41. 約束の土地
《ネタバレ》 この映画を6点に止めておくのは惜しい。本当は9点だが、少しでも注目してもらいたいと思い、満点にした。 ヴィスコンティを観賞しているような気分になる映画だが、主人公を中心とした三人の友情(本当は友情とは呼べない)が、繊維工場建設の野望を企てていくお話し。 内容は、舞台は19世紀末、製作は70年代前半にも拘らず、皮肉にも現代の格差社会と全くと言っていいほど重なっている。 買収、ヘッドハンティング、インサイダー取引。正義も悪もない。登場する女性全てが人間として扱われていないのが特に悲惨だが、皮肉にも男たちは、その女性たちの影響で堕ちていくことになる。 今回、BS放送での観賞だが、DVD化されてないのが残念でたまらない。 全編に映される19世紀の舞台は既存のものを使ったので低予算だったらしい。 しかし、本作がアカデミー賞のノミネートを受けた時、ロサンゼルスに呼ばれた監督は、いったいどれだけの資金を使ったんだ?と頻繁に聞かれたと言う。 ヴィスコンティが観たか知らないが、もし観ていたら間違いなく絶賛していたと思う。 チャンスがあったら是非観てもらいたい作品だ。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2009-12-12 03:07:59) |
42. 青い鳥(2008)
《ネタバレ》 以前どっかの雑誌で、ある脚本家が「西部劇をベースにしているようだが、最後まで主人公が銃を抜かないから完全燃焼できていない」と酷評していました。 確かに、この教師の駒の進め方は「シェーン」や「用心棒」と同じですが、このストーリーで一番変わらなければいけない人物は、生徒の園部少年だということを理解しなければいけません。 「いじめ」という、今ではもう使い古されたテーマを被害者が存在しない形で描いていく、ちょっと変わった展開は、作り手としては難しい挑戦ではなかったのでしょうか? 毎朝、机に向かって「おはよう。野口君」と声を掛ける村内先生は、ちょっと嫌味に感じる人がいるかもしれません。教室内が緊張感漂う空気になるのは仕方がないことです。 最後の授業で任意で原稿用紙を取りに行った生徒の人数はとてもリアルだと思います。 私は今までいじめなんかしたことはない。そう思っている人には理解できないでしょう。 園部少年が村内先生に罪の告白をした後、遺書に書かれた三人目が自分でなかったことを知り、更に井上少年とも和解して、全てが終わったと思ったら、最後の授業がコレです。 今更反省文を書かなければいけないのか……彼が戸惑いながらも原稿用紙を取りに行き、自分がズルくて卑怯な人間であると正直に書き綴ったときは涙が止まりませんでした。 私自身、学生時代、今でも腸が煮え繰り返るほど傷つけられた経験がありますが、と同時に私も無意識に誰かを傷つけていて、もしかしたら、私のことをずっと恨んでいる人間がいるかもしれない。そんなことを思わずにいられなくなる作品でした。 テレビで頻繁に宣伝されている「お涙頂戴」的な映画とは一線を画す、価値のある映画です。 [DVD(邦画)] 10点(2009-10-17 07:37:33)(良:1票) |
43. この自由な世界で
《ネタバレ》 よくこんな脚本で賞が取れたなって思う。冒頭、若いイケメンを体目当てに仕事を斡旋する主人公が、セクハラ行為を受けた翌日クビになる展開はよかったが、33歳、シングルマザー、カード地獄という設定の割には、バイク、車、パソコン、事務所、そして起業まで、全てがトントン拍子で運んでいく展開に生活の匂いを感じることができない。 「人材派遣」なんてものは、言い換えれば、ピンはね業で、そんな稼ぎ方をしている人間に「愛」を語る資格なんてあるのだろうか? 観賞中、そこが、この映画の要だと思っていた。そんな、人を人とも思わない経営者が、どういう経緯で価値観を変えていくのか。気まぐれでイラン人の家族を囲ってみたり、どこかで聞いたような親子関係のシークエンスは目を瞑っても、主人公の価値観が終始変化しないのだから、これはもう「ドラマ」と呼ぶことはできない。 衛星放送で似たようなドキュメントを頻繁に観ている私にとっては、こんな上っ面だけ描いた作品は不愉快極まりない。映画にした意図が全くわからない。 2015年11月4日変更 あまりに素晴らしい映画だったのでレビューを書こうと思ったら、自分が上記のような感想を既に書いていたことにビックリ。 この6年の間に私自身の中に何があったんだろうと思った。 主人公の心理にゾクゾクっと来ながら鑑賞した。 初回のレビューでは1点だったが、改めて万点を送りたい。 ケン・ローチ、恐るべし。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2009-10-11 05:58:06) |
44. オズの魔法使
子供にも通用する普遍的テーマを描いた映画こそ私にとって最高の映画です。 誰でも一度は観たことがある。そう言われて今頃になって本作を知った自分が恥ずかしくなりました。 モノクロとカラーのコントラストから、家ごと吹き飛ばされるドロシーの抽象的表現を、どれだけ大人は理解できているのでしょうか? きっと本作を教科書に様々なクリエイターがオリジナルストーリーを作っていったのではないかと勝手に解釈しています。 物心ついた頃に観ておけば、私もこんなにひねくれた性格にはならなかっただろうに……。 無駄なシーンが一つもない。ドロシーと善良な魔女がとても可愛かったです。 死ぬまでに何度か観賞したくなる一本となりました。 [DVD(字幕)] 10点(2009-09-21 06:01:59) |
45. 夜の大捜査線
《ネタバレ》 この映画、吹き替えが最高にハマっているんです。昔は土曜の洋画劇場で頻繁に放送されていました。署長さんの嫌味ったらしい「バ~ジルぅ」の言い方が最高なんです。 けど、DVDには吹き替えが収録されていないのでガッカリ…。メーカーには是非吹き替え収録版の発売を切望します。 先日、久しぶりにテレビで吹き替え放送されたのですが、やっぱり最高なんです。 初の黒人オスカー俳優、シドニー・ポワチエ、ルックスも含めて全てめっちゃカッコいい。 白人署長が自分を見失って熱くなる黒人刑事に「バ~ジル、お前も人間なんだなぁ」と言う嫌味なセリフに加えて、反対に黒人刑事が署長に「アンタも淋しいんだな…」と同情され、逆切れする署長に、人間は皆一緒なんだと痛感します。 スパイク・リーの人種差別映画とはまた違うメッセージを受ける映画です。 主題歌のレイ・チャールズのナンバーも最高です。 でも、デンゼル・ワシントン主演のリメイクは観たいとは思わない。あの役者は、なんか偽善的なイメージがあって、オリジナルの本作を台無しにしそうです。 オバマさんが主演なら興味は湧きます。 [地上波(吹替)] 10点(2009-07-18 03:48:47)(笑:1票) |
46. マレーナ
男と女の根っからの「本音」を描き切っています。主人公の少年を一番理解しているのは誰か、人物全てがユーモアたっぷりに描いていて、何度鑑賞しても飽きない映画です。 コメディではありませんが、全編、可笑しくてしょうがないです。 男性と女性の感想が全く違ってくる映画ではないでしょうか。 女性は、どれだけマレーナに…いや、それよりも、美しいマレーナに嫉妬する女性(おばちゃん)たちを自分に重ね合わせることはできるのでしょうか? 女性の方々に言いたい! マレーナに罵声を浴びせる女たちは、貴方たち、女性を映している鏡です。素直にそれを認めましょう。 この監督は鑑賞する側に皮肉な投げかけをしていますが、私は監督のそういう感性が大好きです。 しかし、こういったテーマは、日本では企画の段階で却下されるでしょう。 正直に生きる男性のみが賛同する映画だと思います。 因みに、ディレクターズ・エディションのDVDは、少年が想像するマレーナとのエロシーンが約10分追加されたものです。といっても私にはカットしなければいけないほどエッチなシーンとは思えませんでしたが……。 少年役の子はこの映画だけ出演して、また一般人(高校生)に戻ったということですが、一番綺麗だった頃のモニカ・ベルッチとあんなことができるなんて、全く「やりにげ」状態に思えてなりません。嗚呼、うらやましい……。 このバージョンには、吹き替えがないのが残念ですが、通常バージョンでもスケベさは充分伝わってくるのは監督の技量だと思います。 [DVD(吹替)] 10点(2009-07-07 23:59:29) |
47. 世界最速のインディアン
「フォレスト・ガンプ」「リトル・ミス・サンシャイン」「ロッキー」「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」それに「寅さん」を鑑賞したときの感覚を一度に味わえた気分です。 冒頭から笑いっぱなしでした。 主人公のおじいちゃんは旅先でいろいろなものを得ていますが、視点を変えると「赤毛のアン」のごとく、出会った人々を次々と幸せにしていってるようにも見えます。ちょっと下品なところもありますが、そこは、いかにも人間臭さが出ていていいところです。 以前、私の友人が90年代にバイクでアメリカ横断をした時、どこの州の人も皆親切でいい人だったと話してくれたのを思い出しました。 私は予備知識なしに鑑賞したのですが、予告編は失敗ですね。邦題も含めて、全くといっていいほど、この映画の魅力を引き出していません。 あんまり薦めすぎると「そこまでは面白くない」と言われそうですが、兎に角、娯楽作品を探している人には大推薦の映画です。 「生き方」も教えてくれます。 因みに、この映画、英語が理解できない人は吹き替えで観ることをお勧めします。 字幕では、全く笑えません。 [DVD(吹替)] 10点(2009-05-30 00:26:00) |
48. あの子を探して
《ネタバレ》 学校から突然いなくなった子供を探す13歳の先生。児童が一人でも少なくなったら、賃金が貰えない。でも、映画の中では、その理由はあまりハッキリさせず、探し続ける賢明な少女の姿だけが描かれている。町へ居なくなった少年も含めて、子供たちはただ生きることだけに必死なのだ。 チョーク一本にどれほどの価値があるのか、痛いほど伝わってくる。 前列左に座っている少女は要チェック! ちょっとした仕草がめちゃくちゃ可愛い。 映画とは関係ないが、先週、中国のある田舎の18歳の少女のドキュメンタリー番組を観た。この番組は5年前も少女を追いかけていて、高校に行けず仕事の手伝いに明け暮れていた少女は、同情した日本の視聴者の協力で高校進学できたものの、今は勉強についていけずに中退して、仕事もなく、村では居心地悪い存在に扱われている。 本作は10年前の作品だが、中国が北京五輪で盛り上がろうと、貧しい農村の現状は今も全く変わっていないのが、とても悲しい。 この映画にはメイキングDVDが存在するが、その中で、チョイ役の女の子が、この映画でギャラを貰って家族のために家を建てたいと言った言葉が、とても切なく思った。 映画自体は決して暗いだけのストーリーではないので、メイキングも含めて必見! [DVD(吹替)] 10点(2009-05-21 13:27:04) |
49. コーラスライン
《ネタバレ》 世界チャンピオンとか業界のトップの夢を叶えるという話ではなく、ブロードウェイでもとりわけ下のレベルにあたるコーラスダンサーというビミョーな役割に命を賭けた人間たちの青春群像というのが胸を締め付けられる。 オーディションを受ける者たちの様々な人間模様が描かれている。プライドを捨て切れない者、否、捨ててでも踊り続けたい者、過去を隠したい者、年齢を気にする者、技術さえ備わっていればプライバシーが何の関係があるのかと問いただす者、そんな人間が演出家と交錯して一つのドラマが繰り広げられる。 採用される人間とされない人間の本質を観客の私たちでも途中から無意識に見抜けてしまうのも面白い。 私たちはこの映画を通して、過去がどうであれ、自分をさらけ出しながらドライに生きている人間に好感を持つのではないだろうか。 これから役者になろうとしている人たち、または仕事の面接を受けようとしている人たちにとっては教科書的な役割と捉えることもできる。 この普遍的な「人間の魅力とは何か?」を考えられなければ、この映画は「アタシ、別に踊り子になんか興味ないし~」で終わってしまうだろう。 この映画の見所は、人生の全てを賭け「コーラスダンサー」という小さな仕事を手に入れようと情熱の全てを捧げる「魂」がテーマであり、物語自体はオーディションの最終選考の結果発表の時点でエンドマークが打たれる。 最後のコーラスダンスはいかにブロードウェイが素晴らしいか!というアピールだろうが、次第に一人一人の顔が小さくなり、わからなくなっていくのがキュ~ンと締め付けられ、それがとても辛い。 それでも彼らは「コーラスダンサー」という仕事に命を賭けているのだ!!! 落ち込んだ時やテンションが上がらないときに見ると元気をもらえます。 他のレビューに書かれている、突っ込みどころ……とりあえず私は目を瞑っています。(笑) [DVD(字幕)] 10点(2009-02-27 00:42:01)(良:1票) |
50. セント・オブ・ウーマン/夢の香り
17年前に上映された作品なんですね。予備知識なしに観たのですが、冒頭から主演二人のやりとりに惹きこまれて時間を忘れてしまいました。 障害者を演じると何故か必ず賞をもらえる…以前から「アカデミー賞」というものに偏見を抱いていましたが、もうそんなことどっちでもいいです。 それにしてもタイトルで損してますよね。このタイトルじゃ、あんまり観ようとは思わない。 比較する訳じゃないけど、観終わって「ショーシャンクの空に」と同じ充実感をを味わいました。「希望」です。 92年のバブル期よりも今、この最悪の社会情勢のほうが価値を見いだせるのではないかと思います。 フィクションを馬鹿にする人たちがいますが、自分を見つめ直すきっかけが出来れば、それは価値のあるものだと思います。私にとって本作がそれに当たります。 [DVD(吹替)] 10点(2009-02-03 09:37:32)(良:1票) |
51. 鶴は翔んでゆく
期待しなかったせいかわかりませんが、大当たりの映画です。主役の女優さん(タチヤナ・サモイロワ)、メッチャ綺麗です!ジャケットとまるっきり顔が違います。スタイル、表情、歯並びの良さまでカメラはしっかり捉えています。DVDはデジタル処理が徹底的になされているせいか、「アンナ・カレーニナ」より綺麗に撮れてます。 外見だけではなく役者としても最高に輝いています。疾走する戦車の行列に、まるでお豆腐でも買いに行くかのように平気で横切って行ったり、燃え盛る炎の中に飛び込んだりと、全てスタントなしでやってます。世界中探してもこんな女優さん見たことありません。聞いたことありません。もうビックリです。っていうか普通やらせないでしょう。 内容は反戦映画に思われがちですが、普遍的な「愛」を、たった91分で表現しているだけの物語です。愛し合い、愛され、そして愛を与え…もう本当に胸がつかえ涙が出ます。 この時代のソビエト映画は、小道具、伏線、シャレードと、世界の映画界の先陣を切っています。観客を充実させるテクニックが満載です。 [DVD(字幕)] 10点(2009-02-01 02:34:42)(良:2票) |
52. 赤毛のアン/完全版〈TVM〉
昨年、NHKで「赤毛のアン」が頻繁にヒューチャーされていたので、とりあえず…という感じで鑑賞してみたのですが、この作品は私の今後の人生感を変えてくれるものになりそうです。冒頭からエンドロールが流れるまでの約3時間、悲しみ、笑い、喜び、そして感動…涙のフルコースを味わってしまいました。 この作品に出会えたことを神様に感謝します。 今年のマイブーム第一位は、続編を加えて、繰り返しの鑑賞、それから原作本の読破で決まりでしょう?! 因みに、アンの世話役になる二人の吹き替えが、波平とフネの声優さんだったのは違った意味で笑えました。 [DVD(吹替)] 10点(2009-01-19 02:20:28) |
53. ジャニス
ジャニスジョプリンにハマる、きっかけを作ってくれる映画だと思います。 編集に無駄がありません。 最近流行りの、関係者の回想インタビューといったものは全く入らずに、ジャニス本人の言葉とコンサート映像だけで進行していくところが理屈抜きに疲れなくていいです。 因みに、最近発売されているDVDには、歌詞の対訳がなくインタビューしか字幕が流れません。ビデオとレーザーは歌の歌詞も字幕スーパーがついているので、なるべくそちらで鑑賞されることをお勧めします。 歌詞の内容に彼女のメッセージが含まれているからです。 それにしても、明るく華やかにエンディングは流れるのに、胸が締め付けられ、涙が出てきてしまうのは何故なんでしょう? [レーザーディスク(字幕)] 10点(2009-01-15 15:33:01) |
54. 肉体の悪魔(1971)
17世紀、キリスト教の現実を赤裸々に描き出しています。 「ダヴィンチ・コード」なんて足元にも及びません。 登場人物はハッキリ言って悪人しか出てきません。男も女もドロドロです。もう笑っちゃうくらいドロドロし過ぎてます。 しかし、純粋に人間の心をさらけ出したケン・ラッセル監督の最高傑作です。 「時計じかけのオレンジ」「ウィッカーマン」「TOMMY」「バリーリンドン」「サテリコン」の世界観を理解できる人なら必ず満足します。 全裸の尼僧たちの乱交、悪魔払い、拷問、処刑シーン、全てブッ飛んでます。 セット、美術、衣装も文句無し。 そして、観終わった後の不思議な感動と爽快感。 未DVD化で、ビデオも希少ですが、是非探してみてください。 私の数少ない10点満点の映画です。 [レーザーディスク(字幕)] 10点(2009-01-13 21:27:19) |
55. 誰が私を殺したか?
スカパーの「町山智浩のvideo shop UFO」で鑑賞。 現在、日本では未DVD化です。 これは「何がジェーンに起こったか?」と同じくらい面白い作品です。 ベティ・デイヴィスが一人二役を演じています。 かつて自分が愛した男を奪った大富豪の双子の妹を殺して、その彼女にすり替わるという奇抜な始まりなんです。 つまり「自分を殺したのは誰か?」という展開になるのですが、その結末がとてもドラマティックなんです。 番組でも、町山さんが言っていましたが、ちょっとした感動が待っているんです。 これは意外です。 大富豪の妹になりすましたヒロインがボロを出すのは当然のことなんですが、問題はそこじゃないんです。 ヒロインを追い詰める刑事は、犯行前の彼女を愛していたのですが、彼の愛の矛先はずっと変わらないんです。 刑事は死んだと思われるヒロインと、妹に成りすましているヒロイン、つまり同じ人間を重ね合わせようとするのですが、彼の心の天秤が大きく揺れるのです。 そしてその先は意外な方向へ進んでいくのです。 ヒロインはその刑事のことは愛していませんでした。妹と結婚していた男性を愛していたのです。 ですが、その刑事の愛を受け入れようとするヒロインの心境の変化で、この作品の価値も大きく変わるのではないかと思うのです。 ちょっと変わった作品ですが、「愛」というものを描いた素晴らしい作品です。 因みにサスペンス要素もあるので、メロドラマとは全く違います。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-02-17 15:54:54) |
56. ダラス・バイヤーズクラブ
まず、この映画の時代背景は1980年代半ば頃という説明が必要かと思います。 主人公がエイズにかかり、余命30日と言われたところから、彼の本当の人生がスタートします。 黒澤明監督の「生きる」や、近年ヒットした海外ドラマ「ブレイキングバッド」を思い出しました。 主人公がなぜエイズになったのか、セックスしている女性の腕にあった注射針の描写など、ディテールが細かいので見逃すと、よくわからなくなるかもしれません。 見ごたえのある素晴らしい映画でした。 マークボランの写真のネタも笑えました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2020-04-09 14:55:38) |
57. 戦場のピアニスト
《ネタバレ》 この映画見ると食べ物の好き嫌いがなくなるような気がします。 主人公は何でも美味しそうに食べます。 見ていて、あっという間に終わってしまう魅力を感じました。 将校がピアノの演奏に感動しなければ彼は生き延びてはいなかったでしょう。 芸術の良し悪しは主観では語れませんが、才能があったからこそ彼は長生きできたんでしょうね。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2020-02-04 22:53:40) |
58. ある女流作家の罪と罰
いや~、これは納得が行かないけど面白かったですよ。 売れなくなった作家が著名人の手紙やサインを捏造するなんて私には絶対許すことができません。 実は、最近気になることがあるんです。 オークションサイトでフレディ・マーキュリーを含むクイーンのメンバー全員の直筆サイン入りのレコードが 5千円から3万円で落札されているんです。 それで調べていくと、同じ出品者から幾つものサイン入りレコードが落札されているんです。 物凄く怪しいんです。 本物かどうかなんて分かる訳がありません。 因みにクリントイーストウッドの直筆サインは鑑定書付きで500円でした。 話を元へ戻します。 今回の映画、被害者はコレクターだけという小さい規模ですが、FBIが関与するだけあって重罪だと思います。 だけど、こうして映画にしてしまうと、登場人物の人間臭さが随所に感じられて、かつスリルがあるんです。 愛する家族のために麻薬精製に手を出してしまう男を描いたドラマ「ブレイキングバッド」に似ているんです。 主演をジュリアン・ムーアにせず、メリッサ・マッカーシーにしたのは正解だと思います。 レビュー数が少ないですが傑作だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2020-01-19 10:00:54)(良:1票) |
59. 女狐(1967)
「さよならミス・ワイコフ」がきっかけでアン・ヘイウッドの作品を探していたら本作にたどり着きました。 カナダの映画ですが、ヘイズコードがなくなったおかげで、やりたい放題の内容に仕上がっています。 アメリカン・ニューシネマの雰囲気が随所で見られます。 人里離れた一軒家に過ごす二人の女性、ジル(サンディ・デニス)とエレン(アン・ヘイウッド)。 一見平和に過ごしている二人ですが、エレンは性欲が溜まっていて一人自慰行為をしたりします。 そこへ一人の男、ポール(キア・デュリア)がやってきます。 ジルはポールを兄弟のような感覚で接しますが、エレンにとってはまさに「男」だったのです。 三人の関係はとても面白く表現されていて、ある日突然ポールがエレンに求婚してくるんです。 距離を置いて接していたエレンにとっては衝撃の出来事でした。 それを知ったジルは次第に二人に嫉妬し始めるんです。 アラン・ドロン主演で「帰らざる夜明け」という映画にも似ているのですが、こちらの作品の方が今見ても古さを感じさせません。 現在、DVDは廃盤でヤフオクでもなかなか出品されることがないのですが「さよならミス・ワイコフ」をご覧になった方に是非見てもらいたい傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2019-11-24 07:24:56) |
60. ヒドゥン・フェイス
昔、私の知り合いに変なおじさんがいて、その人、自分の車にインキーをしないよう、予備のキーを2つタイヤの上の部分にマグネットででつけていたんです。 そんなに予備のキーをつけているのにインキーをしたら、よほどのアホだろうなって思い出しながらこの映画を見ました。 その変なおじさんと同じくらい、この映画も面白かったです。 是非、予備知識ゼロでご覧になってください。 年に一度の傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2019-08-16 11:05:01) |