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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2381
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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781.  大空港 《ネタバレ》 
この映画をパニックものとして定義するなら、確かにこれほど人物描写が丁寧なのは評価が高いといえるでしょう。こういう群像劇は監督がヘボだと目も当てられない惨事になってしまいますが、監督がジョージ・シートンですからそこは安心して観れます。逆にパニック映画としてはサスペンスの盛り上げ方がちょっと緩すぎるところが難点です。しかし一時代を画した『エアポート』シリーズの第一作目ですから、オスカー受賞者まで出るほどの出演俳優陣の豪華さは見応えがあります。全盛期を迎えていた我が愛するジャクリーン・ビセットのスッチー・コスプレが堪能できます、これは至福です。そして『エアポート』シリーズといえばこの人、ジョージ・ケネディ=ジョー・パトローニが大活躍!初登場シーンで奥さんとソファーでいちゃつくとは、憎いぜ色男パトローニ!と掛け声かけたくなりました(笑)。あと興味深いのは昔の空港の様子です。無銭搭乗や手荷物チェックなしで爆弾入りスーツケースを簡単に機内持ち込みができるなど、現代の人はいくら何でも話しを盛りすぎだろと突っ込むでしょうが、50年近く前ならこういうことがアメリカの空港でも起こりえたことなんでしょうね。滑走路を外した旅客機を動かそうと悪戦苦闘するところなどの特撮は見事なんですけど、飛行中になるととても大作ハリウッド映画とは思えないショボいミニチュア・ワークは残念至極、これもサスペンス盛り上がらなかったが要因だったのかもしれません。 どちらも配偶者が原因とはいえ、バート・ランカスターとその妹が二人とも離婚することを暗示してのエンドですが、ランカスターはすぐに次のお相手がいてなんか幸せそう。でも妹の方はなんか可哀そうな感じです、そりゃディーン・マーティンは奥さん捨ててジャクリーン・ビセットの方に行くでしょう、でもそれでいいのかなぁ?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-13 23:00:19)
782.  イコライザー 《ネタバレ》 
ストーリー・ライン自体は単純というか他愛のないお話しです。主人公は後半に少し明かされるけどかつてはCIAのエージェントだったらしく、リタイアするときもいろいろあったみたいで、円満卒業というわけでもなかったことは判ります。そんな昼はホームセンターで働き、夜はダイナーで読書するのが唯一の趣味である独身のおっさんが、実は凄腕の殺人マシーンだったという設定は面白いけど、日本じゃ『仕事人』シリーズで飽きるほど見せられています。それを名優デンゼル・ワシントンに演じさせるとなると…これがなかなか魅力的な映画に仕上がっているんです。彼は映画中盤から数えきれないほどロシアン・マフィアを殺しまくりますが、銃をいっさい使わずいろんな小道具を武器にして処刑するところが面白い。そこはホームセンター勤務という設定が生きています、考えてみるとホームセンターってところは恐ろしいものをいろいろ売っているんですね(笑)。クロエちゃん演じる娼婦を助けるようになるという展開の説得力のなさがこの映画の最大の弱点かと思いますが、ラストでデンゼルがネットで“お助け屋”みたいな稼業を開業するところは、この弱点を判ったうえでの脚本家の開き直りみたいな皮肉を感じました。最近のハリウッド映画で最凶なのはロシアン・マフィアというのが相場ですが、こいつら大物も雑魚も背中一面にタトゥーを入れまくっているところに禍々しさが強調されてます。でも振り返ってみると、面構えの割にはみんな大して強くなかったのがちょっと残念。 デンゼル・ワシントン&アントワン・フークワのコンビはやっぱ最高ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-07 22:45:09)
783.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》 
このシリーズが好きな自分としましては、この続編製作じたいはアリだったと思います。考えてみれば前三作は一本の映画を三分割したようなものだし、『アルティメイタム』の閉め方からして、最低でもあと一本は撮ってそのストーリーではジュリア・スタイルズをかなり前面に押し出してくるだろうと予測はつきました。 お約束の冒頭30分の手ぶれ映像によるサスペンス・シークエンスはシリーズ最大規模、実際のギリシャ危機のゴタゴタを巧妙に取り込んでいて、この脚本のセンスには毎回感心させられます。でもまさかここでジュリア・スタイルズが退場するとは予想外でした。けっきょく明かされたジェイソン・ボーン=デヴィッド・ウエッブの秘密も、サプライズを呼ぶほどのことはありません。悪役CIAはトミー・リー・ジョーンズ、殺し屋はヴァンサン・カッセルと両者ともシリーズ中最凶でかつ大物俳優を連れてきました。ボーンはついにCIAのトップと直接対決となったわけですが、仕留めたのかというとそれは微妙な感じです。しかし最高責任者の長官が二代続いてこんな不祥事しでかしたら、いよいよCIAは組織解体そして大統領は辞任ものですよ。 さてシリーズ四作を観て私がいちばん気になっているのは、劇中のCIAの情報収集力の驚異的な高さです。現実にはエシュロンとかいう盗聴システムみたいなものを米国は運用しているそうですが、映画の中にそのテクノロジーがどれだけ反映されているのか気になるところです。また世界中に支部があって実力行使部隊を、たとえそれが英国であろうとも、その国の主権をガン無視してやりたい放題するのは実に恐ろしいことです。誇張はあるにしても、何らかのCIAの現実の活動を脚本におとしこんでいる気がしてなりません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-04 22:19:27)(良:1票)
784.  けんかえれじい 《ネタバレ》 
むかし観たときは「なんじゃ、こりゃあ」というのが正直な感想でしたが、観直してみると清順映画の中ではバランスがとれている撮り方で、中期までと区切ると本作が彼のベストじゃないかと思います。ケンカに明け暮れる高橋英樹が実はクリスチャンだという設定が妙な可笑しみを呼んでいまして、若さゆえの煩悩と信仰の板挟みで悶々となる姿は可笑しくてしょうがありません。硬くなったイチモツでピアノの鍵盤をたたくところは抱腹絶倒でしたが、それにしても若いってうらやましい(笑)。会津に舞台を替えた後半になると麒六の硬派ぶりが一段と激化するのですが、これが清順映画にしては珍しい純愛・悲恋ものになって幕が閉じたのはちょっとしたサプライズでありました。なにが彼女を尼寺(修道院)に行かせたのかはイマイチ判りませんでしたが、もっと判らないのはこの浅野順子を「ウッシッシー」の大橋巨泉がものにしちゃったことです…彼女に最期を看取ってもらえたなんて、巨泉は幸せな人生だったと思いますよ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-11-20 21:32:45)
785.  デイジー・ミラー 《ネタバレ》 
時は19世紀半ば、ヨーロッパ暮らしの長いブルジョワ階級の米国人青年が、スイスの保養地でNY住まいのお嬢様と知り合いになる。青年は彼女に一目惚れしてしまうが、次の滞在地ローマで再会すると、彼女はその自由奔放な言動で社交界では鼻つまみ者あつかいされていた。 原作は文豪ヘンリー・ジェイムズの中編小説、それをピーター・ボクダノヴィッチが正面から映像化したいわゆる文芸映画です。ジェイムズは米国人ですが、米国で生活するよりヨーロッパ暮らしの方が長かった米国文壇でもちょっと変わったポジションの作家です。デボラ・カーの有名なホラー映画『回転』の原作者でもあり、私は長いことこの人は英国人でホラー作家だと思っていました(無知ですみません)。登場人物は欧州社交界にたむろする米国人が多いのですが、そういうジェイムズの作風もありみんな米国人らしくない感じなのが面白いです。 奔放なヒロインであるデイジー・ミラーを演じているのがボクダノヴィッチのミューズであるシビル・シェパードです。彼女の大づくりな顔立ちが好みではなく敬遠していた自分でしたが、19世紀コスプレが見事なほど似合っていて目を見張りました。彼女のケバい容姿とヴィクトリア調のドレスは素晴らしく相性が良くて、現代劇よりも遥かに魅力的です。奔放と言ってもアメリカ的な自由な振る舞いをヨーロッパでも直さないというだけのことで、ここら辺にヨーロッパとアメリカの文化の衝突をテーマにしていたジェイムズらしさが出ていると思います。ボクダノヴィッチはローマなどでロケをして美しい映像を追及していますし、室内シーンでは演技者の主観を鏡に映して表現していろいろ凝った技を見せてくれます。お話し自体はあまり盛り上がるイヴェントもなく、ヒロインが熱病(たぶんマラリヤ)にかかってあっけなく死んでしまうというのがある意味サプライズです。 ヒロインと男二人の三角関係のお話とも言えますが、その中でたびたび言及されるのが「婚約」というワードです。主人公にヒロインが最後に残した言葉も「私はあの方とは婚約していませんでした」でしたが、この「婚約」とはひょっとして肉体関係の隠語なんじゃないかと思えてなりません。19世紀の上流社会ならあり得る言葉遣いかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-10-08 22:58:14)
786.  ゼロ・ダーク・サーティ 《ネタバレ》 
大統領以下の合衆国首脳がビン・ラディン襲撃作戦をリアルタイム映像で観戦している動画を見たことがありますが、その顔ぶれの中でいちばん不安そうな表情をしているように感じたのはオバマ氏でした。作戦の最高責任者なんだから緊張するのは当然という解釈が成り立つでしょうが、「ノーベル平和賞をもらった僕がこんな荒っぽいことをさせたら、イメージが悪くなっちゃうんじゃないの?」とビビッていたのが本心だったようにしか私には思えませんでした。8年間の任期で残した唯一の功績がビン・ラディン殺害だったというのは、皮肉なことです。 ナショジオ・チャンネルあたりでこの事件のドキュメンタリーがさんざん観させられたあとなのでいまさら感が濃厚でしたが、やはりキャサリン・ビグローのような凄腕がメガホンをとったら迫力が段違いですね。この映画はマヤの同僚が自爆テロで殺されるまでの前半と、そのショックからマヤが鬼神のような奮闘でビン・ラディンを追い詰めてゆく後半と、はっきり分かれたストーリーテリングになっています。その後半のジェシカ・チャスティンの演技がまた凄まじいんです。無能な上司に喰ってかかるときの表情、「こいつはオコゼ女か!」と私は震えあがってしまいました。美人なのは確かですが個人的にはこういう顔は趣味じゃないので、余計に衝撃だったのかもしれません。でも襲撃隊員に「私のために殺してきて」と声をかける姿には、後光がさしていたような感じすらしました。だから作戦成功後に燃え尽き症候群みたいになってしまうのは、説得力に満ちています。この映画の最大の見どころは、やはり彼女の演技に尽きると思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-21 23:54:37)(良:1票)
787.  ベイビー・ドライバー 《ネタバレ》 
いい加減なライターの本作がウォルター・ヒルの『ザ・ドライバー』のリメイクだという記事を真に受けていましたが、観てみりゃ全然関係ないじゃないですか。というよりもタランティーノをはじめとして色々な映画のイメージの寄せ集め的な感じすらします。別にこれは悪い意味ではありません。才人エドガー・ライトだけあってそれぞれの映画作家のエッセンスを上手くまとめています、でもその中でもタランティーノの影響は強く感じます。ダイナーでバッツがデボラにからむシークエンスなんて、その緊迫感は本家を凌駕してるんじゃないですか。 マニアは歓喜の涙を流すんじゃないかと思うぐらいカーアクションは切れまくり、やはりこういうアクションはスバルの時代ですよ。同じ赤い二台の車の間に入って入れ替わるというネタは、バカバカしいけどアイデアとしては最高でした。バッツもこれぞジェイミー・フォックスと声をかけたくなるぐらいの恐ろしい悪役ぶりを堪能させられましたが、あの突然の退場シーンは意外でした。でもこれって『ジャッキー・ブラウン』のデ・ニーロのあっけなさに通じるところがある気もします、ここにもタランティーノの影響が感じられます。主演のカップル役の二人は初めて観る顔ぶれでしたが、自分にはどうしても若き日のジェフ・ブリッジスとジェシカ・ラングが演じているような気がしてなりませんでした。雰囲気、似てますよね?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-15 20:19:15)
788.  ヒポクラテスたち 《ネタバレ》 
すっかり下手な職人監督に成り下がってしまった大森一樹の代表作といえば、本作でしょう。まだアマチュア映画作家らしい青臭い雰囲気を持ちながらも、ベテラン俳優にも手堅く演技させることができた演出手腕はなかなかなものでした。とくに女優初挑戦の伊藤蘭があれだけ達者な演技ができるとは意外でしたね。寮の中でラジオから「微笑み返し」が流れてきたり蘭ちゃんが吸ってるタバコも「蘭」だったりと、いろいろ遊びもあります。それにしても時代を感じられるのは出演者が喫煙するシーンの多さで、病院内で医者がスパスパふかしてるのは、なんか不思議な感じすらします。 見直してみてとくに感じることは、医学生たちに不思議と感情移入できるようなキャラがいないところです。図書館や喫茶店のようなパブリックな場で患者の個人情報に関するようなことをペチャクチャおしゃべりするところなんて、はっきり言って不快です。主人公の荻野愛作くんにしたって中途半端な凡人に過ぎず、産婦人科の研修中に彼女を妊娠させるだらしなさと、みんなにばれるのが怖くて大学病院じゃなくてインチキ堕胎医に彼女を連れて行く卑怯な一面、いかにもガリ勉秀才の成れの果てという感じですね。でもこれは作劇としては悪いことではなくて、それだけリアルな人間像だということなんです。 劇中で左翼がかった精神科医の活動がちょこっと出てきますが、そこではたと思い返すことがありました。確かこの当時は、あのゴダールの名作は「きち〇いピエロ」と呼ばれていたはずなんです。このあたりから、私の大嫌いな「言葉狩り・言い換え」が始まっていたみたいです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-08-12 22:56:33)
789.  ボーン・スプレマシー 《ネタバレ》 
本作ではジェイソン・ボーンを“追われる者”から徐々に逆の立場に変貌してゆく脚本で、ストーリーのつなぎ目としてどうしても印象が薄くなりがちな三部作の二作目としてのウィークポイントを克服することができました。第一作のミステリー風味は薄れてしまったのは止むを得ないところですが、その分アクション要素が強化されています。前作のクリス・クーパー、本作のブライアン・コックスと一作ごとに組織内のラスボスが倒されてゆくのがこのシリーズの特徴ですが(最もクリス・クーパーはCIAに消されてます)、どちらもボーンが手を下したわけではないことに注目です。前作では組織の殺し屋を何人も返り討ちにしたボーンですが、本作では彼が明らかに殺したのはミュンヘンの男(元同僚?)だけで、これも正当防衛といえる感じでした。派手なカーチェイスを繰り広げたカール・アーバンはこれまでで最強の殺し屋でしたが、壁に激突して瀕死となっても止めはささず。愛するマリーの仇なのになんで?と訝しくなりますが、「マリーに言われたから(殺しは止めた)」というセリフもありますので納得しなければいけませんが、そんな会話のシーンありましたっけ? この映画を見て得た教訓:モスクワのタクシーは世界最強!
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-03 22:58:59)
790.  吸血鬼ノスフェラトゥ(1922) 《ネタバレ》 
『ノスフェラトゥ』といってもストーリー・ラインは『ドラキュラ』とほぼ同一。これは『ドラキュラ』の原作者であるブラム・ストーカーの未亡人がムルナウの映画化プランにOKを与えなかったからで、登場人物の名前を変えてストーリーも少し改変したら大丈夫だろうと強引に映画化しちゃったので案のじょう著作権侵害で裁判になり当然のごとく敗訴してフィルムは差し押さえ、その後40年近くお蔵入りだったそうです。『ドラキュラ』は19世紀の小説だというイメージですから、1920年代にブラム・ストーカーの未亡人が存命だったとは驚きです。 2011年にNHKで放映された復元版での鑑賞でしたが、これが驚くほど鮮明な映像です。いくらデジタル技術が進歩しても残存するフィルムの状態に左右されるのが復元版の宿命ですが、欠落だらけで悲惨な状態だった『メトロポリス』の復元版に比べると雲泥の差です。サイレント映画ながら俳優の演技にサイレント特有のわざとらしさがあまり感じられず、編集も現代的なテンポに通じるところがありました。マックス・シュレックのノスフェラトゥは歴代ドラキュラの中でも群を抜いて不細工、そして群を抜いて不気味です。初登場のシーンや棺桶を担いで街をさまようところ、そしてエレンの住んでいる向かいの屋敷に姿を現わすカット、これは子供の時に観たら生涯残るトラウマになったことは間違いなしです。顔は禿げたネズミ男みたいでよく考えると滑稽でさえあるけど、そのふらふらした挙動と狂気をはらんだ目つきがなんかヤバいものを見てしまったという恐怖に襲われてしまうんです。でもラストは強引かつあっけない幕切れで、そこまでのテンションが一気に下がってしまうところは残念ですが、まあそこはサイレント映画なのでしょうがないでしょうね。 確かにこれは、死ぬまでに観ておくべき映画の一本ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-22 23:42:42)(良:1票)
791.  アギーレ/神の怒り 《ネタバレ》 
冒頭の山下りのシーンから、この映画のヤバさがひしひしと伝わってきます。もう完全に未踏の地みたいなジャングルの山道で実際にロケをするという発想自体が、この監督の狂気を具現しているとしか言いようがないです。アギーレが反乱を起こしエル・ドラドを目指して筏で河を下ってゆき全滅するのがストーリーですが、どこまでが演出なのか迷わされる映像の連続でもあります。前半の怒涛渦巻くアマゾンを筏で下るシーンも、これはマジで事故ったら大惨事という危険な撮影です。またクラウス・キンスキーの演技というか表情がマジでヤバい。ヘルツォークがキンスキーをあわや殺すところだったというエピソードは有名ですが、キンスキーのあの狂気のまなざしは監督に対する怒りというか不信感が表れていたんですね。アギーレがなぜか娘を同行させますが(この娘、劇中で一言もセリフを発しません)、この二人は近親相姦の関係にあるんじゃないかと思わせる撮り方です。この娘役がナターシャ・キンスキーだと間違えてる解説を見かけますが、クラウスも実はナタキンを使って欲しかったんじゃないでしょうか。 あのジャングルの大木に朽ち果てた帆船が引っかかっている摩訶不思議なシーン、これが『フィッツカラルド』につながってゆくんでしょうね。
[ビデオ(字幕)] 7点(2018-07-20 23:51:02)(良:1票)
792.  透明人間(1992) 《ネタバレ》 
ジョン・カーペンター御大は、雇われ監督の場合の方がよい仕事をするという傾向があるみたいです。“ジョン・カーペンターの”と冠がつく作品だと得てして御大の暴走があらぬ方向に映画を持って行ってしまうことがありますが(このカオスなところがファンを魅了するのですけど)、本作では脚本にはタッチせず、しかも名手ウィリアム・ゴールドマンも脚本に参加していますので、御大の技量で脚本どおりに撮れば水準以上の映画になりますよ。 けっきょくもとに戻れず透明人間のままダリル・ハンナと幸せに暮らすというハッピーエンドは、ある意味洒落た締め方だと思います。食べたり喫煙したりすると中身が外から丸見えになるというネタはその後にヴァーホーヴェンも模倣してますが、『インビジブル』はいくら何でもやり過ぎで本作ぐらいがちょうどよいです。透明になったチェヴィー・チェイスが画面に映ったり映らなかったりするのはセンスの良い撮り方だと思います。彼も透明な自分の身体が見えないので服を着るのに悪戦苦闘するというギャグは、今までの透明人間ジャンルでは観たことのない視点でもあり、「なるほど、そうだよな」と納得しちゃいました。でも化粧というか色を塗ったとしか言いようがないチェヴィー・チェイスの顔は、まるで晩年のマイケル・ジャクソンみたいで笑ってしまいました。 SFとラブコメとアクションのバランスが取れた佳作だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-17 22:32:15)(良:1票)
793.  桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 
ウダウダ・グジグジの男陣とカースト意識むき出しで火花を散らしあう女陣、これぞゆとり世代の高校生活という感じだが、よく考えると自分のはるか昔の高校生活と大して変わらないことに気づかされました。現在は高校全入の時代で大学も選り好みしなければどこでも入れる状況なので高校生たちも個人の趣味や男女交際に没頭してる感もありますが、偏差値万能の自分らのころは入った(合格した)高校によって学生生活が変わってしまうといういわば高校カーストの要素が強かった気がします。そのころでも部活は学校体制から離れて個性を発揮できる場だったから楽しかったわけで、そう考えるとこの映画のキャラたちが持っているような部活カースト意識はなかったなあ。 確かに観る人によって評価の振幅が大きい類の映画だと思いますが、凝った構成の脚本と出演陣の最近の日本映画ではピカイチの自然な演技は秀逸の極みです。ただ唯一、神木隆之介の映画部部長だけはキャラ設定が臭すぎた感が否めなかったですね。今どきロメロ愛を熱く語り8ミリで映画を撮る高校生なんているかよ(いや、いるかもしれないけど)!30年前の映画青年みたいな語り口はちょっと不自然でしょ。思い返せば自分の高校時代にもこの部長を彷彿させる同級生の演劇部がいました、彼は今やこのサイトにも登録されている有名な声優になっています。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-07-12 00:56:46)
794.  西部戦線異状なし<TVM>(1979) 《ネタバレ》 
言わずと知れたルイス・マイルストンの30年版のリメイクで、なんとこの大作がTV映画として製作されてます。『レマゲン鉄橋』と同じようにチェコスロバキアの解体予定の廃村を使ってロケされたそうで、それがTV映画のバジェットで賄えた要因だったのかもしれません。原作のエピソードを巧みにつなげた脚本で、30年版ではカットされた皇帝が閲兵するエピソードもきちんと盛り込まれています。有名なラストも鳥をスケッチしようとして狙撃兵に撃たれるというオリジナルとは違ったエンディングですが、実は原作小説ではパウルがどういう状況で戦死したかについては言及されていませんので、ここは30年版が創造した功績をうまく引き継いだと言えるでしょう。 オリジナルと比較すると、パウルが休暇で帰郷するシークエンスは本作の方が胸を打つところがありました。カントレック先生の描き方が、30年版よりも少し人間味が感じられたところもよかったかと思います。まあここは母を演じるのがパトリシア・ニール、先生役がドナルド・プレザンスというキャスティングの功績かもしれません。逆に穴の中でパウルがフランス兵を刺殺するシークエンスは、オリジナルの異様なまでの迫力には残念ながら及びませんでした。あとアーネスト・ボーグナインは原作のイメージにはまりすぎるほどの好演技だったんですけど、いくら古参兵でも歳とりすぎなのは、如何ともしがたかったです。 劇場映画としても十分に通用するレベルの良作だと思いますが、モノクロ映画で記録フィルムを見せられているような戦闘シーンがいまだにトラウマになっている30年版には、太刀打ちはできなかったという感じです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-07 23:53:46)
795.  ブラックブック 《ネタバレ》 
第二次世界大戦でドイツに占領された国々にはいわゆる“レジスタンス神話”大なり小なり存在しますが、さすがヴァーホーヴェンらしく「神話なんてなかったんだよ!」とオランダ・レジスタンスの内情を赤裸々にさらしてくれます。彼のかつて撮った『女王陛下の戦士』もレジスタンスものでしたが、これも単純な戦争アクションではなくレジスタンスに対するシニカルな視線が印象に残る映画でした。 サスペンスドラマとしてはよく出来ています。観終わって気が付くのは序盤にちりばめられた伏線の多さで、必ずしもストーリー展開に関わった伏線ばかりではなかったけど、実に凝った脚本です。そしてヴァーホーヴェン風味のシモネタ・お下劣ネタは健在で、オランダ時代の盟友脚本家のジェラルド・ソエトマンとのタッグはやはり強烈です。なんせ『ルトガー・ハウアー/危険な愛』を生み出したコンビですからねえ。レジスタンス側もナチ側も出てくるキャラはもうゲスばっかり、ヒロインのラヘルにしたって匿ってくれていた農家に爆弾が命中しても一家の安否は眼中になく、次の隠れ家をどうしようかと悩むだけなので、「おい、おい…」と引いてしまいます。ヒーローもヒロインも癖が強いのがヴァーホーヴェンの映画の特徴なので、まあ理解してあげてください。さんざんナチとやりまくったくせにすぐにカナダ兵とくっついちゃうロニーや、降伏後も連合軍に協力すると称して態度がでかいカウトナー将軍など、すっきりした勧善懲悪とは程遠い結末はいい味出してます。 砲声が近づいてくるラスト・カットでしたが、1956年ということでこれはスエズ動乱の始まりを示唆しているんでしょうね。ラヘルはなんかまだまだ苦労しそうですが、続編を制作してみても面白いかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-04 21:55:16)
796.  アメリカ アメリカ 《ネタバレ》 
「私の名前はエリア・カザン、血はギリシャ生まれはトルコ、伯父の移住でアメリカ人になった」というカザン本人のナレーションで始まります。原作は自身が執筆した長編小説、紆余曲折がありながらもここまでキャリアを重ねてきたところでの自分のルーツ探索をテーマにする、どの分野の人でも頂点から坂を降りだしたときに見られるパターンですが、カザンもこの罠から逃れられず、本作が米国で映画賞をもらった最後の作品となりました。 主人公の若き日の伯父が移民として合衆国に上陸するまでの紆余曲折・波乱万丈のストーリーですが、とにかく長いお話なので気持ちの準備が必要です。主人公がトルコの内陸部の故郷から首都イスタンブールにたどり着くまででも、たっぷり40分はかかるんですからね。この旅はお人好しの田舎青年が狡猾なトルコ人無頼漢に身ぐるみはがされ無一文にされてしまうわけですが、けっきょくこの無頼漢を殺してしまうという大罪を犯してしまいます。治安が乱れ切っていたオスマン帝国ですから、その後に警察が捜査している様子はないのですが、彼の「何がなんでもアメリカに行きたい」という執念を支えるのにこの罪の意識が影響を与えていることは間違いないでしょう。港の荷役労働で旅費を貯めようとしてもうまくゆかずテロリスト・グループに間違われて銃撃されて重傷を負う、もう悲惨の極みです。イケメンなところを見込まれて金持ちの絨毯商人の娘の婿になる幸運をつかみますが、ここからがいけません。嫁は器量の方は並ですが気立てが良いし義父も実の息子のようにかわいがるのですが、それでも青年は婚約破棄してでも単身で渡米しようとします。ここが見る人には最大の?で、確実な幸せを放棄してまでしてなんでこの青年が渡米に執念を燃やすのかが理解できないと思います。殺人の罪の負い目があったのかもしれませんが、とても普遍性がある行動とは思えませんし、この映画の最大の欠点とも言えるでしょう。それでも多民族国家で被支配民族が味あわされる悲哀はひしひしと伝わってきます、これは日本人には決して実感できないことでしょう。 オスマン帝国のギリシャ人は第一次大戦後の混乱期に虐殺されたりして大変な目に遭いますので、結果的にはカザンの伯父の選択は正解だったことになります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-06-29 23:01:05)
797.  暴走特急 《ネタバレ》 
我が愛する“史上最強の料理人”ケイシー・ライバック、よく考えると彼は本作を最後にスクリーンから姿を消してしまったんですね。“その後に量産されたセガール主演映画では、どれもみんなライバックに見えちゃう”というのは、これはまた別の問題で、たった二作しか撮られなかったキャラクターとしては実に惜しい存在です。 「テロリストが乗っ取った列車にあの男も乗っていた」という合衆国政府にとっては運の(都合の)よい設定はともかくとして、走行する列車内という密室性のアクションとしては良くできていると思います。ただし、途中で完全に停車してしかもセガールが列車から放逐されてしまう(しかも超人の様な活躍で走る列車に戻って来る)という展開は、せっかくの密室アクション性を壊してしまうしサービスし過ぎです。とは言え人質が姪だろうが誰だろうがセガールの超人的な強さの前ではすべてが無意味で、狭い車内での重量級の格闘はセガールの合理的な身のこなしもあって迫力満点です。合理的でないのはセガールに素手で対マンを挑むボスの方で、これはスタローンやシュワちゃんの映画でも共通のお約束事なのでしょうがないでしょう。でも強面の割にはこのボスはちょっと弱すぎだったんじゃないでしょうか。 ところで、私は銃で撃たれたことがないんで判らないんですが、人間って銃弾が貫通さえすればあんなに元気なものなんですかね?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-06-24 21:13:06)
798.  ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ 《ネタバレ》 
この映画を観て、銀座に出来たマクドナルド日本第一号店でマックシェイクを食したときのことを思い出しました。「世の中にこんなに美味しい食べ物があったんだ、アメリカすげー!」これがたぶん人生初のカルチャーショックだったと思います。恥ずかしながら、今でもマックシェイクは私には特別な存在です。そのマックシェイクが、粉末を溶かして作っていた時期があったなんて、ちょっとショックです。 マクドナルドの創業経緯やレイ・クロックについては、ほとんど予備知識なしで観始めました。最初は素朴なアメリカン・ドリームの物語と思いきや、予想通りいわゆる“カネモメ”の泥仕合の展開になります。だって、レイ・クロックのことを知らない私でも、演じているのがマイケル・キートンですから絶対に綺麗ごとでは済まないと序盤から期待(?) してしまいます。まあそれだけキートンの演技が素晴らしかったということです。日本で起業のサクセスストーリーとなると、ノンフィクションでは本田宗一郎の人生やフィクションでは『下町ロケット』などが出てきますが、このアメリカとの違いは何なんでしょうね。もうどんな手段を使っても勝つことがすべて、だいたいからしてこのクロックという人はマクドナルドを乗っ取った人としか言いようがなく、原題でもある “The Founder” 創業者という肩書はクロックに対する強烈な皮肉にもなっています。マクドナルド兄弟の遺族はこの映画を公認、マクドナルド本社は非公認ということらしいですが、これには至極納得です。 一癖も二癖もありいろいろ考えさせられましたが、けっきょくクロックが成功したのはマクドナルドを不動産業みたいにして運営したからだということは伝わります。恐ろしいのは、このレイ・クロックとよく似たことをしてきた人が、現在合衆国の大統領の座に座っていることでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-06-22 00:05:56)(笑:1票)
799.  893愚連隊 《ネタバレ》 
なんでも、この映画は東映が初めて製作した現代ものヤクザ映画なんだそうです。つまり、『仁義なき戦い』の偉大なるルーツというわけですね。撮影はモノクロで、この後東映のお家芸になる隠しカメラを使ったゲリラ撮影を交えたオール・ロケ、音楽はジャズっぽいサントラで東映京都撮影所では確かに撮ったことのない類の映画だったわけです。主演の松方弘樹だってまだ新人同然、荒木一郎や近藤正臣など中島貞夫がチョイスしてきたキャストが、キャラに見事にはまっています。任侠ものとは一線を画したピカレスク・ロマンなわけですが、主人公たち愚連隊がやってることは感情移入できないエグい悪事に過ぎず、それを明るいサバサバしたタッチで見せてくれるので、なんかヘンなテイストでもあります。ヤクザと愚連隊の違いは親分・子分の関係ではなく売り上げ(?)は平等に分配、「愚連隊は民主主義やで!」というセリフはまさに迷言です。そんな連中に古いタイプの天知茂が加わってから彼らの運命が狂いだすのですが、そこはなかなかバランスの取れた脚本かと思います。参謀役の荒木一郎がまた上手くって、後年のあまりセリフがない演技しか知らなかったけど、この人喋らせたら凄いんです。もっとも愚連隊内の会話は、きつい関西弁に隠語だらけで半分ぐらいしか理解できませんでしたけど。 考えてみると、同じ松方弘樹が主演の『恐喝こそ我が人生』と主人公と仲間のキャラ設定がそっくりなんですよね。『恐喝こそ我が人生』は舞台を東京に変えた本作の後日談なのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-05-31 22:29:37)
800.  シンプルメン 《ネタバレ》 
これぞまさしくNYインディース、って感じでしょうか。全然毛色が違いますけど、同時代に活動を始めたタランティーノと較べてみたくなるんですよ。ハル・ハートリーは映像に凝る趣味は持ち合わせていないみたいですが、登場キャラたちのうだうだした会話を見せられているようでも、セリフ自体は良く磨きこまれています。ジョン・バークがケイトを口説くシークエンスを観てください、彼の無駄がない研ぎ澄まされた口説き文句は、まるで一編の詩の朗読を聞かされているような感じがしました。なんの脈絡もなくマドンナを批評する無駄話が始まって、こんなところもタランティーノ風なのかな。いわばハル・ハートリーは思いっきり上品なタランティーノと呼べるかもしれません。また登場人物たちがキャラ自体は真面目な設定なのに、それぞれがどこかオフ・ビートな一面を見せるところが面白いんです。まあそれを言えば、あの有名なダンス・シーンも思いっきりオフ・ビートだったですね。この独特の空気感は、ちょっとはまります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-05-23 23:16:43)
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