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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1865
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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701.  マーウェン 《ネタバレ》 
彼の名は、マーク・ホーガンキャンプ。豊かな想像力と細部にまで拘った唯一無二の世界観によって人気を博す人形写真家だ。第二次大戦中のベルギーの小さな村マーウェンを舞台にした、魅力的な女性ヒーローたちがナチと戦う一連のシリーズは特に人気だった。近々ニューヨークで個展を開くことも決まり順風満帆に見える彼だったが、その私生活は決して順調とは言えなかった――。そう、彼は数年前にバーで男どもに因縁を付けられ、生死を彷徨うほどの酷い暴行を受けたのだ。以来、過去の記憶もなくなり、精神の安寧のためには薬も手放せなくなるほど心に深い傷を負ってしまったマーク。郊外の一軒家で誰にも心を閉ざし独りぼっちの生活を送る彼だったが、それでも想像の中にある自分だけの世界、マーウェンに居れば幸せだった。だが、残酷な世界はそんな彼の空想の中にまで侵食してきて……。実話を基に、孤独な写真家の想像上の世界と現実との葛藤を独創的な映像で描いたヒューマン・ドラマ。監督はエンタメ映画界の名匠、ロバート・ゼメキス。冒頭から緻密に再現された、主人公が創り出した人形写真の世界観にまず圧倒されます。明らかに人形の登場人物たちがいきいきと動き喋りまくるんですから、この最新技術の粋を極めたであろう映像はさすがロバート・ゼメキスといった感じですね。悪逆非道のナチスどもと戦う五人の女性たちもそれぞれ個性豊かで、彼女たちを率いるアメリカ軍大尉のいかにもプレイボーイ然としたところも大変グッド。そんな人形たちの世界をひたすら引きこもって創造し続ける主人公の偏執的な感じなど、この残酷な世界から必死に逃れようとしていることが痛いくらいに分かり、なんとも切ない。なんとなく僕は、アウトサイダー・アート界の伝説的人物、ヘンリー・ダーガーの創り出した「ヴィヴィアン・ガールズ」を思い出しちゃいました(知らない人はレッツ検索!)。ただ残念だったのは、後半の展開。物語の焦点は、酷い暴行を行った男どもの裁判に主人公が出廷し証言するのかどうかというところになるのですが、それが空想世界内におけるナチスとの闘いといまいちリンクしきれていない。それに向かいに住む女性とのラブストーリーも正直微妙だし、彼女に付き纏うDV彼氏の扱いもなんとも中途半端。このポップでありながらどこかフェティッシュな独創的な世界観は非常に魅力的だっただけに、惜しい!
[DVD(字幕)] 6点(2021-01-31 00:30:38)
702.  プロジェクト・パワー 《ネタバレ》 
街に蔓延する謎のドラッグ、その名も「パワー」。その薬を呑んだものは、遺伝子レベルの体内覚醒により、様々な生物の特殊能力を手に入れることが出来るのだ。ある者はカメレオンのように体表の色を自在に変え、ある者はアルマジロのように銃弾を跳ね返すほど全身を硬くさせ、またある者はタコのように身体中の関節をぐにゃぐにゃにさせる……。超絶的な力を手に入れた〝超人〟たちが街に溢れ、社会を大混乱へと陥れる中、薬の供給元である謎の組織を追って、売人の少女、市警の私服刑事、元軍人がそれぞれの方法で謎に迫ってゆく――。という、まぁいわゆるマーブルの『X‐メン』なんかでもお馴染みのミュータントものなのですが、見せ方が巧いのでけっこう惹き込まれて観ることが出来ました。肝心の薬の正体をなかなか明らかにせず、最後までちょっとずつ小出しにしてゆく脚本もけっこうよく出来ている(若干イライラするけど!笑)。それぞれの方法で謎の組織へと迫ってゆく主人公を演じた、ジェイミー・フォックスやジョセフ・ゴードン・レヴィットといった人気俳優も華があって大変グッド。特に、敵味方双方のバラエティ豊かな特殊能力をCGで再現した映像は観ているだけでわくわくしちゃいますね。後半息切れしたのか、クライマックスに近づくにつれどんどんと脚本がグダグダになっちゃったのが残念でしたけど、まあエンタメ映画としては充分及第点。気軽に観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-01-31 00:08:12)
703.  ジングル・ジャングル 魔法のクリスマスギフト 《ネタバレ》 
弟子の裏切りによって全てを失ってしまった偏屈な玩具職人が、孫の魔法の力を借りて再起を果たすという超王道クリスマス・ファンタジー。主人公を演じるのがオスカー俳優のフォレスト・ウィテカーということで今回鑑賞してみました。なんですけど、いやー、もうこれでもかってくらいベッタベタな内容でしたね、これ。最初から最後まで先の読めるストーリーにどっかで何度も見たようなミュージカルシーンの数々、そして一切個性の感じられないステレオ・タイプな登場人物たち……。正直に言って、この手の分野の大御所であるティム・バートンの作品から一切の毒を抜いたような超絶薄っぺらい内容でした。最後に明かされる、このお話を読み聞かせるお婆ちゃんの正体はきっとアレなんだろうなぁと思ってたら、本当にそのまんまのオチで思わず苦笑しちゃいましたわ。とは言え、けっこうお金が掛かっているであろう、仕掛け絵本を模したファンタジー・シーンはさすがのクオリティだったし、ミュージカルシーンもぼちぼち楽しかったので、何も考えずに観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2021-01-15 23:13:53)
704.  レベッカ(2020) 《ネタバレ》 
両親を病で亡くし、以来天涯孤独となってしまった〝私〟。生きてゆくために私が選んだ仕事は、気難し屋の大金持ち婦人の使用人だった。モンテカルロでのバカンスに連れてこられた私は、そこで偶然、上流階級で優雅な生活を送る紳士、マキシム・ド・ウィンターと出会う。結婚したばかりの妻を海の事故で亡くし未だ失意の中に生きていたというウィンターに、私は徐々に惹かれてゆくのだった。彼もまた、そんな孤独な私に心を許してくれ、いつしか私たちは結婚を誓い合うまでに。婦人と話をつけ、晴れて夫婦となることが出来た私たちはさっそくマンダレーに建つ彼の大豪邸へと移り住む。高価な家具調度品やたくさんの使用人に囲まれ、何不自由ない生活を手に入れた私。だが、次第に拭い切れない違和感を覚え始める。家のあちこちに残されたRの文字。「レベッカっていったい誰なの?」――。そう、館の至る所に残されたその痕跡は、前年に死んだ彼の元妻レベッカのものだったのだ。夫や使用人に聞いても詳しいことは何も話してくれない。まだ生きて何処かに潜んでいそうなそのレベッカの影に、私は徐々に追い詰められてゆき……。閉鎖的な上流階級へと嫁いできた若き女性が、夫の今は亡き前妻の秘密に翻弄される姿を描いたサスペンス・スリラー。同じ原作を映画化したというヒッチコックの古典的名作の方は未見。まあ何十年も前に書かれた小説の映画化だけあって非常にオーソドックスな内容なのですが、それでも細部の演出がけっこう丁寧でなかなか惹き込まれて観ることが出来ました。主人公が豪邸の中で、今は亡き元妻レベッカの痕跡を徐々に発見してゆくくだり――夫の書斎に隠してある手紙やブラシに残った金髪、愛犬が部屋の一点をずっと見続けているといったエピソードの数々は、何処かモダンホラー的でぞくっとするような怖さがあります。特に、主人公に何かとチクリとする一言を放ってくる家政婦長のいや~~~な感じは特筆ものでした。ただ、残念だったのは後半の展開。ここまで良い感じでサスペンスを煽っておきながら、後半息切れしたのか急にグダグダになっちゃったのがなんとも勿体ない。特に最後に明かされることの真相はかなり強引で、僕は到底納得できるものではなかったです。前半が良かっただけに、この後半のモヤモヤ感がなんとも惜しい!え、原作もこうなんですかね?それともこの監督の詰めが甘いだけ?確認するにはやはり、ヒッチコックのその名作と呼ばれてる方を観るしかないですね。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-01-11 01:09:09)
705.  ミッドナイト・スカイ 《ネタバレ》 
2049年、突如として発生した謎の現象により、地球は急速に滅亡へと向かっていた。逃げ惑う人々はなすすべもなく犠牲となり、三週間後にはほんの一握りの人々を除き、人類はほぼ死に絶えてしまう――。北極圏の小さな天文台に取り残された年老いた科学者もまた、絶望の中に生きていた。過去の思い出だけを慰めに、酒に溺れ、孤独に死を待つだけの日々。そんなある日、彼は宇宙の彼方からとある交信を受ける。なんと何年も前に木星の衛星へと旅立った宇宙船が任務を終え、今から地球へと帰還するというのだ。「今、戻ってきても地球には何もない」。すぐさま宇宙船へとそう知らせようとする老科学者だったがこちらからの交信はまだ向こうには届かず、しかも汚染された空気はもうそこまで迫っていた。ここよりさらに北に向かったところにある観測所に行けば、何とか宇宙船へと知らせることが出来るかもしれない。老科学者は、同じく生き残った口の利けない少女とともに天文台を旅立つのだった。だが、そんな二人に自然の猛威は容赦なく襲い掛かってきて……。終末を迎えつつある絶望的な世界の中で、ただ人類の未来のためだけに苦難の旅を続ける老科学者を描いたサバイバル・SFドラマ。監督・主演を務めるのは、もはやハリウッドの重鎮となったジョージ・クルーニー。という訳で、けっこう期待して今回鑑賞してみました。なんですが、うーん、正直どうなんでしょうね、これ。世界の破滅の原因となった事件を一切描かないというのは明らかに意図したことだとは思うのです。なので本作のテーマが、この生き残った老科学者の内面描写を中心とした哲学的なものになるのは必然。ところがこの肝心の人間ドラマが一向に面白くならない。きっとSF版『老人と海』のような究極の孤独なサバイバルを描きたかったのでしょうけど、それならこの口の利けない少女の存在は明らかに邪魔。かといって、この二人の絆がテーマになるのかと思えば、それも一向に深まっていかない。これではなんとも中途半端と言わざるを得ません。少女の秘密が明らかとなる最後のオチに至っては、なんだか取って付けたようで肩透かし感が半端ありません。と、明らかに欠点ばかりが目に付く本作なのですが、それでも僕はそこまで嫌いではないんですよね、これ。けっこうお金が掛かっているであろう宇宙船内の描写はスタイリッシュで洗練されていて、対照的に吹雪が吹き荒れる地上の描写は何処までも荒々しい。この二つのシーンが交互に展開される中盤はなかなか迫力があって、画的には普通に観ていられました。それだけにもう少しストーリーを頑張って欲しかったです。惜しい!
[インターネット(字幕)] 6点(2021-01-06 01:32:39)(良:1票)
706.  エノーラ・ホームズの事件簿 《ネタバレ》 
あの伝説の名探偵には妹がいた!その名も、エノーラ・ホームズ。どうしようもないお転婆で、世間のせまっ苦しい常識なんか大嫌い、何かというとトラブルを巻き起こすじゃじゃ馬な彼女だったが、それでも兄譲りの推理力だけは誰にも負けない自信があった。そんな彼女の母親がある日、原因不明の謎の失踪を遂げる。「ママはきっと私に何かメッセージを残しているはず!」――。ロンドンで大活躍する兄も急遽帰ってくる中、そう確信したエノーラは独自に捜査へと乗り出すのだった。果たして母親は何処に消えたのか?問題の核心はロンドンにあると突き止めた彼女は、兄の手を逃れ、大都会へと向かう汽車へと飛び乗ることに。偶然出会った、同じく家出してきた貴族の息子とともに捜査を続けたエノーラは、やがて失踪した母親の本当の目的を知ってしまう……。19世紀のロンドンを舞台に、伝説の名探偵の妹が母親の失踪事件の裏に隠された陰謀を巡って大活躍するエンタメ作品。全編を貫く、観客にとにかく徹底的に楽しんでもらおうというサービス精神には素直に好印象。主人公となるお転婆探偵エノーラ・ホームズも充分に魅力的で、彼女とタッグを組む貴族のダメ息子もなかなかのヘタレ具合なのに決めるとこはちゃんと決めるというお約束も大変グッド。仕掛け絵本や古い映画フィルムを模した細かい演出もけっこうワクワク感あります。主人公が何かというとカメラ目線で観客に語り掛けるという、ともすれば鬱陶しさが先に立つ演出も僕はそこまで気になりませんでしたし。ただ、残念だったのは、脚本がいまいち練られていないとこ。肝心の母親の行方が物語の焦点となるのかと思いきや、後半は何故か相棒の貴族の息子くんの命を狙う黒幕探しになっちゃって、どうにもちぐはぐ感が否めない。ここらへん、もうちょっと頑張って欲しかった。とは言え最後まで小気味よく楽しめる、肩の凝らないエンタメ映画としては充分及第点。暇潰しで観る分にはちょうどいいんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2020-12-29 02:01:39)(良:1票)
707.  ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey 《ネタバレ》 
映画としてはポンコツだったものの、サブキャラとして登場したハーレイ・クインというビッチな女の子があまりにもキャラ立ちしていて強烈な印象を残してくれた『スーサイド・スクワッド』。そんなクソビッチな彼女をがっつり主人公にして制作された本作。今回も主演を務めるのは、当然と言えば当然のまさに嵌まり役というしかないマーゴット・ロビーということで、そこそこ期待して鑑賞してみました。率直な感想を述べさせてもらうと、ま、こんなもんじゃろって感じの出来でしたね、これ。期待を大きく上回ることもなければ、こちらのハードルを著しく下回ることもないという、まさに模範的なスピンオフ映画。脚本がかなり大雑把なとこも、これまた想定内。とは言え肝心のアクション・シーンはけっこう力が入っていて、ポップでキレもそれなりに良かったしで、最後までそこそこ楽しんで観ることが出来ました。最後、追い詰められたビッチな女たちが一致団結して、けつあご男どもをばったばったと薙ぎ倒してゆくとこはなかなか爽快感抜群でしたね。あと、個人的に残念だったのは、ハーレイ・クインのハミけつが今回ほとんど見られなかったこと。ここ、自分にとってはかなり重要ポイントなんですけどー!
[インターネット(字幕)] 6点(2020-12-18 21:24:44)
708.  グッド・ライ いちばん優しい嘘 《ネタバレ》 
長びく内戦の影響により、難民キャンプで過酷な生活を余儀なくされていたスーダンの少年少女たち。先の見えない生活に希望を見失いかけていたある日、政府の救済処置によってアメリカへと移住することが決定する。それまでアフリカの狭いエリアしか知らなかった彼らが、いきなりボストンの大都会で暮らし始めることに――。今まで電話もスーパーマーケットもマクドナルドすら知らなかった彼らは、突然の豊かな生活に戸惑いを隠せない。それでも親切な支援者の協力により、住むところも仕事も見つけることが出来た彼らは、アメリカでの生活に少しずつ馴染んでゆく。だが、長く続いた内戦の苦しい記憶は簡単には彼らを解放してくれない。そう、彼らには自分たちの命を守るために自らを犠牲にして兵士に囚われた仲間の存在があったからだ。そんな彼らが過去を乗り越えるために吐いた〝優しい嘘〟とは?実話を基に、そんな過酷な境遇で育った少年少女たちの人生を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。冒頭から展開される、兵士たちによって両親や兄弟を殺された彼らの苦難に満ちた半生にはただただ圧倒されるばかり。その地で平穏に生きていただけなのに、たったそれだけで銃を向けられ愛する者を殺されてしまった子供たち。人間の愚かさに、改めて戦慄させられてしまいます。それでも前を向き、ただ「生きていたい」という切実な想いだけを頼りに希望を捨てなかった彼らの姿には心揺さぶられるものがあります。ただ、肝心のアメリカに辿り着いてからの後半部分には僕は残念ながらそこまで嵌まれませんでした。実話を基にしたから仕方ないのかも知れませんが、なんとも地味。事実を改竄しろとまでは言いませんが、それでももう少しドラマティックに脚色しても良かったのでは。それに主要登場人物たち誰もが紋切り方で魅力に乏しいのも残念。もう少しそれぞれのキャラクターに個性を与えて欲しかった。社会の片隅で声にならない悲鳴をあげている社会的弱者たちに寄り添って映画を創ろうという監督のその思いには好感が持てるだけに、なんとも惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2020-12-01 02:30:52)
709.  マリッジ・ストーリー 《ネタバレ》 
情熱的な恋の果てに結ばれたはずの夫婦が迎えた離婚の危機を、ほろ苦いユーモアを交えて描いたヒューマン・ドラマ。監督は僕とはどうにも相性のよくないノア・バームバックだったのだけど、アダム・ドライバー&スカーレット・ヨハンソンという今ノリにノッてる人気俳優が豪華共演ということで今回鑑賞してみました。先に結論を述べさせてもらうと、やはり今回も僕の好みとはどうにも合わなかったですね。確かに、全編に散りばめられたユーモアはどれもセンスがあって大変良いし、ときおり見せる機智と警句に富んだセリフにもハッとさせられるし(特に、キリスト教圏の女性は常に聖母マリアと比べられるというセリフには唸らされました)、役者陣のナチュラルな演技も素晴らしいしで、完成度はむちゃくちゃ高いのは僕も認めるところなんですけども。離婚どころか一度も結婚すらしたことのない自分としては、この離婚あるあるにいまいち嵌まれなかったのも要因の一つかな。まあでも最終的には、好みの問題。僕は本作のいい観客にはなれなかったようです。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-11-24 00:30:59)(良:1票)
710.  オールド・ガード 《ネタバレ》 
彼らの名は、オールド・ガード――。謎の現象により、ある日突然、不死の力を宿してしまった四人の男女。以来彼らは何百年もの間、歴史の陰で人知れず人類の危機を救ってきたのだった。ナポレオンのロシア遠征、南北戦争、二度に及ぶ大規模な世界大戦、そして冷戦終結……。遥か昔に生を受け、もはや何百年生きたかすら分からないアンディをリーダーに、彼らは今日も世界の危機を人知れず阻止していた。そんなある日、四人は数世紀ぶりに新たな仲間の誕生を知る。アフガニスタンの紛争地で敵の襲撃に遭い、呆気なく命を落としたはずの若き黒人女性兵士が、そのすぐ後には何事もなかったように立ち上がったのだ。脳内映像でそのことを知った彼らは、すぐさま新たな仲間の元へと向かうのだった。そんな折、彼らの存在を知った世界的製薬会社がその不死の秘密を探ろうと動き始めていた……。アメリカのグラフィック・ノベルを原作に、歴史の陰で暗躍する孤高のダーク・ヒーローたちをスタイリッシュに描いたSFアクション。主演を務めるのは、もはや世界一カッコいい美魔女と言ってもいいシャーリーズ・セロン姉さん。徹底的に鍛え抜かれたであろう彼女のそのパーフェクトなボディが画面狭しと暴れまくるアクションシーンは、もうさすがの貫禄でそれだけでも見応え充分でした。いやー、どうやったらこのお歳でここまでの美貌とプロポーションと身体能力を維持できるのやら…。この人、もはや半分機械で出来てるんじゃないかとさえ思っちゃいますね(笑)。ただ、それに対してお話の方には僕はそこまで嵌まれませんでした。まあ突っ込みどころ満載の荒唐無稽な設定はそーゆーもんなんで全然オッケーなんですが、問題は脚本の詰めの甘さ。まず、主人公がこのセロン姉さん演じる不死たちのリーダーなのか、それとも新人のこの若い黒人女性なのか、最後までそこらへんが非常に曖昧なのでいまいちどちらにも感情移入出来ない点。やはりこの黒人女性をがっつり主人公にして、物語の冒頭は彼女が生き返るシーンから始めた方が良かったのでは。そんな戸惑う彼女に、アンディはじめ不死の軍団が現れた方がより物語に入り込めたように思うのですが。あとこのアンディが物語の終盤で不死の力を失ってしまうシーンがあるんだけど、そこも結局どうなったのか最後まであやふやなまま終わらせたのは致命的。不死の力を失ってはもはやリーダーを続けていけないと思うんですけど。映像は終始キレイだし、アクションシーンもスタイリッシュでけっこう頑張っていただけに、もう少し脚本を練って欲しかった。惜しい!!
[インターネット(字幕)] 6点(2020-11-09 03:09:27)(良:1票)
711.  アマンダと僕 《ネタバレ》 
彼女の名は、アマンダ。何処にでも居るような7歳の平凡な女の子だ。シングルマザーの母親と二人で暮らす彼女は、叔父でその日暮らしの気儘な青年ダヴィットに助けられながら生活している。たまには厳しいこともあるけれど、それでも彼女は大好きなお母さんとこれから先もずっと幸せに暮らしていけると信じていた。そう、あの日を迎えるまでは――。イスラム系のテロリストによって引き起こされた凶悪なテロ。アマンダの母親はテロリストの凶弾に倒れ、呆気なくこの世を去ってしまうのだった。急に独りぼっちになってしまったアマンダは、突然のことに哀しむ間もなく、ダヴィットとともに暮らし始めることに。だが、失ってしまったものの重みは徐々に7歳の女の子の心にも重くのしかかってきて……。常にテロの脅威にさらされる現代のフランスを舞台に、そんな凶悪なテロによって母親を亡くした女の子の心情を淡々と綴ったヒューマン・ドラマ。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、最初は延々と続くこの女の子の日常描写に退屈さが勝り、思わず眠気に襲われそうに。でも、中盤でそんな日常の延長線上に混ざり込んでくるテロ描写にその意図が分かり、そこからは徐々に物語に惹き込まれてゆきました。何気なく自転車を走らせていたら、遠くの方から聞こえてくる救急車のサイレン音、そして公園に血だらけで横たわる被害者たち……。テロがいかに日常を破壊してしまうかが分かり、改めてこの残酷な行為に怒りを覚えます。そして7歳にして、愛する人を突然失ってしまったアマンダ。彼女の哀しみを思うとどうしようもなく切なく、そんな彼女を徐々に受け入れ、ともに一緒に生きてゆこうと決意するダヴィットの心情描写も丁寧でなかなか好感の持てるお話だったと思います。ただ、最後まであまりにも淡々としているため、どうしても一個の物語としては弱いと言わざるを得ませんでした。圧倒的な悲惨な現実に立ち向かうためには、やはりそこには優れた物語がなければならないと僕は思うのです。誤解を恐れずに言えば、これならテロの被害者を追った密着ドキュメンタリーを観た方がいいのではないか。アマンダ役を演じた女の子をはじめ役者陣のナチュラルな演技も良かったし、大切なものを失った人々に寄り添うそのスタンスにも好感が持てるものだっただけに、監督にはもっとフィクションの力で勝負してほしかった。
[DVD(字幕)] 6点(2020-10-19 09:00:52)
712.  誰もがそれを知っている 《ネタバレ》 
美しい田園風景が何処までも拡がる風光明媚なスペインの田舎町。親戚の結婚式に出席するため、二人の子供たちとともに久しぶりに故郷であるこの地へと帰ってきたラウラ。アルゼンチンで事業をしている夫は急用のため出席することは出来なくなったものの、ラウラは久しぶりに会う家族たちとの再会を楽しんでいた。中には、若いころに情熱的な恋に落ちたかつての恋人パコの姿もあった。そうして始まった結婚式当日。式はつつがなく終わり、皆はそのまま二次会へと雪崩れ込んでいた。だいぶ酒が廻って、盛大に盛り上がる宴席。ところがその夜、ラウラは予期せぬ事態に見舞われることになる――。15歳になったばかりの長女イレーネが何者かに誘拐され、莫大な身代金を要求するメールが携帯に届けられたのだ。突然のことにパニックへと陥るラウラ。元恋人パコの力を借りて、彼女は娘の行方を決死の思いで捜しはじめる。だが、閉鎖的な田舎町では様々な噂や憶測が飛び交い、事態はどんどんと混迷を深めてゆくのだった。果たして娘を誘拐したのは誰なのか?そんな折、ラウラが今までひた隠しにしてきた過去の秘密が明らかになり……。ある誘拐事件をきっかけに炙りだされる、とある家族の秘密を濃厚に描いたミステリー。監督は、前作でアカデミー賞の栄誉に輝くイランの俊英アスガー・ファルハディ。主演を務めるのは実生活でも夫婦である人気俳優ペネロペ・クルスとハビエル・バルデム。僕とはどうも相性のよくない監督の最新作だったのですが、この二人の共演に惹かれて今回鑑賞してみました。確かに、考え抜かれた緻密な脚本や謎が謎を呼ぶミステリアスな雰囲気、役者陣の熱のこもった演技等によって非常に完成度の高い作品に仕上がっていたことは僕も認めます。最後まで観客をぐいぐい惹き込むこの演出力の高さは相当なもの。でも、やっぱりこの監督の作風は個人的に苦手でした。この人って、とにかく登場人物同士をひたすら罵り合わせるのが好きなんですよね~。どんどんと深まる疑心暗鬼から、もう全編に渡って激しい痛罵の応酬。どんなけ喧嘩したら気が済むねん、この家族(笑)。そう言ったわけで僕は今回もやっぱり嵌まれませんでした。こればっかりは好みの問題なので如何ともしがたい。
[DVD(字幕)] 6点(2020-10-17 01:08:49)
713.  フッド ザ・ビギニング(2018) 《ネタバレ》 
中世イギリスの伝説的義賊、ロビンフッドの誕生秘話を現代的な解釈で描いたエンタメ・アクション。これまで何度も映画化されてきたこの有名なヒーローを今回演じるのは、『キングスメン』でのぶっ飛んだアクションが記憶に新しいタロン・エガートン。このベタな題材をあくまでスタイリッシュかつスピード感溢れる展開で魅せようという本作の意図は分かりやすくて大変グッド。一つ一つのアクションシーンは普通にキレが良くってなかなか楽しめました。まあちょっとやり過ぎな感じがするのはご愛敬ですけど。だって、冒頭の十字軍遠征のシーンなんて現代的に撮ろうとするあまり、銃が弓矢になっただけでもはや『プライベート・ライアン』の冒頭シーンにしか見えないんですもん(笑)。それに肝心のストーリーの方が大味過ぎなとこもちょっと残念。あとヒロインの女性の方が明らかにブ…失礼、個性的なルックスをしてらっしゃったのも好みが分かれるところ。でもまあエンタメ映画としては、最後までストレスなく見られるし、アクションシーンも迫力満点だしで、普通に楽しめると思いまーす!
[DVD(字幕)] 6点(2020-10-14 01:55:00)
714.  ぼくを探しに 《ネタバレ》 
2歳のころに両親を目の前で亡くし、以来口が利けなくなってしまったピアニスト、ポール。彼が、隣人の怪しげなマダムの作る薬物入りのハーブティーによって、記憶の中に眠る母親の思い出へと徐々にのめり込んでゆく姿を、時にハートウォーミングに時に毒気たっぷりに描いたファンタジック・ファミリーストーリー。舞台がフランスということもあり、全体的な雰囲気は僕のこよなく愛するジャン・ピエール・ジュネの名作『アメリ』っぽくて、この独創的な世界観はけっこう嫌いじゃなかったです。主人公がトリップする記憶世界もポップ&キュートで大変グッド。主人公が記憶の中の迷宮へと入り込む手段がマドレーヌとお紅茶というとこもプルーストの『失われた時を求めて』を絶妙に茶化しててなかなか楽しい。ただ、その魅力的な世界観に対してお話の方は正直微妙。ストーリーが単純すぎる上に、ところどころ説明不足な部分もあっていまいち面白くないんですよね、これ。最後過去のトラウマに打ち勝ってピアノ・コンクールに優勝できたのに、その直後には指を怪我して断念。その後は何故かウクレレ奏者になって、紆余曲折の末に中国人女性と結婚し子供も生まれる……。なんかストーリーが行き当たりばったりすぎて、後半どうでもよくなっちゃいました。あと、主人公がトリップするサイケデリック描写が若干少なめなのもちょっと物足りなかったです。とはいえエスプリの効いた、この独特の世界観は個性的でそこらへんは充分楽しめました。特にカエルの着ぐるみ楽団のキモ可愛いとこなんて、めっちゃツボ!それだけに内容の方をもうちょっと頑張ってほしかったな~。うーん、6点!
[DVD(字幕)] 6点(2020-10-06 05:30:51)
715.  若い女 《ネタバレ》 
今年で31歳になるポーラは、無職、宿無し、無一文という典型的な負け組アラサー女子。10年も付き合った彼氏に呆気なくフラれた彼女は、腹いせに彼が飼っていた猫を手にすると何の当てもなく街へと飛び出すのだった。友達の家を泊まり歩きながら何とか食いつなぐポーラ。ベビーシッターや下着ショップの店員などの職に就くものの、持って生まれたトラブルメイカーっぷりが災いして彼女は常に崖っぷちへと追い込まれる。そんな折、自分が妊娠していることが発覚して……。果たしてポーラの人生に明日の光は差すのか――。何もかもがうまくいかないそんなアラサー女子の生態をスピード感あふれる展開で魅せるコメディタッチのヒューマン・ドラマ。まあやりたいことは分かるし、幾つもの賞を受賞したというそのポップでキレのいい演出は大変良かったとは思うのですが、個人的にそこまで嵌まらなかったですね、これ。同じく僕が苦手とするノア・バームバックの出世作『フランシス・ハ』のフランス・パリ版みたいな印象です。一つ一つのエピソードはトホホ感満載で、そんな彼女を平然と見つめる猫のセレブ感なんて皮肉が効いててサイコーだったんですけどね。要はこのアラサー女子あるあるに、僕が男だからかいまいちのれなかったのが要因かな。結論としては、ま、ボチボチってとこでした。
[DVD(字幕)] 6点(2020-10-06 04:30:47)
716.  アス 《ネタバレ》 
その日、アデレードは憂鬱な気分で車に揺られていた。夫と二人の子供たちとともに久々に家族水入らずで過ごすバカンスなのに、彼女の気分は一向に晴れることはなかった。何故なら訪れたリゾート地が、サンタクルーズだったから――。彼女は子供のころに、この地でとても恐ろしい経験をしたことを未だに覚えていたからだ。人気のないお化け屋敷の中で、なんと彼女は、自分と瓜二つの姿をした少女に出会ってしまったのだ。しばらく言葉も発せられなくなるほど、そのことがトラウマとなったアデレード。今すぐにでも家に帰りたかったが、夫も子供たちも楽しんでおり、とても言い出せるような雰囲気ではなかった。そして迎えた最初の夜、アデレードの予感は的中することに。いつの間にか立っていた、別荘の外の四人の人影。夫婦とその二人の子供と思しき家族たち。夫の警告も空しく、無言で近づいてくるその影。家の明かりの中で彼らの姿を見たアデレードは再び恐怖のどん底に突き落とされる。なんとそこに居たのは、自分たち家族とそっくり同じ姿をした者どもだったのだ。果たしてこいつらは何者なのか?恐怖と謎に満ちた壮絶な一夜が今、幕をあける……。前作『ゲットアウト』でアカデミー賞の栄誉に輝いたジョーダン・ピール監督の最新作は、そんなミステリアスな雰囲気が濃厚に漂うモダンホラーでした。前作同様、不穏な音楽と充分に間を取った禍々しいホラー描写とで、なんともいや~~~な感じのホラーに仕上がってましたね、これ。もう人の神経を逆撫でするような嫌なエピソードのてんこ盛り。この家族のいわゆるドッペルゲンガーたちが手を繋いでただ突っ立っているという登場シーンから、もう嫌なことしか起こらないことは目に見えていますし。ただ、全編に渡ってここまでたっぷり間を取っちゃうと、必然的にお話の方が単純になっちゃうのは至極当然。前作ではそのシンプルさが巧くいっていてなかなか完成度の高い秀作となっていたのだけど、本作ではどうなんでしょうね。途中まではこの謎が謎を呼ぶミステリアスなお話にぐいぐい引き込まれて観ていたんですけど、ことの真相が明らかにされた辺りでさすがに僕は冷めちゃいましたわ。いや、この真相はさすがに無理があり過ぎるっしょ(笑)。ダメ押しするようなあの大オチに至っては、あまりに無理やりすぎて思わず苦笑しちゃいました。この全編を覆う禍々しい世界観は嫌いじゃなかっただけに、残念!
[DVD(字幕)] 6点(2020-10-02 23:08:57)
717.  フォードvsフェラーリ 《ネタバレ》 
1960年代、ル・マン24時間耐久レースに挑んだフォード・モーターのレーサーやエンジニアたちの悪戦苦闘を実話を基に描いたヒューマン・ドラマ。主演を務めるのは、実力派のマッド・デイモンやクリスチャン・ベール。監督はエンタメ映画職人、ジェームズ・マンゴールド。いやー、もう車好きの車好きによる車好きのための映画でしたね、これ。車好き――特にアメ車好きには堪らないであろう描写のてんこ盛り。んでも演出的には手堅く纏められており、車にそんなに興味のない自分でもそこそこ楽しんで観ることが出来ました。子供のために危険を顧みずに頑張る父親というのはベタですけどやぱ燃えますね~。あくまで裏方に徹したマッド・デイモンもいい味出してました。ただ、明らかに長ーい!もう少し短くスリムに纏めてくれても良かったのでは。そこまで車好きではない自分は中盤から延々と続くレースシーンにちょっとダレちゃいました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-28 14:02:09)
718.  ある少年の告白 《ネタバレ》 
その施設の名は、「愛の導き」。アメリカ南部の自然豊かな郊外にあるその建物には幾つもの厳しいルールが決められていた。入所した本人しか施設内には入れず、外部との接触は一切禁止、当然のように携帯も没収される。さらには中のデータも逐一チェックされ、毎日登録された電話番号の中から無作為に電話されやましい関係はないかまで確認されるのだった。喫煙・飲酒・ドラッグも一切禁止、休憩時間も指定された場所に居ることを強要され、そればかりかトイレもスタッフの監視下でしか使用できない。ポルノの閲覧も禁止、自慰行為などもってのほか。入所者たちは誰であれ軽い握手以外、互いの身体に一切触れてはならない。何故ならここは、神によって禁じられた同性愛を矯正する目的で創られた施設だから――。本作は、そんな施設へと入所することになったある少年の葛藤の日々を、実話を基に描いた作品。敬虔な牧師としての立場からやむなく息子を施設へと送り込む父親役には人気俳優ラッセル・クロウ、息子を愛していながらも世間体を気にしてそんな施設への入所を容認する母親役に同じく人気者のニコール・キッドマン、同性愛を絶対悪とみなす横柄な施設長役には本作の監督でもある才人ジョエル・エドガートン。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、この施設のなんとも非人間的な内情には、見れば見るほど反吐が出そうになりますね。このような前近代的な施設が実際に存在し、しかもいまだ全米に何か所も存続しているというのだから驚くほかありません。入所者たちを前に、神が与えたもうた男らしさ・女らしさを滔々と説く施設長のそのいびつな論調にはもはや戦慄させられてしまいます。このような非人間的で差別的な施設の実態を世間に告発するという点では、作品として成功していると言えるでしょう。ただ、物語の面白さという部分では正直物足りない。事実を基にしたから仕方ない面もあるのでしょうけど、もう少しドラマティックな見せ方も考えて欲しかった。同性愛者の息子と、同性愛を糾弾する立場の敬虔な牧師である父親との関係性も終始淡々としていてもう少し掘り下げてくれても良かったのでは。自分の信念と積み重ねてきた家族の日々、そして持って生まれた個性とのぶつかり合いの果てに辿りついたであろうこの親子の結論を、僕はもっと見たかった。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-28 03:31:50)
719.  美しい絵の崩壊 《ネタバレ》 
そこは奇麗な碧い海が何処までも拡がる、風光明媚なオーストラリアのとある観光地。小さなころから共にこの地で育ったリルとロズは、お互いのことなら何でも知っている大の親友同士。結婚も出産も子育ても一緒に乗り越えてきた二人は、もはや夫以上に深く結びついている。そして、お互いの一人息子、イアンとトムも今やすっかり一人前の逞しい青年へと成長していた。そんなある日、彼女たちの関係に微妙な亀裂が入るのだった。なんとお互いの一人息子とほぼ同時期に肉体関係を持ってしまったのだ。「こんなこと、人としての倫理に背いている」――。許されざる事態に深く思い悩むリルとロズだったが、何度も身体を重ねるうちに彼女たちはいつしか深い愛情を芽生えさせてゆくのだった。それぞれの関係を認め合い、ずるずると深みに嵌まってゆく母親とその息子たち。微妙な均衡のうえに成り立っていた四人の関係は、二年後、新たな若い女性の登場で徐々に崩壊してゆく……。子供のころから知っている親友の一人息子との禁断の愛に溺れる二人の母親をじっとりと描いた愛憎劇。そんな許されざる愛に苦悩する母親役をそれぞれ演じるのは、実力派のベテラン女優ナオミ・ワッツとロビン・ライト。ノーベル文学賞を受賞した作家の小説を基にしたという本作、これがまぁなんともイヤーーーなお話でしたね。お互い親友同士の母親がこれまた親友同士のそれぞれの息子と一線を越えてしまうというだけでもイヤなのに、それがバレてしまうと今度はお互い公認で愛欲の海に溺れてゆくというのがまたなんとも不愉快……。母親と息子たちが、それぞれレズ&ゲイっぽいとこも不快指数を上げてきます。谷崎潤一郎の『卍』も真っ青な、なんというドロドロな四角関係(笑)。当然そんな関係がうまくゆくわけもなく、お互いの息子がそれぞれ若い娘に惹かれてゆくとこからは、今度は老いに怯える中年女性の嫉妬という新たな不快要素もぶち込んできます。さすがに後半は「もう分かったから勘弁してくれ!」って感じで観てました(笑)。まあここまで不愉快なお話を、美しい自然の風景と年を取ってもまだまだキレイな主演女優二人の魅力とで最後まで魅せきったところは素直に良かったと思うんですけどね。作品としてはそこまで悪くないんだろうけど、僕はもういいかな。ははは……。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-21 00:32:05)
720.  万引き家族 《ネタバレ》 
都会の片隅で誰にも気にされず、ひっそりと暮らすある五人の家族。収入源のほとんどない彼らの生活の糧は、万引きだった――。幼い息子を使い、今日もスーパーで生きるための必需品を手に入れた父親は、その帰り道、団地のベランダに一人佇む幼い女の子と出会う。明らかに腹をすかし、しかも全身傷だらけ、もはや泣くことも笑うことも忘れたような彼女をほっておけなくなった父は、思わずその子を家へと連れ帰って来るのだった。僅かな年金で暮らす祖母、クリーニング店で働く母親、怪しげな風俗まがいの店でバイトする長女。彼らは何の躊躇いもなく少女を迎え入れ、次の日にはすっかり家族として暮らし始める。何故ならこの家族には、とある〝秘密〟があったから――。社会の発展から取り残され、今にも零れ落ちそうになっている社会的弱者を終始淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。監督は、過去に観た『誰も知らない』という作品で、どうにも僕とは相性が悪いと感じた是枝佑和。カンヌでパルムドールを取ったということで今回鑑賞してみたのですが、やはり僕の好みとはどうにも合わない作品でしたね。とにかくもう最後まで辛気臭すぎ!!社会の片隅で声にならない声をあげている社会的弱者の思いに耳をすまそうというこの監督のスタンスは分かるのですけど、もう少しドラマティックな見せ方を心掛けてもいいのでは。ハリウッドの商業ベースの第一線で活躍する脚本家なら、例えばこの長男の大人になった後の回想形式で物語を見せるとか、例えばこの家族の秘密を探る人物を登場させてサスペンスを盛り上げるとかするんでしょうけど、この監督はそういうのははなから目指してないんでしょうね。印象的なシーンもたくさんあったし、もはや本物の家族以上に家族だった役者陣のナチュラルな演技も大変良かったとは思うのですけど、こればっかりは好みの問題なので如何ともしがたい。以下、本当にどうでもいい余談。リリー・フランキー演じるお父さんと、良い感じで熟したお母さん役の女優とのラブシーンは妙に生々しくて大変グッドでした。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-17 01:04:36)
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