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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1871
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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481.  8月の家族たち 《ネタバレ》 
ええ、そうよ。私が薬を止められないのはこの口の中に出来た癌のせいよ。痛いのよ!口の中が、もう焼けるように――。うだるような熱気が立ち込める8月のオクラホマ。退屈な毎日が繰り返されるそんな田舎町で、年老いた夫と共に過ごすウェストン家の初老の女性ヴァイオレットは口腔癌を患い、常に鎮静剤が手放せないかなりの偏屈者。ある日、そんな常に誰かのことを口汚く罵ることだけが生き甲斐の妻に嫌気が差したのか、長年連れ添ってきた夫が失踪してしまうのだった。連絡を受けた彼女の3人の娘たちは、それぞれの夫や恋人を引き連れて久し振りに実家へと帰ってくる。各々に深刻な問題を抱えた娘たちだったが、長年の鎮静剤服用のせいで性格が歪みに歪みまくった母親の問題行動からさらに大きく振り廻されてしまう。やがて、失踪した父親が湖で自殺死体となって発見されたことで、家族の絆はますます壊れ始めるのだった……。アカデミー賞に輝く豪華俳優陣を起用し、有名な舞台劇を基にそんなかなり問題を抱えた一家族の醜い諍いを終始シニカルに描いたホーム・ドラマ。いやー、なんですのん、この超面倒臭~~~い家族の面々は(笑)。最後の最後までひたすら続く、このうんざりするぐらい醜い口喧嘩の応酬に僕のテンションは上がりっぱなしでした。メリル・ストリープの「お前は中世の魔女か!!」ってくらいのイヤらしい偏屈ババアっ振りはやっぱりさすがの貫禄ですなぁ。対するジュリア・ロバーツの更年期真っ只中って感じのヒステリーおばさん演技も見事に嵌まってました。それにしても、この作品の全編に横溢する家族というものへの徹底的な不信感は凄いですね。家族の絆が最後まで壊れたまま終わっていくのもなかなか良かったです。と、観れば観るほど気が滅入るような作品なのですが、僕のように「家族とは、子供を育てるという目的の下に作られた社会システムであって、必ずしも全ての人を幸せにするようには出来ていない」というひねくれた考え方を持っている偏屈人間にとってはいたく共感出来ました(笑)。さすがにあの従兄弟同士のカップルに明かされる真実はやり過ぎ感があったけど、うん、面白かった!7点!
[DVD(字幕)] 7点(2015-06-06 01:23:24)
482.  マチェーテ・キルズ 《ネタバレ》 
マチェーテ、嘘つかない。マチェーテ、メールしない。マチェーテ、ツイートしない。マチェーテ、もちろん死なない――。メキシコが生んだ、希代の映画バカ、ロバート・ロドリゲス監督。彼が過去に製作したおふざけ全開のフェイク映画予告編から誕生した、無敵のタコライスヒーロー・マチェーテがまさかの映画化!信じられないことに続編まで製作して、しかも脇を固めるのはアントニオ・バンデラスやレディー・ガガやアンバー・ハートやメル・ギブソンやらのまさかの豪華俳優陣!いやー、ロドリゲスってやっぱりバカですね~(笑)。なんなんですか、このびっくりするぐらいアホらしい演出とチープなCGとくっだらな~~~いストーリーは(褒め言葉!笑)。でも、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』でかつて度肝を抜かされ大いに楽しませてもらった自分としては、「これこれ、これを待ってたんだよ~、ロドリゲスちゃん!」ともう最後までテンション上がりっぱなしでした。前作では、個人的にあんまりはっちゃけ切れなかった印象が強くていまいちノレなかったのだけど、今作はもろ僕好みの超B級お馬鹿映画に仕上がっててむちゃくちゃ面白かったです!全身真っ二つ、電気ビリビリ、ヘリのプロペラでぐちゃぐちゃ、内臓チョンバ…、もうアホかってくらい色んな殺し方を披露してくれるマチェーテ兄貴に素直に乾杯!それに、今回は無駄におっぱいが出て来なかったのも大変グッド。だって前作は超バカ映画なのに、そこにおっぱいまで登場したから「下品過ぎてちょっとひくわ!」ってところもノレなかった要因の一つなのだけど、これくらいのエロが僕にはちょうどぴったりって感じでした。若干、後半の展開がいつも通りのロドリゲスって感じでちょっぴりテンション下がっちゃった感がなきにしもあらずだけど(目を潰されながら戦うヒーローっていつぞやのジョニー・デップそのままですやん!)、うん、余は満足じゃ。マチェーテ、次回作では宇宙へと活躍の場を拡げるみたいだが、もちろん観るぜ!(さすがにやり過ぎが酷くて、またひいちゃうかもだけどッッ笑)
[DVD(字幕)] 7点(2015-05-24 20:21:30)
483.  ブリングリング 《ネタバレ》 
「ミーシャ・バートンが飲酒運転で捕まったって」「マジで?」「うん、それにパリス・ヒルトンは今夜、ベガスでパーティー」「ねえ、パリスの自宅って調べられる?」「ちょっと待って…。えーっと、ブライア・サミット・サークル2342番地…」「行こうよ!中に入れたりしたら最高に楽しそうじゃん!」――。おちこぼれて三流高への転校を余儀なくされた高校生、マーク。彼はそこで、自由奔放に生きる女の子レベッカを初めとする不良グループと出会うのだった。退屈な日常から少しでも逃れたい彼女たちは、常にネットでセレブたちの煌びやかな生活をチェックし、夜毎パーティーへと繰り出してはドラッグと酒に手を出す享楽的な日々を過ごしていた。ところがある日、手癖の悪いレベッカの思いつきによって、彼らはパリス・ヒルトンの自宅へと侵入することに成功する。そこで見た大量のブランド品やキュートな靴、眩いばかりの宝飾品の数々に彼女たちのテンションは最高潮に。無事にパリスのものを盗みだせた彼女たちは、「あたしもパリスみたいなセレブ生活を楽しみたい!!」と次第にその行動をエスカレートさせていくのだった…。ハリウッドのセレブたちを標的に数億円規模の金品を盗み出したティーンエイジャーたちによる窃盗事件を基に、ソフィア・コッポラ監督がスタイリッシュに描き出す青春クライム・ムービー。もういかにもソフィア・コッポラらしい、なかなかカッコいいガールズ映画でしたね、これ。彼女たちの行動に当然のように嫌悪感を抱くだろう、自称・良識派の人たちや年配の方には申し訳ないですが、若いってこういうことだと僕は思います。後先のことなんかこれっぽっちも考えず、「取り敢えず楽しそうだからやってみよう!!」という彼女たちの行動原理には、いたく共感出来ました。僕も若いころは酒飲んでいっぱい無茶やりましたもん。皆でゲームして一番負けたもんが女装してコンビニに行くとか、バイト先の倉庫に忍び込んで夜中中麻雀してみたりとか…(あん時、SNSがあれば僕なんか真っ先にお騒がせ画像を投稿しただろうなぁ、おーこわ笑)。そしてソフィア・コッポラの美点って、そんな無軌道な若者たちを描かせても、最後まで上品でお洒落な雰囲気を維持しちゃうその感性にあると思います。もう全編を彩るその映像や音楽の品の良さといったら…。ただ、良くも悪くも薄味なんですよね~。その薄っぺらさが現代社会を象徴していると言えば聞こえはいいのだけど、ちょっぴり物足りなさを感じたのも事実。彼女のセンスとは僕は昔から相性がいいんで本作も普通に楽しめましたけど、そろそろコッポラ監督の新境地みたいなものも観てみたい気もします。とはいえ、若い女性を可愛く撮らせたらやっぱり彼女の右に出る者は居ないですね。出てくる女の子、全員めっちゃキュートで可愛くてえがったっす!あ、あとパリス・ヒルトン、普通にアホ過ぎやろ(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2015-05-07 22:48:46)(良:2票)
484.  オールド・ボーイ(2013) 《ネタバレ》 
「視聴者の皆様、こんにちわ。20年も続く長寿番組『犯罪ミステリー』のお時間です。今夜は特に記憶に残る謎を振り返ってみましょう。それは“ドナ・ホーソン殺人事件”です。彼女は20年も昔にレイプされ残虐な方法で殺されました。容疑者は元夫であるジョーという男。だが、このジョーはもう20年も失踪したまま、その生死すら不明。夫婦の遺された娘であるミアは、いまや美しい女性へと成長しました。今日は、そんな彼女をゲストに迎え、事件のことや失踪した父親への想いを語ってもらいましょう」――。妻と離婚し、3歳になる娘ミアとも離れて暮らす営業マン、ジョーは毎日のように酒に溺れてはトラブルばかり引き起こす困った男。仕事で重大なミスを犯してしまった彼は、今日も深酒して路上で飲んだくれていた。だが、酷い二日酔いで目を覚ましてみると、彼は見知らぬモーテルの一室に閉じ込められていたのだった。出口はどこにもない。小さな窓から夜毎差し出される食事とウィスキー。唯一の娯楽であるテレビからは、なんと自分が妻殺しの容疑者として追われていることを告げられるのだった。そして……、ジョーは恐るべきことにその日から20年もの長きにわたって監禁されるのだった。変わりゆく世界、成長する娘。やがて、彼は何の前触れもなく解放されて……。日本の漫画を原作に、韓国で映画化されたそんなミステリアスな作品を、スパイク・リー監督が豪華な役者陣を揃えてリメイクしたサスペンス・スリラー。原作の漫画も韓国の映画もいっさい知らず、何も予備知識もないままにこの度鑑賞してみました。それが良かったのか、冒頭から観客にほとんど考える隙を与えずに小気味よく展開されるその不穏なストーリーに一気に惹き込まれ、主人公ジョーが解放されてからも全く謎が明らかにされず、さらにはこのジョーがもう無茶苦茶に暴走していく展開に僕のテンションは上がりっぱなしでした。うん、こりゃ面白いっすわ~。サミュエル・L・ジャクソン演じる看守の相変わらずの怪演振りも良い感じだし、ヒロインの女の子も可愛かったしね。ただ中盤、ジョーが監禁施設に乗り込んでいくシーンでは、さすがに漫画が原作になったからなのかちょっと荒唐無稽にし過ぎちゃった感があって僕はそこからちょっとノレませんでした。いやいやさすがに1人対100人でばったばったと敵を倒していくとかあり得ないっしょ。てか、敵の皆さんも拳銃くらい用意しとこうよ(笑)。う~ん、個人的にはもうちょっとリアルに描いて欲しかったかなぁ。それに最後に明らかになる真相もちょっと無理が有り過ぎる気が……。とはいえ、元になった韓国映画を知らないので比較は出来ないのですが、この個性豊かな登場人物たちやぐいぐい観客を惹き込むストーリー展開、全編を支配する不穏な雰囲気等々、僕はなかなか楽しめました。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2015-05-03 18:04:15)(良:1票)
485.  フォックスファイア 少女たちの告白 《ネタバレ》 
「私たちの物語が始まったのは、そう、1955年3月16日の夜、レッグスと私が新しいグループを結成してからだ。名前はまだなかった。でもすぐにレッグスが思いついた。“フォックスファイア(キツネ火)”。夢の中で聞いた言葉だとか…。そう、フォックスファイアこそ、まさに忠誠と信頼と愛で成り立つ血の団結。男どもに対抗しうる、少女たちのギャング集団」――。東西冷戦が激化し始めていた50年代。アメリカ南部のとある地方都市に生きる男勝りな少女レッグスは、女をまるで頑張った自分へのご褒美のようにしか見ない男たちに対抗するため、少女の少女による少女のための秘密結社「フォックスファイア」を結成するのだった。最初は悪戯程度で収まっていた彼女たちの活動だったが、レッグスが警察に捕まり刑務所に収監されてからは次第にエスカレートしていく。そして、強烈なカリスマ性でそんな少女たちを惹き付けるレッグスが保釈されると、フォックスファイアは本格的に過激な反体制派活動を活発化させてゆくのだった……。特筆すべきなのは、本作で主役を演じたレッグス役の女の子のその類稀なるカリスマ性だろう。キラキラと輝くような笑顔を見せていた前半での大人しい彼女から、中盤、刑務所に収監されてからの中性的な魅力を振りまく、今にも壊れてしまいそうなまるでガラス細工のナイフのような圧倒的な存在感には最後まで目が釘付けになってしまった。彼女が、本作のためのオーディションで選ばれたそれまではずぶの素人だったなんて到底信じられない。そんな彼女以外の女の子たちも皆、それぞれに個性豊かな魅力を放っていて素晴らしい(特にグループの用心棒的なあの太った女の子!)。お話の方も、男の論理で形成される資本主義社会に徹底的に少女の視線で〝ファックユー!〟を突きつけるそのパワフルなメッセージに、僕は爽快さすら感じてしまった。ただ残念だったのは、映画として全体的に少々冗長な印象を受けてしまったところ。2時間弱ぐらいに纏めてくれれば、もっと格好良いガールズ映画の傑作になっていただろうに。とはいえ、少女たちの生きるエネルギーに満ち溢れた、シスターフッド映画の秀作であったことは間違いない。
[DVD(字幕)] 7点(2015-04-10 23:55:29)
486.  レイルウェイ 運命の旅路 《ネタバレ》 
「長い年月、僕はずっと想像してきた。奴を見つけ出し、その舌骨を折り、眼球には箸を突き刺す。悲鳴を上げさせ、そして赦しを乞わせることを。その声を子守唄に眠った…。だが、時代は変わったんだ。我々はもう兵士じゃない。今の僕は単なる〝夫〟だ。妻は僕の全てだ。もう奴の事を掘り返さないでくれ」――。1980年、英国。一年前に結婚した妻と平凡ながらも幸せな日々を過ごしている初老の男性エリック。だが彼は、時々精神的に錯乱して妻を困らせてしまう。次第に私生活に支障を来たし始める夫に、妻は真実を知ろうと詰め寄るのだが彼は一向に理由を明かそうとしない。やがて、実はエリックは第二次大戦中のシンガポールで旧日本軍によって言語を絶する壮絶な体験を強いられたことが明らかとなる。そんな彼に追い討ちをかけるように、旧友からかつての敵であった〝彼〟が実は今も生きていて、のうのうと生活していることを知らされるのだった……。物語は、そんなトラウマに苦しむ現代のエリックと彼が日本軍の捕虜となって地獄のような鉄道建設に従事させられた日々を交互に行き交いながら、罪と赦しを巡るドラマを濃厚に炙り出してゆく。実話を基にして描かれたというそんな本作を複雑な思いを抱きながら、この度鑑賞いたしました。戦争という非日常に追い込まれたとき、人は誰もが各々の正義を振りかざし、時には取り返しのつかない過ちを犯してしまうという真実を、実力派の役者陣をそろえ、冷徹に見つめたその視線はなかなか鋭い。やはり戦争は悲劇しか生まないということを改めて実感させられました。戦争を知る世代がもはや殆ど居なくなろうとしている現代の日本において、この事実は忘れてはいけない。ただ、純粋に映画としてみれば、演出として拙い面がちらほら散見されるのが惜しい(特に、過去パートでの日本軍に隠れてラジオを造るエピソードや自死を選ぶ主人公の友人。もっと巧い見せ方があったはず)。とはいえ、この事実を多くの人に伝えなければという製作陣の思いには、一日本人として素直に好感持てました。最後に提示される本人たちの写真からは、やはり事実の重みがずっしりと心に響きますね。うん、久々に観て良かったと思える作品に出会えました。
[DVD(字幕)] 7点(2015-03-20 05:29:31)
487.  しあわせの隠れ場所 《ネタバレ》 
ねえ、マイケル。私と一緒に危険なスラムに買い物に行った時のこと覚えてる?私が怖がったら“守る”と言ってくれたでしょ。そう、チームも家族と一緒なの!忘れないで、試合が始まって敵が攻めて来たら全力でチームを守ること――。幼いころ、麻薬中毒の母親に捨てられ、以来天涯孤独の人生を送ってきた黒人青年マイケル。その大きな身体とは裏腹に大人しい性格から“ビック・マイク”と呼ばれ周りから親しまれてきた。ところが17歳のある日、マイケルはそれまで居候させてくれていた友人宅を追い出されてしまう。突然のことに路頭に迷っていた彼を偶然見かけ、同情心から家に招きいれてくれたのは彼とは正反対のセレブ生活を送っていた実業家夫人、リー・アンだった――。藁をも縋る思いで、彼女のたち家族の邸宅へと転がり込んだマイケル。全く住む世界の違う彼女たちとの生活に最初は戸惑っていた彼だったが、次第に家族として打ち解けてゆく。やがて彼は、アメフトの世界でその隠されていた才能を開花させていくのだった……。実話を基に、孤独な黒人青年と心優しき家族たちとの絆をハートフルに綴ったサクセス・ストーリー。そのあまりにもな〝邦題〟とそんな超王道ストーリーに「きっと、これは僕の好みとは対極に位置する道徳心啓蒙映画なんだろうな~」とずっと敬遠してきた本作なのですが、S・ブロックがアカデミー賞を受賞したということとけっこう世間の評判も良かったしで、この度鑑賞してみました。いやー、予想通り「ザ・綺麗事」でしたね、これ。出てくる登場人物は誰も彼も善い人ばかりでほとんど誰も不幸にならず、最後は物の見事にハッピーエンドを迎えちゃいます。でも、普段はそんな綺麗事映画が大嫌いな僕なのですが、今作は素直に受け入れることが出来、普通に面白かったです。何故だろうって自分なりに考えてみたら、それは現実の理不尽さを直視する視線をちゃんと備えていたからだろうと思います。特に、冒頭部のマイケルの貧困描写がリアルで見ていて本当に切ない!そんな彼を引き取るリー・アン家族も、恐らくここでは描かれていない辛い葛藤もあっただろうことを自然に漂わせていて好印象でした。S・ブロックのパワフルママっぷりも全然嫌味じゃなく等身大の魅力を感じられて大変グッド。うん、いつのころからか薄汚れたハートの持ち主となった僕ですが、たまにはこういう映画を観るのも良いものですね。ほんのちょっぴり心が浄化されました。7点。
[DVD(字幕)] 7点(2015-02-21 18:12:28)(良:1票)
488.  スーサイド・ショップ 《ネタバレ》 
皆さん、「自殺うさぎ」って絵本をご存知ですか?ただひたすら、可愛い小さなうさぎたちがありとあらゆる方法で自ら命を絶つ姿を延々と描いた絵本で、たとえばアイロンを身体の上に載せて今まさにスイッチを入れようとするうさぎや、ジャンボジェット機のエンジンに果敢に突っ込んでいくうさぎや、切腹する日本兵の背中に隠れておんぶするうさぎたち……、どうして死ぬのかは一切説明されぬまま、彼らはただ淡々と自殺してゆきます(興味を持たれた方は、「自殺うさぎ」でレッツ検索♪)。さて、そんなシュールでブラックなのに何故か癖になるユーモアがある絵本を髣髴とさせる本作、冒頭からかなりクオリティの高いアニメーションで、ただひたすら人生に絶望した人々がありとあらゆる方法で自殺する様をコミカルに描き出してゆきます。ほぼモノトーンで描かれる人々は、皆一様に虚ろな目で下を向き、道端に自殺死体が転がっていようが見てみぬふり、警察ももうウンザリって感じでそんな死体の口に違反切符を突っ込んで終わり……。そんなシニカルな世界で盛況なのは、主人公〝ミシマ(もちろん、ウン十年前に自衛隊に立て篭もってハラキリしちゃったあの人を茶化しているのは明白ですよね笑)〟が経営する自殺グッズ専門店。「死ぬことはなんて素晴らしい!」と高らかに歌い上げるミシマ一家の、この現代に凝り固まった倫理観を徹底的に笑い飛ばすようなぶっ飛んだ歌詞に、生来のひねくれ者である僕としてはかなりテンション上がっちゃいました。「もしかしてこれは、反道徳の極北を行く伝説のアニメとして傑作になるのでは?!」とワクワクしながら観進めたのですが、残念ながらそんなアイデアのみが先行してしまったのか、後半は少々尻すぼみになっちゃいましたね、これ。とにかく常にポジティヴな次男が一家に生まれたことから巻き起こる騒動という設定がいまいち巧く活かされてないような印象を持ってしまいました。もっと既存のちっぽけな倫理観やモラルなんかを飄々と笑い飛ばすぶっ飛んだ怪作を期待していた僕としてはちょっぴり肩透かし。とはいえ、この全編を彩るセンス溢れるシニカルな世界観は充分堪能させてもらいました。あの太った長女が窓際でストリップを踊るシーンもエロティックで大変良かったです。総じて欠点は目立つものの、愛すべき小品でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2015-02-10 01:21:20)(良:1票)
489.  オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ 《ネタバレ》 
「あなたの新しい音楽も素敵だわ。なんだかあなたが過去にシューベルトに書いた弦楽五重奏を思い出す」「懐かしい。彼はあれを自作として発表したんだ。実際に書いたのはアダージョの楽章だけさ」――。都会の片隅で誰からも隠れて生きるヴァンパイアの夫婦、アダムとイヴ。もう何百年もの昔からその存在を人に知られることなく、気まぐれにシェイクスピアやシューベルトに作品を提供しては、人間の血を啜り生活してきた。そんな彼らもアイフォーンやユーチューブが常識になった現代では、昔のような自由を満喫することが出来なくなってしまった。病院から横流しされる輸血用の血液を啜り、ただひたすら夜陰に紛れて細々とした生活を営む彼ら。ところがそこに自由奔放なイヴの妹が転がり込んできたことから、そんな静かな生活に少しずつ罅が入ってゆく……。インディペンデント映画界の名匠、ジム・ジャームッシュ監督が満を持して贈る現代の幻想奇譚。もういかにもジム・ジャームッシュといった感じの、ストーリーよりも雰囲気優先、リアリティよりもセンス重視、物語の整合性よりもスタイリッシュさ命、もうとにかく都会の夜の匂いを濃厚に漂わせるジャジーで格好良い映画でしたね、これ。昔から、その我が道をゆくぶれない姿勢は好感が持てるし確かに彼にしか表現しえない独自の世界観を持った監督であることは大いに認めるところなのだけど、本作に関してはどーなんですかね?てか、ジョニー・デップ扮する瀕死の銃傷を負ったガンマンがただひたすら逃げまくる「デッドマン」やフォレスト・ウィテカー扮する武士道に心酔する殺し屋がひたすら殺し続ける「ゴーストドッグ」とやってることがほとんど一緒なような…(笑)。まあ、ファンにとってはこの大いなるマンネリ感が堪らないんですけどね。というわけで今回も、この“物凄く中身があるように見えながら、実際はそんな面倒臭いことはどーでもいい、ただこの雰囲気だけを楽しんでくれ”と言わんばかりの潔いまでの中身のなさは素直に好印象。ただちょっと長かったですかね。もう少し短く纏めてくれても良かったような気がしなくもない。あと、最近の僕のお気に入りの若手女優ミア・ワシコウスカが、ほんのチョイ役ですが、そのキュートでコケティッシュな魅力でもって作品に華を添えておりとても印象的でした。彼女の牙剥き出し笑顔に思わずキュンとしちゃったことをここに付け加えておきます。
[DVD(字幕)] 7点(2015-02-09 22:15:56)
490.  セッションズ 《ネタバレ》 
僕が裸になるとき、たとえば着替えや入浴の介助を受けるとき、周りの人はいつも服を着ていた。それがいま、裸の君と一緒にベッドにいるのが僕は本当に不思議なんだ――。マーク・オブライエン、38歳、子供のころに患ったポリオが原因で全身に麻痺という障害が残ったものの、電動ストレッチャーで大学に通い、今では詩人兼ジャーナリストとして立派に生計を立てている。とはいえ、彼は一日の大半をベッドの上で過ごし、ヘルパーの介助なしでは外出することも出来ず、一人では食べることはおろか排泄の処理をすることも出来ない、そしてもちろん「童貞」。そんな彼がヘルパーの若い女の子に失恋したことをきっかけに、とある決心をするのだった。それは「死ぬまでに、人間として一度でいいから誰かとセックスしたい!」。障害者仲間のつてを伝って、セックス・セラピストをしている人妻シェリルとコンタクトを取るマーク。彼女との計6回のセッションを通じて、彼は初めて人間としての喜びを全身で味わうのだった…。重度の障害を抱える実在の詩人が著した体験記を基に、障害者と性という極めて重いテーマを終始ほのぼのとした軽妙なタッチで描いたヒューマン・ドラマ。こういう主題を扱うのって、結局「障害者だって一人の人間なんだ」という誰も反論しづらい説教じみたお話になるか変に露悪的になりがちで極めてリスクの高い選択だと思うのだけど、本作ではそんなリスクを監督の絶妙のユーモア感覚で飄々と取り払い、素直に笑って泣けて主人公マークの「童貞卒業」を心から応援したくなる人間ドラマの佳品へと仕上がっておりました。「神も君なら許してくれるだろう」と仕方なく応援してくれる神父さんや、無表情に淡々と手助けしてくれる中国人の女性ヘルパー、そして何より深い愛情でもってマークとセックスしようとするセラピスト…、そんな個性豊かな魅力に満ちた登場人物たちも物語を優しく彩っています。そして本作が何より優れているのは、〝障害者と性〟という問題から出発しながら、次第に〝性欲と恋愛〟という人間本来の普遍的なテーマへと見事に昇華させたところでしょう。セックスから始まる恋愛、恋愛の過程で交わるセックス、いずれにせよ互いの身体を必要とし合うことで自分の価値を確認したいと願う男と女…。軽妙でありながら、人間のコミュニケーションのあり様を優しい目線でもって見つめた良品。お薦め。
[DVD(字幕)] 7点(2015-02-03 18:55:13)(良:2票)
491.  月に囚われた男 《ネタバレ》 
「皆さん、これまで地球環境を汚し続けてきたエネルギー問題を我が社は画期的な手法で改善することに成功しました。人類を救うエネルギーは、なんと空に浮かぶ月の裏側にあったのです。太陽エネルギーを多量に含む石を月の裏側から採掘することで、地球のエネルギー消費の約7割をまかなうことが出来るようになったのです。月の力は私たちの未来を創造する」――ルナ産業。  近未来。月の裏側に建造された採掘施設でたった独り、黙々と仕事をこなしてきた作業員サム。3年という契約期間の満了を2週間後に控えた彼の唯一の心の慰めは、人工知能を搭載したロボット・ガーティとの何気ない会話と、地球に残してきた愛する家族からのビデオレターだった。「もうすぐ地球に帰って愛娘にキスできる……」と浮き足立つサム。そんな折、彼は採掘場で致命的な事故を起こしてしまう。瀕死の状態で基地へと連れ戻されたサムだったが、そこで自分と瓜二つのもう一人のサムと出会ってしまうのだった……。いったい彼は誰なのか?そしてこの施設に隠された恐るべき真実とは?舞台はこの採掘施設のみ、主演俳優もほぼこのサムの一人二役のみ(あ、人工知能の声役のK・スペイシーも忘れちゃいけません!)という、そんな明らかな低予算映画なのだけど、センス溢れる映像と音楽、緻密に考えられた脚本の力で最後まで小気味良く見せるSF映画の佳品へと仕上がっておりました。いやー、良いですね、この圧倒的な孤独感。こういう広大な宇宙の中でずっと独りぼっちという寂寥感溢れるSF作品、もろ自分の好みなんですけど!あの人工知能のガーティ、今までのSF映画の常識なら後半で主人公を追い詰めていくんだろうけど、最後は意外にも男気(ロボット気?笑)を見せるトコなんか気持ちよく騙されました。2人のサムが辿ることになるそれぞれの運命もなかなか切なかったしね。まあ、後で思い返してみればアイデア的にはそんなに新しいものはなかったし、設定にも突っ込みどころ(こんな凄い技術があるなら人を常駐したりせず、全部オートメーションにしたら良かったやん!とか、サムが最初に手を怪我するきっかけになったあの不気味なおねーちゃんは結局誰やったねん!とかッ笑)はあったけど、普通に面白かった。うん、ちょっぴりおまけして7点あげちゃおう!
[DVD(字幕)] 7点(2015-01-23 11:13:29)
492.  ポール・ヴァーホーヴェン/トリック 《ネタバレ》 
大企業の社長を務めるレムコは、50歳になった記念に自宅で誕生パーティーを開くことに。様々な人々が集い和気藹々とパーティーが進行する中、急に彼の愛人と思しき妊娠中の若い女性が現れる。戸惑うレムコ、心の平穏を掻き乱される彼の妻、引きこもりでオタクの長男、素行不良のすれた長女、そして長女の親友で長男の気持ちを翻弄する美しい女性メレル。一見平穏に見える彼らのパーティーはそんな愛人の出現により、不穏な空気がまるでさざなみのように拡がってゆく――。実は本作、撮影が開始された時点ではこの4分間の冒頭部のみしか脚本は書かれていません。何故ならこれ、その後の展開は視聴者から公募しその中から厳選されたものを基に紡がれた作品だから――。これまで様々な物議を醸してきたバーホーベン監督が、新たに創出したのはそんな挑戦的な手法で撮られた実験作でありました。まず一言言っておきたい、「前振りがなげーよ!」。本編が始まるまで、その企画意図が監督のインタビューによって解説されるのですが、これが30分以上ある。確かに興味深い内容ではあるのだけど、「とっとと本編に移行しろよ~」と僕はちょっぴりイライラしちゃいました(笑)。とはいえ、ようやく始まった本編なのですが、これがいかにも彼らしいエロとグロが絶妙の按配で配合されたシニカルなホームコメディの逸品へと仕上がっており、さすがの貫禄でしたね。特に、男どもをその美貌で惑わすメレル役の女優さんがとてもサキュバス的な魅力に満ち溢れていて、えがったっす。妖艶な悪女を撮らせたら、やはりこの監督って感じですね!肝心の撮影手法ですが、俳優陣が撮影が始まった時点で自分の演じるキャラがどんな人物なのか分からないというのは裏を考えながら見るとこれがなかなか面白い!メレル役の彼女なんか、「え、私ってこんな役やったん?」とびっくりしたでしょうね。他にも「俺、こいつと愛人関係なんか~」とか「私、悪役なん…」とかいろいろ戸惑いながらも、次第に役に入っていく俳優たちの仕事ぶりは見ていてけっこう楽しい。なんだか良質のインプロ(即興)劇を観ているようでした。まあ、確かにこれが監督の壮大なるフェイクだという可能性も捨てきれないけれどね。でも、それも含めて知的好奇心を刺激する大人の娯楽作品であったと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2015-01-16 13:21:46)(良:1票)
493.  セイフ ヘイヴン 《ネタバレ》 
「久し振りです、あの時は助けてくれてありがとう。落ち着いたら連絡する約束だったわね。おかげで私は今、安全な場所に居るわ。心配掛けてごめんなさい。でも、ここは本当に良いところなの」――。第一級殺人事件の容疑者として、警察から追われる身となったケイティ。刑事の決死の追跡をなんとか逃れた彼女は、高速バスへと乗り込み、アメリカ南部の小さな港町へと辿り着く。身分を隠し何もかもを捨ててそんな小さな港町で新たな生活を営むことになったケイティは、そこで男手一つで幼い2人の子供を育てる雑貨店店主アレックスと出逢う。数年前に妻を癌で亡くしたという彼に次第に心惹かれていくケイティだったが、執念深い刑事の捜査網がそんな彼女の幸せな日々を次第に追い詰めてゆく……。これまで、市井の中に生きる様々な人々の人生の一瞬のきらめきを瑞々しく切り取ってきたラッセ・ハルストレム監督の最新作は、そんな恋愛小説の新たな名手と称される作家のベストセラーを原作とした大人のラブストーリーでした。小さなヨットが美しい波間に揺れる静かな港町を背景に、色んな困難を抱えながらも常に前向きに生きる純朴な田舎の人々や大人社会に翻弄される何も知らない無垢な子供たち、そして現れる女を暴力で支配しようという自己中心的な男…。もうまさにハルストレム節と言ってもいいようなそんな個性豊かな魅力に満ちた田舎の人々をセンス溢れる映像で描き出す手腕は今回も安定感抜群でした。さすがにちょっぴりマンネリ気味な感はなきにしもあらずだけど、主人公ケイティが殺人事件の容疑者というミステリアスな設定が良いアクセントとなっていて素直に面白かったです。スタイル抜群のそんな超美人な彼女が、胸元ざっくり開いたTシャツ&短パン姿でチャリンコこいでるとこなんか健康的なエロティシズムが炸裂してて劇中のアレックス同様、僕のハートもイチコロでした(笑)。ただ…、最後のあのまさかのオチは自分的にはちょっぴり蛇足感があったけど(あの唐突な夢のお告げはそういうことだったのですね!)。うーん、自分としては最後までリアル路線で貫き通して欲しかったかな~。それでも、理不尽な現実に翻弄される男と女の切ないラブストーリーとして充分魅力ある作品に仕上がっていたと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2014-12-17 23:56:06)(良:1票)
494.  ブラック・スネーク・モーン 《ネタバレ》 
うだるような熱気が立ち込める、アメリカ南部のとある田舎町。実の弟に妻を寝取られ、以来独りぼっちの寂しい生活を余儀なくされた中年男性ラズ。ある日の朝、彼は顔をボコボコに殴られ道端に捨てられた半裸の若い女性レイを発見するのだった。面倒事を恐れたラズは、思わず彼女を自宅へと連れ帰ってしまう。だが、ラズはこの時知らなかった。彼女は町の男どもに「あいつは近くにあれば木とでもヤってるよ」と噂されるほどのセックス依存症のビッチだったのだ――。「人間は皆、神が世に送り出した宝物」という価値観を信条とする堅物のラズは、そんな彼女を立ち直らせたいと思うあまり、とある計画を思いつく。それは彼女を鋼鉄の鎖へと繋ぎ自宅のリビングへと監禁すると自分の理想とする貞淑な女性へと調教させようというもはや犯罪と言ってもいいものだった。やがて目を覚ましたレイは、自分の置かれたあり得ない状況に愕然とする……。男と見れば誰にでも股を開くようなビッチという汚れ役に体当たりで挑んだクリスティーナ・リッチと、ちょっぴり(いや、かなり?笑)イカれた保守的キリスト教徒を怪演してみせたサミュエル・L・ジャクソン。2人が初競演を果たしたという本作は、鋼鉄の鎖に繋がれ監禁された若い女性と彼女を調教しようという中年男性の緊迫の密室劇というかなりぶっ飛んだ設定のエロティック・バイオレンス・人間ドラマでした。いやー、今まで見過ごしていたことを後悔しちゃうくらい、普通に面白かったですね、これ。冒頭からタランティーノやロドリゲスの影響を色濃く受けたであろう、乾いた映像と格好良い音楽とアクの強いキャラクターたちとわけ分からんヘンテコなストーリー展開にめっちゃ惹き込まれました。てか、サミュエル・L・ジャクソン、あんた、自分では正義感からしてることなのかも知れないけど、これってれっきとした犯罪ですからー!近くに住んでたら一度はお相手してもらいたいロリビッチなクリスティーナ・リッチちゃんも、そんな変態オヤジに調教されてくうちに次第に心を開きそれまでの自分の人生を悔い改めていくっておいおい(笑)。そんな2人の倫理観のぶっ飛び具合がサイコーに楽しかったです。ただ…、レイが鎖から解き放たれる中盤からが失速して、後半はなんだか普通のヒューマンドラマとなってしまったところがちょっぴり残念ではありましたけれども。とはいえこの全編を覆うアクの強~い濃ゆ~い汗臭~い我が道を行く唯一無二の世界観は充分堪能出来ました。うん、面白かった!7点!
[DVD(字幕)] 7点(2014-11-20 00:51:17)
495.  オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主 《ネタバレ》 
僕の名前はオッド・トーマス。何処にでも居る、いたって普通のフリーターだ。セレブでもないし、その子供や恋人ってわけでもない。でも、僕の生活はほんの少し変わっているんだ――。死者の霊が見えるという特殊な能力を持つ青年“オッド(奇妙な)・トーマス”。持ち前の正義感から、彼はそんな能力を活かして世の未解決殺人事件を解決へと導き、幼馴染みの超可愛い彼女ストーミーともラブラブという、とっても充実した毎日を過ごしていた。だが、ある日、血の匂いに惹き寄せられる死神ボダッハが大量発生したことをきっかけに、オッドとストーミーは恐ろしい大量殺人計画へと巻き込まれてゆくのだった…。これまで肩の凝らない良質のエンタメ映画をいくつも撮ってきたスティーブン・ソマーズ監督が新たに挑んだのは、そんなシンプルな青春ホラーアクションでした。冒頭から始まる、この監督らしい小気味の良いスピーディーな展開と軽快でノリのいい音楽、死神や霊たちの適度なグロ描写、そして主人公オッドの青臭~いモノローグでぐいぐい引っ張る二転三転するストーリー展開等々なかなか面白かったっすね、これ。まあ、ベタっちゃあベタですけど、この手の中2病的青春映画には珍しく主人公が初めから妄想力爆発なぐらい超リア充なとこはけっこう新鮮だったかも。特に、オッドの彼女ストーミーを演じた女の子が滅茶苦茶可愛いくてしかも性格もスタイルも抜群(そのホットパンツから覗くすらりと伸びた両脚なんてめっちゃキュートで、思わず「その脚で僕の首を絞めてくれたならもう霊になってもいいかも!」なんてアホなことを考えてみたり…笑)で、そんな彼女とますますリア充爆発しちゃうクライマックスなんか観ていてちょっぴり腹立つくらいだったのだけど、最後の意表を突くラストシーンには完全にやられちゃいました。まさか、こうくるとは…。うーん、切ない!!というわけで、ちゃんとツボを押さえた楽しいアクション映画でありながら、最後は意外にも切ない余韻を残してくれる良質のエンタメ作品であったと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2014-11-09 00:43:13)
496.  大脱出(2013) 《ネタバレ》 
民間のセキュリティ調査会社で働くレイは、実際に囚人として刑務所へと乗り込み、そこが本当に脱獄不可能かどうかを実地で確かめるという、プロフェッショナルの脱獄鑑定人。ある日、そんな彼の元に厳重な警備システムを誇る謎の刑務所が本当に完璧かどうかを調査してほしいという依頼が舞い込んでくる。多少の胡散臭さを感じながらも承諾するレイだったが、それは彼を陥れる危険な罠だった――。収監されたハイレベルの刑務所で、謎の囚人ロットマイヤーと出会い、彼と共に脱獄のプランを練ってゆくレイ。だがそこは、彼らの予想を遥かに超える過酷な施設だった…。スタローン&シュワルツェネッガーという、一時代を築いた往年のアクション大スターが古き良き時代に思いを馳せるかのように製作したのは、そんな王道まっしぐらのアクション・エンタメ作品でした。まあ、ぶっちゃけて言うとかなり大味(笑)。設定の矛盾やストーリーのおかしなところなんか、真面目に一つ一つ挙げていけば鼻血が出そうなくらいいっぱいあるのだけど、そこはもう古き良きアクション映画、勢いと画面の華やかさのみで最後まで突っ切ったところはもう潔さすら感じられて素直に面白かったっす!さすがにあの瀕死の銃傷を負って死を覚悟したアラブ人が、敵が攻めてきたと知ると力強く立ち上がり銃を撃ち捲り始めたときは、「あんた、さっき、もう階段も上がれないくらい酷い状態だから置いていってくれって言ってたんちゃうんかい!」とずっこけそうになったけど(笑)。でもまあ、終始口元をへ文字に曲げて頑張るスタローンとか、最後にカタルシス全開でガドリング銃をぶっ放すシュワちゃんとか、そんな期待せずに観ればけっこう楽しめると思います。僕の青春の1ページでもある、スタローン&シュワちゃんのご健在ぶりにちょっぴりオマケして7点っす!
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-29 22:45:24)
497.  SOMEWHERE 《ネタバレ》 
酒と女を生き甲斐に自堕落な毎日をおくっているハリウッドの人気俳優ジョニー。彼の娘で、今は離婚した母親と共に過ごす11歳の多感な女の子クレオ。ふとしたきっかけで、一緒にイタリアへと旅することになった彼らの、特になーーーーーんにも起こらない静かな日々をただ淡々と描いた、いかにもソフィア・コッポラ監督らしいヴェネチア映画祭金獅子賞受賞作。いやー、なんなんですかね、ソフィア・コッポラって。相変わらず、退屈紙一重のともすれば睡眠誘発剤になりかねないかなり地味な内容(正直、クレオが出てくるまでの最初の10分は撃沈しそうになっちゃいました)なのに、普通に最後まで観ていられるのは彼女の溢れんばかりの瑞々しいセンスによるところなのでしょう。終始のんびりとした雰囲気で描き出される、女癖の悪い父親とのほほんとした娘とのユーモラスな遣り取りには素直に心が癒されました。そして、そんな2人を彩る周りの個性豊かな女たち…。女性の美しさを上品に撮らせたら、もうソフィア・コッポラの右に出る者は居ないだろうね。だって、ポールダンスを踊るストリッパーまでもがキュートなんですもん。そして特筆すべきは、やっぱりクレオを演じたエル・ファニングちゃんのびっくりするぐらいの美少女っぷりっしょ。そのニンフェットな魅力が爆裂している彼女の可憐な姿に、自他共に認めるロリコンの僕としては、完全にノックアウトされちゃいました。特に、レオタード姿でアイススケートを踊る時のその超プリティなちっちゃなお尻なんて、見ていて危うく悶絶死しそうになったっす(笑)。それに、スティーブン・ドーフのいつだって二日酔いって感じの駄目パパっぷりもなかなか良かったですね。うん、総じて思春期少女のその大人でも子供でもない一瞬のきらめきをリリカルに切り取った、詩情溢れる美しい作品であったと思います。 取り敢えず、今作をビデオ屋さんに返しに行く前に、あのスケートリンクで妖精のように舞うエル・ファニングちゃんの可憐な姿(お尻?笑)をもう一度観てこの目に焼き付けておこうと思います。って、こんなアホなことばっか言ってっから、いつまで経っても僕には彼女が出来ないんだよな~。まあ、当たり前か(笑)。求む、明るくて可愛くてちょっぴり童顔の(もちろん大人のッ笑)女の子!
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-21 00:43:29)
498.  MAMA(2013) 《ネタバレ》 
ヴィクトリア、来て、窓の外でママが呼んでいるわ。きっと寂しがってる。ねえ、早く一緒に行こう――。株式投資の失敗により気が違って妻を殺害してしまった父親に、無理やり連れ出されてしまった幼い姉妹、ヴィクトリアとリリー。以来5年もの間、ずっと行方の分からなかった彼女たちだったが、叔父であるルーカスの懸命な捜索によって一軒の寂れた山小屋で野生児として暮らしていたところを発見されるのだった。ルーカスと、ミュージシャンの卵である彼の恋人の元に引き取られることになった彼女たち。だが、その山小屋で気の狂った父親の魔の手から彼女たちを救い、ずっと世話をしてきた忌まわしき存在である〝ママ〟も、そんなヴィクトリアとリリーのあとを追ってくるのだった…。僕のこよなく愛する、理不尽で残酷な現実に押し潰されそうになっている一人の少女がその美しい想像力でもってそんな現実へと力強く立ち向かうダーク・ファンタジーの傑作「パンズ・ラビリンス」を撮ったギレルモ・デル・トロ監督。彼が製作を務めたという今作もいかにも彼らしい禍々しい雰囲気が濃厚に漂うダークホラー・ファンタジーの逸品へと仕上がっておりました。いやー、正直中盤まではあまりにも思わせ振りな演出が延々と続くうえに誰が主人公なのかいまいちピンとこないせいで、「デルトロ、久し振りにハズしちゃったかな~」と思いながら観ていたのだけど、ママの正体が明かされてからの畳み掛けるように続く後半の漆黒の展開はなかなか見応えありました。とにかく、何が良かったってやっぱりクライマックスのあの崖での、ママと姉妹たちのそれぞれの切実な想いが交錯する美しいシーンでしょう。淫靡でグロテスクな雰囲気が濃厚に漂う美麗な映像でもって描き出される、そんなママと姉妹たちの切ない別れのシーンは出色の名シーンでした。もう、僕の好みと見事に合致していて鳥肌立ちまくりっす!!今回も何も悪いことしてない登場人物の誰かが奈落の底へと引き摺りこまれてしまうので覚悟しといてね(笑)。まあ、よくよく考えたら脚本上の粗が目立つし、中盤の展開が幾分か冗長という面もなきにしもあらずだけど、母と子の絆を妖艶に描いた、いかにもデルトロらしい切ないホラー・ファンタジーとして素直に良かったと思います。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-16 00:37:48)
499.  おとなのけんか 《ネタバレ》 
とある平日の昼下がり――。平凡な日用雑貨品を扱うお店を営んでいるロングストリート夫妻のマンションに、日夜訴訟や裁判に追われているエリート弁護士カウアン夫妻が訪ねてくる。目的は、お互いの子供同士の些細な喧嘩によって怪我をさせてしまったロングストリート家の息子のことを話し合うため。だが、徹底的に価値観の違うこの夫婦の話し合いは見事なまでに噛み合わない。どころか、お互いの本音と建前が見え隠れする遣り取りは次第にヒートアップしてゆくことに。さらには、夫と妻の長年溜めに溜め込んだ双方の鬱憤が露わになり、穏やかな話し合いで終わるはずだった会合は、どんどんと修羅場へと化してしまうのだった…。エゴとプライドが複雑に交錯するとある二組の夫婦の次第にエスカレートしていく〝おとなのけんか〟を、アカデミー賞の栄誉に輝く実力派の役者陣が軽妙に演じたシニカルなホームコメディ。昔から、ロマン・ポランスキーってあんまり好きな監督じゃないんだけど、これまでの彼の作風からがらりと変わったこの作品は、いい感じで肩の力を抜いて撮られたのか最後までなかなか興味深く観ることが出来ました。いやー、大人ってほんと面倒臭いね(笑)。プライドだけはやたらと高い妻たちと、自分のことを常に正しいと信じて疑わない横柄な夫たちとのうんざりするような口喧嘩が延々と繰り広げる本作の展開は、全うな親戚付合いをしている人なら誰しもが経験したことがあるであろう普遍的なもの。ここで酒でもかっ喰らって本音をぶちまければどんなにかスカッとするだろうって誰もが一度は願ったであろう願望を、彼らは見事に実行に移してくれます(ケイト・ウィンスレットにいたっては、実際にゲロっちゃうしッッ笑)。ジョディ・フォスターをはじめとする魅力的な役者陣のこの息が詰まるような濃厚な演技合戦はとっても見応えがありました。ここまでの修羅場を演じたこの4人、明日から無事に元の生活に戻ることが出来るのでしょうか?本音でぶつかり合った結果、案外結束が強まったりしてね。でも、この面倒臭~い諍いはやっぱりこれから先も続いていくだろうことを、最後、復活したケータイが再び鳴り始めることで暗示して終わるという最後までシニカルな笑いに満ちた作品でありました。まさに、大人のためのホーム・コメディ。僕の心が比較的穏やかな状態のときに観れたおかげかけっこう面白かったっす。ラストに映し出される、仲直りした子供たちや元気に跳ね回るハムスターには心底ホッとさせられたしね。ただ、遺産相続などで揉めに揉めているときなんかには観ないほうがいいかもです。ますます心が病むこと間違いなし(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-06 10:34:39)
500.  横道世之介 《ネタバレ》 
あのころ、ほんとおれたちってバカだったよなぁ。ただ若いってだけで、頭の中は女のことばっかり、将来のことなんかこれっぽっちも考えてなかったし。そんなおれたちが、いつの間にか大人になってるんだものな。人生って、どうなるか分からないもんだよ、まったく。そう言えば、あいつ元気にしてんのか――。大学進学のために、長崎から上京してきた横道世之介18歳。見るもの聞くもの何もかも新しい世界で、彼は様々な人たちと出会い、年上の格好良い女性と同い年の女の子の間で揺れ動き、色んな現実を目の当たりにして、本人も知らないうちに少しずつ大人になってゆく…。吉田修一の新たな代表作とも言える青春小説を、穏やかで優しい空気の中に描き出す青春物語。普段、こういういかにもテレビドラマの延長のような邦画ってほとんど観ないのだけど、昔から僕がずっと愛読してきた吉田修一の傑作を映画化したということで今回鑑賞してみました。うん、なかなか原作に忠実に作られ、その数々の美点が巧く映像化されていて素直に良かったと思います。世之介役の彼を初めとする、役者陣の抑えたナチュラルな演技も味わい深かったですね(お馬鹿紙一重の世間知らずのお嬢様・祥子という難しいキャラクターを嫌味たらしくならずにちゃんと演じられるのだろうかとちょっと不安でしたが、祥子役の彼女けっこう頑張ってましたね)。いやー、今は反抗期の娘に説教しているお父さんも、昔はみんなこんな感じでふわふわ生きていたんだよね~。この映画を観ると、そんなあのころの自分が懐かしく思い起こされます。そして、あのころのバカだった自分たちでは想像すらしなかった、現在の大人になった自分や友達たちの生活を思うとまた切なさが込み上げてくる。観終わった後、優しさと切なさが良い余韻となって残る優れた青春映画であったと思います。以下余談。今作の原作者である吉田修一氏が僕は昔から凄く好きで、その代表作はほとんど読んでいます(現代の日本の小説家の中では最高に文章が巧い!と勝手に認定してるぐらい笑)。そんな氏の知的でスタイリッシュな筆致が冴え渡っている原作には、映画では語られなかったエピソードの数々が丁寧に書き込まれているので(映画では登場しなかった倉持の成長した娘もちゃんと出てきて良い台詞を残してくれるんだ、これが)、まだ原作を読んでいない方は是非読んでみることをお薦めしときます。
[DVD(字幕)] 7点(2014-09-23 18:16:34)(良:2票)
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