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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2381
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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61.  メジャーリーグ 《ネタバレ》 
嫌なことがあって気分が落ち込んだりした時はぜひ本作をお勧めします、言わずと知れた野球コメディ映画の最高峰です! 初めてこの映画を観たとき、アメリカに次ぐ野球大国なのになんで日本映画界はこういう野球映画が撮れないんだろうかと、腹が立った記憶があります。確かにプロ野球をテーマにした日本映画はほとんどないし、数少ない作品も単なるヒーローものか超駄作ばかりですからねえ。 この映画の凄いところは、クリーブランド・インディアンスという実在のメジャーリーグ球団を使って、オーナーから選手までフィクションの存在にして徹底的に笑いを取りに行っているところでしょう。その選手たちもキャラが立ちまくりで、ウェズリー・スナイプスまでもが今じゃ決してやってくれないコメディ演技を見せてくれるんですから、もう堪りません。特にキャンプにインチキ臭いハイブリッド・ワーゲンで乗り込んでくるところや、アメックスのCMで滑り込んできて「出かけるときは忘れずに」と微笑むところなんか抱腹です。私は長いこと彼がコメディアンだと思ってました(笑)。そしてもちろん、リッキー・ボーンのチャーリー・シーンを忘れてはいけません。プレー・オフの“ワイルド・シング”にのって登場するシーンは何度観ても鳥肌立ちまくり、きっと永遠に語り継がれてゆくことでしょう。彼は実際にも野球が上手いらしく、投球フォームがさまになっています。 そしてつくづく感じるのは、実際にエキストラで球場を埋めて撮影されたプレー・オフ戦の迫力です。もちろんボランティア参加みたいにして集めたんでしょうけど、みんなノリノリだしほんとに楽しそう。 日本にも75年の広島初優勝や85年の阪神優勝のようないいネタがあるんだから、映画化しようという発想は邦画界にはないんでしょうかね、まあないでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-06-02 23:43:43)(良:1票)
62.  ミルドレッド・ピアース 《ネタバレ》 
全盛期を過ぎてからのジョーン・クロフォードしか知らなかった自分が恥ずかしい、彼女が見せてくれた演技はそこまで言わせてしまうほどのすごい演技で、アカデミー主演女優賞90年の歴史でも十指に入ると確信しました。とても40年代の女優とは思えない現代でも通じる知的な演技とでも申しましょうか、意志強固ながらもどうしても隠すことのできない母性に運命が翻弄されてしまう女性像を、見事に演じ切っています。 監督がマイケル・カーチスですから臭いメロドラマかと舐めてかかってはいけません、見事に予想を裏切るストーリーテリングです。ミステリーとしても上質な出来ですが、「誰がベラゴン氏を射殺したのか?」という謎解きについては物語が進行してゆくにつれてどうしても感づいてしまうんですが、そんなことはこの映画の価値を下げることは全然ありません。ミルドレッドを取り巻く三人の男が、また大なり小なりろくでなしなんです。その中でもジャック・カーソンが演じる共同経営者が、ある時は善人ある時は小悪党という絶妙なキャラで、最後までミルドレッドに振り回される男を好演していました。そして忘れてならないのは甘やかされて育てられたおかげですっかり人間性を喪失してしまったような娘ヴィーダ役のアン・ブライスで、彼女にもオスカーを与えて欲しかったとしみじみ思います。 とにもかくにも、ジョーン・クロフォード一世一代の名演を得とご堪能あれ!
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-04-18 22:31:05)(良:1票)
63.  リンダ リンダ リンダ 《ネタバレ》 
ガールズ・バンドを題材にした邦画としては文句なしの最高峰でしょう。 オープニング、いかにも意識が高い高校生と言った感じのカメラに向かっての主張に、「うん、あったよね、こういう青春の恥って」と思わずうなずいてしまう人が多いんじゃないでしょうか。男女高校生たちのやり取りがまた自然な感じで、とてもリアル。どう見ても田舎の地味な高校に韓国人留学生がいて、その音楽素人の娘がなぜかバンドのヴォーカルになるという不思議なプロットなのに、その留学生がぺ・ドゥナだからそれだけで納得させられちゃうんです。あの“妄想MC”はこの映画で屈指の名シーンでしたが、ラストで突然盛り上がる体育館の観客たちも実はぺ・ドゥナの妄想がなせる業だったのかも(笑)。 香椎由宇は“こんなJK田舎の高校にいるかよ、でもほんとだったらかなり嬉しい…”と妄想させてくれるほどビジュアル的には光って(浮いて?)いました。でもバンドのベースはBase Ball Bearの関根史織だったので、演奏の見た目としてはかなり様になっていました。そしてME-ISM の山崎優子が謎の金髪先輩役で出演していて、弾き語りで歌う場面は圧巻でした。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2017-11-27 23:54:05)
64.  ソウ
初見の際にはこのアイデアにはぶっ飛びました、自分の『驚愕させられた映画ランキング』のベスト3に今でもランクインしています。正直に言うと、あのラストには思わず立ち上がるほどびっくりしたもんです。いまじゃあ本作をパクった映画が濫造されちゃいましたけど、やはりオリジナルは偉大です。私はいわゆる“ソウ・マラソン”はすでに完走しておりますけど、監禁ゲームと並行して元刑事ダニー・グローバーが暗躍していたりする第一作がやはりベストな脚本だと思います。このシリーズは回が進むにつれジグソウのゲームをいかにエグく見せるかにどんどん比重がかかって来て『ファイナル・ディスティネーション』シリーズみたいになってしまうんですけど、それはそれで愉しめます。中盤までゴードン医師とアダムの“信頼できない語り手”視点のストーリーテリングが緊迫感を煽ってくれますが、この視点をもっと引っ張ってラストまで持って行ったらもっと良かったかなと感じます。 冷静になればツッコミどころは多々あるんですけど、ストーリーテリングの巧妙さがそんな粗を覆い隠してしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-10-26 23:02:48)
65.  二郎は鮨の夢を見る 《ネタバレ》 
十数年前ですが、ボスのお供で一度だけ数寄屋橋の次郎に行ったことがありました。もう衝撃でしたね、今まで自分が食べてきたお寿司はいったい何だったんだろうか?まだミシュラン東京版が出る前でしたが、このお爺さんのどこからこんな味を創作するパワーがあるんだろう、としげしげと次郎さんの顔を見つめてしまいました。 お寿司って考えれば不思議な食べ物ですよね。子供のころは、寿司は酸っぱいご飯の上に刺身をのっけたものだと思っていました。寿司をトコトン因数分解してゆけばあながち間違っている定義ではないかもしれません。でもそれがあの芳醇な料理にまで昇華するんだから、ほんとに不思議なことです。 もちろん世界一有名な日本人料理人である小野次郎がこの映画の主人公ですけど、実はともに店を切り盛りしている長男氏がダブル・センターとして重要な役割を果たしていることを見事に喝破しています。彼は次郎さん亡きあとに店を継がないといけない、いわば日本で最もきつい重圧を背負った一人なんじゃないでしょうか。その彼が店のいわばコンサート・マスターであると見抜いた監督の眼力は素晴らしいし、背後に流れるクラシック音楽がこの視点とよく調和していました。そして登場する築地の仲買人や米屋さんなどの取引先が、みんなほれぼれするようなプロぞろいなことにも感銘を受けます。次郎さんも、とても80歳を越えているとは思えない滑舌と豊かな表情なのが観ていて愉しいです。 米国人監督の日本料理と職人に対する深いリスペクトが伝わる一編でした。きっとホワイトハウスのスタッフも、オバマ大統領が来日する前にこの映画を観て研究したんだろうな。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 9点(2017-08-17 01:05:21)
66.  ブルース・ブラザース
コメディ映画としては『1941』に匹敵するほどのクドさがありますが、ミュージカル映画として観ればこれほどぶっ飛んで躍動的な作品は珍しいんじゃないでしょうか。伝説のジェームズ・ブラウンを筆頭に、レイ・チャールズ、キャブ・キャラウェイ、アレサ・フランクリンというキラ星の様なR&Bの大御所たちが勢ぞろいしているんですから、もう感涙です。ジェームズ・ベルーシの“踊れるデブ”っぷりも見事で、改めてこの人は物凄い才能を持った人だったんだなと思いました。ダン・エイクロイドも若いときは細身でカッコよかったわけですが、そういやこの人最後までサングラスを外しませんでしたね。この二人がやはり出演している『1941』とどうしても比べたくなりますけど、ジョン・ランディスのコメディと音楽のセンスにはスピルバーグはとうてい敵わないということでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-04-12 20:44:22)
67.  ビリー・ザ・キッド/21才の生涯 《ネタバレ》 
ビリー・ザ・キッドがパット・ギャレットに射殺されるまでの短期間の物語なんですけど、まるで何も起こっていないかのような淡々とした語り口がもう渋すぎです。冒頭のパット・ギャレット射殺シーンをはじめ銃撃戦の描写は、ペキンパーお得意のスローモーションを駆使して迫力は満点です。キッドとギャレットの追跡劇をそれぞれの視点で平行して描く構成も、ペキンパーの円熟した技量の冴えを感じさせてくれます。とくにジェームズ・コバーンのギャレットが、渋さが爆発でもうカッコよいというしか言葉がありません。この人は本当に西部劇では輝く俳優だとしみじみ思いました。いま話題のボブ・ディランですが、俳優としては素人の彼に合わせたキャラクターなので、違和感なく物語に溶け込んでいます。脇を固める助演陣も、いつものペキンパー組に加えて何気に渋くて豪華な面々がそろっています。 これぞペキンパー西部劇の到達点で、その詩情はジョン・フォードを超えたといっても過言じゃないでしょう。
[ビデオ(字幕)] 9点(2016-12-19 21:28:24)
68.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
そうだったんです、ゴジラをリブートする映画作家は日本では庵野秀明しかいなかったんですよ。庵野にゴジラを撮らせる決断を下した東宝には、最大級の賛辞を贈りたいです。そしてたった15億円でこんだけの作品が製作できたってことも、ある意味で日本映画界の偉業だと思います。だって15億なんておカネは、ハリウッドではブラピやトム・クルーズなんかの一人かせいぜい二人分のギャラに過ぎないんですよ。ハリウッドでこれだけの大作を撮ったら、100億円単位の予算になることは必定です。エンドタイトルに延々と流れる俳優たちの名前を観ていると、この人たちのギャラははハリウッドの何分の一なんだろう、と製作費から逆算したらなんか可哀想になってきました。 平成の世にゴジラを蘇らせたらゴジラは何を暗喩する存在になるだろうかと夢想したことがありましたが、この庵野ゴジラはわたくしのイメージを超えるメタファーとして登場したと思います。原発事故や自然災害の象徴とは誰しも考えることですが、このゴジラは日本という国が身をさらす国際情勢をも象徴していた気がします。そういう意味ではまさに究極のシミュレーション映画だとも感じました。ただひとつ不満だったのは、この災害が引き起こした人的損害については映像でもセリフにも言及がなかったことで、どれだけの人命が犠牲になるのかもシミュレートしてほしかったところです。でもいくら庵野にまかせたといってもさすがに東宝もそれはあまりに生々しすぎて、譲れなかったのかもしれません。 「怪獣は皇居を破壊しない」という有名な不文律通り、今回もゴジラは東京駅八重洲口どまりで皇居のある丸の内側には足を踏み入れませんでした。「皇室のことに触れないのではシミュレーションにならない」という意見もあるみたいですけど、私はこれは日本の怪獣映画の文化だし構わないと思っています。それよりも心配(?)なのは独特な日本の政治意思決定がこれでもかと描かれているので、はたして海外の観客に理解されるんだろうかということです。海外上映では字幕付きか吹き替えでしょうけど、あの登場人物たちの緊迫した状況での猛烈に早口なセリフの洪水は、日本人でも圧倒されてしまいます。でもこの監督独特のブラックなユーモアは私にはツボで、途中から表舞台に登場する羽目になった農林水産大臣はおかしくてしょうがなかったです。邦画の大作や特撮映画にはこのユーモアのセンスが欠落していることが常々不満だったので、ここは大変満足でした。 正直これからまたシリーズ化することにはすごく抵抗がありますけど、これで日本の特撮映画に新たな地平が拓けたことは間違いないでしょう。自分でもなんかヘンなんですけど、ゴジラが放射能を初めてまき散らすシーンではあまりの荘厳さに涙がこぼれてしまいました。
[映画館(邦画)] 9点(2016-09-01 20:58:45)(良:3票)
69.  シティ・オブ・ゴッド
まさに「陽気な地獄へようこそ!」という感じですね。リオの空港では給料遅配に怒った現地警官たちが「地獄へようこそ」と描いたサインボードを掲示したそうですが、ここはぜひ“Welcome to City of God !”とシャレてほしかったところですね。 たしかに自分は今までいろいろ映画を観てきましたが、これはその中で五本の指に入る衝撃作でした。まるで『ロック・ストック(以下略)』のような軽妙かつスタイリッシュな語り口なんですが、その内容ときたらもう凄まじいの一語です。だいたいからして、こんなに子供が大量に殺される映画は他には探してもないんじゃないでしょうか。この徹頭徹尾血なまぐさい物語が、からからに乾いたユーモアでストーリーテリングされるんですから、そりゃ衝撃を受けますよ。本作がどれだけ世界を驚愕させたかは、全編ポルトガル語なのにアカデミー賞では外国語映画賞ではなく監督賞や撮影賞など普通の部門でノミネートされたことでも判ります。フェルナンド・メイレレスはこれですっかりブラジルを代表する映画作家となり、リオ五輪の開会式の監督を任されるまでになっています。 まあこの映画を観てつくづく感じるのは、ブラジルじゃギャングより警官の方がはるかに怖いということです。そしてリオで五輪を開催するなんてよくできたなと思いますよ、映画のストーリー自体は過去の話といってもリオのスラムの現状はどうも大差ないみたいですから。これを書いている時点では五輪は終了していないんですが、どうかこれ以上何事もなく閉会式を迎えることを切に願う次第です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-08-20 21:10:01)
70.  セッション 《ネタバレ》 
ジャズってなんかプレイヤーたちが感性に導かれるままにフリーダムに演奏するものだと思っていましたら、ビッグバンドになるとまるで交響楽団みたいにガチガチの指揮になるんですね、ほんと知らなかった。このフレッチャーという男は鬼教師なんて次元を超越してエゴの塊みたいな悪漢というレベルです。指揮者や映画監督などの巨匠たちは、黒澤明や溝口健二の例を出すまでもなく自分が芸術と信じるものに対しては絶対妥協しないものですが、この映画でのフレッチャーにはストイックさと同時に人間としての嫌らしさが前面に出ていて実にリアルなキャラです。ニーマンを三時間も早く呼びだすなんてもう単なるイジワルとしか思えないし、教え子の死を伝えるにしても自分に都合が悪いとなると自殺を交通事故だと偽るし、実際こういう人よくいるんですよ。この二人は、良く考えると物語の中盤からはもはや師弟ですら無くなってるんです。フレッチャーは復讐のためにニーマンをフェスに呼ぶし、ニーマンの方はもはやスカウトされるという目的などどっかに吹っ飛ばしてフレッチャーにひと泡吹かせるためだけにドラムリズムを機関銃みたいに浴びせかける。これほどムダを削ぎ落して男同士の対決というかケンカを見せてくれる映画というのも珍しいです。ニーマンという男の描き方も、自意識過剰だし酷い仕打ちをした元カノに自分が苦境に落ちるとすり寄ったり、この平凡な弱さがとてもリアルです。 そして何よりも気に入ったのが、観客の総立ち喝采なんてクサイものをいっさい見せずあのタイミングで暗転させる閉め方です。なにも語ってはいないけど、きっと元カノは観に来なかったろうし二人は決して和解はしなかったんだろうと確信しています。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-03-15 23:18:04)(良:4票)
71.  ペーパー・ムーン 《ネタバレ》 
ご存知テイタム・オニール奇跡の名演、この時彼女が作った最年少オスカー受賞記録は、40年以上たっても未だに破られていない偉業です。いま観直してみると、子役としては類を見ない様な感情を抑えた演技ですが、正直そんなに上手いという印象は薄い。まあそれはあまりに自然な演技なのと、彼女の個性を100%引き出したアルヴィン・サージェントの絶妙な脚本の功績が大だと思います。実の父親ライアン・オニールとの呼吸もさすがにピッタリですからねえ。実はライアンはテイタムや弟を虐待していたと後に問題になりましたが、劇中の二人の関係はそういうライアン親娘のセルフ・パロディみたいな感じでもあります。また劇中彼女が喫煙するシーンが何度もでてきますが、どう観てもほんとに吸ってる様にしか見えません。たぶんフェイクシガレットを使ってると思いますけど、今じゃあたとえCGを使ったとしても子供が煙草をふかす映画なんて撮ったら良識派から袋叩きにされるのは必定ですよね、嫌なご時世です。 そう言えばテイタムちゃんは今はどうしているんでしょうか。彼女ぐらい綺麗に「子役は大成せず」の格言を実証してくれた俳優は珍しいぐらいです。ひょっとしたら、年齢も近くやはり子役から大女優にまで登りつめたジョディ・フォスターみたいになっていたかもしれなかったんですよ。人生とは本当に先が判らないものです。
[映画館(字幕)] 9点(2016-03-02 23:39:49)(良:1票)
72.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 
自分にはその趣味は無いんですけど、それにしてもホモが主人公の映画ってなんでこんなに心を打たれる名作が多いんでしょうかね。製作したマシーンに早世した初恋の少年の名前“クリストファー”と名づけるなんて泣かされてしまいます。もっともこれは史実ではなく脚本家の創作だそうです、でもGJ! オスカー脚色賞をゲットした脚本もいいけど、やはりここはベディクト・カンバーバッチの好演が素晴らしいと褒めるべきで、もう彼には名優の風格さえ感じます。エニグマ解読の話は本で読んだことはありますが数学的なことはさっぱり理解不能だったんですが、そういう数学的な要素は無視してひたすらチューリングのマシーンが解読してゆくところに絞った見せかたは視覚的に判り易くなっていて良かったですね。解読に成功するところをラストに持ってくるんじゃなく、その後の秘密保持の苦悩にも重点が置かれているところもなかなか誠実な観せかただと思います。史実でもこの“ウルトラ”情報で目標都市を事前に知っていたにも関わらず、チャーチルはコヴェントリー空襲(大戦中一夜で最大の死者が出た爆撃)の際には何の情報も軍や自治体に伝えなかったそうです。だから「誰が死んで誰が生き残るか」を神のように決めてしまったと苦悩するべきなのは、本当はチューリング達じゃなくて政治家じゃなきゃおかしいんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-02-24 23:05:59)
73.  英国万歳! 《ネタバレ》 
王と王太子の仲が悪いというのは、現代まで連綿と続く英王室の伝統みたいなものなんですね。それにしても、王室の物語だというのにウンコやオシッコのネタが多いのは笑っちゃうほどです。それも国王のですからねえ、こんなもので患者の精神状態が判るなんてほんと眉つばものです。よく考えるとこのストーリーは『英国王のスピーチ』と基本的には同じ話なんですね、王族への視点が本作の方がはるかにシニカルですけど。このジョージ三世という王様はは失政が多くてアメリカ植民地の独立を招いてしまったりしてますが、悪役扱いの王太子の方が奴隷解放を唱えたりして政策的にはまともな感じなのは凄い皮肉です。この王様、精神錯乱状態のときに助けてくれた侍従や医師を回復するとクビにするなど、『英国王のスピーチ』のジョージ六世と違ってなかなか非情です。感動を呼ぶには程遠い結末ですけど、これはこれで王族という人達の本質を鋭く突いていると思います。ラストで「家族円満を見せることが王室の大事な仕事だ」と犬猿の仲のロイヤルファミリーが民衆に笑顔を振りまくところなんか皮肉がきつ過ぎです。 ナイジェル・ホーソンの演技は、狂っているというよりも強度のノイローゼという感じなのです。でも本当は正気なのに厳しい現実から逃避するために深層心理が暴走している様にも見え、なかなか優れた演出だと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-12-02 00:14:01)
74.  バック・トゥ・ザ・フューチャー
タイムトラヴェル映画で、劇中にタイムスリップした未来の同時点に生きているって、なんか初めての経験の様な気がします。30周年おめでとうございます。もうこの映画の内容なんて語り尽くされていますので今さらという感も強いですけど、とても頭の良い脚本だといつも思います。タイムトラベルについてもパラレルワールド理論はあえて採用されてませんが、パラレルワールドじゃこのシリーズの様なドキドキ感はとうてい出せなかったでしょうから大正解です。小ネタも効きすぎるほど盛り込まれているし、何と言っても80年代のワクワクした懐かしい雰囲気がイイですよね。30年前に青春まっただ中だった人、そしてもう青春が終わっていた人やまだ生まれていなかった人たち、全ての世代にこれからも愛される傑作であることは間違いないです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-10-21 21:34:08)
75.  裸のジャングル 《ネタバレ》 
独特のテイストを持った戦争映画『ビーチレッド戦記』を撮ったコーネル・ワイルドが監督の忘れられた逸品、近年はメル・ギブソンの『アポカリプト』のパクリ元として一部では有名になっています。彼は元オリンピックのフェンシング代表選手からハリウッド入りしたB級映画専門のアクション俳優(経歴からするとジェイソン・ステイサムみたいですね)でしたが、それよりも俳優出身監督としてメル・ギブソンやイーストウッドの先がけ的な存在です。本作のプロットやエピソードは『アポカリプト』がそっくり真似しているそうなのでそっちを参考にして下さい、というわけにはいきませんよね(笑)。 コーネル・ワイルド扮するガイドが仕切る像狩りツアーの一行は、メンバーが侮辱したせいで原住民に捕まってしまいます。白人もポーターの黒人もなぶり殺しにされますが、ワイルドだけは素っ裸で草原に放たれ8人の原住民たちの人間狩りゲームの獲物にされてしまいます。厳密にはジャングルじゃなくてサバンナなんですけど、ワイルドはけっこう逃げ足が速くまず反撃で1人殺してとりあえずサンダル、次に殺した奴からパンツと武器を装備して態勢を整えます。 実はワイルドたちが捕まる開幕10分以降、この映画では英語のセリフは皆無になります。あとは現地人たちが喋るスワヒリ語(?)だけになり観客にコミュニケーション疎外感を味あわせるのが監督の狙いでもあるんですが、何とDVD版には現地人の会話に字幕が付くんですよね。彼らのセリフが判らなくても観てればだいたい判りますし、雰囲気を味わうためにも字幕オフをお奨めします。人間たちの追っかけっこのシーンと交互に野生動物たちの狩りの実写フィルムが挿入されるんですが、これがけっこうエグイんです。アナコンダがオオトカゲを絞め殺すところや大ガエルが小ガエルを共食いするなど、でも観てると人間狩りしている連中も同じ野獣なんだなと納得させられました。途中、アラブ系の奴隷商人軍団が原住民の村を襲って奴隷狩りするところに遭遇し、逃げ遅れた少女をワイルドが助けるエピソードもあります。この少女とのふれあいと別れは良く考えられた脚本で、ジーンとくるものがありました。 ラストはなんか清々しいんですけど、観れば判りますけどそっくり『プレデター2』がパクってます。こうやって考えると、この映画は後世の作品に影響を与えたり丸ごとパクられたりしていて、まさに隠れた傑作と呼ぶに相応しいと思います。
[DVD(字幕)] 9点(2015-09-10 21:41:05)(良:1票)
76.  終身犯 《ネタバレ》 
今まで自分が観た中で最良の刑務所映画、『ショーシャンクの空に』なんてこの映画の足元にも及びません。また、主人公が脱獄しようとしない唯一の囚人映画でもあります。だからこの映画では一生を刑務所暮らしする人間とはどういう存在なのか、また更生とはいったい何なのかということを鋭く問題提起しています。 囚人が苦労してその道の達人にまでなったというのは日本人好みのいわゆるイイ話になっちゃいそうですが、そんな単純な撮り方をしてないところが監督フランケンハイマーの凄いところです。バート・ランカスターの演じるストラウドからしても、映画の前半では狂信的なまでに反抗精神が強いあまり共感を呼ばないキャラです。そんなランカスターが「お前には人に感謝する気持ちがない」と看守に指摘されてハッと気づき、「今まですまなかった」と謝り生まれ変わった様になるシーンには心を打たれました。ほんと人間には感謝の気持ちを他者に持つことが大事なんですね。彼は『真昼の暴動』でも囚人暴動のリーダー格でしたが、本作では非常に抑えた演技が光ってました。 このランカスターを取り巻く刑務所の人間たちがいい味出してます。初めは嫌っていたが生涯の友となる看守のネヴィル・ブランドや、粗暴ながらもカナリヤ飼育によって人間味が増してゆく囚人テリー・サヴァラスがいい演技を見せてくれます。主人公ストラウドにしても常に突き放した様な客観的な演出で通しており、決してハッピーエンドではない終わり方にも納得させられます。 「更生とは尊厳を取り戻すことだ」というランカスターのセリフは、キリスト教的な意味合いもあるんでしょうけど考えさせられます。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-07-29 22:12:23)
77.  祇園囃子 《ネタバレ》 
みんな若尾さまを目当てに観始めるでしょうけど、すぐ判りますけどこの映画は小暮実千代を愛でるのが正解です。もう何と言いますか、彼女をギュッと絞ったら色気の汁が滴り落ちそうな感じなんです。彼女が冒頭でなじみ客にぶつける捨てゼリフが、現代のキャバクラ嬢の言う本音と大して変わらないところはとても面白い、時代に関係なくこの世界は変わらないものなんだなとしみじみ思いました。若尾文子も時代にあった自我を持った舞妓を好演していて、初めてお座敷に上がる時の初々しさは胸キュンものです。 80分余りと尺は短い映画ですが、実に濃厚な80分間の溝口ワールドです。「女を撮らせたら溝口」と言われただけあって、小暮実千代の演技を観てると、どうしてここまで繊細な演出が出来るんだろうと感嘆してしまいました。また出てくる男と言う男が、だらしなく狡猾で卑怯で女優陣を引きたててくれます。状況が変わる場面になると必ず電話が鳴るという作劇術もなかなか興味深かったです。そして忘れてはならないのが置屋の女将の浪花千栄子で、男も女も操る手腕はまるで老練な政治家みたいで怖くなってきます。 こうなると同じ溝口の『祇園の姉妹』もぜひ観たくなってきました。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2015-06-25 21:54:37)(良:1票)
78.  猿の惑星 《ネタバレ》 
間違いなく史上もっともネタばれしている映画です。「人類滅亡後の猿が支配する地球に帰りついた宇宙飛行士」なんて映画紹介を書くジャーナリストまでいるぐらいで、おそらく20歳以上でこの結末を知らない人はいないでしょう。でも公開間もない頃に何も知らずにこの映画を観てしまった時の衝撃ときたら、自分の中では未だに三大トラウマ映画のひとつに君臨しています。 昨今の邦画と違っていろいろなプロット上の謎を放置したまま物語は終わってしまいます。宇宙船は何を目的としていたのか、人間はなぜ言葉どころか声さえ出すことが出来ないのか、などけっこうあるんです。でもこういうあまり細かいところを追求しないストーリー・テリングも観る者の想像力をかき立てる効果がありますね。脚本上どうしてもクリアできなかったおバカな部分は多々あります。だいたい猿が使っているのが英語だという時点で、テイラーはここは地球じゃないかと気づかねばなりません。そりゃ広大な宇宙では生命体が存在する地球に酷似した天体があるでしょうけど、使われている言語まで一緒だなんてさすがにあり得ないです。洞窟の中で人形や眼鏡まで発見しているのに「これは地球の文明に良く似ている」なんて講釈たれるところなぞ、もうコントみたいな感じですよね。まあそこら辺はいきなり人間と猿が逆転している世界にほうり込まれたら、普通の人なら混乱して冷静な思考が出来なくなるだろうからということで、大目に見ておきましょう。 原作者ピエール・ブールの日本軍による捕虜体験(どうもこれはウソみたいです)をカリカチュアしたストーリーだと解釈する向きがありますが、猿の文明における進化論が出てくるところなど観ても、私には製作当時のアメリカ社会に対する風刺が色濃い脚本じゃないかと思います。あまりによく出来たプロットなので、色んな時代や社会の暗喩として捉えることができるのは、まさにこの映画の偉大なところでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-05-02 15:11:48)
79.  アメリカン・ハッスル 《ネタバレ》 
この映画を観た人は誰しもが納得するところだと思いますが、ワン・シーンだけなんですがデ・ニーロが登場してから緊張感が高まりテンポがすごく良くなるんです。そこまではどちらかと言うとモタモタした展開だっただけに、これは監督が狙ったのか映画の神に愛されているデ・ニーロだからこそ成し得る御業なのか、面白いところです。そしてクリスチャン・ベイル、あそこまで醜く肉体破壊してまで役作りに励む役者魂は、彼こそデ・ニーロの後継者たり得る人物なのかもしれません。良く観察してみると、この映画での彼の演技はなんか若いころのデ・ニーロを彷彿させるものがありました。 終わってみれば主要キャラはみなルーザー(負け)でカタルシスのかけらもないし、映画の登場人物に感情移入出来ることを求める人には耐えられないお話しでしょうね。でも俳優の演技を愉しむという観点からは、主要キャラ四人が全員オスカー・ノミネートというのも納得の逸品だと思います。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-03 23:45:10)(良:2票)
80.  網走番外地(1965) 《ネタバレ》 
良く考えてみると脱獄してからの展開は『手錠のままの脱獄』のパクリみたいなもんですが、そんなことを微塵も感じさせない痛快な作品です。広大な国土のアメリカと違って日本では脱獄は自殺行為だと思ってましたが、こういう風に北海道の最果てなら成功して逃げ切れそうな説得力があります。 いつも通りのストイックで家族思いの高倉健なんですが、この映画の健さんは饒舌とまではいかないにしても良く喋るんです。入浴のシークエンスではハダカで阿波踊りまで見せてくれるんですから、びっくりです。でも随所で流される健さんのナマ歌『網走番外地』には、なんか荘厳な響きすら感じて震えちゃいました。 監督の石井輝男を始めとしてアラカンや丹波哲朗といった新東宝の残党メンバーたちの底力がこの作品を傑作にまで高めたのかもしれませんね。アラカンの鬼寅はさすがの迫力でしたし、丹波が最後までイイ人だったというパターンも珍しい。この映画は本来二本立て興行のBプロとして撮られた小品なんですけど、これでも新東宝の予算じゃ決して撮れない企画なんだから石井輝男も思い残すことなかったでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2015-02-10 20:16:10)(良:1票)
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