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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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701.  ザ・レイド GOKUDO 《ネタバレ》 
前作が『死亡遊戯』のインドネシア版というのが相応しかったんですが、この続編は『インファナル・アフェア』のまさにインドネシア・ヴァージョンって感じになってます。中盤までは良くも悪くも普通のマフィア・ギャング映画って感じなのでちょっと戸惑います。映像なんかも北野武の影響が強く感じたのですが、いかがでしょうか。不可解だったのは中盤ヤヤン・ルヒアンが刺客と激闘のあげく力尽きるところで、夜の街中で雪が積もっているんです。これたぶん首都ジャカルタが舞台だと思いますが、インドネシアで雪が降るなんて聞いたことない!これはひとえに監督の遊びというか美意識なんでしょうかね。出てくる殺し屋たちもキャラが立ちまくっていて、ベースボール・バットマンとハンマー・ガールの兄妹が出色、そういや硬式球をぶち当てて殺すってのは『アウトレイジ・ビヨンド』にもありましたよね、ここにも北野映画の影が見えます。カーチェイス・シーンは迫力満点さすがカネかかってますね~って感じですが、道路をまたぐ陸橋のうえに見物人が鈴なりになっているのがチラッと映るのは、まあご愛敬ってことで。ラストのキラーマスターとの対決は、まさにプロ対プロの真剣勝負を見せられている感はひしひしと伝わってくる迫力です。日本の極道の面々(と言っても三人ですが)はほとんど登場も活躍もせず、なんか狂言回し的な存在だったですな。でもラストのイコ・ウワイスの逆説的なセリフにあるように、極道たちとの対決編の第三弾は撮る気満々みたいです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-12 23:19:11)
702.  仁義なき戦い 代理戦争 《ネタバレ》 
シリーズ三作目はいよいよ本題の“広島抗争”が始まるわけですが、本作はいわば『広島抗争・前編』といった位置づけです。内容はもう“ヤクザ版国際政治(東アジアの某半島)”といった趣で、中世ビザンツ帝国の歴史を思い出させるような権謀術数の世界です。山守義雄=金子信雄をスケールダウンしたような打本昇=加藤武の登場で、ますますヤクザの屑っぷりが濃厚に描かれるようになってきました。前作から引き続き登場の成田三樹夫や山城新伍も、裏では卑怯な振る舞いをする凡人にキャラ変しています。原作者がモデルなだけに精一杯カッコよくしている広能昌三=菅原文太も、保身のために神戸の大組織と繋がって駆け引きに余念がなく、まあ地方都市の弱小組織のボスだからしょうがないといっちゃあ身も蓋もないですけどね。この広能昌三というキャラの最大の弱点は、山守義雄の子分になったり打本昇と兄弟分関係になっていたりとどう考えても人を見る眼がなくあとでそのことを後悔する愚を重ねるところでしょう。田舎のことですから、他に選択肢がなかったのかな。そう考えると、途中から若頭になって存在感を出してくる武田明=小林旭が本作ではいちばんおいしいキャラだったと言えるでしょう。もちろんいちばん酷いキャラは“手首切り落とし男”=川谷拓三で、舎弟の渡瀬恒彦をチクって殺させて自分は東京に逃げるというのはあんまりだ。でも、この渡瀬を同じ元教え子ということで就職の世話するみたいに文太の組に入れさせる教師と、まるで息子を奉公に出すようにしか感じていない母親も、かなりのクソですよ。こういうクズみたいな人間が沢山観れるのは、ある意味このシリーズの魅力かもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-02-03 20:10:39)(良:1票)
703.  ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 《ネタバレ》 
あのゲイリー・オールドマンがウィンストン・チャーチルに扮してオスカーを受賞するなんて、まさに“この世界は捨てたもんじゃない”ですな。だって『レオン』の『シド・アンド・ナンシー』の『二ル・バイ・マウス』のオールドマンですよ、それが歴史上の偉人とはいえ体制側のチャーチルを演じるなんて、「お前、転向したのか!」とツッコミを入れておきます。まあ辻一弘の腕前ならば白人の男優なら(女優でも?)誰でもチャーチルのそっくりさんを造り上げることができそうですが、キレ芸が持ち味のオールドマンが少々エキセントリックなところがあるチャーチルを演じるのに適役だったとは、このキャスティングを思いついた人、GJです。 お話しはチャーチルが首相に就任した1940年5月10日からの一カ月あまりの出来事、まさに彼が体験した“もっとも陰鬱だったとき(原題Darkest Hour)”というわけです。劇中たびたび描かれていますがチャーチルはそれまで政界では嫌われ者の問題児、なんとジョージ六世にまで嫌われていたんですね。失敗したけど初の敵前強襲上陸作戦であるガリポリ戦を立案したり、戦車の開発で中心的な存在だったり、戦略的なアイデアを発案するのが得意でもありまさに戦争指導するために生を受けた人と言えるでしょう。それだけに大戦終了直後に総選挙で敗北して退陣したのは象徴的だったと言えるでしょう。余談ですが退陣はポツダム会談の最中で、「なんで選挙介入しなかったんだ?」と出席していたスターリンが驚いたそうです。そりゃ、ソ連と一緒にされてもねえ(笑)。 「ぜったいに降伏しない」「死ぬまで戦う」という英国庶民の反応を見ていると、太平洋戦争末期の日本とどこが違うんだろうと、なんか複雑な気分になります。まあ結果的に勝ったから美談になると言っちゃうと、身も蓋もないんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-27 22:00:38)
704.  ターミネーター4 《ネタバレ》 
これはもう、皆さんおっしゃる通りで、『ターミネーター』らしさは希薄でなんか『トランスフォーマー』か『パシフィック・リム』系統の映画を見せられている感じが濃厚でした。特に前半はスカイネット側のメカが出すぎ、対する抵抗軍もA-10 サンダーボルトⅡや潜水艦など妙に旧世界の兵器を豊富に揃えているところもなんだかなあです。この映画ではやがて指導者となるジョン・コナーがまだ中堅の部隊指揮官という位置づけ、やがて父親になるカイル・リースに至ってはまだ未熟なガキでしかありません。つまりT-800型が開発中でコナーがリースをタイム・スリップさせる以前のお話しというわけです。 実はわたくし、以前からこのシリーズに何となく感じていた違和感がこの映画を観ていて明確になってきました。スカイネットはサラ・コナーを殺して厄介なジョン・コナーを抹殺するためにシュワちゃんを過去に送るわけですけど、仮にシュワちゃんがサラ殺しに成功しても果たして送り込んだ時代の現実は変わるんでしょうか?パラレル・ワールドが一つできるだけで、スカイネットと人間の闘争が続く世界とは関係ないのでは。つまり目標である手強い人間たちの抹殺に繋がらないことに、スカイネットはどうして血道をあげるんでしょうか?ほかにもっとできることがあるんじゃない。まあこの映画の時点ではカイルを抹殺リストの筆頭に挙げているわけで、彼がジョンの父親であることは知っているはず、まずこいつを始末しようと判断したのは妥当でしょう。でもそれを知っているということは、カイルが過去に送られる(その時点では)未来の出来事をスカイネットが知っているという大矛盾が発生することになりませんかね(ああ、ややこしい)。やはりこれは、『2』で終わりにせず無理くりシリーズ化してしまったのが根本的な原因なんでしょうね。 我々は『2』の悪ガキから三世代のジョン・コナーを見せられたわけですが、当たり前ですけどクリスチャン・ベールがやはり指導者らしい迫力があって頼もしい存在です。奥さん(?)にあたるケイトが『3』ではたしか獣医だったような気がしますが、いつのまにかバリバリの外科医みたいになっているのはご愛敬です。サム・ワーシントンも存在感があって、本作だけでリタイアさせちゃうのはなんか勿体ない。特出のCGシュワちゃん、あれはきっとジョークですよね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-24 23:11:51)
705.  ザ・ペーパー
NYのローカル新聞社での24時間の出来事を追ったシットコム的な群像劇なんですけど、これだけ登場人物が多いのに手際よく撮れたのはさすがロン・ハワード、監督の手腕は群像劇を撮らせたら良く判るというテーゼの良い見本です。マイケル・キートン、グレン・クローズ、ロバート・デュバルといった芸達者たちのバチバチの演技合戦じゃなくて、この三人のキャラが巧妙にハーモニーを奏でるように意図した演出に監督のセンスを感じます。ストーリーも一応社会派ミステリーの要素がありますが、コメディとのバランスがとれていて心地良いです。けっこう見落とされがちですけど、大女優グレン・クローズはコメディエンヌとしての才能も超一級品なんです。マイケル・キートンと張り合っても一歩も引けを取ってませんよ。カメオ的な出演でしたが、ジェイソン・ロバーズも渋い笑いを呼ぶ演技が面白かったです、なんか『大統領の陰謀』をパロっているような感じもしますがね。 最近はすっかり職人巨匠となってしまったロン・ハワード、またこういうコメディを撮ってほしいところです。
[ビデオ(字幕)] 7点(2020-12-21 20:31:54)(良:1票)
706.  フォードvsフェラーリ 《ネタバレ》 
確かにこの映画は『フォードvsフェラーリ』というタイトルにしてはフェラーリ側からの視点は無いに等しい、しいて言えば『フォードvsシェルビー&マイルズ』とするのが正しいんじゃないでしょうか。アメリカ人ならともかく、普通はカネは唸るほどある大資本フォードじゃなく、職人気質に徹して高級車一本路線のフェラーリの方を応援するでしょう。それではストーリーの前提からして成り立たないので、やはり職人とレース馬鹿のシェルビーとマイルズとフォードのエスタブリッシュメントとの対立という構図の脚本というありふれたストーリーラインになってしまったのはやむを得なかったかもしれません。この映画での66年のル・マンは主題ではなくいわば舞台装置なので、ル・マンの持つ独特の雰囲気を味わいたいのなら、やはりマックイーンの『栄光のル・マン』がお奨めです。 それにしてもクリスチャン・ベイルの役作りと演技は相変わらず凄いですね。『バイス』のチェイニー副大統領と同一人物とはとても信じられません。ケン・マイルズに成りきるためにまたまたデ・ニーロ・アプローチでなんと30キロ減量したそうです。あんたねえ、『バイス』できつい思いして「肉体改造はもうやめると」言ってたのに、こんなこと続けたら寿命がすり減りますよ…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-09 22:15:02)
707.  仁義なき戦い 《ネタバレ》 
いい歳になるまでヤクザ・任侠映画をまともに観たことなかった自分が、三十年以上前の正月休みに初めてレンタルで観て、あまりの衝撃に休み明けまでに勢いで五作全部観てしまった記憶があります。でもね、これは大失敗でした。なんせ前作で死んだはずの山城新伍や梅宮辰夫や松方弘樹が何度も違う役で登場してくるので、最後の方は完全に自分の頭が混乱してしまいました。この五部作は多少間隔を開けて観た方がイイみたいです(笑)。 “レイズ・オブ・山守組”というのが一作目のストーリーラインですが、けっきょくラストまで生き残ったのは文太・金子信雄・田中邦衛の三人だけ。そうそうたる顔ぶれの山守組の面々は内部抗争で自滅、東映もまさかこんなに大ヒットするとは思ってなかったので松方や大物スターを惜しげもなく殺しちゃったのかな。観直してみると文太の広能昌三があまりにカッコよすぎという感は否めないけど、ヤクザの下劣な人間性をここまであけすけに描いた任侠ものはなかったから、やはり実録ものヤクザ映画というジャンルを開拓した功績は大きいと言えるでしょう。あの有名なBGMとともに流れる恒例の死亡テロップ、年月日だけでなく午前・午後まで表示するところはまた芸が細かいです。でも、やはりこの第一作は金子信雄のためのストーリーだったのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-12-03 21:57:05)(良:1票)
708.  七つの顔 《ネタバレ》 
“和製アルセーヌ・ルパン“多羅尾伴内がスクリーン初登場!GHQにチャンバラ映画製作を禁止された苦肉の策で、時代劇専門の大スター片岡千恵蔵で初の現代劇を撮るという奇策は関係者の危惧をものともせず大ヒットして映画史にその名を刻むことになりました。 こういう際物的な出自なんですが、これがどうして、テンポの良い探偵映画の秀作なんですよ。この映画の特徴は、終戦翌年でまだまだ復興にはほど遠い状態の東京なのに、画面に戦禍の跡や闇市やボロ着の庶民などが一切映らないところ。劇中「引き揚げ」「公職追放」の二語だけがセリフにありましたが、徹底的にファンタジーの世界に徹しています。これなら戦争の傷跡が癒えない庶民が熱狂したのもなんか納得できます。千恵蔵の変装はどう観ても千恵蔵にしか見えないのはご愛敬ですが、彼のコミカルな演技は当時の観客には新鮮だったでしょうね。チャンバラの代わりに拳銃を撃ちまくるというわけですが、殴り合いでの千恵蔵の身のこなしは想像以上に俊敏で、重厚な無線付きオープンカーを駆ってのカーチェイスまで見せてくれたのはさすが大スターという感じです。監督はマキノ一家の松田定次でさすがエンタメの極意が判っているし、ストーリーはルパンもののほぼ翻案ですけどトリックは正統派推理小説そのものでした。 古い映画ですけど観て損はない一編だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-11-22 20:03:45)
709.  宇宙大征服 《ネタバレ》 
本作は巨匠ロバート・アルトマンの商業映画の実質初監督作となりますが、あのアルトマンの処女作がハードSFだったとは驚きです。 60年代米ソの宇宙開発競争がたけなわの時分、人類初の有人月面着陸がソ連に先越されそうな情勢になってきました。アメリカはアポロ計画が始まったばかりで月・地球を往復できる機材が完成にはほど遠い状態。そこでアメリカはトンデモない計画でソ連を出し抜こうとします。それはジェミニ計画の有人カプセルで月面に着陸し、直前に送り込んだシェルターにアポロ計画が進行して迎えに行けるまで宇宙飛行士を籠らせるという特攻隊みたいな無茶なプランです。実際にはその機材が完成するまで半年なのか一年以上かかるのかは未知数で、それまで定期的に酸素や食料といったサバイバルの必須物資をロケットで送り込んでシェルター内の飛行士に耐えてもらうという寸法。そして反軍風潮が強い世情を考慮して、一人しか乗れないカプセルには訓練された軍人ではなく民間人を乗せるとなり、選ばれたのが退役軍人で今は民間人のチームの一員ジェームズ・カーンでした。 実はこのトンデモ計画はアポロ計画が躓いたときのいわば“プランB”の一つとして検討されたものだそうで、もちろん具体化しませんでした。“もしこのプランが実行されたら…”というifを映像化したわけで、これはなかなかユニークな視点のSFだと思います。前半は選ばれたジェームズ・カーンの訓練が主体、本来予定されていたロバート・デュバルがサポに回されてカーンを徹底的に虐めます。なんで民間人にこだわるのかのロジックはイマイチ理解不明でしたがね。打ち上げなどは実際のジェミニ計画の映像が使われ、宇宙空間ではカプセル内のカーンの視点だけで表現、低予算ながらいろいろ工夫がされています。音楽担当がレナード・ローゼンマンで、妙にどっかで聞いたことある劇伴だと思ったら、この人『コンバット』の音楽担当でアルトマンもこの映画を撮るまで『コンバット』のディレクターをしていたという繋がりがあったわけです。 実は打ち上げの六時間前にソ連が月着陸船を打ちあげてており、アメリカが先を越されてしまった可能性が出てきて、そのプレッシャーが月面着陸でのカーンの判断ミスを誘います。そこに至るまでもトラブル続きで、シェルターを見つけられないカーンの酸素残量が尽きようとするし地球との通信も途切れてしまいます。そして月面を彷徨う彼が見つけたものとは… ラストも感動的に持ってゆくのを避けた、いかにもアルトマンらしい幕の閉め方でした。緊迫感に満ちたハードなストーリーテリングで初監督作としては上出来だと思いますけど、例によってアルトマンは本作をなかったことにして欲しかったみたいです。実は編集段階でアルトマンはワーナーから出禁状態にされ、ラストはアルトマンを排除して撮り直されたものなんだそうです。オリジナルは、もっと悲劇的なんだそうです。町山智浩氏いわく“巨匠の黒歴史シリーズ”の一編でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-01 21:41:41)
710.  あの胸にもういちど
「世界でいちばん有名なライダースーツの女」といえば、50年以上たっても本作のマリアンヌ・フェイスフルの王座は揺るぎません。いまやすっかりおばあちゃんになってしまいましたが、あの頃の衝撃的なおっぱいとお尻にどうしても眼がいってしまいがち、でもルックスは決して美人とはいえなくどちらかというとタヌキ顔で、よく見ると若いころのうつみ宮土理に似てる気がします。まあほとんどストーリーが無いも同然のこの映画ですから、ひたすらマリアンヌのライダースーツ姿とバイクの疾走を愛でるのが正解です。 監督したのは名カメラマンであるジャック・カーディフで、今となってはダサいかもしれないが当時としては先進的なサイケな映像が斬新です。彼やソウル・バスみたいな撮影や美術畑の人が撮る映画には突拍子もないものが多い気がしますが、カーディフの監督としてのピークはやはり本作だったと思います。なんせこの次の監督作が『悪魔の植物人間』ですからねえ、演出手腕は持っているのに何を考えていたのやら… アラン・ドロンはたしかに贅沢な使い方だとしか言いようがないですが、彼の英語のセリフはどうも吹き替えみたいです。でもこのキザでニヒルでツンデレな大学教授は、よくぞドロン様を引っ張り出してくれましたと賞賛したくなるナイスなキャスティングです。あの唐突な幕の閉め方は、やはり『バニシング・ポイント』などのニューシネマに影響を与えたんじゃないかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-10-25 22:42:13)
711.  ヴァンパイア/最期の聖戦 《ネタバレ》 
ジャーン、出ましたB級映画マエストロ・カーペンター親父の快作です。この映画のヴァンパイアは魔鬼と呼ばれる大物ヴァンパイアの手下みたいな存在で、ヴァンパイアも血を吸うというよりも肉を喰い破って血をすするという感じで、カーペンター流ヴァンパイアは豪快です。特に親玉魔鬼は長い爪が凶器で、その爪で人体縦斬りを披露するは一撃で首チョンパするはで、この映画は『ゴースト・オブ・マーズ』を凌駕する首チョンパ祭りでした。日光を浴びると消滅するというのはヴァンパイア映画のお約束ですが、まるでねずみ花火の着火直後みたいな勢いで炎を噴き上げるヴァンパイアの死にざまがまた豪快です。また吸血=性行為というフロイト的解釈もきっちり取り入れています。基調は西部劇ですが、ヴァンパイアというか悪魔崇拝とカトリック信仰を結びつけちゃうところなんか、いかにもカーペンターっていう感じでした。まあ、マクシミリアン・シェルの枢機卿が出てくれば、オチはたいがい判ってしまいますがね。 それにしても、ボールドウィン・ブラザーズってみんなあんな体型なんでしょうかね?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-10-16 22:42:49)
712.  シェイプ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 
いやー、筋金入りのオタク監督がモンスター映画でオスカー作品賞と監督賞をゲットしたってことは、とりあえずめでたいことです(スピルバーグも、正真正銘のオタクですけどね)。正直言って作品賞獲るほどかな?とは思いましたが、このジャンルの今後の隆盛につながってくれればと期待します。 まず感じたのは、もちろん時代設定やプロットは全然違うけど驚くほど『パンズ・ラビリンス』と似たお話しだったなというところです。『パンズ』でサディスティックな悪役だったヴィダル大尉と対をなすのが“ハリウッドのヒロミ”ことマイケル・シャノン、その邪悪なパワーはシャノンがはるかに上回っていたと思います。『パンズ』のパンと本作の半魚人に至っては、スーツアクターは同じダグ・ジョーンズですからね。でも『パンズ』のような後味の悪さは本作にはなく、ある種の大人の童話として観れるんじゃないでしょうか。 キリスト教では「神は自分に似せて人間を創った」となっているそうですが、ラスト近くで銃撃で瀕死だった半魚人の復活を見てマイケル・シャノンが「お前は、神だったのか…」と呻きます。ここはけっこう含蓄のあるシーンで、人種の違いや障害の有無や異形の者であってもそれはすべて神の子なんだよ、というメッセージがあるような気がするんです。イライザの喉の傷が水中でエラに変化するところも、心に残るラストカットでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-07 21:14:28)(良:1票)
713.  眠狂四郎 人肌蜘蛛 《ネタバレ》 
雷蔵も大映も予期していなかったでしょうが、『眠狂四郎』シリーズも終盤ラス前になってきました。冒頭からエログロな雰囲気が濃厚、今回の狂四郎の敵はまたもや将軍家斉の不肖の庶子である紫姫(例の菊姫ではない)と家武の兄妹です。紫は「血の伯爵夫人」エリザベート・バートリーの江戸時代版という設定、屋敷に若い男女を監禁してなぶり殺しにするサイコキラーで、妙に現代的な髪形の緑魔子がキャラにドはまりで今まで観てきたシリーズ中でいちばん妖艶でした。兄の川津祐介とは近親相姦の関係であることも匂わせており、要はドロドロというわけです。本作では狂四郎の個人情報も織り込まれており、舞台とされる甲州には母親の墓参りで立ち寄るという設定で、つまり狂四郎は甲斐の生まれだったというわけです。家武誅殺を狙う幕閣が接触してくるところやお馴染みの狂四郎へのハニートラップ攻撃はシリーズでの定番ですが、今までのとはちょっと違う風味で面白かったかなと思います。狂四郎が毒矢にあてられるシーンもあり、幕閣・渡辺文雄に解毒してもらわなければ死んでしまうというシリーズ最大のピンチもありました。まあ女にもめっぽう強い狂四郎も健在で、狂四郎に執心の紫姫までちゃんと肉欲を満足させてやり、「女は抱くもの」がモットーの狂四郎本領発揮でした。 それまでのシリーズで垣間見えた狂四郎の人間的な一面はほとんどなく、死屍累々となった現場を立ち去ってゆく狂四郎の姿は最高にニヒルで痺れます。ラスト、呪いの言葉を吐きながら燃え盛る屋敷に飛び込んで果てる紫姫は、『海底軍艦』のムウ帝国女王の最期が思い出されてしまいました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-09-01 23:12:42)(良:1票)
714.  「女の小箱」より 夫が見た 《ネタバレ》 
私が今まで観た若尾文子主演の映画で、もっとも彼女がエロかったのが本作です、いや若尾文子フィルモグラフィ中でもオール・タイム・ベストかもしれません。なにしろタイトル・バックが若尾様の入浴シーンで、微妙なところはボディダブルであるのは判ってますけど、すりガラス越しにほとんど見えてると言っても良い裸体には製作時代を考えると驚くほど大胆です。もう全編にわたって人妻フェロモンを出しまくり、田宮二郎と初めてベッドを共にした後の彼女のセリフにはもう頭がクラクラしました。その若尾様に負けず劣らずなのが岸田今日子でして、上手い女優さんだとは認識しておりましたがここまで色っぽかったとは自分の不明を恥じるばかりです。 田宮二郎の演じるキャラは明らかにあの横井英樹がモデルなのは明白ですが、実物と違って実に魅力的なキャラになっています。“目的のためなら手段を選ばず”という男なのに、あまりにキザなので凄みが薄れてしまった感じもありましたが、まるで初心な少年みたいに若尾様にのめりこんでゆく心情にはマッチしていたと思います。お話し自体はけっこうご都合主義が濃厚な感じで「世間はそんなに狭いんかよ!」と甘く突っ込みを入れておきますが、夫の川崎敬三や若尾様の兄役などが開陳する価値観があまりに古くて嫌悪すら催すところがやはり時代を感じてしまいます。まあ昭和30年代の日本人のレベルなんてこの程度だったというのが現実なんでしょうけど、増村保造はそれを決して肯定せずに新しい時代の男女スタイルを若尾・田宮の両者に投影しているのかもしれません。 血まみれで死にゆく田宮二郎に口づけをする若尾文子、凄みがあるラスト・カットでした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-30 23:43:44)
715.  サムライ(1967) 《ネタバレ》 
いやはや、全盛期のアラン・ドロンをひたすら愛でる映画です。製作当時、彼が間違いなく世界で一番トレンチ・コートが似合う人類の男だったのは疑いありません。説明を極限までオミットしたストーリーテリングには戸惑いすら覚えます。それにしてもこの映画のドロンのセリフの少なさはちょっと他に類を見ないんじゃないかな。それも2センテンス以上の喋りがほとんどなかったんじゃないか(ひょっとして皆無?)と思えるぐらいです。そんなドロンを執念で追い詰めてゆく警部のフランソワ・ペリエが、またカッコよいんです。自らは署に陣取って部下を駆使してパリ中を移動しまくるドロンを追っかけるわけですが、作戦自体は空振りでけっきょく見失ってしまう。でもドロンは暗殺現場であるクラブに何度も現れるので結局それが自滅につながってしまう。よく考えたら対象とは縁も所縁もない殺し屋で入念にアリバイ工作もしているのにすぐ第一容疑者としてマークされてしまうのは脚本上の疑問点で、こんなに早く警察に眼をつけられてしまうのでは依頼主から消されかけるのはムリもないかもしれません。まあ私たち日本人には殺し屋=ゴルゴ13というイメージが強いのですが、こういう展開の方がリアルなのかもしれません。突っ込んでおきたいところもありまして、“サムライ”という題名だけは、ちょっと違和感を感じます。西洋人の武士道に対する憧憬みたいなものは理解できますけど、この映画のどこにもそういう要素はなかった気がしますけど…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-25 22:36:24)
716.  五人の軍隊 《ネタバレ》 
日本が誇る昭和の国際ムーヴィー・スター(?)我らの丹波哲郎がマカロニ・メキシコ革命劇に颯爽と登場!と言っても役名はそのものズバリの“サムライ”でなんと劇中セリフは一言もなし、初登場のシーンではどう見ても中国の道士服にしか見えない格好で必殺の得意技はナイフ投げ!でも五人のおっさんたちの中では唯一のモテキャラで、振り落とされた列車に延々と走って追い付くなんて見せ場(?)もあっておいしいキャラではありました。製作年度なんかから見て五人の悪党などのプロットは『ワイルドバンチ』からインスパイアされてるのは明確、マカロニ資本なのになぜかハリウッド監督のドン・テイラーなので結構しっかりした撮り方です。砂金列車の強奪は、ピーター・グレイヴスの作戦を事前に最小限しか観客に見せないので緊迫感あふれる展開になっています。その細部にこだわる手口の見せ方は、バート・ランカスターの『大列車作戦』に通じるところがあります。よく考えると、メキシコ革命が題材のアクション映画では列車が登場する頻度が高い気がしますね。 ラストもちょっと意表を突く展開、なんとなく納得させられる幕の閉め方でした。この手のジャンルでは佳作と言えるんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-19 20:52:10)(良:1票)
717.  SURVIVE STYLE5+ 《ネタバレ》 
アコムの『無人くん』などを手掛けたCMクリエイター・コンビが手掛けた初劇場映画にしては出演俳優陣が豪華絢爛、さすが電通が絡むと違いますねえ。なんせあのヴィニ―・ジョーンズまで引っ張て来てますからね、彼が演じたキャラは『スナッチ』とほぼ一緒でしたけど、荒川良々とコンビを組ませる発想が素晴らしい。ぶっちゃけてしまうと、出演俳優がほぼほぼ全員が怪演という壮絶さです。中でも阿部寛と岸部一徳は強烈過ぎです。両者とも今後どんだけ映画出演を重ねても、本作を凌ぐ怪演は見せてくれないだろうと確信いたします。ストーリーラインは五つのエピソード、と言ってもどれもぶっ飛び過ぎですが、交互に進行して最後に一応つながるという構成。下ネタも随所にちりばめられていて、初っ端が阿部寛と小泉今日子のラブホ・シーンからですからね。まあ意味不明なシークエンスも多々あった気もしますが、この手のスタイリッシュ系の映画は自分の趣味に合ったシークエンスやカットがどれだけ見つかるかが鑑賞のポイントでしょう。特筆すべきは浅野忠信と橋本麗華のシークエンスでの屋敷内部の造りこみが日本映画にしては珍しいぐらい高度で、生き返るたびに変わってゆく橋本の衣装とメイクには目を奪われました。 惜しむらくはどお贔屓目に見ても中盤でダレて来たことで、20分ぐらいは尺が短い方が良かったんじゃないかな。
[DVD(邦画)] 7点(2020-08-13 20:49:45)
718.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 
シャロン・テートとポランスキー夫妻の隣家がディカプリオ演じる落ち目のTV西部劇俳優が住んでいた。有名な実話が元なので結末は判っているつもりで観始めるわけですが、シャロンとディカプリオたちのエピソードは全然噛み合わなくてまるで別の映画を観させられているかのようです。どうせあの事件をラストに持ってくるんだろうから、そこでディカプリオ&ブラピとシャロンが交差する展開なんだろうとタカをくくっていたらまさかの展開、『イングロリアス・バスターズ』に続く歴史改変オチだったんですね。でもこの結末の展開は、ハリウッド界隈の業界人たちは「本当はこうであって欲しかった」と胸を切なくするエモさがあったんじゃないでしょうか。 ディカプリオとブラピはこれがたしか初共演のはず、普通ならこの二人のギャラだけで映画が二本は撮れちゃうぐらいですが、二人ともタランティーノにはいろいろ恩義があるので友情価格だったかもしれません。相対的にディカプリオの方が演技の見せ場が多かった気がしますが、ブラピだってブルース・リーをカンフー勝負で投げ飛ばすという間違いなく本人もテンション上がる見せ場があるのでご満悦のことでしょう。そしてもう一つ判ったことは、タランティーノは本当に『サイレンサー/破壊部隊』が大好きなんですね、シャロン・テートが自分が出ているこの映画を劇場で観て観客のリアクションに大喜びするシーンには、タランティーノのシャロンに対する哀悼がひしひしと感じられました。 ポランスキーはこの映画を果たして観てるんでしょうか、もし観たなら一言感想を聞いてみたいものです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-07 23:30:53)(良:2票)
719.  眠狂四郎 女地獄 《ネタバレ》 
シリーズ10作目にして初のダブル敵役、竹光侍の伊藤雄之助はちょっと微妙だけど田村高廣は初めて円月殺法をかわす偉業を成し遂げて、つまり田村がここまでのところシリーズ最強の敵ということになります。しかも田村を仕留めたのは小沢栄太郎の放った銃弾、けっきょく狂四郎との雌雄は決せられなかった結末は憎いですね。もっともチャンバラよりも伊藤雄之助のとぼけた演技に雷蔵も田村もイイとこ持ってかれた感は強かったですけど。ストーリーはお家騒動で争う城代家老ふたりと、その騒動によくわからないうちに巻き込まれると言うか首を突っ込む狂四郎という展開。お約束の敵方からのハニートラップ攻勢は健在で、もちろん「女は抱くもの」がモットーの狂四郎ですから愉しんでからの返り討ち、それにしても女の肌に触れただけで男の有無が判ってしまう狂四郎、ここまで来るとほとんど超能力です(笑)。高田美和以外の女性キャラはやはり定石通りにみんな死んでしまうのですが、やはりこのお姫様は良く考えると怖い。虫も殺さぬお上品さですが、藩の乗っ取りを図る二家老の対立を煽り抗争させて自滅させる作戦だったとも取れます。もちろん脚本家にはそんな凝った意図は毛頭なかったかもしれませんけど。けっきょく狂四郎は悪家老も二剣客も討取らず斬ったのは雑魚ばかり、徹底的に傍観者だったという珍しい一編でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-01 19:45:03)(良:1票)
720.  ショーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
ゾンビ・コメディの草分けにしてこのジャンルの金字塔です。劇中でゾンビという単語が発せられるたびに「Zワードを使うな!」とショーンとエドが向きになって怒るのがなんか可笑しい。ゾンビが蔓延し始めているのに、まったく気づかずに恋人との別れ話やエドとのしょうもないやり取りを続ける前半がとくに秀逸です。ゾンビの存在を認識してからパブへの逃避行を経てのクライマックスになだれ込む展開ではどんどんシリアスに傾きますが、デヴィッドの最期などグロ要素もしっかり盛り込んでいるのでちゃんとゾンビ映画のツボは押さえています。クライマックスの銃で自殺をとまで追い詰められてからの急転直下の解決は、まるで『ミスト』のパクりというかパロディみたいな感じすらしました。ラストのオチはこれしかないというところですが、笑ってしまいます。できればビル・ナイにもっと活躍して暴れて欲しかったところですが、フィリップがゾンビ化したときのバーバラとの車内でのやり取りは傑作です。 ロンドン上空で人工衛星が爆発して散布されたゾンビ・ウィルスがゾンビを生んだという設定みたいですが、ウィルスに感染してゾンビになった人たちが街をさ迷っている光景は、コロナ・ウイルスにロック・アウトされた時のロンドンを見せられているような感じで、ちょっとゾッとしました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-07-15 19:43:47)
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