのか。捜査に乗り出したのは、うさぎで初の警察官となったジュディと詐欺師として都会でしたたかに生きる狡賢いキツネのニック。二人の懸命な捜査によって、事件の背後には謎の組織「夜の遠吠え」が深く関わっていることが判明するのだった。しかし、事件が明るみになると多数派の草食動物と全体の一割に満たない少数派の肉食動物たちの対立が激化していく……。いかにもディズニーらしい分かりやすいストーリーと魅力的なキャラクター、細部まで緻密に描かれた美しい映像とゴージャスで胸躍る音楽等々、全てにおいて高い水準を誇るアニメ作品でありました。現代のアメリカ社会が直面する人種問題へと鋭く切り込む深いテーマ性を有しながら、それでもあくまでエンターテイメントに徹したその制作姿勢は素晴らしいとしか言いようがない。主にネズミたちが住むミニチュアタウンやシロクマたちが住むツンドラタウンなど、見ているだけでわくわくするようなズートピアの舞台設定もいい。マフィアのボスがネズミでもろ『ゴッドファーザー』のパロディだったりお役所の窓口係が超スローモーな動きのナマケモノだったりと、随所に散りばめられた遊び心も楽しいですね。個人的には、服を脱ぎ捨てた動物たちの秘密のヌーディスト倶楽部がツボでした。これが本来の姿なのに、妙にエロティックなのは何故なんでしょう(笑)。うん、なかなか完成度の高い良品であったと思います。ただ一つだけ言わせてもらうと、ちょっとメッセージ性が前面に出過ぎかな。もう少し控え目にしてくれても良かったような気がしなくもない。僕はちょっぴり説教臭く感じちゃいました。
[DVD(字幕)] 7点(2017-08-18 23:03:19)
446.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
メキシコ国境地帯で凶悪な麻薬組織と日夜命がけの攻防を続けているFBIやCIAの姿を描いた社会派アクション。監督は重厚でリアルなサスペンス描写に定評のあるドゥニ・ヴィルヌーヴ、男勝りの主人公を演じたのはエミリー・ブラント、そして一癖も二癖もありそうなベテラン捜査員を演じたのはベニチオ・デル・トロとジョシュ・ブローリンという二大個性派俳優。とにかく全編に漲るこのただ事じゃない緊張感には素直に圧倒されました。冒頭の敵のアジト襲撃シーンに始まり、アメリカ・メキシコ国境で突発的に起きるリアルな暴力描写、捕まえた組織の人間を容赦なく拷問にかけるような先輩捜査官に必死に抵抗する主人公の葛藤、どれも満足のいく見事な出来栄えだったと思います。特に野獣のような狂気性を内に秘めたベニチオ・デル・トロの他を圧倒する存在感は凄かったです。ただちょっと残念だったのは、クライマックス。このデル・トロ演じる〝暗殺者〟が組織のボスを殺すためにアジトに忍び込むのですが、その過程がけっこう簡単に行きすぎるのがいまいちリアルさに欠けるかなと。ボスのアジトなんだから、さすがにもっと厳重な警備がされていると思うのですが。とはいえ、なかなか見応えのある作品でございました。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2017-07-05 21:52:53)
447.  レヴェナント 蘇えりし者 《ネタバレ》 
イニャリトゥ監督の渾身の力作。とにかく映像が素晴らしい。どこまでも拡がる雄大な大自然と凍てつくような雪の大地。そこで繰り広げられるちっぽけな人間たちの醜悪でありながらも力強い生命力に満ちた愛憎劇。本作で念願のオスカーを勝ち取ったディカプリオも、息子の仇を鬼気迫るような執念で追う父親役を熱演していて見事だった。個人的には前作の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の方が好みではあるのだが、こちらもなかなかの良作であった。
[DVD(字幕)] 7点(2017-06-12 00:02:04)
448.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
中国版『ゴドーを待ちながら』って感じですかね。謎の男からとある〝荷物〟を預かった村人たちの騒動をスラップスティックに描きながら、他民族同士が騙し合い憎しみ合い、やがて殺し合いにまで発展するさまをシニカルに捉えている。なかなか深い映画だったんじゃないでしょうか。ただちょっと長すぎるかな。もうちょっと短くても良かったと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2017-05-17 20:03:28)
449.  サウスポー 《ネタバレ》 
もって生まれた才能と狂犬のような闘争心を武器にチャンピオンにまで昇り詰めたプロボクサー、ビリー・ホープ。4度目の防衛も果たし、美しい妻と最愛の一人娘とともに人も羨むような豪邸で順風満帆な人生を謳歌していたある日、彼は最悪の不幸に見舞われる。頭角を現し始めていた若手ボクサーの挑発に乗り乱闘騒ぎを起こしてしまったその混乱の最中、ボディガードの発砲した凶弾によって愛する妻が犠牲となってしまったのだ。生きる意義を見失ってしまったビリーは、以来酒とクスリに溺れる最悪の状態に。ボクシングへの情熱も揺らぎ、試合中に追い詰められた彼は思わずレフェリーに怪我までさせて1年間の出場停止と多額の罰金制裁まで課せられてしまう。当然車や豪邸も手放さざるをえなくなり、明日の生活費すらままならないどん底の状態へと陥ってゆくビリー。追い打ちをかけるように、その荒れ果てた生活のせいで最愛の娘すら取り上げられてしまうのだった。絶望の淵へと追いやられながらも、娘のために再起を誓った彼は、かつて一度だけ自分を負かしたトレーナーが営むジムの扉を叩く…。ジェイク・ギレンホールやフォレスト・ウィテカーという実力派の役者陣を配し、アントワン・フークワ監督が新たに作り上げたのは、そんな超王道のスポーツサクセス物語でした。ほんともう超が何個も何個も付きそうなほどの超々々々オーソドックスな――というかベタベタな(笑)スポコンものなのですが、これがけっこう手堅く作り込まれていて普通に面白かったです。ギラギラした目で周囲を威嚇するイカれたボクサー役をJ・ギレンホールが熱演していて、さすがの迫力。そんな彼が人生の坂道をどんどんと転がり落ちてゆくのは分かっていたのですが、まさかここまでどん底に堕ちるとは。唯一の希望であった娘にまで拒絶されるシーン、自業自得とは言え涙腺がウルっと来ちゃいますね。肝心の試合シーンも、フークワ監督の抜群の音楽センスやキレッキレの編集手法が見事に決まっていて、すごくカッコよかったです。まあ、あの突然不幸に見舞われるジムの少年のエピソードはやり過ぎな感がしなくもないですが(笑)。うん、僕は充分楽しめました。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2017-05-15 16:00:47)
450.  イット・フォローズ 《ネタバレ》 
ジェイ、こんな酷いことをしてすまない。ただ、君にこれが現実だと知ってほしかったんだ。落ち着いて聞いてくれ。ある〝もの〟がつけてくる。俺が感染したそれをさっき車の中で君に移した。それは様々な人の姿を借りて君についてくる。時にそれは君の愛する人の姿を借りて現れることも…。逃れることは出来ない。だが、それは常に歩いてやってくる。頭はいいが動きは鈍い。逃げ道はいつでも確保しろ。殺されたくなければ、なるべく早く誰かと寝て相手に感染させろ――。ブロンドヘアがキュートなティーンエイジャー、ジェイ。最近できた、優しく格好良い彼氏と車の中で結ばれた彼女だったが、直後に睡眠薬を嗅がされて気を失ってしまう。車椅子に拘束され、何処かの廃ビルの片隅で目覚めたジェイは、豹変した彼氏にとても恐ろしい事実を聞かされる。もちろんすぐには信じられないジェイ。だが、夜の闇から〝それ〟は現れ、ゆっくりとだが確実に彼女に迫ってくるのだった…。とてつもなく怖いと口コミで評判となり、全米で異例のスマッシュヒットとなったホラー作品。なるほど、確かに怖いですわ、これ。低予算ながら、無駄を削ぎ落したシンプルなストーリーで、とにかく観客に怖がってもらおうという監督の意図がばっちり決まってます。半裸の女の子がおしっこ漏らしながら迫ってくるとこなんて、こっちが漏らしそうになったし(笑)。主人公の背後、最初は遠いところにいたそれが徐々に近づいてくるとこなんかもじっとりと怖い。これまでのハリウッドのように恐ろしい怪物がドカーンと襲ってくるんじゃなくて、じわじわと迫ってくるこの怖さはどちらかというと日本的かも。こういうB級ホラーに不可欠なエロ要素も下品になり過ぎないちょうどいい匙加減でした(主人公の下着姿、なかなか健康的なエロ具合で大変グッド笑)。ただ、残念なのはやはり最後のプールの展開かなぁ。もうちょっと盛り上げてくれたら文句なしの傑作だったのにね。でも、独特のカメラワークとか音楽とか独自のセンスをビシバシ感じるし、もしかしたらこの監督将来バケるかも。うん、今から次作が楽しみな才能に出会うことが出来ました。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2017-04-15 14:45:33)(良:1票)
451.  ダークシティ 《ネタバレ》 
そこそこ昔のB級SF映画なんだけど、世界観がしっかりしているし脚本もけっこう練られているしで、なかなか面白いじゃん、これ。低予算ながら、ここまでの独自の世界観を――破綻ぎりぎりのところで――纏め上げた監督の姿勢は立派。ちょっとテリー・ギリアム入ってるとこも個人的にツボでした。うん、今更だけど、この映画けっこう好きっす!7点!
[DVD(字幕)] 7点(2017-03-02 22:58:53)
452.  わたしに会うまでの1600キロ 《ネタバレ》 
冒頭、何の説明もなされないまま、とある一人の女性が荒れ果てた荒野をザクザクと歩くシーンから始まる。同行者は誰も居ない。たった一人、いかにも重そうなリュックを背負い、見渡す限りの荒れ地をただひたすら歩いてゆく。聞こえてくるのは彼女の荒い息遣いと風の音のみ。日が暮れればテントを張りリュックの中から取り出した自炊用具でまずそうなお粥を作り腹を満たす。朝日が昇ればまた彼女は旅を再開する。来る日も来る日もひたすら歩き続ける。途中途中でチェックポイントのようなものがあり、どうやらこれが何らかの競技であることが分かってくる。そんな彼女の孤独な旅路に過去の辛い記憶がフラッシュバックされてゆくのだった。最愛の人の死、寂しさを満たすためだけのセックス、離婚、そしてヘロインへと溺れた最悪の日々。いったい彼女は何のために歩き続けるのか――。答えは、メキシコ国境からカナダにかけて徒歩で走破するパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)という競技。本作は無謀にもそんな過酷な競技へと挑んだ一人の女性の苦難と再生を描いたロード・ムービー。極めてシンプルかつ地味な映画でしたが、これがなかなか惹き込まれる佳品に仕上がっておりました。やはりそれは主役を演じたリーズ・ウィザースプーンの説得力ある熱演の成せる技でしょう。ほぼ全編を通して彼女の一人芝居が続くのだけど、その旅路が本当に辛そうで、実際に何か月もの旅路を追ったドキュメンタリーに見えるほどリアル。アカデミー賞の候補となったのも納得です。そして、その旅路にフラッシュバックされる過去の出来事も壮絶なもので、僕は彼女のそんな人生やり直し旅に思わず共感せずにはいられませんでした。そう、人生何もかもリセットして一休みしなきゃいけない時期ってきっとあるんですよね、誰にだって。厳しい雪道や途中で出会う男たちの卑しい目にも耐え、ただひたすらゴールを目指す彼女。心優しい仲間たちにも出会い、旅が終わりに近づくにつれそれまでのやさぐれた表情からどんどんと自然な笑顔となっていくのが本当に魅力的でした。でも、映画はそんな彼女のゴールまでを追ったりはしません。困難な人生はいつまでも続くということを表しているのでしょう。切ない余韻に満ちた美しいラストシーンでした。「コンドルは飛んでゆく」の哀愁に満ちた調べも作品にとてもマッチしていて印象的。地味ではあるけれど、なかなか良作と言っていい。
[DVD(字幕)] 7点(2017-01-01 18:26:26)
453.  ヘイトフル・エイト 《ネタバレ》 
舞台は南北戦争終結から数年後、ワイオミングのとある雪山。かつてないほどの猛吹雪が吹き荒れる中、一軒の寂れた山小屋に4人の男女が逃げ込んでくる。3人の指名手配犯の死体を街へと運んでいた黒人の賞金稼ぎ、マーキス。捕まえた女指名手配犯を生きたまま連行していたのは、通称首吊人と呼ばれる賞金稼ぎの大物、ジョン。そんな彼に手錠で繋がれ、所かまわず悪態をつくのは女犯罪者、ドメルグ。偶然、彼らと同行していたいかにも小物の自称次期保安官クリス。そんな彼らを迎えるのは、この山小屋の所有者から留守を預かっていると主張するメキシコ人、ボブだ。一方、彼らより先に山小屋を訪れていた先客が3人いる。英国紳士風の装いをしている絞首刑執行人のオズワルド。小屋の片隅で自らの物語の執筆に夢中になっているカウボーイのジョー。暖炉の前で我関せずとチェスに明け暮れるのは、かつての南北戦争の英雄だが今や老いさらばえたスミザーズ将軍。一癖も二癖もありそうなそんな〝ロクデナシ8人〟がともに一夜を過ごすことになったのだから、当然、無事に朝日を拝めるわけはなかった。騙し合いに腹の探り合い、主導権争いに明け暮れているうちに、突発的に密室殺人が行われるのだった――。犯人は誰か?その真の動機とは?そして、この凄惨な争いを生き抜き、無事に朝日を拝めるのはどの〝ロクデナシ〟なのか?タランティーノ監督が新たに仕掛けるのは、いかにも彼らしいそんな息詰まるような緊張感に満ちた密室劇でした。唯一無二の彼の才能はもはや円熟の域に達しているといっても過言ではなく、個性的でアクの強いキャラクター、脱線に次ぐ脱線で時に暴走する饒舌な会話劇、下世話でエネルギッシュなエピソードの数々、全編を彩る軽快でノリのいい音楽……。デビュー作である『レザボア・ドックス』からぶれることなく、自らの世界を発展・進化させた彼の一つの完成形がここにはある。自分は存分楽しませてもらいました。アカデミー賞受賞も納得。ただ、難点が一つあるとすれば、それは自らの世界を追求するあまり、映画としていささか予定調和に終わったように感じるところでしょうか。もう少し彼の新たな世界を見たかった気がしなくもない。とはいえ、円熟期を迎えたであろうタランティーノの中期を代表する佳品として記憶に残ることは間違いない。
[DVD(字幕)] 7点(2016-12-27 00:50:33)
454.  ピクセル(2015) 《ネタバレ》 
パックマン、ドンキーコング、ギャラガ、テトリス、アルカノイド…。80年代、テレビゲーム黎明期を彩ったそんな名作ゲームのキャラクターたちが、地球侵略のために空から降ってくる――。原因は、その昔、テレビゲームの世界チャンピオン大会で行われたイベントで宇宙に向けて送信されたゲームデータをエイリアンたちが宣戦布告と勘違いしたから。突然降って湧いた世界の危機を救うために集められたのは、かつてその大会で優勝を競った精鋭ゲーマーたちだった。妻に逃げられたしがない電気技師、デブで童貞の怪しげな陰謀論者、口だけは達者な女好きのチンケな犯罪者…。彼ら人生の負け犬たちが、今までの人生で何の役にも立たなかったゲームテクニックを駆使して、世界を救う英雄になる…。はっきり言ってストーリーなんてあって無きが如し。もう徹底的にバカバカしいこのノリ、僕はけっこう嫌いじゃないです…てかむしろ好きなんですけど!!スーパーマリオや悪魔城ドラキュラ辺りからゲームにどっぷりハマッた僕ら世代のちょい上くらいのゲームがメインなんですけど、あのドット絵キャラが大量に攻めて来るシーンなんてやぱ普通に萌えますもん。CGが如何にリアルに近づけるかを競っている昨今、このカラフルど派手なチープ・キャラクターがピコピコ攻めてくるアクションシーンなんてなかなか新しいかも?!しかも、触れられたものや人が次々とドットになってポコポコ崩れていくなんて……。このポップだけどちょっぴりブラックな世界観に自分はけっこうセンスを感じたんですけどね。世間的にはいまいち評判がよくないみたいですけど、僕は楽しかったです。うん、なかなか面白かった!7点!
[DVD(字幕)] 7点(2016-10-26 22:04:35)
455.  ブラック・スキャンダル 《ネタバレ》 
1970年代から80年代にかけて、南ボストンを中心に、恐喝・麻薬密売・売春・殺人とありとあらゆる犯罪行為にかかわり、裏社会を牛耳ってきたマフィア、ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー。犯罪組織のみならず政界やマスコミ、果てはFBIにまで幅広い人脈を有する彼は、その生まれついての無法者の血と類まれなカリスマ性でギャングたちを支配してきた。そんな彼の鉄の掟。それは、「密告者は誰であろうと絶対に許さない」――。警察にひとたび口を割った者には残さず血の制裁が待っているのだ。彼を擁護し助けてきたのは、いまや上院議員となった兄とFBI捜査官として働く幼馴染みのコノリー。だが、勢力が拡大するにつれ、鉄の結束を誇った彼らの絆も徐々に綻び始めて……。実話を元に、長年警察の手から逃げ延びてきた伝説の犯罪者の半生を重厚に描いたクライム・ドラマ。実在したカリスマ犯罪者役をジョニー・デップが好演しているということで今回鑑賞してみたのですが、いやはやこれがなかなか手堅く造り込まれていて僕はけっこう楽しめました。ジョニー・デップのハゲ頭もなかなか様になっており、普段の静かな態度から豹変し突然狂犬のように感情を暴発させる所なんてかなり怖い。コノリー家での夕食の席で披露される我が家の秘伝レシピの話やその後、コノリーの妻に対する不気味な言動など、なんとも真に迫っていて凄かった。これが、チョコレート工場で白塗りおかっぱ姿で踊っていた彼と同一人物だとはとても信じられないですね(笑)。ただ、とても手堅く創られている反面、実話を元にしたから仕方ないのかも知れませんが、新味が一切ないのが本作の弱点。マーティン・スコセッシが過去に何度も手がけてきた実話を元にした作品群と印象がとてもよく似ているのです。もう少し、この監督ならではといった独自の味が欲しかったですかね。とはいえ全編を覆う重厚な雰囲気は見応え充分。この手の作品が好きな人はもちろん、単にジョニー・デップが好きというだけの人も観て損はないでしょう。
[DVD(字幕)] 7点(2016-10-20 21:17:19)
456.  クリムゾン・ピーク 《ネタバレ》 
いつかその時が来たら、“クリムゾン・ピーク(深紅の丘)”に気をつけなさい――。19世紀末、アメリカ。幼いころに母親を失くし、以来裕福な父親の元で大切に育てられた少女イーディス。幼いころから何不自由なく暮らしてきた彼女は、ちょっぴり世間知らずで夢見がちな女の子だ。年頃の美しき女性へと成長したある日、彼女はイギリスからやってきたトーマスという名の準男爵と出会う。どこか胡散臭い彼に父は警戒心をあらわにするが、何処か影のあるトーマスにイーディスは次第に心惹かれていくのだった。そんな折、父が浴場で謎の死を遂げる。天涯孤独となってしまったイーディスは、トーマスと結婚し彼の故郷であるイギリスへと移り住むことを決意する。子供のころから姉と二人きりで過ごしてきたという彼の館は、寂れた郊外にひっそりと佇み、年代物の家具調度品や古びた芸術品で溢れ返る大豪邸だった。だが、イーディスはまだ知らない。そこが、冬になると真っ赤な赤土が染み出し、降り積もった雪を真紅に染めてしまう禍々しい地であることを……。古びた洋館を舞台に、そんなうら若き女性が迷い込むことになる淫靡で怪しげな世界を妖艶に描いたゴシック・ホラー。僕のこよなく愛するダーク・ファンタジーの傑作『パンズ・ラビリンス』を生み出した鬼才ギレルモ・デル・トロ監督の最新作にして、『パンズ~』の系譜を色濃く受け継いだ本作をもうワクワクしながら鑑賞してみました。いやー、いいですね~、いかにも彼らしいこのおどろおどろしい世界観。蟻が蝶の死骸を食い漁る様をアップで映し出したり、廊下の暗がりから骸骨のような幽霊が迫ってきたり…。ミア・ワシコウスカが身に纏う衣装の美しさも相俟って、そんなモダンで壮麗な世界に僕はもうどっぷりと浸かりきってしまいました。圧巻はやはり、彼女が移り住むことになるシャープ家のその細部まで造り込まれた美術でしょう。何かが潜んでいそうな暗い影がいたる所に存在し、廊下には何処に連れていかれるのか分からない古びたエレベーター、天井に穿たれた大きな穴からは常に埃が雪のように舞い落ちる…。もう見事としかいいようがない。ただ、そのように世界観は確かに素晴らしかったのですが、肝心のストーリーの方がちょっと弱かったのが残念。物語の随所に繰り返される母親の警告がいまいち効果的に使われていないし、幽霊の扱い方もなんとも中途半端。うーん、惜しい!とはいえ、クライマックスでの真紅の血や土がそこかしこに迸る血みどろ展開はまさにデルトロらしい残酷な美しさに満ち満ちていて(頬にナイフとかもう痛々しいったらありゃしない!笑)、そこらへんは大変満足でございました。
[DVD(字幕)] 7点(2016-10-20 15:40:38)
457.  サベージ・キラー 《ネタバレ》 
地獄で彷徨え――。ニューメキシコに拡がる広大な砂漠を年代物の古い車が疾走している。運転するのは、ゾーイという名の耳が不自由な若い女性ただ一人。近々結婚を控え、順風満帆な人生を約束されていた彼女だったが、ハイウェイで偶然出会った荒くれ男たちによってその運命は一変する。彼らに捕まり小屋に監禁されたゾーイは、有刺鉄線によってベッドに縛り付けられ何度も何度も輪姦されるのだった。隙をみて逃げ出そうとするものの、無情にも男どものナイフによってその命まで奪われてしまう――。だが、神はそんな彼女を見捨てたりはしなかった。砂漠に放置されたゾーイの遺体を発見したのは、なんと魔術を使いこなすアパッチ族の呪術師だったのだ。彼女を殺した男がアパッチ族伝来の地に住み、同胞たちをも惨殺してきた殺人鬼であることを知った呪術師は、古代の秘術を駆使して彼女を復活させる。伝説の英雄マンガス・コロラダスの魂と共に復活したゾーイは、その冷酷非情な野生の血を滴らせながら復讐の鉄槌を下してゆくのだった……。超荒唐無稽な設定ながら勢いとセンスだけを武器に最後まで突っ走るB級ジェットコースター・バトルホラー・ムービー。序盤からそのお話の無茶苦茶ぶりにけっこう面喰らってしまったのですが(だってほとんどゾンビと化した主人公が、バーで男の腸を笑いながら引きずり出すんですもん!)、意外と細部がしっかりしていたり脚本がなかなかよく出来ていたりで、中盤からぐいぐい見入っている自分がいました。いやー、けっこうな掘り出し物ですよ、これ。何が面白いって、なんといっても主人公のゾーイ!復活した彼女が屈強な男どもを血祭りにあげていくわけだけど、ほとんどゾンビと化しているせいで、腕はもげるわ、内臓は飛び出るわ、傷口に蛆虫は湧くわで大変なことになりながら頑張るんですよ。で、途中から彼女の婚約者がやってくるのだけど、そんな醜い姿になってしまった自分を婚約者に見せたくない、でも彼には会いたいから鏡越しに一瞬だけ会ってみたりと、こんなグロ切ないヒロイン初めて見ました(笑)。そして、さんざん血みどろグッチャグチャバトルを繰り広げながらも、最後はめちゃ切ない感じで幕を引く監督のこのセンス!素晴らしいと思います!ヒロインの耳が聞こえない設定は正直なくてもよかった気がしなくもないけど、うん、面白かった!7点!
[DVD(字幕)] 7点(2016-09-21 22:12:09)(良:1票)
458.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》 
いやぁ~、ベタベタですけどけっこう面白かったっす!!頭空っぽにして観る分には充分楽しめるんじゃないでしょうか。にしても、ジュラシックワールドの経営者と従業員、どいつもこいつもバカ過ぎっしょ!!こんなテキトーな人たちが運営するパークには死んでも行きたくないよね(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2016-09-10 21:46:02)
459.  やさしい本泥棒 《ネタバレ》 
1938年、ドイツ。ナチスがその汚れた爪で世界をずたずたに切り裂こうと手ぐすねを引いていたその年、とある一人の少女が貧しい老夫婦の元へと養子に出される。彼女の名前はリーゼル、まだ思春期を迎えたばかりの平凡な女の子だ。甲斐性はないが心優しいおじいさん、口が悪く一見性悪に見えるが根は善人のおばあさん、そして腕白盛りのクラスメートの少年たちとリーゼルは新しい生活に少しずつ馴染んでゆく。学校で文字を習い始めた彼女は、図書館にある様々な本に書かれたまだ見ぬ世界に強く惹かれてゆくのだった。だが、社会ではナチスがその正体を徐々に表し始める。リーゼルが愛する様々な本たちは彼らによって有害図書に指定され、強制的に燃やされていく。そんな折、彼女の家に突然マックスと名乗る一人の大怪我を負った青年が訪ねてくる。昔おじいさんの命を救った恩人の息子であり、そしてユダヤ人だった。地下室に匿うことになった彼の気を少しでも紛らわすためにリーゼルは、本をたくさん隠し持っている市長の家に忍び込み、夜な夜な彼に朗読して聞かせるために一冊ずつ盗み出してゆく…。時代の波に翻弄されたある一人の少女の青春を、死神という特異なストーリーテラーの視点でもって描き出す大河ドラマ。そういった変わった設定ではあるものの、とても堅実に創られた歴史ドラマとしてなかなか良く出来ていたと思います。主人公の少女を演じた女の子の瑞々しさもさることながら、やはりジェフリー・ラッシュ&エミリー・ワトソンという名優コンビが演じた老夫婦の存在でしょう。どんどんと悪化していく世情に決して負けることなく、人間として必死に生きていこうとする彼らは全編を通じて胸に迫るものがあります。地下室に隠れ住むことになるユダヤ人青年マックスも、リーゼルに大切なものをたくさん教えてくれる男として充分存在感を放っている。特に、主人公に恋する同級生の男の子が非常に魅力的でした。常にリーゼルのために頑張ってくれた彼が、その後に辿る運命を思うと切なくなってしまいます。ただ、一個の物語として見ると少々散漫な印象を受けたのも事実。タイトルにもなっている〝本泥棒〟というエピソードが物語の中でいまいちうまく機能していないうえ、ラスト、彼らが戦後どうなったかを駆け足で説明するくだりも何だかとってつけたような感じがしてちょっと残念でした。とはいえ、丁寧に創られた大河ドラマとしてとても好感の持てる作品に仕上がっていたと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2016-08-24 01:00:38)
460.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 
「ドイツ軍がこれから行う奇襲攻撃や爆弾投下、神出鬼没のUボート攻撃、全ての指令が今この空中を飛び交っている。これらの無線信号は受信機さえあれば子供でも傍受出来る。だが、その内容は高度に暗号化されている。その組合せは、159×10の18剰通り……。10人が1分間で一つの組合せを試し、1日24時間、週7日休みなく続けても、全てを調べ終わるのに2000万年もかかるのだ。しかも、それは1日のはじめに全て設定しなおされてしまう…。それが、ナチスドイツが開発した世界最高峰の暗号化システム、エニグマだ」――。本作は第二次大戦中、英国諜報部の極秘指令を受け、そんな難解な暗号化システムの解読に成功したものの長らく極秘扱いにされ、歴史の闇に埋もれていた天才数学者アラン・チューリングの生涯を描いた伝記映画だ。なるほど、数々の賞を受賞しただけあって、堅実に創られた歴史ドラマとしてなかなかよく出来ている。アラン・チューリングという天才的な頭脳を有するものの、人間としては社交性ゼロ、偏屈な変わり者が如何にして仲間たちと協力し合いエニグマという世界最高峰の暗号を解読することが出来たのか?また、第二次大戦の終結を2年は早め、多くの人命を救ったばかりか現代のコンピューターの原型と呼ぶべきシステムを開発したのに、何故それが何十年も極秘扱いされてきたのか?そんな興味深い内容であるもののいかんせん地味になりがちなテーマを極めて分かりやすく、かつ魅力あるドラマとして描き出すことに成功している。主人公の人格形成に大きく影響を与えた少年時代、仲間とともにエニグマ解読に全精力を捧げた第二次大戦下、そして、その抱えた秘密によって不遇の晩年を余儀なくされた終戦後…。ともすれば空中分解しそうなそんな三つのエピソードを、極めてバランスよく配置したその物語構築の手腕は高く評価されるべきものだろう。観客の好感を得られにくい偏屈な数学者という難しい役柄を、一人の人間として見事なまでに演じきったB・カンバーバッチの仕事ぶりも大したものだった。ただ一つ難点を挙げるとすれば、それはK・ナイトレイが演じたアランの婚約者、ジョーンの存在だろうか。同性愛者であった主人公がどうしてそこまで彼女に執着し、あまつさえ婚約者となって引き止めたのか。そこにいまいち説得力が感じられない。ここらへんをもう少し丁寧に描いてほしかった。とはいえ、歴史の荒波に翻弄され、不遇の人生を歩まざるをえなかった一人の偉人の生涯を現代に甦らせた本作の業績は称賛に値する。なかなかの佳品と言っていい。
[DVD(字幕)] 7点(2016-07-21 21:50:42)
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