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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1865
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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621.  ルース・エドガー 《ネタバレ》 
彼の名は、ルース・エドガー。アメリカの進学校に通う、クラスや先生たちからも一目置かれるような17歳のティーンエイジャーだ。成績もトップクラスでスポーツも万能、その物怖じしない性格からクラスの誰からも好かれる、まさに絵に描いたような優等生。それだけではなく、彼はアフリカの最貧国に生まれたものの幼くして今の白人夫婦に養子として引き取られ、暴力のトラウマに苦しみながらなんとか立ち直ったという誰もが称賛する美談まであった。まさに非の打ち所のない好青年のルースだったが、ある日、そんな彼の人間性に密かな疑問を抱いた人物がいた。それは歴史教師のウィルソン女史。課題として出したレポートでルースは、急進的なアフリカの革命家をテーマに取り上げ、暴力肯定ともとれるような論を展開したのだ。さらに彼のロッカーを密かに探ってみたところ死人が出てもおかしくないような違法な花火が発見される。明らかに危険な兆候を感じ取ったウィルソン。相談を受けたルースの両親は、半信半疑ながらも彼に問いただしてみるのだった。そしてそれは彼の誰もが認めるような優等生としての一面を揺らがせてゆく――。文武両道の優等生である青年ルース・エドガー、彼に隠された真実を彼の両親やクラスメートたち、そして微かな疑問を抱いた教師の目線から描いたサスペンス・スリラー。冒頭から不穏な空気を濃厚に漂わせるそんな本作、ナオミ・ワッツやティム・ロスといった実力派の役者陣共演に惹かれ今回鑑賞してみました。もうとにかく、非常に真面目な優等生であるこのルース・エドガーという青年の何処か不気味で何考えてるか分からないところに物凄く引き込まれました。本当に単なる友達想いの好青年なのか、それとも内に暗い情念を隠し持ったサイコパスにしてテロリスト予備軍なのか、最後までどちらか明示せずに進めてゆくところが非常に巧みで素晴らしい。彼に疑念を抱く、生徒を自分の枠に嵌まった固定観念でしか捉えようとしない女性教師の人物造形もリアルで大変グッド。最初は彼女に嫌悪感を抱かせといて、後半、それを見事にひっくり返す脚本も完成度は高い。特に、精神疾患を抱えた彼女の妹が学校の生徒の前で全裸になって大暴れするシーンは、生々しい緊張感が漲っていてなんとも言えない後味の悪さを残してくれます。そして、このルース・エドガーという青年の考えが明らかになるクライマックス。もしかしたらこれは『隣人は静かに笑う』以来の胸糞映画の傑作となるのではないかと、僕はずっとドキドキしながら観ていました。惜しいのはこのクライマックス。息切れしちゃったのか、このラストがなんとも消化不良でいまいち納得感が得られず、僕はちょっと残念でした。とは言え、人間を人当たりや印象だけで決めつけてしまうことの恐ろしさを再認識させられる、なかなかの力作だったと言っていいんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 7点(2021-05-13 03:56:32)
622.  レディ・マクベス 《ネタバレ》 
19世紀、イギリス。海沿いのとある地方都市に住む大富豪マクベス家へと嫁いできた、まだうら若き17歳の少女キャサリン。それまでの貧しい生活から一転、彼女は何人もの使用人を抱えた何不自由ない生活を手に入れたのだった。だが、当主である年の離れた夫は横柄な性格で、妻であるキャサリンをまるで使用人の一人としか見てくれない。しかも潔癖症なのか特殊な性癖の持ち主なのか、キャサリンに指一本触れてこないばかりか、夜な夜な彼女を裸にしてそれを眺めながら自分で処理するという毎日。次第に欲求を抑えられなくなったキャサリンは、ある日、野性味あふれる馬の世話係の男と一線を越えてしまうのだった。夫は数日前から所有する炭鉱のトラブル処理のために旅立ったきり、帰ってくるめども立っていない。若い欲望を持て余したキャサリンは、どんどんとその男と愛欲の海へと溺れてゆくのだった。当然、閉塞的な田舎町で彼女の不倫は瞬く間に人々の噂の的となり、それは遠く離れた地に居る夫の耳にも届いてしまう……。イギリスの寂れた田舎町を舞台に、若くして地主の妻となったそんな〝マクベス夫人〟の禁断の愛を濃厚に描いた愛憎劇。『ミッドサマー』で強烈なインパクトを残してくれた若手女優フローレンス・ピューの長編デビュー作となった本作を今回鑑賞してみました。全編まったくBGMもなく、ただひたすら淡々と起こった出来事を綴ってゆくという本作のスタイルに最初こそ眠気を誘われたものの、この主人公が人目も厭わずに若い男と情欲の海に溺れ始める辺りから次第に惹き込まれて観ている自分がいました。とにかく画が非常に美しいんです。シンメトリーを意識したであろうカットはどこを切り取っても、まるで中世の絵画のような気品ある美しさに満ちています。特に真っ青なドレスを身に纏った主人公が大きなソファに座ってこちらを見つめるシーンは、そのまま切り取って部屋に飾っておきたくなるほど。そんな美しい〝画〟の力が、正直このありきたりな不倫話を濃厚な愛憎劇へと昇華させることに成功しています。そして何より、大胆なラブシーンにも挑戦したフローレンス・ピューの存在感よ!勝ち気でツンとすました彼女のその凛とした表情には、何か吸い込まれそうな魅力がありますね。稀代の悪女誕生という最後のオチも説得力抜群で、素晴らしいとしか言いようがない。いやー、やはり成功する人ってデビュー作から放っているオーラ違うんですね。なかなか見応えのある愛憎劇の秀作でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2021-05-13 03:49:53)
623.  キャッツ 《ネタバレ》 
初回上演から現在まで、ロングランヒットを続けるミュージカルの名作を映画化したもの。原作舞台に特に思い入れがあるわけでもなく、有名な劇団四季による日本公演なども未見でしたが、何かと話題だったので今回鑑賞してみました。ネット上でも話題沸騰の、あの猫のリアルな擬人化具合は確かに気持ち悪かったですね~~~。普通に考えて彼らは服を着ていないわけですから、もちろん性器も肛門も丸出しなわけじゃないですか。それなのにお股をおっぴろげにしちゃうとことか、あまりにもハレンチでもう見てられなかったですね。普通に服を着ている猫も居たんで、より彼らの全裸感が強調されるという謎のダメ押し具合(笑)。さらに呆気にとられたのは、ゴキブリたちまで擬人化されて歌って踊りまくるところ。キッチンで行列作ってケーキに群がってたと思ったら、最後は猫に食べられちゃうという普通に考えて悪夢としか言いようのないシーンをご陽気に見せられた日にゃもう苦笑いするしかありませんでした。歌って踊ってる人も特殊効果した人も振り付け担当の人ももちろん観客もいったい誰得なんでしょー(笑)。肝心の内容の方も、好きな人には申し訳ないですけど、ここまで内容のないお話を見せられて、正直、僕は最後まで一切楽しめませんでした。うーん、自分には何がいいのかさっぱり分からなかったです。
[DVD(字幕)] 3点(2021-05-12 02:05:44)
624.  FREAKS フリークス 能力者たち 《ネタバレ》 
彼女の名は、クロエ・リード。今年で7歳になるちょっと変わった女の子だ。なんと彼女は、唯一の肉親である父親から家に閉じ込められ、生まれてから一度も外の世界に出たことがないのだ。父が言う、「外の世界には恐ろしい者どもがたくさんいて、見つかろうものならすぐに食べられてしまうぞ」という言葉を素直に信じ、完全に外界から遮断された一軒家の中でずっと生きてきたクロエ。友達もおらず、ただ目張りされた窓から路上でアイスクリームを売るワゴン車を覗き見ることだけを楽しみに生きる毎日。「でも、やっぱり外の世界をこの目で見てみたい」――。いつしかそんな欲求を抑えられなくなった彼女は、ある日我慢できずに家のドアを開け、外の世界へと飛び出すのだった。果たしてそこには何があったのか?世界は本当に恐ろしいものへと変貌してしまったのか?そして、彼女に秘められた恐るべき〝能力〟とは?父親によって生まれた時から家に閉じ込められてきた少女の驚愕の真実を独自の手法で描いたSFドラマ。何の予備知識もなく、ただスピルバーグに見いだされた新たな才能といううたい文句に惹かれ、今回鑑賞してみました。最初こそ低予算感が漂っているし、奇を衒ったような演出が散見されるしで、ちょっとこれはどうなんだろうって思わせるものの、後半からの怒涛の展開には完全にやられちゃいましたね。いや、なかなかの掘り出し物ですよ、これ。とにかくこの考え抜かれた脚本の構成力!前半に散りばめられた数々の謎が全て、後半への伏線になっていたとは!いやー、これは是非ともネタバレせずに観て欲しい一本。それに映像的にもけっこうセンスを感じました。人の感情を操ったり時間を止めたりといった特殊能力を使うシーンやクライマックスでの軍人を遠隔操作するシーン(屈強なおっさんがママって言うとこなんて思わず笑っちゃいました)など、どれもすんごくカッコよかったです。特に、姿を消したお爺ちゃんが銃で撃たれ、その血が空中に滲み始めるシーンなんて、センス抜群で最高でした!スピルバーグに見いだされた才能というのも納得。この監督、すぐにマーブルあたりの大作映画に大抜擢されるんじゃないですかね。前半、状況説明をほとんどしてくれないところや父親があまりに横柄なところにちょっぴりイライラしちゃいましたが、僕は充分満足。将来が楽しみな新たな才能との出会いを素直に喜びたいと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2021-05-09 00:41:24)
625.  ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 《ネタバレ》 
少女小説の古典的名作『若草物語』の原作者の半生を美しい映像で綴った青春ストーリー。名作と名高い原作の名はもちろん知ってましたが、これまで1ページも読んだことがありませんし恐らくこれから先も1ページも読むことはないであろう、僕にとってはジェーン・オースティンの『高慢と偏見』と並んで全く食指の動かない古典の代表格。でも、キャスト陣がやたら豪華なことと幾つもの賞を受賞しているということで今回鑑賞してみました。結果は……、やはり僕の感性とは全く合いませんでした。お年頃を迎えた四姉妹の惚れたり冷めたり、付き合ったりフラれたり、喧嘩したり仲直りしたりがひたすら続いて、正直僕は最後まで観るのがちょっと(いや、けっこうかも)しんどかったです。確かに、華のある役者陣が織りなすまるで絵画のように美しいシーンや現代と過去を絶妙にシンクロさせる練られた脚本の力など、監督の演出力の高さは素直に認めるところなんですけどね。この監督の前作を鑑賞したとき、自分の求める世界とは微妙に違うなぁと感じたのですが、どうやら本作でそれは確定したようです。
[DVD(字幕)] 6点(2021-05-08 00:40:58)
626.  グッド・シリアルキラー 《ネタバレ》 
あなたの毒親、殺します――。とある高校でスクールカウンセラーとして働くエバンは、来る日も来る日も様々な問題を抱えた生徒たちの悩みを聴いていた。家庭内暴力を繰り返す親や性的虐待を抑えられない父親、そんな理不尽でやり切れない話を聴き続けるうちに彼はある日、とある決断をするのだった。それはこの手でそんなろくでもない親たちに裁きを下すこと。生まれたばかりの我が子を抱え多少育児ノイローゼに陥っている妻を残し、エバンは夜な夜なそんな親たちを拉致監禁し、自らの手で天誅を下してゆく。だが、捜査を担当する刑事は、次第に彼へと疑いの目を向け始めて……。という、ワンアイデアのいかにもB級なそんな本作、あんまり期待せずに今回鑑賞してみました。なんですが、これがまあこちらの下がりに下がった期待をさらに下回る残念な出来の作品でありました。ストーリーなんてあってなきが如し、ただひたすら髭もじゃで不愛想なおっさんが人を殺して埋めるだけ。物語に深みもなければ意味もない、かといって「面白かったぁー」と思えるような娯楽性などもまったくなし。ただひたすら単調で退屈!なんだかニコラス・ウィンディング・レフン監督の作品をかなり劣化させたって感じですかね。「グッド・シリアルキラー・ファミリー」誕生!というような最後のオチに至っては、あまりにテキトー過ぎて怒り狂いそうなっちゃいました。観るだけ時間の無駄の凡作です、はい。
[DVD(字幕)] 3点(2021-05-06 01:05:22)
627.  アンストッパブル(2019) 《ネタバレ》 
生まれたばかりの娘を火事で失い精神を病んでしまった女性が、見ず知らずの夫婦の娘を自分の娘だと思い込み、執拗にストーカー行為を繰り返すといったお話。人様の子供にひたすら執着する母親役をノオミ・ラパスが熱演しております。とは言え、彼女のそんな熱演も勿体ないくらい酷い出来の作品でありました。物語の重要なカギとなる、何故他人の子を自分の娘と信じ込んだのかという部分に欠片も説得力がなく、なので物語に一切入り込めません。肝心のストーカー行為の部分もひたすら単調で退屈。サイコ・サスペンスとして緊迫感もなければ、ドラマとしても極めて薄っぺらい。最後の取って付けたようなオチに至っては、あまりにテキトー過ぎて怒り狂いそうでしたわ。え、この監督は伏線を張ったり脚本を練ったり物語を盛り上げたりというもっとも基本的な行為を放棄しちゃたんですかね?とにかく最後まで退屈極まりない駄作でありました。
[DVD(字幕)] 2点(2021-05-03 18:14:04)
628.  ウディ・ハレルソン ロスト・イン・ロンドン 《ネタバレ》 
2017年1月20日未明、ロンドンにおいて映画史上類を見ない、画期的な試みが行われた。その夜、ロンドンの地に300人のクルーと500人のエキストラが集結し、とある映画の撮影が決行されたのだ。なんとその作品は全編ワンカットで撮影し、しかも遠く離れた映画館に生で同時中継しようというのだ。失敗は許されない、音楽も即興で流され、当然役者たちのアドリブもそのまま上映される。この前代未聞の企画を監督・主演で制作したのは、ハリウッドの人気俳優であるウディ・ハレルソン。果たしてこの無謀な試みは、無事に成功させることが出来たのか――。最近何かというとよく目にするワンカット撮影をウリにした本作なのですが、その中でもかなり行き着くとこまで来ちゃった作品ですよね、これ。だって撮影した素材を、そのまま生放送で上映しようというのですから。しかも監督も務めたウディ・ハレルソンが本人役で主演し、妻役も実際に彼の奥さん、そして親友役としてオーウェン・ウィルソンがこれまた本人役で登場しちゃいます。確かにこの無謀な試みをちゃんとぎりぎり作品として成立させたのは凄いことだと思います。普通に雨が降ったりカメラマンがこけたりスタッフが見切れてたりしたらそれでもう終わりですもんね。ただ、それが面白さに繋がっているかと言うと、まったくそんなことはありませんでしたけど(笑)。正直、お話としては退屈以外の何者でもありませんでした。浮気がばれて妻に離婚されそうになったウディ・ハレルソンが夜の街で右往左往するだけのお話が延々続き、もうひたすら退屈!カメラを撮ったり演じたりしている方は楽しいかもしれませんが、こんなどうでもいいお話を延々見せられた観客にとってはいい迷惑でしかありませんって。僕は余りの退屈さに何度も寝落ちして、結局、最後まで観るのに三日も掛かっちゃいましたわ。ウディ・ハレルソンは嫌いじゃないんだけど、この映画に関しては彼の自己満足オ〇ニー映画だと認定させていただきます。
[DVD(字幕)] 3点(2021-05-03 17:18:30)
629.  嘆きのピエタ 《ネタバレ》 
血も涙もない冷酷非道な闇金の取り立て人、ガンド。利子が元金の10倍にもなるような違法な借金を返せなくなった債務者を無理やり障碍者に仕立て上げ、その保険金を返済に充てていた。片手や両足を使い物にならなくされた者、自らビルの屋上から飛び降りさせた者、一生車椅子生活を余儀なくされた者……。その顔を見ただけで債務者が震え上がるほど恐れられた彼は、その生い立ちもまた壮絶なものだった。産まれてすぐ母親に捨てられ、以来天涯孤独の身となった彼の心に愛というものは存在しない。だがある日、彼の目の前にとある女性が現れる。「ごめんなさい、あなたを捨ててしまって。私はあなたの母親なの」――。藪から棒にそう告白する女性。戸惑いながらもガンドは、その女性の悲痛な叫びに圧倒され共同生活を始めるのだった。当初は乱暴な扱いを続けていた彼も献身的に自分に尽くしてくれるその〝母親〟に、次第に心を許してゆく。だが、その〝母親〟も心にある闇を隠し持っていたのだった……。韓国の鬼才として有名なキム・ギドク監督が放つ、そんな破滅的な母子愛を濃密に描いたノワール作品。幾つもの賞に輝いたという本作を今回鑑賞してみました。確かに非常に完成度の高い作品で、最後まで衰えないその熱量の高さには素直に圧倒されました。ぎりぎりまで無駄を削ぎ落したシンプルなお話に切れ味の鋭いバイオレンス描写、時にやり過ぎなくらいの暴力をこれでもかと見せつけるかと思えば親子の普遍的な愛という極めて道徳的なものを織り交ぜてくる独特の世界観、そして最後はそれらを全てひっくり返す計算されつくした脚本。監督の才能は確かなものだと思います。人の温かみなど微塵も感じさせない町工場の乾いた雰囲気などもとても印象的でした。最後、自分のために編んでくれたと思っていたセーターが実は……となるのもなんとも言いようのない後味の悪さを残してくれますね。あとから思えばこの母親の「計画」が成し遂げられそうになる瞬間が何度もあったのに、それをさせなかったのはあくまで彼女が自らの方法に拘ったからなのか、それとも愛情が芽生えてしまったのか――。なかなか見応えのある、そんな暗黒の親子愛物語。あまりにもどぎつ過ぎて自分の好みにはそこまで合致しなかったですが、良い映画体験をさせていただきました。
[DVD(字幕)] 7点(2021-05-03 17:10:10)
630.  ブック・オブ・ライフ 〜マノロの数奇な冒険〜 《ネタバレ》 
メキシコでもっとも重要な祝祭、その名も死者の日。国中が先祖の霊を思い、家族の安寧を願うこの厳かな日を背景に、神々の賭けの対象となったある三人の男女の恋の行方をファンタジックに描いたCGアニメーション。ギレルモ・デル・トロが制作を務めているということで今回鑑賞してみたんですけど、なんか自分が思ってたのとだいぶ違ってました。彼お得意のダークでグロテスクな世界観は何処へやら、全編に渡ってもうやり過ぎなくらいポップ&ゴージャス&ドタバタ。印象としては、レゴムービーのメキシコ版って感じですかね。お話の方もとにかく色んなキャラがたくさん出てきてひたすら小ネタを繰り出してくるので、その度に集中力が途切れ、自分はいまいち入り込めませんでした。うーん、こればっかりは個人的な好みの問題なので如何ともしがたいですね。ただ、映像は終始キレイでクオリティが高く、そこは充分楽しめました。のちのピクサーの名作『リメンバー・ミー』に少なからぬ影響を与えたのかな。まあそんな感じです、はい。
[DVD(字幕)] 5点(2021-05-03 16:37:04)
631.  テルアビブ・オン・ファイア 《ネタバレ》 
未だ民族対立の空気が色濃く残る中東、イスラエル。パレスチナ系のテレビ局で働くサラームはある日、ひょんなことから人気ドラマ『テルアビブ・オン・ファイア』の脚本家に抜擢される。それまで担当していた脚本家がテレビ局の方針に反発し、自ら降板したのだ。脚本など全く書いたこともなかったサラームは、突然の事態に戸惑うばかり。なんとかアイデアをひねり出そうと、彼は様々な人物から話を聴くことに。なかでも毎日通る検問所を管轄するイスラエル軍将校から聴いた話は、とても参考になるものだった。検問所を通るたびに彼の意見を聞き、順調に脚本を書き上げてゆくサラーム。だが、次第に将校はユダヤ人としての正義を通すようサラームに要求してくるのだった。当然、テレビ局はそんな彼の脚本にクレームをつけてくる。さらにそこへ主演女優やサラームの元恋人、番組のスポンサーなどがどんどんと意見を突き付けてきたからさあ大変。果たして人気ドラマ『テルアビブ・オン・ファイア』は無事に最終回を迎えることが出来るのか?根深い民族対立を抱えたユダヤ人とパレスチナ人が人気ドラマの脚本を巡り、時に協力し時に反発しあいながら右往左往する姿を描いた社会派コメディ。と、まあ内容としては昔からよくあるベタなスラップスティック・コメディなんですが、本作の特徴はパレスチナ問題を背景にしているところ。おかげでいつでも銃を突き付けてくるイスラエル軍やいざとなれば自爆テロも辞さないパレスチナなど、けっこう際どいネタをぶっこんできてます。それでもそこまで深刻にならず、最後までそこそこ笑えるコメディに仕上げたのは、素直に監督のセンスがなせる技なのでしょう。最後、ユダヤ人とヒロインが結婚するオチにしろと要求するイスラエル軍将校とヒロインが結婚式で自爆して民族の意地を通すべきだとするテレビ局の意向に振り回される主人公。にっちもさっちもいかなくなった彼が、最後になんとかひねり出したアイデアには思わず笑っちゃいました。とは言え、良くも悪くも全体的にこじんまりと纏まっちゃった感があるのは評価が分かれるところ。コメディとしてもう少し突き抜けてくれた方が個人的には良かったような気がしなくもないけど、そこは好みの問題なんでしょうね。まあこの地域は現実の方が突き抜けているので仕方ないのかな。作品としてはよく出来てるんでしょうけど、僕にはちょっと物足りない作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2021-05-02 06:23:27)
632.  幸福路のチー 《ネタバレ》 
貧しい家庭に生まれ育ったものの、苦学して大学を卒業し、後にアメリカに移住したある一人の台湾人女性の半生を現在と過去を行き交いながら描いたアニメーション。複雑な世界情勢に翻弄されながらも逞しく生き抜いた台湾の庶民たちの実情は巧く描けていたと思います。全体を包み込む、ノスタルジックな雰囲気もほのぼのとしていてなんとも心地良い。特筆すべきなのは、それぞれに弱さを抱えた登場人物たちへの暖かな目線でしょう。時代の流れに逆らえず時に野蛮人呼ばわりされるお婆ちゃん、宝くじにのめり込み常に金に困っているお父さん、娘への過度な期待に心をすり減らすお母さん、そしてキャリアウーマンとして成功しながらそれでもどこか満たされない心を抱えた主人公……。抑制の効いたこまやか心理描写はなかなか心に響くものがある。ただ、これは個人的な好みの問題なんでしょうが、僕は本作の絵のタッチがどうにも合いませんでした。なんか子供たちが絶妙に可愛くないんですよね、これ。それに人物の動きがかくかくしてて全然スムーズじゃないのはわざとなのか、それともただ単純に技術の問題なのか。随所に挿入される幻想的なシーンも僕にはいまいちセンスが感じられず、ちっともワクワクしませんでした。作品としてはよく出来てるんでしょうけれど、そういったわけで僕はそこまでって感じです、はい。
[DVD(字幕)] 6点(2021-05-02 06:19:50)
633.  ボーダー 二つの世界 《ネタバレ》 
ずんぐりとした体形にごつごつとした無骨な顔、愛嬌があるとはとても言い難い不愛想な性格、そんな残念な見た目や性格のせいで子供のころからずっと不遇な生活を余儀なくされてきた女性、ティーナ。だが、彼女には人並外れた臭覚があり、さらには人の秘密を嗅ぎ分けるという特殊な能力さえあった。その特技を活かし、ティーナは北欧の港町で税関職員として地道に働いていた。そんなある日、彼女は勤務中自分とよく似た外見を持つ不審な男性を見つける。荷物を調べてみると、中には大量の虫を入れたタッパーが。問いただすと、男は自らを昆虫学者だという。もちろん法律的には何の問題もない。心に何か引っかかるものを感じながらも男を解放したティーナ。数日後、彼女は森の中で大量の虫を集めているその男と再会する。しかも彼は集めた虫を密かに食べていたのだった。だが、何故かティーナはそんな彼に親近感を覚え、家へと連れ帰ってくる。そうして始まった社会のはみ出し者同士の共同生活。やがて、ティーナは彼こそが自分の出生の秘密を知る人物だと知るのだった……。北欧の寂れた田舎町を舞台に、そんな社会のボーダーから取り残されてしまった男女をミステリアスに描いた幻想譚。テンポのいいストーリー展開や分かりやすいエンタメ要素などはほぼ皆無、終始静かに淡々と進んでゆくいわゆるアート系なそんな本作、なので評価のポイントとなるのはこの監督のセンスに自らの感性が合うかどうか。正直な感想を述べさせてもらうと、残念ながら自分は全く合いませんでした。とにかくこの主人公の外見が生理的に受け付けず、しかも似たような外見のおっさんまで出てきて嫌悪感が二乗されるという、ね。さらにはこの二人が裸になって森の中を駆け回るわ、素っ裸のまま湖に飛び込むわ、挙句剥き出しの土の上で泥だらけでまぐわい始めるわでそのころには嫌悪感が三乗、四乗。ダメ押しで、土からほじくり出したミミズや虫を口に放り込んでもぐもぐされた日にゃ僕の嫌悪感のリミットは見事に振り切れちゃいましたわ。いや、汚すぎでしょ、この映画。そこに児童ポルノ問題を絡ませることで、社会の美醜のボーダーを敢えてひっくり返そうという本作の狙いは分からんでもないですが、僕はそれ以前に生理的にムリムリなんですけどーー。こればっかりは好みの問題なんで如何ともしがたい。4点!
[DVD(字幕)] 4点(2021-04-23 18:48:58)
634.  ナンシー 《ネタバレ》 
彼女の名は、ナンシー。貧しい母子家庭に暮らす平凡な中年女性だ。その内向的な性格から結婚はおろか彼氏すらおらず、数年前からパーキンソン病を患い外出もままならない母親からは毎日のように不平不満を聞かされ、派遣で働きながら先の見えない閉塞した生活を続けていた。そんなある日、ナンシーはテレビでとある年老いた夫婦のドキュメンタリー番組を目にする。30年前、夫婦は5歳になったばかりの一人娘を誘拐され、以来ずっと娘の帰りを待ち続けているというのだ。番組の最後に表示された、CGで再現された現在の娘の顔を見たナンシーは、雷に打たれたような衝撃を受ける。「誘拐されたという一人娘は、実は私かも知れない」――。直接老夫婦へと連絡を取ったナンシーは、居ても立ってもいられず家を飛び出すのだった。血が繋がっていない母親は一週間前に亡くなってしまった。もはや自分は独りぼっち。自らの居場所を求めるかのように老夫婦の元へとやって来たナンシーは、彼らに乞われるままDNA鑑定を行い数日間泊めてもらうことに。鑑定の結果が出るのは3日後。果たしてナンシーは本当に彼らの誘拐された一人娘なのか?社会の片隅で貧しい生活を続けていた中年女性と幼い娘を失い悲嘆の中に生きてきた老夫婦、それまで何の接点もなかったそんな彼らの人生の交錯を終始淡々と描いたヒューマン・ドラマ。確かに描きたいことは分かるんですよ、これ。幼いころから虐待され決して幸せな人生とは言い難い生活を余儀なくされていた女性が、本当の両親かも知れないという老夫婦との交流を通していつしか生きる希望を見出してゆくという物語。ただ、残念ながら監督の芸術的センスが圧倒的に不足しております。終始画面が薄暗くて見辛いことこの上ないし、音楽や映像も凡庸で心に残るようなシーンなどほとんどありません。また、主人公はじめ登場人物誰もが人生に対して後ろ向きで決して魅力的とは言い難い。最後のDNA鑑定の結果も、まあ分からなくはないけれど、正直僕は「ここまで引っ張といてこれで終わりかよ!」と思わず突っ込んじゃいました。きっと本当の物語はここから始まるんじゃないですかね?なんだか「起承転結」の「起承」の部分だけを延々引き延ばしたものを見せられただけなように僕は感じてしまいました。題材は良かったのに、料理の仕方がなんとも勿体ない作品でありました。
[DVD(字幕)] 4点(2021-04-23 18:44:21)
635.  屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ 《ネタバレ》 
1970年代、ドイツに実在した猟奇殺人鬼フリッツ・ホンカ。分かっているだけで4人の娼婦を毒牙にかけ、その死体をバラバラにして屋根裏に隠していたという彼の驚きの私生活を映画化したもの。監督は、前作『女は二度決断する』でその演出力の高さを見せつけたファティ・アキン。という訳でけっこう期待して今回鑑賞してみました。なんですけど、前作の緻密に考え抜かれた構成力は何処へやら。正直、さっぱり面白くありませんでした、これ。ストーリーなんてあってなきが如し、ただひたすら小汚いおっさんが酒飲んで暴れてエッチして殺してバラバラにして……の繰り返し。そもそもこの主人公のあまりにも残念なルックスと粗暴すぎる性格が生理的に受け付けませんでした。犠牲者となる娼婦の方もほとんど五十を超えた小汚いおばさんばかりで、しかも全員何日も風呂に入ってなさそうなぐらいばっちい人だらけ。着ている服も何か月も洗濯してなさそうで、こちらにまで臭いが漂ってきそうなほどだし。もう全員まとめて洗濯機に放り込んでじっくり漂白したいぐらいでしたわ(笑)。これだけでも画的にきついのに、さらには主人公のおっさんのオ〇ニーシーンやらおばさんのフェラーリ、さらにはジジイにおしっこ掛けられたりするシーンまで出てきて、もううんざりしちゃいました。え、これって観客を不快にさせるために撮られた映画なの??恐らく社会の最底辺に生きる人々の悲哀をシニカルに描きたかったんでしょうけど、さすがにこれでは嫌悪感の方が先に立っちゃって僕は見てられませんでした。監督の前作が素晴らしかっただけに、なんとも残念!
[DVD(字幕)] 3点(2021-04-18 02:17:05)
636.  ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋 《ネタバレ》 
次期大統領候補として充実した日々を送る美しき女性国務長官と、現在失業中の超イケてない小太りの元ジャーナリストのおっさん。全く違う世界に生きる彼らの人生がある日ひょんなことから交錯し、いつしか恋に落ちるまでをスラップスティックに描いた格差恋愛コメディ。普段、こういった大人の女性向けのちょっぴりお下品なロマンティック・コメディ?は全く観ないんですけど、監督がかつて『50/50』や『ウォームボディーズ』というポップな作品でスマッシュヒットを飛ばしたジョナサン・レヴィンということで今回鑑賞してみました。しかも、お年を召してますますその美貌に磨きがかかっているシャーリーズ・セロン姉さんが主演を務めているというのですから、これは観ないわけにはいきますまい。うーん、確かの彼女の魅力は充分堪能できたものの、肝心の内容の方は僕の好みとはやはり全く合わなかったですね、これ。全編に渡って、とにかく下品!妙に生々しい下ネタ満載で、しかもさして笑えないという、ね。特に後半、主人公がオ〇ニーしてるとこを政敵に盗撮されるシーンなんてあまりにも下品すぎて、もはや嫌悪感すら湧いてきちゃいましたわ。唯一笑えたのは、ネオナチに無理やり彫られたカギ十字のタトゥーが棒人間になってたとこくらい。あと、主人公のこのおっさんがひたすら癇癪ばかり起こしてずっと怒鳴り散らしているのも不愉快千万!どうしてこんなウザイおっさんにこのバリバリのキャリア・ウーマンである国務長官が恋に落ちたのかという肝心の部分も理由づけがかなりテキトーなので、僕は物語に一切入り込めませんでした。そして最後、このおっさんのオ〇ニー動画がネット上に拡散して一大スキャンダルになったのをどう落とし前つけるのかと思えば、ヒロインが「誰だって一人エッチすることあるじゃない。私はそれでも彼を愛しています」と国民に語り掛けたら無事丸く収まって、それで次期大統領の立場も安泰って……。どんなけテキトーなんですか(笑)。そんなわけで、シャーリーズ・セロンの美魔女っぷり以外は一切観るべき部分のない凡作でありました。
[DVD(字幕)] 3点(2021-04-13 01:37:07)(良:1票)
637.  ティーンスピリット 《ネタバレ》 
イギリスの小さな島で貧しい母子家庭に暮らす17歳の少女、ヴァイオレット。歌うことが大好きな彼女は、週末ごとに場末の酒場で酔っ払い相手に歌声を披露していた。だが、ほとんど人生にくたびれた親父ばかりで彼女の歌なんて誰も真面目に聴いちゃいない。保守的な母親は、そんな彼女に小言ばかり。溜息ばかりの鬱屈した日々を生きていたヴァイオレットはある日、この島でテレビの大型オーディション番組「ティーンスピリット」の予選があることを知る。「誰でもいい、私の歌を真剣に聴いてほしい」――。退屈な日常から逃れるかのように会場へと向かった彼女は、思いっきり歌声を披露し、無事予選を通過するのだった。だが、二次予選に出場するには保護者の同伴が条件。仕事が忙しい母親にはとても頼めない。酒場で唯一自分の歌を真剣に聴いてくれていた、酒浸りの元オペラ歌手にマネージャーとして付いてきてもらうように頼み、ヴァイオレットは急いで会場へと向かうのだった。そしてそれが彼女の人生を大きく変えることに……。地方でさえない日々を送っていたティーンエイジャーが、持って生まれた才能だけを武器にスターへの階段を昇っていく姿を描いた青春サクセス物語。僕のお気に入りの若手女優エル・ファニングちゃんが自らの歌声まで披露しているということで今回鑑賞してみました。正直、ベッタベタでしたね、これ。何処かで見たようなストーリーに何処かで何度も聞いたような楽曲の数々、そしてステレオタイプな登場人物たち……。もう何もかもが薄っぺらいです。人気歌手のMVを引き延ばしたものに毛が生えた程度のものでしかありません。だいいち、この酒浸りの元オペラ歌手にどうしてそこまで主人公が肩入れするのか、さっぱり説得力が感じられない。このおっさん、偉そうなこと言って車出してるだけで大したこと何もしてませんって。致命的なのは、最後、この大会の決勝戦で彼女が歌う曲が一切心に響かないという、ね(笑)。とはいえ、主役を演じたエル・ファニングちゃんは終始キラキラしててもう可愛いったらありゃしなかったです。彼女の胸ポチTシャツ姿なんてサイコーでした。という訳で、毒にも薬にもならないぶん最後までストレスなく観ていられるし、彼女のイメージ・ビデオとしてなら充分楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2021-04-07 00:55:45)
638.  グリンゴ 最強の悪運男 《ネタバレ》 
無責任で女好きな社長にはめられ、仕事も愛する妻も失う寸前の冴えないサラリーマン、ハロルド。そんな八方塞がりの自分の人生に一発逆転を図るため、彼はあるとっておきの方法を思いつく。それはメキシコ出張中にマフィアに拉致されたと見せかけ、多額の保険金をせしめようという偽装誘拐。意を決して計画を実行に移した彼だったが、そこにホンモノのマフィアも現れ、さらには社長が雇った殺し屋や麻薬をアメリカへと密輸しようという運び屋まで絡んできたからさあ大変。最強の悪運男、ハロルドの運命は?そんな冴えない中年サラリーマンのドタバタを描いたコメディタッチのクライム・ドラマ。シャーリーズ・セロンを筆頭に、ジョエル・エドガートンやアマンダ・セイフライドといった何気に豪華なキャスト陣に惹かれ今回鑑賞してみました。まあやりたいことは分かるんですよ、これ。デビュー当時のガイ・リッチー監督作のような、軽妙なタッチのスラップスティック劇。でも、残念ながら演出のキレやスピード感が圧倒的に足りていません。無駄に分かりにくいうえに最後までテンポの悪いストーリー展開に終始睡魔が……。それに魅力的な登場人物がほとんど居なかったのも致命的。華のある役者陣に引っ張られて最後まで観ていられましたが、さして面白くはなかったです。
[DVD(字幕)] 4点(2021-04-05 17:47:30)
639.  リリーのすべて 《ネタバレ》 
世界で初めて性転換手術を受け、男性から女性となったリリー・エルベの生涯を描いたヒューマン・ドラマ。そんな世界初の〝女性〟を演じるのは実力派として着実に実績を残してきたエディ・レッドメイン、彼を献身的に支える妻役には人気女優アリシア・ヴィキャンデル。監督は、昔から僕とはどうにも相性の良くないトム・フーパー。確かに役者陣の繊細な演技や抑制の効いた丁寧な演出、そして20世紀初頭のヨーロッパを忠実に再現した画の美しさ等々、全体的な印象としてはなかなか好感が持てるもののやはり自分とは今回も合わなかったですね。うーん、なんだろう。この人の映画って基本善人しか出てこないんですよね。まだまだ性的マイノリティに根強い偏見が残るこの時代にここまでカミングアウトしたら、きっと物凄く苛烈な差別と偏見の嵐に遭うと思うんですけど、そんなものはほとんど描かれない。せいぜい通りすがりのナンパ男に絡まれボコられるくらい。〝彼女〟のかつての初恋の相手である画商も女だと思って口説いてきた友達も実質的に裏切られた形の妻もみんな彼の告白を聞いてすぐ親身になって応援してくれるって、正直、ホンマかいなって思うんですけど!よく言えば、あくまで人生の肯定的な面に目を向けてるんでしょうけど、それって結局キレイごとなんじゃないかってひねくれ者の自分なんかは思っちゃいますわ。終始品の良い雰囲気やキレイに纏まられた脚本など映画としての出来の良さは素直に認めますけど、自分の好みとはやはり真逆の監督なんだと再認識した次第です、はい。
[DVD(字幕)] 6点(2021-03-28 00:13:48)
640.  永遠の門 ゴッホの見た未来 《ネタバレ》 
情熱の画家、ゴッホの波乱万丈の生涯を終始淡々と見つめた伝記映画。そんな不世出の画家を演じたのはまさに嵌まり役というしかないウィレム・デフォーで、本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされております。確かにもう本人としか思えないほど役になり切った彼の演技は素晴らしく、何度も自画像で見てきたあの人が南仏の雄大な大自然を背景にキャンバスに絵筆を動かしている〝画〟は感動的ですらありました。ただ、お話的には正直微妙。こんなに有名でありながら未だミステリアスで神秘的な魅力を放っている人物を扱っているのに、どうしてここまで退屈なお話に仕上げてしまったんでしょう。今でこそ何億もの値が付くというのに生前自らの絵は三枚しか売れなかったという不遇の境遇、日本の浮世絵との運命的な出会い、社会的に成功した弟テオとの関係、そして画家ゴーギャンとの確執とあの有名な「耳切り」事件……。彼の生涯の重要なトピックとなるであろうそういったエピソードが、ことごとくスルーされてしまっているのはそういう狙いなんですかね。特にあの耳切り事件に至る過程など、画面が切り替わったらもうあっさり切っちゃってましたというのは、さすがに端折り過ぎっしょ!一観客としてはそこが一番知りたかったところなんですけどね。そうかといって彼の名画の数々――ひまわりや幾つもの自画像、そして晩年の傑作とされる星月夜の創作過程に迫るのかと思えば、それも気づいたら描き終わってましたって、いくらなんでもクローズアップするポイントがおかし過ぎます。ただひたすら観念的な芸術論が最後まで延々続き、もうほんと退屈。こんなに魅力的な題材を扱い、しかも役者陣の演技も素晴らしいのになんとも勿体ない。映像の美しさとウィレム・デフォーの熱演に+1点!
[DVD(字幕)] 5点(2021-03-24 22:44:17)
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